JP3621168B2 - 水−可溶性プレポリマーからのポリマー性網目組織 - Google Patents
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Description
本発明は、ポリマー鎖中に、以下の構造単位:ビニルラクタム(a)、ビニルアルコール(b)、場合により低級アルカンカルボン酸ビニルエステル(c)、ビニル性架橋剤(d)及び場合によりビニル性光開始剤(e)から誘導される単位からなる水−可溶性の架橋性プレポリマー;その新規プレポリマーの製造方法;それからの架橋された水−不溶性ポリマー性網目組織、及び架橋された水−不溶性ポリマー性網目組織からの成形製品、特にコンタクトレンズ;並びに上記架橋性の水−可溶性ポリマーを用いたヒドロゲル及び仕上げられたコンタクトレンズの製造方法を記載している。
【0002】
ビニルラクタムコポリマー、例えばビニルピロリドンコポリマーは、長い間、高含水量コンタクトレンズの材料として知られている。これに関連して挙げることのできる例は、Scafilcon A 及びSurfilcon A である。これらは、装着時に非常に快適であるので事業として成功している。
【0003】
米国特許 4347198号明細書に、コンタクトレンズの製造;親水性成分、例えばN−ビニルピロリドン、疎水性成分、例えばメチルメタクリラート、架橋剤及び開始剤が、溶媒、例えばDMSO中で混合され、次いでこの混合物が、成形用型中で架橋されることが記載されている。水中で、抽出し、平衡化した後に、ソフトヒドロゲルコンタクトレンズが得られる。水での抽出は、溶媒と未反応ビニルモノマーを除去しなければならないので、必要である。ポリマーは、一方で例えばDMSO中、他方で水中で、異なる割合で膨潤するので、コンタクトレンズは、平衡になるまで最終寸法を予測することはできない。
【0004】
ヨーロッパ特許216074号明細書に、ヒドロゲルコンタクトレンズの製造方法が記載されている。その方法では、メタクリラートで改質されたポリビニルアルコールが用いられ、それは、適切な鋳型で、光開始剤の存在下、例えば約3時間、UV光の照射によりDMSO溶液中で、ビニルモノマーと共重合される。コンタクトレンズは、鋳型から取り出され、DMSOと未反応ビニルモノマーを除去するために、水又は生理食塩水で抽出される。この場合も、コンタクトレンズは、DMSOと水で、その膨張効果に差があるために、最終段階でのみ最終的幾何学形状を得ることになる。
【0005】
レンズ製造をより効率的にするために、ポリマ−調製での反応時間を短くするための試みが種々なされている。ヨーロッパ特許370827号明細書(Vistakonn )に、例えばポリスチレン注型鋳型中での重合のための溶媒として、特定の二官能性アルコールのホウ酸エステル、実質的にヒドロキシエチルメタクリラート(HEMA)の使用が記載されている。この重合も、また光開始剤の存在下、6〜12分間のみのUV光の照射により行なわれ、そのとき水で抽出しなけれならないゲルが生成する。
【0006】
従来、コンタクトレンズの製法として知られている方法の欠点の一つは、水又は生理食塩水での長期間の抽出であり、それは短時間サイクルでのコンタクトレンズを効率的に製造することを不可能にしている。
【0007】
従来の方法の別の欠点は、すでに述べたように、先行技術でのポリマ−製造では架橋割合が比較的低いことである。
【0008】
本発明は、この点での解決策を提供している。水−可溶性及び架橋性の両方であるプレポリマーを開示している。架橋後での水又は生理的食塩水での長期の抽出は、架橋を、例えば水中で行なうことができるので、本発明では抽出なしですますことができる。比較的低い架橋割合であるとの欠点は、コンタクトレンズの製造のための出発物質としてモノマーではなく架橋性プレポリマーを用いることにより克服される。
【0009】
したがって、本発明は、水−可溶性の架橋性プレポリマーであって、
コポリマー鎖中に、以下のモノマー構造単位:ビニルラクタム(a)、ビニルアルコール(b)、場合により低級アルカンカルボン酸ビニルエステル(c)、ビニル性架橋剤(d)及び場合によりビニル性光開始剤(e)、から誘導される単位を含むプレポリマーに関する。
【0010】
本発明の範囲で、水−可溶性の架橋性プレポリマーは、架橋性プレポリマーであり、かつ未架橋プレポリマーであると理解すべきである。
【0011】
本発明は、好ましくは、コポリマー鎖中に以下のモノマー構造単位:
ビニルラクタム(a)5〜85重量%、
ビニルアルコール(b)3〜80重量%、
低級アルカンカルボン酸ビニルエステル(c)0〜65重量%、
ビニル性架橋剤(d)3〜40重量%、及び
ビニル性光開始剤(e)0〜5重量%から誘導される単位を含む水−可溶性の架橋性プレポリマーに関する。
【0012】
本発明は、また、好ましくは、コポリマー鎖中に以下のモノマー構造単位:
ビニルラクタム(a)10〜75重量%、
ビニルアルコール(b)10〜65重量%、
低級アルカンカルボン酸ビニルエステル(c)2〜40重量%、
ビニル性架橋剤(d)5〜35重量%、及び
ビニル性光開始剤(e)0〜3重量%から誘導される単位を含む水−可溶性の架橋性プレポリマーに関する。
【0013】
本発明は、好ましくは、コポリマー鎖中に以下のモノマー構造単位:
ビニルラクタム(a)20〜70重量%、
ビニルアルコール(b)15〜60重量%、
低級アルカンカルボン酸ビニルエステル(c)5〜30重量%、
ビニル性架橋剤(d)7〜30重量%、及び
ビニル性光開始剤(e)0〜2重量%から誘導される単位を含む水−可溶性の架橋性プレポリマーに関する。
【0014】
本発明によれば、ビニルラクタム(a)は、例えば、式(I):
【0015】
【化7】
【0016】
(式中、Rは、直鎖若しくは1個以上の分岐を有し、2〜8個の炭素原子を有する、アルキレン又はアルケニレンであり、そしてAは、CO又はCR1 R2 (ここで、R1 は、水素、低級アルキル、アリール、アラルキル又はアルカリールであり、そしてR2 は、水素又はアルキルである)である)で示される、5〜7員ラクタムであると理解されるべきである。
【0017】
