JP3621475B2 - Atm通信システム及びatm交換機およびノード装置 - Google Patents

Atm通信システム及びatm交換機およびノード装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の端末間で通信を行うための通信システムに関し、特に非同期転送モード(ATM)によるベストエフォットのコネクションレス通信を提供するATM通信システムおよびATM交換機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、伝送/交換技術の高速化を狙う技術として、ATM(非同期転送モード)が注目を集めている。ATMは、全ての情報をセルと呼ばれる固定長短パケットに担わせて転送することにより、パケット交換のハードウェア実装を狙い、高速な情報の伝送/交換を容易にすることを狙った技術である。
【0003】
ATMは、将来の広帯域サービス統合ディジタル網(B−ISDN)の”約束された解”と目されていることから、いわゆるキャリアが運用している公衆網はもとより、公衆網とのインタオペラビリティを高めるべく、例えばひとつのフロアといった限定された区域をサービス範囲とするネットワーク、即ちローカルエリアネットワーク(LAN)にATM技術を適用した、いわゆるATM−LANであるとか、限定された地域に対して通信サービスを提供するいわゆるCATV網にATM技術を適用する手法であるとかいった、ATM技術を種々の通信システムに適用する研究・開発が近年活発であり、セルを所望の伝送路へと転送する機能を持つATM通信網の重要な構成要素であるATM交換機の開発が活発に行われている。
【0004】
一方、米国のいわゆる情報スーパーハイウェイ構想が広く一般に紹介された後、いわゆるWWW(World Wide Web)とかいったサービスの提供が可能なインターネットが計算機や通信の専門家はもとより広く一般の関心を集めている。WWWは、地域的に分散配備されたデータベースである。このデータベースに保持された情報間にはリンクが縦横に張られ、ある情報を参照している時に関連する情報に容易にアクセス可能になっており、自由に必要な情報を検索できることから広く一般の関心を呼んでいる。
【0005】
インターネットの特徴は、情報を所望の宛先に転送する機能を担うネットワークレイヤがいわゆるベストエフォット(最善努力)のコネクションレス通信を提供していることである。インターネットで採用されているネットワークレイヤのプロトコルはIP(Internet Protocol) と呼ばれ、このプロトコルによって種々の計算機が相互接続され、通信網が構築されている。種々の計算機を相互接続するために、IPの様なネットワークレイヤのプロトコルを実行する通信機器が通信網内部に配備されるが、この通信機器はルータと呼ばれる。
【0006】
コネクションレス通信とは、転送先と送出元のアドレスという、該メッセージのルーティングに必要な情報を該メッセージに含ませておき、通信網内部のルータがこれらの転送先/送出元アドレスを参照して該メッセージを所望の端末へと転送することによって通信を行う技術である。
【0007】
また、ベストエフォットとは、通信網全体が正常に動作しているとしても、メッセージが正しく転送先に送られる保証がないことを意味している。即ち、通信品質(Quality of Service:QoS、以下QoSと呼ぶこともある)を保証することを放棄している。コネクションレス通信の場合、一時的に通信網内部のあるルータにメッセージが集中し、該ルータが到着したメッセージ群を保持しきれなくなってメッセージの一部が廃棄されることがある。また、主に実装上の問題によって、例えば網構成の変更時等、通信網内部で一時的にルーティング情報の不整合が生じ、正常にメッセージをルーティングできないことがある。ベストエフォットとは、このような状況が発生することを許容して、ネットワーク内の帯域を必要な分だけ使用することを意味する。
【0008】
ベストエフォットの通信には、通信網に投入されたメッセージを確実に相手に届ける必要が無いことから、通信網を構成する機器の信頼性を低く抑えることができるという利点がある。この利点から、通信機器をある程度自由に落とす事が可能になる。このため通信網の管理に必要な人件費を削減できると同時に、WWWといった高度なサービスを提供するソフトウェアのデバグが容易になり、迅速に高度なサービスを利用者に対して提供可能となる。また、コネクションレス通信には、ルーティングに必要な全情報がメッセージに含まれていることから、各ルータが独立性高くメッセージのルーティングを行うことができる、という利点もある。この利点から、それぞれのサブネットワーク(インターネット内の管理ドメイン)毎に比較的自由に通信機器を接続することができるようになり、迅速に通信網の規模を成長させる事が可能になる。
【0009】
また、ルーティングに必要な全情報がメッセージに含まれていることから、あるルータが落ちたとしても、そのルータを回避してメッセージのルーティングを行う事ができるので、ここからも通信網を構成する機器の信頼性を低く抑える事ができるという利点が生じる。
【0010】
さらに、ルーティングに必要な全情報がメッセージに含まれていることから、WWWといった、(全世界的に分散されたデータベースで)次にどのデータベースにアクセスするか分からないといった状況であってもコネクションを設定するというオーバーヘッドなく通信可能であるという利点もある。
【0011】
ベストエフォットのコネクションレス通信の持つこれらの利点のため、WWWといった利用者にとって有益なサービスが提供され始めた途端、インターネットは爆発的に成長を始めている。WWWは元々学術情報の研究者間の活発な交換を目的に構築されたが、近年ではWWW上に、例えば地域の店舗の情報であるとか、中古車の情報であるとか、不動産の情報であるとかいった、各種ビジネス情報も登録されるようになってきている。このため、WWWサービスといったベストエフォットのコネクションレス通信網上に構築されたサービスを広く一般に提供する事が必要になってきている。
【0012】
インターネット上に実現されたサービスを広く一般に提供するためには、ベストエフォットのコネクションレス通信を公衆網上で実現する必要がある。
【0013】
広く一般にインターネットを実現するために従来技術でとられている手法は、種々の通信網を(インターネットがIPにより種々の計算機を相互接続するのと同様、)IPにより相互接続し、全世界単一のベストエフォットのコネクションレス網を提供しようとする立場である。
【0014】
図24に、従来技術によるインターネットの、ユーザからの見え方(ユーザービュー)を示す。従来技術によるインターネットでは、単一のベストエフォットのコネクションレス網N01が準備され、これを利用者の端末が使用する形式をとる。ベストエフォットのコネクションレス網N01は、公衆網N02や私設網N03、N04をデータリンクレイヤと見なし、それらのデータリンクをIPにて接続することで実現される。
【0015】
IPという同一のプロトコルにて構築される全世界単一のベストエフォットのコネクションレス通信網には、例えば私設網をそれぞれの管理者が自由に構成可能という利点がある。しかしながら、私設網と公衆網をIPにより相互接続することで得られる全世界単一のベストエフォットのコネクションレス通信網には、公衆サービスという観点からその通信網を考えた場合、以下の問題点がある。
【0016】
まず第一に、QoSの問題がある。
【0017】
前述したように、ベストエフォットであるということはQoS保証を行わないということである。これは、同じアプリケーションを動かしていても、ある時には素早く動作し、別の時には(メッセージ転送経路の変更やトランスポート層(レイヤ4)による再送により動作速度が遅くなる(もしくは動かない)ことを意味する。
【0018】
今後普及が進むと予測されるマルチメディアアプリケーションをこの枠組みで動かすと、画像や音声を途切れない様にするためには、それらの再生タイミングを受信端末で変化させなければならない。これは、例えば動画像中に現れる人間の口の動きと音声を一致させることを諦める(いわゆるメディア同期の問題)とか、動画像の再生をある時はスローモーションに、ある時は早送りにする必要があるとかいった、一般の利用者には耐え難い苦痛を生む方法でマルチメディア情報を再生する必要があり、好ましくない。公衆サービスという観点からは、このような事が起きない程度の伝送遅延のぶれでおさまる事を保証する必要がある。なお、QoSを定義するパラメータの選択法には種々存在するが、ここでは、トランスポート層のサービスを受けた結果としてのQoSという観点から、メッセージの遅延をQoS定義のパラメータとして選択することとする。
【0019】
また、ベストエフォットである、ということは、即ち、利用者が通信網に渡したメッセージが何時相手に届くか、また、そのメッセージが確実に届くかすらも分からない、ということである。例えば、WWWの不動産情報によって、好みの家屋を見つけた加入者が、該家屋を購入することを表明するメッセージをメールサービス等で通信網に渡しても、そのメッセージが確実に相手に届くとは限らない。この結果、(通信網にメッセージを渡したことで購入した気になっている利用者が)好みの家屋を、該利用者のメッセージが廃棄されるとか他人のメッセージの方が先に着くとかいった理由で購入できないことも生じる。
【0020】
次に、課金の問題がある。公衆網として維持運営管理を行ってゆくためには、公衆網を構成する通信機器の使用頻度に従った定期的更新や、通信機器の管理のための人件費等を、通信網の使用者から徴収する料金によってまかなわなければならない。即ち、課金を行う必要がある。
【0021】
ベストエフォットのコネクションレス通信に対する課金法として、例えば、各利用者が基本料金のみ払えば後は使い放題といった方法も考えられるが、この場合は、各利用者が無制限にトラフィックを発生するようになる。近年のマイクロプロセッサの技術革新により、各端末は(例えばWWW上で目的の情報を検索するといったアプリケーションを動かすことで)24時間トラフィックを出しつづける事が可能である。この結果、公衆網として要求される良好なQoSを提供しようとすると、端末の数が増加する度に通信網の通信機器の増強をする必要が生じる。これは、通信網の構築コストが莫大な物になることを意味し、望ましくない。また、端末の能力によって使用可能な通信資源が異なり、社会インフラとしては望ましくない不公平が生じる。よって、端末の通信網使用料金は、各利用者が通信網を使用する度合いによって変化させるのが、通信網に必要な資源を爆発させず、また利用者から見て公平であり望ましい。
【0022】
しかしながら、コネクションレス通信の場合、各利用者が送出したメッセージが通過する網内経路が動的に変化するので、各利用者が利用した通信資源の量を正確に通信網が把握するためには、通信網内部で転送されているメッセージ全てについて通信網がその転送を追いかけるという、通信網内部のトラフィック量が爆発的に増大する機能を実現しなければならない。また、端末が送信した、もしくは受信したメッセージ数を端末に最も近い通信網内部の機器がカウントする、という方法もあるが、ベストエフォットである場合、端末が送出したメッセージがその宛先に確かに届けられる保証が無く、このカウントの結果で課金をするのは無理がある。つまり、ベストエフォットのコネクションレス通信を利用している限りにおいて、インターネットサービスを使用するそれぞれの利用者に公平に課金を行うことは困難である。
【0023】
さらに、以下の問題もある。即ち、コネクションレス通信の各メッセージにルーティングに必要な全情報が含まれていることから、以下のような、悪意を持つ利用者による通信妨害が容易である。
【0024】
上で述べたように、IPは、利用者からみて単一のベストエフォットのコネクションレス網を複数の独立管理される通信網を協調動作させて提供しようとするネットワークレイヤのプロトコルである。このようなネットワークレイヤで提供される通信の場合、QoSをある程度に保つため、ある利用者の送出したメッセージが通過する経路は時間と共に変化する。これは、ある利用者の出したメッセージがどこを通過するかその利用者もしくは通信網管理者から制御できないことを意味する。また、悪意を持つ利用者が意図的にメッセージの経路を変更することを可能である。この結果、利用者Aが利用者Bに向けて送出したメッセージが、悪意を持つ利用者Cの管理する企業網を経由して転送されることもある。この時、悪意を持つ利用者Cが、その利用者B向けのメッセージをつかまえ、そのメッセージを無限にコピーしてインターネットに投入すれば、利用者Bは悪意の利用者Cが複製したメッセージを無限に受け取ることになる。これは即ち、利用者B近辺の通信資源を悪意の利用者Cが不正に使用していることに相当する。悪意の利用者Cがメッセージを短時間に利用者Bに向けて多数送出できれば、利用者Bの通信を妨害できる。しかも、そのメッセージには悪意の利用者Cが妨害を行っていることを示す情報は何一つ存在しない。
【0025】
メッセージ内部には送出元として利用者Aのアドレスが書かれているだけである。IPには、トレースルートと呼ばれる、メッセージが経由した経路を順次メッセージ中に書き込む機能があるが、悪意の利用者Cの管理しているサブネットでトレースルートフィールドを任意の値に書き換えるように通信網内部の動作を制御することも可能であり、トレースルートが悪意の利用者Cを発見するために使用できるとは限らない。
【0026】
以上の様に、ベストエフォットのコネクションレス通信は、公衆サービスという観点からは非常に望ましくない性質を持っている。これは、WWW等の高度サービスを提供するために有利に働いた全世界単一のベストエフォットでコネクションレス網というシステム属性が、必ずしも公衆網向きではない事を意味する。
【0027】
ところで、ITU−Tにおける標準化の席で、将来の公衆網はATM技術により実現されることと国際的合意が形成されているが、ATM技術による通信網(以降ATM通信網と呼ぶ)は信頼性の確保されたコネクションオリエンティッド網である。WWW等の高度サービスの一般利用者による利用拡大を考えると、WWWのみならず、各種のベストエフォットのコネクションレス通信サービスを、信頼性の確保されたコネクションオリエンティッド網上で実現する必要が生じる。
【0028】
信頼性の確保されたコネクションオリエンティッド網上で、ベストエフォットのコネクションレス通信を提供する方法はITU−TやATMフォーラムといった標準化団体で研究され、また製品開発も盛んである。
【0029】
図25に、従来のATM通信網上におけるベストエフォットのコネクションレス通信網を実現するためのプロトコルスタックを示す。
【0030】
上述したように、従来技術では、ATM技術によるコネクションをデータリンクと捉え、その上でIPを動かすことでIPメッセージのルーティングを行っている。この思想は、図25のプロトコルスタックにおいては、ATMコネクションを実現するためのレイヤ、phyレイヤ、ATMレイヤと、ATMセルを用いて可変長のメッセージを転送することを実現するためのレイヤ、AAL(ATMAdaptation Layer)をIPレイヤの下位レイヤと位置づけることによって表現されている。
【0031】
私設網内部の端末のアプリケーションは、TCPを用いて、エンド−エンドで信頼性を持った通信を行っている。TCPの下にはIPレイヤがあり、TCPレイヤに対してベストエフォットのコネクションレス通信を提供している。
【0032】
私設網と公衆網の接続点、および公衆網内部には、IPのプロトコル機能(即ちメッセージのルーティング)を実行しているルータが設けられている。通信網内部のルータは、宛先IPアドレスに従って受け取ったメッセージを所望のルータへと転送する。
【0033】
ルータ間のメッセージ転送を行う経路がデータリンクであるが、これが、phyレイヤ、ATMレイヤ、AALを用いてIPレイヤに提供されている。即ち、従来技術では、隣接するルータとの通信にATMコネクションが使用されることになる。これらの、ルータ間のデータリンクであるところのATMコネクションは、例えば、公衆網の管理者が予め設定することとしても良い。
【0034】
それぞれのルータのIPレイヤは、宛先IPアドレス毎にどのATMコネクションに転送すればよいかを示す、ルーティングテーブルを保持している。このルーティングテーブルの内容は、ルーティング制御機能が維持している。ルーティングテーブルの内容は、例えば、RIPと呼ばれるルーティング情報をお互いのルータ間がやりとりするプロトコルによって定期的に変更する必要があるが、このルーティングテーブルの内容の書き換えをルーティング制御機能が実行することになる。
【0035】
各端末から、私設網と公衆網の接続点に存在するルータへのATMコネクションは、端末の持つQ.2931終端機能と、私設網の中の呼設定機能との協調動作により設定される。具体的には、何らかの方法で端末がルータのATMアドレス(ATMコネクションを設定するために各通信機器に与えられるアドレス)を知り、該ATMアドレスを含む呼設定要求メッセージを端末のQ.2931終端機能が私設網の呼設定機能へと転送する。この転送の為のATMコネクションは、良く知られている様に、シグナリングVCとして各端末と呼設定機能の間に予め私設網の管理者によって設定されている。私設網の呼設定機能は、呼設定要求メッセージを端末から受け取ると、該メッセージに含まれているATMアドレスを参照して私設網内部でのコネクションの経路を決定し、コネクション経路上のハブ(私設網を構築するための簡易版ATM交換機)に対して必要な設定を行うことで、要求されているATMコネクションを設定する。
【0036】
ここで、ルータのATMアドレスを端末が獲得するための方法が必要になるが、この方法に関しては、ATM技術のデファクトスタンダードを審議している業界団体、ATMフォーラムにおいて詳細な議論がなされている。この議論によるATMアドレスの獲得法は以下の通りである。
【0037】
基本的には、端末、および各ルータは、宛先IPアドレスから次に転送すべきルータ(次ホップルータ)のIPアドレスを知ることのできるルーティングテーブルと、次ホップルータのIPアドレスから次ホップルータへ至るATMコネクションの識別子を知ることのできるVCキャッシュを保持している。
【0038】
メッセージの送出時に、端末は、該メッセージの宛先IPアドレスを用いてルーティングテーブルとVCキャッシュを参照して該メッセージを送出するATMコネクションの識別子を得るが、VCキャッシュ内に次ホップルータのIPアドレスが存在しないことがある。この場合には必要なATMコネクションが設定されていないので、次ホップルータのATMアドレスを獲得し、呼設定機能に対して呼設定要求を発効する必要がある。この為に私設網内にARPサーバと呼ばれる機能を設ける。
【0039】
ARPサーバは、IPアドレスを通知されると、該IPアドレスに対応する通信機器のATMアドレスを答える機能を持つ。VCキャッシュに次ホップルータのIPアドレスが存在しない場合は、該ARPサーバに該次ホップルータのIPアドレスを通知し、該ARPサーバから応答されるATMアドレスを使用して、必要なATMコネクションを設定するための呼設定要求を発効することになる。
【0040】
しかしながら、今まで研究・開発されてきたこの方法には、以下のような問題点がある。
【0041】
現状で考えられているIPのATM通信網上での提供法は、公衆網内部に設けられたルータを相互接続することによって実現される全世界単一のベストエフォットのコネクションレス網を実現する手法である。全世界単一のベストエフォットのコネクション網を実現するということは、即ち、ベストエフォットのコネクション網が抱えている、公衆サービス化を考えた場合の上述の欠点、すなわち、QoSを与えることが困難、課金が困難、ネットワークレイヤでのなりすましによる通信妨害が容易といった欠点を引き継ぐことになる。
【0042】
さらに、公衆網でのサービスを考えた場合、非常に高い確率で正常に動作することが求められるが、公衆網である事から求められる動作の確実性を保証するため、IPプロトコル以外のネットワークレイヤプロトコル(例えばAppleTalk、ATMフォーラムのP−NNI、次世代IP、ベストエフォット上にQoSを提供するためのプロトコルであるRSVP、といったもの)を利用者に提供するのが(ルータを簡単に落とせない事からデバグを行うのが困難で)遅れてしまう。さらに、誰がどれだけどのルータを使用しているかの同定が困難なため、ルータに投資すべき投資額と投資すべき通信網内部の位置、及び、その資金源を公平に決定するのが困難で、結果として公衆サービスとしてのルータの増強が困難になる。
【0043】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明したように、従来のベストエフォットのコネクションレス通信には、QoSを与える事が不可能、課金が不可能、ネットワークレイヤでのなりすましによるルータ攻撃が容易、といった公衆網として考えた場合の問題点があり、さらに、従来のATM通信網上でのベストエフォットのコネクションレス通信実現法には、これらの問題点の他に、公衆サービスである事に起因する、提供サービスの追加、増強が困難といった問題点がある。
【0044】
このように、コネクションオリエントなATM通信網上で、ネットワークレイヤのプロトコルがそれぞれ異なる各種のベストエフォットのコネクションレス通信サービスを提供するためには、課金の対象が特定でき、ネットワークレイヤでのなりすましによるルータ攻撃が困難で、その通信サービスに適したQoSの提供が可能で、かつ、提供サービスの追加、増強が容易なATM通信システムが要求される。
【0045】
そこで、本発明は、信頼性の確保されたコネクションオリエントなATM通信網上で、特に、各種のベストエフォットのコネクションレス通信サービスのそれぞれに適した通信品質(QoS)の提供と高いセキュリティ性を確保できるATM通信システムおよびATM交換機を提供することを目的とする。
【0046】
【課題を解決するための手段】
本発明のATM通信システムは、複数の端末装置を収容して、それら端末装置間で非同期転送モードによりATMセルを転送して通信を行うことにより、少なくとも2つの特定の通信サービスを提供するATM通信システムであって、前記複数の端末装置間に設けられ、前記複数の端末装置のいずれかで発生された前記特定の通信サービスのメッセージを相手端末装置に転送するための複数のノード装置と、前記複数の端末装置もしくは前記複数のノード装置のいずれかからの要求に応じて、前記端末装置とノード装置間、もしくは、前記ノード装置相互間にATMコネクションを設定するコネクション設定手段と、前記ノード装置は、前記特定の通信サービスのそれぞれに対応して、前記コネクション設定手段で設定された前記特定の通信サービスのそれぞれに対応したATMコネクションで転送された特定の通信サービスのメッセージを、前記コネクション設定手段で設定された前記特定の通信サービスのそれぞれに対応したATMコネクションに転送する転送手段と、必要に応じて、前記特定の通信サービスに対応したATMコネクションの設定要求を前記コネクション設定手段に要求する要求手段とを具備することにより、ATMネットワーク上で特定の通信サービスを特定の利用者に排他的に提供することが可能となる。その結果、通信資源と利用者の対応が明確になり、通信サービスの要求するQosを提供するための通信資源、増強と、そのコスト負担先が明確となる。従って、課金の対象が特定でき、その通信サービスに適したQosの保護が可能で、かつ提供サービスの追加、増強が容易となる。
【0047】
本発明のATM通信システムは、複数の端末装置を収容して、それら端末装置間で非同期転送モードによりATMセルを転送して通信を行うことにより、少なくとも2つの特定の通信サービスを提供するATM通信システムであって、前記複数の端末装置間に設けられ、前記複数の端末装置のいずれかで発生された前記特定の通信サービスのメッセージを相手端末装置に転送するための複数のノード装置と、前記複数の端末装置もしくは前記複数のノード装置のいずれから発生された、少なくとも前記特定の通信サービスのそれぞれを識別するための第1の識別子を含む呼設定要求情報をもとに、その呼設定要求情報に含まれる第1の識別子に呼応して、前記端末装置とノード装置間もしくは前記ノード装置相互間にATMコネクションを設定し、その設定されたATMコネクションを識別するための第2の識別子と前記第1の識別子を対応付けるコネクション設定手段とを具備することにより、前記第1の識別子により特定される特定の通信サービス毎にATMコネクションの設定を行い、前記ノード装置では、その設定されたATMコネクションにて転送されてきた特定の通信サービス毎のメッセージに対し、特定の通信サービスに従った手続きにてルーティングを行うことができ、ATMネットワーク上で特定の通信サービスを特定の利用者に排他的に提供することが可能となる。その結果、通信資源と利用者の対応が明確になり、通信サービスの要求するQosを提供するための通信資源、増強と、そのコスト負担先が明確となる。従って、課金の対象が特定でき、その通信サービスに適したQosの保護が可能で、かつ提供サービスの追加、増強が容易となる。
【0048】
また、本発明のATM通信システムは、複数の端末装置を収容して、それら端末装置間で非同期転送モードによりATMセルを転送して通信を行うことにより、少なくとも2つの特定の通信サービスを提供するATM通信システムであって、前記複数の端末装置間に設けられ、前記複数の端末装置のいずれかで発生された前記特定の通信サービスのメッセージを相手端末装置に転送するための複数のノード装置と、前記複数の端末装置もしくは前記複数のノード装置のいずれかから発生され、少なくとも前記特定の通信サービスのそれぞれを識別するための第1の識別子を含む呼設定要求情報をもとに、その呼設定要求情報に含まれる第1の識別子に呼応して、前記端末装置とノード装置間、もしくは、前記ノード装置相互間にATMコネクションを設定するコネクション設定手段とを具備し、前記ノード装置は、前記第1の識別子に対応して設けられ、その第1の識別子で特定される特定の通信サービスに対応した手続きに従って、前記特定の通信サービスを提供する少なくとも1つのサービス提供手段と、前記コネクション設定手段で設定されたATMコネクションで転送されたATMセルを、そのATMセルに含まれる第2に識別子に前記コネクション設定手段で対応付けされた第1の識別子に対応する前記サービス提供手段に転送する第1の転送手段とを具備し、前記サービス提供手段は、前記コネクション設定手段で前記第1の識別子に呼応させて設定されたATMコネクションを識別するための第2の識別子を前記第1の識別子に対応する、その特定の通信サービスを提供するために必要なサービス識別子に対応させて記憶する記憶手段と、前記第1の転送手段で転送されたATMセル組み立てることにより、前記特定の通信サービスのコネクションレス型通信のメッセージを受信する受信手段と、前記記憶手段の記憶内容を参照して、前記受信手段で受信されたメッセージを、そのメッセージに含まれるサービス識別子に対応する第2の識別子に対応付けるメッセージ処理を行うメッセージ処理手段と、このメッセージ処理手段によるメッセージ処理が行われたメッセージをATMセルに分割し、前記メッセージ処理手段で前記メッセージに対応付けされた第2の識別子で識別されるATMコネクションを指定する識別子情報とともに出力する出力手段とを具備し、前記ノード装置は、さらに、前記出力手段から出力されたATMセルを、前記識別子情報により指定されるATMコネクションに転送する第2の転送手段とを具備することにより、前記サービス提供手段により、前記前記特定の通信サービスを特定の利用者に排他的に提供するための通信資源が明確に特定できる。その結果、通信資源と利用者の対応が明確になり、通信サービスの要求するQosを提供するための通信資源、増強と、そのコスト負担先が明確となる。従って、課金の対象が特定でき、その通信サービスに適したQosの保護が可能で、かつ提供サービスの追加、増強が容易となる。
【0049】
