JP3619820B2 - 光学異方素子の製造方法 - Google Patents
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【産業上の利用分野】
本発明は、光学異方素子、およびそれを用いた液晶表示素子に関し、特に表示コントラスト及び表示色の視覚特性を改善するために有用な光学異方素子、およびそれを用いた液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
日本語ワードプロセッサやディスクトップパソコンなどのオフィスオートメションを代表する機器の表示装置としては、従来よりCRTが用いられている。しかし、CRTは大型で、かつ重いこと、そして消費電力が多いことなどから、最近では液晶表示素子に注目が集まり、さまざまな研究、開発、そして商品化が行なわれている。そして、現在一般的に用いられている液晶表示素子(以下、LCDともいう)は、ねじれ(ツイステッド)ネマティック液晶を用いており、その主流となっている表示方式は大別して、STN(スーパーツイステッドネマティック)液晶を用いる複屈折モードとTN(ツイステッドネマティック)液晶を用い、能動素子を用いるTFT−LCDやMIM−LCDなどと呼ばれる旋光モードとに分けることができる。
【0003】
複屈折モードに基づくLCDは、液晶分子配列のねじれ角度が90度以上のSTN液晶を用いるもので、急峻な電気特性を持つため、薄膜トランジスタやダイオードなどのような能動素子を用いる必要がなく、単純なマトリックス状の電極構造でも時分割駆動により大容量の表示が実現するとの利点がある。しかしながら、応答速度が遅い点(およそ数百ミリ秒)、そして階調表示が困難である点などが欠点とされている。
TFT−LCDやMIM−LCDなどの旋光モードに基づくLCDでは、液晶分子の配列状態が90度ねじれるTN液晶を用いており、この表示方式では、応答速度が速く(およそ数十ミリ秒)、容易に白黒表示が得られ、また高い表示コントラストを示す等の利点があり、他の方式のLCDに比較して最も有力な方式であるといわれている。しかし、ねじれネマティック液晶を用いているため、表示方式の原理上、視野角が狭く、見る方向によって表示色や表示コントラストが変化するといった好ましくない視覚特性があり、その改良が試みられている。
【0004】
すなわち、液晶分子は液晶分子の長軸方向と短軸方向とに異なる屈折率を有しており、このような屈折率の異方性を示す液晶分子に、ある偏光が入射すると、その偏光は液晶分子の角度に依存して偏光状態を変化させる。ねじれネマティック液晶の液晶セルの分子配列は、液晶セルの厚み方向に液晶分子の配列がねじれた構造を有しているが、液晶セルを通過する光は、このねじれた配列の液晶分子の個々の液晶分子の向きによって逐次偏光して伝播する。従って、液晶セルに対して光が垂直に入射した場合と、斜めに入射した場合とでは、液晶セル中に伝播する光の偏光状態は互いに異なり、その結果、見る方向、角度によって表示のパターンが全く見えなくなったりすることがあり、表示装置としては実用上において好ましくない。
【0005】
上記のような好ましくない視覚特性を改良する方法としては、たとえば、特開平4−229828号公報や特開平4−258923号公報などに開示されている位相差フィルムを用いる方法がある。すなわち、液晶表示素子は通常、二枚の電極基板の間にTN型液晶を挟持してなる液晶セル、そして液晶セルの両側に配置された二枚の偏光素子からなるが、その液晶セルと偏光素子との間に位相差を調整するフィルム(位相差フィルム)を配置する方法である。
そして、上記の公開公報で提案されている位相差フィルムは、液晶セルの表面に対して垂直な方向の位相差をほぼゼロとしたものであって、真正面からの光にはなんら光学的な作用を及ぼすことなく、一方、傾いた光が入射したときに位相差を発現させ、液晶セルで発生する位相差を補償しようとするものである。しかし、この方法による位相差の補償では、達成されるLCDの視野角の改良は充分とはいえない。特に、自動車などの車両に搭載する場合、あるいはCRTの代替表示装置として用いる場合には、高度の視野角の改良が必要となり、上記の方法では充分であるといえない。
【0006】