上記式(I)のN−ビニルラクタムのいくつかは、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニル−2−カプロラクタム、N−ビニル−3−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−3−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−3−メチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−4−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−4−メチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−5−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−5−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−5,5−ジメイル−2−ピロリドン、N−ビニル−3,3,5−トリメチル−2−ピロリドン、N−ビニル−5−メチル−5−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−3,4,5−トリメチル−3−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−6−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−6−エチル−2−ピペリドン、N−ビニル−3,5−ジメチル−2−ピペリドン、N−ビニル−4,4−ジメチル−2−ピペリドン、N−ビニル−7−メチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−7−エチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−3,5−ジメチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−4,6−ジメチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−3,5,7−トリメチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−マレイミド及びN−ビニル−スクシンイミドである。所望ならば、それらの混合物も用いることができる。
【0018】
好適に用いられるビニルラクタム(a)は、複素環に4〜6個の炭素原子を含む式(I)の複素環モノマーである。
【0019】
好適に用いられるビニルラクタム(a)は、複素環に4個の炭素原子を含む式(I)の複素環モノマーである。
【0020】
さらに好適に用いられるビニルラクタム(a)は、複素環に4個の炭素原子を含み、かつR1 が水素又は低級アルキルである式(I)の複素環モノマーである。
【0021】
さらにまた好適に用いられるビニルラクタム(a)は、複素環に4個の炭素原子を含み、かつR1 及びR2 が、それぞれ互いに独立して、水素又は低級アルキルである式(I)の複素環モノマーである。
【0022】
非常に好適に用いられるビニルラクタム(a)は、N−ビニル−2−ピロリドンである。
【0023】
本発明は、好適には、水−可溶性の架橋性プレポリマーであって、
コポリマー鎖中に、以下のモノマー構造単位:ビニルラクタム(a)、ビニルアルコール(b)、場合により低級アルカンカルボン酸ビニルエステル(c)、ビニル性架橋剤(d)及び場合によりビニル性光開始剤(e)、から誘導される単位を含み、モノマー構造単位(a)の重量%が、プレポリマーの全重量に基づいて、少なくとも11重量%であるプレポリマーに関する。
【0024】
低級アルカンカルボン酸ビニルエステル(c)は、例えばヘプタン酸ビニルエステル、ヘキサン酸ビニルエステル、ペンタン酸ビニルエステル、ブタン酸ビニルエステル、プロパン酸ビニルエステル(プロピオン酸ビニル)又はエタン酸ビニルエステル(酢酸ビニル)であると理解すべきである。前述のビニルエステルの混合物も、また用いることができる。好適な低級アルカンカルボン酸ビニルエステル(c)は、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル又はこの二つのエステルの混合物である。
【0025】
ビニル性架橋剤(d)は、例えば、式(II):
【0026】
【化8】
【0027】
(式中、R3 は、ラジカル重合性炭化水素基であり、n、m及びpは、それぞれ互いに独立して、0又は1であり、成分Bは、それぞれ互いに独立して、20個までの炭素原子を有するジラジカルであり、成分X1 は、それぞれ互いに独立して、−O−、−NH−又は単結合であり、そしてXは、NH又は単結合である)で示される化合物の誘導体であると理解すべきである。
【0028】
R3 は、例えば、好適には2〜12個の炭素原子を有するラジカル重合性の形態であるアルケニルである。アルケニルの例は、ビニル、アリル、1−プロペン−2−イル、1−ブテン−2−又は−3−又は−4−イル、2−ブテン−3−イル並びにペンチル、ヘキシル、オクテニル、ドデシル及びドデシルの異性体である。R3 は、好適には2〜12個、特に2〜8、特に2〜4個の炭素原子を含む。
【0029】
ジラジカルBは、例えば低級アルキレン、6〜12個の炭素原子を有する二価の環式飽和脂肪族基、アルキレンアリーレン基、アリーレンアルキレン基又はアリーレンアルキレンアリーレン基である。
【0030】
好適に用いられるビニル性架橋剤(d)は、例えば重合性基R3 が、2〜8個の炭素原子を有するアルケニルであり、n、m及びpが、それぞれ互いに独立して、0又は1であり、成分Bが、それぞれ互いに独立して、低級アルキレン、アリーレン、6〜12個の炭素原子を有する二価の環式飽和脂肪族基、アルキレンアリーレン基、アリーレンアルキレン基又はアリーレンアルキレンアリーレン基であり、成分X1 が、それぞれ互いに独立して、−O−、−NH−又は単結合であり、そしてXが、NH又は単結合である式(II)の化合物である。
【0031】
好適に用いられるビニル性架橋剤(d)は、例えば重合性基R3 が、2〜8個の炭素原子を有するアルケニルであり、n、m及びpが、それぞれ互いに独立して、0又は1であり、成分Bが、それぞれ互いに独立して、低級アルキレン、アリーレン、6〜12個の炭素原子を有する二価の環式飽和脂肪族基、アルキレンアリーレン基又はアリーレンアルキレン基であり、成分X1 が、それぞれ互いに独立して、−O−、−NH−又は単結合であり、そしてXが、NH又は単結合である式(II)の化合物である。
【0032】
