JP3623114B2 - 油圧作業機のサージ圧低減装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、油圧ポンプを備えた油圧ショベルなどの油圧作業機のサージ圧低減装置に係り、戻り配管内に発生する急激なサージ圧を低減する油圧作業機のサージ圧低減装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、油圧ポンプ、油圧アクチュエータ、その他の油圧機器、およびそれらを接続するエアタンク等を有する油圧作業機では、油圧アクチュエータが急動作したとき、戻り油をオイルタンクに導く戻り配管に急激な圧力上昇、いわゆるサージ圧が発生し、戻り配管やオイルクーラなどの油圧機器を損傷するおそれがあるので、前記のサージ圧を低減する装置が用いられている。
【0003】
図4はこの種の従来のサージ圧低減装置を備えた油圧ショベルなどの油圧作業機を示す系統図で、同図に示すように、油圧作業機は、原動機1で駆動される油圧ポンプ2およびパイロットポンプ3と、このパイロットポンプ3からのパイロット油が供給され、操作レバー4aの操作量に応じてパイロット油を送り出すパイロットバルブ4と、このパイロットバルブ4からのパイロット油により駆動され、油圧ポンプ2からの圧油の流量および方向を制御するコントロールバルブ5と、このコントロールバルブ5を介して供給される圧油により作動するアクチュエータ6と、このアクチュエータ6からの戻り油をコントロールバルブ5を介して導く戻り配管7と、この戻り配管7の途中に設けられ、前記の戻り油を冷却するオイルクーラ8と、戻り配管7により戻された油を蓄えるオイルタンク9とを備えている。
【0004】
このような油圧作業機では、コントロールバルブ5の切換えによりアクチュエータ6が急動作したとき、このアクチュエータ6からコントロールバルブ5を介して戻される戻り油の流量が急激に増えると、戻り配管7の途中に設けられるオイルクーラ8で流動抵抗が生じるため、コントロールバルブ5およびオイルクーラ8の間に急激な圧力上昇、いわゆるサージ圧が発生することがある。
【0005】
そこで、同図4に示す従来のサージ圧低減装置にあっては、コントロールバルブ5とオイルクーラ8との間の戻り配管7に、組立時に空気が封入されるとともに戻り油の一部を受け入れるエアタンク10が接続されており、戻り配管7内でサージ圧が発生したとき、この戻り配管7に接続されているエアタンク10内の空気が圧縮することにより、前記のサージ圧を低減するようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来の油圧作業機のサージ圧低減装置では、組立時にエアタンク10内に封入した空気が、その後、油圧作業機の稼動中に戻り配管7内に抜け出てしまい、しかもエアタンク10内の空気を組立後に補充できないため、戻り配管7内のサージ圧を低減する機能が次第に低下するという問題があった。
【0007】
なお、一般的なアキュムレータのように空気を風船の中に閉じ込めるサージ圧低減装置も考えられるが、サージ圧の発生に対する応答性や、風船などの耐久性が劣るため、本発明が対象としている油圧作業機のサージ圧低減装置としては適していない。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、エアタンクとオイルタンクの空気層とを接続する空気配管にチェック弁を設け、このチェック弁によってオイルタンクの空気層からエアタンクの方向へのみ空気が流れるよう制御することとする。このように構成すると、エアタンクへ空気の補充を組立後に行なうことができ、戻り配管内にサージ圧が生じたとき、エアタンク内の空気が圧縮するので戻り配管内のサージ圧を確実に低減できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明による油圧作業機のサージ圧低減装置では、油を蓄えるオイルタンクと、原動機で駆動され、前記オイルタンクから油を吸入して圧油を吐出する油圧ポンプと、この油圧ポンプからの圧油の流量および方向を制御するコントロールバルブと、このコントロールバルブを介して供給される圧油により作動するアクチュエータと、このアクチュエータからの戻り油を前記オイルタンクに導く戻り配管と、この戻り配管の途中に設けられ、前記戻り油を冷却するオイルクーラとを有する油圧作業機に設けられ、前記戻り配管内に発生する急激なサージ圧を低減する油圧作業機のサージ圧低減装置において、前記コントロールバルブと前記オイルクーラとの間の前記戻り配管に接続され、前記オイルタンクのオイルレベルより高い位置に設けられるエアタンクと、このエアタンクと前記オイルタンクの空気層とを接続する空気配管と、この空気配管に設けられ、前記オイルタンクの空気層から前記エアタンクの方向へのみ空気が流れるよう制御するチェック弁とを備えた構成にしてある。
