JP3619459B2 - ズームレンズ鏡筒 - Google Patents

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、ズームレンズ鏡筒に関しており、特にズームレンズを移動させるために有底のカム溝を用いるズームレンズ鏡筒に関する。
【0002】
【従来技術及びその問題点】
ズームレンズ鏡筒において、有底のカム溝を有するカム環の回転運動によって、直進案内されているレンズ群を所定の軌跡で光軸方向に直進案内する機構が知られている。このようなカム溝を用いたレンズ案内構造では、ズーム撮影領域においてカム溝とレンズ枠のカムフォロアとの嵌合が緩いとレンズに偏心誤差や傾き誤差が生じ、光学性能が悪化する。
【0003】
特にデジタルカメラでは、銀塩フィルムカメラの画面サイズに比して遙かに小さいCCD上に結像させるため、レンズに要求される精度は例えば1桁高い。例えば画角を同一とすると、イメージサイズが小さいだけレンズの焦点距離は短くなり、レンズ、レンズ枠その他全てが小さくなる。すると、同じ誤差、例えば10μmの誤差がレンズ系に与える影響は、デジタルカメラにおいてより大きい。つまり、銀塩フィルムカメラでは光学性能上問題にならなかった誤差が、デジタルカメラでは問題となる。特にデジタルカメラのレンズ系では、光軸方向の誤差よりも、偏心誤差、傾き誤差が光学性能に与える影響が大きい。
【0004】
この誤差をなくすために、カムフォロアを弾性支持体で支持し、この弾性支持体を径方向に弾性変形させた状態でカム溝に対してカムフォロアが嵌合するようなガタ除去機構が提案されている。弾性変形された弾性支持体が復元しようする力により、カムフォロアはカム溝との嵌合方向に付勢されて該カム溝とフリクションをもって嵌合され、ガタが除去される。
【0005】
しかしながら、このガタ除去機構では、長期間に亘って連続的に弾性支持体が弾性変形された状態にあるとその弾性力が徐々に弱くなり、性能が劣化するおそれがある。
【0006】
一方、ズームレンズ鏡筒には、テレ位置とワイド位置の間の撮影位置とは別に、撮影を行わない収納位置を有するものが多い。
【0007】
【発明の目的】
本発明は以上の問題点に鑑みてなされたものであり、撮影時にはレンズの位置ずれを確実に防ぎ、かつ経年変化によっても位置ずれ防止作用が低下しにくいズームレンズ鏡筒を得ることを目的とする。
【0008】
【発明の概要】
本発明のズームレンズ鏡筒は、回転駆動されるカム環の内面に形成した有底カム溝と、直進案内されたレンズ枠から径方向に突出され、この有底カム溝に移動可能に嵌まるカムフォロアと、このカムフォロアを支持して径方向に弾性変形可能で、その弾性によってカムフォロアと有底カム溝の径方向の遊びを除去する弾性支持手段とを有し、有底カム溝は、カム環の回転に応じてカムフォロアを案内してレンズ枠をテレ位置とワイド位置の間で光軸方向に移動させるズーム撮影領域と、撮影を行わない収納位置にレンズ枠を移動させる収納用領域とを有し、この有底カム溝は、ズーム撮影領域よりも収納用領域の方が径方向に深く、カムフォロアがズーム撮影領域内に位置するときには、弾性支持手段が弾性変形してカムフォロアと有底カム溝が径方向に遊びなく嵌合し、カムフォロアが径方向に深い収納用領域内に位置するときには、弾性支持手段が自由状態となって該カムフォロアが有底カム溝に対し遊嵌されることを特徴としている。このズームレンズ鏡筒によれば、撮影を行わない収納位置では弾性支持手段に負荷がかからないので、長期間の経過によってその弾性力が弱くなるのを防ぐことができる。一般的にズームレンズカメラでは、撮影を行わない収納状態にある時間が最も長いので、本発明のように、収納位置で弾性支持手段の負荷が解消されるようにすれば、弾性支持手段の弾性力は劣化しにくい。
【0009】
カム環の内面には、互いに軌跡の異なる複数種の有底カム溝が形成されており、各軌跡の有底カム溝においてそれぞれ、ズーム撮影領域よりも収納用領域の方が径方向に深く形成されるように構成してもよい。このとき、軌跡が異なる複数種の有底カム溝は、互いのズーム撮影領域と収納用領域が周方向の同一位置に形成されていることが好ましい。
【0010】
以上のズームレンズ鏡筒では、カム環の内側に、光軸と平行な直進案内貫通溝が形成された直進案内環を有し、レンズ枠は、この直進案内貫通溝に移動可能に嵌まる、内径方向に弾性変形可能な弾性舌片を有し、カムフォロアは、この弾性舌片から径方向に突出していることが好ましい。
【0011】
【発明の実施形態】
本実施形態は、デジタルカメラ用ズームレンズに本発明を適用したものである。最初に全体構造を説明し、次に本発明の特徴部分を説明する。
【0012】
【本実施形態のレンズ鏡筒全体の説明】
図1、図2を参照して本実施形態のズームレンズ鏡筒の構成を説明する。以下の説明において、部材名称の次の数字の後の括弧付き大文字(F)は、その部材が固定されていることを示し、同(L)は光軸方向に直進移動することを示し、同(RL)は回転しつつ光軸方向に移動することを示す。
【0013】
この実施形態のレンズ構成は、物体側から順に、第1レンズ群L1(L)、第2レンズ群L2(L)、及び第3レンズ群L3(L)からなり、第1レンズ群L1と第2レンズ群L2をその間隔を変化させながら所定の軌跡で光軸方向に移動させることでズーミングが行われる。第3レンズ群L3は、第1レンズ群L1、第2レンズ群L2の位置に拘わらず、フォーカシングレンズとして機能するもので、いわゆるリヤフォーカシングのズームレンズ系である。
