JP3621654B2 - ピクノメータ及び該ピクノメータによる燃料核密度測定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば高温ガス炉用の燃料核などの密度を水銀ピクノメータ法により測定するのに用いるためのピクノメータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高温ガス炉は、冷却材であるヘリウムガスを約700℃から950℃に加熱して発電または化学プラント等で熱利用することを目的とした原子炉であり、燃料が高温に曝されるため、炭素、セラミックス等でウラン化合物を被覆した被覆燃料粒子を用いている。
【0003】
一般的な水炉やナトリウム冷却炉は、ウラン、プルトニウム等の化合物をペレット状にしてジルコニウムやステンレス等の被覆管に充填しており、この被覆管が核分裂生成物の保持機能を有している。反面、被覆燃料粒子の核分裂生成物保持機能は被覆層が有している。
【0004】
この被覆燃料粒子が内包するウラン等の原子燃料物質化合物、所謂燃料核は、成型焼結後で直径0.1cm未満の球状であり、燃料核がウラン酸化物の場合においては理論密度は10.96g/cm3 になる。
【0005】
従来から、この燃料核の密度測定は、水銀密度計というガラス製の真空装置が使用されており、この密度測定法は水銀ピクノメータ法と呼ばれている。この水銀ピクノメータ法では、図3に示すようなガラス製の透明なピクノメータが用いられている。
【0006】
このピクノメータ11は、上部に蓋14で覆われる試料燃料核Sを入れるための格納部13を備え、その下部に水銀密度計(不図示)内で水銀を吸い上げる毛細管12を有するものである。格納部13と蓋14には、互いの重なり領域にガラス摺り合わせ部15が形成されており、この摺り合わせ部15にグリースを塗って重なり合わせることによって密着できるものである。
【0007】
さらに、格納部13と蓋14にはそれぞれ左右側面に二つずつ下側角(つの)16および上側角17が突設されており、上下の角(16,17)間にバネ18を掛止することによって密着度を増す構成としている。また、蓋14の上部には、上面が平坦なヘソ部19が設けられており、ピクノメータ11を取り扱う際の把持部となると共に、重量測定時の台として機能する。
【0008】
まず燃料核の密度(形状密度)を求めるには、その重量と体積を測定する必要がある。試料燃料核の重量はサンプリング重量W1として天秤によって測定できる。一方、燃料核の表面には開気孔が存在するため表面張力の大きい水銀を用いた水銀置換法によって燃料核体積を測定する。
【0009】
即ち、ピクノメータ11の格納部13内に試料燃料核Sを入れ、水銀密度計内にセットして系全体を真空引き後、真空引き口を閉じて系内の水銀液面にリーク穴から空気を導入すると、大気圧との圧力差により下部の水銀はピクノメータ11の毛細管12を通って格納部13内に流入する。これによって格納部13内の試料燃料核S以外の間隙空間が水銀で満たされる。
【0010】
この状態でのピクノメータ11を水銀密度計から取り出してその重量W3(試料燃料核重量W1+ピクノメータ重量+試料燃料核以外の間隙空間を満たす水銀重量)を測定する。一方、格納部13内に試料を入れない場合についても同様に格納部13内が水銀で満たされたピクノメータ11の重量W2(試料燃料核の体積相当分の空間を満たす水銀重量+ピクノメータ重量+試料燃料核相当分以外の空間を満たす水銀重量)の測定を行う。
【0011】
これら両者の重量の関係から試料燃料核Sの体積相当分の水銀の重量Whが求められるので、温度で変化する水銀密度に基づいて試料燃料核Sの体積値Aが得られる。具体的には、試料燃料核Sの体積相当分の水銀重量Whは、重量W2−(重量W3−重量W1)で求められるが、測定中に記録した水銀温度に対応する水銀密度σを用いれば、水銀重量Whは試料燃料核体積A×σで置き換えられるので、各重量値(W1,W2,W3)を元に以下の計算式(1),(2)でそれぞれ燃料核体積Aと密度とが求められる。
【0012】
W2−Aσ=W3−W1から(W2−W3+W1)/σ=A ・・・ 式(1)
W1/A =燃料核密度(g/cm3 ) ・・・ 式(2)
【発明が解決しようとする課題】
以上の計算式から、測定精度を向上させるためには、空の格納部13内に水銀を流入させたピクノメータ11の重量(W2)と、試料燃料核を収納した格納部13内に水銀を流入させた同一ピクノメータ11の重量(W3)が燃料核密度を求める上でポイントとなる。
