JP3622255B2 - Pwm制御電圧形インバータ - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、誘導電動機を高効率で運転制御するPWM(パルス幅変調)制御電圧形インバータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、PWM制御電圧形インバータとしては、図6(a)に示すように、直列接続された直流電源10,11に接続されるインバータ部1と、上記インバータ部1にパルス幅変調された制御信号を出力するPWM制御部20とを備え、上記PWM制御部20の制御方式が正弦波−三角波比較方式のものがある。上記インバータ部1の交流電圧出力端子に誘導電動機の3相Y結線された電機子コイル3a,3b,3cを接続している。また、上記インバータ部1は、直流電源10の正極側にコレクタが接続されたトランジスタQ1と、トランジスタQ1のエミッタにコレクタが接続されると共に、直流電源11の負極側にエミッタが接続されたトランジスタQ2とを夫々有する3組のトランジスタモジュールTu,Tv,Twを備えている。そして、上記トランジスタモジュールTu,Tv,Twの各トランジスタQ1,Q2のベースにPWM制御部20からの制御信号を夫々入力すると共に、上記トランジスタQ1とトランジスタQ2との各接続点にu相,v相,w相の電機子コイル3a,3b,3cを夫々接続している。
【0003】
上記PWM制御部20は、図7に示すように、周波数指令信号と振幅指令信号とを受けて、3相の正弦波信号を出力する正弦波発振器21と、キャリア周波数f(=1/T)の三角波信号を発生する三角波発振器22と、上記正弦波発振器21からの3相の正弦波信号と三角波発振器22からの三角波信号とを受けて、3相の正弦波信号と三角波信号とを夫々比較演算する比較演算器24と、上記比較演算器24からの比較結果を表わす3つの信号を受けて、制御信号を出力する制御信号発生器25とを備えている。このPWM制御電圧形インバータのPWM制御部20は、正弦波信号と三角波信号とを比較して、制御信号のパルス幅を制御する。
【0004】
すなわち、図8に示すように、
u相正弦波信号 : α・cos(Φ)
v相正弦波信号 : α・cos(Φ−2π/3)
w相正弦波信号 : α・cos(Φ+2π/3)
(ただし、αは変調率、Φは位相角)
で夫々表されたu相,v相,w相正弦波信号は、図8の点線で示すキャリア周期Tの三角波信号と夫々比較され、各相の正弦波信号の三角波信号との大小に応じて、各トランジスタモジュールTu,Tv,TwのトランジスタQ1,Q2の一方をオンし、他方をオフする(図8では“1”のときトランジスタQ1がオンし、“0”のときトランジスタQ2がオンする)。また、図9は上記PWM制御電圧形インバータの変調率αを変化させたときのu相正弦波信号と三角波信号とに基づく、インバータ部1のu相出力波形(Vu−0は、u相交流出力端子とグランドGNDとの間の電圧)を示しており、図9(a)は変調率α<1のときのu相出力波形、図9(b)は変調率=1のときのu相出力波形、図9(c)は変調率α>1の過変調領域におけるu相出力波形を示している。このようにして、上記変調率αを大きくするに従って、インバータ部1の出力の基本波電圧は大きくなり、最大では6STEPの出力電圧波形となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図10は上記PWM制御電圧形インバータにおいて、基本波周波数30Hz,キャリア周波数2.5kHz,デッドタイム1μsecで、無負荷の誘導電動機を駆動したときの変調率αに対する電圧制御率Ksと歪率の関係を示している。なお、上記直列接続された直流電源10,11の直流電圧Vdc、インバータ出力電圧の基本波電圧V1とすると、電圧制御率Ksは、
Ks = 21/2V1/Vdc
で表される。例えば、上記直流電圧Vdcを282.8Vとし、6STEP時のインバータ出力電圧のuv相線間電圧をフーリエ級数展開して、上記V1を求めると約220.6Vとなる。したがって、上記6STEP時のインバータ出力電圧の電圧制御率Ksは、