また、特開平4−366808号公報や特開平4−366809号公報に記載の発明では、光学軸が傾いたカイラルネマチック液晶層を位相差フィルムとして用いることによって視野角の改良を図っているが、この方式では二層液晶方式となり、コストが極めて高くなり、また表示装置全体の重量が顕著に増加するなどの欠点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、コストの上昇が少なく、かつ軽量でありながら、特に斜方入射における表示コントラストの低下を有効に防止し、表示色の視覚特性を顕著に改善することのできる光学異方素子、およびそれを用いた液晶表示素子を提供することを目的とする。また、本発明は、特にTN型液晶を用いる液晶表示素子の位相差フィルムとして有用な光学異方素子を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、正の一軸性を示し、その光学軸が表面に平行な面内にある光学異方性フィルムを用意し、この光学異方性フィルムの表面上にネマチック液晶を塗布配向させ固定することにより、正の一軸性を示し、その光学軸が表面に対する法線方向から傾いている光学異方性層を積層させることを特徴とする光学異方素子の製造方法にある。
【0009】
本発明はまた、正の一軸性を示し、その光学軸が表面に平行な面内にある光学異方性フィルム、そして正の固有複屈折率を有する熱可塑性樹脂フィルムを一軸延伸して得たフィルムを周速の異なる圧延ロールの間を通過させて両表面間に剪断力差を与えることにより作製した、正の一軸性を示し、その光学軸がフィルム表面に対する法線方向から傾いている光学異方性フィルムを用意し、前者の光学異方性フィルムと後者の光学異方性フィルムとを、それぞれフィルムの主屈折率の方向が互いに直交するように積層させることを特徴とする光学異方素子の製造方法にもある。
【0010】
本発明の光学異方素子は上記の構成により、これを液晶表示装置に用いると、液晶セルに光が斜め方向より入射して、楕円偏光として取り出されても、その楕円偏光が光学異方素子を通過することによって元の直線偏光に変調される。このため、本発明の光学異方素子を使用することにより、液晶表示素子(装置)全体としては、種々の斜方入射に対して同一な透過率を示し、視角依存性が顕著に改良された(すなわち、視野角が大幅に増大した)表示素子となる。
【0011】
本発明の光学異方素子が視野角の大幅な増大を実現することができることについては、次のような理由が推定される。
TN−LCDを用いる液晶表示装置では、一般にノーマリーホワイトモードが採用されている。このモードにおける視角特性によると、視野角を大きくすることに伴なって黒表示部からの光の透過率が著しく増大する結果となり、このためコントラストの急激な低下が発生する。この黒表示は電圧印加時の状態に対応するが、この時にはTN型液晶セルは、光学軸が液晶セルの表面に対する法線方向から若干傾いた正の一軸性光学異方体となる。また、中間階調を表示する場合には、光学軸は更に液晶セルの法線方向から傾くことになる。
液晶セルの光学軸が液晶セルの表面に対する法線方向から傾いている場合、光学軸が法線方向にある位相差フィルムでは、その補償が不充分となる。これに対して、本発明の光学異方素子は、(a)ネマチック液晶を含むか、あるいは周速の異なる二本の圧延ロールの間を通過させて得られる熱可塑性樹脂フィルムからなる、正の一軸性を示し、その光学軸が積層体表面に対する法線方向から傾いている光学異方層と、(b)正の一軸性を示し、その光学軸が積層体表面に平行な面内にある光学異方層とを組合せて積層体とするように調整しているため、液晶セルに斜め方向より入射した光に発生する位相差を充分に補償することが可能となり、大幅な視野角の拡大が実現されるものと考えられる。
【0012】
本発明の光学異方素子を構成する光学異方層(a)と光学異方層(b)は、共に正の固有複屈折値を有する熱可塑性樹脂、あるいは正の固有複屈折値を有する低分子化合物と配向固定化のための化合物との組合せを用いて製造することができる。
【0013】
正の固有複屈折値を有する熱可塑性樹脂の例としては、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、およびポリスルフォン系樹脂を挙げることができ、特に、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルフォン、そしてポリエーテルスルフォンが好ましい。いずれにしても、固有複屈折値が大きく、溶液製膜法あるいは溶融押出法などによって、容易に均質な表面状態を有するフィルムを形成できる樹脂材料が好ましい。なお、上記のポリマーは、ホモポリマーに限定されるものではなく、コポリマー、ホモポリマーやコポリマーの誘導体、あるいはそれらの混合物であってもよいことは勿論である。