また、本発明のATM通信システムは、前記サービス提供手段に、前記受信手段で受信されたメッセージ量を計測する計測手段と、この計測手段で計測されたメッセージ量に基づくトラヒック量が、前記第1の識別子で特定される特定の通信サービスにあらかじめ割り当てられた通信帯域に対応するトラヒック量より小さいとき、前記コネクション設定手段に対し、その第1の識別子に呼応して設定されたATMコネクションに割り当てられた前記通信帯域を削減するよう制御を行う制御手段とを具備し、また、前記コネクション設定手段でATMコネクションを設定する際に、そのATMコネクションのそれぞれにあらかじめ割り当てられた通信帯域に対応する出力間隔を指定して、その出力間隔でATMセルを出力するよう前記出力手段を制御する出力間隔制御手段と、前記出力手段で一時記憶されたメッセージ量を計測する計測手段と、この計測手段で計測されたメッセージ量に基づくトラヒック量が、前記第1の識別子で特定される特定の通信サービスにあらかじめ割り当てられた通信帯域に対応するトラヒック量より大きいとき、前記コネクション設定手段に対し、その第1の識別子に呼応して設定されたATMコネクションに割り当てられた前記通信帯域を増加するよう制御を行う制御手段とを具備することにより、ATMネットワーク上で特定の通信サービスをその特定通信サービスに適した通信品質で特定の利用者に排他的に提供することが可能となる。
【0050】
また、本発明のATM通信システムは、前記サービス提供手段に、前記受信手段で受信されたメッセージを復号化する復号化手段と、前記メッセージ処理手段でメッセージ処理が行われたメッセージを暗号化する暗号化手段とを具備することにより、ATMネットワーク上で特定の通信サービスを高いセキュリティ性を確保しながら特定の利用者に排他的に提供することが可能となる。
【0051】
また、本発明のATM通信システムは、複数の端末装置を収容して、それら端末装置間で非同期転送モードによりATMセルを転送して通信を行うことにより、少なくとも2つの特定の通信サービスを提供するATM通信システムであって、前記複数の端末装置間に設けられ、前記複数の端末装置のいずれかで発生された前記特定の通信サービスのメッセージを相手端末装置に転送するための複数のノード装置と、前記複数の端末装置もしくは前記複数のノード装置のいずれかから発生され、少なくとも前記特定の通信サービスのそれぞれを識別するための第1の識別子を含む呼設定要求情報をもとに、その呼設定要求情報に含まれる第1の識別子に呼応して、前記端末装置とノード装置間、もしくは、前記ノード装置相互間にATMコネクションを設定するコネクション設定手段と、を具備し、前記ノード装置は、前記特定の通信サービスのそれぞれに対応させて、その特定の通信サービスに対応したATMコネクションを設定するために必要な第1の識別子と、その第1の識別子に対応する、前記特定の通信サービスの提供の際に必要なサービス識別子を記憶する第1の記憶手段と、前記特定の通信サービスのそれぞれに対応させて、その特定の通信サービスの提供の際に必要なサービス識別子と、前記コネクション設定手段で前記第1の識別子に呼応させて設定されたATMコネクションを識別するための第2の識別子を記憶する第2の記憶手段と、前記コネクション設定手段で設定されたATMコネクションで転送されたATMセルに担われた前記特定の通信サービスのメッセージを受信する受信手段と、この受信手段で受信されたメッセージに含まれるサービス識別子に対応する第2の識別子を、前記第2の記憶手段の記憶内容から検索する第1の検索手段と、前記第1の検索手段で検索した結果、前記受信手段で受信されたメッセージに含まれるサービス識別子に対応する第2の識別子が記憶されていないとき、そのメッセージに含まれるサービス識別子に対応する第1の識別子を、前記第1の記憶手段の記憶内容から検索する第2の検索手段と、この第2の検索手段で検索された第1の識別子をもとに、ATMコネクションの設定要求情報を作成し、それを所定のATMコネクションに転送することにより、所望のATMコネクションの設定要求を行う要求手段と、この要求手段によるATMコネクションの設定要求を受けて、前記コネクション設定手段でATMコネクションが設定されたとき、前記第2の記憶手段に前記受信手段で受信されたメッセージに含まれるサービス識別子に対応させて、その設定されたATMコネクションを識別する第2の識別子を記憶することにより、前記第2の記憶手段の記憶内容を更新する更新手段と、前記受信手段で受信されたメッセージに含まれるサービス識別子に対応する第2の識別子を、前記更新手段で更新された前記第2の記憶手段の記憶内容から検索する第3の検索手段と、前記受信手段で受信されたメッセージを、前記第1の検索手段あるいは前記第3の検索手段で検索された第2の識別子に対応付けるメッセージ処理を行うメッセージ処理手段と、このメッセージ処理手段によりメッセージ処理が行われたメッセージを、前記メッセージ処理手段で対応付けられた第2の識別子により特定されるATMコネクションに転送する転送手段とを具備することにより、前記第2の識別子により特定される特定の通信サービス毎にATMコネクションの設定を行い、前記ノード装置では、その設定されたATMコネクションにて転送されてきた特定の通信サービス毎のメッセージに対し、特定の通信サービスに従った手続きにてルーティングを行うことができ、ATMネットワーク上で特定の通信サービスを特定の利用者に排他的に提供することが可能となる。その結果、通信資源と利用者の対応が明確になり、通信サービスの要求するQosを提供するための通信資源、増強と、そのコスト負担先が明確となる。従って、課金の対象が特定でき、その通信サービスに適したQosの保護が可能で、かつ提供サービスの追加、増強が容易となる。
【0052】
また、前記第1の識別子をE.164アドレスとすることにより、前記コネクション設定手段としてQ.2931として知られる呼設定プロトコルを処理する標準的なコネクション設定手段を使用することができ、実装および運用コストを削減することができ、また、その特定の通信サービスへの不当なアクセスを防ぐことができ、セキュリティ性がさらに向上する。
【0053】
また、本発明のATM交換機は、複数の端末装置を収容して、それら端末装置間で非同期転送モードによりATMセルを転送して通信を行うATMネットワーク上におけるATMセルの交換機能を有する複数の入出力対を具備したATMスイッチと、このATMスイッチの一対の入出力端にそれぞれ接続され、特定の通信サービスを提供するための少なくとも1つのサービス提供手段を具備し、いずれかの入力回線を介して入力された前記ATMセルを、所望の出力回線に出力するATM交換機であって、所定の入力回線を介して入力されたATMセルに対し、所定の入力処理を施し、そのATMセルのヘッダに含まれる第1の識別子をもとに、その第1の識別子に対応する前記ATMスイッチの出力端を判断し、その出力端を指定するルーティングタグを前記ATMセルに付加して、そのATMセルを前記ATMスイッチの入力端に入力する第1の入力手段と、前記ATMスイッチの出力端から出力されたATMセルに対し、所定の転送処理を施し、そのATMセルから前記ルーティングタグを削除して、そのATMセルを所定の出力回線に出力する出力手段とを具備し、前記通信サービス提供手段は、前記特定の通信サービスに対応したATMコネクションの設定要求の際に必要な第2の識別子に対応する、その特定の通信サービスを提供するために必要なサービス識別子に対応させて、前記第2の識別子に呼応させて設定されたATMコネクションを識別するための第1の識別子を記憶する記憶手段と、前記ATMスイッチの出力端から入力されたATMセルから前記ルーティングタグを削除するルーティングタグ削除手段と、このルーティングタグ削除手段でルーティングタグが削除されたATMセルを、そのATMセルのヘッダに含まれる第1の識別子毎に集めて、前記特定の通信サービスのコネクションレス型通信のメッセージを組立てる、前記第1の識別子が対応付けられた複数のメッセージ組立手段と、前記記憶手段の記憶内容を参照して、前記複数のメッセージ組立手段で組立られたメッセージのうち、そのメッセージに含まれるサービス識別子に対応する第1の識別子が対応付けられたものと等しいメッセージの処理を行うメッセージ処理手段と、このメッセージ処理手段のメッセージ処理の進行状況を監視し、そのメッセージ処理が終了した前記メッセージ処理手段に、順次、そのメッセージ処理手段に対応付けられたものと同一の第1の識別子を含むATMセルから組み立てられたメッセージを入力する振り分け処理を行う振分手段と、前記第1の識別子に呼応させて設定されたATMコネクションのそれぞれに対応する複数のバッファメモリと、前記メッセージ処理手段でメッセージ処理が終了したメッセージを、前記複数のバッファメモリのうち、前記メッセージ処理手段でそのメッセージに対応付けされた第1の識別子で識別されるATMコネクションに対応するバッファメモリに順次転送して一時記憶し、その一時記憶されたメッセージをATMセルに分解して出力するメッセージ分解手段と、このメッセージ分解手段で分解されたATMセルの出力間隔を指定する出力間隔作成手段と、前記メッセージ分解手段から出力されたATMセルに、前記メッセージ処理手段で前記メッセージに対応付けされた第1の識別子で識別されるATMコネクションに対応した前記ATMスイッチの出力端を指定するルーティングタグを前記ATMセルに付加して、そのATMセルを前記ATMスイッチの入力端に入力する第2の入力手段とを具備することにより、前記特定の通信サービスに対応したATMコネクションの設定要求の際に必要な第2の識別子に呼応させて設定されたATMコネクションにて転送されてきた特定の通信サービス毎のメッセージに対し、特定の通信サービスに従った手続きにてルーティングを行うことができ、ATMネットワーク上で特定の通信サービスを特定の利用者に排他的に提供することが可能となる。その結果、通信資源と利用者の対応が明確になり、通信サービスの要求するQosを提供するための通信資源、増強と、そのコスト負担先が明確となる。従って、課金の対象が特定でき、その通信サービスに適したQosの保護が可能で、かつ提供サービスの追加、増強が容易となる。
【0054】
さらに、前記第2の識別子をE.164アドレスとすることにより、その特定の通信サービスへの不当なアクセスを防ぐことができ、セキュリティ性がさらに向上する。さらに、前記コネクション設定手段としてQ.2931として知られる呼設定プロトコルを処理する標準的なコネクション設定手段を四酔おうすることができ、実装および運用コストを削減することができる。
【0055】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0056】
図1は、本発明に係るATM通信システムの構成をコミュニティの概念を含めて概略的に示したもので、特に、ユーザから見た通信形態を示す図である。
【0057】
図1に示した構成のATM通信システムは、公衆網としてキャリアから提供されるATM通信網101と、ATM通信網101内部に存在する複数のベストエフォットのコネクションレス網(#1〜#3)1021、1022、1023、およびATM通信網101を経由して通信を行う端末装置(#1〜#3)1031、1032、1033とからなっている。
【0058】
各端末装置1031〜1033はATM通信網101上に設定されたATMコネクション1041、1042、1043、・・・、1047を経由して通信を行っている。
【0059】
図1に示すように、従来技術によるインターネットとは異なり、本発明に係るATM通信システムにおいては、ベストエフォットのコネクションレス網1021〜1023が複数個ATM通信システム内部に存在している様に見える。
【0060】
これらのベストエフォットのコネクションレス網1021〜1023は、それぞれ、”コミュニティ”と呼ばれ、それぞれの上で、それぞれのコネクションレス網を特徴づける特定の通信サービスが提供されている。例えば、あるコミュニティでは、不動産情報を保持したWWW(world wide web)サービスが提供され、別のコミュニティでは物理学者が実験データのやりとりを行い、さらに別のコミュニティでは最新のプロトコルの運用実験が行われていてよい。ここで最新のプロトコルとは、例えば次世代IPと呼ばれるIPバージョン6であるとか、ATMフォーラムにおいて検討が進んでいるP−NNI(クランクバックと呼ばれる、1回のコネクション設定におけるコネクション設定経路選択の再トライ手法を持つことを特徴とするATM交換機間のコネクション設定プロトコル)であるとかいったものであってよい。また、別のコミュニティでは、例えば公衆網上でのサービスと、その提供先コミュニティを検索可能なサービス(ITU−T(国際電気通信連合・電気通信標準化部門)でディレクトリサービスと呼ばれるサービスと同種のサービス)が提供されていてもよい。
【0061】
ATM通信網101に収容された各端末1031〜1033は、それぞれのコミュニティに対して、確定的に通信帯域を割り当てられたATMコネクション1041、1042、1044、・・・1047を通じてアクセスしている。図1に示した実施形態では、例えば、端末装置#1(1031)はATMコネクション1041でコミュニティ#1(1021)に、ATMコネクション1042でコミュニティ#3(1023)にそれぞれアクセスしている。ここで、ATMコネクションは一般的に双方向であることに注意が必要である。図1においては、ATMコネクションをひとつのパイプとして表現しているが、図が煩雑になるのを防ぐため、ここではひとつのパイプで双方向の通信が可能である事を表現する。
【0062】
ここで、確定的に通信帯域を割り当てられたATMコネクションとは、ATMの原理に従って、該ATMコネクションに通信帯域がピークレートにて割り当てられていることを意味している。良く知られている様に、ATMコネクションに対してピークレートで通信帯域を割り当てると、ATM交換機内部のATMスイッチのセルバッファの働きにより、短期的にはセル衝突が発生して通信帯域が他のコネクションに割り当てられてしまうとしても、長期的には割り当てられた通信帯域にてATMコネクション上でセルを転送でき、擬似的にそれぞれのATMコネクションが通信帯域を確定的に割り当てられているように振る舞うようになる。
【0063】
コミュニティの内部には、そのコミュニティで提供されているサービスを実現する機能を持つ装置1051〜1057と、これらの装置を接続するATMコネクション1061〜106Bが設定されている。ここで示した例の場合、コミュニティで実現されているサービスはコネクションレスサービスであり、上記装置1051〜1057は、それぞれの端末1031〜1033、および、上記装置1051〜1057間のメッセージ転送を司るようになっている。
【0064】
ATMコネクション1061〜106Bは、それぞれ、ある特定のコミュニティに対応して設定することで、ATM通信網101内の通信資源の内、通信帯域コミュニティ毎に独占的に割り当てることが可能となり、それぞれのコミュニティで要求されるQosに従って通信帯域を割り当てることが可能となる。
【0065】
なお、これらのATMコネクションは、あらかじめATM通信網101の管理者により、設定されていてもよいが、後述するように、それぞれの装置1051〜1057、端末1031〜1933が必要に応じてATM通信網101にATMコネクションの設定を要求するように構成されていてもよい。
【0066】
また、これらのATMコネクションに割り当てられた帯域を、それぞれの装置1051〜1057や端末1031〜1033が必要に応じて増減を呼設定機能107に要求したり、これらのATMコネクションの解放を呼設定機能107に要求するようにしてもよい。
【0067】
これらのATMコネクションは、ポイント−ポイントであり、それぞれが独占的に割り当てられているため、サービスを実現する装置1051〜1057も、また、それぞれのコミュニティのサービス専用となっている。すなわち、あらかじめコミュニティに対応付けられたATMコネクションから、該コミュニティで提供されている通信サービスを提供するためのメッセージを受けとり、あらかじめ定められた方法に従って、同じコミュニティに対応付けられたATMコネクションを選択して送出している。このことからATM通信網101内の通信サービス実現能力もコミュニティ毎に割り当てられていることになる。結局、コミュニティを実現するための通信資源、通信帯域およびサービス実現手段が、それぞれコミュニティに割り当てられたことになる。
【0068】
図1に示したATM通信網101において、各端末1031〜1033が、それぞれのコミュニティに対してアクセスするためのATMコネクションの設定を呼設定機能107に要求する場合、それぞれのコミュニティを呼設定機能107が識別する必要がある。このために、それぞれのコミュニティに識別子が付与される。
【0069】
各端末1031〜1033は、このコミュニティを識別する識別子を呼設定要求に含めてコミュニティにアクセスするためのATMコネクションの設定を呼設定機能107に依頼する。呼設定機能107は、各端末1031〜1033が発する、コミュニティを識別するための識別子を含んだ呼設定要求をもとに、コミュニティにアクセスする時に使用するATMコネクションを設定することになる。コミュニティに付与される識別子は、呼設定機能107が処理する識別子であるため、基本的にATM通信網の管理者が付与することとなる。
【0070】
なお、この識別のための識別子としてE.164アドレスを流用することとすると、コミュニティサービスを実現するための呼設定機能107をQ.2931と呼ばれる、一般的にATMコネクションを設定するために使用するプロトコルを処理する呼設定機能が流用でき、コミュニティ実現のための実装およびコミュニティ維持のための運用コストを大きく削減することが可能となる。
【0071】
呼設定機能107が、それぞれのサービスを実現するための装置1051〜1057を識別するため、コミュニティを識別する識別子は、それぞれの装置毎に付与されていてもよい。この場合、あるコミュニティを識別し、そのコミュニティに対してATMコネクションを設定するために使用される識別子は、複数個存在することになる。なお、最近よく知られる受信者が料金を払う自動着信払い通話サービスのように、コミュニティ全体を代表するような識別子を別途付与する事としてもよい。
【0072】
この代表識別子が端末からの呼設定要求に含まれて呼設定機能107に渡された場合、呼設定機能107は、例えば、該呼設定要求を発した端末に最も地理的に近いサービスを実現するめの装置を選択して、該装置に対してATMコネクションを張ることとしてもよい。
【0073】
呼設定機能107における呼設定において、呼設定機能107はコミュニティを識別する識別子、要求された結果として設定されたATMコネクションを識別するための識別子(具体的にはVPI/VCI)を関係付け、その関係付けを設定を要求した要求元に提示する機能をもつ。
【0074】
一旦ATMコネクションが設定されてしまうと、以降、端末は呼設定のためにコミュニティに付与された識別子でなく、ATMコネクションに付与された識別子を用いてコミュニティを選択することが可能となる。なお、同一のコミュニティを識別する識別子に対して、複数のATMコネクションを識別するための識別子対応することもある。
【0075】
本発明は、各端末装置が、ATM通信網101上で、Q.2931と呼ばれるITU−T勧告の呼制御プロトコルに従って設定されるATMコネクションを用いて直接通信を行うことを不可能にするものではない。例えば、図1に示した実施形態では、端末#1(1031)と端末#3(1033)がATMコネクション1043を経由して通信を行っている。このような通信形態は、ベストエフォットによるコネクションレス網が本質的に持っている、メッセージ転送を保証しない、という性質を許容できないアプリケーション、例えば商品の発注とその確認、銀行口座への振り込みとその確認といったもの、を実行する場合に採用される。
【0076】
図2は、本発明に係るATM通信システムに含まれる端末装置が、ATM通信網内部のコミュニティに対してアクセスを行う場合の手順を示したフローチャートである。
【0077】
前述のように。それぞれの端末装置1031〜1033は、所望のコミュニティ(コミュニティ#1〜#3のいずれか)に対してアクセスを行う際、そのコミュニティにより提供される特定の通信サービスを識別するための識別子が必要となる(ステップ201)。前述のように、この識別子としては、例えば、ISDN番号として広く用いられているE.164アドレスが有効である。この識別子、すなわち、E.164アドレスは、例えば、利用者がその対応の端末装置に打ち込むようにしても良いし、また、利用者がディレクトリサービスを提供しているコミュニティから獲得したE.164アドレスであってもよい。
【0078】
ここで、利用者がコミュニティにアクセスする場合、必ずE.164アドレスを知らなければならないことに注意が必要である。この結果、それぞれのコミュニティにおいて、アクセスを拒絶したい利用者にE.164アドレスを通知しないことにより、悪意の利用者をコミュニティから排除する事ができる。また、それぞれのコミュニティが、該コミュニティを管理する責任者を選出することにし、該責任者が、ATM通信網を管理しているキャリアに、該コミュニティにアクセス可能なE.164アドレスのリストを提出することにすれば、該キャリアは、ATM通信網の持つQ.2931処理機能に該リストを入力しておくことができる。この結果、そのリストに与えられたE.164アドレス以外からの呼設定要求を拒絶するといった、セキュリティにより好ましい影響を与える機能を追加する事も可能である。
【0079】
なお、各コミュニティ毎に各利用者がアクセスに使用できる帯域が予め定められている場合、このステップで、それぞれの利用者が、端末装置に、コミュニティを指定するために与えたE.164アドレスと同時に、その予め定められたコミュニティに対するアクセス速度を与えることとしても良い。
【0080】
次に端末装置(#1〜#3のいずれか)は、ステップ201において与えられた情報から、Q.2931プロトコルに従って呼設定要求メッセージを作成し、該メッセージをATM通信網に予め定められたATMコネクション(ITU−T標準ではシグナリングVCと呼ばれる)を経由して転送することで、ATM通信網101(詳しくは、呼設定機能107)にコネクションの設定を依頼する(ステップ202)。
【0081】
ATM通信網101は、コネクション設定を依頼されると、与えられたE.164アドレスにて指定されるコミュニティと該端末装置の間にATMコネクションを設定する。端末は、ATM通信網101がコネクション設定を完了するまで待つ(ステップ203)。この時に、端末装置が、コミュニティに対するアクセス速度を含めてQ.2931メッセージを作成することで使用する通信帯域をATM通信網に申告できること、およびATM通信網がその速度のセルを転送可能なATMコネクションを設定できることは、ATM通信網の良く知られた利点である。
【0082】
必要なATMコネクションが設定されたことがQ.2931プロトコルに従って通知されると、端末装置は、設定されたATMコネクションを使用してコミュニティとの通信を行う(ステップ204)。ここでの通信は、コミュニティ毎に規定されるプロトコルによって行われる。例えば、あるコミュニティではIPプロトコルが実行されているかもしれないし、別のコミュニティではATMフォーラムのP−NNIが実行されているかもしれない。各端末装置は、コミュニティで使用されているプロトコルに合わせて必要な通信を行う。また、ディレクトリサービスのような、他の端末やコミュニティに関する情報を参照可能なコミュニティでは、IPプロトコルの様な他の端末や通信網構成に関する情報を容易に獲得可能なプロトコルではなく、ディレクトリサービスのみを実行するようなプロトコルが実行されることになっていても良い。これによって、通信網運用者は、ディレクトリサービスを実現しているコミュニティから、通信網構成に関する不要な情報流出を防ぐことができる。
【0083】
コミュニティとの通信が終了すると、端末は、そのまま設定されたコネクションを保持しておくこととしても良いが、通信網使用料金を削減するため、コネクションを解放する事としても良い。コネクションを解放する場合は、Q.2931プロトコルに従って呼解放メッセージを作成し、該作成したメッセージをシグナリングVCを用いてATM通信網101(詳しくは、呼設定機能107)に与え、使用していたコネクションを解放する。
【0084】
本発明のATM通信システムにおいて、公衆網は、それぞれのコミュニティを実現する通信資源を維持管理するために必要な費用を、それぞれのコミュニティの構成員の人数で割った額を、各構成員から(例えば月極で)徴収する事としても良い。それぞれのコミュニティを実現する通信資源は、上で述べたATMコネクションの帯域と、サービスを実現する装置(後に、インターネットサーバと呼ぶこともある)である。
【0085】
本発明は、ATMコネクションの帯域と、(もしあれば)インターネットサーバ中の計算能力をそれぞれのコミュニティに独占的に割り当てる事をその大きな特徴として構成されるが、この特徴より、これらの通信資源から利益を得ているコミュニティの構成員を(例えば、コミュニティへの参加端末のリスト、もしくはコミュニティへのアクセスを行った端末のリストという形で)管理する事が可能である。
【0086】
インターネットサーバ中の計算能力は、公衆網の管理者が予めコミュニティ毎に割り当てることとしており、また、各端末毎のATMコネクションの帯域の使用状況の把握は、ATM公衆網として、例えば後で述べる公衆網の呼設定機能が、本発明を実施の如何にかかわらず課金を行う為に持つべき機能である。よって、それぞれのコミュニティが毎月、どの程度の通信資源を使用しているか、公衆網の管理者が容易に把握する事が可能である。
【0087】
一方で、IP(インターネットプロトコル)の様な、単一のコネクションレスのベストエフォット通信網上の例えばWWWといったアプリケーション群は、これらのアプリケーションを利用する利用者によって共有され、これらの構成員は等しく利益を得ていると見なすことができる。普段これらのアプリケーションにアクセスしないとしても、例えばWWW上で、コミュニティの別の構成員が作成したデータであるとか、例えばフリーソフトウェアであるとかいったものをこの構成員は利用する事ができる。これらより、前述したように、コミュニティへの参加構成員の人数で、該コミュニティの通信資源の維持管理に必要な費用を割った額を各構成員から徴収する事が、公衆網としての公平な課金につながる。
【0088】
ここで、端末装置とコミュニティとの通信は、コミュニティと各端末装置を接続するATMコネクションを必ず経由する、事に注意が必要である。すなわち、それぞれの端末装置がコミュニティから受け取る利益の指標のひとつとして、該ATMコネクションの設定されている時間、かつ/または、該ATMコネクションを通過した情報量を選ぶ事ができる。ここから、ATM通信網の管理者が、通常のATMコネクションに対する課金法と同様、コミュニティとのコネクションが設定されている時間に比例して、各端末装置に対して使用料を要求する事としてもよい。
【0089】
また、ATMコネクション上を通過するトラフィックを計測し、そのトラフィック量に比例した課金を行うこと、即ち流量課金を行うことも可能である。流量課金を行う場合の計測対象のトラフィックとして、各端末が送出した情報量を選択することも可能である。しかしながら、WWWサービスの様に、データベースに登録された情報を読む事が主目的のサービスを提供するコミュニティの場合、利用者が送出する情報量よりも受信する情報量の方が多い。そこで、こういったサービスにアクセスする為のATMコネクションでは、端末が受信した情報量に比例した料金を課金するようにしてもよい。もちろん、各端末が送出した情報量と受信した情報量を加えた値に比例した料金を課金するようにしてもよい。
【0090】
次に、「コミュニティの実現」について説明する。
【0091】
各コミュニティでは、各コミュニティに特有の通信サービス、例えばベストエフォットのコネクションレス通信等が行われており、基本的には、これら各コミュニティでその利用者に対して提供される特定の通信サービスを提供するための通信機器をATMコネクションで接続することでコミュニティを実現することができる。すなわち、「コミュニティの実現」とは、そのコミュニティに特有の通信サービスを、特定の利用者に排他的に提供することである。
【0092】
例えば、IPによるベストエフォットのコネクションレス通信を提供するコミュニティでは、前記通信機器ではIPプロトコルが実行されることになり、また、ATMフォーラムによるP−NNIを実現するのであれば、P−NNIによるATMコネクション設定の為のプロトコルが実行されることになる。
【0093】
図2のフローチャートを参照して説明した、利用者によるコミュニティアクセスとは、具体的には、利用者の端末装置とコミュニティを構成している特定の通信サービスを提供するための通信機器との間にATMコネクションを設定することに相当する。