となる。このように、図10に示すように、上記PWM制御電圧形インバータは、変調率αを1以上にすることで、電圧制御率のKsを最大1.103にすることができる。ところが、上記PWM制御電圧形インバータは、変調率α>1でインバータ出力電圧の波形の歪率が増大し、トルクリップルの発生による騒音,振動が発生すると共に、高調波損失の増加により効率が低下するという問題がある。
【0006】
そこで、インバータ出力電圧の波形歪を低減できるPWM制御電圧形インバータとして、瞬時空間ベクトル方式を用いてパルス幅変調された3相交流電圧出力により誘導電動機を駆動するものが提案されている。このPWM制御電圧形インバータは、図6(b)に示すように、トランジスタモジュールTu,Tv,Twの各トランジスタQ1,Q2のオンオフの状態に応じて、インバータ部1から出力される電圧パターンを表わす電圧ベクトルを8つの電圧ベクトルV0〜V7に分類し、キャリア周期T毎に、下記式(1),(2),(3)によりパルス幅τa,τb,τcを演算して、表1に示すように、位相角Φのπ/3毎の区間の電圧パターンを表わす電圧ベクトルのパルス幅をτa,τb,τcとして、各トランジスタモジュールTu,Tv,Twをオンオフする。
【0007】
τa=T・Ks・sin(π/3−Φ0) ・・・(1)
τb=T・Ks・sin(Φ0) ・・・(2)
τc=T・{1−Ks・sin(π/3+Φ0)} ・・・(3)
Ks : 電圧制御率
Φ0 : 位相角
【表1】
なお、表1において、パルス幅τnは電圧ベクトルVnのパルス幅、位相角Φは複素平面上の虚軸を位相角Φ=0とし、π/3毎に区間を6分割する。そして、上記各区間の始まりを位相角Φ0=0とする。こうして、上記PWM制御電圧形インバータは、各区間の電圧ベクトルの軌跡が略円形となるようにインバータ部1から電圧パターンを出力するので、インバータ出力電圧の波形歪を低減する。
【0008】
しかしながら、上記瞬時空間ベクトル方式のPWM制御電圧形インバータでは、電圧制御率Ksを最大で1までしかできず、基底周波数以上の運転周波数ではインバータ出力電圧が最大電圧(6SEP時のインバータ出力電圧の電圧制御率Ksが1.103のとき)の略0.9(=1/1.103)しか出力できないので、効率が悪いという欠点がある。
【0009】
そこで、この発明の目的は、コストを上昇させることなく、インバータ出力電圧の波形歪を低減しつつ、高効率に運転でき、かつ運転範囲を拡大できるPWM制御電圧形インバータを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1のPWM制御電圧形インバータは、3相交流電圧出力端子が誘導電動機に接続されるインバータ部と、所定のキャリア周期T毎に、上記インバータ部から出力すべき電圧パターンを表わす3つの電圧ベクトルの各パルス幅τa,τb,τcを下記式(1),(2),(3)によって夫々演算するパルス幅演算手段と、
τa=T・Ks・sin(π/3−Φ0) ・・・(1)
τb=T・Ks・sin(Φ0) ・・・(2)
τc=T{1−Ks・sin(π/3+Φ0)} ・・・(3)
(ただし、Ksは電圧制御率、Φ0は位相角、τc<0のときτc=0)
上記パルス幅演算手段により演算された上記パルス幅τa,τb,τcの和がキャリア周期Tを越えるか否かを判別する第1ステップと、上記第1ステップでパルス幅τa,τb,τcの和がキャリア周期Tを越えると判別すると、パルス幅τa,τbの和がキャリア周期Tを越えるか否かを判別する第2ステップと、上記第2ステップでパルス幅τa,τbの和がキャリア周期T以下と判別すると、パルス幅τcを下記式(4)により算出する第3ステップと、
τc=T−τa−τb ・・・(4)
上記第2ステップでパルス幅τa,τbの和がキャリア周期Tを越えると判別すると、パルス幅τbがパルス幅τaを越えるか否かを判別する第4ステップと、上記第4ステップでパルス幅τbがパルス幅τaを越えると判別すると、パルス幅τa,τcを下記式(5),(6)により算出する第5ステップと、
τa=T−τb ・・・(5)
τc=0 ・・・(6)
上記第4ステップでパルス幅τbがパルス幅τa以下と判別すると、パルス幅τb,τcを下記式(7),(8)により算出する第6ステップとによって、