好適に用いられるビニル性架橋剤(d)は、例えば重合性基R3 が、2〜8個の炭素原子を有するアルケニルであり、n、m及びpが、それぞれ互いに独立して、0又は1であり、成分Bが、それぞれ互いに独立して、低級アルキレン、アリーレン又は6〜12個の炭素原子を有する二価の環式飽和脂肪族基であり、成分X1 が、それぞれ互いに独立して、−O−、−NH−又は単結合であり、そしてXが、NH又は単結合である式(II)の化合物である。
【0033】
好適に用いられるビニル性架橋剤(d)は、また、例えば重合性基R3 が、2〜8個の炭素原子を有するアルケニルであり、nが、0又は1であり、そしてm及びpが、0である式(II)の化合物である。
【0034】
特に好適に用いられるビニル性架橋剤(d)は、例えば重合性基R3 が、2〜4個の炭素原子を有するアルケニルであり、n、及びmが、1であり、pが、1又は0であり、成分Bが、それぞれ互いに独立して、低級アルキレン、アリーレン又は6〜12個の炭素原子を有する二価の環式飽和脂肪族基であり、成分X1 が、それぞれ互いに独立して、−O−、−NH−又は単結合であり、そしてXが、NH又は単結合である式(II)の化合物である。
【0035】
好適に用いられるビニル性架橋剤(d)は、例えばR3 が、2〜4個の炭素原子を有するアルケニルであり、、n、及びmが、1であり、pが、1又は0であり、成分Bが、それぞれ互いに独立して、低級アルキレンであり、成分X1 が、それぞれ互いに独立して、−O−、−NH−又は単結合であり、そしてXが、NH又は単結合である式(I)の化合物である。
【0036】
ビニル性光開始剤は、式(III ):
【0037】
【化9】
【0038】
(式中、成分Xは、それぞれ互いに独立して、NH又は単結合であり、Yは、−O−、−S−又は−NH−であり、Bは、20個までの炭素原子を有する二価の基であり、そしてPIは、光開始剤からYHを除いたものである)で示される化合物の誘導体であると理解されるべきである。
【0039】
好適なビニル性光開始剤は、例えば成分Xが、それぞれ互いに独立して、NH又は単結合であり、Yが、−O−又は−NH−であり、Bが、低級アルキレン、アリーレン、6〜12個の炭素原子を有する二価の環式飽和脂肪族基、アルキレンアリーレン基、アリーレンアルキレン基又はアリ−レンアルキレンアリーレン基であり、そしてPIが、後述の式(IV)の光開始剤からYHを除いたものである式(III )の化合物である。
【0040】
好適なビニル性光開始剤は、また、例えば成分Xが、それぞれ互いに独立して、NH又は単結合であり、Yが、−O−であり、Bが、低級アルキレン、アリーレン、6〜12個の炭素原子を有する二価の環式飽和脂肪族基、アルキレンアリーレン基、アリーレンアルキレン基又はアリ−レンアルキレンアリーレン基のような二価の基であり、そしてPIが、後述する式(IV)の光開始剤からYHを除いたものである式(III )の化合物である。
【0041】
好適なビニル性光開始剤は、また、例えば成分Xが、それぞれ互いに独立して、NH又は単結合であり、Yが、−O−であり、Bが、低級アルキレン、アリーレン又は6〜12個の炭素原子を有する二価の環式飽和脂肪族基のような二価の基であり、そしてPIが、後述する式(IV)の光開始剤からYHを除いたものである式(III )の化合物である。
【0042】
光開始剤PI−YHは、例えば式(IV):
【0043】
【化10】
【0044】
〔式中、Yは、−O−、−S−又は−NH−であり、X1 は、−O−、−NH−又は単結合であり、Zは、低級アルキレン、アリーレン、6〜12個の炭素原子を有する二価の環式飽和脂肪族基、アルキレンアリーレン基、アリーレンアルキレン基又はアリ−レンアルキレンアリーレン基であり、そしてR4 は、式(V):
【0045】
【化11】
【0046】
(式中、R5 は、低級アルキル又は低級アルコキシであり、R6 は、低級アルキル基、低級アルコキシ基及びアラルキル基から選択される基であり、そしてR7 は、ヒドロキシ、ジ−低級アルキルアミノ、アリール又はアザシクロオキサアルキルである)で示される基である〕で示される化合物であると理解すべきである。
【0047】
式(V)の好適な基R4 の例は、下記式:
【0048】
【化12】
【0049】
の基から選択される基である。
【0050】
特に好適なものは、成分Xが、それぞれ互いに独立して、NH又は単結合であり、Yが、−O−であり、Bが、二価の基であり、例えば低級アルキレン、アリーレン又は6〜12個の炭素原子を有する二価の環式飽和脂肪族基であり、そしてPIが、Irgacure(登録商標)2959から第1級ヒドロキシ基を除いたものであるビニル性光開始剤(e)である。
【0051】
本発明の範囲で、特に断わらない限り、基及び化合物に関連して、用語「低級」は、7個までの炭素原子、好適には4個までの炭素原子を有する、特に基又は化合物を示す。
【0052】
低級アルキルは、直鎖又は分岐鎖であってよく、特に7個までの炭素原子、好適には4個までの炭素原子を有し、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル又はtert−ブチルである。
【0053】
したがって、低級アルカンカルボン酸は、7個までの炭素原子、好適には4個までの炭素原子を有する、直鎖又は分岐鎖の脂肪族カルボン酸であると理解すべきである。例は、酢酸、プロピオン酸及び酪酸である。
【0054】
アルキレンは、10個までの炭素原子を有し、直鎖又は分岐鎖であってよい。適切な例は、デシレン、オクチレン、ヘキシレン、ペンチレン、ブチレン、プロピレン、エチレン、メチレン、2−プロピレン、2−ブチレン及び3−ペンチレンである。アルキレンは、好適には低級アルキレンである。
【0055】
低級アルキレンは、7個までの炭素原子、好適には4個までの炭素原子を有するアルキレンである。低級アルキレンの特に好適な意味は、メチレン又はエチレンである。
【0056】
アルケニレンは、10個までの炭素原子を有し、直鎖又は分岐鎖であってよい。適切な例は、デセニレン、オクテニレン、ヘキセニレン、ブテニレン及びエテニレンである。アルケニレンは、好適には低級アルケニレンである。
【0057】
低級アルケニレンは、7個までの炭素原子、好適には4個までの炭素原子を有すアルケニレンである。低級アルケニレンの特に好適な意味は、エテニレンである。
【0058】
アリールは、例えばナフチル、ピリジル、チエニル、或は好適には非置換又は低級アルキル若しくは低級アルコキシで置換されたフェニルである。
【0059】
低級アルコキシは、特に7個までの炭素原子、好適には4個までの炭素原子を有し、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ又はtert−ブトキシである。