【0010】
このように構成すると、原動機および油圧ポンプなどが停止したとき、戻り配管に接続されるエアタンク内のオイルレベルがオイルタンクのオイルレベルより高い位置にあり、これらの水頭圧の差によりエアタンク内の油がオイルタンク内に戻るため、前記のエアタンク内の圧力がオイルタンクの圧力より低くなって前記のエアタンク内に負圧が生じる。これに伴い、オイルタンクの空気層から空気配管を介して前記のエアタンク内へ空気が補充される。その後、原動機および油圧ポンプなどが稼働するとき、前記のエアタンク内から空気配管を介して空気が逆流することがチェック弁で阻止されるので、前記のエアタンク内の空気が保持される。この状態で戻り配管内のサージ圧が生じると、前記のエアタンク内の空気が圧縮するので、前記のサージ圧を確実に低減することができ、したがって、戻り配管やオイルクーラなどの油圧機器の損傷を防止する機能の信頼性を向上させることができる。
【0011】
また、前記エアタンクの底の部分と前記オイルタンクとを接続するバイパス管を備え、このバイパス管の途中に絞りを設けると、原動機および油圧ポンプなどが停止したとき、エアタンク内の油が戻し配管を介してのみならずバイパス管を介してもオイルタンク内に確実に戻される。
【0012】
また、前記チェック弁を、垂直方向に立設されるケーシングと、このケーシングに収納される樹脂製ボールとで構成すると、チェック弁は戻しばねを有しておらず、しかも樹脂製ボールが軽量であるため、比較的小さい圧力でチェック弁を開くことができる。これによって、オイルタンクの空気層から空気配管を介してエアタンク内へ空気を円滑に補充できる。
【0013】
【実施例】
実施例について図面を参照して説明すると、図1は本発明の一実施例に係るサージ圧低減装置を備えた油圧作業機を示す系統図、図2は本実施例のサージ圧低減装置を備えた油圧作業機の停止状態を示す系統図、図3は本実施例のサージ圧低減装置に設けられるチェックバルブを示す断面図で、前述した図4に示すものと同等のものには同一符号を付してある。
【0014】
図1に示すように、本実施例に係る油圧作業機のサージ圧低減装置では、エアタンク10とオイルタンク9の空気層9aとを接続する空気配管11と、この空気配管11の途中に設けられ、オイルタンク9の空気層9aからエアタンク10の方向へのみ空気が流れるよう制御するチェック弁12と、エアタンク10の底の部分とオイルクーラ9とを接続するバイパス管13と、このバイパス管13の途中に設けられる絞り14とを備えており、エアタンク10はオイルタンク8のオイルレベルより高い位置に設けられている。
【0015】
チェック弁12は、図3に示すように、垂直方向に立設されるケーシング15と、このケーシング15に収納され、垂直方向に移動可能なウレタン樹脂などの樹脂製ボール16と、ケーシング15の下端に装着され、オイルタンク8に接続される入口ポート17と、ケーシング15の上端に装着され、空気配管11を介してエアタンク10に接続される出口ポート18とからなっている。
【0016】
上記実施例では、図2に示すように原動機1および油圧ポンプ2などが停止したとき、戻り配管7に接続されるエアタンク10内のオイルレベルがオイルタンク9のオイルレベルより高い位置にあり、これらの水頭圧の差によりエアタンク10内の油が戻り配管17およびバイパス管13を介してオイルタンク9内に戻るため、エアタンク10内の圧力がオイルタンク9の圧力より低くなりエアタンク10内に負圧が生じる。これに伴い、オイルタンク9内の空気によりチェック弁12のボール16が押し上げられて、下方すなわちケーシング15との間に隙間が形成され、オイルタンク9の空気層9aから空気配管11を介して空気が流れるので、エアタンク10内に空気が補充される。
【0017】
その後、図1に示すように原動機1および油圧ポンプ2などが稼働するとき、図3に示すようにチェック弁12の樹脂製ボール16が自重により下降してケーシング15との隙間がなくなり、エアタンク11から空気配管11を介して空気が逆流することを阻止するので、エアタンク10内の空気が保持される。この状態で戻り配管7内にサージ圧が発生したとき、この戻り配管7に接続されているエアタンク10内の空気が圧縮することにより、前記のサージ圧を低減する。このとき、バイパス管13が絞り14で絞られているので戻り油はほとんど流れず、大半の戻り油が戻り配管7およびオイルクーラ8を介して流れるので、この大半の戻り油はオイルクーラ8で冷却された後にオイルタンク9へ戻る。