τb=T−τa ・・・(7)
τc=0 ・・・(8)
上記パルス幅τa,τb,τcを補正するパルス幅補正手段と、上記パルス幅補正手段により補正された上記パルス幅τa,τb,τcの上記3つの電圧ベクトルで表される上記電圧パターンを上記インバータ部から出力するように、上記インバータ部にパルス幅変調された制御信号を出力する制御手段とを備えたことを特徴としている。
【0012】
【作用】
【0013】
【0014】
上記請求項1のPWM制御電圧形インバータによれば、所定のキャリア周期T毎に、パルス幅演算手段は、インバータ部から出力すべき電圧パターンを表わす3つの電圧ベクトルのパルス幅τa,τb,τcを上記式(1),(2),(3)によって夫々演算する。そして、上記パルス幅補正手段によって、パルス幅τa,τb,τcを補正する。すなわち、上記パルス幅補正手段は、第1ステップでパルス幅演算手段により演算されたパルス幅τa,τb,τcの和がキャリア周期Tを越えるか否かを判別し、上記第1ステップでパルス幅τa,τb,τcの和がキャリア周期Tを越えると判別すると、第2ステップでパルス幅τa,τbの和がキャリア周期Tを越えるか否かを判別する。次に、上記第2ステップでパルス幅τa,τbの和がキャリア周期T以下と判別すると、第3ステップでパルス幅τcを、
τc=T−τa−τb
とする。さらに、上記第2ステップでパルス幅τa,τbの和がキャリア周期Tを越えると判別すると、第4ステップでパルス幅τbがパルス幅τaを越えるか否かを判別して、上記第4ステップでパルス幅τbがパルス幅τaを越えると判別すると、第5ステップに進み、パルス幅τaを、
τa=T−τb
とし、パルス幅τcを0とする。一方、上記第4ステップでパルス幅τbがパルス幅τa以下と判別すると、第6ステップに進み、パルス幅τbを、
τb=T−τa
とし、パルス幅τcを0とする。そして、上記パルス幅補正手段により補正された上記パルス幅τa,τb,τcの上記3つの電圧ベクトルが表わす電圧パターンをインバータ部から出力するように、上記制御手段は、インバータ部にパルス幅変調された制御信号を出力する。こうして、上記インバータ部の電圧パターンを表わす3つの電圧ベクトルの軌跡が略円形となるので、インバータ出力電圧の波形歪を低減する。また、上記パルス幅補正手段によりパルス幅τa,τb,τcを補正して、パルス幅τa,τb,τcの和がキャリア周期T以上、すなわち電圧制御率Ksが1以上の過変調領域でも、低ひずみの3相交流電圧をインバータ部より出力して、電圧制御率Ksが1のときよりもインバータ出力電圧を大きくできる。
【0015】
したがって、コストを上昇させることなく、インバータ出力電圧の波形歪を低減しながら、基底周波数よりも高い周波数の運転域では、インバータ出力電圧を大きくして、出力電流を小さくできるので、誘導電動機を高効率に運転できる。また、上記インバータ出力電圧を大きくして、トルクを大きくできるから、誘導電動機の運転範囲を拡大できる。
【0016】
【実施例】
以下、この発明のPWM制御電圧形インバータを一実施例により詳細に説明する。
【0017】
図1はこの発明の一実施例のPWM制御電圧形インバータの概略構成図を示し、1は直列に接続された直流電源10,11に接続されるインバータ部、2は上記インバータ部1にパルス幅変調された制御信号を出力するPWM制御部である。上記インバータ部1の3相交流電圧出力端子に誘導電動機(図示せず)の3相Y結線された電機子コイル3a,3b,3cを接続している。なお、上記直流電源10,11の直流電圧は夫々Vdc/2であり、直流電源10,11の接続点をグランドGNDに接続している。
【0018】
また、上記インバータ部1は、直流電源10の正極側にコレクタが接続されたトランジスタQ1と、トランジスタQ1のエミッタにコレクタが接続され、直流電源11の負極側端子にエミッタが接続されたトランジスタQ2とを夫々有する3組のトランジスタモジュールTu,Tv,Twを備えている。そして、上記トランジスタモジュールTu,Tv,TwのトランジスタQ1,Q2のベースにPWM制御部2からの制御信号を夫々入力すると共に、トランジスタQ1とトランジスタQ2との各接続点にU,V,W相の電機子コイル3a,3b,3cを夫々接続している。なお、上記トランジスタモジュールTu,Tv,Twの各トランジスタQ1,Q2のコレクタとエミッタとの間にダイオードを夫々逆並列接続している。