【0060】
アラルキルは、好適にはアルキル部分に4個までの炭素原子を有するフェニル−低級アルキル、例えば1−若しくは2−ナフチル又はベンジルである。
【0061】
アラルキルは、好適にはアルキル部分に4個までの炭素原子を有する低級アルキルフェニル、例えばエチルフェニル、トルイル又はキシリルである。
【0062】
アリーレンは、好適には非置換又は低級アルキル若しくは低級アルコキシで置換されたフェニレン、例えば1,3−フェニレン若しくは1,4−フェニレン又はメチル−1,4−フェニレンである。
【0063】
環式飽和脂肪族基は、好適にはシクロヘキシレン又はシクロヘキシレン低級アルキレン、例えば非置換又は低級アルキル基、例えばメチル基で置換されたシクロヘキシレンメチレン、例えばトリメチルシクロヘキシレンメチオレン、例えば二価のイソホロン基である。
【0064】
シクロアルキルは、特に7個までの炭素原子、好適には3〜6個の炭素原子を有し、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシルである。
アザシクロアルキルは、酸素−含有飽和アザシクロアルキル基であり、ここで酸素原子は環に組み込まれており、そしてアザシクロアルキルは、窒素−含有シクロアルキル基と理解すべきである。アザシクロアルキルの代表的例は、モルホリンである。
【0065】
本発明は、また、本発明のプレポリマーを製造する方法であり、適切な出発ポリマーとして有利に用いられるものである。適切な出発ポリマーは、例えばN−ビニルラクラム(a)及び低級アルカンカルボン酸ビニルエステル(c)の重合生成物である。そのような出発ポリマーの例は、N−ビニルピロリドン−酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン−プロピオン酸ビニル又は混合エステル、即ちN−ビニルピロリドン−酢酸ビニル/プロピオン酸ビニルである。
【0066】
上述の出発ポリマーは、異なる平均分子量を持ち、異なる組成のものとして商業的に入手できる。
【0067】
Aldrich は、例えばN−ビニルピロリドン−ビニルアセタート(VP−VAc)ポリマーを、いわゆる60/40コポリマー(VP60重量%、VAc40重量%)の形態で市販しており、それは粉末であり、分子量Mn=56000である。Aldorichは、またイソプロパノール中のVP−VAc30/70も供給している。
【0068】
分子量(Mn)は、DMFを用いるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)〔サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)〕の手段で測定され、別に断わらない限り、ポリメチルメタクリラート(PMMA)の較正標準に関連させた。
【0069】
VP−VAc出発ポリマーの別の供給者は、BASFである。BASFは、これらのポリマーをLuviskol VAの名前で販売している。例は、Luviskol VA28、Luviskol VA37及びLuviskol VA73であり、分子量は、7000〜22000(PMMA)である。Luviskol VA37HMは、Mn=32000(PMMA)の高分子量出発ポリマーである。Luviskol VAの数字符号は、それらの組成を示している。例えば,Luviskol VA28は、約20重量%のVAと約80重量%のVAcを含むVP−VAc出発ポリマーであることを意味している。
【0070】
N−ビニルラクタム(a)−低級アルカンカルボン酸ビニルエステル(c)出発ポリマーは、部分的若しくは完全な酸又は塩基加水分解に付すことができる。部分加水分解は、ビニルラクタム(a)、ビニルアルコール(VA)(b)及び低級アルカンカルボン酸ビニルエステル(c)の構造単位を含むタープレポリマーを生成させる。完全加水分解は、ビニルラクタム(a)及びビニルアルコール(VA)(b)の構造単位を含む出発ポリマーを生成させる。そのように加水分解された出発ポリマーは、次いで、適切な方法、例えばメタクリル酸クロリド、トルエンジイソシアナート(TDI)とHEMAとの1:1付加物、イソホロンジイソシアナート(IPDI)とHEMAとの1:1付加物、又はイソシアナトエチルメタクリラート(IEM)で誘導体化することができる。誘導体化は、組み込むべき本発明のプレポリマーでの架橋成分(d)の量と特性を決め、組込むべきものとする。
【0071】
類似の方法で、N−ビニルラクタム(a)−ビニルアルコール(b)出発ポリマーは、例えばビニル性光開始剤(e)の適切な前駆体で誘導体化することができる。そのような前駆体は、例えば上記式(III )から誘導され、それはそのよ前駆体を、例えば式(III )のビニルアルコールから形式的に減じることにより示すことができる。光開始剤(e)を含むプレポリマーを形成するための出発ポリマーの誘導体化は、同時に架橋剤(d)の組み込みとして実施するか、又は二つの操作を連続的に行なうこともできる。
【0072】
プレポリマーの分子量は、出発ポリマーの適切な選択、例えば市販のN−ビニルピロリドン−ビニルアセタートプレポリマーの選択により決めることができる。上述の誘導体化は、比較的最低限で分子量を変化させ、そして、さらに例えば架橋剤及び出発ポリマーの加水分解の程度を選ぶことにより正確にコントロールすることができる。本発明のそのようなプレポリマーの分子量は、一般にMn=2,000〜200,000g/mol の範囲で変わる。この分子量は、好適には5,000〜200,000g/mol の範囲、特に10,000〜100,000g/mol の範囲である。
【0073】
本発明のプレポリマーは、溶媒の存在下又は不存在下で調製することができる。適切な溶媒は、実質的に出発ポリマーと調製すべきプレポリマーの両方を溶解し、それらに関して実質的に不活性であるものである。適切な溶媒の例は、水、アルコール、例えば低級アルカノール、例えばエタノール又はメタノール、またカルボン酸アミド、例えばジメチルホルムアミド(DMF)又はジメチルアセトアミド(DMA)、エーテル、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)又はジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、またジメチルスルホキシド及び適切な溶媒の混合物、例えばアルコールとエーテルの混合物、例えばエタノール/THF又はメタノール/ジエチルエーテルである。好適には低級アルカノール、カルボン酸アミド又はジメチルスルホイオキシドが用いられる。