【0018】
このように構成される実施例では、組立後にオイルタンク9の空気層9aから空気配管11を介してエアタンク10内へ空気を補充できることから、このエアタンク10内の空気の圧縮により戻り配管7内のサージ圧を確実に低減させることができる。
【0019】
また、本実施例では、原動機1および油圧ポンプ3などが停止したとき、戻り配管7内の油が戻り配管7を介してのみにならずバイパス管13を介してもオイルタンク9内に確実に戻される。さらに、通常、空気圧回路に使用されるチェック弁は逆流防止用の鋼球と、この鋼球を閉じる方向へ付勢する戻しばねとを備える構造となっているが、本実施例では、チェック弁12が前記の戻しばねを備えておらず、しかもボール16がウレタン樹脂などの軽量な樹脂製であるため、比較的小さい圧力でチェック弁12を開くことができる。これによって、空気配管11を介してエアタンク10内へ空気を円滑に補充できる。
【0020】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0021】
原動機および油圧ポンプなどが停止したとき、エアタンクのオイルレベルおよびオイルタンクのオイルレベルで生じる水頭圧の差により、エアタンク内の油がオイルタンク内に戻るため、前記のエアタンク内の圧力がオイルタンクの圧力より低くなり前記のエアタンク内に負圧が生じて、オイルタンクの空気層から前記のエアタンク内へ空気配管により空気が補充される。その後、原動機および油圧ポンプなどが稼働するとき、前記のエアタンク内からの空気の逆流がチェック弁で阻止されるので、前記のエアタンク内の空気が圧縮して戻り配管内のサージ圧を確実に低減することができ、したがって、戻り配管やオイルクーラなどの油圧機器の損傷を防止する機能の信頼性を向上させることができる。
【0022】
また、上記のチェック弁が、チェック弁はばねを備えておらず、しかも樹脂製ボールが軽量であるため、比較的小さい圧力でチェック弁を開くことができる。さらに、エアタンク内の油が戻り配管を介してのみならずバイパス管を介してもオイルタンク内に確実に戻される。これによって、オイルタンクの空気層から前記のエアタンク内へ空気配管により空気を円滑に補充できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るサージ圧低減装置を備えた油圧作業機を示す系統図である。
【図2】本実施例のサージ圧低減装置を備えた油圧作業機の停止状態を示す系統図である。
【図3】本実施例のサージ圧低減装置に設けられるチェックバルブを示す断面図である。
【図4】従来のサージ圧低減装置を備えた油圧ショベルなどの油圧作業機を示す系統図である。
【符号の説明】
1 原動機
2 油圧ポンプ
5 コントロールバルブ
6 アクチュエータ
7 戻り配管
8 オイルクーラ
9 オイルタンク
9a 空気層
10 エアタンク
11 空気配管
12 チェック弁
13 バイパス管
14 絞り
15 ケーシング
16 ボール
Claims (3)
- 油を蓄えるオイルタンクと、原動機で駆動され、前記オイルタンクから油を吸入して圧油を吐出する油圧ポンプと、この油圧ポンプからの圧油の流量および方向を制御するコントロールバルブと、このコントロールバルブを介して供給される圧油により作動するアクチュエータと、このアクチュエータからの戻り油を前記オイルタンクに導く戻り配管と、この戻り配管の途中に設けられ、前記戻り油を冷却するオイルクーラとを有する油圧作業機に設けられ、前記戻り配管内に発生する急激なサージ圧を低減する油圧作業機のサージ圧低減装置において、
前記コントロールバルブと前記オイルクーラとの間の前記戻り配管に接続され、前記オイルタンクのオイルレベルより高い位置に設けられるエアタンクと、このエアタンクと前記オイルタンクの空気層とを接続する空気配管と、この空気配管に設けられ、前記オイルタンクの空気層から前記エアタンクの方向へのみ空気が流れるよう制御するチェック弁とを備えたことを特徴とする油圧作業機のサージ圧低減装置。 - 請求項1の記載において、前記エアタンクの底の部分と前記オイルタンクとを接続するバイパス管を備え、このバイパス管の途中に絞りを設けたことを特徴とする油圧作業機のサージ圧低減装置。
- 請求項1または2の記載において、前記チェック弁が、垂直方向に立設されるケーシングと、このケーシングに収納される樹脂製ボールとを備えることを特徴とする油圧作業機のサージ圧低減装置。
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