【0019】
また、上記PWM制御部2は、入出力回路とマイクロコンピュータ等からなり、インバータ出力電圧の電圧パターンを表わす電圧ベクトルV0〜V7のパルス幅τ0〜τ7を演算するパルス幅演算手段としてのパルス幅演算部2aと、上記パルス幅演算部2aで演算されたパルス幅τ0〜τ7を補正するパルス幅補正手段としてのパルス幅補正部2bと、上記パルス幅補正部2bで補正されたパルス幅τ0〜τ7に基づいて、電圧ベクトルV0〜V7で表わされる電圧パターンを出力するように、インバータ部1にパルス幅変調された制御信号を出力する制御手段としてのPWM部2cとを備えている。
【0020】
図2は上記PWM制御部2のキャリア周期T毎の割り込み処理を示すフローチャートである。
【0021】
以下、図2のフローチャートに従って、上記PWM制御部2の割り込み処理を説明する。なお、図2では、インバータ出力電圧の電圧パターンを表わす電圧ベクトルの複素平面上の虚軸を位相角Φ=0とし、位相角Φが0〜π/3の区間における電圧ベクトルV4,V6,V0のパルス幅τ4,τ6,τ0に対応するパルス幅τa,τb,τcを夫々求めている。また、位相角Φが0〜π/3の区間以外の区間については、表1に示すように、位相角π/3毎の区間における電圧ベクトルのパルス幅を演算する。例えば、次の位相角π/3〜2π/3の区間では、電圧パターンは電圧ベクトルV6,V2,V7で表され、演算されたパルス幅τa,τb,τcを電圧ベクトルV6,V2,V7夫々のパルス幅τ6,τ2,τ7とするのである。
【0022】
まず、ステップS1でパルス幅演算部2aは下記式(1),(2),(3)によりパルス幅τa,τb,τcを演算する。
【0023】
τa=T・Ks・sin(π/3−Φ0) ・・・(1)
τb=T・Ks・sin(Φ0) ・・・(2)
τc=T{1−Ks・sin(π/3+Φ0)} ・・・(3)
Ks : 電圧制御率
Φ0 : 位相角
T : キャリア周期
ただし、パルス幅τc<0の場合、τc=0とする。なお、電圧制御率Ksは、
Ks=21/2V1/Vdc
V1 : インバータ出力電圧の基本波出力電圧
Vdc : 直流電圧
で表される。
【0024】
次に、ステップS2に進み、ステップS1で演算されたパルス幅τa,τb,τcの和がキャリア周期Tを越えているか否かを判別して、パルス幅τa,τb,τcの和がキャリア周期Tを越えていると判別すると、ステップS3に進む一方、パルス幅τa,τb,τcの和がキャリア周期Tを越えていないと判別すると、ステップS8に進む。
【0025】
次に、ステップS3でパルス幅τa,τbの和がキャリア周期Tを越えているか否かを判別して、パルス幅τa,τbの和がキャリア周期Tを越えていると判別すると、ステップS4に進む。一方、ステップS3でパルス幅τa,τbの和がキャリア周期Tを越えていないと判別すると、ステップS5に進み、
τc=T−τa−τb
を演算して、ステップS8に進む。
【0026】
一方、ステップS4に進むと、パルス幅τbがパルス幅τaを越えているか否かを判別して、パルス幅τbがパルス幅τaを越えていると判別すると、ステップS6に進み、
τa=T−τb
τc=0
を演算して、ステップS8に進む。一方、ステップS4でパルス幅τbがパルス幅τaを越えていないと判別すると、ステップS7に進み、
τb=T−τa
τc=0
を演算して、ステップS8に進む。
【0027】
次に、ステップS8で、補正されたパルス幅τa,τb,τcの電圧ベクトルを出力する。すなわち、表1に示す位相角Φの各区間における3つの電圧ベクトルの各パルス幅をτa,τb,τcとし、それら3つの電圧ベクトルを出力するように、PWM部2cは、PWM制御された制御信号をインバータ部1に出力するのである。
【0028】