【0014】
カメラボディに固定される(あるいはカメラボディの一部を構成する)ハウジング10(F)には、固定環11(F)が固定されている。固定環11は、その外周面に細密雄ねじ11aを有し、内周面に、雌ヘリコイド11bと、この雌ヘリコイド11bの一部を切り欠いて形成した光軸と平行な方向の直進案内溝11cを有している。直進案内溝11cは、120゜間隔で3本形成されている。
【0015】
ハウジング10には、図2に示すように、CCD挿入窓10a、フィルタ固定部10b、フォーカスレンズ群移動ガイド10cが備えられている。CCD挿入窓10aには、基板12に固定されたCCD12aが臨み、フィルタ固定部10bには、ローパスフィルタ等のフィルタ10dが固定されている。フォーカスレンズ群移動ガイド10cには、光軸方向に移動可能に第3レンズ群L3が支持されており、送りねじ10eの回転方向と回転角度(量)によって、第3レンズ群L3の移動位置が決定される。送りねじ10eの回転角度は、パルスモータ(エンコーダ)によってパルス管理される。
【0016】
固定環11の外側には回転環13(RL)が位置し、この回転環13の内周面に形成した雌ねじ13aが固定環11の雄ねじ11aに螺合している。この回転環13は、外周面にギヤ13b(図1)を有し、このギヤ13bに噛み合うピニオン(図示せず)を介して回転駆動される。回転環13は、回転駆動されると、雌ねじ13aに従い、回転しながら光軸方向に移動する。この回転環13の先端部の内面には、120゜間隔で、回転伝達突起13cが形成されている。また、回転環13の外周面には、周方向に向けてコード板14(RL)(図1)が固定されており、ハウジング10には、このコード板14と摺接するブラシ15(F)(同)が固定されている。コード板14とブラシ15は、雄ねじ11a(雌ねじ13a)に従って光軸方向に進退するコード板14(回転環13)の移動位置に拘わらず互いに接触を維持し、回転環13の回転位置をデジタル情報及び(又は)アナログ情報として検出するように設けられている。回転環13の雌ねじ13aは、回転環13を固定環11に回転自在に支持する手段であり、回転環13は、固定環11に光軸方向の移動を規制して回転のみ可能に支持してもよい。
【0017】
固定環11の内側には、直進案内環16(L)と、この直進案内環16の外周面に光軸方向移動を規制し相対回転を可能にして嵌めたカム環17(RL)と、このカム環17の先端部外周に回転方向には一緒に回転し光軸方向には相対移動可能に嵌めた第2カム環18(RL)との結合体が位置している。すなわち、直進案内環16は、その後端部に外方フランジ16aを有し、前端部には直進案内リング(フランジリング)19(L)がリテーナリング20(L)を介して固定されている。カム環17は、この外方フランジ16aと直進案内リング19との間に挟着されて、直進案内環16に対して相対回転は自由に光軸方向には一緒に移動するように支持されている。
【0018】
カム環17の先端部に嵌めた第2カム環18は、カム環17の外周面に120゜間隔で形成したストッパ突起17aに摺動自在に係合する直進ガイド部18aを有していて、カム環17に対する相対回動は生ぜず、光軸方向の相対移動のみ可能に支持されている。このストッパ突起17aと直進ガイド部18aの近傍には、第2カム環18を前方に移動付勢する圧縮ばね21が挿入されており、第2カム環18は常時は直進案内リング19に当接している。第2カム環18は、ストッパ突起17aと直進ガイド部18aの光軸方向のクリアランス分だけ、圧縮ばね21を撓ませながら後退することが可能である。また、径方向のクリアランスだけ傾くこともできる。
【0019】
カム環17の外周面には、固定環11の雌ヘリコイド11bと螺合する雄ヘリコイド17bが形成されており、この雄ヘリコイド17bの一部を切除して、回転環13の回転伝達突起13cが摺動可能に嵌まる光軸と平行な回転伝達溝17cが形成されている。一方、直進案内環16の外方フランジ16aには、径方向外方に突出して固定環11の直進案内溝11cに嵌まる直進案内突起16bが120゜間隔で形成されている。直進案内環16にはまた、直進案内突起16bと周方向位置を同一にして、120゜間隔で光軸と平行な方向の貫通した直進案内貫通溝16cが形成されている。
【0020】
直進案内貫通溝16cは、図4、図5に示すように、直進案内環16の後端面に開口しており、その外径側は、外方フランジ16aと直進案内突起16bによって閉塞されている。外方フランジ16aには、この直進案内突起16bと周方向位置を同じくしてその内径側にカムフォロアの挿入溝16hが形成されている。
【0021】
直進案内環16、カム環17及び第2カム環18の結合体を、固定環11と回転環13に係合させる際には、固定環11の各直進案内溝11cに導入部11dから直進案内環16の各直進案内突起16bを嵌めるとともに、カム環17の各回転伝達溝17cに導入部17dから回転環13の各回転伝達突起13cを嵌め、その状態で固定環11の雌ヘリコイド11bとカム環17の雄ヘリコイド17bとを螺合させる。また、固定環11の雄ねじ11aと回転環13の雌ねじ13aを螺合させる。
【0022】