【0094】
なお、コミュニティ毎に提供される特定のプロトコルによる特定の通信サービスを実現する通信機器を、ここではインターネットサーバと呼ぶ。
【0095】
本発明の特徴をなすコミュニティの実現手法は2種類考えられる。ひとつは、公衆網にベストエフォットのコネクションレス網等のコミュニティで提供されるサービスを実現するための機能をまったく要求しない場合で、もうひとつは、公衆網にこのサービスを実現するための機能を要求する場合である。例えば、より高度なネットワークレイヤプロトコルであるとか、より高度なサービスであるとかいったものを限られた数の利用者に提供する場合は前者が適用され、ある程度固まったサービスをより多くの利用者に提供する場合は後者が適用されることとしても良い。前者を小規模コミュニティ、後者を大規模コミュニティと呼ぶ。
【0096】
なお、もともと小規模であったコミュニティを大規模に移行するのが容易であるのも、本発明の有効性のひとつである。
【0097】
さらに、小規模コミュニティと同様の方法で、一般の利用者に開放されない、より機密性の高いコミュニティを構築することも可能である。
【0098】
まず、本発明の第1の実施形態に係る小規模コミュニティを実現するためのATM通信システムについて説明する。なお、以降では、コミュニティにおいてIPによるベストエフォットのコネクションレス網のサービスが提供されるものとして説明を進める。
【0099】
図3は、公衆網にベストエフォットのコネクションレス網を実現するための機能を要求することのない小規模コミュニティを実現するATM通信システムの構成を概略的に示したものである。
【0100】
図3には、ATMフォーラムのIPオーバーATMワーキンググループにおける議論でのいわゆるオーバーレイモデルの技術を適用したATM−LANにより構成された私設網(#1〜#3)3011、3012、3013を公衆網302上に、本発明の1つである呼制御プロトコルに従って設定されたATMコネクション3041、3042を用いて接続されているところを示している。
【0101】
各私設網3011〜3013内の端末装置で、ベストエフォットのコネクションレス網サービスを利用する端末装置は、対応する私設網内のインターネットサーバ3031、3032、3033とATMコネクションによってポイント−ポイントに接続される。利用者がコミュニティにアクセスするため、各端末装置とインターネットサーバの間でATMコネクションにて通信を行う必要があるが、この為に、私設網#1(3011)と#2(3012)ではハブ(ATM−LAN用の簡易ATM交換機)が設けられている。私設網#3では、端末装置がインターネットサーバ3033に直結している。
【0102】
私設網3011、3012、3013内およびこれらの私設網間ではインターネットのルーティングプロトコルにてメッセージのルーティングが提供されている。ここでのルーティングプロトコルは、例えば、RIPと呼ばれるルーティングプロトコルであって良い。ルーティングプロトコルは、各インターネットサーバ3031〜3033において実行される。
【0103】
各インターネットサーバ3031〜3033では、ATMコネクションをIPで言うところの物理ネットワークと見なし、IPアドレスとATMコネクションとの関連づけを行い、受信したメッセージの宛先IPアドレスを参照して必要なATMコネクションへと転送する。それぞれの私設網3011〜3013にはIPサブネットアドレスが割り当てられ、リンクバイリンクの中継の原理に従って必要ならばIPのメッセージを中継する。
【0104】
リンクバイリンクにメッセージをルーティングするため、各インターネットサーバ3031〜3033はATMコネクション3041、3042を経由してルーティング情報をやりとりしている。さらに、それぞれの私設網3011〜3013には、IUT−T標準に従ってQ.2931プロトコルによってATMコネクション設定を行う呼設定機能が設けられている。
【0105】
この呼設定機能と各端末、および、インターネットサーバには、呼設定機能に対し、ATMコネクションの設定要求を行うためのシグナリングメッセージを転送できるように、ITU−T標準に従ってシグナリングVCが設定されているが、図が煩雑になるのを防ぐため、図3ではシグナリングVCは示していない。
【0106】
図4は、図3に示したATM通信システムの一部のプロトコルスタックの一例を示したものである。
【0107】
図4では、例えば、私設網#2(3012)と私設網#1(3011)が公衆網302を経由して通信する場合の一形態について示している。
【0108】
私設網3031〜3033内部の各端末装置は、いわゆるATM端末として良く知られた機能を持つ端末装置、即ちユーザ情報をセル化して送出することのできる端末装置である。
【0109】
アプリケーションの発生したメッセージは、TCPレイヤ、IPレイヤを経由することでIPメッセージとなり、AAL(ATM Adaptation Layer)に渡される。IPメッセージをATM通信網にて転送可能な形式に変形する手法は良く知られた手法である。即ち、AALにてIPメッセージを細分化してセル化し、ATMレイヤにて必要なATMセルヘッダを付与し、phyレイヤにてこれらのセルを伝送路上に定義された伝送構造に乗せ込み、インターネットサーバに向けて送出する。
【0110】
私設網3031〜3033内部のハブは、単にATMレイヤにおけるセルのスイッチングを行うのみである。私設網のハブにおけるセルのスイッチングを行うために必要な、ATMコネクションの設定は、それぞれの私設網の呼設定機能がITU−T標準にて規定される手法に従って実行する。それぞれの呼設定機能は、ATMレイヤのコネクションを設定するためにハブを制御することになる。
【0111】
ユーザが、所望のコミュニティに対してアクセスを行う場合、まず、その端末装置と、その端末装置を含む自私設網内のインターネットサーバ間にATMコネクションを設定する必要がある。
【0112】
この動作について図4を参照して簡単に説明する。図2を参照して説明したように、まず、私設網#2において、ユーザが、例えば、E.164アドレス等の情報を対応の端末装置に入力すると、端末装置は、その入力されたE.164アドレス等の情報をもとに、Q.2931プロトコルに従って呼設定要求メッセージを作成し、該メッセージを私設網内に予め定められたATMコネクション(ITU−T標準ではシグナリングVCと呼ばれる)を経由して転送することで、私設網内の呼設定機能3061にコネクションの設定を依頼する(図2のステップ201〜202)。私設網内の呼設定機能3061は、コネクション設定を依頼されると、与えられたE.164アドレスにて指定される自施設網内のインターネットサーバ3032と該端末装置の間にATMコネクションを設定する。これにより、自私設網内のハブによるスイッチングを介して該端末装置から発生されたメッセージが自私設網内のインターネットサーバ3032へ向けて転送されるATMコネクションが設定されたことになる。
【0113】
さて、ATM通信網上でコネクションレスサービスを実現するため、ITU−T標準にて規定されるコネクション設定機能の他に、前述した様に、ATM通信網に特殊な機能が必要になる。ATMフォーラムのIPオーバーATMグループにおける議論に従うと、私設網に必要になる特殊な機能は以下のふたつである。ひとつは、宛先IPアドレスから次に転送されるべきルータ(次ホップルータ)のIPアドレスを得る動作、もうひとつは、次ホップルータへのATMコネクションが存在しない場合に、該ATMコネクションを設定するために必要なATMアドレスを次に転送されるべきルータのIPアドレスから得る動作である。
【0114】
本発明によるATM通信システムの場合、インターネットサーバがルータ相当の機能を実現している。図3に示した構成の場合、私設網3031〜3033内部にはそれぞれルータがひとつしか存在しないことになるので、私設網内部の端末から見ると、次に転送されるべきルータはそれぞれの私設網に存在するインターネットサーバとなる。
【0115】
しかしながら、もし複数個のルータが私設網3031〜3033に存在するならば、私設網内部でルータがIPメッセージを中継することも有り得る。このような状況に対応するために、IPオーバーATMワーキンググループにおける議論では、上述のふたつの特殊機能を私設網に要求している。
【0116】
図3に示した私設網3031〜3033では、これらの機能が呼設定機能に用意され、各端末装置には、これらの機能によって得られる相手私設網内のインターネットサーバのATMアドレスを用いて設定されたATMコネクション、即ちインターネットサーバとの間のATMコネクションが与えられるものとしている。
【0117】
各端末装置と相手私設網内のインターネットサーバの間にATMコネクションが設定されると、端末装置が相手インターネットサーバに向けてIPメッセージを転送する事が可能になる。なお、得られたATMアドレスを用いて必要なATMコネクションを設定するのは、ATMコネクションを設定するための機能としてITU−T標準にて規定される機能である。
【0118】
この通信は良く知られるように、具体的には以下のようになる。
【0119】
図4において、私設網#2(3012)内部のインターネットサーバ3032は、端末装置からセル流を受け取ると、phyレイヤ、ATMレイヤ、AALレイヤにおいて該セル流を良く知られた手法に従って順次処理し、セル流からIPメッセージを再生する。
【0120】
再生されたIPメッセージは、インターネットサーバ3032のIPレイヤに渡される。IPレイヤは、そのメッセージの宛先IPアドレスを参照し、どのATMコネクションに向けて送出するべきかを決定する。
【0121】
この時、IPのルーティングアルゴリズム(例えばRIP)を実行しているルーティング制御機能により常に更新されているルーティングテーブルを参照する。
【0122】
宛先IPアドレスからそのアドレスへ到達するためのATMコネクションの識別子(即ちVPI/VCI)を得ることができるように、ルーティング制御機能はルーティングテーブルに以下に詳細に述べる様な情報を設定している。なお、宛先IPアドレスを、ATMコネクションの識別子に対応付ける事が、即ち、IPでいうところの物理ネットワークとしてATMコネクションを見なす事に相当する。
【0123】
公衆網を経由して他の私設網へのメッセージの転送を実現するためには、転送先の私設網へのATMコネクションが設定されている必要がある。これは、予め私設網の管理者が、公衆網の管理者に対してVP(Vertual path)もしくはPVC(Parmanent Virtual Connection:固定接続)を設定しておくように依頼し、該VPもしくはPVCを経由してメッセージ転送が可能な様にIPレイヤのルーティングテーブルを設定しておくこととしても良いが、インターネットサーバ3031〜3033が自動的に必要なATMコネクション設定を公衆網に要求したり、不要になったATMコネクションの削除を行えるようにしておけば、公衆網から要求される使用料金の削減ができて望ましい。
【0124】
このために、本発明のATM通信システムに含まれるインターネットサーバには、ここでQ.2931Mレイヤと呼ぶ、本発明の特徴をなすレイヤが設けられる。このレイヤの存在が、本発明によるATM通信システムに含まれるインターネットサーバと、従来技術によるルータの間の差になっている。Q.2931Mレイヤは、公衆網の呼設定機能とシグナリングVCを経由して通信を行い、公衆網内部に必要なATMコネクションを設定させる動作を行う呼制御プロトコルレイヤであるが、このレイヤの動作については以降で詳しく説明する。以降の説明に従うと、このレイヤで、メッセージ毎に呼設定要求メッセージを送出する可能性があることから、メッセージ単位のQ.2931プロトコルという意味で、ここでの説明では、ITU−T標準の名前に”M”を付与して呼ぶこととする。
【0125】
各インターネットサーバ3031〜3033のQ.2931Mレイヤによって公衆網を経由するATMコネクションが設定されると、インターネットサーバは、宛先の私設網に向けて、該ATMコネクションを使用してIPメッセージを転送する。
【0126】
具体的には、図4の私設網#2(3012)内部のインターネットサーバ3032において、IPレイヤは、IPメッセージを、Q.2931Mレイヤを経由して公衆網との情報転送経路側のAALに渡す。AALは渡されたメッセージをセル流に変形し出力する。出力されたセル流は、ATMレイヤ、phyレイヤを経由して物理リンク上のフレーム構造上にマッピングされたセル流に変形され、公衆網の302ATM交換機へと送出する。
【0127】
公衆網302のATM交換機も、私設網内部のハブと同様、単にATMレイヤのスイッチングを行うだけである。公衆網のATM交換機によるセルのスイッチングの結果、所望の私設網にIPメッセージが転送される。
【0128】
IPメッセージの宛先となった相手インターネットサーバ3031では、公衆網302からIPメッセージを含むセル流を受け取ると、該セル流に順次phyレイヤ、ATMレイヤ、AALレイヤにて処理を加え、IPメッセージが再生される。その後、該再生されたIPメッセージはQ.2931Mレイヤを経由してIPレイヤに渡される。
【0129】
IPレイヤは、該IPメッセージの宛先アドレスにてルーティングテーブルを参照し、該メッセージをどの端末装置へのATMコネクションに向けて送出するべきか判断する。その後、送出すべきと判断されたATMコネクションに向けて、該メッセージを転送する。
【0130】
この結果、宛先端末のアプリケーションは、必要なメッセージを受信できることになる。
【0131】
以下、本発明の第1の実施形態に係るATM通信システムのインターネットサーバの構成及び動作について、より詳細に説明する。
【0132】
図5は、第1の実施形態に係るATM通信システムのインターネットサーバの内部構成を説明するための図で、特に、メッセージ転送経路における識別子の構成をに対応付けて示すものである。
【0133】
メッセージ転送経路における識別子は、受信したメッセージが何処からやってきたか、何処へ転送するかを指定するために使用されるもので、その構成はインターネットサーバの動作を大きく規定することから、本発明の実施において重要な役割を果たす。
【0134】
第1の実施形態であるATM通信システムのインターネットサーバは、少なくとも2本の物理リンクを収容する。ひとつの物理リンクは、公衆網との接続に使用され、もうひとつの物理リンクは、私設網内部の端末もしくはハブとの接続に使用される。
【0135】
公衆網との接続に使用される物理リンクと私設網との接続に使用される物理リンクには、該インターネットサーバ内のみで有効なポート番号が付与される。後ほど詳細に述べるように、インターネットサーバ内部では高スループットを提供するためにATMスイッチを使用することとしているが、このポート番号は、IPメッセージが入出力されるATMスイッチの入出力端を識別するために利用される。IPメッセージのルーティングという観点からすれば、どのIPメッセージがどの入力端から入力され、どの出力端に転送されるかを示すとも言える。
【0136】
それぞれの物理リンクの中には、IPメッセージを転送するためのATMコネクションが1本もしくは複数本設定される。これらは、ITU−T標準にて規定されているように、それぞれの物理リンクで一意なVPI/VCIによって区別される。
【0137】
VPI/VCIは、図2で説明したように、コミュニティアクセス用のE.164アドレスを用いて公衆網に必要なATMコネクション設定を依頼した結果、要求したコネクション設定が終了した時に公衆網から渡されるコネクション設定完了メッセージに含まれている。なお、その他に、公衆網の呼設定機能や私設網の呼設定機能との間にもITU−T標準に従ってシグナリングVCが設定されるが、図が煩雑になるのを防ぐため図5では示していない。これらのシグナリングVCも、IPメッセージを転送するためのATMコネクションと同様、それぞれの物理リンクでVPI/VCIを用いて識別される事はいうまでもない。
【0138】
それぞれの物理リンクがポート番号で識別され、それぞれの物理リンク上のATMコネクションがVPI/VCIで識別されることから、結局、本発明の一実施例であるATM通信システムのインターネットサーバが扱うATMコネクションは、ポート番号とVPI/VCIとを用いることで識別できることになる。
【0139】
IPレイヤは、私設網内部の内部接続を行うための物理リンク上に存在するphyレイヤ、ATMレイヤ、AALの上に存在している。私設網から渡されたIPメッセージを含むセル流に、phyレイヤ、ATMレイヤ、AALにて順次処理を施す事でIPメッセージが再生され、IPレイヤに渡される。
【0140】
IPメッセージのコネクションレス転送を実現するため、インターネットサーバのIPレイヤにはIPアドレスが付与されている。このIPアドレスにて、各インターネットサーバが識別される。なお、IPアドレスは、インターネットの管理規定に従い、各私設網の管理者がそれぞれの私設網に割り当てられたアドレス空間から自由に選択して付与できるものとする。
【0141】
ATMフォーラムにおけるIPオーバーATMワーキンググループで議論されてるコネクションレスサポート手法、および本発明によるコネクションレスサポート手法を実現する場合、ATMコネクションを私設網内のプロトコル、公衆網内のプロトコルそれぞれにて設定する必要がある。これの実現のためには、インターネットサーバにATMコネクション設定用のアドレスを付与する必要がある。
【0142】
本発明の第1の実施形態であるATM通信システムのインターネットサーバには、ATMフォーラムにおけるATMコネクション設定用アドレスであるATMアドレスと、現在の電話網で使用され、今後も使用されつづけるだろうと予測されるE.164アドレスが付加されている。
【0143】
公衆網側から該インターネットサーバを識別するときにはE.164アドレスが、私設網側から該インターネットサーバを識別するときにはATMアドレスが、それぞれ使用される。なお、E.164アドレスは公衆網側の管理者が付与するのに対し、ATMアドレスはIPアドレス同様、私設網の管理者が与えられた範囲の中から選択して付与する事に注意が必要である。
【0144】
本発明の一実施形態のATM通信システムに含まれるインターネットサーバの特徴をなすQ.2931Mレイヤは、これらのATMアドレスもしくはE.164アドレスを用いて私設網もしくは公衆網に対してコネクションレス通信の提供のためのコネクション設定を要求し、また私設網の他の部分もしくは公衆網からのコネクション設定要求に応答する。
【0145】
このように、それぞれのコミュニティが使用する通信資源を、それぞれのコミュニティに排他的に割り当てるため、Q.2931MレイヤとIPレイヤは、該インターネットサーバが特定の通信サービスを提供するコミュニティの数だけ準備される(図5では、コミュニティA、B…Xのそれぞれに、Q.2931MレイヤとIPレイヤが1対づつ対応している)。それぞれのIPレイヤは、それぞれのIPアドレスを持ち、また、それぞれのQ.2931Mレイヤは、それぞれのATMアドレスとE.164アドレスを持っている。
【0146】
AAL、ATMレイヤ、phyレイヤは、同一のものが複数のコミュニティで共有されることになるが、この上に設定されるATMコネクションに対して確定的に通信帯域を割り当てている、即ち、ピークレートで通信帯域を割り当てているので、それぞれのコミュニティに排他的に通信帯域を割り当てていることとなり、結局、それぞれのコミュニティが、そのコミュニティにアクセス可能な特定の利用者に提供する特定の通信サービスを実現するための通信資源が、それぞれのコミュニティに排他的に割り当てられることとなる。
【0147】
従って、例えばあるコミュニティのQ.2931MレイヤとIPレイヤのスループットを向上させたければ、これらの機能を実現するプロセッサの能力を向上させる、であるとか、ATMコネクションに割り当てる通信帯域を大きくするとかいった手法により、それぞれのコミュニティに提供するQoSの制御が可能になると同時に、どのコミュニティがどの通信資源を利用しているか明確に把握することが可能で、公平な課金を実現することもできるようになる。
【0148】
このように、各インターネットサーバでは、特定の通信サービスを提供するための通信資源は、その特定の通信サービス毎に、各IPレイヤに付与されたIPアドレス、および、相手インターネットサーバとの間にATMコネクションを設定するために必要なE.164アドレスあるいはATMアドレスで識別することにより、そのコミュニティにアクセス可能な特定の利用者に対して排他的に割り当てられることとなる。
【0149】
次に、本発明の第1の実施形態のATM通信システムのインターネットサーバに含まれるIPレイヤとQ.2931Mレイヤの機能および動作について、図6を参照して説明する。
【0150】
なお、図6では、ひとつのコミュニティに対応するIPレイヤとQ.2931Mレイヤについて示している。また、インターネットサーバの、phyレイヤ、ATMレイヤ、AALの機能は後ほど詳細に説明される。ここでは、IPレイヤおよびQ.2931Mレイヤが、受け取ったIPメッセージが入力されてきたATMコネクションを識別できるように、下位レイヤからポート番号及びVPI/VCIの通知を受けること、及び、IPレイヤおよびQ.2931Mレイヤが、IPメッセージを送出する時に、ポート番号及びVPI/VCIを指定することで、所望のATMコネクションを指定することを仮定して説明をすすめる。
【0151】
図6において、IPレイヤ601はルーティングテーブル602を有する。このルーティングテーブル602は、ルーティング制御機能609により維持管理される。基本的には、IPレイヤ601は、IPメッセージを受け取ると、該IPメッセージを送出すべきATMコネクションをルーティングテーブル602を参照することで知り、所望のATMコネクションに向けて送出する。
【0152】
一方、Q.2931Mレイヤ603は、コミュニティテーブル604、発呼制御機能605、着呼制御機能606、トラフィック監視機能607、セキュリティ機能608を有する。
【0153】
ルーティングテーブル602は、IPで言うところの物理ネットワークとしてATMコネクションをみなす操作、即ち、受け取ったIPメッセージを送出すべきATMコネクションを識別する操作に必要な情報が含まれている。具体的には、IPレイヤが受け取るIPメッセージの宛先アドレスとして出現する可能性のあるIPアドレス群と、該IPアドレス群のそれぞれのIPアドレスに対して、該IPアドレスを宛先アドレスとして持つIPメッセージを送出すべき物理ネットワークを識別するため情報、即ち、VPI/VCI値及びポート番号が対応づけられた情報である。
【0154】
ルーティングテーブル602は、具体的には以下の様な構成を持つ。
【0155】
ルーティングテーブル602は、複数のエントリを含む。IPレイヤ601は、ルーティングテーブル602を参照する場合、これら複数のエントリのひとつを指定する。これらのエントリ中には、IPアドレス、VPI/VCI値、ポート番号が保持されている。ひとつのエントリにIPアドレス、VPI/VCI値、ポート番号を含ませることで、IPアドレスと、VPI/VCI値とポート番号の組を対応づけている。
【0156】
それぞれのATMコネクションから本発明の第1に実施形態であるATM通信システムのインターネットサーバに入力されるIPメッセージを含むセル流から、phyレイヤ、ATMレイヤ、AALの働きによって抽出されたIPメッセージは、IPレイヤ601に渡される。
【0157】
該インターネットサーバの場合、私設網への接続を行っている物理リンクからのIPメッセージは、対応するAALから直接IPレイヤ601に渡されるが、公衆網への接続を行っている物理リンクからのIPメッセージは、一旦Q.2931Mレイヤ603を経由してIPレイヤ601に渡される。
【0158】
公衆網から入力されるIPメッセージは、後ほど詳細に述べるように、Q.2931Mレイヤ603におけるトラフィック監視機能607やセキュリティ機能608の処理対象となりうる。
【0159】
IPレイヤ601は、ルーティングテーブル602を以下の様に参照し、受信したIPメッセージのルーティングを行う。IPレイヤ601は、IPメッセージを受信すると、ルーティングテーブル602のエントリを順次参照し、該受信したIPメッセージの転送先IPアドレスと一致するIPアドレスを含むエントリの内容を読み出す。読み出したエントリに含まれるVPI/VCI値とポート番号にて、該IPメッセージを送出すべきATMコネクションを知り、該ATMコネクションに向けて該IPメッセージを送出する。
【0160】
IPレイヤ601から物理リンクに向けて送出されるIPメッセージのうち、私設網に向かうIPメッセージは対応するAALに直接渡されるが、公衆網に向かうIPレイヤは一旦Q.2931Mレイヤ603を経由してから対応するAALに渡されるものとしている。後ほど詳細に述べるように、公衆網に送出されるIPメッセージは、Q.2931Mレイヤ603におけるトラフィック監視機能607やセキュリティ機能608の処理対象となりうる。
【0161】
IPレイヤ601に含まれるルーティングテーブル602は、IPプロトコルに対応したルーティングプロトコル(例えばRIP)を実行するルーティング制御機能609によって維持されている。例えば、私設網側で新たに追加された端末に対してATMフォーラムのIPオーバーATMワーキンググループでのコネクションレスサポート法に従ってコネクションが設定された場合や、公衆網を経由するインターネットサーバ間のATMコネクションが追加された場合等の様に、コミュニティのトポロジに変化が生じた場合、ルーティング制御機能609がその端末に対応するエントリをルーティングテーブル602に書き込むと同時に、この事を他のインターネットサーバに対して必要に応じて通知する。この動作は、例えばIPプロトコルの場合、前述のRIPやICMP(Internet Control Message Protocl)と呼ばれる制御用のプロトコルによって実行されるが、その詳細は本発明の有効性に関係ないので、ここではその詳細は特に限定せずに説明を進める。
【0162】
受け取ったIPメッセージを送出するATMコネクションが予め設定されていない時に対しては、ここで説明しているインターネットサーバでは、以下のようにして新しいATMコネクションの設定を私設網もしくは公衆網の呼設定機能に要求することとしてもよい。なお、ここで要求するATMコネクションは、もちろん、確定的に通信帯域の割り当てられたATMコネクション、即ちピークレートにより帯域の割り当てられたATMコネクションである。
【0163】
受け取ったIPメッセージの宛先IPアドレスがルーティングテーブル602に登録されていなければ、その宛先IPアドレスとの通信に必要なATMコネクションがまだ設定されていないと解釈する。この場合、その宛先IPアドレスとの通信を行うためのATMコネクションを新たに設定する必要がある。これを実現するため、IPレイヤ601は、該メッセージをQ.2931Mレイヤ603に渡す。
【0164】
Q.2931Mレイヤ603は、IPレイヤ601よりIPメッセージを受け取ると、コミュニティテーブル604に従って必要なATMコネクションを設定可能か否かを判断し、設定可能ならばATMコネクションを設定するように公衆網もしくは私設網の呼設定機能にQ.2931プロトコルに従って要求する。この動作は、Q.2931Mレイヤ603の発呼制御機能605によって行われる。
【0165】
発呼制御機能605は、IPレイヤ601から渡されたIPメッセージの宛先IPアドレスをとりだし、コミュニティテーブル604中に該IPアドレスが登録されているか否か検索する。コミュニティテーブル604は、宛先IPアドレスから、該IPアドレスを持つメッセージを転送すべき先(通信相手の私設網、もしくは後ほど詳細に説明する公衆網内部のインターネットサーバー、もしくは自私設網内の端末や既存技術によるルータ)のE.164アドレスあるいはATMアドレス、及び、ポート番号を知ることのできるテーブルである。
【0166】
発呼制御機能603は、コミュニティテーブル604を参照し、受け取ったIPメッセージの宛先IPアドレスから、コネクション設定を行う相手の(E.164アドレスあるいはATMアドレス)、及び、ポート番号を知り、その後Q.2931プロトコルに従って、公衆網あるいは私設網の呼設定機能に該E.164アドレスあるいはATMアドレスを着呼先とするATMコネクションの設定を依頼する。公衆網側にATMコネクションの設定を依頼するか、私設網側にATMコネクションの設定を依頼するかは、ポート番号によって示される。