図3は上記位相角Φが0〜π/3の期間において、電圧ベクトルV4,V6,V0を夫々2分割した電圧ベクトルV4’,V6’,V0’の出力順序を示し、V0’,V4’,V6’,V6’,V4’,V0’の順に出力される。なお、このときの電圧ベクトルV4’,V6’,V0’のパルス幅は、夫々、
τ4’=τ4/2
τ6’=τ6/2
τ0’=τ0/2
である。また、図3では、電圧制御率Ks>1の場合を示しており、電圧ベクトルV0’の丸印はパルス幅が0の場合を示している。さらに、上記電圧ベクトルV4,V6,V0を2分割せずに、V0,V4,V6の順に出力してもよい。
【0029】
図4は、この発明を適用した瞬時空間ベクトル方式のPWM制御電圧形インバータと、従来の正弦波−三角波比較方式のPWM制御電圧形インバータとを比較するために、変調率に対する電圧制御率と歪率の特性を実験により調べた結果を示す。なお、図4に示す歪率は、インバータ出力電圧の基本波電圧の2乗と1次から20次までの高調波電圧の2乗の和との比の平方根である。
【0030】
図4において、瞬時空間ベクトル方式のPWM制御電圧形インバータでは、電圧制御率Ks=1において変調率αが1.154(≒2/1.732)となる。また、瞬時空間ベクトル方式のPWM制御電圧形インバータは、正弦波−三角波比較方式のPWM制御電圧形インバータに比べて、変調率αが約1.25以下では歪率が小さくなると共に、変調率αが約1.25では電圧制御率Ksが1.12倍(≒1.046/0.931)と大きくなる。
【0031】
このように、上記パルス幅演算部2aで演算されたパルス幅τa,τb,τcをパルス幅補正部2bにより補正することによって、電圧制御率Ksが1以上の過変調領域でも、低ひずみの3相交流電圧をインバータ部1より出力することができる。また、上記電圧制御率Ksが1のときよりも、インバータ出力電圧の最大電圧を大きくすることができる。したがって、コストを上昇させることなく、ソフトウェアの変更のみによって、インバータ出力電圧の波形歪を低減しながら、基底周波数以上の高速運転域では、インバータ出力電圧の最大電圧を大きくするので、誘導電動機を高効率に運転することができる。また、上記インバータ出力電圧を大きくして、トルクアップした分、誘導電動機の運転範囲を拡大することができる。
【0032】
上記実施例では、パルス幅演算手段としてのパルス幅演算部2aでパルス幅τcを上記式(3)により演算したが、電圧制御率Ksが1以下のとき、すなわちτa,τb,τcの和がキャリア周期T以下のとき、パルス幅τcを、
τc=T−τa−τb
により演算してもよい。この場合、上記パルス幅演算手段によるτcの演算を減算だけにするので、パルス幅τcの演算時間を短縮することができる。
【0033】
また、上記実施例では、位相角Φが0〜π/3の区間において、図3に示すように、電圧ベクトルV4,V6,V0を2分割した電圧ベクトルV4’,V6’,V0’を組み合わせて出力したが、電圧ベクトルの分割数はこれに限らず、電圧ベクトルを複数に分割して出力してもよい。また、電圧ベクトルを分割せずに、図5(a)〜(d)のうちいずれか一つの順序で出力してもよい。さらに、上記位相角Φが0〜π/3以外の区間においても、同様にして、電圧ベクトルの順序を変えて出力してもよいのは勿論である。
【0034】
【発明の効果】
【0035】
【0036】
以上より明らかなように、請求項1の発明のPWM制御電圧形インバータは、所定のキャリア周期T毎に、パルス幅演算手段によりインバータ部から出力すべき電圧パターンを表わす3つの電圧ベクトルのパルス幅τa,τb,τcを夫々演算すると共に、パルス幅補正手段は、電圧制御率が1以上であってパルス幅演算手段により演算されたパルス幅τa,τb,τcがキャリア周期Tを越える場合でも、電圧ベクトルを出力できるように補正して、制御手段は、パルス幅補正手段により補正されたパルス幅τa,τb,τcの上記3つの電圧ベクトルで表わされる電圧パターンをインバータ部から出力するように、インバータ部にパルス幅変調された制御信号を出力するものである。
【0037】
