JP3620211B2 - ランプの封止装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は赤外線を利用した放電灯等のランプの封止装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
プロジェクタテレビジョン(PTV)等の光源として用いられるメタルハライドランプ等の高輝度放電灯は、透光性セラミックス等からなる発光管内の一端を電極付きキャップで閉塞した後、他端開口からアマルガム、メタルハライド等の発光物質を入れ、この後、他端開口を電極付きキャップで閉塞するようにしている。
【0003】
キャップの封止方法は、発光管の開口端とキャップとの間にリング状の封着ガラス材をセットし、加熱することで封着ガラス材を溶融し、開口とキャップとの隙間に溶融した封着ガラス材を流し込むようにしている。
【0004】
そして、加熱手段としては、封着部をカーボンやタンタルからなる筒状ヒータ内に挿入するとともに、このヒータを外側に配置した誘導コイルで加熱する高周波誘導加熱が一般的であったが、ヒータからの不純ガスが発光管内に入り込みランプ特性が著しく低下する問題があった。
【0005】
そこで、光線を利用した封止装置として特開昭55−24327号公報に開示されるものが提案されている。この先行例は、密閉容器内に反射体を設け、この反射体の中心に放電灯の封止部分を臨ませ、密閉容器外からレーザ光を照射することで封着ガラスを溶融せしめるようにしたものである。しかしながら、レーザ光を利用した場合には、特定の箇所を加熱することができるが、常に作業の危険性が伴う。
【0006】
また、放電灯の封止ではないが、放電灯の封止に用いることも可能な、光線を利用した加熱装置として特開昭60−202286号公報及び特開平1−163594号公報に開示される先行例がある。特開昭60−202286号公報に開示される内容は、反射鏡で囲まれる空間内にハロゲンランプ等を設け、また空間内のランプからの光線の集光領域に炉心管を配置し、この炉心管内に加熱すべき試料をセットするようにしたものである。特開平1−163594号公報に開示される内容は、内面を反射面としたハウジング内を石英板で2つの室に仕切り、一方の室に赤外線ランプを、他方の室の集光領域にホルダで保持された試料を臨ませるようにしたものである。
【0007】
また、本発明者等は先に赤外線を利用した封止装置を提案している。この装置は、内面を赤外線反射面とした加熱部内の集光領域に操作ボックスと連通する導入管を臨ませ、この導入管内に操作ボックス内から支持治具を挿抜可能とし、この支持治具で発光管の下部を保持した状態で導入管内に発光管を挿入し、発光管のキャップ部にセットした封着ガラスを赤外線の熱で溶融せしめるようにしたものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述した先行技術において、発光管を挿入する導入管に簡単に除去できない汚れが付着し、その汚れが赤外線の集光領域に影響を及ぼす場合には、一箇所にのみ汚れが付着しただけで導入管を交換しなければならない。
【0009】
また、赤外線ランプを用いた封止装置でリーク等を起こすことなく作業を行なうには、できるだけ短時間のうちに封止ガラスを加熱溶融せしめなければならない。このためには加熱部の集光領域に封止部を正確に位置合せする必要がある。しかしながら従来の封止装置にあっては、発光管の大きさが変わった場合等には正確に位置合せすることができず、特に水平面内での位置ずれを矯正することが困難である。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく本発明は、内面を赤外線反射面とした加熱部内の集光領域に操作ボックスと連通する導入管を臨ませ、この導入管内に操作ボックス内から支持治具を挿抜可能とし、この支持治具で発光管の下部を保持した状態で導入管内に発光管を挿入し、発光管のキャップ部にセットした封着ガラスを赤外線の熱で溶融せしめるようにした放電灯の封止装置において、前記導入管は前記加熱部を貫通するとともにその先端部が加熱部に形成した開口から突出可能とした。
【0011】
斯かる構成とすることで、外部から加熱部内を監視することができるとともに、導入管を切断することで、汚れが付着した位置を相対的にずらすことができる。
【0012】
また、加熱部は導入管に対して移動可能とすることができる。斯かる構成とすることで、加熱部の集光領域に封止部を正確に位置合せすることが可能になる。
