JP3622938B2 - 滑り軸受およびその使用方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、焼結合金の気孔内に半固態状または固態状潤滑組成物を含有した滑り軸受に係り、特に、軸受摺動面に高い面圧が作用するような用途に用いて好適な滑り軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、滑り軸受としては多孔質焼結合金製のものが提供されている。このような軸受の多くは、多孔質焼結合金の気孔内に、軸受摺動面に作用する面圧と滑り速度に応じて最適な粘度を有する潤滑油を含浸したものである。また、多孔質焼結合金としては、銅合金あるいは鉄合金のものが多用されており、青銅合金のように軟質なものから焼入れされた合金鉄まで様々なものが提供されている。また、これらの合金中に黒鉛や二硫化モリブデンのような固体潤滑剤を分散した合金もある。
【0003】
ここで、潤滑油は、スピンドル油のような低粘度のものから、2700cSt(センチストーク)程度の高粘度のものまで実用に共されている(日刊工業新聞社昭和39年7月25日発行、粉末冶金応用製品−構成部品−36項、表1.6)。また、常温で半固態状や固態状を呈する潤滑剤としては、金属石鹸を増稠材として含有するグリース、グリースと油の混合物、固体潤滑剤粒子を含む金属石鹸、石油系ワックスや合成ワックス、PTFE等の樹脂、金属鉛、黒鉛や二硫化モリブデンのような固体潤滑剤などがある。
【0004】
グリースは、多孔質焼結合金の気孔内に含浸して使用されることもあるが、含浸させるのにかなりの手間を要するため、通常は、ポンプなどの適当な手段によって摺動面に供給される。固体潤滑剤を除くその他の潤滑剤を気孔内に含浸させる場合には、潤滑剤を加熱溶融して流動性を高めることが行われる。また、固体潤滑剤を用いる場合には、黒鉛や二硫化モリブデンなどの粉末を油に分散させてペースト状にし、適当な方法によって摺動面に供給するのが一般的である。固体潤滑剤を用いたもので摺動面に高い面圧が作用するような滑り軸受としては、青銅合金製の軸受本体の内周面に黒鉛片をほぼ等間隔に埋め込んだものがある。
【0005】
このように、滑り軸受は、素材である軸受合金はもちろんのこと潤滑形態にも様々な種類があり、摺動形態、面圧、滑り速度、運転される環境などの種々の使用条件に対応して、軸との馴染み性と摩擦係数および耐久性を考慮し、軸受合金と潤滑剤の種類が選定される。とりわけ、極めて低い荷重や高速回転で使用する場合や、逆に、大きな荷重が作用する場合や、軸受自身が回転したり揺動や往復動するような用途の軸受では、軸受合金の構成と潤滑剤の種類および潤滑形態の組合わせの微妙な違いが軸受特性に大きく影響を及ぼすことが多いので、用途に応じて厳密に選定する必要がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
たとえば、30MPa以上の高い面圧で揺動しながら摺動するような軸受としては、比較的硬い合金で構成するとともに、グリースやそれに近い高粘度の油を潤滑剤として使用すれば相応の効果を得ることができる。しかしながら、この場合には、軸受から潤滑剤が流出消費されて軸受の周辺を汚染するとともに、軸受の耐久性が低下するという問題がある。一方、耐久性については、前記した軸受の摺動面に黒鉛のような固体潤滑剤片を斑点状に埋め込んだドライ軸受が好適であるが、製造コストが他の軸受に比して2〜3倍になるという欠点がある。
よって、この発明は、潤滑剤の流出による消費を低減することができ、高い面圧で揺動するような用途に用いても寿命を長くすることができる滑り軸受を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の滑り軸受は、鉄炭素合金基地がマルテンサイトであり、該マルテンサイト中に、銅粒子および銅合金粒子の少なくとも一方が分散している鉄基焼結合金の気孔内に、常温で半固態状または固態状で滴点60℃以上の潤滑組成物を充填し、潤滑組成物は、極圧添加剤および固体潤滑剤粒子の少なくとも一方を含む油分およびワックスを主体としていることを特徴としている。