【0167】
要求されたコネクション設定が終了すると、公衆網もしくは私設網の呼設定機能は当該ATMコネクションを識別するVPI/VCIを呼設定完了メッセージに含めて送り返すので、発呼制御機能605は該VPI/VCIと該ATMコネクションが設定されたポート番号、及び前記宛先IPアドレスとを組にしてルーティング制御機能609へと通知する。
【0168】
ルーティング制御機能609は、発呼制御機能605からの通知を受け取ると、その内容をルーティングテーブル602に登録する。
【0169】
ここで、発呼制御機能605が直接ルーティングテーブル602を更新するようにここで説明しているインターネットサーバを構成しても構わないが、ルーティング制御機能609が実行しているルーティングプロトコルの種類によっては、ルーティング制御機能609はIPメッセージの流量に従ってルーティングテーブルの内容を動的に変更している可能性があるので、発呼制御機能605から一旦ルーティング制御機能609に該IPアドレスとVPI/VCI及びポート番号の組を通知し、その後ルーティング制御機能609がルーティングテーブル602に登録する事とする。この様に、ルーティングテーブル602の情報内容をルーティング制御機能609が一元化して管理することで、ルーティングテーブル602の内容の論理的一貫性を保つことが容易になる。
【0170】
ルーティングテーブル602に一旦IPアドレスとVPI/VCI及びポート番号が登録されると、当該IPアドレスを含むIPメッセージのルーティングを、IPレイヤ601が単独で実行できるようになる。
【0171】
以上、本発明の第1の実施形態であるATM通信システムに含まれるインターネットサーバにおけるIPメッセージのルーティング法について概説したが、これをより詳細に記述したのが図7、図8に示したフローチャートである。図7、図8に示すフローチャートには、IPレイヤ601、Q.2931Mレイヤ603の発呼制御機能605、及びルーティング制御機能609の動作が同時に記載されている。
【0172】
まず、図7を参照し、IPレイヤ601がIPメッセージを受信したことによる一連の動作を説明する。
【0173】
IPレイヤ601がメッセージを受信すると(ステップ701)、IPレイヤ601は、そのメッセージから宛先IPアドレスを抽出し(ステップ702)、該IPアドレスをキーとしてルーティングテーブルを参照し、該IPアドレスがルーティングテーブル602に含まれるか否か判断する(ステップ703)。
【0174】
ルーティングテーブル602に該IPアドレスが含まれているなら、ステップ704に進み、ルーティングテーブルから送出コネクションのVPI/VCI、ポート番号を得(ステップ704)、該VPI/VCIを用いて受信したメッセージをセル化し、ポート番号で指定された物理リンクへ送出する(ステップ705)。これにより、所望の私設網へとIPメッセージを転送する事ができる。
【0175】
一方、ステップ703でルーティングテーブル602に受信メッセージの宛先IPアドレスが含まれていないなら、ステップ706に進み、IPレイヤ601は、そのIPメッセージをQ.2931Mレイヤ603に渡す。IPメッセージが渡されると、Q.2931Mレイヤ603の発呼制御機能605は、該メッセージから宛先IPアドレスを抽出し、該宛先IPアドレスをキーとしてコミュニティテーブル604を参照する(ステップ706)。このコミュニティテーブル604の参照が本発明におけるIPメッセージのルーティングの特徴をなし、本発明によるATM通信システムに公衆網として必要なセキュリティの高さや、ネットワークレイヤレベルでのなりすましによる攻撃を防いでいるのは、上述した通りである。
【0176】
ステップ706で、コミュニティテーブル604に宛先IPアドレスが登録されていないと、ステップ710に進み、当該IPアドレスへのアクセスが許可されていないものとして受信したIPメッセージを廃棄する。
【0177】
一方、ステップ706で、コミュニティテーブル604に、宛先IPアドレスが登録されているならば、ステップ707に進み、発呼制御機能605は、コミュニティテーブル604から得たE.164アドレスあるいはATMアドレス、およびポート番号を得る(ステップ707)。なお、このステップ707で、宛先IPアドレスに向かって設定されるコネクションの宛先IPアドレスにて示されるコミュニティにおける最大アクセス速度(即ちピークレート)を発呼制御機能605が得るようにしても良い。これは、コミュニティテーブル604の各IPアドレス毎のエントリに、当該コミュニティへの最大アクセス速度を登録するようにしておけば容易に実現可能である。
【0178】
次に発呼制御機能605は、当該E.164アドレスあるいはATMアドレスへの呼が設定中であるか否かを調べる(ステップ708)。メッセージの受信間隔に比べて、公衆網もしくは私設網での呼設定時間は一般的には長い。例えば、メッセージは数十m秒単位で到着する可能性があるが、一方で呼設定に要する時間は数百m秒から数秒の間である。このため、呼設定中に現在設定中のコネクションを使用するメッセージが到着し、発呼制御機能605に渡される可能性がある。ステップ708は、この状況を検出するために必要である。ステップ708での、呼設定中か否かの判断は、コミュニティテーブル604のIPアドレス毎のエントリ中に1ビットのフラグ(呼設定中フラグ)を設け、該フラグがセットされていれば呼設定中、そうでなければ呼設定中ではないと判断するようにしても良い。
【0179】
ステップ708で呼設定中であるならば、ステップ710に進み、受信IPメッセージを廃棄する。もちろん、廃棄せずに発呼制御機能605が呼設定中に到着したIPメッセージを保持しておき、コネクションが設定されたならば保持しておいたIPメッセージを設定されたコネクションに向けて順次流すようにしても良い。しかしながら、これを実現すると、これは、例えば155Mbpsにて通信されるコミュニティへの呼設定に1秒かかるとすると、最大で155 MbitものIPメッセージを保持しなければならずコスト高を招く。また、コネクション設定中に到着したIPメッセージとコネクション設定後に到着したIPメッセージを矛盾無く設定されたコネクションに送出するには、ハードウェアとソフトウェアによる実装機能の境界があいまいになり、高スループットを得るための実装が困難になる、といった問題点が生じる。そこで、ここでは、呼設定中に到着したIPメッセージは廃棄することとしている。
【0180】
一方、ステップ708で呼設定中でないならばステップ709に進み、発呼制御機能605は、コミュニティテーブル604から得たE.164アドレスあるいはATMアドレスから、Q.2931プロトコルに従って呼設定要求メッセージを作成し、ポート番号にて指定される所望の通信網(公衆網もしくは私設網)にむけてそのメッセージを送出する。これと同時に、コミュニティテーブル604に呼設定中フラグが含まれている場合、該フラグをセットすることとしても良い。また、コミュニティテーブル604に、当該コミュニティへの最大アクセス速度が登録されている場合は、この最大アクセス速度を設定するコネクションに要求するピーク帯域かつ/または平均帯域とするべく、該呼設定要求メッセージに含ませてもよいことは言うまでもない。
【0181】
その後、前記呼設定要求メッセージ送出のトリガとなったIPメッセージは、廃棄される(ステップ710)。これは、ステップ708において、設定中のコネクションを使用するIPメッセージを廃棄することにしたことと同じように、これを保持しておくことによる種々のシステム実装上の困難を回避するために選択された動作である。幸い、IPはベストエフォットであるので、設定中のコネクションを使用するIPメッセージを廃棄することに問題はない。
【0182】
次に、図8を参照し、図7の動作の結果、私設網もしくは公衆網の呼設定機能に対し送出される可能性のある呼設定要求メッセージによってコネクション設定が終了した場合に、私設網もしくは公衆網の呼設定機能から渡される、呼設定完了メッセージを受信した場合の動作について説明する。
【0183】
呼設定完了メッセージを受信すると(ステップ801)、発呼制御機能605Q.2931Mレイヤ603は、受け取ったメッセージを参照し、コネクション設定に成功したか否かをまず調べる(ステップ802)。コネクション設定に失敗していたなら、なにもせずに終了する。一方、ステップ802で、コネクション設定に成功していたなら、ステップ803に進み、発呼制御機能605は、該呼設定完了メッセージに含まれる、設定したATMコネクションを識別するためのVPI/VCIを、そのコネクションを設定する要求を出すトリガとなったIPメッセージの宛先IPアドレス、及び該コネクションが設定されたポート番号と共にルーティング制御機能609に通知する(ステップ803)。これと同時に、従来技術によるATM交換機同様、ATMレイヤ、AALに対してコネクション設定時に必要な操作を施さなければならないことは言うまでもない。例えば本発明者が特開平4−100451号公報で開示した手法など、ATMコネクションの設定のためのハードウェア制御手法は種々存在する。しかしながら、これは本発明の有効性には何等影響を与えないので、ここで説明しているインターネットサーバにおいては、このコネクション設定時に必要な操作は、該インターネットサーバの全体制御機能(図示せず)にて行われ、Q.2931Mレイヤ603は、必要に応じて該全体制御機能に必要な設定を行うことを指令できるものとして説明をすすめる。
【0184】
ルーティング制御機能609は、宛先IPアドレス、VPI/VCI、ポート番号が通知されたならば、その情報を用いてルーティングテーブル602の更新を行う(ステップ804)。ルーティング制御機能609は、ルーティングテーブル602の更新が終わったなら、そのことを発呼制御機能605に通知しても良い。コミュニティテーブル604に呼設定中フラグが含まれている場合、発呼制御機能605は、ルーティングテーブルへの当該IPアドレスの登録が終了したならば、対応する呼設定中フラグをリセットする。
【0185】
本発明の第1の実施形態であるATM通信システムでは、コネクションレスサービスの提供のために、必要に応じてATMコネクションをQ.2931プロトコルを用いて設定することとしている。これは、即ち、ATM通信システムのインターネットサーバに対して、ATMコネクションの着呼が発生することを意味している。
【0186】
次に、ATMコネクションの着呼時に該インターネットサーバが実行する動作について詳細に説明する。図6に示したインターネットサーバにおいて、着呼は、Q.2931Mレイヤ603の着呼制御機能606が処理する。
【0187】
公衆網もしくは私設網の呼設定機能から送られてきたQ.2931プロトコルによる着呼を表すメッセージ(着呼メッセージ)は、Q.2931Mレイヤ603の着呼制御機能606に渡される。
【0188】
着呼制御機能606は、着呼メッセージを受け取ると、ATMレイヤ、AALレイヤに対する必要設定を前記全体制御機能(図示せず)に指示する。これによって、新たに設定されたATMコネクションによる通信が可能になるので、ルーティング制御機能609が行っているRIPによるルーティング情報の配布が行き渡ると、IPメッセージのルーティングが可能になる。その後、着呼制御機能606は、着呼を受け付けたことを示すメッセージ、すなわち、着呼受付メッセージをQ.2931プロトコルに従って作成し、私設網もしくは公衆網の呼設定機能へと送り返す。
【0189】
ところで、Q.2931プロトコルによると、着呼メッセージ中に、該着呼メッセージの原因となった発呼を行った端末装置、即ち発側端末装置のE.164アドレスを含んでも良いことになっている。これを実行するか否かは、公衆網を運用する各運用業者の判断によっているが、着呼メッセージ中に発側E.164アドレスが含まれていると、該着側アドレスを用いて、以下のように着呼制御機能606が着呼規制をかけることも可能になる。
【0190】
即ち、Q.2931Mレイヤ603の着呼制御機能606が着呼メッセージを受け取ると、該着呼メッセージから発側E.164アドレスを取り出し、該E.164アドレスがコミュニティテーブル603に登録されているか否かを調べる。発側E.164アドレスがコミュニティテーブル603に登録されていれば、該着呼を受け付けることとし、前述の着呼受付時の手順を実行する。
【0191】
一方、該発側E.164アドレスがコミュニティテーブル603に登録されていなければ、該着呼は、自分に対するアクセスを許可していない端末装置もしくは私設網からのものであるとし、着呼を拒絶する。具体的には、Q.2931プロトコルに従って着呼拒絶メッセージを作成し、私設網もしくは公衆網の呼設定機能へと渡す。
【0192】
ここで、IPアドレスが端末毎に自由に設定できるのに対し、公衆網のE.164アドレスが物理リンク毎に公衆網の管理者が予め付けておくアドレスであることに注意が必要である。このため、IPメッセージ中の送出元アドレスフィールドの内容は端末の利用者が勝手に書き換えることが可能であるのに対し、着呼メッセージ中の発側E.164アドレスフィールドの内容は、例えば、公衆網で、物理リンクに付加したE.164アドレスと発呼要求メッセージの発側E.164アドレスフィールドの内容の一致を確認し、一致していない場合に該発呼要求メッセージを廃棄するといった手法により、端末装置の利用者が勝手に書き換えることが不可能であるようにすることができる。
【0193】
このように、公衆網から渡された着呼メッセージ中の発側アドレスは、IPメッセージの送出元アドレスフィールドと異なり、信用できる。よって、着呼メッセージの発側E.164アドレスによる着呼規制はシステムのセキュリティ向上に大きな貢献をもたらす。
【0194】
さらに、着呼メッセージ中に発側E.164アドレスが含まれ、着呼規制のために該発側E.164アドレスをキーとしてコミュニティテーブル604を参照することにすれば、参照の結果として該E.164アドレスによりアクセス可能な端末装置もしくは私設網のIPアドレスを得ることができるので、この情報をルーティング制御機能609に通知することとしてもよい。ルーティング制御機能609は、通知された情報によりルーティングテーブル602を更新する。これにより、RIPによるルーティング情報更新よりも迅速にIPメッセージの交換を開始することが可能になる。
【0195】
次に、図6の説明に戻る。
【0196】
ここでは、Q.2931Mレイヤ603の持つ、コネクション設定以外の機能について詳細に説明する。これらは、セキュリティの向上、及び、通信料金の削減のための機能である。これらの機能を実現するために、Q.2931Mレイヤ603には、トラフィック監視機能607、及びセキュリティ機能608が設けられている。
【0197】
上述したように、公衆網に向けて送出されるIPメッセージは、IPレイヤ601からQ.2931Mレイヤ603を経由して公衆網側と転送される。また、公衆網側から入力されるIPメッセージは、Q.2931Mレイヤ603を経由してIPレイヤ601に渡される。この時、Q.2931Mレイヤ603は、これらのIPメッセージが転送されてきた、もしくは転送されるATMコネクション毎に、トラフィック監視機能607にて流れるメッセージ量を計測する事としても良い。
【0198】
このトラフィック計測値は、例えば、Q.2931Mレイヤ603が、流れるトラフィック量の少ないコネクションをルーティング制御機能609に通知することで、該流れるトラフィック量の少ないコネクションを切断して公衆網から要求される通信料金を削減するために使用されても良い。
【0199】
トラフィック量の少ないコネクションが通知されると、ルーティング制御機能609は、自らが保持するルーティング情報を参照し、該コネクション上を流れるIPメッセージを他のコネクションを用いて所望の宛先へと転送可能か否か判断し、転送可能ならば、トラフィック量の少ないコネクションを切断する事をQ.2931Mレイヤ603に許可すると共に、切断後も正常にコネクションレスのメッセージ転送が可能なように、ルーティングテーブル602の内容を更新する。
【0200】
公衆網で割当帯域に比例した課金が行われる場合、トラフィック監視機能607は、トラフィック量が少ないATMコネクションを発見すると、該ATMコネクションを切断する代わりに、該ATMコネクションにあらかじめ割り当てられた帯域と該トラフィック量を比較し、割り当てられた帯域が実際のトラフィック量より極端に大きい場合に、Q.2931プロトコルで定義されるであろう割当帯域変更要求によって該コネクションに割り当てられている帯域を小さくするようにしても良い。
【0201】
逆に、トラヒック監視機能607は、それぞれのATMコネクションに割り当てられた帯域より大きなトラヒック量を転送することを要求されているATMコネクションを発見すると、該ATMコネクションにあらかじめ割り当てられていた帯域と該トラヒック量を比較し、割り当てられた帯域が実際のトラヒック量より極端に大きい場合に、Q.2931プロトコルで定義されているであろう割当て帯域変更要求によって該コネクションに割り当てられている帯域を大きくするようにしてもよい。この割り当てられた帯域よりも大きなトラヒック量を転送することを要求されているATMコネクションの発見は、IPレイヤ内部に保持されるメッセージ量を観察することによって実行することが可能となる。
【0202】
IPレイヤから公衆網への、あるいは、公衆網からIPレイヤへのIPメッセージが通過するとき、Q.2931Mレイヤ603は、トラフィック監視によるATMコネクションの制御の他に、セキュリティ機能608によって、ATMコネクション毎に、流れるIPメッセージに対して種々のセキュリティを向上させる操作を行うこととしてもよい。
【0203】
例えば、私設網と公衆網の間で通信内容が盗聴されない様に、コネクション毎に、受け取るIPメッセージ、送出するIPメッセージの送出元アドレスや、IPメッセージ内部の情報に対して予め定められたアルゴリズムにて暗号化を行うこととしても良い。さらにまた、同一のコミュニティに対してアクセスするためのATMコネクションを一定期間に一回設定し直すことで、より盗聴されにくくしてもよい。
【0204】
全ての利用者が同一のコネクションレスのベストエフォット網を利用することになる従来技術に比べ、本発明によるATM通信システムにおいて提供されるコネクションレスのベストエフォット網は、ATM通信システムで提供する特定の通信サービス毎にコミュニティと呼ばれるコネクションレスのベストエフォット網を設け、該コネクションレスのベストエフォット網へのアクセスにATMコネクションを用いているので、上で述べたようなトラフィック監視による不要ATMコネクションの削除であるとか、セキュリティ機能であるとかいった、その特定の通信サービスにアクセス可能な利用者毎にその必要性の異なる機能の導入が容易である。
【0205】
同一のコミュニティの利用者は、同一のサービスを利用するので、それぞれの利用者が要求する通信品質(メッセージのディレイのみならず、利用料金であるとか、セキュリティ性であるとかも含めて)が、該サービスに要求される通信品質となり、同一のコミュニティの利用者の要求する通信品質が同一になる。この結果、従来技術によるコネクションレスのベストエフォット網で度々発生した問題、すなわち、例えば、古くからインターネットを利用して実験データのやりとりを行っていた物理学者にとって、WWW上での動画像サービスは実験データのやりとりにかかる時間を伸ばすだけの邪魔なサービスあるといった、ある通信サービスがある利用者にとっては有効であるが、別の利用者にとっては邪魔であるといった状況が発生しなくなる。
【0206】
この結果、トラフィック監視を行ったりセキュリティを強化する機能を付加したりといった事に対して同一コミュニティの利用者の意思統一が図りやすく、これらの利用者毎にその要求度の異なるサービスも容易に導入可能である。
【0207】
コネクションレス網の場合、メッセージ毎に該メッセージが転送される通信網内部の経路が異なる可能性があるので、このような機能を実現するためには通信網全体に均一にこれらの機能を配備しなければならず、特に大規模な通信を考えた場合に、これらの利用者毎に要求度の異なるサービスを導入するのは大変困難である。
【0208】
一方で、本発明によると、コミュニティ毎にアクセスに利用するATMコネクションが異なるため、それぞれのコミュニティで要求される機能をそれぞれのコミュニティにアクセスするためのATMコネクション上で動作させることで、コミュニティ毎に異なる機能を容易に提供する事が可能になる。
【0209】
なお、ルーティング制御機能609の定期的なルーティング情報のやりとりによってルーティングテーブル602がルーティング制御機能609によって自動的に書き換えられるのとは異なり、コミュニティテーブル604の内容は、上述の様に、私設網の管理者がその内容の維持管理を直接行うものとする。これによって、RIP等のインターネット系のルーティング手法とは異なり、ルーティング情報が定期的に通信網内部を流れるという、セキュリティ上大きな問題の発生する可能性のある状況を、少なくともコミュニティにアクセスするために必要なE.164アドレスに関して避ける事ができ、悪意の利用者からのなりすましによる攻撃等を防ぐことができる。
【0210】
なお、上述の説明から明らかなように、小規模コミュニティの実現手法の場合、公衆網上でメッセージが蓄積される事がないので、この実現手法は、特にそのコミュニティ内部の通信の秘密を守らなければならない場合にも適用する事ができる。
【0211】
また、上述の説明から明らかなように、ある私設網に対してアクセスするためには、該私設網がベストエフォットのコネクションレス網サービスを提供する窓口としているE.164アドレスを知る必要があることに注意が必要である。このため、ある私設網に対する悪意のユーザからのアクセスを、該悪意のユーザにE.164アドレスを教えないことで防ぐことができる。しかしながら、悪意のユーザは、公衆網でのコネクション設定を、多数の呼設定要求メッセージを送出することで妨害することも可能である。
【0212】
この問題は、特に本発明のみに限らず、広くQ.2931プロトコルにてコネクション設定を行うATM通信網全般に対する問題点であるが、これについては、例えば、全てのシグナリングVCの帯域を例えば64kbpsといった小さな値とし、その帯域によって公衆網側でシグナリングVCのポリシングをハードウェアにて行えば解決できる。たとえ悪意のユーザが呼設定メッセージを多量に出したとしても、公衆網側でハードウェアによりポリシングすれば、公衆網の呼設定機能(一般的にソフトウェアで実装される)に与えられるQ.2931プロトコルのメッセージの総量の最大を規定することができ、呼設定機能の処理能力を超える呼設定要求メッセージの流入を防ぐことが可能になる。
【0213】
ところで、公衆網上のコミュニティとして、いわゆるディレクトリサービスが提供されている場合、コミュニティテーブル604の参照の結果必要なE.164アドレスが得られない場合に、Q.2931Mレイヤ603が前記ディレクトリサービスが提供されているコミュニティにアクセスして必要なE.164アドレスを得、コミュニティテーブルに登録する事も考えられる。このような、ディレクトリサービスを提供するコミュニティに対する自動アクセスは、コミュニティテーブル604の保守を容易にして望ましい。公衆網上のディレクトリサービスに登録されるE.164アドレスは、公知のアドレスであると考えられるので、このような自動アクセス機能は、セキュリティを劣化させるものでもない。
【0214】
次に、本発明の第2の実施形態に係る大規模コミュニティを実現するためのATM通信システムについて説明する。
【0215】
図9に、大規模コミュニティの実現するATM通信システムの構成を概略的に示したものである。
【0216】
図9は、例えば、図3に示した小規模コミュニティが、その参加端末数等の増加により、大規模コミュニティへと発展した結果を示したものである。図3に示したATM通信システムでは、各私設網のインターネットサーバが公衆網302を経由するATMコネクション3041、3042のみで接続されていたが、図9に示したATM通信システムでは、公衆網302内部にもインターネットサーバ3051、3052を設け、これらと私設網(#1〜#4)3011、3012、3013、3014との間がそれぞれATMコネクション3043、3044と3046、3047、3048で接続され、さらに、インターネットサーバ3051、3052がATMコネクション3045にて接続されている。
【0217】
公衆網302内部に設けられるインターネットサーバ3051、3052は、既存技術によるいわゆるCLSF(コネクションレスサービス機能)と同じように、それぞれの私設網の間のコネクションレス通信を提供する機能、即ち、ある私設網から送出されたメッセージを、そのメッセージの持つ宛先アドレスに従った私設網へと転送する機能を有している。これによって、同一のコミュニティに対してアクセスする複数の私設網が同一のATMコネクションを共有可能となり、私設網間に単にATMコネクションを設けた場合に比べて、同一の容量のATMコネクションによってより多くの私設網を収容できるようになる。
【0218】
複数の私設網が同時にメッセージを送出する確率は低く、公衆網のインターネットサーバによって同一ATMコネクションに複数私設網からのメッセージを合流することで、該ATMコネクションの帯域の有効活用が可能になり、同一帯域でより多くの端末を収容する事が可能になる。
【0219】
既存技術のCLSFと、ここで述べるインターネットサーバとの違いは、後者が本発明の特徴をなすコミュニティに対応してコネクションレス通信を提供可能な事にある。既存技術によるCLSFの場合、コミュニティに対応してコネクションレス通信を提供する機能はない。コミュニティに対応したコネクションレス通信の提供法に関しては後ほど詳細に説明する。
【0220】
図3に示した小規模コミュニティの場合と同様、図9の大規模コミュニティを実現するためのATM通信システムにおける私設網3011、3012、3013、3014内およびこれらの私設網間では、インターネットのルーティングプロトコルによってメッセージのルーティングが提供されている。
【0221】
図3に示した小規模コミュニティの場合と同様、各私設網3011、3012、3013、3014のそれぞれにおける各インターネットサーバ3031、3032、3033、3034では、ATMコネクションをIPでいうところの物理ネットワークと見なし、IPアドレスとATMコネクションとの関連づけを行うことでIPメッセージのルーティングを実現している。これに対応して、公衆網302内部のインターネットサーバ3051、3052上でも、私設網のインターネットサーバ3031、3032、3033、3034と同様、ATMコネクションを物理ネットワークと見なし、IPアドレスとATMコネクションの関連づけを行い、受信したメッセージの宛先IPアドレスを参照して必要なATMコネクションへと転送する事を行っている。
【0222】
それぞれの私設網のインターネットサーバに、それが扱っているコミュニティに対応してIPアドレスが割り当てられるのと同様に、公衆網302のインターネットサーバ3051、3052にもコミュニティ毎にIPアドレスが割り当てられ、リンクバイリンクの中継の原理に従ってコミュニティ毎に独立してIPメッセージの中継を行っている。
【0223】
さらに、それぞれの私設網3011、3012、3013、3014および公衆網302には、Q.2931プロトコルによってATMコネクションの設定を行う呼設定機能が設けられている。図3の場合と同様、私設網内部の呼設定機能と私設網内部の端末およびインターネットサーバ、さらに公衆網の呼設定機能3065と私設網の間はシグナリングVCにて接続されているが、図が煩雑になるのを防ぐため、図9ではシグナリングVCは示していない。さらに、公衆網内部に設けられたインターネットサーバ3051、3052と、公衆網の呼設定機能3065の間にも、シグナリングVCが設定されているものとする。これも図が煩雑になるのを防ぐため、図9では示していない。
【0224】
利用者がコミュニティにアクセスするため、各端末装置と自私設網内のインターネットサーバの間でATMコネクションにて通信を行う必要があるが、この為に、私設網#1(3011)と#2(3012)と#4(3014)ではハブ(ATM−LAN用の簡易ATM交換機)が設けられている。私設網#3(3013)では、端末装置がインターネットサーバ3033に直結している。