【0013】
また、加熱部の集光領域に近接して、発光管のキャップ部にセットした封着ガラスが溶融して内部に侵入する量を観測するのぞき窓を形成することが可能である。
【0014】
更に、発光管のキャップ部にセットした封着ガラスが溶融して内部に侵入する量を観測して加熱を停止するするセンサを設けることも可能である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。ここで、図1は本発明に係る封止装置の全体図、図2は同封止装置の要部拡大図、図3は加熱部の平面図である。
【0016】
図中1は封止装置の操作ボックスであり、この操作ボックス1の正面には腕を差し入れる操作グローブ2を取り付け、側面にはパスボックス3を設けている。このパスボックス3には外部との間及び操作ボックス1との間を気密に閉じる扉を備え、操作ボックス1との間の扉を閉じた状態で外部との間の扉を開け、パスボックス3内にランプ部材を入れ、次いで外部との間の扉を閉じ操作ボックス1との間の扉を開け、操作グローブ2でパスボックス3から操作ボックス1内にランプ部材を取り入れる。
【0017】
また図2及び図3に示すように、操作ボックス1の上方に支持台4を介して加熱部5を設けている。この加熱部5は内部に赤外線ランプ6を設けるとともに、その外周を取り囲む内面5aが赤外線反射面とされ、更に赤外線ランプ6からの光線の集光領域に石英製の導入管7を配置している。尚、加熱部5の内面5aは図示しない冷却装置によって冷却される構成となっており、かつ、加熱部5の上面及び底面には開口部5b、5cが形成されている。
【0018】
加熱部5の内面5a形状としては、図4に示すように、導入管7を中心として左右対称とし、左右それぞれに赤外線ランプ6を配置するようにしてもよい。
【0019】
導入管7は、操作ボックス1を内外両面から挟持する取り付け金具8,9を介して下方が操作ボックス1内につながり、取り付け金具8と導入管7との間にはシール部材10を介してナット11で締めつけ固定され、更に導入管7の外側には赤外線を反射する筒状遮光部材12を配置している。なお、この導入管7は、その全長を上記加熱部5の高さよりも長くすることが好ましく、その場合でも、その上部を加熱部5上面に形成した開口5bを貫通して内部に配置することができる。なお、このように導入管7の全長を加熱部5の高さよりも長くすることによれば、この導入管7の集光部に洗浄不可能な汚れなどが付着しても、その下端を切除することにより全長を短くして加熱部5内に再配置することにより、汚れの付着位置を集光部から外れた位置にし、新たな管と交換することなく、使用を継続することが可能になる。
【0020】
また、操作ボックス1内には導入管7内に挿抜可能とされる支持治具13を設けている。この支持治具13は上端に発光管14の軸部14aを保持する穴13aが形成され、支持治具13で発光管14を保持し導入管7内に挿入した状態で、導入管7内は支持治具13のフランジ部に設けたOリング15によって気密にシールされ、操作ボックス1には図1に示すように、酸素濃度分析計16及び水分計17が付設されている。
【0021】
また、加熱部5の側面には集光領域を外部から観察するためののぞき窓5dが設けられ、更に図5に示すように、加熱部5はX軸レールR1とY軸レールR2にて水平面内で移動可能とされ、加熱部5の上方には鏡Mを配置している。而して、封止部の上下方向についてはのぞき窓5dから覗きながら位置合せを行ない、横方向については側方から鏡Mを覗きながら行なう。このようにいずれも側方から覗くことで安全性が高まる。
【0022】
更に本発明の封止装置は減圧装置として、ターボポンプP1,ロータリーポンプP2,ロータリーポンプP3及びロータリーポンプP4を備えている。ターボポンプP1は高真空度(10.5〜10.7torr)を得るためのポンプであり、ロータリーポンプP2はターボポンプP1に直列に接続され、ターボポンプP1の始動時の運転をスムーズに行うためのものである。また、ロータリーポンプP3及びロータリーポンプP4は低真空度(10.1torr程度)を得るためのポンプである。
【0023】
そして、ターボポンプP1はバルブV1を備えた配管L1を介して前記導入管7内に連通し、この配管L1にはバルブV2を備えた配管L2を介して前記ロータリーポンプP3が接続され、またロータリーポンプP4はバルブV3を備えた配管L3を介して操作ボックス1に、バルブV4を備えた配管L4を介してパスボックス3にそれぞれ接続している。