【0074】
本発明のプレポリマーの調製において、特に架橋剤(d)及び特に光開始剤の組み込み中及び組み込み後において、操作は、調節できない架橋及び早期架橋を避けるために、光を遮断して行なうべきである。さらに、酸素は合成中ラジカル受容体として作用するので、大気中の酸素を排除せずに、又は適切ならば、大気中の酸素を加えて行われることは、本発明のプレポリマーの合成にとり有利である。したがって、存在するすべてのフリーラジカルは、捕捉され、調節できない架橋が、阻止される。したがって、酸素は安定効果を有する。
【0075】
本発明のプレポリマーの組成は、一度架橋されたならば、得られる成形体、例えばヒドロゲルコンタクトレンズの特性を決定する。プレポリマーでの架橋成分(d)は、特にコンタクトレンズの機械的特性を調節するために用いられる。例えば、ヒドロゲルコンタクレンズの水含量は、例えばプレポリマー中のビニルラクタム(a)又はビニルアルコール(b)の含量により調節される。
【0076】
調製後、本発明のプレポリマーは、通常の精製法、例えば沈殿、濾過、又は適切ならば上昇した温度での真空下での残留モノマーの除去により精製することができる。ここで用いられた溶媒は、ロータリーエバポレーター、又は流延したフィルムを空気中又は真空下で乾燥することにより除去することができる。特に、優雅な方法は、低分子量部分を除くために超音波による精製であり、同時に簡単な方法で水性プレポリマーの所望の濃度に調節することができる。
【0077】
本発明は、また所望の幾何学的形状及び所望の水含量を有し、短時間に水性溶液から得られるヒドロゲルコンタクトレンズの製造方法にであって、水中に未架橋プレポリマーを溶解し、次いでそれを適切な方法、例えば成形用型中で架橋させることを特徴とする方法である。明白な利点は、
−残留モノマーは、一般的に、未架橋プレポリマーの段階で除かれ;
−架橋での転換は、このポリマー性網目組織がプレポリマーから構成され、モノマーから構成されていないので、実質的に低く;
−反応時間は非常に短い;一般的にそれは1分を超えず、典型的には20秒未満であり;そして
−水でのコンタクトレンズの長期抽出は、架橋が水中で行なわれるので、もはや必要ではない。
【0078】
したがって、本発明のプレポリマーの架橋のために、水性溶液が、好都合に調製される。溶媒が、プレポリマーの合成で用いられるならば、先ず完全に除去することができるか、又は別の方法として相当する量の水を添加した後にのみ除去することができる。プレポリマー溶液の濃度は、好適には溶液の水含量が仕上げられたコンタクトレンズのそれに可能な限り近いものである。好適な製造方法において、水性プレポリマー溶液の水含量は、架橋プレポリマー、すなわちヒドロゲルの水含量(重量%で)に正確に相当する。
【0079】
ヒドロゲルを形成するためのプレポリマーの架橋は、一般的に、その合成とは独立に行なわれ、かつ種々な方法で行なうことができる。
【0080】
初めの方法は、本発明のプレポリマーを、ラジカルを生成させる、適切な高エネルギー照射、例えば電子線、ガンマ線、化学線又は適切な波長のUV照射に曝すことを含む。それらのラジカル−含有プレポリマーは、ポリマー性網目組織を形成するように反応することができる。この架橋方法において、本発明の未架橋プレポリマーの特性に関して特定の条件は必要とせず、すなわちビニル性架橋剤(d)の存在は、例えば必要としない。
【0081】
光架橋の場合に、ラジカル架橋を開始させることができる適切な光開始剤が、必要ならば、添加される。それらの例は、当分野の技術者には公知である。代表的な例として、ベンゾインメチルエーテル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、Darocur 及びIrgacure型、好適にはDarocur 1173(登録商標)及びIrgacure2959(登録商標)を挙げることができる。この架橋は、適切なUV光により開始することもできる。
【0082】
架橋の好適な方法は、ビニル性光開始剤(d)を含むプレポリマーの光架橋である。そのようなプレポリマーは、さらなる光開始剤の添加なしに直接に架橋するために特に適切である。
【0083】
架橋は、好都合には、溶媒中で行われる。適切な溶媒は、原理的に、用いたプレポリマーを溶解するすべての溶媒、例えば水、低級アルカノールのようなアルコール、例えばエタノール又はメタノール、またカルボン酸アミド、例えばジメチルホルムアミド、又はジメチルスルホキシド、並びに適切な溶媒の混合物、例えば水とアルコールとの混合物、例えば水/エタノール又は水/メタノール混合物である。また、アルカリ金属又はアルカリ土類金属ハロゲン化物、例えばNaCl又はCaClを含む水性溶液が適切である。例えば、NaCl約0.9重量%の生理食塩水が、好適に用いられる。
【0084】
架橋は、好適には、本発明のプレポリマーの水性溶液から直接に行われる。そのような水性溶液は、好適な精製工程、例えば超濾過から直接に得ることができる。例えば、約10〜50重量%の水性溶液からの架橋、好適には、光架橋を行うことができる。
【0085】
本発明は、実質的に、請求項に開示した架橋形態のプレポリマーを含むポリマー性網目組織に関する。
【0086】
本発明は、実質的に、請求項に開示した架橋形態のプレポリマーを含むヒドロゲルにも関する。
【0087】
本発明は、好適には、実質的に、請求項に定義した架橋形態のプレポリマーを含むヒドロゲルにも関し、このヒドロゲルは、コンタクレンズである。
【0088】
本発明は、好適には、実質的に、請求項に開示した架橋形態のプレポリマーを含むコンタクトレンズにも関する。
【0089】
本発明は、実質的に、請求項に定義した架橋形態のプレポリマーを含む成形物にも関する。
【0090】
本発明の成形物の例は、コンタククトレンズに加えて、生物医学用成形物、特に眼科用成形物、例えば人工角膜、眼内レンズ、外科用途での成形物、例えば心臓弁、人工動脈など、及び繊維、フィルム又は膜、例えば拡散調節のための膜、情報記録のための光構造化箔、又はフォトレジスト材料、例えばエッチングレジストのための成形物又はスクリーン印刷レジストである。
【0091】
【実施例】
以下示した例は、本発明をさらに詳細に説明するものである;しかしながら、これらは、如何なる意味においても、これらの範囲を限定することを意図していない。温度は、摂氏で与えられている
【0092】
実施例1.