【0225】
図10は、図9に示したATM通信システムの一部のプロトコルスタックの一例を示したもので、特に、私設網のインターネットサーバと公衆網のインターネットサーバのプロトコルスタックの一例を示している。
【0226】
図10では、例えば、私設網#2(3012)と私設網#1(3011)が公衆網302を介して通信する場合の一形態について示している。
【0227】
公衆網302内部のATM交換機は、前述の私設網内部のハブと同様、単にATMレイヤにおけるセルのスイッチングを行うのみである。公衆網のATM交換機においてセルのスイッチングを行うために必要な、ATMコネクションの設定は、公衆網の呼設定機能3060がITU−T標準にて規定されている手法に基づいて実行する。
【0228】
私設網内部の呼設定機能と同様、公衆網内部の呼設定機能3060でも、ATMフォーラムのIPオーバーATMサブワーキンググループにおけるコネクションレスサービス提供法を実現するふたつの特殊機能、即ち宛先IPアドレスからの次ホップルータのIPアドレスの検索と、次ホップルータへのATMコネクションが存在しない場合に該ATMコネクションを設定するために必要となるATMアドレスを得る操作を実現することとすれば、特に公衆網内部にインターネットサーバといった特殊な機器を設けなくてもATM通信網においてコネクションレスサービスを提供する事ができる。
【0229】
しかしながら、本発明の第2の実施形態であるATM通信システムにおける公衆網の呼設定機能3060は、これらの特殊機能を持たず、ITU−T標準のQ.2931プロトコルによるATMコネクションの設定のみに特化しており、こういった特殊機能は新たに設けたインターネットサーバにて処理することとしている。これには、以下の利点がある。
【0230】
公衆網内部の呼設定機能3060は、数多くのユーザに対してそれらのユーザが満足する応答時間で全国規模のATM通信網上にATMコネクションを設定することを満足しなければならない。ところで、ATMフォーラムのIPオーバーATMサブワーキンググループがコネクションレスサービスをATMコネクションを提供するために要求している上述のふたつの特殊機能はIPアドレスに対する処理である。
【0231】
ところが、IPアドレスには、IPアドレス自身は私設網の内部の増設等により使用される値が変化することから、私設網内部の構成が変化する度に公衆網側でその内部構成の変更に対応しなければならないという問題点がある。この問題点は、全国規模で満足できる応答時間でATMコネクションを設定することを考えた場合、大きな実装上/運用上の問題点となる。
【0232】
本発明では、ベストエフォットのコネクションレス網を提供するためにインターネットサーバという呼設定機能から独立した機能要素を設けることとしているが、この構成により、私設網での網構成の変更による公衆網内部での影響範囲をインターネットサーバのみに限定することができる。この結果、公衆網の呼設定機能3060自身はITU−T標準のQ.2931のみに特化して実装することができ、数多くのユーザに対してそれらのユーザが満足する応答時間で全国規模のATM通信網上にATMコネクションを設定することを満足しやすくなる。
【0233】
前述したように、私設網のインターネットサーバ3031〜2034は、ルーティング制御機能が維持しているルーティングテーブルの内容に従って受信したIPメッセージの宛先アドレスとATMコネクションの間の関係付けを行い、リンクバイリンクの中継の原理に従ってATMコネクションを用いてIPメッセージの送出を行う。
【0234】
公衆網のインターネットサーバ3051、3052は、私設網のインターネットサーバ3031〜3034のいずれかからIPメッセージを含むセル流をうけとると、以下の処理を行う。
【0235】
公衆網のインターネットサーバ(以下、例えば、インターネットサーバ3051として説明する。)は、ATM交換機を経由して私設網のインターネットサーバ(以下、例えば、インターネットサーバ3032として説明する。)からセル流を受け取ると、phyレイヤ、ATMレイヤ、AALにおいて該セル流を良く知られた手法に従って順次処理し、セル流からIPメッセージを再生する。再生されたIPメッセージは、一旦、インターネットサーバ3051のQ.2931Mレイヤに渡される。
【0236】
Q.2931Mレイヤは、後ほど詳細に述べる処理を渡されたIPメッセージに対して加えてIPレイヤに渡す。前述の私設網のインターネットサーバ3032では、AALとIPレイヤの直結経路も存在していたが、ここで説明している本発明の第2の実施形態であるATM通信システムの公衆網側のインターネットサーバ3051では、公衆網側の呼設定機能がATMフォーラムによる前記特殊機能のサポートを行っていないので、AALとIPレイヤの直結経路は存在しない。
【0237】
公衆網側のインターネットサーバ3051のIPレイヤは、私設網のインターネットサーバ3032のIPレイヤと同様に、渡されたIPメッセージそれぞれについて宛先IPアドレスを参照し、そのATMコネクションに向けて送出するべきかを決定する。この時、やはり私設網のインターネットサーバ3032のIPレイヤと同様に、IPのルーティングアルゴリズムを実行しているルーティング制御機能により常に更新されているルーティングテーブルを参照する。
【0238】
私設網のインターネットサーバ3032のIPレイヤのルーティングテーブルと同じように、公衆網のインターネットサーバ3051のIPレイヤのルーティングテーブルも、宛先IPアドレスを、ATMコネクションの識別子に対応付け、IPでいうところの物理ネットワークとしてATMコネクションを見なすために使用される。
【0239】
小規模コミュニティを実現する場合には、公衆網にはATMコネクションを提供するのみの機能が要求されたが、この場合、公衆網のATMコネクションの帯域を使用するのが、そのコネクションが接続された私設網のインターネットサーバ3032のみとなる。この結果、インターネットサーバ3032がATMコネクションに対して送出するIPメッセージを持っていない場合、該ATMコネクションの帯域が無駄に使用されることになる。
【0240】
ところが、ここで述べているように公衆網にもインターネットサーバ3051、3052を設け、それら公衆網側のインターネットサーバと複数の私設網のインターネットサーバを接続することで、ひとつのATMコネクションが複数の私設網から送出された同一コミュニティのIPメッセージの転送のために使用されることになり、従って、複数の私設網がひとつのATMコネクションの帯域を使用するようになる。
【0241】
この結果、コミュニティ実現のために同一の帯域のATMコネクションを設定しても、公衆網にインターネットサーバを設けた方がより多数の端末の収容をできるようになる。これが、公衆網にインターネットサーバを設けたアーキテクチャを大規模コミュニティ実現のために使用する理由である。
【0242】
私設網のインターネットサーバ3032が使用する公衆網上のATMコネクションの帯域をトラフィックにより変化させることで該コミュニティの通信費を削減できるのと同様、私設網のインターネットサーバ3032と公衆網のインターネットサーバ3051、公衆網のインターネットサーバ3051、3052の間のATMコネクションに関しても、不要になったATMコネクションの削除を行ったり、ATMコネクションの帯域の増減を行うようにすると、大規模コミュニティ全体の通信費を削減でき、望ましい。
【0243】
これは、前述の私設網のインターネットサーバ3032のQ.2931Mレイヤの動作と同じように、公衆網のインターネットサーバ3051のQ.2931MレイヤでもそれぞれのATMコネクション上のトラフィックを監視し、必要に応じて帯域の増減もしくはコネクションの切断を行うようにすれば実現できる。このことが、公衆網のインターネットサーバ3051ではAALからのIPメッセージを一旦Q.2931Mレイヤを経由してIPレイヤへと渡すことの理由のひとつである。
【0244】
さて、公衆網のインターネットサーバ3051のQ.2931Mレイヤは、受け取ったIPメッセージを転送すべき物理ネットワークであるところのATMコネクションが設定されていなければ、Q.2931Mレイヤに含まれるコミュニティテーブルに従って必要なATMコネクションの設定を公衆網の呼設定機能に依頼する。これも私設網のインターネットサーバ3032のQ.2931Mレイヤと同様である。
【0245】
これらより、大規模コミュニティ中の通信であっても、私設網や公衆網のインターネットサーバを経由して必要なIPメッセージが必要な端末へとルーティングできることになる。
【0246】
図11は、第2の実施形態に係るATM通信システムのインターネットサーバの内部構成を説明するための図で、特に、メッセージ転送経路における識別子の構成に対応付けて示すものである。
【0247】
図11は、第1の実施形態の説明のうち、私設網のインターネットサーバの構成について説明した図5に対応するものである。
【0248】
図5に示した私設網のインターネットサーバの場合と同様、公衆網のインターネットサーバに接続される物理リンクはポート番号で識別され、各物理リンク上のATMコネクションはそのVPI/VCIによって識別される。よって、公衆網のインターネットサーバ中のATMコネクションは、ポート番号とVPI/VCIの組によって識別されることになる。
【0249】
なお、公衆網のインターネットサーバには、2本を越える物理リンクが接続されることもあるとしているが、このように、公衆網のインターネットサーバ内のATMコネクションをポート番号とVPI/VCIの組で識別することにすれば、ポート番号のビット幅を十分とっておくだけで、多数の物理リンクを収容した場合でも、同様の識別子構成で対応可能であることは言うまでもない。私設網のインターネットサーバの場合と同様、公衆網のインターネットサーバにおけるポート番号も、後述するように、ATMスイッチの入出力端子番号に対応しており、さらに、これにより、コミュニティ毎に通信資源を割り当てる事が可能になっている。
【0250】
公衆網のインターネットサーバには、該インターネットサーバに対してATMコネクションを設定するために必要なE.164アドレスが付与されている。該インターネットサーバに対してATMコネクションを設定する場合、該E.164アドレスを着呼アドレスとするQ.2931プロトコルのコネクション設定要求メッセージが公衆網の呼設定機能に与えられることになる。
【0251】
公衆網のインターネットサーバの場合、図11に示すように、IPレイヤは、Q.2931Mレイヤに包み込まれるようにして存在している。私設網のインターネットサーバと同様、公衆網インターネットサーバのIPレイヤにもIPアドレスが付与されている。このIPアドレスによって、それぞれのインターネットサーバが識別される。なお、このIPアドレスは、例えば、公衆網の管理者で対応するコミュニティの管理を受け持つ管理者が設定することとしても良いし、また、先ほどのE.164アドレスを物理アドレスとして、ARP(Address Reso− lution Protocol )と呼ばれるディスクレス端末における物理アドレスからIPアドレスを得るプロトコルにてコミュニティを構成するある端末から自動的に割り当てるようにしても良い。
【0252】
さらに、私設網のインターネットサーバと同様、公衆網のインターネットサーバであっても、各コミュニティに対して排他的にルーティングプロトコルの計算能力を提供するため、該インターネットサーバが扱っているコミュニティの個数に等しいQ.2931MレイヤとIPレイヤとが存在している(図11では、コミュニティA、B…Xのそれぞれに、Q.2931MレイヤとIPレイヤが1対づつ対応している)。
【0253】
公衆網の各インターネットサーバでは、特定の通信サービスを提供するための通信資源は、その特定の通信サービス毎に、各IPレイヤに付与されたIPアドレス、および、相手インターネットサーバとの間にATMコネクションを設定するために必要なE.164アドレスで識別することにより、そのコミュニティにアクセス可能な特定の利用者に対して排他的に割り当てられることは、私設網のインターネットサーバと同様である。
【0254】
次に、本発明の第2実施形態のATM通信システムのインターネットサーバに含まれるIPレイヤとQ.2931Mレイヤの機能および動作について、図12を参照して説明する。
【0255】
図12は、第1の実施形態の説明のうち、私設網のインターネットサーバに含まれるIPレイヤとQ.2931Mレイヤの機能および動作について説明した図6に対応するものである。
【0256】
図6と同様、図12でも、ひとつのコミュニティについて、IPレイヤとQ.2931Mレイヤを示している。公衆網のインターネットサーバのIPレイヤとQ.2931Mレイヤの機能と、私設網のインターネットサーバの機能の違いは以下の通りである。
【0257】
私設網のインターネットサーバの場合、私設網側からのIPメッセージは直接AALからIPレイヤに渡され、私設網へのIPメッセージは直接IPレイヤからAALに渡されるのに対し、公衆網のインターネットサーバの場合、全ての物理リンクが公衆網であるので、このような、AALとIPレイヤの直接の通信パスはなく、全てのAALとIPレイヤのIPメッセージのやりとりにおいて一旦Q.2931Mレイヤを経由し、トラフィック監視部607やセキュリティ部608によるIPメッセージ処理を受ける。
【0258】
これ以外の動作、即ち基本的にはIPレイヤが受け取ったIPメッセージの宛先IPアドレスによってルーティングテーブル602を参照し、該IPメッセージの送出先ATMコネクションを決定すること、ルーティングテーブル602に受け取ったIPメッセージの宛先IPアドレスが登録されていない場合、該メッセージをQ.2931Mレイヤに再度渡し、Q.2931Mレイヤの発呼監視部605が、渡されたIPメッセージの宛先IPアドレスによってコミュニティテーブル604を参照し、許可されているならば公衆網の呼設定機能に対してATMコネクションの設定を要求すること、トラフィック監視部607においてAALとIPレイヤの間のトラフィックの監視を行い、必要に応じてATMコネクションの帯域の増減やATMコネクション自身の切断を行うこと、必要に応じてセキュリティ部608において、AALとIPレイヤの間でやりとりされるIPメッセージの暗号化、復号化を行うことは私設網のインターネットサーバの場合と同様である。
【0259】
公衆網を用いて任意のコミュニティにアクセスすることを考える場合、ATMコネクション経由のみではなく、例えば、電話網を経由してアクセスできると、例えば加入者が出先で、公衆電話と移動端末を用いて必要に応じてコミュニティにアクセスし、必要な情報を得る等のサービスが実現でき便利である。本発明にの第2の実施形態によるインターネットサーバの場合、この様なサービスも図13に示すような機能を具備すれば容易に実現可能である。
【0260】
次に、このような非ATM通信網である電話網経由で所望のコミュニティにアクセス可能なインターネットサーバの機能について、図13を参照して説明する。
【0261】
図13は、電話網経由で所望のコミュニティにアクセス可能なインターネットサーバの機能を説明するためのもので、ひとつのコミュニティに対応するインタネットサーバにおける、各識別子に対応付けれた電話網アクセスする際の要部のレイヤ構造を示したもである。
【0262】
図13には、移動端末4010から公衆電話を経由してコミュニティにアクセスする場合に、現在NTTが加入者に提供しているフリーダイヤルサービスの枠組みを使うこととしている。コミュニティの指定のために、E.164アドレスのうちのフリーダイヤルの番号を用いることとする。
【0263】
移動端末4010は、それに具備された電話網4020と移動端末4010との間で送受信される信号の変調、復調を行うモデムを介して、出先の公衆電話に接続した後、該コミュニティの指定を行うフリーダイヤルの番号を電話網4020に渡す。すると、電話網4020は、インターネットサーバ検索機能4021によって、指定されたコミュニティのインターネットサーバのうち、接続要求の出ている公衆電話に地理的に近いインターネットサーバのE.164アドレスを獲得し、その獲得されたE.164アドレスを持つインターネットサーバに向けてコネクションを設定する。
【0264】
ATM通信網と電話網の界面には電話網−ATM通信網インタフェース機能4022が存在しており、ここで、電話網からのアナログ信号化されたディジタルデータをセル化し、一方ATM通信網からのセルを電話網で伝送可能なアナログ信号へと変換する。
【0265】
移動端末4010からのコミュニティへのアクセスが発生した場合、移動端末4010の接続された公衆電話と電話網−ATM通信網インタフェース機能4022の間に電話のコネクションを設定し、指定されたインターネットサーバと電話網−ATM通信網インタフェース機能4022との間にATMコネクションを設定する。
【0266】
電話網4020にアクセスしている移動端末4010は、送出したいIPメッセージを、モデムを用いて変調を行い電話網で転送可能なアナログ信号に変換して電話網に渡す。
【0267】
公衆網の電話網とATM通信網の界面に存在する電話網−ATM通信網インタフェース機能4022は、移動端末4010が送出したアナログ信号をディジタル信号に復号し、セル化する。この場合、電話網4020からのアナログ信号を復調した結果として、IPメッセージを含むディジタル信号流が得られるので、電話網−ATM通信網インタフェース機能4022では、フラグパタンの検出を行ってIPメッセージの先頭を知り、良く知られている手順に従ってこれらのIPメッセージをセル化して、インターネットサーバへのATMコネクションへと転送する。
【0268】
以降のインターネットサーバによる処理は、第2の実施形態で説明したATMコネクションによるアクセスの場合と同様である。
【0269】
次に、第3の実施形態として、第1〜第2の実施形態で説明したインターネットサーバの構成の具体例について説明する。
【0270】
本発明に係る公衆網もしくは私設網で必要になるインターネットサーバはほぼ同じ機能を必要としている。ただし、公衆網のインターネットサーバは、公衆網内部に使用されて多数のコミュニティを実現するために使用される事が意図されているのに対し、私設網のインターネットサーバは、私設網と公衆網の接続点に設けられ、少ない数のコミュニティを実現するために使用される事が意図されている。よって、公衆網のインターネットサーバでは例えば128×128といった大規模なATMスイッチが使用されるのに対して、私設網のインターネットサーバでは例えば4×4といった比較的小規模なATMスイッチが使用される事を除いて、公衆網と私設網のインターネットサーバは同じ構成であってよい。
【0271】
インターネットサーバのハードウェア構成の具体例を図14に示す。
【0272】
図14に示したインターネットサーバは、ATMスイッチE04の各入出力端に、インタフェース基板群E011、・・・、E01m、E06、サービス基板群E031、・・・、E03nを接続し、これらをさらに、STMパスE05を用いてノード制御プロセッサと接続する構成をとっている。
【0273】
ATMスイッチE04では、インタフェース基板群とサービス基板群の間でやりとりされる情報がセルの形式で自己ルーティングの原理に従ってスイッチングされている。
【0274】
インタフェース基板群には、セルにて通信を行うことを前提としたインタフェース点、ATMインタフェースを収容するATMインターフェイス基板E011、・・・、E01mと、例えばモデムによりアナログ信号化されたIPメッセージにより通信を行うことを前提としたインターフェース点、非ATMインタフェースを収容する非ATMインターフェイス基板E06の2種類がある。
【0275】
ATMインタフェース基板はATM通信網によるコミュニティへのアクセスを実現するために使用される。一方、非ATMインタフェース基板は、図13で説明した、電話網を経由した移動端末のコミュニティへのアクセスを実現する際に、電話網とATM通信網の間の界面に存在していた電話網−ATM通信網インタフェース機能4022と同等の機能を実現する基板であり、例えば、電話網からのインターネットサーバへのアクセスを実現するために、必要に応じて設けられる。
【0276】
サービス基板群E031、・・・、E03nが、ここまで説明してきた、本発明の特徴をなすQ.2931Mレイヤ、IPレイヤ、及びIPレイヤ中のルーティングテーブルを維持しているルーティング制御機能を実現するためのハードウェアである。
【0277】
ノード制御プロセッサE02は、公衆網や私設網の呼設定機能を実現するためのハードウェアである。ノード制御プロセッサE02は、公衆網を構成するATM交換機や、私設網を構成するハブの制御機能と協調動作し、公衆網や私設網の呼設定機能を実現している。さらに、この協調動作の結果として、インタフェース基板群のうちのひとつからサービス基板群のひとつにむけてATMコネクションの設定が必要な場合、これらの基板を制御してATMコネクションの設定を行うための各種テーブル設定をSTMパスE05を経由して行う。
【0278】
次に、ATMインタフェース基板の機能について説明する。
【0279】
ATMインタフェース基板は、ATMインタフェース上の物理レイヤのフレーム構造に従ったフレーム同期およびペイロード部分の抽出、並びにフレーム構造のインタフェース点への送出と該送出されるフレーム構造のペイロード部分へのセルのマッピング機能をもつ。また、ATMインタフェース基板は、物理レイヤのフレームのペイロードから抽出されたビット列に対するセル同期、セルのヘッダ部分の誤り検出及び訂正、さらにセルの情報部に対するデスクランブル、並びにインタフェース点に向かうセルのヘッダ部分のHEC作成とセルのペイロード部分のスクランブル機能をもつ。以上の機能は、ITU−T標準において、物理レイヤ機能として分類されているものである。
【0280】
さらに、ATMインタフェース基板は、インタフェース点から入力されたセルのヘッダのVPI/VCIを参照して該セルが転送されるべきATMスイッチの出力端を示す情報であるルーティングタグを付加するルーティングタグ付加機能や、インタフェース点から入力されたセルが、設定されたコネクションに割り当てられた帯域を越えているか否か監視し、帯域を越えている場合は割り当てられた帯域となるまでセルを廃棄するポリシング機能を持つ。一方、ATMスイッチE04から渡されたセルについて、そのセルについて付加されたルーティングタグを削除するルーティングタグ削除機能、該セルがインタフェース点に送出される時に持っているべきVPI/VCI値に該セルのVPI/VCIフィールドを書き換えるヘッダ変換機能を持っている。以上の機能は、ITU−T標準ではATMレイヤ機能として分類されている機能である。
【0281】
ATMスイッチE04は、前述したように、ルーティングタグ付きのセルを、該ルーティングタグに従って所望の出力端へと転送する、自己ルーティング機能を具備する。
【0282】
非ATMインタフェース基板は、前述のATMインタフェース基板の、物理レイヤ機能部分に、インタフェース点で送受信される信号の伝送レベルと通常のディジタルレベルの変換を行うレベル変換機能と、レベル変換機能によりディジタルレベルに戻されたビット列からフラグパタンを検出してIPメッセージの先頭を検出する等の機能を担うL2(レイヤ2)機能、及び、L2機能からIPメッセージを受け取って該IPメッセージをセル化する、もしくはセルとしてATMスイッチE04側から渡されるIPメッセージの再生を行ってL2機能に渡すAALが含まれているものとする。このように、一旦メッセージを再生してからAALにてセル化およびメッセージ再生を行うことで、非ATMインタフェースとやりとりするIPメッセージを、他のATMインタフェース基板と同様にATMスイッチE04にて所望のサービス基板に導くことが可能になる。
【0283】
第1の実施形態、第2の実施形態で説明したATM通信システムでは、特定の通信サービスを提供するコミュニティを、その特定の通信サービスのそれぞれに付与された識別子、すなわち、E.164アドレスにより識別することにより、それぞれのコミュニティが使用する通信資源を明確に規定することで、通信資源から利益を受ける受益者を明確に規定し、もってこれらの受益者から受けた利益に応じて通信料金をとることを最も大きな特徴としている。「コミュニティの実現」とは、具体的には、この特徴を実現することとも解せる。
【0284】
次に、図14に示した構成のインターネットサーバにおけるコミュニティの実現方法について説明する。
【0285】
図15は、図14で示したインターネットサーバ内部のコネクションについて説明するためのものである。
【0286】
図15に示すように、本発明の大きな特徴をなすQ.2931MレイヤとIPレイヤの機能を実現するプロセスF041、F042、・・・、F04n、F04(n+1)が、サービス基板群E031、E032、・・・、E03n上に実装されている。これらのQ.2931MレイヤとIPレイヤの機能を実現するプロセスF04i(i=1〜n+1)が、それぞれ、図15で示したインターネットサーバにて扱われるコミュニティ毎に設けられる。
【0287】
各サービス基板F03j(j=1〜n)は、これらプロセスF04iをただひとつ実行することにしても良いし、複数個実行することにしても良い。ただひとつ実行する場合は、対応するコミュニティに割り当てる通信資源が多い場合で、複数個実行する場合は、対応するコミュニティに割り当てられる通信資源が少ない場合である。
【0288】
これらのサービス基板群上のコミュニティに対応したプロセスは、ATMコネクションF051、F052、・・・、F059にて外部と通信を行っている。これらATMコネクションは、ATMスイッチE04によるセルスイッチングにより、所望のATMインタフェースもしくは非ATMインタフェースに導かれる。
【0289】
それぞれのATMインタフェース基板もしくは非ATMインタフェース基板では、それぞれのATMコネクション上のセルをインタフェース点に送出したり、インタフェース点からセルを受信したりする為に必要な予め定められた処理を行っている。なお、非ATMインタフェース基板E06では、一旦ATMコネクションが終端され、該非ATMインタフェース基板E06が処理する形式のフォーマットとATMセルの間の変換が行われ、インタフェース点と情報のやりとりが行われる。非ATMインタフェース基板E06でATMコネクションが一旦終端されることを、図15ではコネクションが非ATMインタフェース基板E06中で切れている事で表現している。
【0290】
それぞれのコミュニティがそれぞれの特定の通信サービスの提供を行うために必要な通信資源には、ATMコネクションの帯域と、ルーティング等の実行に必要な計算能力がある。図15に示した本発明の第3の実施形態であるインターネットサーバでは、これらの通信資源を以下のように扱うことで、それぞれのコミュニティに排他的に通信資源が割り当てられている。
【0291】
まず、それぞれのコミュニティに割り当てられるATMコネクションの通信帯域について、それぞれのコミュニティへの排他的割当手法について説明する。
【0292】
前述したように、各インターネットサーバのQ.2931Mレイヤにおけるプロトコルに従って、E.164アドレスにて指定されるATMコネクションの設定要求がなされたときに、公衆網や私設網の呼設定機能においてATMコネクションが設定される際に呼応して、インターネットサーバ内部にも対応のコネクション、すなわち、インタフェース基板E01iあるいはE06と、サービス基板E03jとの間のATMスイッチE04に対してセルを送出するパスが設定される。
【0293】
そして、それぞれのインタフェース基板E01i、E06では、その設定されたATMスイッチE04に対してセルを送出するパスで、例えばそれぞれのコネクションに予め割り当てられているピークレートによって、各インタフェース基板におけるポリシング部F01iがポリシングを行うこととしている。これと同様に、それぞれのサービス基板E03jでも、ATMスイッチE04に対してセルを送出するパスで、ポリシングもしくはシェイピングといったUPCをUPC部F03jが実行している。これらにより、ATMスイッチE04内部で、それぞれのコネクションが、予め定められた帯域を越えた帯域を使用しないことを保証している。それぞれのコネクションが予め定められた帯域を越えた帯域を使用しないことを保証することによって、それぞれのコネクションが割り当てられたコミュニティに、ATMスイッチの帯域が排他的に割り当てられたことになる。
【0294】