【0013】
この2つの重量値を高精度に求めるには、同じ条件下で水銀をピクノメータ内に流入させることが重要であり、これを達成するためには、1.ピクノメータ内真空度の均一化、2.ピクノメータ内外の適正温度管理、3.ピクノメータ内への水銀の流入速度の一定化、4.ピクノメータの蓋取り付けの均一化、という4つの要件を満たす必要がある。
【0014】
これらのうち、第1〜3の要件であるピクノメータの真空度の均一化、適正温度管理、水銀流入速度の一定化については、作業管理などにより達成することは可能であった。しかしながら、第4の要件である蓋取り付けの均一化は困難であって、ピクノメータ内の容積のばらつきが精度向上の障害となっていた。
【0015】
これは、従来のピクノメータの蓋14装着方法においては格納部13と蓋14との摺り合わせ部15にグリースを塗ることによって互いに密着させ、更にバネ18を用いて密着度を増す構造であり、蓋14を密着させるだけで固定できないことに起因する。
【0016】
ピクノメータ11の蓋14の固定が不安定であると、高密度の水銀が流入する際に摺り合わせ部15の密着度が減少し、実際の格納部13の容積より水銀が多く充填して同一ピクノメータであっても水銀流入量が一定しないことと、重量測定前に格納部内に水銀が充満したピクノメータを蓋上部のヘソ部19を把持して水銀密時計から取り出す時に高密度の水銀重量により摺り合わせ部15の密着度が減少して毛細管12の下部入り口から水銀が漏れるためである。
【0017】
そこで、バネ18の強度を増すことも考えられたが、ガラス製のピクノメータでは、強力なバネが掛けられると角(16,17)が壊れてしまうという問題が発生するだけでなく、作業性の悪さなどから、バネによる方法では十分な固定はできないことが明らかとなった。
【0018】
以上のように、従来のピクノメータの構造では水銀密度法による燃料核密度の測定精度を向上させることが困難であるが、例えば国内の高温工学試験研究炉では被覆燃料粒子数が1炉心分で約9億個という莫大な数を有しており、微少な燃料核密度誤差であっても炉心内の総ウラン化合物量において無視できない量となる恐れがあるなど、今後水銀ピクノメータ法での燃料核密度の測定精度の向上は、燃料の核的・熱的性能を保証する上で非常に重要である。
【0019】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、格納部への蓋の装着が安定に固定でき、水銀流入量を再現性のあるものとして従来より高精度な燃料核密度の測定が可能な密度測定用水銀ピクノメータを提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明に係るピクノメータは、試料を収容するための格納部と、該格納部内へ水銀を導入するために格納部底部から内部へ一端部が貫通状態で一体的に設けられた毛細管と、前記格納部の開口を覆って開口縁と摺り合わせ状態で重なることによって格納部を密封する蓋と、を備えた密度測定水銀ピクノメータ法用のピクノメータにおいて、前記蓋の装着により密封状態にある格納部全体をそれぞれ対向する方向から前記毛細管を外側へ突出させた状態で包み込んで互いに解除可能に嵌合締結することによって前記格納部への蓋の装着状態を固定する2部材を有する固定治具を備えたものである。
【0021】
また、請求項2に記載の発明に係るピクノメータは、請求項1に記載のピクノメータにおいて、前記固定治具の2部材は、前記嵌合締結のためにそれぞれ互いに螺合するねじ加工部を備えているものである。
【0022】
さらに、請求項3に記載の発明にかかるピクノメータは、請求項1または2に記載のピクノメータにおいて、前記格納部の開口縁と前記蓋との摺り合わせ状態で重なる領域は、格納部底部側から蓋天井側へ向けて80度の傾斜角度で縮径していることを特徴とするものである。
【0023】
また、請求項4に記載の発明に係る燃料核密度測定方法は、内部に試料燃料核を収容して蓋を装着して密封した格納部全体を、固定治具の2部材によりそれぞれ対向する方向から毛細管を外側に突出させた状態で包み込んで互いに解除可能に嵌合締結することによって前記格納部への蓋の装着状態を固定した後、水銀密度計内で水銀置換法によって測定したピクノメータ重量値と試料燃料核の重量値とに基づいて前記試料燃料核の体積を求める工程を含む請求項1に記載のピクノメータを用いた燃料核密度測定方法であって、前記格納部に収容すべき試料燃料核の量を、格納部内容積の約10%以上相当分とするものである。
【0024】