こうして図2のように組立が完了した状態では、ギヤ13bを介して回転環13を回転駆動すると、回転環13は雌ねじ13aと雄ねじ11aの螺合関係で回転しながら光軸方向に進退し、同時にカム環17と該カム環17の外径側に載っている第2カム環18には、回転伝達突起13cと回転伝達溝17cの摺動関係で回転が伝達され、雄ヘリコイド17bと雌ヘリコイド11bとの螺合関係で光軸方向の移動が与えられる。このとき、直進案内環16は、直進案内突起16bと直進案内溝11cの摺動関係で回転することなく光軸方向に進退し、直進案内環16に対して相対回転するカム環17、第2カム環18が直進案内環16と光軸方向に一緒に移動する。
【0023】
カム環17の内周面には、図3に展開形状を示す1群用カム溝17C1と2群用カム溝17C2とが形成されている。この1群用カム溝17C1と2群用カム溝17C2は、同一形状を120゜間隔で3本形成したもので、カム環17の回転方向に順に、収納位置、テレ端位置、ワイド端位置を有している。収納位置からワイド端位置に至るカム環17の回転角度はAである。
【0024】
第1レンズ群L1を保持した第1レンズ枠22(L)と、第2レンズ群L2を保持した第2レンズ枠23(L)とは、この1群用カム溝17C1と2群用カム溝17C2、及び直進案内環16の直進案内貫通溝16cによって案内され、光軸方向に直進移動する。第1レンズ枠22は、筒状部22aから後方に突出する弾性舌片22bを120゜間隔で3個備えており、この弾性舌片22b上に、径方向に突出し直進案内貫通溝16cに摺動自在に嵌まる角突起22cが形成され、この角突起22c上に径方向に突出するフォロアピン22dが植設固定されている。角突起22cは、直進案内溝16cとの接触部が平行平面である突起であればよい。第1レンズ群L1を固定したレンズ筒22eは、筒状部22aの内周面にねじ22fで結合されており、螺合位置を調節することで、第1レンズ枠22内での第1レンズ群L1の光軸方向の位置調節ができる。レンズ筒22eは、第1レンズ枠22のフランジ22gとの間にウェーブワッシャ22hを挟着しており、ウェーブワッシャ22hの弾性によって、レンズ筒22e(第1レンズ群L1)の光軸方向の遊びを除去している。
【0025】
第2レンズ枠23は、環状部23aから前方に突出する弾性舌片23bを120゜間隔で3個備えており、この弾性舌片23b上に、径方向に突出し直進案内貫通溝16cに摺動自在に嵌まる角突起23cが形成され、この角突起23c上に径方向に突出するフォロアピン23dが植設固定されている。この角突起23cとフォロアピン23dは、弾性舌片23bの方向が弾性舌片22bの方向とは逆である点を除き、第1レンズ枠22の角突起22cとフォロアピン22dと同様である。第2レンズ群L2を固定したレンズ筒23eは、固定ねじ23fを介して第2レンズ枠23のフランジ23gに固定されている。この第2レンズ枠23のフランジ23gには、シャッタブロック24が固定されている。シャッタブロック24は、シャッタレリーズ時に、CCD12aに与えられる光束を遮断する機能を持つ。
【0026】
以上の第1レンズ枠22と第2レンズ枠23はそれぞれ、各角突起22cと角突起23cを直進案内環16の対応する同一の直進案内貫通溝16cに嵌めることで直進案内されている。そして、フォロアピン22dとフォロアピン23dは、直進案内環16の直進案内貫通溝16cから径方向に突出して、直進案内環16の外周に相対摺動自在に嵌まっているカム環17の1群用カム溝17C1と2群用カム溝17C2にそれぞれ嵌まっている。なお、第1レンズ枠22と第2レンズ枠23を直進案内環16及びカム環17内に嵌めるときには、直進案内環16の後端面から、角突起22cと23cを直進案内貫通溝16cに嵌め、フォロアピン22dと23dをカムフォロア挿入溝16hを通過させてから、カム溝17C1と17C2に嵌める。なお、図3において、カム溝17C1、17C2の輪郭内にハッチングを付した領域は、組立時や分解時にのみフォロアピン22d、23dが通過する領域であり、使用状態では使用しない。
【0027】
以上の案内構造により、回転環13に回転が与えられると、カム環17と第2カム環18は回転しながら、直進案内環16は回転することなく、直進案内環16、カム環17、第2カム環18の結合体が光軸方向に進退する。その結果、第1レンズ枠22(第1レンズ群L1)と第2レンズ枠23(第2レンズ群L2)が、1群用カム溝17C1と2群用カム溝17C2のカムプロフィルに従い、互いの空気間隔を変化させながら光軸方向に直進移動してズーミングがなされる。
【0028】
次に、直進案内環16の先端部に対する直進案内リング19とリテーナリング20の結合構造を図6と図7について説明する。直進案内環16には、その先端部に、径方向に突出させて120゜間隔で、3個のバヨネット爪16dが形成されており、このバヨネット爪16dの間に小径挿入部16eが位置している。バヨネット爪16dの背面には、小径挿入部16eと同径の小径部16fが形成されており、バヨネット爪16dの背面に位置させて、小径部16fを軸と平行な方向に切り欠いた回転規制凹部16gが形成されている。
【0029】
一方、直進案内リング19には、その内周面に、小径挿入部16eからバヨネット爪16dの間に挿入可能で、挿入後小径部16fに対して相対回転可能な回転規制凸部19aが120゜間隔で形成されている。また、この直進案内リング19には、外周面に、回転規制凸部19aとの周方向位置を定めた直進案内突起19bが120゜間隔で形成されている。