【0008】
上記構成の滑り軸受にあっては、鉄炭素合金基地中に硬いマルテンサイトを含む一方で、軟質な銅粒子および/または銅合金粒子(以下、これらを銅粒子等と総称する)が点在したものであるから、高面圧下でも摩耗や変形が抑制されるとともに、銅粒子等が適度に変形して相手部品である軸と馴染み易くなる。特に、滑り軸受が軸に対して往復移動するような使用条件では、軸受の性能と寿命を伸ばす上で軸との馴染み性は極めて重要である。さらに、軸受が揺動するような使用条件では、摺動面に局所的に高い面圧が作用するから、滑り軸受の寿命を伸ばすためにはマルテンサイトの存在も極めて重要である。よって、本発明の滑り軸受は、滑り軸受が往復移動しつつ揺動するような使用条件でとりわけ性能が発揮されると言える。
【0009】
また、ワックスと油の混合物に極圧添加剤および固体潤滑剤粒子の少なくとも一方が分散した潤滑組成物は、常温で固態状又は半固態状であるから、高い面圧が作用しても摺動面の油膜が破れることが少なく、しかも、高い粘性故に滑り軸受からの流出漏洩も少ない。さらに、潤滑組成物に含有されたワックスは、液状の油や金属石鹸を含むグリースに比べて熱膨張係数が格段に大きいので、運転による温度上昇で気孔から固態状又は半固態状の潤滑組成物が速やかに浸出し、軸との金属接触摩擦が少ない油膜による潤滑形態をもたらすことができる。なお、潤滑組成物を常温で固態状または半固態状に維持するためには、滴点(滴点法で測定した融点)は60℃以上である必要がある。また、鉄炭素合金基地中に固体潤滑剤を含有させることもでき、その場合には、自己潤滑性が一層向上する。
【0012】
上記本発明の滑り軸受では、軸との摺動面に複数の溝を備え、その溝に、油に固体潤滑剤粒子を分散させたペーストまたは上記した潤滑組成物を充填することができる。このように構成することにより、ペーストや潤滑組成物が熱膨張して摺動面に容易に浸出するため、摺動面の潤滑が円滑に行われる。なお、溝は、摺動方向と交差あるいは平行に設けることができる。また、鉄炭素合金の摺動面以外の外面の気孔を目潰しすることにより、熱膨張した固態状又は半固態状潤滑組成物が摺動面に向かって積極的に押し出されるので、潤滑がさらに良好になる。
【0013】
前述のように、本発明の滑り軸受は、支持する軸が揺動する状態で使用する場合や、滑り軸受自体が回転する状態で使用する場合にとりわけ性能が発揮される。よって、本発明は、そのような使用態様によって上述した滑り軸受あるいは以下に述べる滑り軸受を使用することを特徴とする使用方法でもある。また、この明細書に記載した滑り軸受は、軸との摺動面に作用する面圧が30MPa以上の条件で使用した場合にも抜きん出た性能が発揮されるので、このような使用方法も本発明の一つである。さらに、この明細書に記載した滑り軸受は、温度60℃未満の常温で使用することで上記した作用、効果を確実に奏するものであるから、このような使用方法も本発明の一つである。加えて、これら3種類の使用方法のうち2つまたは3つを組み合わせた使用方法も本発明の一つである。
以下、本発明の好適な実施の形態についてさらに詳細に説明する。
【0014】
【発明の実施の形態】
まず、滑り軸受(以下、単に軸受と称する)の本体である焼結合金は、以下に示す形態が好適である。
焼結合金は、鉄粉、銅粉、黒鉛粉を以下の成分組成となるように混合し、混合粉を成形して焼結したものである。すなわち、焼結合金は、組成が重量比でC:0.3〜1.5%、Cu:7〜30%、残部が実質的にFeからなる成分組成を有し、基地がマルテンサイトを主体とする組織の鉄炭素系合金であり、基地中に銅および/または鉄を含む銅合金の形で粒子状に分散したものである。この焼結合金に不可避的に含有される不純物としては、鉄粉中に通常含まれるMn及びSiが挙げられる。
【0015】