請求項1に記載の本発明によるピクノメータにおいては、蓋を装着して密封されたピクノメータの格納部全体をそれぞれ対向する方向から包み込で互いに嵌合締結させる2部材からなる固定治具を備えたものであるため、この固定治具によって本ピクノメータは蓋による格納部の密閉状態が外側から固定され、この固定状態を水銀ピクノメータ法による測定操作の間中維持することができる。
【0025】
従って、蓋と格納部との摺り合わせ部の密着度は一定に保たれるので、高密度の水銀が流入する際に摺り合わせ部の密着度が減少して実際より水銀が多く充填してしまったり、重量測定のために格納部内に水銀が充満したピクノメータを蓋上部のヘソ部を把持して水銀密時計から取り出す時に高密度の水銀重量で摺り合わせ部の密着度が減少して毛細管の下部入り口から水銀が漏れるという問題も解されるため、水銀の格納部内への流入充填量は、同一条件化では常に一定で再現性の高いものとなるため、水銀置換法によるピクノメータの測定重量に基づく試料の密度測定、例えば高温ガス炉用燃料核の密度測定などが高い精度で行える。
【0026】
また、本発明の固定治具は、ピクノメータ本体とは別体のものであるため、蓋と格納部それぞれに一体に形成された角同士間に強いにバネを引っ掛けて固定しようとしていた従来のピクノメータのように直接ピクノメータの構成部材に負荷が係ることがないため、ピクノメータのが破損する恐れなく、取り扱いも容易でありながら、安定に且つ確実に蓋と格納部とを固定することができ、測定精度や作業能率の向上が図れる。
【0027】
なお、固定治具としては、2部材が蓋装着状態の格納部全体を包んで互いに解除可能に締結固定できる構成を備えたものであれば様々な手段が採用可能であるが、締結固定が強いと共に、解除が容易であるものが望ましい。
【0028】
例えば、請求項2に記載したように、2部材にそれぞれ互いに螺合するねじ加工部を備えた構成が簡便なものとして挙げられる。この締結固定手段においては、2部材間に格納部全体を包み込みながら2部材を螺合させながら締結を進行することによって、ちょうどねじ蓋容器内に格納部が収納される状態とすると共に、蓋と格納部とを互いに密着方向に両側から押圧する。この堅い締結状態において格納部と蓋との離反方向への移動をほぼ完全に規制することができる。
【0029】
このようなねじの螺合による締結固定状態では、螺合と逆方向の2部材の回転運動のみでしか解除できないため、2部材の互いに離反する直線的な方向への荷重で解除方向の運動が発生することはなく、格納部内に高密度の水銀が充満した状態のピクノメータを蓋上部のヘソ部を把持して持ち上げても締結に弛みは生じないで安定した固定状態が維持できる。
【0030】
なお、格納部の底部には、毛細管が一端部を貫通状態で一体的に設けられており、また通常は、前述のように蓋には上部に把持用のヘソ部が突設されていることから、2部材は蓋装着状態の格納部全体を包み込む際にこれら毛細管やヘソ部が外側へ突出できる構成とする。例えば、2部材それぞれの格納部底部の毛細管相当領域と蓋上部のヘソ部相当領域に各開口を予め形成しておけば良い。
【0031】
また、これら2部材は、固定状態において格納部内の水銀が目視で確認できるように透明素材で形成するのが望ましい。例えば、ガラス製でも良いが透明アクリル製とすればより軽量であると共に扱いが容易である。
【0032】
また、本発明の固定治具により格納部への蓋装着状態を強固に固定した場合、両者の摺り合わせ部分は、後に噛み込みが強くてとれなくなる可能性がある。従来のピクノメータでは、この蓋および格納部が互いに重なる摺り合わせ領域は、格納部底部側から蓋天井側へ向けて85度程度の傾斜角度で縮径しているものが一般的であったのに対して、この傾斜角度を80度と若干傾斜をきつくする設計変更によって、解除時の蓋の取り外しを容易にすることができる。
【0033】
また、請求項4に記載の本発明による燃料核密度測定方法においては、請求項1のピクノメータを用いて燃料核密度測定を行うものであるが、後述する実施例の結果から明らかなように、格納部内に収容すべき試料燃料核の量を格納部内容積の約10%以上相当分とできるだけ多くの格納部内容積を占める状態とすることによってさらに測定精度を向上できるものである。
【0034】