【0030】
リテーナリング20には、その内周面に、直進案内環16の小径挿入部16eからバヨネット爪16dの間に挿入可能で、挿入後小径部16fに対し相対回転可能な固定爪20aが120゜間隔で形成されている。また前端面には、回転操作用のカニメ溝20bが形成されている。
【0031】
直進案内リング19を直進案内環16の先端部に固定する際には、直進案内リング19をその回転規制凸部19aを小径挿入部16eに嵌めて小径部16f上で回転させ、回転規制凸部19aをバヨネット爪16dの背面に移動させて回転規制凹部16gに嵌合させる。この嵌合により、直進案内リング19の直進案内環16に対する周方向位置が定まる。次に、リテーナリング20をその固定爪20aを小径挿入部16eに嵌めて小径部16f上で回転させ、回転規制凸部19aを回転規制凹部16gに押し付けて、直進案内リング19の軸方向の移動を抑える。このロック状態では、固定爪20aがバヨネット爪16dと回転規制凸部19aの間に入り、直進案内リング19の抜けを固定爪20aとバヨネット爪16dが防止することになる。直進案内環16とリテーナリング20の間には、ロック状態でリテーナリング20の回転を防止する(クリック感を与える)凹凸が設けられている。図6では、直進案内環16側の凹凸16jのみを示した。
【0032】
このようにして直進案内環16の先端に固定された直進案内リング19の直進案内突起19bは、直進案内環16の直進案内突起16bに対して予め定めた特定の位置(角度関係)にある。この直進案内突起19bは、外観筒(フード筒)25(L)の内周面に120゜間隔で形成した光軸と平行な方向の直進ガイド溝25aに嵌まり、外観筒25を回転させることなく光軸方向移動のみ可能に案内している。外観筒25には、120゜間隔で3本のガイドピン25bが植設されており、このガイドピン25bは、第2カム環18の外周面に120゜間隔で形成した同一形状の進退ガイド溝18bに嵌まっている。
【0033】
進退ガイド溝18bは、図8、図9に示すように、ガイドピン25bを組立時に進入させる組立位置と、カム環17の収納位置、テレ端位置、ワイド端位置に対応する収納位置、テレ端位置、ワイド端位置を有し、カム環17と一緒に回転する第2カム環18の回転位置に応じて、外観筒25を光軸方向に進退させる。すなわち、外観筒25を画角の狭いテレ端位置では第2カム環18(第1レンズ群L1)に対して前進させ、画角の広いワイド端位置では後退させることで、レンズフードとしての役割を与えたものである。図10はワイド端位置での外観筒25の位置、図11はテレ端位置で外観筒25の位置を示している。
【0034】
このように、外観筒25を案内する第2カム環18と、第1レンズ群L1、第2レンズ群L2を案内するカム環17との間には、第2カム環18を前方に移動付勢する圧縮ばね21が挿入されているため、使用中に外観筒25に押し込み方向の外力が加わった場合には、その外力の少なくとも一部を圧縮ばね21によって吸収することができる。つまり、外力は、圧縮ばね21を圧縮した後、第2カム環18からカム環17に伝達されるため、カム環17には大きな外力が加わることがない。よって、第1レンズ群L1、第2レンズ群L2の位置精度に対する影響を少なくすることができる。外観筒25のより詳細な動き及び作用については、外観筒22の先端に固定されるバリヤブロック27を説明した後、さらに図12を用いて説明する。図1における符号29(F)は、外観筒25がその内側を進退する、カメラボディ側と一体のカバー筒である。
【0035】
外観筒25には、その前端部内径に、バリヤ駆動環26が回転自在に支持されている。このバリヤ駆動環26は、その回転運動によりバリヤブロック27のバリヤを開閉するものである。バリヤブロック27は、図1、及び図13ないし図15に示すように、撮影開口27aを有する化粧板27b、この化粧板27bに撮影開口27aを開閉するように支持した二対のバリヤ27c、27d、これらバリヤ27c、27dを撮影開口27aを閉じる方向に付勢する一対のトーションばね27e、化粧板27bとの間にこれら要素を挟着保持するバリヤ押え板27fとを有していて、予め別ユニットとして組み立てられる。バリヤ27c、27dは、化粧板27bに設けた共通軸27gに同軸に回動自在であり、内側のバリヤ27dは、化粧板27bのばね掛け軸27nに掛けとめたトーションばね27eにより閉方向に回動付勢されている。バリヤ27dには、トーションばね27eの力に抗してバリヤ27dを開くための開閉突起27hが突出形成されており、バリヤ27cには、バリヤ27dが開方向に動くとき、バリヤ27dの縁部に係合してバリヤ27dとともにバリヤ27cを開方向に動かす連動突起27iが形成されている。また、バリヤ27cと27dには、その対向面に、バリヤ27dが閉方向に動くとき、バリヤ27dを一緒にバリヤ27cを閉方向に動かす連動突起27jと27k(図15)が形成されている。バリヤ押え板27fには開閉突起27hをバリヤ駆動環26側に突出させる露出穴27mが形成されている。
【0036】