正の固有複屈折値を有する熱可塑性樹脂を、固有複屈折値を有する官能基の位置から分類すると、主鎖型と側鎖型とに分けることができる。また、その官能基としては、通常の液晶の官能基であるメソゲン基が好ましい。そして、配向性を考慮すると、側鎖型であることが好ましい。なお、側鎖型の樹脂(側鎖型高分子化合物)の骨格は、ビニル型ポリマー、ポリシロキサン、ポリペプチド、ポリホスファゼン、ポリエチレンイミン、そしてセルロースのうちのいずれかであることが好ましい。
【0014】
正の固有複屈折値を有する低分子化合物はメソゲン基を有するものであることが好ましく、その例としては、シッフ系液晶、アゾキシ系液晶、シアノビフェニル系液晶、シアノフェニルシクロヘキサン系液晶、シアノフェニルエステル系液晶、安息香酸フェニルエステル系液晶、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル系液晶、フェニルピリミジン系液晶、そしてフェニルジオキサン系液晶などの低分子液晶を挙げることができる。
光学異方層の中に正の固有複屈折値を有する低分子化合物を含有させる場合には、低分子化合物同志、あるいは配向固定化のために共存させる高分子マトリクスと低分子化合物との架橋のために、上述の低分子化合物に、不飽和結合を有する置換基あるいは活性水素を有する置換基などの反応性の置換基を導入することが好ましい。そのような置換基の例としては、ビニル基、アリール基、メルカプト基、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、エポキシ基などを挙げることができる。
【0015】
また、正の固有複屈折値を有する低分子化合物の配向を固定するために、高分子化合物で形成したマトリクスを用いることもできる。このマトリクスを形成させる高分子化合物については特に制限はないが、上記低分子化合物を含んだ状態で光の透過率が60%以上で、実質的に透明、無色の層となるものであることが好ましい。すなわち、光学異方層中では、高分子マトリクスと正の固有複屈折値を有する低分子化合物とは互いに相溶しているか、あるいは高分子マトリクス中に低分子化合物が粒径0.08μm以下の粒子(あるいは油滴)として分散されていることが好ましい。この高分子マトリクス中の低分子化合物の分散には、界面活性剤、相溶性を増加させる高分子化合物などを分散助剤として用いることもできる。
上記の目的で用いる高分子マトリクスの材料の例としては、ゼラチン、アガロース、ペクチン、カラギナンなどの天然高分子化合物、そしてポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルビニルエーテル、ポリヒドロキシアクリレート、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリスルフォン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンスルフイド、ポリフェニレンオキシド、ポリアリルスルフォン、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、セルロース系誘導体、ポリアクリロニトリル、ポリスチレンなどの合成高分子化合物を挙げることあできる。また、その他の二元系、三元系の各種共重合体、グラフト共重合体、各種の重合体の混合物などを利用することもできる。
【0016】
光学異方層(a)は、たとえば、上記の正の固有複屈折値を有する熱可塑性樹脂を、溶融押出法、溶液流延法、あるいはカレンダ法などを利用してフィルムの形状とし、このフィルムを周速の異なる一対のローラ間を通過させて、フィルムの両面間に剪断力差を与え、これによりフィルム中の高分子化合物分子の角度を配向させるて得ることができる。この方法についての詳しい記載は、特願平4−324116号明細書にある。なお、このようにして配向させた正の固有複屈折値を有する熱可塑性樹脂からなるフィルムは配向緩和が起こりにくいため、通常は、特別な配向固定処理を施す必要はない。ただし、必要に応じて、後記する正の固有複屈折値を有する低分子化合物を用いて配向させた場合に利用される配向固定処理を施してもよい。