基地の組織は全てマルテンサイトであっても良く、一部にトルースタイトやベイナイトが含まれていても同等の性質を示す。さらに、一部にソルバイトが含まれていても良い。基地の硬さはマイクロビッカース硬さ450〜750程度が良い。また、Cは黒鉛の形で混合粉に添加し、焼結によってCをFeの基地中に拡散させる。また、焼結は、銅粉の形で添加されたCuがFeと完全に合金化しない温度と時間で行い、焼結後に焼入れ焼戻しする。なお、焼入れは、焼結の冷却過程で行うこともできる。ここで、Cの含有量が0.3重量%を下回ると材料強度が不充分で摩耗し易くなり、1.5重量%を超えて含有すると硬くなり過ぎて相手部材である軸の摩耗を促進する。よって、焼結合金中のCの含有量は、0.3〜1.5重量%とした。なお、黒鉛粉が混合粉末中で偏在している部分では、焼結体の基地に遊離黒鉛の形で残存する場合があり、遊離黒鉛は固体潤滑作用を奏する。
【0016】
Cuは、焼結中に一部がFeの基地中に拡散し、一部はFeを溶かし混んで銅合金を形成する。よって、焼結合金を冷却すると、鉄炭素系合金の基地に銅または銅合金相の形態で分散した組織状態になる。銅または銅合金は比較的軟質であるから、相手部材である軸への攻撃性を抑える作用をするとともに、適度に変形して軸との馴染み性を向上させる。しかしながら、Cuの含有量が7重量%を下回るとその効果が不充分であり、30重量%を超えて含有すると、材料強度が低くなるので面圧が高い場合は摩耗し易くなる。よって、Cuの含有量は、7〜30重量%とした。なお、Cuの含有量は15重量%前後が最適である。
【0017】
焼結合金の気孔には、後述する潤滑組成物が充填されるが、開放気孔率は通常の焼結含油軸受と同様に15〜20%程度が好ましい。面圧が特に高い場合で軸受材料の強度および耐摩耗性が一層求められる場合には、開放気孔率を15%より低くして密度を高めることもできるが、開放気孔率が10%未満では充填される潤滑組成物の量が少なすぎて潤滑剤の油膜切れが生じることがある。逆に、潤滑を優先する場合には、開放気孔率を20%よりも大きくすることもできるが、開放気孔率が25%(密度:約5.8g/cm3)を上回ると、材料強度が低くて耐摩耗性が低下することがあるので注意が必要である。
【0024】
上記焼結合金の基地中に、黒鉛、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、窒化硼素、窒化けい素、弗化黒鉛、エンスタタイトの少なくとも1種の粒子を3重量%以下分散させてもよい。固体潤滑作用のあるこれら粒子は、摺動中の金属接触を少なくし、耐摩耗性を向上させる。これらの成分は、含有量が多いほど効果があるが、3%を超えて含有すると基地の強度を低下させて摩耗を促進することがある。
【0025】
次に、これらの焼結合金の気孔には、以下のような潤滑組成物を充填する。この潤滑組成物は、滴点が60℃以上であり、常温で半固態状または固態状をしていて、油分とワックスの混合物中に極圧添加剤および固体潤滑剤粒子の一方または両方を含むものである。ワックスは、石油系のパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、植物系のカルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、動物系のみつろう、鉱物系のモンタンワックス、合成のポリエチレンワックスのいずれかである。
【0026】
中でも石油系のパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスは、添加する油分としてギヤ油、作動油、タービン油のような市販の工業用潤滑油となじみ性が良いという特長と、熱膨張係数が格段に大きいため、摺動による昇温で早期に摺動面へ浸出し易いという特長がある。例えば、常温から60℃までの体積膨張は、市販のグリースが約0.5%であるのに対し、例えばマイクロクリスタリンワックスにギヤ油を70%添加混合した潤滑組成物では約3%である。
【0027】