VP−VAcの酸加水分解のための一般的方法
VP含量18〜70重量%を有し、メタノール又はメタノール/水(10〜90重量%)の溶液10重量%の形態でのLuviskol VA(BASF)又はVP−VAcコポリマーを用いた。次いで、これに、VAcの量に相当する酸の等モル量、すなわち濃硫酸(95%)、濃塩酸(37%)又は強酸イオン交換樹脂を加え、次いで混合物を還流温度に加熱した。反応の進行は、定期的に0.1N KOH溶液によりモニターした(例えば、Mettler のTitrator DL40 )(生成した酢酸濃度の決定)。次いで、加水分解は、所望の加水分解の程度が達成された時か、又は加水分解が完了した時(酢酸の濃度が、定常値に達する)に中止した。完全な加水分解のためには1〜2日の反応時間が必要である。完全な加水分解は、すべての加水分解しうるエステル基が除去されることを意味する必要はなく、むしろ加水分解が、定常状態になることを意味することが必要である。以下の例は、加水分解の程度が、反応条件に大きく依存することを明らかに示している。酢酸を除くために、メタノール性反応溶液を、続いて中性にまで洗浄された塩基性イオン交換樹脂(Merck ;用いた酸に関して1.2モル)を含むカラムを通し、次いでロータリーエバポレーターで濃縮した。この濃縮した溶液を、フィルム状に流延し、空気中で数日間、次いで40℃、0.1mbar(10Pa)で定常重量に達するまで乾燥した。別の方法として、この濃縮した溶液を水で希釈し、ロータリーエバポレーターで残留アルコールを除き;次いで残留した水性溶液を雰霧乾燥した。このようにして得たプレポリマーは、水、アルコール(低級アルコール)、ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)及びジメチルスルホキシド(DMSO)に容易に溶解する。
【0093】
実施例2.
VP61重量%及びVAc39重量%を含むVP−VAcコポリマー60/40(Aldrich )50gを、メタノール450gに溶解し、激しく撹拌しながら95重量%硫酸12gを加えた。この混合物を2日間加熱還流した(浴温度80℃)。反応溶液を室温まで冷却し、強塩基イオン交換樹脂190gを含むカラムに流した。次いで、このメタノール性溶媒を約100mlまでに蒸発濃縮し、フィルム形状に流延し、空気中で数日間、次いで40℃、0.1mbar(10Pa)で定常重量に達するまで乾燥した。23.3gの固体(収率:60重量%)が残留し、そのOH含量は、プレポリマーの4.83mmol/gであった。VAcの加水分解の程度は、ほぼ90%であった。
【0094】
実施例3.
VP28重量%及びVAc72重量%を含むLuviskol VA37(BASF)(エタノール中、54.4重量%)を、メタノール480gに溶解し、撹拌しながら37重量%塩酸48gを加えた。この混合物を1日間加熱還流した(浴温度80℃)。反応溶液を室温まで冷却し、強塩基イオン交換樹脂360gを含むカラムに流した。次いで、このメタノール性溶媒を約100mlまでに蒸発濃縮し、フィルム形状に流延し、空気中で数日間、次いで40℃、0.1mbar(10Pa)で定常重量に達するまで乾燥した。23.3gの固体(収率:60重量%)が残留し、そのOH含量は、プレポリマーの7.12mmol/gであった。VAcの加水分解の程度は、ほぼ66.5%であった。
【0095】
実施例4.
VP−VAcプレポリマーのアルカリ加水分解の一般方法。
VP含量18〜70重量%を有し、メタノール又はメタノール/水(10〜90重量%)の溶液10重量%の形態での、Luviskol VA(BASF)又はVP−VAcコポリマーコポリマー(Aldrich )を用いた。次いで、これに、VAcの量に相当する塩基溶液の等モル量、すなわち水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム又は強塩基イオン交換樹脂を加え、次いで混合物を還流温度に加熱した。反応の進行は、定期的に0.1N HCl溶液によりモニターした(例えば、Mettler のTitrator DL40 )(生成した酢酸ナトリウム濃度の決定)。次いで、加水分解は、所望の加水分解の程度が達成された時か、又は加水分解が完了した時(酢酸ナトリウムの濃度が、定常値に達する)に中止した。完全な加水分解のためには1〜2日の反応時間が必要である。完全な加水分解は、すべての加水分解しうるエステル基が除去されることを意味する必要はなく、むしろ加水分解が、定常状態になることを意味することが必要である。以下の例は、加水分解の程度が、反応条件に大きく依存することを明らかに示している。塩基を除くために、メタノール性反応溶液を、続いて中性にまで洗浄された酸イオン交換樹脂(Merck ;用いた塩基に関して1.2モル)を含むカラムに流し、次いで酢酸ナトリウムを最終的に除去するために塩基イオン交換樹脂を含むカラムに流した。次いでロータリーエバポレーターで濃縮した。この濃縮した溶液を、フィルム状に流延し、空気中で数日間、次いで40℃、0.1mbar(10Pa)で定常重量に達するまで乾燥した。別の方法として、この濃縮した溶液を水で希釈し、ロータリーエバポレーターで残留アルコールを除き;残留した水性溶液を雰霧乾燥した。粉末状の目的生成物を得た。このようにして得たプレポリマーは、水、アルコール(低級アルコール)、ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)及びジメチルスルホキシド(DMSO)に容易に溶解する。
【0096】
実施例5.