【0024】
また、操作ボックス1内にはバルブV5を備えた配管L5を介してArボンベ18からArガスが供給され、同様にパスボックス3にはバルブV6を備えた配管L6を介してArボンベ18からArガスが供給される。
【0025】
尚、操作ボックス1内の圧力は圧力計G1で、パスボックス3内の圧力は圧力計G2で、更に導入管7内の圧力は配管L1に取り付けた圧力計G3,G4で測定する。ここで、導入管7内の圧力を2つの圧力計G3,G4で測定するのは、導入管7内の圧力は後述するように大きく変動するので、測定レンジを広げるためである。
【0026】
一方、操作ボックス1に隣接してガス循環精製装置20が設けられる。このガス循環精製装置20には冷却装置21が付設され、ガス循環精製装置20と操作ボックス1とはバルブV7a及びバルブV7bを備えた供給配管L7とバルブV8a及びバルブV8bを備えた戻り配管L8とで接続され、供給配管L7の途中から分岐したバルブV9を備えた配管L9は前記導入管7内につながる配管L1に接続している。
【0027】
そして、ガス循環精製装置20は供給配管L7を介して操作ボックス1内にArガスを供給するとともに、供給されたArガスを戻り配管L8を介してガス循環精製装置20内取り入れ、取り入れたArガスから触媒反応にて酸素を除去し、モレキュラーチューブにて水分を除去し、操作ボックス1内にて露点が−70℃以下および残留酸素が0.01ppm以下になるようにし、ランプ特性の低下を招かないようにしている。
【0028】
尚、ガス循環精製装置20にはバルブV10を備えた配管L10及びバルブV11を備えた配管L11が接続され、配管L10を介してガス循環精製装置20内にアルコールを数滴供給することでガス循環精製装置20内の残存酸素を低減し、また配管L11を介してArボンベ18からモレキュラーチューブへ冷却媒体としてのArガスを供給する。
【0029】
以上において、発光管14の封止を行うには、予め、操作ボックス1内に水銀、ヨウ化物等の発光物質、電極を取り付けたキャップ、一端開口がキャップで封止され他端が開状態の発光管をパスボックス3から取り入れ、操作ボックス1内をArで約1気圧にしておく。
【0030】
パスボックス3から各種部材を操作ボックス1内に取り入れるには、先ずパスボックス3と操作ボックス1との間の扉を閉じた状態で、外部から各種部材をパスボックス3内に入れ、次いでボックス3と外部との間の扉を閉じた後、バルブV4を開とし、ロータリーポンプP4にてパスボックス3内を減圧し、更にバルブV6を開けてパスボックス3内をArガスで置換する。この後、パスボックス3と操作ボックス1との間の扉を開け、操作グローブ2で各種部材を操作ボックス1内に取り入れる。
【0031】
以上の如くして、必要な部材を操作ボックス1内に取り入れたならば、支持治具13の穴13aに発光管の封止してある一端14aを差し込み、上方の他端開口から発光物質を秤量して発光管内に注入し、更に他端開口に電極付きのキャップ31を差し込み、発光管14の他端開口とキャップ31との間に封着ガラス材32を例えばリング状にセットする。
【0032】
この後、支持治具13を上昇させて導入管7内に発光管14を挿入する。このとき前記したように、のぞき窓5dから覗きながら挿入量を調整して封着ガラス材32の上下位置が赤外線の集光領域に来るようにするとともに、鏡Mを覗きながら封着ガラス材32の水平位置が赤外線の集光領域に来るようにする。
【0033】
次いで、バルブV2及びバルブV9を閉じた状態でバルブV1を開け、ターボポンプP1にて導入管7内からArガスを排気して10.5〜10.7torrまで脱気し、その後バルブV1及びバルブV2を閉じた状態でバルブV9を開け、導入管7内が30〜300torr程度になるまでArガスを供給する。
【0034】
ここで、赤外線で加熱するとリング状の封着ガラス材が溶融し、図6に示すように溶融ガラス32aが発光管14の開口33とキャップ31との隙間34を塞ぐ。その後、導入管7内が500torr程度になるまでArガスを供給する。そしてこのとき発光管の内部は未だ30〜300torr程度まで減圧されており、一方発光管の外部は500torr程度になっているので、両者の間に圧力差が生じこの圧力差に起因して、溶融ガラス32aが隙間34の内部(図6において下方)に進入する。そこで、その進入量を監視し、所定の位置まで進入したならば加熱を停止する。尚、進入量については加熱部5の側面の赤外線集光領域付近にのぞき窓を形成して目視を行い、あるいは、センサで自動的に観測するようにしてもよい。