ワックスはそれ自身で潤滑効果があるが、油分を含むと、面圧と滑り速度に適合する潤滑組成物としての適当な硬さと油分自身の潤滑効果が得られるようになる。高い面圧では、固体潤滑と流体潤滑の中間的な潤滑が望ましく、摺動部は液状となっているとしても、潤滑組成物全体としては運転摺動中に半固態状または固態状態であれば良い。潤滑組成物が固態のペースト状ということができる状態であるときの混和稠度は、40℃で400である。40℃の混和稠度が400を超えると、潤滑組成物が柔らかすぎて流動性を示すようになり、高い面圧が作用する使用条件には不適となる。また、潤滑組成物がワックスだけのような硬さを有すると、硬過ぎて剪断抵抗が高いため潤滑効果が低くなる。前記したワックスでは、油分は潤滑組成物のうちの30〜80%程度の範囲にすると好適である。また、油分としては石油系潤滑油や合成潤滑油が用いられ、粘度が高いものを用いると多くの油分を含有させることができ好適である。軸受の一般的な使用温度は常温から50℃程度であるから、使用温度で固態状または半固態状を示すために潤滑組成物の滴点は60℃以上とする。
【0028】
ワックスと油分の混合物だけでも潤滑性は良好であるが、高い面圧が作用しても油膜が破れないようにするために、極圧添加剤および固体潤滑剤粒子の少なくとも一方を添加する。これらを添加することによって、軸受と軸との金属接触が抑制され、軸受性能が長期にわたって維持される。極圧添加剤の添加に際しては、ギヤ油や各種作動油等の工業用潤滑油には極圧添加剤が含まれているので、ギヤ油等を用いれば良い。また、ギヤ等には、酸化防止剤や錆止め剤、さらには増稠剤等が含まれているので好適である。
【0029】
極圧添加剤としては、例えば硫黄系ではオレフィンポリサルファイド、硫化油脂、ジアルキルサルファイド、塩素系では塩素化パラフィン、りん系ではアリル燐酸エステル、複合型ではクロロナフサザンデート、有機金属塩ではナフテン酸鉛、チオ燐酸亜鉛、その他としてMoコンプレックス、ほう酸塩等が知られている。極圧添加剤は、適当な油に混合した状態で、または単体で前述のワックスおよび油分に添加することができる。潤滑組成物中の極圧添加剤の含有量は1.5重量%を超えてもそれ以上の効果が望めないので、1.5重量%以下、好ましくは0.5〜1重量%が良い。
【0030】
また、極圧添加剤に替えて黒鉛、二硫化モリブデン、二硫化タングステンPTFE、弗化黒鉛、弗化カルシウム等の固体潤滑剤粒子を添加しても効果が得られる。これら固体潤滑剤粒子は、予め油分に混合分散させておいてからワックスと混合すると製造が容易である。潤滑組成物中の固体潤滑剤の含有量は1.5〜2.5重量%であることが望ましい。固体潤滑剤の含有量が1.5重量%未満であると高面圧に対する効果が不充分となり、2.5重量%を上回ると潤滑組成物の見掛硬さが高くなって潤滑が不安定になる虞があるからである。固体潤滑剤粒子は、焼結合金の気孔への含浸性を良くするために粒径が50μm以下のものを用いると良い。軸受の耐久性をさらに良好にするためには、極圧添加剤と固体潤滑剤粒子の両方を含有させることが望ましい。
【0031】
潤滑組成物の製造方法は使用時の面圧によって適宜選定するが、たとえば粘度150〜2500cSt程度の極圧添加剤入り潤滑油をヒーター付きの減圧容器に充填し、ワックスの融点より約10〜50℃程度高い温度に加熱して液状にしておく。この潤滑油に、ワックスおよび固体潤滑剤を添加して混合する。この液状にされた潤滑組成物の中に前述の焼結合金軸受を浸漬し、油の含浸と同様に減圧容器を密封、減圧して気孔内に潤滑組成物を含浸させる。この潤滑組成物は、グリースに比べて加熱中の粘度が低いため含浸し易く、冷却したときに油分が分離し難いので高面圧下での性能が優れている。減圧容器から取り出した軸受の表面には、液状の潤滑組成物が水たまりのように付着することがあるので、液状のうちに熱風を当てるか遠心力を与えるかして除去するか、軸受の孔にマンドレルを通して拭き取っておくことが望ましい。また、油脂類は結晶が小さいと摩擦特性が良好になるので、含浸処理した軸受を急冷して油脂類の結晶を小さくすると良い。
【0032】