これらの、インターネットサーバ内部にATMコネクションを設定すること、及び、該ATMコネクションに必要な帯域を割り当てる為にUPC機能を制御することは、本発明においては、公衆網や私設網の呼設定機能からのQ.2931プロトコルを使用した要求に呼応して行う必要があるが、この機能は、ノード制御プロセッサE02に実装されても良い。
【0295】
各インタフェース基板では、シグナリングVC上のメッセージとして識別されるQ.2931メッセージ、即ち、予め定められたVPI/VCIを持って入力されるセル群に対してAAL処理を行った結果得られるメッセージを、該メッセージが入力されたインタフェース基板を識別するためのインターネットサーバ内識別子とともにSTMパスE05を経由してノード制御プロセッサE02へと転送する。ノード制御プロセッサは、Q.2931プロトコルに従ったコネクション設定要求を受け取ると、インターネットサーバ内部経路で要求帯域が余っているか確認し、余っているなら、E.164アドレスにて指定される、コミュニティのサービスを実現しているプロセスとのコネクションを設定する。コネクション設定を受け入れても入れなくても、その後、Q.2931に定義された応答メッセージを送出する必要があるが、これは、上述の方向と逆の方向、即ち、ノード制御プロセッサからSTMパスを経由してインタフェース基板のひとつに対して該メッセージを送出し、インタフェース基板においてセル化してインタフェース点に向けて予め定められたVPI/VCIを付加して送出するとしても良い。
【0296】
なお、インターネットサーバ内に、予めこれらのATMコネクションを網管理者が設定しておくことも考えられる。これは、網管理者が、ATMコネクションを設定し、帯域を確保するためのコマンドをノード制御プロセッサE02に対して発行し、該発行されたコマンドに呼応してノード制御プロセッサE02がSTMパスE05を経由して以降詳細に説明する各種のハードウェアやソフトウェアを制御するようにすれば、容易に実現可能である。
【0297】
一方、ルーティング等の実行に必要な計算能力の割当手法については、計算機の計算資源を管理するソフトウェアであるオペレーティングシステムによる計算能力のプロセスへの割当手法をとれば良い。例えば、図15に示したサービス基板E03nの様に、複数のQ.2931MレイヤとIPレイヤの処理を行うプロセスがマッピングされている場合は、例えばTSS(タイムシェアリングシステム)を実装する場合などに良く適用される、プロセッサ時間をタイムスライスに分割し、該タイムスライスをそれぞれのプロセスに予め与えられた周期で割り当てる、といった手法を適用することで、容易に実現可能である。それぞれのプロセスはそれぞれ異なるコミュニティ実現のために割り当てられており、前述したように、タイムスライスを各プロセスに割り当てることで、コミュニティに対して排他的に計算能力を割り当てていることになる。
【0298】
また、図15に示したサービス基板E031のように、単一のQ.2931MレイヤとIPレイヤの処理を行うプロセスがマッピングされている場合、単一のコミュニティに該サービス基板の持つ計算能力が全て割り当てられていることになり、自動的に該コミュニティに排他的に計算能力が割り当てられていることになるのはいうまでもない。なお、この、コミュニティに対応するプロセスの、サービス基板上での起動、及び、このプロセスに対するタイムスライスの割当は、公衆網内のインターネットサーバであれば該公衆網の管理者が、私設網内のインターネットサーバであれば該私設網の管理者が、それぞれ実行することとしている。
【0299】
これらのコミュニティ維持の為の計算能力の管理は、例えば、図14のノード制御プロセッサE02がこれらのコミュニティを実現するためのプロセスのオブジェクトコードを(例えばハードディスクといったものに)予め保持しており、これらのプロセスをサービス基板にSTMパスE05を経由してダウンロードする機能と、サービス基板上のプロセスの実行管理を行うOSに対してSTMパスE05を経由してタイムスライス割当を制御するコマンドを発行できる機能を持つことで、容易に実現可能である。
【0300】
以上より、それぞれのコミュニティが提供する特定の通信サービスに必要な通信資源、即ちATMスイッチの通信帯域と計算能力とが排他的に割り当てられたことになる。これによって、ここまで述べてきた本発明の大きな特徴である、コネクションレスサービスのプロトコルに対して、通信資源を使用する利用者の特定が可能で、該通信資源の維持管理費を該通信資源を使用する利用者に負担してもらうという、公衆網の課金にとって非常に望ましい特性を付加することが可能になる。
【0301】
なお、図15に示したインターネットサーバの設定法では、インターフェース基板群からATMスイッチを経由してインターフェース基板群へと至るATMコネクションは示されていないが、上述の、私設網のインターネットサーバの場合で、私設網内部の端末がATMコネクションを使って直接外部と通信する場合、こういうコネクションが設定される事になるのは言うまでもない。ATMスイッチがハードウェアで実現されるため、インターフェース基板群でどの様なアプリケーションが実行されようと、ATMスイッチの容量を超えない範囲でこういった直接外部へと抜けてゆくATMコネクションに対して必要な容量を与えられる事は、本発明によるインターネットサーバのひとつの利点である。
【0302】
以下、本発明の実施例に含まれるインターネットサーバの構成について、より詳細に説明する。
【0303】
なお、これらインターネットサーバを構成する構成要素のうち、ATMインタフェース基板E011、・・・、E01m、非ATMインタフェース基板E06、ATMスイッチE04、ノード制御プロセッサE02の構成は、例えば本発明者らによる特開平4−100451号公報等で開示されている既存のATM交換機の構成をそのまま踏襲する事ができる。従って、本発明のインターネットサーバはそのままATM交換機としても適用できる。
【0304】
以降、本発明の特徴をなす機能を実現する、サービス基板群E031、・・・、E03nの構成について詳細に説明する。
【0305】
なお、本発明の一実施例であるATM通信システムでは、コミュニティという同一の興味を持つ利用者をひとくくりにして通信サービスを提供することを考えており、コミュニティ間の相互作用はさほど発生しないと考えられる。このため、それぞれのサービス基板間でやりとりしなければならない情報量を非常に小さく抑える事ができ、このようにATMスイッチを経由したユーザ情報の流れるATMコネクションのみの設定によって、ATM通信システム全体として、コミュニティの数を増やし、かつサービス基板の数をふやすことで、コネクションレス通信のスループットを線形的に増加させる事が可能になることに注意が必要である。
【0306】
図16は、サービス基板E03i(i=1〜n)の内部構成の一具体例を示したので、特に、提供されるスループットは小さいが、安価に構成が可能となるサービス基板を実現するものである。
【0307】
図16において、サービス基板は、ATMスイッチE04に接続される第1のFIFO(First In First Out)メモリ(G01)、第2のFIFOメモリ(G02)、第2のFIFO(G02)からのセル送出の間隔を制御する出力間隔作成器G03、サービス基板での各種情報処理を実行するマイクロプロセッサG04、該マイクロプロセッサG04が実行するプログラムや該プログラムの実行に必要なデータを保持するメインメモリG05、マイクロプロセッサG04が電源投入時に実行するプログラムを保持しておくROM(G06)、ノード制御プロセッサとの通信路であるSTMパスE05とマイクロプロセッサG04のシステムバスG08の間のインターフェースをとるSTMパスインタフェースG07から構成される。
【0308】
ATMスイッチE04から該サービス基板へと渡されるセル流は、一旦第1のFIFO(G01)に保持される。第1のFIFO(G01)は、あらかじめ定められた量のセルが自身に保持されると、マイクロプロセッサG04にそのことを割り込みを用いて通知する。
【0309】
マイクロプロセッサG04は、第1のFIFO(G01)からの割り込みを受けると、第1のFIFO(G01)に保持されたセルを読み出し、メインメモリG05へと書き込む。メインメモリG05にセルが保持されると、次にマイクロプロセッサG04は、該保持されたセルのルーティングタグや、VPI/VCI等のヘッダ部分を削除し、例えばAAL5(ATM Adaptation Layer タイプ5)といった、該マイクロプロセッサが実行しているプログラムにより予め定められたアダプテーションプロトコルによって、これらのセルからメッセージを再生する。その後は、該メッセージの種別により、予め定められた処理を再生したメッセージに対して行う。
【0310】
該メッセージがIPのユーザメッセージであれば、やはりメインメモリG05に含まれるルーティングテーブルを参照して、該メッセージを出力すべきATMコネクションを知る。該ユーザメッセージを送出すべきATMコネクションが決定されると、ルーティングテーブルにより、該メッセージをセル化した時にヘッダ部に付加しなければならないVPI/VCIおよび該セルをATMスイッチE04を経由して転送すべきインタフェース点を指定するルーティングタグを得ることができるので、これらの情報を用いて、再度該ユーザメッセージをセル化し、第2のFIFO(G02)へ書き込む。
【0311】
一方、例えばICMPの制御メッセージであれば、該制御メッセージにて要求される動作をマイクロプロセッサG04が行うことになる。この時、新たな制御メッセージの送出が必要であれば、マイクロプロセッサG04が新たな制御メッセージを作成し、必要なVPI/VCI及びルーティングタグをもって該制御メッセージをセル化し、第2のFIFO(G02)へと書き込むことになる。
【0312】
本発明のインターネットサーバの特徴であるコミュニティテーブルによるセキュリティ強化とコネクション設定、帯域の監視によるコネクション切断やコネクション割当て帯域の増減、通信されているメッセージの暗号化によるセキュリティ強化も、マイクロプロセッサG04にて実行されることになるのは言うまでもない。なお、割り当てられた帯域よりも、ATMコネクションに転送が要求されるトラヒック量が大きいこと発見するには、以下の説明に従うと、第2のFIFOに一旦保持されているメッセージ量をマイクロプロセッサG04が周期的に参照することで実現できる。
【0313】
第2のFIFO(G02)は、マイクロプロセッサG04からセルを受け取ると、該セルを一旦保持し、出力間隔作成器G03の指示に従って該セルを順次ATMスイッチE04へと送出する。ATMスイッチE04は、第2のFIFO(G02)からセルを受け取ると、該セルに付加されたルーティングタグに従って該セルを所望の出力端へと導くことになる。
【0314】
出力間隔作成器G03は、該サービス基板によってサービスされているコミュニティに対して与えられた通信帯域を守って該サービス基板からセルを送出する為に設けられている。即ち、該出力間隔作成器G03が、図15に示した所の該サービス基板に設けられるUPC部に相当している。
【0315】
出力間隔作成器G03は、ATMスイッチE04と第2のFIFO(G02)の間の情報転送経路上のセルスロットの個数をカウントしており、(例えば10セルに1回といった)予め定められた間隔で第2のFIFO(G02)に送出許可を与える。
【0316】
第2のFIFO(G02)は、出力間隔作成器G03から出力許可が与えられる度に、自身が保持しているセルをATMスイッチE04に向けて送出する。出力許可が与えられない場合、もしくは、出力許可が与えられても自身がセルを保持していないときは、ATMの原理に従って空セルをATMスイッチE04に送出することになる。この様に、予め定められた出力間隔に従ってセルを送出するので、第2のFIFO(G02)と出力間隔作成器G03により、一種のシェイピングが実現されている事になる。
【0317】
なお、例えば、第2のFIFO(G02)に送出すべきセルが無い場合に、マイクロプロセッサG04にそのことを通知すべく割り込みをかけるようにしても良い。これによって、例えば、マイクロプロセッサG04が行っている処理を一旦中止して、その時点で持っているセルを第2のFIFO(G02)に転送することで、無駄に浪費される帯域を減少させる事が可能になる。
【0318】
それぞれのコミュニティで提供されるサービスは、特にIPによりベストエフォットのコネクションレス通信に限られる訳では無く、例えば、ATMフォーラムにて定義されているNNI上のコネクション設定による通信であるとか、コミュニティを構成するメンバが開発した特殊なプロトコルが提供されていても構わない。このため、マイクロプロセッサG04で実行されるプログラムは、コミュニティ毎に異なる可能性がある。これを実現するため、コミュニティ毎のサービス実現の為のプログラムは、本発明の一実施例であるインターネットサーバでは、ノード制御プロセッサE02からサービス基板のマイクロプロセッサG04に向けて電源投入時もしくはサービス開始時にダウンロードされることとしても良い。
【0319】
ノード制御プロセッサE02からサービス基板のマイクロプロセッサG04へのプログラムのダウンロードの為の情報転送経路として、STMパスE05が使用される。
【0320】
ROM(G06)には、プログラムのダウンロードを実行するためのプログラムが保持されている。電源投入時には、ROM(G06)に予め格納されたプログラムがマイクロプロセッサG04により実行され、この結果、ノード制御プロセッサE02からのプログラムのダウンロードが実行される。
【0321】
STMパスインタフェースG07は、こういったサービス基板のマイクロプロセッサG04とノード制御プロセッサE02との間の通信に必要な機能をサービス基板に提供する。
【0322】
STMパスE05には、いわゆるSTMのフレームが定義されており、該フレームのペイロード部分は、ノード制御プロセッサE02が情報を送出する部分と、それぞれのサービス基板が情報を送出する部分として予め定められていても良い。これは、例えば、サービス基板を挿入するバックプレーン上の信号に基板番号を与える為の信号を定義しておくことで拡張性良く実装することができる。
【0323】
フレームのペイロードの先頭からAタイムスロットにノード制御プロセッサE02が情報を送出し、その後のBタイムスロットを基板番号0番のサービス基板が、その後のCタイムスロットに基板番号1番のサービス基板が、・・・、といった如く、基板番号とSTMパス上の使用タイムスロットの間の対応関係を予め定めておき、この対応関係に従って、それぞれのサービス基板、インタフェース基板、およびノード制御プロセッサが情報を送出する事にすればよい。
【0324】
STMパスインタフェースG07は、マイクロプロセッサG04からSTMパスE05に送出する情報をシステムバスG08を経由して受け取ると、該情報を一旦保持し、自身に与えられた基板番号から該情報を送出するタイムスロットを知り、該タイムスロットにおいて該情報を送出する機能を持つ。また、STMパスインタフェースG07は、STMパスE05のノード制御プロセッサE02が情報を送出するタイムスロット上の情報を一旦蓄える機能も持つ。
【0325】
マイクロプロセッサG04は、STMパスインタフェースG07にアクセスし、該一旦保持されたノード制御プロセッサE02からの情報を受け取る。以上のふたつの機能をSTMパスインタフェースG07が持つことで、マイクロプロセッサG04とノード制御プロセッサE02との間の通信が実現できたことになる。
【0326】
ここで、マイクロプロセッサG04とノード制御プロセッサE02との間の通信は、特に、マイクロプロセッサG04へのプログラムのダウンロードに限られるわけではなく、その他のOAM(Operation,Administration and Maintenance:保守・運用)機能、例えばマイクロプロセッサG04におけるプログラムの実行状況をノード制御プロセッサE02が監視するとかいった機能の実現にも使用可能であることはいうまでもない。
【0327】
図16に示した廉価版サービス基板では実現できないスループットがコミュニティから要求される場合は、図17に示すような高スループット版のサービス基板を使用することにしても構わない。
【0328】
次に、図17を参照しながら、サービス基板の構成の他の具体例、すなわち、高スループットのサービス基板について説明する。
【0329】
図17において、ATMスイッチE04から受信したセルのメッセージへの組立、及び、ATMスイッチE04へ送出するメッセージのセル化は専用ハードウェアで行い、また、ユーザメッセージのルーティングと、制御メッセージの処理を独立したプロセッサで行う事によって、インターネットサーバに要求される処理を並列に実行し、高いスループットを得る事ができるようになっている。
【0330】
ATMスイッチE04から入力されるセル流は、まずルーティングタグ削除部H01に入力される。ルーティングタグ削除部H01では、ATMスイッチE04中でセルのルーティングに使用されるルーティングタグを、セル流中の個々のセルから削除し、メッセージ組立部H02へと送出する。
【0331】
メッセージ組立部H02では、ルーティングタグ削除部H01からセルを受け取ると、以下の動作を行う。まず、該セルのVPI/VCIフィールドを参照して該セルの属するコネクションを識別する。その後、メッセージ組立部H02中にある、コネクション毎のメッセージ組立FIFOメモリの内、該セルの属するコネクションに対応するFIFOメモリに入力されたセルの情報部が入力される。この時、例えばAAL5といった如く、予めコミュニティ毎に定められているアダプテーションプロトコルに従い、正しい順序でセルが到着している事や、メッセージ途中のセルが廃棄されていない事を、メッセージ組立部H02の組立制御部が確認する。
【0332】
コネクション毎に設けられているメッセージ組立FIFOメモリのひとつに、ひとつのメッセージ分のセルの情報部が保持されると、メッセージ組立部H02の組立制御部が、アダプテーションプロトコルにて使用されるフィールドを削除しながらメッセージ組立FIFOメモリからセルを順次取り出すことでメッセージを再構築し、ヘッダチェック/分離部H03へとメッセージを送出する。なお、ひとつのメッセージ分のセルの情報部がメッセージ組立FIFOに保持された事は、例えば、AAL5と呼ばれるアダプテーションプロトコルが適用されている場合は、ATMセルのヘッダ部分によりメッセージの終了が表示されるので、メッセージ組立部H02の組立制御部では、これを利用してメッセージ組立FIFOメモリからのメッセージの読み出しを開始することができる。
【0333】
メッセージ組立部H02で組み上がったメッセージは、次に、ヘッダチェック/分離部H03において、該メッセージのヘッダ部を参照し、該メッセージがユーザ情報を担っているユーザメッセージか、インターネットサーバが通信を継続するために使用される制御情報を担っている制御メッセージかを判断する。受け取ったメッセージがユーザメッセージであれば、そのメッセージをメッセージ処理プロセッサH04iへと転送する。一方、受け取ったメッセージが制御メッセージであれば、該メッセージを制御プロトコル実行プロセッサH10へと送出する。
【0334】
メッセージ処理プロセッサH04i(i=1〜n)は、要求されるユーザメッセージのスループットに対応して、ひとつのサービス基板にひとつ(i=1)もしくは複数個(i=n)準備される。
【0335】
これらメッセージ処理プロセッサH04iは、該メッセージ処理プロセッサにて実現するコミュニティが割り当てられている。ATMコネクションが設定されているときには、ATMコネクションがコミュニティに対応しているため、ここで述べる実施形態において、実際のコミュニティとメッセージ処理プロセッサとの対応付けはE.164アドレスではなく、VPI/VCIにて行える事は言うまでもない。
【0336】
また、以降の説明に従うと、1つのコミュニティに1つのメッセージ処理プロセッサH04iを割り当てるのみではなく、1つのコミュニティに複数のメッセージ処理プロセッサH04iを割り当てられることに注意すべきである。
【0337】
ヘッダチェック/分離部H03は、前に送出したユーザメッセージの処理が終了しているメッセージ処理プロセッサH04iを選択し、受け取ったユーザメッセージを該選択したメッセージ処理プロセッサH04iに送出する。
【0338】
サービス基板にてユーザに提供されるプロトコルは、多くの場合可変長のメッセージであるので、メッセージ処理プロセッサH04iにおける処理時間が個々のメッセージで異なる。このため、メッセージ組立部H02からの新しいメッセージ送出時に、メッセージ処理プロセッサH04iが余っていない事も発生する。この場合は、ヘッダチェック/分離部H03が、メッセージ組立部H02からのメッセージ送出を一旦停止させる、一種のフロー制御をかける必要がある。
【0339】
ユーザメッセージは、ヘッダチェック/分離部H03からメッセージ処理プロセッサH04iへのメッセージの転送は、ヘッダ部とデータ部に分離して行われる。ヘッダ部は、メッセージ処理プロセッサH04iのヘッダ処理部H21に、データ部は、メッセージ処理プロセッサH04iのデータ部保持部H20に、それぞれ転送される。
【0340】
ヘッダ処理部H21およびデータ部保持部H20での処理が終わると、ユーザメッセージは、ヘッダ結合部H05へと送出される。
【0341】
ヘッダ結合部H05では、メッセージ処理プロセッサH04iのヘッダ処理部H21から送出される処理済みのヘッダ部と、データ部保持部H20から送出される処理済みのデータ部を結合し、ひとつのメッセージとしてメッセージ分割部H06へと送出する。
【0342】
一方、ヘッダチェック/分離部H03から送出された制御メッセージは、制御プロトコル実行プロセッサH10へと転送され、そこで制御メッセージによる指示通りの動作が行われる事になる。また、制御プロトコルの要請により、他のインターネットサーバに制御メッセージを送出する必要が生じることもあるが、この場合、制御プロトコル実行プロセッサH10は、送出する制御メッセージを作成し、メッセージ分割部H06へと送出する。
【0343】
メッセージ分割部H06には、メッセージ組立部と同様、ATMコネクションに対応してメッセージ分割用FIFOメモリが準備されている。これらはそれぞれ、ルーティングタグ付加部の出口に設定されているATMコネクションに向かうユーザメッセージもしくは制御メッセージを保持する。
【0344】
メッセージ分割部H06の分割制御部は、どれかのメッセージ分割用FIFOメモリにメッセージが保持されている時には、該メッセージをATMセルの情報部の内、アダプテーションプロトコルにて使用される部分以外の、純粋にユーザデータを転送するフィールドの長さ分順次読み出だす。その後、メッセージ分割部H06の分割制御部は、切り出した情報に、セルからのメッセージの再生時に必要な情報をそれぞれのコミュニティで使用されているアダプテーションプロトコルに従って付加し、ルーティングタグ付加部H08へと送出する。
【0345】
なお、これらのFIFOメモリのどれもメッセージを保持していない時は、ATMの原理に従い、空セルをATMスイッチE04に送出することを、メッセージ分割部H06の分割制御部がルーティングタグ付加部H08に指示する。
【0346】
ATMコネクション毎に用意されたメッセージ分割用FIFOメモリからの情報の切り出しタイミングは、出力間隔作成器H07によってメッセージ分割部H06に指示される。
【0347】
出力間隔作成器H07は、図16に示したような構成のサービス基板にて使用されていた出力間隔作成器G03と同じ機能を実現するもので、出力間隔作成器G03と同様、それぞれのATMコネクション、即ちコミュニティが使用するATMスイッチの帯域をある値以下にするシェイピングを実現するために設けられる。
【0348】
なお、最近ATMフォーラムにおいて注目されているQoSクラス、ATMレイヤにおけるトラヒックの分類(サービスカテゴリー)のうちABR(Available Bit Rate)に対応してそれぞれのコミュニティの通信を行うためのコネクションの帯域を動的に変化させることも考えられるが、これを実現するために、ABR処理部H22を設け、該ABR処理部H22がATMスイッチE04とやりとりされるセル流に対してABR処理プロトコルを実行するセルの分岐挿入を行い、分岐挿入が行われたセルが保持する情報に従って自分がセルを送出するコネクションの帯域を決定し、該決定した帯域を使用するようにセル間隔作成器H07に対してセルを送出する間隔を指示するように構成されていても良い。
【0349】
メッセージ分割部H06の分割制御部は、出力間隔作成器H07の指示があったセルスロットのみで、出力間隔作成記H07から指示されたATMコネクションに対応するメッセージ分割用FIFOメモリからの情報の切り出しを行う事になる。出力間隔作成器H07からの指示がなかったセルスロットにおいては、出力間隔作成器H07は、ルーティングタグ付加部H08に対して空セルを送出する事を指示する。
【0350】
この様に、コミュニティに対して割り当てられた帯域を守ってセルを送出する機能を、メッセージ分割部H06に担わせると、メッセージ分割の為に使用されるFIFOメモリと、帯域を守るために使用されるFIFOメモリを同一のものとすることができ、システム全体のハードウェア量を削減でき、望ましい。
【0351】
ルーティングタグ付加部H08は、メッセージ分割部H06からセルの情報部が送られてくると、そのセルがインタフェース点から出力されるときに持つべきVPI/VCIと、該セルが送出されるべきインタフェース点を示す情報であるルーティングタグを付加し、ATMスイッチE04へと送出する。
【0352】
VPI/VCIとルーティングタグは、ルーティングタグテーブルH09に保持されている。ルーティングタグテーブルH09は、該サービス基板が扱っているコネクション毎にVPI/VCIと、ルーティングタグを保持しているテーブルである。このテーブルからVPI/VCIおよびルーティングタグを得るために、メッセージ処理プロセッサH04からのユーザメッセージのヘッダ部分の送出時、もしくは制御プロトコル実行プロセッサからの制御メッセージの送出時に、これらのメッセージが送出されるコネクションに関するVPI/VCIおよびルーティングタグを保持しているルーティングタグテーブルH09のエントリ番号が同時に出力され、メッセージ分割部H06の分割制御部に渡される。なお、ルーティングタグテーブルH09に保持されている情報を、メッセージ処理プロセッサH04から直接出力する構成も考えられる。
【0353】
メッセージ分割部H06の分割制御部は、ユーザメッセージ保持FIFOメモリ、もしくは、制御メッセージ保持FIFOメモリに含まれるメッセージ毎に、通知されたルーティングタグテーブルH09のエントリ番号を保持しており、これらのFIFOメモリから情報を切り出してルーティングタグ付加部H08に送出する時に、対応するエントリ番号も同時にルーティングタグ付加部H08へと送出する。
【0354】
ルーティングタグ付加部H08は、渡されたエントリ番号をルーティングタグテーブルH09のアドレスとして使用して、それぞれのセルに付加すべきVPI/VCIとルーティングタグを得ることになる。
【0355】
制御プロトコル実行プロセッサH10には、ヘッダチェック/分離部H03からの制御メッセージを保持する入力FIFOメモリ(H16)、マイクロプロセッサH17、メインメモリH18、メッセージ分割部H06へ送出する制御メッセージを一旦保持する出力FIFOメモリ(H19)が含まれている。
【0356】
これらの制御プロトコル実行プロセッサH10の構成要素は、マイクロプロセッサH17のシステムバスにより接続されている。
【0357】
制御プロトコル実行プロセッサH10のメインメモリH18には、マイクロプロセッサH17にて実行されるプログラムが格納されている。前述したように、それぞれのコミュニティで提供されるサービスには種々のものがある。これを実現するため、ノード制御プロセッサE02からのプログラムのダウンローディングが可能なように制御プロトコル実行プロセッサH10は構成されている。マイクロプロセッサH17は、メインメモリH18に保持されたプログラムを順次実行し、それぞれのコミュニティで必要とされる機能、例えばICMPであるとか、ATMフォーラムのP−NNIのルーティングであるとかいった機能、を実現している。
【0358】