なお、この格納部内容積の約10%以上相当分の試料燃料核を具体的に調整する方法としては、種々の方法が考えられる。ただし、試料燃料核密度を測定する水銀ピクノメータ法とは、実質的に試料燃料核の体積を測定するものであって、得られた体積値と天秤等で測定できる試料燃料核重量から最終的に密度値を求める方法であって、試料燃料核の体積が未知であることが前提である。従って、試料燃料核の正確な体積に基づいて格納部内容積の約10%以上相当分の試料燃料核重量を決定することはできないのは言うまでもない。
【0035】
そこで、予め、格納部の内容積の10%を越える位置を格納部の底部からの深さ位置として印しておけば、試料燃料核の嵩がこの印を充分越える量で格納部内に充填できれば、この条件は満たされることとなる。また、あるいは、試料燃料核の予め分かっている組成に基づいて焼結後の燃料核の計算上の仮想密度値を用いて、試料燃料核のおおよその仮体積値を決定し、格納部内容積の10%を越える重量分の試料燃料核を余裕を持って秤取ればよい。
【0036】
また、従来から行われている水銀ピクノメータ法での計測で設定されていた試料一回分の燃料核重量を変更しないでおきたい場合は、最終的にその試料燃料核の量が格納部内容積の約10%以上相当分となるようにピクノメータ側の格納部内容積の方の設計を変更して調整してもよい。
【0037】
なお、試料燃料核量の上限としては、実質的に測定可能な上限として格納部内容積の約60%相当分とする。
【0038】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態として、本体と別体の透明アクリル製の固定治具を備えたガラス製のピクノメータを図1及び図2に示す。図1は、ピクノメータと固定治具の全体構成を示す概略構成図であり、図2は格納部の摺り合わせ領域の傾斜角度を説明する側面図である。
【0039】
本実施形態によるピクノメータ1は、上部に蓋4で覆われる試料燃料核Sを入れるための格納部3を備え、その下部に水銀密度計(不図示)内で水銀を吸い上げる毛細管2を有するものである。この毛細管2は、その一端部が格納部3の底部から内部側へ貫通状態で一体的に取り付けられたものである。
【0040】
また格納部3と蓋4には、互いの重なり領域にガラス摺り合わせ部5がついており、この摺り合わせ部5にグリースを塗って重なり合わせることによって密着できるものである。なお、この摺り合わせ部5は、格納部底部側から蓋天井側へ向けて縮径しているが、図2(b)に示すように従来型のピクノメータの摺り合わせ部15が85度の傾斜角度で縮径しているのに対して、本実施形態における摺り合わせ部5は80度の傾斜角度とした。
【0041】
このように、摺り合わせ部5の縮径傾斜角度を大きくすることによって、グリースを介して該摺り合わせ部5で格納部3と蓋4との密着度が後述の固定治具の固定でより強固になっても、測定後に摺り合わせ部5で噛んで両部材が取り外せなくなるという事態が避けられる。また、本実施形態の格納部3は、内容積を従来型の一般的なものに比べて約20%小さい4cm3 とした。
【0042】
本実施形態のピクノメータ1においても、蓋4の上方にはヘソ部9が突設されているが、その他に格納部3および蓋4には従来型のように角などの突出部は形成されていない。
【0043】
さらに、本実施形態においては、固定治具として円筒形状のねじ蓋容器状の2部材(6,7)を用いるものである。即ち、上端縁が雄ねじ加工された下側部材6に対して、下端縁が雌ねじ加工された上側部材7が、蓋状に螺合して内部に空間を形成しつつ嵌合するものである。
【0044】
これら2部材は、蓋4が装着された状態の嵌合部3全体を上下方向から包み込んで、蓋4の嵌合部3からの離反を規制する状態となるまで互いに締結されるものであるため、下側部材6には、毛細管2を外側に突出させるための開口6xが、上側部材7には、ヘソ部9を外側に突出させるための開口7yがそれぞれ形成されている。
【0045】
従って、これら2部材(6,7)による固定の際には、下側部材6は、開口6xから毛細管2を突出させながら嵌合部3を底部側から収容するように上方へ移動させ、上側部材7は、開口7yからヘソ部9を突出させながら蓋4を上方から覆うように被せ、両部材(6,7)を相対的に逆方向へ回動させて対向する雌雄ねじ加工部の螺合を進めれば、両部材(6,7)が回らなくなるまで互いに締結固定されることによって、その内部に包み込まれた嵌合部3と蓋4は上下方向から互いに密着する方向へ押圧された状態となり、蓋4の嵌合部3への装着が強固に固定されたこととなる。
【0046】
なお、2部材(6,7)の締結固定によって形成される内部空間の最小幅は、互いに装着状態にある嵌合部3および蓋4の最も大きい幅にほぼ一致させ、できるだけ2部材内部空間に余分な空隙ができない設計とすることが好ましい。