したがって、請求項1の発明のPWM制御電圧形インバータによれば、パルス幅補正手段によりパルス幅τa,τb,τcを補正することによって、電圧制御率Ksが1以上の過変調領域でも、波形歪の小さい3相交流電圧をインバータ部より出力でき、基底周波数以上の高速運転域でインバータ出力電圧を大きくできる。したがって、コストを上昇させることなく、インバータ出力電圧の波形歪を低減しながら、高速運転域で誘導電動機を高効率に運転でき、かつ運転範囲を拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はこの発明の一実施例のPWM制御電圧形インバータの概略構成図である。
【図2】図2は上記PWM制御電圧形インバータの制御部の割り込み処理を示すフローチャートである。
【図3】図3は上記PWM制御電圧形インバータの位相角Φが0〜π/3の区間における電圧ベクトルの出力順序を示す図である。
【図4】図4は上記PWM制御電圧形インバータの変調率に対する電圧制御率と歪率とを表わす図である。
【図5】図5は上記PWM制御電圧形インバータの電圧ベクトルの出力順序の基本パターンを表わす図である。
【図6】図6(a)は従来のPWM制御電圧形インバータの概略構成図であり、図6(b)はPWM制御電圧形インバータ部のトランジスタのオンオフ状態に対応するインバータ出力電圧の電圧パターンを表わす電圧ベクトルを示す図である。
【図7】図7は従来の正弦波-三角波比較法を用いたPWM制御電圧形インバータの制御部の概略構成図である。
【図8】図8は上記PWM制御電圧形インバータの各部の信号を示す図である。
【図9】図9は上記PWM制御電圧形インバータの変調率に応じたインバータ出力電圧の波形を示す図である。
【図10】図10は上記PWM制御電圧形インバータの変調率に対する電圧制御率と歪率とを表わす図である。
【符号の説明】
1…インバータ部、2…PWM制御部、2a…パルス幅演算部、
2b…パルス幅補正部、2c…PWM部、3a,3b,3c…電機子コイル、
10,11…直流電源。
Claims (1)
- 3相交流電圧出力端子が誘導電動機に接続されるインバータ部(1)と、
所定のキャリア周期T毎に、上記インバータ部(1)から出力すべき電圧パターンを表わす3つの電圧ベクトルの各パルス幅τa,τb,τcを下記式(1),(2),(3)によって夫々演算するパルス幅演算手段(2a)と、
τa=T・Ks・sin(π/3−Φ0) ・・・(1)
τb=T・Ks・sin(Φ0) ・・・(2)
τc=T{1−Ks・sin(π/3+Φ0)} ・・・(3)
(ただし、Ksは電圧制御率、Φ0は位相角、τc<0のときτc=0)
上記パルス幅演算手段(2a)により演算された上記パルス幅τa,τb,τcの和がキャリア周期Tを越えるか否かを判別する第1ステップ(S2)と、上記第1ステップ(S2)でパルス幅τa,τb,τcの和がキャリア周期Tを越えると判別すると、パルス幅τa,τbの和がキャリア周期Tを越えるか否かを判別する第2ステップ(S3)と、上記第2ステップ(S3)でパルス幅τa,τbの和がキャリア周期T以下と判別すると、パルス幅τcを下記式(4)により算出する第3ステップ(S5)と、
τc=T−τa−τb ・・・(4)
上記第2ステップ(S3)でパルス幅τa,τbの和がキャリア周期Tを越えると判別すると、パルス幅τbがパルス幅τaを越えるか否かを判別する第4ステップ(S4)と、上記第4ステップ(S4)でパルス幅τbがパルス幅τaを越えると判別すると、パルス幅τa,τcを下記式(5),(6)により算出する第5ステップ(S6)と、
τa=T−τb ・・・(5)
τc=0 ・・・(6)
上記第4ステップ(S4)でパルス幅τbがパルス幅τa以下と判別すると、パルス幅τb,τcを下記式(7),(8)により算出する第6ステップ(S7)とによって、
τb=T−τa ・・・(7)
τc=0 ・・・(8)
上記パルス幅τa,τb,τcを補正するパルス幅補正手段(2b)と、
上記パルス幅補正手段(2c)により補正された上記パルス幅τa,τb,τcの上記3つの電圧ベクトルで表される上記電圧パターンを上記インバータ部(1)から出力するように、上記インバータ部(1)にパルス幅変調された制御信号を出力する制御手段(2c)とを備えたことを特徴とするPWM制御電圧形インバータ。
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