バリヤ駆動環26は、図16ないし図18に示すように、バリヤ駆動環26自身に形成したばね掛け突起26bと、外観筒25に形成したばね掛け突起25cとの間に張設した、トーションばね27eより強い引張ばね28によって、バリア開方向に回動付勢されており、このバリヤ駆動環26に、バリヤ27dの開閉突起27hと係合してバリヤ27c、27dを開く開閉ダボ26cが形成されている。バリヤ駆動環26は、引張ばね28の力による回動端に位置するときには、その開閉ダボ26cが開閉突起27hを押圧して、トーションばね27eの力に抗してバリヤ27dを開き、連動突起27iを介して27cも開く(図15)。
【0037】
一方、バリヤ駆動環26は、図16に示すように、その周方向の一部に、第2カム環18側に突出する回転伝達突起26aを有しており、この回転伝達突起26aは、第2カム環18に形成した回転付与凹部18c(図8、図9も参照)と係脱する。バリヤ駆動環26は、外観筒25に光軸方向の定位置で回転可能に支持されているから、外観筒25が第2カム環18の進退ガイド溝18bに従って光軸方向に直進進退すると、図8、図9に明らかなように、回転する第2カム環18に対して接離する。回転伝達突起26aと回転付与凹部18cは、撮影位置(テレ端位置とワイド端位置の間)では図8のように互いに接触(係合)することがなく、テレ端位置から収納位置に移動する間に、図9のように互いに係合して回転付与凹部18cによりバリヤ駆動環26に強制回転力が与えられるように形成されている。バリヤ駆動環26が引張ばね28に抗する移動端に回動すると、バリヤ駆動環26の開閉ダボ26cがバリヤ27dの開閉突起27hから離れ、その結果トーションばね27eの力によりバリヤ27dが開き、連動突起27k、27jを介してバリヤ27cが閉じて撮影開口27aが閉じる(図14)。逆に、収納位置からテレ端位置に移行する間には、回転伝達突起26aが回転付与凹部18cから徐々に離れ、引張ばね28によりバリヤ駆動環26がバリヤ開放方向に回動する結果、開閉ダボ26cが開閉突起27hを押し連動突起27iを介して、バリヤ27c、27dが開く。つまり、バリヤ27c、27dの開閉は、バリヤ駆動環26の回転によって行われる。なお、バリヤ駆動環26に形成された回転伝達突起26aは唯一であるのに対し、第2カム環18に形成した回転付与凹部18cは、120°間隔で3個形成されていて、組立時にいずれかを選択できるようになっている。
【0038】
上述のように、光軸方向に直進移動するように案内されている外観筒25は、第2カム環18の回動によって前後移動する。一方、第1レンズ群L1と第2レンズ群L2はカム環17の回動によって前後移動する。図12は、収納位置、テレ端位置からワイド端位置における、CCD12aの像面、第1レンズ群L1と第2レンズ群L2(の主点位置)、及び外観筒25の先端のバリヤブロック27(の先端部の化粧板27bの撮影開口27a)の位置変化を示したものである。カム環17のカム溝17C1と17C2、および第2カム環18の進退カム溝18bは、このような移動軌跡が得られるように定められている。撮影開口27aは、正面略矩形をなしていて、その短辺方向の画角、長辺方向の画角、対角方向の画角の順に大きい。図10、図11では、撮影開口27aの短辺方向から入射する光束S、長辺方向から入射する光束M、及び対角方向から入射する光束Lの角度を示している。
【0039】
なお、バリヤ駆動環26にはその内径部に、バリヤ駆動環26から第1レンズ枠22の先端部外周に延びる遮光筒26dが固定(接着)されている。遮光筒26dは光軸を中心とする回転対称形状をしており、バリヤ駆動環26の往復回動によって往復回動してもその遮光機能は変化しない。
【0040】
また、以上のズームレンズ鏡筒を構成する部品は、各ばね、送りねじ10e、固定ねじ23f、フォロアピン22d、23d、シャッタブロック24及びガイドピン25bを除き、すべて合成樹脂材料の成形品からなっている。
【0041】
また、以上の実施形態では、第3レンズ群L3をフォーカスレンズ群としているが、別のレンズ群、例えば第1レンズ群L1または第2レンズ群L2をフォーカスレンズ群としてもよい。第2レンズ群L2をフォーカスレンズ群とする場合、シャッタブロック24に、フォーカシング機能を与えることができ、このようなシャッタブロックは周知である。
【0042】
【本発明の特徴部分の説明】
カム環17の内周面に有底のカム溝として形成した1群用カム溝17C1と2群用カム溝17C2は径方向の深さが一様ではない。この有底カム溝の深さについて図3と図19を参照して説明する。図3では、図中右方が光軸方向の前方で、左方が後方である。1群用カム溝17C1と2群用カム溝17C2はそれぞれ、テレ位置(TELE)とワイド位置(WIDE)の間の領域、すなわち撮影時に用いるズーム撮影領域を含む領域では、図19に断面を示す通常カム溝部αとして形成されている。またカム溝17C1、17C2において、符号βを付した領域は、通常カム溝部αよりも径方向に深い深カム溝部βとして形成されている。通常カム溝部αと深カム溝部βはそれぞれ、図19に深さD1、D2として示すしている。
【0043】