上記のような軸受は、マルテンサイトを含む硬い鉄炭素系合金基地に軟質な銅や銅合金相が分散しているので、軸受の本体である焼結合金が高い面圧に耐える強度と相手部材との馴染み性とを兼ね備えている。また、焼結合金の気孔に、油分およびワックスに極圧添加物や固体潤滑剤を含む潤滑組成物が充填されているので、相手部材と摺動すると、温度上昇に伴って気孔内の潤滑組成物が膨張し、これが摺動面に浸出して圧力を発生するから、摺動面が金属接触せずに潤滑され、高い面圧でも良好な潤滑作用を示す。また、潤滑組成物が常温で固態状または半固態状であるから、軸受の外に流れ出るようなことがない。よって、軸受の周囲を汚染しないことは言うまでもなく、潤滑効果を長時間持続することができ、軸受の性能を長期にわたって維持することができる。
【0033】
なお、軸受の摺動面に摺動方向と交差する方向あるいは平行な方向に複数の溝を設け、その溝にも前述した潤滑組成物、または油に固体潤滑剤粒子を分散させてペースト状にしたものを充填しておくと、潤滑がさらに円滑に行われるようになる。特に、このように構成すると、最初から軸に潤滑剤が接触しているので、運転初期の潤滑が円滑に行われる。また、軸受の摺動面以外の外面を封孔または小さな気孔に目漬しすれば、潤滑組成物が熱膨張したときに摺動面へ積極的に浸出するので、潤滑組成物の圧力が高くなって摩耗が効果的に防止される。
【0034】
この軸受は、低面圧では摩擦係数が高いので最適とはいえないが、面圧が30MPa以上で使用される用途に好適である。このような用途としては、例えば、貨物昇降機のエキスパンダー用軸受、ブルトーザーやパワーショベルのような建設機械の関節用軸受、プレス機械用軸受、車輌等制動装置リンク用軸受、ヒンジ用軸受、物品移動ロボットの関節軸受、キャスター用軸受などが挙げられる。
【0035】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
軸受の焼結合金を製作するために下記の原料粉末を用意した。
▲1▼アトマイズ鉄粉:粒度100メッシュ以下
▲2▼電解銅粉:粒度100メッシュ以下
▲3▼黒鉛粉:粒度200メッシュ以下
▲4▼鉄合金粉A:高速度工具鋼SKH2相当の組成で、Fe―0.8%C―4%Cr―18%W―1%V、粒度200メッシュ以下
▲5▼鉄合金粉B:高速度工具鋼SKH51相当の組成で、Fe―0.8%C―5%Cr―6%W―5%Mo―1%V、粒度200メッシュ以下
▲6▼鉄合金粉C:Fe―65%Mo、粒度200メッシュ以下
▲7▼Co合金粉:Co―8.5%Cr―28%Mo―2.5%Si、粒度200メッシュ以下(キャポット社製、品名:コバメット)
▲8▼エンスタタイト粉:日本タルク製
▲9▼ステアリン酸亜鉛粉
【0036】
【表1】
【0037】
これらの粉末を表1に示す割合で混合した。なお、ステアリン酸亜鉛は、成型時の潤滑のために添加するものであり、これを除く混合粉末を100%としたときに、全ての混合粉末に0.75%添加した。各混合粉末について密度6.2g/cm3の軸受円筒形状に圧粉成形し、成形体を還元雰囲気中、最高温度1100℃で焼結した。次に、焼結体を温度850℃の浸炭雰囲気中で保持したのち焼入れを行い、180℃で40分間焼戻しを行った。そして、切削加工により、内径10mm、外径16mm、高さ10mmの軸受形状にした後、脱脂剤中で超音波を与えて試料表面および気孔内の焼戻し油を除去し試験用試料とした。試料1の断面の顕微鏡組織は、基地がマルテンサイトとトルースタイトで、赤みのある銅が分散していた。また、鉄基硬質合金を含む試料2〜4および6は、組織中に、分散している粒状炭化物に加えて硬質粒子がさらに点在した顕微鏡組織であった。
【0038】
次に、比較のための試料として、組成がCu―10%Sn―0.5%Ni―0.5%黒鉛であり、銅錫合金基地中にニッケルと黒鉛粒子が分散した開放気孔率が20%の焼結合金製軸受(試料番号7)を作成した。
【0039】
次に、気孔に含浸する潤滑組成物として下記のものを準備した。
(a)温度40℃における粘度220cStの市販の極圧添加剤入り工業用ギヤ油60重量%と、滴点70℃のパラフィンワックス40重量%とを90℃に加熱、混合した後、この混合物99重量%に対し、粒子径50μm以下の鱗片状黒鉛粉1重量%を混合した潤滑組成物潤滑組成物:滴点65℃、25℃における混和稠度150