ここで説明しているサービス基板が、複数のコミュニティを実現する場合、それぞれのコミュニティ毎に、制御プロトコル実行プロセッサH10上に、それらのコミュニティで要求される機能を実現するプロセスが起動されることになる。言うまでもなく、本発明の精神に従うと、これらのプロセスに割り当てられる制御プロトコル実行プロセッサH10の計算能力は、それぞれ独立したものである必要があり、前述したように、これは、オペレーティングシステムのタイムスライス割当てといった方法により実現できる。
【0359】
本発明のATM通信システムのインターネットサーバの特徴であるところの、Q.2931Mプロトコルも制御プロトコル実行プロセッサH10で実行されるようになっており、Q.2931Mプロトコルの実行のために必要なコミュニティテーブルH18aは、メインメモリH18に記憶されている。
【0360】
メッセージ処理プロセッサH04iの動作を規定するための情報のやりとりを行うため、制御プロトコル実行プロセッサH10は、メッセージ処理プロセッサH4iのヘッダ制御プロセッサH21と接続されている。
【0361】
ここで、Q.2931Mプロトコルにて要求される制御プロトコル実行プロセッサH10の動作について説明する。
【0362】
他のインターネットサーバとは、公衆網の呼設定機能3065、あるいは、私設網の呼設定機能を介しての制御メッセージのやりとりが行われるが、他のインターネットサーバから該制御プロトコル実行プロセッサH10に対して転送されてきた制御メッセージは、一旦入力FIFOメモリ(H16)に保持される。
【0363】
マイクロプロセッサH17は、定期的に該入力FIFOメモリ(H16)をポーリングするか、該入力FIFO(H16)からの割り込みを受ける事で、他のインターネットサーバから転送されてきた制御メッセージを取り込み、自身の動作に反映させる。
【0364】
例えばIPが実装されている場合は、RIPといったルーティングプロトコルにより規定されるルーティング情報を含んだ制御メッセージが他のインターネットサーバから渡されるので、その情報に従って、ルーティングテーブルH21aに記憶される内容を制御プロトコル実行プロセッサH10が作成し、それをメッセージ処理プロセッサH04iのヘッダ処理部H21へと渡す。ここで作成されるルーティングテーブルH21aに記憶される内容とは、例えば、IPメッセージのヘッダ部に含まれる宛先アドレス(IPアドレス)と、それに対応する公衆網の呼設定機能3065により設定されたATMコネクションの識別子(VPI/VCI)およびポート番号である。
【0365】
1つのコミュニティに対応付けられたメッセージ処理プロセッサH04iが複数個ある場合にも、それぞれのメッセージ処理プロセッサH04iが同一のルーティングテーブルH21aを使用してルーティングするべく、このルーティングテーブルH21aに記憶される内容はそれぞれのメッセージ処理プロセッサへとブロードキャストされる。
【0366】
これにより、制御メッセージによって指定されたように、ユーザメッセージを該ユーザメッセージの宛先アドレスに対応したATMコネクションへと転送する事ができるようになる。これと同様な手法により、その他のプロトコルが実現されている場合であっても、制御プロトコル実行プロセッサH10からのメッセージ処理プロセッサからの指示によって、制御メッセージによって指定される動作を、メッセージ処理プロセッサH04iに実行させることが可能になる。
【0367】
一方、本発明のATM通信システムのインターネットサーバの特徴であるQ.2931Mレイヤを実現している場合は、ヘッダ処理部H21から、ルーティングテーブルに含まれない宛先アドレスを持つメッセージのヘッダ部分が制御プロトコル実行プロセッサH10へと渡される。
【0368】
制御プロトコル実行プロセッサH10では、ヘッダ処理部H21から、ルーティングテーブルに含まれない宛先アドレスを持つメッセージのヘッダ部分の情報を受け取ると、コミュニティテーブルH18aを参照して、その宛先アドレス(例えば、IPアドレス)に対応する、特定の通信サービスを識別するための識別子(例えば、E.164アドレス)を獲得する。そして、その獲得されたE.164アドレスをもとに、マイクロプロセッサH17が、公衆網の呼設定機能3065に対するコネクションの設定要求のための制御メッセージを作成する。その作成された制御メッセージは出力FIFO(H19)に一旦保持され、メッセージ分割部H06の制御メッセージ保持FIFOへと転送されることになる。
【0369】
制御メッセージを処理する部分と、ユーザメッセージを処理する部分を明確に分離することが、図17に示したサービス基板の構成の特徴をなしている。この構成の場合、制御メッセージによる動作規定といった比較的動作速度が遅くても構わない部分と、ユーザメッセージのルーティングといった動作速度が速い必要のある部分が明確に分離できるという利点がある。このように、動作速度の速い部分と動作速度の遅い部分が明確に分離できると、比較的高価となる動作速度の速い構成方式もしくは素子を使用する部分をシステムの一部分に限定する事が可能となり、システム全体を動作速度の速い構成方式もしくは素子を使用する場合に比べて安価に実現できることは、良く知られたことである。
【0370】
なお、ヘッダ処理部H21がルーティングテーブルH21aを持つということは、ヘッダ処理部H21がヘッダ処理を行う度に制御プロトコル実行プロセッサH10への問い合わせを行わなくてもヘッダ処理をできる事を意味している。このため、制御プロトコル実行プロセッサH10からヘッダ処理部H21への指示は、制御プロトコル実行プロセッサH10の動作速度で行うことが可能になり、これが、本構成の実現コストをより削減している事に注意が必要である。
【0371】
基板制御プロセッサH23は、ここまで説明してきたサービス基板の各部分の制御を行い、また、各部分が電源投入時もしくはコミュニティへのサービス開始時に必要となる情報やプログラムの、ノード制御プロセッサE02からのダウンロードを実行するために設けられている。
【0372】
基板制御プロセッサH23は、プログラムを実行することで所望の動作を行うマイクロプロセッサH11、マイクロプロセッサH11の実行するプログラムやデータの保持されるメインメモリH12、サービス基板への電源投入直後に動作する、いわゆるブートストラップローダの保持されたROM(H13)、サービス基板の各制御ポイントとの情報のやりとりを行うためのI/OポートH14、及び、ノード制御プロセッサE02との通信を実現するためのSTMパスインタフェースH15からなっている。
【0373】
次に、コミュニティ毎に異なるネットワークレイヤのプロトコルに従ったメッセージのセキュリティの向上のための手段(セキュリティ部608)、および、コミュニティ毎に割り当てる通信資源(通信帯域)を増減することでコミュニティ毎に予め定められたQoSを提供する手段(トラヒック監視部607)について、図18を参照して説明する。なお、図17と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0374】
セキュリティ部608の機能の1つであるメッセージの暗号化、復号化は、同一のコミュニティに属するメッセージ毎のセキュリティ向上のために有効な手段である。
【0375】
具体的には、例えば、ヘッダ結合部H05で1つのメッセージとして結合されたもの、制御プロトコル実行プロセッサH10から送出された制御メッセージを、まず、暗号化手段H30において適当なアルゴリズムにて暗号化を行ってから、メッセージ分割部H06に送り、メッセージ組立部H02で組み上がったメッセージをヘッダチェック/分離部H03に送る前段に、その組み上がったメッセージに対し同様に復号化を行う復号化手段H31を設けるようにしてもよい。
【0376】
また、他の方法として、メッセージ処理プロセッサH04iのデータ部保持部H20、ヘッダ処理部H21で、それぞれに入力されたメッセージのデータ部、ヘッダ部に対し、まず復号化を行ってから、それぞれの処理を実行し、処理が終了して、データ部保持部H20、ヘッダ処理部H21のそれぞれから処理済みのメッセージのデータ部、ヘッダを出力する際に暗号化を行い、ヘッダ結合部H05に送出するようにしてもよい。
【0377】
次に、トラヒック監視部607の機能の具体的な実現方法について説明する。例えば、メッセージ組立部H02のATMコネクション毎に設けられたメッセージ組立FIFOメモリに入力されたセル(詳しくは、各セルの情報部のみ)の入力頻度をもとに、そのATMコネクションのトラヒック量を計測するトラヒック量計測部H02aと、その計測されたトラヒック量を、制御プロトコル実行プロセッサH10で常時監視する手段を設ける。そして、トラヒック量が、そのメッセージが転送されてきたATMコネクションにあらかじめ割り当てれた通信帯域より極端に小さいと判断したとき、マイクロプロセッサH17で、通信帯域の削減を要求するための制御メッセージを作成し、その作成された制御メッセージを公衆網302の呼設定機能に送出するようにしてもよい。
【0378】
ポリシングを行うためには流量測定を行う必要がある。よって、この入力頻度の測定をインターフェイス基板群E01i中のポリシング部F01にて実行する構成も考えられる。
【0379】
一方、他の方法として、メッセージ分割部H06のATMコネクション毎に設けられたメッセージ分割用FIFOメモリに入力されたメッセージのキューの長さをもとに、そのATMコネクションのトラヒック量を計測するトラヒック量計測部H06aと、その計測されたトラヒック量を、制御プロトコル実行プロセッサH10で常時監視する手段を設ける。そして、トラヒック量が、そのメッセージを転送するATMコネクションにあらかじめ割り当てれた通信帯域より極端に大きいと判断したとき、マイクロプロセッサH17で、通信帯域の追加を要求するための制御メッセージを作成し、その作成された制御メッセージを公衆網302の呼設定機能に送出するようにしてもよい。
【0380】
このように、各サービス基板毎にメッセージが転送されてきたATMコネクション毎に、またメッセージを転送するATMコネクション毎に、そのATMコネクション毎のトラヒック量を計測して必要に応じて、そのATMコネクションに割り当てる通信帯域を大きくしたり、小さくすることのより、それぞれのコミュニティに提供するQoSの制御が可能になる。
【0381】
図17、図18に示した構成のサービス基板では、メッセージ処理プロセッサH04iは、利用者に実際に提供するプロトコルを実行するサービス基板の心臓部であり、該サービス基板が実現するユーザメッセージのスループットを規定する。以降、このサービス基板の心臓部であるメッセージ処理プロセッサH04iの構成を詳細に説明する。前述したように、本発明によるメッセージ処理プロセッサH04iは、種々のプロトコルの提供を行うべく、プログラマブルとなっている。
【0382】
図19は、ヘッダチェック/分離部H03、メッセージ処理プロセッサH04i、ヘッダ結合部H05の間の情報転送の様子を説明するための図である。
【0383】
ひとつのメッセージ処理プロセッサの、データ部保持部H20とヘッダ処理部H21は、組になってひとつのユーザメッセージに対するプロトコル処理を行う。ヘッダチェック/分離部H03からは、ユーザメッセージのヘッダ部分とデータ部分が順次出力されるが、ヘッダ部分はメッセージ処理プロセッサH04iのヘッダ処理部H21へと、データ部分はデータ部保持部H20へと、それぞれ渡される。
【0384】
ヘッダ処理部H21では、例えばIPアドレスを参照して該メッセージを送出する出力ポートとコネクションを決定するといった如く、利用者に提供するプロトコルのヘッダ部分にて規定される動作が実行される。
【0385】
データ部保持部H20では、例えばデータ部分のCRC演算を行って伝送路上でビット誤りが発生しているか否かを確認する、といった如く、利用者に提供するプロトコルのデータ部分にて規定される動作が実行される。
【0386】
ヘッダ処理部H21におけるヘッダ部分に対する処理が終わると、ヘッダ処理プロセッサH21から処理済のヘッダ(と該メッセージを送出すべきコネクションを識別するための識別子)が出力され、ヘッダ結合部H05へと渡される。
【0387】
ヘッダ結合部H05では、受け取ったヘッダ部分をメッセージ分割部H06へと渡すと共に、受け取ったヘッダ部分に対応するデータ部分をデータ部保持部H20から受け取り、ヘッダ部の後ろに結合してメッセージ分割部H06へと送出する。
【0388】
メッセージ処理プロセッサにおけるヘッダ部分の処理時間がデータ部分のデータ部保持部H20への入力時間よりも短く、かつデータ部分にほとんど処理が行われない場合、ヘッダチェック/分離部H03からメッセージ処理プロセッサへ渡されるヘッダ部分とデータ部分は、図19に示すように、よどみなくヘッダ処理部H21とデータ部保持部H20からそれぞれヘッダ部、データ部をヘッダ結合部H05に与えることができる。
【0389】
この場合はメッセージ処理プロセッサはひとつでもかまわない。しかしながら、ヘッダ部分の処理時間がデータ部分の入力時間より長い場合もしくはデータ部分に行う処理が比較的重い場合、メッセージ処理プロセッサでのメッセージの待ち合わせ時間が延び、ひとつのメッセージ処理プロセッサではよどみなく処理を行うことが不可能になる。
【0390】
ATMと異なり、一般的にインターネット技術にて使用されるパケットは可変長であるので、このような状況が発生することを想定する必要がある。本発明によるインターネットサーバは、このような状況に対して複数個のヘッダ処理プロセッサを用いて、単一のコミュニティにかかるメッセージ処理をよどみなく進むように構成されている。
【0391】
図20は、ヘッダ部分の処理時間がデータ部分の入力時間もしくはデータ部分に行う処理が比較的重い場合の、ヘッダチェック/分離部H03、メッセージ処理プロセッサH04i、ヘッダ結合部H05の協調動作の様子を説明するための図で、メッセージ処理プロセッサH04iが3個存在する場合(i=1〜3)を示してある。
【0392】
ヘッダチェック/分離部H03は、メッセージ処理プロセッサH04iに対してメッセージを送出する時に、メッセージ処理プロセッサH04iの動作状況を監視し、空いているメッセージ処理プロセッサH04iを選択してメッセージを渡す。もし、空いているメッセージ処理プロセッサH04iが存在しなければ、ヘッダチェック/分離部H03は、メッセージ組立部H02に対してフロー制御をかけ、新たなメッセージを送出しないよう制御する。その後、メッセージ処理プロセッサH04iが空いた時点で、ヘッダチェック/分離部H03は、該空いたメッセージ処理プロセッサH04iに対してメッセージを送出する。
【0393】
具体的には、ヘッダチェック/分離部H03は、メッセージ処理プロセッサ#1(H041)が空き状態なので、最初のメッセージM1をメッセージ処理プロセッサ#1(H041)に割り当てる。次のメッセージM2は、メッセージ処理プロセッサ#1(H041)が処理中であるので次の空き状態のメッセージ処理プロセッサ#2(H042)に割り当てられる。メッセージM2は、メッセージ処理プロセッサ#1(H041)、メッセージ処理プロセッサ#2(H042)が処理中であるので次の空き状態のメッセージ処理プロセッサ#3(H043)に割り当てられる。メッセージM4を割り当てる際、空いているメッセージ処理プロセッサH04iが存在しないので、ヘッダチェック/分離部H03は、メッセージ組立部H02に対してフロー制御をかけ、新たなメッセージを送出しないよう制御する。その後、メッセージ処理プロセッサH041が空いた時点で、ヘッダチェック/分離部H03は、該空いたメッセージ処理プロセッサH041に対してメッセージM4を送出する。
【0394】
一方、ヘッダ結合部H05は、メッセージ処理プロセッサH04iの動作を監視し、メッセージ処理が終了したものから順次該処理の終わったメッセージを受け取り、メッセージ分割部H06へと渡す動作を行っている。
【0395】
複数のメッセージ処理プロセッサH04iが同時にヘッダ処理を行っている場合、複数のヘッダ処理プロセッサで同時にメッセージ処理が終了し、ヘッダ結合部へのメッセージ送出を行わなければならない状況が発生することがある。この場合、ヘッダ結合部H05は、同時に新しいヘッダを送出しようとしているメッセージ処理プロセッサH04iのなかからひとつを選択し(例えば、メッセージ処理プロセッサ#1(H041))、ヘッダ部分およびデータ部分の送出を許可する。送出許可が与えられたメッセージ処理プロセッサH04iのヘッダ処理部が、ヘッダ結合部H05に向けてヘッダ部分、データ部分を順次送出する。送出許可の与えられなかったメッセージ処理プロセッサは、ヘッダ部分、データ部分への処理が終了しても、ヘッダ結合部H05に向けたメッセージの送出は行わず、ヘッダ結合部H05からメッセージ送出許可が与えられるのを待つ。ヘッダ結合部H05で所定の処理が終了した後、再び、メッセージ処理が終了したメッセージ処理プロセッサ群H04iを選択し(例えば、メッセージ処理プロセッサ#2(H042))、以下同様である。
【0396】
このように、ヘッダ結合部H05は、メッセージ処理が終了したメッセージ処理プロセッサ群H04iから、メッセージ送出を行うものを選択する役割を持ち、ヘッダチェック/分離部H03は、空いているメッセージ処理プロセッサを選択して受け取ったユーザメッセージを転送するようになっている。即ち、ヘッダチェック/分離部H03は、ユーザメッセージに対してメッセージ処理プロセッサH04iを割り当てる役割を持つ。
【0397】
本発明によるインターネットサーバの場合、それぞれのコミュニティに対して通信資源を排他的に割り当てることによって、それぞれのコミュニティが使用している通信資源を確定し、もってそれぞれのコミュニティに対して合理的な課金等の通信サービスを行うことを特徴としている。このため、図17に示した構成のサービス基板においても、単一のサービス基板にて複数のコミュニティを実現する場合に、それぞれのコミュニティに対して排他的に通信資源を割り当てる必要がある。これは、図21に示すように、それぞれのメッセージ処理プロセッサに対してコミュニティを対応させ、上で述べた、ヘッダチェック/分離部H03によるユーザメッセージのメッセージ処理プロセッサへの割当時に、該ユーザメッセージを、該ユーザメッセージが属するコミュニティに対応したメッセージ処理プロセッサに割り当てることで達成できる。
【0398】
図21は、単一のサービス基板で複数のコミュニティを実現する場合に、ヘッダチェック/分離部H03により、各コミュニティ毎にユーザメッセージのメッセージ処理プロセッサへの割当方法を概念的に説明するためのものである。
【0399】
ここで、ATMコネクションがコミュニティ毎に排他的に割り当てられていることに注意が必要である。そこで、メッセージ組立部H02からメッセージを受け取るときに、該メッセージが運ばれてきたATMコネクションの識別子をヘッダチェック/分離部H03に渡すようにする。
【0400】
該ATMコネクションの識別子を用いることで、ヘッダチェック/分離部H03が該メッセージが属するコミュニティを把握し、対応するメッセージ処理プロセッサH04iから、該コミュニティに対してサービスを提供しているメッセージ処理プロセッサH04iを選択することが可能になる。
【0401】
また、前述したように、メッセージ分割部H06では、コミュニティ毎に割り当てられた帯域を守ってATMスイッチE06に対してセル流を与えるべく、出力間隔作成器H07からの送出許可に従ってコミュニティ毎のメッセージを送出することを行っているが、このため、メッセージ分割部H06内に、送出許可の与えられたコミュニティのメッセージが保持されていない場合、スループットが劣化してしまう問題点が発生することがある。この問題点を解決するため、メッセージ分割部H06から、送出を要求するコミュニティの番号をヘッダ結合部H05に与え、該番号に従ってヘッダ結合部がメッセージ処理プロセッサに送出許可を与えるようにしても良い。
【0402】
次に、図17のメッセージ処理プロセッサH04iの具体的構成について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0403】
図22は、例えばIPといった如く、ユーザメッセージの情報部分に対してなんら処理を行わないプロトコルを提供する場合に使用される、比較的安価なメッセージ処理プロセッサの構成を示したものである。
【0404】
ユーザメッセージの情報部分に対して処理を行わないことから、図17のデータ部保持部H20は、単なるヘッダ処理待ち合わせキューであればよく、FIFOメモリL01として実装されている。一方、図17のヘッダ処理部H21は、マイクロプロセッサL06を中心とした、ヘッダ部分に対する処理を実行するための計算資源からなっている。これらの計算資源は、システムバスL13により、マイクロプロセッサL06に接続されている。
【0405】
ヘッダ部入力FIFO(L02)は、ヘッダチェック/分離部H03からの、ユーザメッセージのヘッダ部分を受け取り、マイクロプロセッサL06によるポーリングまで一旦保持する役割を持つ。
【0406】
また、第1のI/OポートL03は、ヘッダチェック/分離部H03とのメッセージ転送に必要な各種制御情報の入出力を行う。ここで各種制御情報とは、ヘッダチェック/分離部H03と、該メッセージ処理プロセッサとの間のユーザメッセージ受け渡しに係るハンドシェーク信号である。このハンドシェーク信号は、具体的には、該メッセージ処理プロセッサが空いているか否かを示す情報と、ヘッダチェック/分離部H03からのメッセージ送出開始信号とからなっていても良い。前者は、ヘッダチェック/分離部H03からのメッセージを受信可能であるか否かをヘッダチェック/分離部H03に示す役割を果たし、後者は、ヘッダチェック/分離部H03からのユーザメッセージを受け取るプログラムの実行を開始するべく、この信号のアサートにより、マイクロプロセッサL06に割り込みをかける役割を果たしてもよい。
【0407】
さらに、第1のI/OポートL03を介して、マイクロプロセッサL06は、ヘッダチェック/分離部H03が出力する、データ部分のFIFOメモリL01への転送が終了しているか否かを示す信号を参照できるように構成されていてもよい。
【0408】
第2のI/OポートL04は、FIFOメモリL01に保持されるユーザメッセージのデータ部分に対する制御を指示する信号の入出力を行う。ヘッダ部分の処理の結果、例えば、ヘッダ部分の情報に何らかの論理的矛盾が生じたであるとか、ホップ数のカウンタ(TTL)がオーバーフローしたであるとか、またヘッダ部分に書かれている長さ以下のデータ部分しかFIFOメモリL01に保持されていないとかいった理由で、ヘッダチェック/分離部H03から受け取ったメッセージを廃棄する必要があることがある。この処理を実現するため、マイクロプロセッサL06が、第2のI/OポートL04を経由してFIFOメモリL01の状態を読み、また、その状態に従ってFIFOメモリ内のキューを制御する信号を出力するようにしてもよい。ここで、第2のI/Oポートを経由してやりとりされる信号は、例えば、FIFOメモリL01の長さを入力し、また、ヘッダ処理待ち合わせキューL01に対して保持している情報を破棄することと、該保持している情報を送出することを指定する信号を含んでいても良い。
【0409】
第3のI/OポートL05は、制御プロトコル実行プロセッサH10に接続されている。上述の様に、メッセージ処理プロセッサは、制御プロトコル実行プロセッサH10からユーザメッセージのルーティングに必要な情報を渡される。また、メインメモリL07に記憶されているルーティングテーブルH21aに登録されていない宛先アドレスを持つメッセージのヘッダ情報が第3のI/OポートL05を介して制御プロトコル実行プロセッサH10に渡される。このように、第3のI/OポートL05は、このルーティング情報の制御プロトコル実行プロセッサH10とのやりとりの為の信号の入出力に使用される。
【0410】
メインメモリL07は、メッセージ処理を実現するためマイクロプロセッサL06において実行されるプログラムや該プログラムの実行状況を示すデータ、及び処理中のユーザメッセージのヘッダ部分の保持に使用される。さらに、制御プロトコル実行プロセッサから渡されるユーザメッセージのルーティングに必要な情報を保持するテーブルである、ルーティングテーブルH21aも、このメインメモリL07上に設けられる。
【0411】
ROM(L08)は、メインメモリL07への、基板制御プロセッサH23からのプログラムのロードの為に必要なプログラム、いわゆるブートストラップローダが書き込まれている。このように、マイクロプロセッサL06にて実行されるプログラムを更新可能とすることで、IPやATMフォーラムのP−NNI等の種々のプロトコルを利用者に提供可能となる。
【0412】
ブートストラップ時のプログラムの転送は第4のI/OポートL09を経由して行われる。また、第4のI/OポートL09は、プログラム実行時の基板制御プロセッサH23からの該メッセージ処理プロセッサの状態監視などにも使用される。
【0413】
アービタL12は、ヘッダ結合部H05に接続され、他のメッセージ処理プロセッサとの間での、ユーザメッセージ送出の競合制御(アービトレーション)を実行している。
【0414】
マイクロプロセッサL06は、アービタL12の状態を入力ポートL10を通じて監視し、処理の終わったユーザメッセージのヘッダ部分の送出を開始するタイミングを決定する。実際にヘッダ結合部H05に向かって送出されるヘッダ部分は、出力ポートL11を経由して送出される。
【0415】
図22に示したメッセージ処理プロセッサは、例えば、以下の様に動作しユーザメッセージのルーティングを行う。
【0416】
ヘッダチェック/分離部H03からヘッダ部入力FIFO(L02)にユーザメッセージのヘッダ部分が渡されると、それと同時にマイクロプロセッサL06に割り込みがかかり、該FIFO(L06)に保持されたヘッダ部分がメインメモリL06に渡される。その後、メインメモリL06に蓄えられたプログラムやルーティング情報に従い、所望の処理を該ヘッダ部分に対してマイクロプロセッサL06が加える。これと同時に、ヘッダチェック/分離部H03からは、ユーザメッセージのデータ部分がFIFOメモリL01に入力される。
【0417】
マイクロプロセッサL06によるヘッダ部分の処理とは、具体的には、メインメモリL7に記憶されたルーティングテーブルH21aから、ヘッダ内の宛先情報に対応するATMコネクションの識別子(VPI/VCI)とポート番号を検索し、その検索された情報に、ヘッダ内の宛先情報を対応付けるものである。このとき、ルーティングテーブルH21aにヘッダ内の宛先情報に対応する情報が登録されていないとき、そのヘッダ情報をI/OポートL05を介して制御プロトコル実行プロセッサH10に渡す。
【0418】
制御プロトコル実行プロセッサH10では、前述したような動作(コミュニイティテーブルH18aの参照してヘッダ内の宛先情報に対応するE.164アドレスの獲得等のQ.2931Mプロトコルに従った処理動作)により公衆網の呼設定機能3065に対しATMコネクションの設定要求を行うための制御メッセージを転送する処理を行う。呼設定機能3065から所望のATMコネクションの設定の完了を通知する制御メッセージが制御プロトコル実行プロセッサH10に送られてくるまで、その宛先情報をもったメッセージは廃棄される。
【0419】
呼設定機能3065からATMコネクションの設定の完了を通知する制御メッセージを受信すると、そのメッセージに含まれる情報をもとに、ルーティングテーブルH21aに記憶される内容を作成して、それをI/OポートL05を介してヘッダ処理部H21に送る。
【0420】
マイクロプロセッサL06は、I/OポートL05を介して送られてきた情報をメインメモリL07のルーティングテーブルH21aに登録するとともに、以降、ルーティングテーブルH21aからヘッダ内の宛先情報に対応するATMコネクションの識別子(VPI/VCI)とポート番号を検索し、その検索された情報に、ヘッダ内の宛先情報を対応付ける。
【0421】
ヘッダ部分に対する以上の処理が終わると、まず、マイクロプロセッサL06は、第1のI/OポートL03を介して、データ部分の転送が終了しているか否かを示す情報を参照する。データ部分の転送が終了していない場合は、データ部分の転送が終了するのを待っても良い。データ部分の転送が終了すると、次にマイクロプロセッサL06は、入力ポートL10を介してアービタL12の状態を参照し、自分がメッセージを送出できる状態にあるか否かを判断する。
【0422】