光学異方層(a)は、あるいは、支持体上に塗布した正の固有複屈折値を有する低分子化合物に磁場、電場、偏光などを作用させて、その低分子化合物を配向させたのち、この配向を固定する方法によっても製造することができる。また、液晶セルの製造時に液晶の配向のために用いる配向膜と同様な材料を利用し、その上に正の固有複屈折値を有する液晶性低分子化合物を塗布して配向させ、これを固定する方法などによっても光学異方層(a)を製造することができる。
【0017】
正の固有複屈折値を有する低分子化合物の配向を固定する方法としては、たとえば、その低分子化合物と固定化剤(不飽和結合を有するモノマーなど)、そして光重合開始剤、あるいは熱重合開始剤からなる反応性組成物を調製し、これを製膜配向すると同時に、または直後に光あるいは熱を付与して重合反応を起こさせて樹脂膜とする方法が利用される。あるいは、正の固有複屈折値を有する低分子化合物として反応性基を有する化合物を選び、これと高分子マトリクスを形成する材料とを混合して膜形成用組成物を調製し、これを製膜配向すると同時に、あるいは直後に熱の付与、光の付与、またはpHの変化などの方法を利用して上記低分子化合物と高分子マトリクス材料とを反応させ配向が固定したフィルムとすることができる。また、正の固有複屈折値を有する低分子化合物として反応性基を有する化合物のみを用い、これを製膜配向すると同時に、または直後に熱の付与や光の付与などの方法により架橋重合させ、配向の固定したフィルムを得ることもできる。また、その他の各種の公知の配向固定方法を利用することも可能である。
【0018】
なお、上記の目的で用いる熱重合開始剤の例としては、アゾ化合物、有機過酸化物、無機過酸化物、スルフィン酸類などを挙げることができる。これらの化合物の詳細については、高分子学会、高分子実験学編集委員会編「付加重合・開環重合」の6〜18頁に記載がある。
光重合開始剤の例としては、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、ベンゾイン類、チオキサントン類などを挙げることができる。これらの詳細については、「紫外線硬化システム」(1989年、総合技術センター発行)の63〜147頁に記載がある。
【0019】
光学異方層(b)は、例えば、正の固有複屈折値を有する熱可塑性樹脂から製造したフィルムを延伸(一軸延伸あるいは二軸延伸)するような方法で、面方向の配向を与えて製造することができる。
【0020】
なお、本発明の光学異方層(a)と光学異方層(b)とからなる光学異方素子は単独(一枚)でも位相差フィルムとして用いることができるが、所望により二枚以上組合せて(積層など)用いることもできる。
【0021】
【実施例】
[実施例1]光学異方素子(KI−1)の作製
一軸延伸ポリカーボネートフィルムの上に、光重合性オリゴマー(UN900PEP、根上工業株式会社製)1重量部、テトラヒドロフラン19重量部、そして少量のベンゾフェノンからなる塗布液を塗布し、60℃で30分間乾燥したのち、その上にネマチック液晶(ZL14788−100、メルク・ジャパン株式会社製)を塗設し、5kGの磁場を、塗膜面の法線方向からフィルム面内の延伸軸と垂直な方向へ70度傾いた角度で印加しながら紫外線ランプより紫外線を照射して、ネマチック液晶の配向と固定を行なった。そののち、トリ酢酸セルロースフィルムで被覆して、本発明に従う光学異方素子(KI−1)を得た。
【0022】
[実施例2]光学異方素子(KI−2)の作製
周速の異なる二本の加熱ローラーの間(クリアランス:100μm、加熱温度:145℃)に、厚さ115μmのポリカーボネートフィルム(ユーピロン、三菱ガス化学株式会社製)を通し、傾斜型ポリカーボネートフィルム(KS−1)を作製した。なお、上記加熱ローラーの周速比は7:8であり、周速の遅い方のローラーの周速は1.9m/分であった。
別に、ポリカーボネートフィルムを一軸延伸することによって、厚みが100μmで、レターデーション値が300nmの光学異方性フィルム(CO−1)を作製した。
次いで、上記の傾斜型ポリカーボネートフィルム(KS−1)と光学異方性フィルム(CO−1)とを直交積層することによって、本発明に従う光学異方素子(KI−2)を得た。