【0047】
また、2部材(6,7)の螺合は、計測中に弛み易くならないようにしっかり締め付けるようにする。例えば、ねじ加工部の螺合で両部材(6,7)が軽く回らなくなった時点から、1/4周分さらに回転させて堅い締結状態を終点に設定すれば良い。
【0048】
以上のように、本実施形態のピクノメータによれば、嵌合部3に蓋4を装着した後、2部材(6,7)でそれぞれ嵌合部全体を上下方向から包み込むように互いに回転させつつねじ加工部を螺合して締結固定するだけで、蓋4の嵌合部3への装着状態の強固な固定状態が得られる。また、この固定状態においては、ヘソ部9を把持してピクノメータ1を持ったり、高密度の水銀の流入の際に、嵌合部3と蓋4とが互いに離反する上下方向に負荷が係っても、固定治具である2部材(6,7)の締結状態は上下方向の負荷では弛み難く、計測中は常に安定した固定状態が維持される。
【0049】
【実施例】
本発明の第1の実施例として、前記実施形態で示したピクノメータ1を用いて、水銀ピクノメータ法による粒子サンプルの密度測定を行った結果を、図3に示した従来型のピクノメータ11を用いた場合を対象に、以下に説明する。
【0050】
なお、通常は実試料である燃料核では1個の粒径が0.1cm以下と非常に小さいため、密度をg/cm3 で表せるように多数個をサンプリングし、その代表値として求めるものである。例えば、サンプリング重量で約4g秤取ると、燃料画数で約4000個もの数となる。これでは、ここの燃料核密度の違いによりサンプリング試料ごとのバラツキは大きくなる。
【0051】
そこで、本実施例の比較試験においては、個々の密度バラツキの無い標準鋼球を使用し、計算値に対して、本発明のピクノメータ1および従来型のピクノメータ11による水銀ピクノメータ法での各測定値でどのようなバラツキが見られるかを検討した。
【0052】
まず、標準鋼球には、直径D=2r=0.2500cmのものを用い、一サンプリング量として鋼球数N=63個、総重量W=4.0010gで測定を行った。従って、この標準鋼球の一サンプリング量においては、計算体積V=(4πr3 /3)×N=0.5154cm3 ,計算密度p=W/V=7.7629g/cm3 となる。
【0053】
同じ一サンプリング量(4.0010g)を1試料として、本発明および従来型のピクノメータでそれぞれ6回ずつの測定を一日に2連行い、これをさらに日を変えて3日間行った。それぞれ前述水銀ピクノメータ法によって各測定重量に基づく式(1)および式(2)から求めた試料密度値の平均を標準偏差とともに表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
表1の結果から明らかなように、ピクノメータ法による測定値に基づく密度値は、従来型のピクノメータ11を用いた場合に比べて本発明のピクノメータ1を用いた場合は格段に計算密度値に近づいており、標準偏差、誤差のバラツキも小さくなっていた。これは、固定治具によって蓋の嵌合部への装着状態の固定が強固にかつ安定して維持されるため、水銀の流入量が再現性のある一定した流量となったためと思われる。
【0056】
なお、上記実施例の本発明のピクノメータ1においても、その測定に基づく密度平均値は、従来型に比べてわずかではあるものの、やはり計算値密度7.7629g/cm3 に対して−0.0085g/cm3 の誤差が生じていることから、より最適な測定条件としての試料サンプリング量を検討した結果を、本発明の第2の実施例として以下に説明する。
【0057】
実際には、各種試料サンプリング量における測定結果に基づく密度値を計算密度値に比較し、格納部内容積(4.0cm3 )に対する試料体積比がどの範囲となれば、より高精度な測定が行えるかを前記標準鋼球を用いて検討した。
【0058】
即ち、本発明のピクノメータ1を用い、標準鋼球のサンプリング重量2g,4g,6g,8g,10g,12gの各場合についてそれぞれ6回ずつ水銀ピクノメータ法で測定密度平均値を求めた。その結果を標準偏差と共に表2に示す。
【0059】
【表2】
【0060】
表2には、各サンプリング重量に対応する格納部内容積に対する試料体積比も記載しているが、それぞれの場合について求めた平均密度値と標準偏差から、計算値に対する誤差や標準偏差にバラツキが小さい範囲を決定できた。即ち、ピクノメータ1の格納部内容積4cm3 に対して試料が重量4g以上で体積0.5cm3 以上の場合において高精度な密度測定が行えることが判った。これは格納部内容積の約10%以上に相当する。しかも試料体積比率が高いほど高精度となる傾向が見られた。これは、水銀ピクノメータ法においては格納部内に流入する水銀量を極力小さくすることで測定精度の向上が図れるということである。