(b)温度40℃における粘度460cStの市販の極圧添加剤入り工業用ギヤ油70重量%と、滴点80℃のマイクロクリスタリンワックス30重量%を100℃に加熱、混合した潤滑組成物:滴点75℃、25℃における混和稠度180
【0040】
(c)前記(b)の潤滑組成物98重量%に、粒子径2μm以下の二硫化モリブデン粉2重量%を混合(工業用ギヤ油に予備混合した状態で添加)した潤滑組成物:滴点75℃、25℃における混和稠度180
(d)滴点が95℃の市販のカルシウムグリース
(e)温度40℃における粘度320cStの市販の極圧添加剤入り工業用ギヤ油
【0041】
これらの潤滑組成物を上記した各軸受試料に含浸した。含浸は加熱ヒーター付きの減圧含浸器を用い、含浸温度は潤滑組成物(a)は90℃、(b)および(c)は100℃、(d)は150℃、(e)は50℃で行った。次に、これらの軸受試料について軸受耐久試験を行った。軸受耐久試験は、軸受試料を試験機のハウジングに固定し、軸受試料の孔に焼入れされた構造用炭素鋼の軸を装着して軸心と直角方向に均等に荷重を加え、面圧60MPaの状態で繰り返し半回転させて行った。軸受試料の周辺の気温は40℃とし、最大摺動速度は1m/分とした。この試験条件は、高面圧下で低速摺動であり、摺動面の潤滑が困難な状態と言うことができる。表2に、軸受試料の温度が安定している状態から温度上昇傾向が認められたときまでの摺動距離(単位:m)を示す。
【0042】
【表2】
【0043】
表2に示すように、比較的軟質な青銅合金で構成された試料7と比較すると、鉄合金製軸受(試料1〜6)は耐久性が格段に優れていることが判る。また、鉄炭素系焼入れ組織の基地に銅と鉄銅合金が分散した合金からなる試料1は、硬質粒子が分散されている合金(試料2〜6)と比較すると耐久性はやや劣っているが、面圧がやや低い用途であれば特性は充分である。また、硬質粒子が分散されている合金(試料2〜5)の耐久性は総じて高く大差がないが、これらと比較すると、基地に固体潤滑剤を含有する試料6は、さらに良好な耐久性を示すことが判った。
【0044】
次に、軸受の気孔に含浸された潤滑剤の種類による耐久性を比較すると、高粘度ギヤ油(e)やグリス(d)を含浸させた試料に比べて、ワックスとギヤ油の混合潤滑組成物(b)およびそれに固体潤滑剤を含むもの(aおよびc)を含浸させた試料は、耐久性が格段に優れていることが判る。グリース(d)は、その粘性の大きさからある程度の耐久性を有するものと思われたが、ギヤ油と比較してもそれ程良好とは言えない結果となった。その原因は、グリースを加熱して液状とした後に冷却すると、グリースから油分が分離する現象が生じ、試料の気孔に含浸させる際にも同様の現象が生じて潤滑能力が変化したためと考えられる。
【0045】
なお、グリースを含浸した試料では試料からのグリースの流出はやや少なかったが、高粘度ギヤ油(e)を含浸させた試料では、試験中に油が軸受端面に伝って流出しており、潤滑油のロスになって耐久性に影響しているとともに、軸受の周辺を汚染することが予想される。また、ワックスとギヤ油の混合潤滑組成物(b)およびそれに固体潤滑剤を含むもの(aおよびc)を含浸させた試料では、軸受内周の面取部と軸との間に浸出が認められたが、流出はしていなかった。
【0046】
次に、試料2(高速度工具鋼SKH2相当組成の硬質相分散合金)の焼結体端面と外周面を塑性流動させて目漬しした後、熱処理を施し、軸受所定寸法に切削加工するとともに内周面に摺動方向に沿う5本の溝を形成した。この焼結軸受に潤滑組成物c(ワックス+ギヤ油+二硫化モリブデン)を前記と同様にして含浸した。この試料を試験機のハウジングに圧入し、前記と同様に耐久試験を行ったところ、摺動距離は1900mであった。このように耐久性が格段に優れているのは、潤滑組成物が内周の溝に充填されている分だけ多いことと、溝から潤滑組成物が摺動面に供給され易いこと、端面と外周面が液密に閉鎖されているので、潤滑組成物が熱膨張により摺動面に供給され易いことによるものと考えられる。