【0023】
[実施例3]光学異方素子(KI−3)の作製
平面仮支持体上に、ポリスルホン(ユーデルP−3500、アモコジャパン株式会社製)の31%塩化メチレン溶液を流延して流延膜を形成させ、これを乾燥することによってポリスルホンフィルムを製造した。次いで、このポリスルホンフィルムを200℃にて14%延伸処理し、厚みが100μmで、レターデション値が300nmの光学異方性フィルム(FO−1)を作製した。
この光学異方性フィルム(FO−1)と、実施例2で作製した傾斜型ポリカーボネートフィルム(KS−1)とを直交積層することによって、本発明に従う光学異方素子(KI−3)を得た。
【0024】
[実施例4]光学異方素子(KI−4)の作製
一軸延伸ポリカーボネートフィルムの上に、SiOを蒸着物質として、蒸着角度70度で斜め蒸着を行なった。この蒸着膜上に、ネマチック液晶(MBBA、メルク・ジャパン株式会社製)の塩化メチレン溶液(濃度:1重量%)を塗布して、乾燥させたのち、70℃に加熱し、冷却することにより0.5μm厚の固定化ネマチック層を形成した。こののち、トリ酢酸セルロースフィルムで被覆し、本発明に従う光学異方素子(KI−4)を得た。
【0025】
実施例1〜4で得られた光学異方素子(KI−1〜KI−4)の光学的特性を表1に示す。
【0026】
【0027】
なお、光学軸の傾きの測定に際しては、株式会社島津製作所製のエリプソメータAEP−100を透過モードで使用し、測定対象のフィルムは、AEP−1000のλ/4板と検光子との間に置かれたゴニオメータに装着し、該フィルムを回転して、常光屈折率と異常光屈折率との値が等しくなる方向をもって光学軸とした。
【0028】
[実施例5]光学異方素子(KI−5)の作製
実施例1で得た光学異方素子(KI−1)を二枚用意し、それらを、それぞれの主屈折率の方向が90度相違するように(すなわち直交するように)させた状態で積層して、本発明に従う光学異方素子(KI−5)を得た。
【0029】
[実施例6]光学異方素子(KI−5)の作製
実施例1で得た光学異方素子(KI−1)を三枚用意し、それらを互いに、それぞれの主屈折率の方向が45度相違するようにさせて順次積層して、本発明に従う光学異方素子(KI−6)を得た。
【0030】
二枚の電極基板の間にTN型液晶を挟持した液晶セルと液晶セルの両側に配置された二枚の偏光素子からなる通常の液晶表示装置(大塚電子株式会社製LCD−5000)を用意し、その液晶セルと偏光素子との間に実施例1〜6の光学異方素子をそれぞれ配置して、0V/5Vのコントラストの視角特性を測定した。コントラスト10基準の上下左右の視角特性の測定値を表2に示す。
【0031】
【0032】
以上の結果から、本発明の光学異方素子の付設により、視野角の大幅な増大が実現することが明らかである。
【0033】
【発明の効果】
本発明の光学異方素子を用いることにより、液晶表示素子(特にTN型液晶を用いた液晶表示素子)の視角特性が大幅に改善され、視認性の優れる高品位表示の液晶表示素子を得ることができる。そして、本発明の光学異方素子は、TFTやMIMタイプの三端子、二端子の能動素子を用いたアクティブマトリクス液晶表示素子に応用した場合に特に有用である。
Claims (2)
- 正の一軸性を示し、その光学軸が表面に平行な面内にある光学異方性フィルムを用意し、この光学異方性フィルムの表面上にネマチック液晶を塗布配向させ固定することにより、正の一軸性を示し、その光学軸が表面に対する法線方向から傾いている光学異方性層を積層させることを特徴とする光学異方素子の製造方法。
- 正の一軸性を示し、その光学軸が表面に平行な面内にある光学異方性フィルム、そして正の固有複屈折率を有する熱可塑性樹脂フィルムを一軸延伸して得たフィルムを周速の異なる圧延ロールの間を通過させて両表面間に剪断力差を与えることにより作製した、正の一軸性を示し、その光学軸がフィルム表面に対する法線方向から傾いている光学異方性フィルムを用意し、前者の光学異方性フィルムと後者の光学異方性フィルムとを、それぞれフィルムの主屈折率の方向が互いに直交するように積層させることを特徴とする光学異方素子の製造方法。
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