詳細には、1群用カム溝17C1では、カム環17の後端部に連通するフォロアピン挿脱口17C1xから収納位置を若干過ぎた位置までの導入部β1と、ワイド位置よりも先の終端部β2とが、深カム溝部βとなっており、この導入部β1と終端部β2の間の領域が通常カム溝部αとなっている。この1群用カム溝17C1の通常カム溝部αにはテレ位置とワイド位置(すなわちズーム撮影領域)が含まれ、さらにワイド位置から終端部β2の直前までの接続部y1も通常カム溝部αとして形成されている。逆に言えば、1群用カム溝17C1の通常カム溝部αは、収納位置を若干過ぎた位置から終端部β2の直前までの領域であり、それ以外の領域が深カム溝部βとして形成されている。
【0044】
一方、2群用カム溝17C2では、カム環17の後端部に連通するフォロアピン挿脱口17C2xから該フォロアピン挿脱口17C2xの若干前方に位置するカム溝折曲部分まで光軸方向と平行に延びる導入部β3と、テレ位置より先の収納位置に対応する終端部β4とが、深カム溝部βとなっており、この導入部β3と終端部β4の間の領域が通常カム溝部αとなっている。1群用カム溝17C1と同様に、この2群用カム溝17C2の通常カム溝部αにはテレ位置とワイド位置(すなわちズーム撮影領域)が含まれ、さらにワイド位置から導入部β3の直前までの接続部y2も通常カム溝部αとして形成されている。逆に言えば、2群用カム溝17C2の通常カム溝部αは、光軸方向に延びる導入部β3を過ぎた位置から終端部β4の直前までの領域である。
【0045】
1群用カム溝17C1と2群用カム溝17C2は、通常カム溝部αの一部として形成されたズーム撮影領域が互いに周方向の同一位置に形成されており、深カム溝部βとして形成された収納位置用の領域(導入部β1の一部、終端部β4)も互いに周方向の同一位置に形成されている。
【0046】
さらに、2群用カム溝17C2には、上述の導入部(β3)の途中に、通常カム溝部αよりも浅い浅カム溝部γ(カムフォロア抜止領域)が形成されている。浅カム溝部γは、図19に深さD3として示している。
【0047】
1群用カム溝17C1の終端部β2と、フォロアピン挿脱口17C2xを含む2群用カム溝17C2の導入部β3とは、カム環17の円周方向の同一位置(図3において外観筒分解と記載した位置)に位置している。
【0048】
図19に示すように、通常カム溝部α、深カム溝部β、及び浅カム溝部γは、互いの底面の幅W1は等しい。また各カム溝部α、β、及びγでは、鏡筒内径側の開口から該底面までがテーパー面となっているが、このテーパー面の傾斜角も互いに共通している。このように各カム溝部α、β、及びγにおいて底面幅とテーパー面の角度を共通とすることによって、途中で深さが変化するカム溝であっても加工し易くなっている。なお、カム溝部α、β、及びγでは、それぞれの内径側の開口幅W2、W3及びW4は、W4<W2<W3の関係にある。
【0049】
カム溝17C1と17C2の通常カム溝部α内にフォロアピン22dと23dが位置しているときには、これらフォロアピンを支持する弾性舌片(弾性支持手段)22bと23bが鏡筒内径方向に若干押し込まれて弾性変形した状態となっている。この弾性変形された弾性舌片22bと23bが復元しようとする力によって、フォロアピン22dと23dにはカム溝17C1と17C2に嵌合する方向への力が作用し、フォロアピンと有底のカム溝の間における径方向の遊びが除去される。つまり、ズーム撮影領域では、第1レンズ枠22と第2レンズ枠23はガタなくカム環17及び直進案内環16の内方に支持され、その径方向における位置が正確に決定されており、レンズ群の偏心誤差や倒れを防ぐことができる。
【0050】
一方、カム環17がテレ位置から収納位置に対応する回転位置に回転されたときには、その回転の途中で、フォロアピン22dと23dの嵌合対象が通常カム溝部αから深カム溝部β(導入部β1、終端部β4)に変化する。すると、フォロアピン22dと23dの先端部に対するカム溝17C1と17C2の底面位置が遠くなり、該フォロアピン22dと23dの突出方向への移動が許されるので、弾性舌片22bと23bは内径方向への弾性変形が解消された自由状態となり、カム溝17C1と17C2に対してフォロアピン22dと23dは遊嵌された状態になる。したがって、ズームレンズ鏡筒が収納位置にあるときには、弾性舌片22bと23bには負荷がかからない。
【0051】
カム溝の使用領域において、ズーム撮影領域とは別に撮影を行わない収納位置を有するズームレンズ鏡筒では、一般に収納位置にある時間が最も長い。よって収納位置において、フォロアピンを支持する弾性舌片に負荷を与え続けると、徐々にその弾性力が弱まってしまうおそれがある。弾性力が弱まると、フォロアピンが有底カム溝のズーム撮影領域内にあるときでも、上述のレンズ枠保持作用が保証されなくなり、光学性能が劣化するおそれがある。これに対し、本実施形態のズームレンズ鏡筒は、鏡筒収納位置では、各フォロアピン22d、23dはそれぞれ、深カム溝部βの一部として形成された導入部β1、終端部β4に位置するので、該収納位置においては弾性舌片22bと23bへ負荷がかからず、鏡筒収納状態が長く続いたとしてもその弾性力が損なわれるおそれがない。収納位置では撮影を行わないので、フォロアピン22d、23dとカム溝17C1、17C2の嵌合が緩くても実用上問題はない。収納位置からズーム撮影領域側にフォロアピン22dと23dが移動すれば、少なくとも撮影可能範囲の最初であるテレ位置ではフォロアピン22dと23dは通常カム溝部α内に位置しているので、弾性舌片22bと23bが内径側に弾性変形してフォロアピンとカム溝の間のガタが除去されて正確なレンズ位置が得られる。