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したようにこの発明の軸受においては、マルテンサイトを含む硬い鉄炭素系合金基地に軟質な銅や銅合金相が分散しているので、軸受の本体である焼結合金が高い面圧に耐える強度と相手部材との馴染み性とを兼ね備えている。また、焼結合金の気孔に、油分およびワックスに極圧添加物や固体潤滑剤を含む潤滑組成物が充填されているので、摺動面が金属接触せずに潤滑され、高い面圧でも良好な潤滑作用を示す。また、潤滑組成物が常温で固態状または半固態状であるから、軸受の外に流れ出るようなことがなく、軸受の周囲を汚染しないことは言うまでもなく、潤滑効果を長時間持続することができ、軸受の性能を長期にわたって維持することができる。
Claims (11)
- 鉄炭素合金基地がマルテンサイトであり、該マルテンサイト中に、銅粒子および銅合金粒子の少なくとも一方が分散している鉄基焼結合金の気孔内に、常温で半固態状または固態状で滴点60℃以上の潤滑組成物を充填し、この潤滑組成物は、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスの少なくとも一方に、ギヤ油、作動油、タービン油の少なくとも1種を30〜80%添加混合した潤滑組成物に0.5〜1.5重量%の極圧添加剤と、1.5〜2.5重量%の固体潤滑剤粒子の少なくとも一方を添加したものであることを特徴とする滑り軸受。
- 前記鉄炭素合金基地中に、トルースタイト、ベイナイトおよびソルバイトの少なくとも1種がさらに分散していることを特徴とする請求項1に記載の滑り軸受。
- Cuの含有量が7〜30重量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の滑り軸受。
- Cの含有量が0.3〜1.5重量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の滑り軸受。
- 前記鉄炭素合金基地中に黒鉛、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、窒化硼素、窒化けい素、弗化黒鉛、エンスタタイトの1種または2種以上の粒子を3重量%以下含有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の滑り軸受。
- 軸との摺動面に複数の溝を備えており、その溝に、油に固体潤滑剤粒子を分散させたペーストまたは前記潤滑組成物を充填したことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の滑り軸受。
- 前記鉄炭素合金の摺動面以外の外面の気孔を目潰ししたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の滑り軸受。
- 支持する軸が揺動するか滑り軸受が回転する状態で使用することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の滑り軸受の使用方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の滑り軸受の使用方法であって、軸との摺動面に作用する面圧が30MPa以上の条件で使用することを特徴とする滑り軸受の使用方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の滑り軸受の使用方法であって、温度60℃未満の常温で使用することを特徴とする滑り軸受の使用方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の滑り軸受の使用方法であって、支持する軸が揺動するか滑り軸受が回転する条件と、使用する軸との摺動面に作用する面圧が30MPa以上の条件と、温度60℃未満の常温で使用する条件のうちの2つまたは3つの条件で使用することを特徴とする滑り軸受の使用方法。
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