【0035】
図7乃至図11は別実施例を示すものであり、このうち図7に示す実施例にあっては、導入管7の先端を小径部7aとし、また筒状遮光部材12についても先端を小径部12aとし、特別の部材を用いなくとも、遮光部材12が所定位置に止る構造となっている。このように、遮光部材12を導入管7の外に設けることで、発光管内に不純物が進入する確率が極めて少なくなる。
【0036】
また、図8に示す実施例にあっては、遮光部材12を筒状とせずに、傘状にし、遮光部材12を導入管7外周に直接取り付けるようにしている。このように、直接取り付けることで、極めて狭い範囲で赤外線の照射を選択することができる。
【0037】
また、図9に示す実施例にあっては、石英製導入管7の内側にゲッター35を配置し、石英を透過してくる不純物を吸着除去するようにしている。尚、ゲッター35を導入管7の内側に配置すると、発光管14内に不純物が入り込むおそれがあるときには、図10に示すように導入管7の外側に石英管36を設け、この石英管36と導入管7との間にゲッター35を配置してもよい。
【0038】
また、図11に示す実施例にあっては、支持治具13上に石英管38に載せたキャップ吊し治具37を設けている。このようにキャップ吊し治具37でキャップ31を吊り下げた状態で加熱すれば、仮に発光管の開口にキャップの先端が当接するような段部がなくてもキャップの進入深さを正確に設定することができる。
【0039】
尚、装置としては赤外線を利用したものに限定されるが、圧力差を利用した本発明に係る封止方法は、赤外線を利用したものに限定されない。
【0040】
【発明の効果】
以上に説明した如く本発明によれば、赤外線を利用した発光管の封止部の封止装置として、発光管の周囲を囲む導入管の表面に、除去しにくい汚れが付着した場合でも、導入管を切断することで、汚れの集光領域に対する相対位置をずらすことができるので、新たな導入管に交換することなく使用することが可能となり、コスト的に有利となる。
【0041】
また本発明によれば、封止部の上下方法及び水平方向の位置合せを正確に行なうことができるので、短時間のうちに封止作業を終了させることができ、リークが生じる可能性を極力減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る封止装置の全体図
【図2】同封止装置の要部拡大図
【図3】加熱部の平面図
【図4】加熱部の別実施例を示す図2と同様の断面図
【図5】加熱部の位置合せ機構を示す概略図
【図6】溶融ガラスの流れ込みについての説明図
【図7】遮光部材の別実施例を示す拡大断面図
【図8】遮光部材の別実施例を示す拡大断面図
【図9】不純物のゲッターを配置した実施例を示す拡大断面図
【図10】不純物のゲッターを配置した別実施例を示す拡大断面図
【図11】キャップ吊し治具を備えた実施例を示す拡大断面図
【符号の説明】
1… 操作ボックス、2…操作グローブ、3…パスボックス、5…加熱部、5a…加熱部の内面、5b,5c…開口部、5d…のぞき窓、6…赤外線ランプ、7…導入管、12…遮光部材、13…支持治具、14…発光管、18…Arボンベ、20…ガス循環精製装置、31…キャップ、32…封着ガラス材、32a…溶融ガラス、34…隙間、35…ゲッター、37…キャップ吊し治具、R1…X軸レール、R2…Y軸レール。
Claims (3)
- 内面を赤外線反射面とした加熱部内の集光領域に操作ボックスと連通する導入管を臨ませ、この導入管内に操作ボックス内から支持治具を挿抜可能とし、この支持治具で発光管の下部を保持した状態で導入管内に発光管を挿入し、発光管のキャップ部にセットした封着ガラスを赤外線の熱で溶融せしめるようにした放電灯の封止装置において、前記導入管は前記加熱部を貫通するとともにその先端部が加熱部に形成した開口から突出可能とされ且つ前記加熱部は導入管に対して移動可能とされていることを特徴とするランプの封止装置。
- 請求項1に記載のランプの封止装置において、前記加熱部の集光領域に近接して、発光管のキャップ部にセットした封着ガラスが溶融して内部に侵入する量を観測するのぞき窓を形成したことを特徴とするランプの封止装置。
- 請求項1に記載のランプの封止装置において、前記発光管のキャップ部にセットした封着ガラスが溶融して内部に侵入する量を観測して加熱を停止するするセンサを設けたことを特徴とするランプの封止装置。
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