VP61重量%及びVAc39重量%を含むVP−VAcコポリマー60/40(Aldrich )50gを、メタノール450gに溶解し、激しく撹拌しながら水酸化ナトリウム9.3gを加えた。この混合物を30時間加熱還流した(浴温度80℃)。反応溶液を室温まで冷却し、強酸カラム(120gのイオン交換樹脂)及び強塩基カラム(155gのイオン交換樹脂)に連続的に流した。次いで、このメタノール性溶媒を約100mlまでに蒸発濃縮し、フィルム形状に流延し、空気中で数日間、次いで40℃、0.1mbar(10Pa)で定常重量に達するまで乾燥した。22.4gの固体(収率:56重量%)が残留し、そのOH含量は、プレポリマーの5.18mmol/gであった。VAcの加水分解の程度は、ほぼ95%であった。
【0097】
実施例6.
VP45重量%及びVAc55重量%を含むLuviskol VA55(BASF)(エタノール中、54.4重量%)を、メタノール408gに溶解し、撹拌しながら水酸化ナトリウム11.6gを加えた。この混合物を1日間加熱還流した(浴温度80℃)。反応溶液を室温まで冷却し、強塩基カラム(150gイオン交換樹脂)及び強酸カラム(200gイオン交換樹脂)に連続的に流した。次いで、このメタノール性溶媒を約100mlまでに蒸発濃縮し、フィルム形状に流延し、空気中で数日間、次いで40℃、0.1mbar(10Pa)で定常重量に達するまで乾燥した。30gの固体(収率:72重量%)が残留し、そのOH含量は、プレポリマーの4.91mmol/gであった。VAcの加水分解の程度は、ほぼ70%であった。
【0098】
実施例7.
VP74重量%、VAc4重量%及びVA21重量%を含む実施例1又は3で調製したターポリマー10gを無水DMSO90gに溶解した。これに、IEM2gを室温で撹拌しながら加え、この混合物を21時間40℃で加熱した。指定された反応時間の後のIRスペクトル測定は、2,270cm−1のNCOバンドを示さなかった。この反応溶液を、撹拌しながらアセトン1リットルにゆっくりと注いだ。これにより白色羊毛状の沈殿が形成した。後者を吸引濾過し、アセトンで洗浄し、定常重量に達するまで乾燥(30℃、10Pa)した。6.9gの固体(収率:58重量%)が残留した。
【0099】
実施例8.
VP26重量%、VAc16重量%及びVA58重量%を含む実施例1又は3で調製したターポリマー5.2gを無水DMSO47gに溶解した。これに、IEM1.3gを室温で撹拌しながら加え、この混合物を18時間40℃で加熱した。指定された反応時間の後のIRスペクトル測定は、2270cm−1のNCOバンドを示さなかった。この反応溶液を、撹拌しながらアセトン0.5リットルにゆっくりと注いだ。これにより白色羊毛状の沈殿が形成した。後者を吸引濾過し、アセトンで洗浄し、定常重量に達するまで乾燥(30℃、10Pa)した。4.5gの固体(収率:69重量%)が残留した。
【0100】
実施例9.
VP28重量%、VAc21重量%及びVA51重量%を含む実施例1又は3で調製したターポリマー4.13gをDMA37.3gに溶解し、無水トリエチルアミン0.6g(5.9mmol)を加えた。これに、メタクリル酸クロリド0.62g(5.9mmol)を室温で撹拌しながら加え、この混合物を25時間40℃で加熱した(酸クロリドを0.1N NaOHで決めた滴定による終了点)。この反応溶液を、撹拌しながらアセトン0.5リットルにゆっくりと注いだ。これにより白色羊毛状の沈殿が形成した。後者を吸引濾過し、アセトンで洗浄し、定常重量に達するまで乾燥(30℃、10Pa)した。光を完全に遮断するように注意した。2.7gの固体(収率:70重量%)が残留した。このように改質したプレポリマーは、水、アルコール、DMF、DMA及びDMSOに容易に溶解した。
【0101】
実施例10.
実施例8及び9により調製した改質したプレポリマーの水性溶液にIrgacure(登録商標)2959の0.3重量%(ポリマー含量に対しての計算)を加えた。コンタクトレンズ成形用型をこの溶液で満たし、密封し、Hoenle Hg中圧ランプ(3200W )を用いて照射した。照射強度は、Hoenle UV−Cdetectorを用いて200〜280nmで測定し、50〜100mW/cm2であった。プレポリマーの架橋は、1秒後に開始した。
【0102】
実施例11.
VP、VAc及びVAの異なる含量を有する種々なターポリマーを、実施例8と同様にIEMで改質し、実施例10と同様に架橋した。下記にその組成とそのようなヒドロゲルの水含量を示した。
【0103】
【0104】
実施例12.