【0052】
以上のフォロアピン22dと23dをカム溝17C1と17C2に嵌めて第1レンズ枠22と第2レンズ枠23をカム環17に組み付ける作業は、以下のように行う。1群用カム溝17C1と2群用カム溝17C2はそれぞれ、カム環17の後端部に連通するフォロアピン挿脱口17C1xと17C2xを有している。まず、1群用カム溝17C1のフォロアピン挿脱口17C1xから導入部β1にフォロアピン22dを進入させてから、該フォロアピン22dが1群用カム溝17C1の終端部β2まで移動するように、直進案内環16とカム環17とを相対的に回転させる。第1レンズ枠22は角突起22cで直進案内環16の直進案内貫通溝16cに直進案内されるため、カム環17との回転位相が変化すると、該カム環17内を1群用カム溝17C1の軌跡に応じて光軸方向に移動される。フォロアピン22dが1群用カム溝17C1の終端部まで移動すると、第1レンズ枠22がカム環の前方に移動される。
【0053】
続いて、フォロアピン23dを、2群用カム溝17C2のフォロアピン挿脱口17C2xから導入部β3に進入させる。第1レンズ枠22の角突起22cと第2レンズ枠23の角突起23cはそれぞれ、共通の直進案内貫通溝16cによって直進案内されるが、第1レンズ枠22のフォロアピン22dがカム溝17C1の終端部に位置するときには、直進案内環16とカム環17の回転位相は、直進案内貫通溝16cが2群用カム溝17C2のフォロアピン挿脱口17C2xと重なるようになっている。換言すれば、1群用カム溝17C1の終端部と2群用カム溝17C2のフォロアピン挿脱口17C2xとは周方向の同一位置にある。よって、第1レンズ枠22のフォロアピン22dをカム溝17C1の終端部まで移動させた状態において、第2レンズ枠23のフォロアピン23dをカム溝17C2内に嵌めることができる。そして、フォロアピン23dが2群用カム溝17C2の終端部β4まで移動されるようにカム環17と直進案内環16を相対的に回転させると、フォロアピン22dと23dがいずれも図3の収納位置に移動される。
【0054】
分解作業は以上と逆の手順で行い、まずフォロアピン23dを2群用カム溝17C2のフォロアピン挿脱口17C2xまで移動させて第2レンズ枠23を後方へ抜き取り、続いて、フォロアピン22dを1群用カム溝17C1のフォロアピン挿脱口17C1xまで移動させて第1レンズ枠22を後方へ抜き取る。
【0055】
本ズームレンズ鏡筒では、各カム溝17C1と17C2に上述したような深さの変化を持たせることにより、フォロアピンの組込及び分解時の作業性向上を図っている。まず1群用カム溝17C1では、組立時または分解時にのみフォロアピン22dが通過する領域の一部を深カム溝部β(導入部β1、終端部β2)として形成している。この深カム溝部β内にフォロアピン22dが位置しているときには、該フォロアピン22dの先端部に対する1群用カム溝17C1の底面位置が遠く、フォロアピン22dは弾性舌片22bを内径方向に弾性変形させずに(自由状態にさせて)、1群用カム溝17C1と遊嵌した状態になっている。同様に、2群用カム溝17C2でも、組立時または分解時にのみフォロアピン23dが通過する領域の一部を深カム溝部β(導入部β3)として形成しており、この深カム溝部β内にフォロアピン23dが位置するときには、フォロアピン23dは2群用カム溝17C2に対して遊嵌した状態にある。このような組立時や分解時にのみフォロアピン22d、23dが通る領域では、フォロアピンとカム溝の間にフリクションを与えて厳密なレンズ位置を出す必要はない。上述のように本実施形態のズームレンズ鏡筒では、組立分解専用のカム溝領域の一部が溝深に形成されているので、当該溝深のカム溝領域に対してはフォロアピンが遊嵌される。これにより、組込時や分解時におけるカム嵌合部の摺動抵抗を小さくでき、作業性が向上する。
【0056】
なお本実施形態では、1群用カム溝17C1におけるワイド位置と終端部β2の間に位置する接続部y1、及び2群用カム溝17C2における導入部β3とワイド位置の間に位置する接続部y2はそれぞれ、組立時または分解時にのみフォロアピン22d、23dが通る組立用領域を構成しているが、通常カム溝部αに含まれている。この構成によると、1群用カム溝17C1の終端部β2に位置する状態でフォロアピン22dを軽く保持させることができ、また2群用カム溝17C2の導入部β3に位置する状態でフォロアピン23dを軽く保持させることができる。そのため、上述した組立分解作業において、カム環17に対する第2レンズ枠23の組込または抜取用の回転位置を決めやすく、作業性に優れるという利点がある。しかし、この接続部y1、y2を、深カム溝βの一部として形成することも可能である。
【0057】