【0061】
従って、実際に未知の試料燃料核の密度測定を行う場合には、試料サンプリング量をピクノメータ格納部内容積の約10%以上相当分に調整することによって、本ピクノメータ1による水銀ピクノメータ法による測定は非常に精度の高いものとなる。
【0062】
この試料サンプリング量を格納部内容積の約10%以上相当分に調整する実質的な方法としてはどのようなものでも良い。実質的に嵩が格納部内の容積10%の高さ位置を余裕をもって越えるように試料燃料核が充填されていれば良い。
【0063】
以上の結果から、本発明のピクノメータによれば、従来型のピクノメータを用いた場合よりもより高い精度で試料燃料核の密度測定が行えることが判った。さらに、本ピクノメータを用いた水銀ピクノメータ法による密度測定法ににおいては、試料燃料核量を格納部内容積の約10%以上相当分とし、極力格納部内への水銀流入量を少なく調整することによって測定精度のさらなる向上が図れることが判った。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明のピクノメータによれば、ピクノメータの破損等の問題を生じることなく、固定治具により容易に格納部への蓋の装着状態が安定に且つ強固に固定でき、従来より高精度な燃料核密度の測定が可能となるという効果がある。
【0065】
また、本発明のピクノメータを用いた水銀ピクノメータ法による燃料核密度測定方法において、格納部に収容すべき試料燃料核の量を格納部内容積の約10%以上相当分とすることによって、測定精度のさらなる向上が図れるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態によるピクノメータの全体構成図を示す側面図であり、(a)は固定治具固定前状態、(b)は固定治具による固定状態を示す概略構成ずである。
【図2】図1のピクノメータの格納部の摺り合わせ部の縮径傾斜角度を示す部分側面ずであり、(a)は本ピクノメータの格納部の側面図、(b)は比較対象として示した従来型ピクノメータの格納部の側面図である。
【図3】従来型ピクノメータの一例を示す概略側面図であり、(a)はピクノメータ本体の概略構成図、(b)は測定中の状態を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1,11:ピクノメータ
2,12:毛細管
3,13:格納部
4,14:蓋
5,15:摺り合わせ部
6:下側部材
7:上側部材
6x,7y:開口
9,19:ヘソ部
16:下側角
17:上側角
18:バネ
Claims (4)
- 試料を収容するための格納部と、該格納部内へ水銀を導入するために格納部底部から内部へ一端部が貫通状態で一体的に設けられた毛細管と、前記格納部の開口を覆って開口縁と摺り合わせ状態で重なることによって格納部を密封する蓋と、を備えた密度測定水銀ピクノメータ法用のピクノメータにおいて、
前記蓋の装着により密封状態にある格納部全体をそれぞれ対向する方向から前記毛細管を外側へ突出させた状態で包み込んで互いに解除可能に嵌合締結することによって前記格納部への蓋の装着状態を固定する2部材を有する固定治具を備えたことを特徴とするピクノメータ。 - 前記固定治具の2部材は、前記嵌合締結のためにそれぞれ互いに螺合するねじ加工部を備えていることを特徴とする請求項1に記載のピクノメータ。
- 前記格納部の開口縁と前記蓋との摺り合わせ状態で重なる領域は、格納部底部側から蓋天井側へ向けて80度の傾斜角度で縮径していることを特徴とする請求項1または2に記載のピクノメータ。
- 内部に試料燃料核を収容して蓋を装着して密封した格納部全体を、固定治具の2部材によりそれぞれ対向する方向から毛細管を外側に突出させた状態で包み込んで互いに解除可能に嵌合締結することによって前記格納部への蓋の装着状態を固定した後、水銀密度計内で水銀置換法によって測定したピクノメータ重量値と試料燃料核の重量値とに基づいて前記試料燃料核の体積を求める工程を含む請求項1に記載のピクノメータを用いた燃料核密度測定方法であって、
前記格納部に収容すべき試料燃料核の量を、格納部内容積の約10%以上相当分とすることを特徴とする燃料核密度測定方法。
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