実施例11と同様に、下記に示した組成を有する種々な架橋ポリマーを小円板の形態で調製した(小さな円板型として)。下記表に、それらの組成及び水含量を示した。
【0105】
【0106】
実施例13.下記式の化合物の調製
【0107】
【化13】
【0108】
還流冷却器、温度計、撹拌器及び窒素導入管を備えた500mlフラスコに、乾燥メチレンクロリド50ml中の新しく蒸留したイソホロンジイソシアナ−ト(IPDI)11.125gの溶液を、窒素下で、乾燥メチレンクロリド300ml中の4’−(β−ヒドロキシエトキシ)−2−ヒドロキシプロパ−2−イル−フェノン(Irgacure2959)11.2g(0.05mol )の溶液と一緒に導入し、この混合物を40℃で48時間撹拌した。反応の進行は、シリカゲル板(60F254 art.5719Merck )(溶離剤:トルエン/アセトニトリル7:3)での薄層クロマトグラフィーによりモニターした。シリカゲル60でのカラムクロマトグラフィー(溶離剤:トルエン/アセトニトリル7:3)により、少量の未反応Irgacure2959及びIPDIの二量化物を除いた。ロータリーエバポレーターによる純粋な画分の濃縮により無色油状物を得た。これは−16℃までゆっくり冷却した時結晶化し、次いで乾燥ジエチルエーテルから再結晶した。76℃の融点を有する白色結晶生成物15.6g(理論量の70%)を得た。
【0109】
生成物のイソシアナート含量は、トルエン中のジブチルアミンの滴定により求めた:計算値2.242mVal/g、測定値2.25mVal/g。この方法は、「Analytical Chemistry of Polyurethanes (High Polymer Series XVI/Part III, D.S.David+H.B.Staley editors, Interscience Publishers, New York 1969 p.86」に記載されている。
【0110】
実施例14.
光を遮断し、実施例8と同様にして、VP28重量%、VAc21重量%及びVA51重量%を含む実施例1又は3で調製したターポリマー8.407gを、無水DMSO40gに溶解した。これに、DMSO6ml中のIEM1.02g及び実施例13からの光開始剤誘導体18.3gの溶液を、撹拌しながら室温で加え、この混合物を、40℃で18時間加熱した。指定の反応時間の後のIRスペクトル測定は、2,270cm−1のNCOバンドを示さなかった。この反応溶液を、撹拌しながらアセトン0.5リットルにゆっくりと注いだ(まだ光遮断は続けた)。これにより白色羊毛状の沈殿が形成した。後者を吸引濾過し、アセトンで洗浄し、定常重量に達するまで乾燥(30℃、10Pa)した。3.71gの固体(収率:73重量%)が残留した。このように改質したプレポリマーは、水、アルコール、DMF、DMA及びDMSOに容易に溶解した。
Claims (15)
- 水−可溶性の架橋性プレポリマーであって、
コポリマー鎖中に、モノマー構造単位:ビニルラクタム(a)、ビニルアルコール(b)、場合により低級アルカンカルボン酸ビニルエステル(c)、ビニル性架橋剤(d)及び場合によりビニル性光開始剤(e)、から誘導される単位を含むことを特徴とするプレポリマー。 - ビニルラクタム(a)5〜85重量%、ビニルアルコール(b)3〜80重量%、低級アルカンカルボン酸ビニルエステル(c)0〜65重量%、ビニル性架橋剤(d)3〜40重量%及びビニル性光開始剤(e)0〜5重量%含む請求項1記載のプレポリマー。
- ビニルラクタム(a)が、複素環に4〜6個の炭素原子を含む請求項3記載のプレポリマー。
- ビニルラクタム(a)が、複素環に4個の炭素原子を含む請求項3記載のプレポリマー。
- ビニルラクタム(a)が、複素環に4個の炭素原子を含み、かつR1 が、水素又は低級アルキルである請求項3記載のプレポリマー。
- 低級アルカンカルボン酸ビニルエステル(c)が、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル又はこれらのエステルの混合物である請求項1記載のプレポリマー。
- ビニル架橋性剤(d)が、メタクリル酸クロリド;トルエンジイソシアナート−ヒドロキシエチルメタクリラート;イソホロンジイソシアナート−ヒドロキシエチルメタクリラート;イソシアナトエチルメタクリラートからなる群より選択される、請求項1記載のプレポリマー。
- 光開始剤PI−YHが、式(IV):
- 成分Xが、それぞれ互いに独立して、NH又は単結合であり、Yが、−O−又は−NH−であり、Bが、低級アルキレン、アリーレン、6〜12個の炭素原子を有する二価の環式飽和脂肪族基、アルキレンアリーレン基、アリーレンアルキレン基又はアリ−レンアルキレンアリーレン基のような二価の基であり、そしてPIが、請求項10記載の式(IV)の光開始剤からYHを除いたものである請求項9記載のプレポリマー。
- 成分Xが、それぞれ互いに独立して、NH又は単結合であり、Yが、−O−であり、Bが、低級アルキレン、アリーレン、6〜12個の炭素原子を有する二価の環式飽和脂肪族基、アルキレンアリーレン基、アリーレンアルキレン基又はアリ−レンアルキレンアリーレン基のような二価の基であり、そしてPIが、請求項10記載の式(IV)の光開始剤からYHを除いたものである請求項9記載のプレポリマー。
- 成分Xが、それぞれ互いに独立して、NH又は単結合であり、Yが、−O−又は−NH−であり、Bが、低級アルキレン、アリーレン、6〜12個の炭素原子を有する二価の環式飽和脂肪族基のような二価の基であり、そしてPIが、請求項10記載の式(IV)の光開始剤からYHを除いたものである請求項9記載のプレポリマー。
- 請求項1記載のプレポリマーを製造するための方法であって、
ビニルラクタム(a)−低級アルカンカルボン酸ビニルエステル(c)プレポリマーを、部分若しくは完全に、酸又はアルカリ加水分解に付し、次いで、それを、同時にか又は連続して、架橋剤(d)及び場合によりビニル性光開始剤(e)と反応させる
(ここで、架橋剤は、メタクリル酸クロリド;トルエンジイソシアナート−ヒドロキシエ チルメタクリラート;イソホロンジイソシアナート−ヒドロキシエチルメタクリラート;イソシアナトエチルメタクリラートからなる群より選択される)
ことを特徴とする方法。
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