メッセージを送出できる状態にあると、マイクロプロセッサL06は、まず、出力ポートL11を介してヘッダ部分を送出する。ヘッダ部分の送出が終了すると、第2のI/OポートL04を経由してFIFOメモリL01に対してユーザメッセージのデータ部分を送出するよう指令する。
【0423】
指令を受けると、FIFOメモリL01は、自分が保持している情報を、ヘッダ結合部H05へと送出する。
【0424】
図22に示したような構成のメッセージ処理プロセッサは、ユーザメッセージのデータ部分に対する処理をほとんど行わず、単にヘッダ部分の処理が終了するのを待ち合わせるだけの機能しか持っていない。データ部分に対する処理がないプロトコルを実行する場合は、図22に示す構成で十分であるが、例えば、データ部分に対してCRC演算を行い、伝送中のビット誤りを検出するといったことがプロトコル上要求されることがある。この場合、単にデータ部分をFIFOメモリL01に保持するだけの図22に示すメッセージ処理プロセッサではなく、データ部分の処理を行う専用のマイクロプロセッサを別に準備した、図23に示すような構成のメッセージ処理プロセッサを使用するのが望ましい。
【0425】
図23において、図22と同一部分には同一符号を付し、異なる部分について説明する。すなわち、図23に示したメッセージ処理プロセッサは、図22に示したFIFOメモリL01が、マイクロプロセッサM05を中心とする計算資源により置き換えられている。
【0426】
これらの計算資源は、システムバスM09により、マイクロプロセッサM05に接続されている。この計算資源により、データ部分に対して要求される、例えばCRC演算といった処理が実現される。
【0427】
ヘッダチェック/分離部H03から渡されるデータ部分は、まず、データ部入力FIFOメモリ(M01)に渡される。
【0428】
マイクロプロセッサM04は、データ部入力FIFO(M01)へのデータ部の蓄積に伴って発生する割り込みに対応し、該FIFOに保持されたデータ部分をメインメモリM05に一旦保持し、メインメモリM05に保持されたプログラムに従って該データ部分に対する処理を加える。ヘッダ部分に対する処理を行うマイクロプロセッサL06からのデータ部分の出力指令を受けると、マイクロプロセッサM04は、出力ポートM08からデータ部分を送出する。なお、ヘッダ結合部H05に対するメッセージ送出の競合制御は、ヘッダ部分を処理するマイクロプロセッサL06によって処理されているので、データ部分を処理するマイクロプロセッサM04では、アービタL12の状態を参照するための入力ポートは省略されている。
【0429】
ROM(M06)は、マイクロプロセッサM04にて実行されるプログラムの、基板制御プロセッサH23からのブートストラップを行うためのローダが含まれている。ヘッダ部分に対する処理と同様、これによって、データ部分に対する処理もプログラマブルとすることができる。
【0430】
第5のI/OポートM02は、ヘッダチェック/分離部H03との、データ部分の情報のハンドシェークのための信号の入出力に使用される。また、第6のI/OポートM03は、ヘッダ処理を行うマイクロプロセッサL06からのデータ部分の廃棄指令/出力指令をマイクロプロセッサM04に伝えるために使用される。
【0431】
第7のI/OポートM07は、基板制御プロセッサH23からのブートストラップや、マイクロプロセッサM04の、基板制御プロセッサH23からの監視の為に使用される。
【0432】
以上の説明では、本発明によるコミュニティを公衆網に適用することとして述べてきたが、もちろん、本発明によるコミュニティは公衆網のみで有効なものではなく、例えば、公衆網に準ずる信頼性の要求される企業網のバックボーン網に適用しても有効である。
【0433】
以上、説明したように、上記第1〜第3の実施形態によれば、ATM通信網内で特定の通信サービスを提供するコミュニティには、それぞれを識別するため識別子(例えば、E.164アドレス)が付与されており、ATM通信網内のインターネットサーバに、各コミュニティ毎に対応したサービス基板を設け、その各サービス基板において、ATM通信網内に各コミュニティに付与された識別子に対応したATMコネクションの設定を網の呼設定機能に対し要求するための制御を行うQ.2931Mプロトコルと、そのQ.2931Mプロトコルに従って要求された結果設定されたATMコネクションを介して転送されてきた、各コミュニティ毎に異なるプロトコルに従ったメッセージをQ.2931Mプロトコルに従って要求された結果設定されたATMコネクションに転送するためのメッセージのルーティング処理を行うメッセージ処理プロトコルを実行することにより、特定の通信サービスを特定の利用者に対し排他的に提供できるとともに、その特定の通信サービスを提供するための通信資源を明確に特定できる。また、各サービス基板毎に設けられたトラヒック監視部607において、Q.2931Mプロトコルに従って要求された結果設定されたATMコネクション上のトラヒックを監視することにより、コミュニティ毎に割り当てる通信帯域を増減することでコミュニティ毎に予め定められたQoSを提供することが容易で、経済的に公衆網を構築することができる。また、各サービス基板毎に設けられたセキュリティ部608において、Q.2931Mプロトコルに従って要求された結果設定されたATMコネクションで転送される特定の通信サービスのメッセージに対し暗号化・復号化を行うことにより、コミュニティ毎に高いセキュリティ性が確保できる。さらに、これらのコミュニティにアクセスする際には、これらのコミュニティそれぞれに独立に与えられた識別子、すなわち、E.164アドレスを用いて利用者がATM通信網にコネクション設定の要求を行うので、コミュニティにアクセスするためのE.164アドレスを悪意のユーザに教えないことによって、各特定の通信サービスを特徴付けるネットワークレイヤ(例えばIPレイヤ)でのなりすましによるルータ攻撃を防ぐ事が可能である。
【0434】
また、課金という観点からすると、同一コミュニティにアクセスする利用者それぞれに、該コミュニティに割り当てられた網内通信資源をコミュニティに参加している利用者数で割った値に比例した基本料金をとるという、それぞれの利用者が納得可能な課金が可能である。
【0435】
また、これらのコミュニティに利用者がアクセスする時にATMコネクションを使用するので、それぞれの利用者が送信した/受信したメッセージ数を決定でき、利用者毎に使用頻度に従って課金する事も可能である。
【0436】
コミュニティを実現するためのルーティング処理を実現するプロセスにはそれぞれ独立したハードウェア資源が割り当てられており、かつこれらの間はトラフィック量の測定及び収集が可能なATMコネクションで接続されているので、どのコミュニティにより多くの通信網資源を投入するかの決定も可能で、また、コミュニティの基本料金を上げることで、その通信網資源により恩恵を受ける利用者からより多くの料金をとるという公平な課金を実現することができる。
【0437】
さらに、同一の利害関係をもつ利用者という限られた範囲に対して通信資源が割り当てられているので、そのコミュニティの要求するQoSを提供することも、例えば、ATMコネクションの帯域の増強、サービス基板の能力の増強といったことにより確保できる。また、それぞれのコミュニティの間の相互作用は単一のコネクション網を考えた場合よりも小さくできるので、サービス基板の数を増やし、それぞれのサービス基板に割り当てるコミュニティを新設することで、通信システム全体として考えた場合のコネクションレスサービスのスループットを線形に増加させることが可能で、コネクションレスサービス自身のサービスの増強、拡張が容易である。
【0438】
また、コミュニティ内の合意が形成できれば、新しいサービスを導入するため当該コミュニティのサービスを提供するルータを落とす事も可能である。同一コミュニティに参加する利用者の利害関係を調整するのは、公衆網の全利用者の利害関係の調整よりも容易である。
【0439】
しかも、コミュニティの内部では、例えばIPといった柔軟性の高いプロトコルを採用することが可能で、インターネットの持つ新規サービス導入の柔軟性という利点を本発明が阻害することはない。
【0440】
さらに、単一ネットワークとして実現する場合に比べ、ATMスイッチによる負荷分散が容易に実現でき、多数の利用者に対して安価にコネクションレスサービスを提供する事が可能になる。また、ATMスイッチによる負荷分散が容易に実現できるという事は、新しくコミュニティを実現するために必要な網資源(具体的にはサービス基板)を通信網に容易に付加可能である事を意味し、提供サービスの追加、増強が容易に可能である利点を導くことになる。
【0441】
このように、上記実施形態によれば、全世界単一ネットワークとして構築されていたベストエフォットのコネクションレス網を、同一の興味を持つ利用者の集まりであるコミュニティとして分割して公衆網上に実現することが可能となり、コネクションレス通信の持つ柔軟性を生かしながら、これらコミュニティ毎に使用する網内通信資源を明確に特定できるとともに、コミュニティ毎に予め定めらここでのSTMパスインタフェースH15は、図16に示したような構成のサービス基板で設けられているSTMパスインタフェースG07と同様の動作を行うものである。
【0442】
なお、本サービス基板では、種々のプロトコルがサービスされる可能性がある。これを実現するために、制御プロトコル実行プロセッサH10におけるサービスは前述のようにプログラマブルとなっている。また、後ほど詳細に述べるように、メッセージ処理プロセッサH04iも、プログラマブルとなっている。このように種々のプロトコルに対応するためには、ヘッダチェック/分離部H03におけるユーザメッセージと制御メッセージの分割も、プログラマブルとする必要がある。
【0443】
ヘッダチェック/分離部H03の動作速度は、本サービス基板のスループットを規定するので、この部分はソフトウェアではなくハードウェアにて実現されるのが望ましい。ヘッダチェック/分離部H03の動作をプログラマブルとするため、ヘッダチェック/分離部H03は、メッセージのどの部分を参照してユーザメッセージと制御メッセージの切り分けを行うか、また、該参照部分のビットパタンがどのようであればユーザメッセージであり、どのようであれば制御メッセージであるかを基板制御プロセッサH23から指定可能なように構成されるのが望ましい。
【0444】
ひとつのサービス基板で複数のコミュニティに対応する事を考える場合、ATMコネクション毎に実行されるプロトコルが異なる事も考えられるが、この状況に対応するため、この参照部分およびユーザメッセージと制御メッセージの切り分けの為の情報は、コネクション毎に指定できるようになっているのがより望ましい。これを実現する場合、コネクション毎にプロトコルを指定できるよう、メッセージ組立部H02から、該メッセージが転送されてきたATMコネクションの識別子を貰うこととなるのはいうまでもない。
【0445】
れた通信帯域(QoS)の提供が容易で、コミュニティ毎の課金、ネットワークレイヤのセキュリティ性の向上、コミュニティ毎の通信サービスの追加、増強も容易といったベストエフォットのコネクションレス通信の持つ公衆サービスとしての問題点を解決できる。
【0446】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ATMネットワーク上で特定の通信サービスをその特定通信サービスに適した通信品質とセキュリティ性を確保しながら特定の利用者に排他的に提供することが可能なATM通信システムおよびATM交換機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のATM通信システムの構成をコミュニティの概念を含めて概略的に示した図。
【図2】図1のコミュニティに対して利用者がアクセスする場合の手順を説明するためのフローチャート。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る小規模コミュニティを実現するATM通信システムの構成を概略的に示した図。
【図4】小規模コミュニティを実現するプロトコルスタックを示した図。
【図5】第1の実施形態に係るATM通信システムの私設網内のインターネットサーバの内部構成を説明するための図。
【図6】私設網内のインターネットサーバに含まれるIPレイヤとQ.2931Mレイヤの機能および動作について説明するための図。
【図7】IPレイヤとQ.2931Mレイヤの動作を説明するためのフローチャート。
【図8】IPレイヤとQ.2931Mレイヤの動作のうち、特に、ルーティングテーブルの更新動作を説明するためのフローチャート。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る大規模コミュニティを実現するATM通信システムの構成を概略的に示した図。
【図10】大規模コミュニティを実現するプロトコルスタックを示した図。
【図11】第2の実施形態に係るATM通信システムの公衆網内のインターネットサーバの内部構成を説明するための図。
【図12】公衆網内のインターネットサーバに含まれるIPレイヤとQ.2931Mレイヤの機能および動作について説明するための図。
【図13】図11のインターネットサーバに非ATM通信網を接続する場合について説明するための図。
【図14】本発明の第3の実施形態に係るインターネットサーバの構成を概略的に示した図。
【図15】図14のインターネットサーバ内部のコネクションについて説明するためのものである。
【図16】サービス基板の構成の一具体例を示したブロック図。
【図17】サービス基板の構成の他の具体例を示したブロック図。
【図18】セキュリティ部、トラヒック監視部の具体的な構成を示した図。
【図19】図17のヘッダチェック/分離部、メッセージ処理プロセッサ、ヘッダ結合部の間の情報転送の様子を説明するための図。
【図20】図17のヘッダチェック/分離部、複数のメッセージ処理プロセッサ、ヘッダ結合部の間の情報転送の様子を説明するための図。
【図21】複数のメッセージ処理プロセッサへののコミュニティへの割当を説明するための概念図。
【図22】メッセージ処理プロセッサの構成の一具体例を示したブロック図。
【図23】メッセージ処理プロセッサの構成の他の具体例を示したブロック図。
【図24】従来のインターネットのユーザービューを説明するための図
【図25】従来のATM通信網上におけるベストエフォットのコネクションレス通信網を実現するためのプロトコルスタックを示した図。
【符号の説明】
101…ATM通信網、1021、1022、1023…コミュニティ、
3031、3032、3033、3034…施設網内インターネットサーバ、
3051、3052…公衆網内インターネットサーバ、
3060、3061、3062、3063…施設網内呼設定機能、
3065…公衆網内呼設定機能、
E031、E032、・・・E03n…サービス基板。

Claims (21)

  1. メッセージを転送するための複数のノード装置を含むATM通信システムであって、
    メッセージを転送するためのチャネルを設定する設定手段を具備し、
    前記複数のノード装置のそれぞれは、
    任意のチャネルで転送されてきたメッセージを受信する受信手段と、
    前記受信手段で受信されたメッセージを転送する際に用いるチャネルの識別子を取得するための、ベストエフォット( best effort )型のコネクションレス網である複数のコミュニティ網のそれぞれに対応して設けられた複数の処理手段と、
    各処理手段から出力された、チャネルの識別子が取得された前記メッセージを当該識別子に対応するチャネルを用いて転送する転送手段と、
    を具備し、
    前記複数の処理手段のそれぞれは、
    当該処理手段に割り当てられたIPアドレスと、当該処理手段に対応するコミュニティ網での通信に必要な通信帯域をもつチャネルを設定するためのコミュニティ網の識別子との対応関係を示すコミュニティテーブルを記憶する記憶手段と、
    前記受信手段で受信され当該処理手段に入力されたメッセージの宛先であるIPアドレスが前記コミュニティテーブルに登録されているときには、当該IPアドレスに対応するコミュニティ網の識別子を基に前記設定手段で設定されたチャネルの識別子を取得し、登録されていないときには当該メッセージを破棄する手段と、
    を具備したことを特徴とするATM通信システム。
  2. 前記コミュニティテーブルには、前記コミュニティ網の識別子とともにそのコミュニティ網での通信のための通信帯域情報が前記IPアドレスに対応付けて登録され、
    前記設定手段は、各処理手段からの前記コミュニティ網の識別子及び前記通信帯域情報を含む呼設定要求を受けて、当該コミュニティ網の識別子に対応するチャネルを設定することを特徴とする請求項1記載のATM通信システム。
  3. 前記コミュニティ網の識別子は、ITU−T(国際電気通信連合・電気通信標準化部門)勧告のE.164アドレスであることを特徴とする請求項1記載のATM通信システム。
  4. 前記複数の処理手段のそれぞれは、
    当該処理手段に割り当てられたIPアドレスと前記設定手段で当該IPアドレスに対応するコミュニティ網の識別子を基に設定された前記チャネルの識別子との対応関係を示すルーティングテーブルを記憶する第2の記憶手段をさらに具備し、
    当該処理手段に入力されたメッセージの宛先であるIPアドレスが前記ルーティングテーブルに登録されている場合には当該ルーティングテーブルから当該IPアドレスに対応するチャネルの識別子を取得し、当該ルーティングテーブルに登録されていない場合に、当該IPアドレスが前記コミュニティテーブルに登録されているときには、当該IPアドレスに対応するコミュニティ網の識別子を基に前記設定手段で設定されたチャネルの識別子を取得し、登録されていないときには当該メッセージを破棄することを特徴とする請求項1記載のATM通信システム。
  5. 前記設定手段で前記コミュニティ網の識別子を基に新たなチャネルが設定されると、当該コミュニティ網の識別子に対応するIPアドレスとともに当該新たなチャネルの識別子を前記ルーティングテーブルに登録することを特徴とする請求項4記載のATM通信システム。
  6. 前記複数のノード装置のそれぞれは、
    前記受信手段で受信されたメッセージを前記複数の処理手段のうちのいずれか1つに入力するための手段をさらに具備したことを特徴とする請求項1記載のATM通信システム。
  7. メッセージを転送するための複数のチャネルを収容するノード装置であって、
    各チャネルにより転送されてきた各メッセージを受信する受信手段と、
    前記受信手段で受信したメッセージを転送する際に用いるチャネルの識別子を取得するための、ベストエフォット( best effort )型のコネクションレス網である複数のコミュニティ網のそれぞれに対応して設けられた複数の処理手段と、
    各処理手段から出力された、チャネルの識別子が取得された前記メッセージを当該識別子に対応するチャネルを用いて転送する転送手段と、
    を具備し、
    前記複数の処理手段のそれぞれは、
    当該処理手段に割り当てられたIPアドレスと、当該処理手段に対応するコミュニティ網での通信に必要な通信帯域をもつチャネルを設定するために必要なコミュニティ網の識別子との対応関係を示すコミュニティテーブルを記憶する記憶手段と、
    前記受信手段で受信され当該処理手段に入力されたメッセージの宛先であるIPアドレスが前記コミュニティテーブルに登録されているときには、当該IPアドレスに対応するコミュニティ網の識別子を基に設定されたチャネルの識別子を取得し、登録されていないときには当該メッセージを破棄する手段と、
    を具備したことを特徴とするノード装置。
  8. 前記受信手段で受信されたメッセージを前記複数の処理手段のうちのいずれか1つに入力するための手段をさらに具備したことを特徴とする請求項7記載のノード装置。
  9. 前記複数の処理手段のそれぞれは、
    当該処理手段に入力されたメッセージの量を計測する第1の計測手段と、
    前記第1の計測手段で計測されたメッセージの量に基づくトラヒック量が、当該処理手段に対応するコミュニティ網の識別子を基に設定されたチャネルの通信帯域に対応するトラヒック量より小さいとき、当該チャネルの通信帯域を削減するよう制御を行う第1の制御手段を、
    さらに具備したことを特徴とする請求項8記載のノード装置。
  10. 前記複数の処理手段のそれぞれは、
    前記転送手段へ出力する、前記チャネルの識別子の取得されたメッセージの量を計測する第2の計測手段と、
    前記第2の計測手段で計測されたメッセージの量に基づくトラヒック量が、当該処理手段に対応するコミュニティ網の識別子を基に設定されたチャネルの通信帯域に対応するトラヒック量より大きいとき、当該チャネルの通信帯域を増加するよう制御を行う第2の制御手段を、
    をさらに具備したことを特徴とする請求項8記載のノード装置。
  11. 前記複数の処理手段のそれぞれは、
    当該処理手段に入力された暗号化されたメッセージを復号する復号手段と、
    前記チャネルの識別子が取得されて前記転送手段へ出力するメッセージを暗号化する暗号化手段と、
    をさらに具備したことを特徴とする請求項8記載のノード装置。
  12. 非同期転送モードによりATMセルを転送して通信を行うための複数のノード装置を含むATM通信システムであって、
    ATMセルを転送するためのATMコネクションを設定するコネクション設定手段を具備し、
    前記複数のノード装置のそれぞれは、
    任意のATMコネクションで転送されてきたATMセルを受信する受信手段と、
    前記受信手段で受信したATMセルを転送する際に用いるATMコネクションの識別子を取得するための、ベストエフォット( best effort )型のコネクションレス網である複数のコミュニティ網のそれぞれに対応して設けられた複数の処理手段と、
    各処理手段から出力された、ATMコネクションの識別子が取得された前記ATMセルを当該識別子に対応するATMコネクションを用いて転送する転送手段と、
    を具備し、
    前記複数の処理手段のそれぞれは、
    当該処理手段に割り当てられたIPアドレスと、当該処理手段に対応するコミュニティ網での通信に必要な通信帯域をもつATMコネクションを設定するために必要なコミュニティ網の識別子との対応関係を示すコミュニティテーブルを記憶する記憶手段と、
    前記受信手段で受信され当該処理手段に入力されたATMセルに含まれるメッセージの宛先であるIPアドレスが前記コミュニティテーブルに登録されているときには、当該IPアドレスに対応するコミュニティ網の識別子を基に前記コネクション設定手段で設定されたATMコネクションの識別子を取得し、登録されていないときには当該ATMセルを破棄する手段と、
    を具備したことを特徴とするATM通信システム。
  13. 前記コミュニティテーブルには、前記コミュニティ網の識別子とともにそのコミュニティ網での通信のための通信帯域情報が前記IPアドレスに対応付けて登録され、
    前記コネクション設定手段は、各処理手段からの前記コミュニティ網の識別子及び前記通信帯域情報を含む呼設定要求を受けて、当該コミュニティ網の識別子に対応するATMコネクションを設定することを特徴とする請求項12記載のATM通信システム。
  14. 前記複数の処理手段のそれぞれは、
    当該処理手段に割り当てられたIPアドレスと前記コネクション設定手段で当該IPアドレスに対応するコミュニティ網の識別子を基に設定された前記ATMコネクションの識別子との対応関係を示すルーティングテーブルを記憶する第2の記憶手段をさらに具備し、
    当該処理手段に入力されたATMセルに含まれるメッセージの宛先であるIPアドレスが前記ルーティングテーブルに登録されている場合には当該ルーティングテーブルから当該IPアドレスに対応するATMコネクションの識別子を取得し、当該ルーティングテーブルに登録されていない場合に、当該IPアドレスが前記コミュニティテーブルに登録されているときには、当該IPアドレスに対応するコミュニティ網の識別子を基に前記コネクション設定手段で設定されたATMコネクションの識別子を取得し、登録されていないときには当該ATMセルを破棄することを特徴とする請求項12記載のATM通信システム。
  15. 前記コネクション設定手段で前記コミュニティ網の識別子を基に新たなATMコネクションが設定されると、当該コミュニティ網の識別子に対応するIPアドレスとともに当該新たなATMコネクションの識別子を前記ルーティングテーブルに登録することを特徴とする請求項14記載のATM通信システム。
  16. 前記複数の処理手段のそれぞれは、
    当該処理手段に入力された各ATMセルに含まれるメッセージの量を計測する第1の計測手段と、
    前記第1の計測手段で計測されたメッセージの量に基づくトラヒック量が、当該処理手 段に対応するコミュニティ網の識別子を基に設定されたATMコネクションの通信帯域に対応するトラヒック量より小さいとき、当該ATMセルの通信帯域を削減するよう制御を行う第1の制御手段を、
    さらに具備したことを特徴とする請求項12記載のATM通信システム。
  17. 前記複数の処理手段のそれぞれは、
    前記ATMコネクションの識別子の取得されたATMセルを前記転送手段へ出力する際の出力間隔を、当該処理手段に対応するコミュニティ網の識別子を基に設定されたATMコネクションの通信帯域に基づき制御する出力間隔制御手段をさらに具備したことを特徴とする請求項12記載のATM通信システム。
  18. 前記複数の処理手段のそれぞれは、
    前記転送手段へ出力する、前記ATMコネクションの識別子の取得された各ATMセルに含まれるメッセージの量を計測する第2の計測手段と、
    前記第2の計測手段で計測されたメッセージの量に基づくトラヒック量が、当該処理手段に対応するコミュニティ網の識別子を基に設定されたATMコネクションの通信帯域に対応するトラヒック量より大きいとき、当該ATMコネクションの通信帯域を増加するよう制御を行う第2の制御手段を、
    をさらに具備したことを特徴とする請求項12記載のATM通信システム。
  19. 前記複数の処理手段のそれぞれは、
    各ATMセルに含まれる暗号化されたメッセージを復号する復号手段と、
    前記ATMコネクションの識別子が取得されて前記転送手段へ出力する各ATMセルに含まれるメッセージを暗号化する暗号化手段と、
    をさらに具備したことを特徴とする請求項12記載のATM通信システム。
  20. 前記コミュニティ網の識別子は、ITU−T(国際電気通信連合・電気通信標準化部門)勧告のE.164アドレスであることを特徴とする請求項12記載のATM通信システム。
  21. 非同期転送モードによりATMセルを転送するATMネットワーク上におけるATMセルの交換機能を有する複数の入出力端を具備したATMスイッチと、このATMスイッチの入出力端にそれぞれ接続され、ベストエフォット( best effort )型のコネクションレス網である複数のコミュニティ網のそれぞれに対応して設けられた複数の処理手段を具備したATM交換機であって、
    前記ATMスイッチは、
    当該ATMスイッチに入力された、任意のATMコネクションで転送されてきたATMセルを、当該ATMセルのヘッダに含まれる当該ATMコネクションの識別子に基づき、前記複数の処理手段のうちの1つが接続されている出力端へ出力するとともに、各処理手段から出力されて当該ATMスイッチに入力されたATMセルを、当該ATMセルに対し取得されたATMコネクションの識別子に基づき伝送路へ出力するための出力端へ出力し、
    前記複数の処理手段のそれぞれは、
    当該処理手段に割り当てられたIPアドレスと、当該処理手段に対応するコミュニティ網での通信に必要な通信帯域をもつATMコネクションを設定するために必要なコミュニティ網の識別子との対応関係を示すコミュニティテーブルを記憶する記憶手段と、
    当該処理手段に入力されたATMセルに含まれるメッセージの宛先であるIPアドレスが前記コミュニティテーブルに登録されているときには、当該IPアドレスに対応するコミュニティ網の識別子を基に設定されたATMコネクションの識別子を取得し、登録されていないときには当該ATMセルを破棄する手段と、
    取得されたATMコネクションの識別子を含むヘッダを有するATMセルを前記ATMスイッチへ出力する出力手段と、
    を具備したことを特徴とするATM交換機。
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