2群用カム溝17C2ではさらに、導入部β3の途中において、フォロアピン挿脱口17C2xの直後(光軸前方側)に浅カム溝部γが形成されている。浅カム溝部γをフォロアピン23dが通るときには、第2レンズ枠23の弾性舌片23bの弾性変形量は、フォロアピン23dが通常カム溝部αに嵌まっているときよりも大きい。端的に言えば、フォロアピン23dを移動させるときの摺動抵抗が大きくなる。この浅カム溝部γは、嵌合後においてフォロアピン23dが2群用カム溝17C2から不用意に脱落しないようにするストッパの作用を有している。フォロアピン23dがカム溝17C2から脱落しなければ、カム環17及び直進案内環16からの第2レンズ枠23の脱落が防止される。第2レンズ枠23が脱落しなければ、該第2レンズ枠23より前方に位置して直進案内貫通溝16を共用している第1レンズ枠22も、カム環17及び直進案内環16から脱落されずに保持される。分解時には、フォロアピン23dが浅カム溝部γに達したときに、弾性舌片23bを若干多く弾性変形させてからフォロアピン23dを2群用カム溝17C2のフォロアピン挿脱口17C2x側に移動させればよい。つまり、カム環17、直進案内環16、第1レンズ枠22、及び第2レンズ枠23の結合体をレンズブロックと見なした場合に、浅カム溝部γを形成したことにより該レンズブロックの組立状態を維持させることができ、組立作業性が向上する。なお、本実施形態ではカム環17の内面には軌跡の異なる2種類の有底カム溝が形成されているが、カム溝が1種類の場合にも、このカム溝のフォロアピン挿脱口からズーム撮影領域までの導入部の途中位置に浅カム溝部を形成すれば、上述したストッパの作用が得られる。
【0058】
以上の説明から明らかなように、本実施形態のズームレンズ鏡筒では、有底カム溝の収納用領域をズーム撮影領域よりも溝深に形成したので、ズーム撮影領域では負荷をかけられてカムフォロアとカム溝の間のガタを除去している弾性支持手段に関して、収納用領域ではその負荷を解放することができる。したがって、長期間経過しても弾性支持手段の弾性力が劣化しにくく、光学性能の劣化を防ぐことができる。なお、本実施形態はデジタルカメラ用ズームレンズに適用したものであるが、銀塩フィルムカメラのズームレンズ鏡筒に本発明を適用することもできる。
【0059】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、撮影時にはレンズの位置ずれを確実に防ぎ、かつ経年変化によってもその位置ずれ防止作用が低下しにくいズームレンズ鏡筒を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるズームレンズ鏡筒の全体構造を示す分解状態の斜視図である。
【図2】同組立状態の上半断面図である。
【図3】カム環のカム溝の展開図である。
【図4】第1レンズ枠、第2レンズ枠、直進案内環及びカム環の関係を示す分解斜視図である。
【図5】直進案内環の直進案内溝部分の背面図である。
【図6】直進案内環、直進案内リング、リテーナリングの分解状態の拡大分解斜視図である。
【図7】同拡大分解展開図である。
【図8】第2カム環とバリヤ駆動環の撮影状態(テレ端位置)における位置関係を示す展開図である。
【図9】同収納状態における位置関係を示す展開図である。
【図10】ワイド撮影状態における外観筒と第2カム環(第1レンズ群)との位置関係を示す上半断面図である。
【図11】テレ撮影状態における外観筒と第2カム環(第1レンズ群)との位置関係を示す上半断面図である。
【図12】テレ撮影状態における外観筒と第2カム環(第1レンズ群)との位置関係を実線で、ワイド撮影状態におけるそれを鎖線で示す上半断面図である。
【図13】バリヤブロックを背面側からみた分解斜視図である。
【図14】バリヤ押え板を除くバリヤブロックを組立状態で背面側からみた斜視図である。
【図15】バリヤブロックのバリヤ開閉状態を示す正面図である。
【図16】第2カム環の回転付与凹部とバリヤ駆動環の回転伝達突起の関係を示す分解斜視図である。
【図17】外観筒に回転自在に支持されたバリヤ駆動環の一方の回動端(バリア閉位置)での正面図である。
【図18】同バリヤ駆動環の他方の回動端(バリア開位置)での正面図である。
【図19】カム環におけるカム溝の深さの違いを示す断面図である。
【符号の説明】
L1 第1レンズ群
L2 第2レンズ群
L3 第3レンズ群
10 ハウジング
11 固定環
11a 雄ねじ
11b 雌ヘリコイド
11c 直進案内溝
12 基板
12a CCD
13 回転環
13a 雌ねじ
13b ギヤ
13c 回転伝達突起
14 コード板
15 ブラシ
16 直進案内環
16a 外方フランジ
16b 直進案内突起
16c 直進案内貫通溝
16d バヨネット爪
16e 小径挿入部
16f 小径部
16g 回転規制凹部
16h カムフォロア挿入溝
17 カム環
17a ストッパ突起
17b 雄ヘリコイド
17c 回転伝達溝
17d 導入部
17C1 1群用カム溝(有底カム溝)
17C1x フォロアピン挿脱口(カムフォロア挿脱口)
17C2 2群用カム溝(有底カム溝)
17C2x フォロアピン挿脱口(カムフォロア挿脱口)
18 第2カム環
18a 直進ガイド部
18b 進退ガイド溝
18c 回転付与凹部
19 直進案内リング
19a 回転規制凸部
19b 直進案内突起
20 リテーナリング
20a 固定爪
20b カニメ溝
21 圧縮ばね
22 第1レンズ枠
22a 筒状部
22b 弾性舌片(弾性支持手段)
22c 角突起(平行平面突起)
22d フォロアピン(カムフォロア)
22f ねじ
22g フランジ
22h ウェーブワッシャ
23 第2レンズ枠
23a 環状部
23b 弾性舌片(弾性支持手段)
23c 角突起(平行平面突起)
23d フォロアピン(カムフォロア)
23e レンズ筒
23f 固定ねじ
23g フランジ
24 シャッタブロック
25 外観筒(フード筒)
25a 直進ガイド溝
25b ガイドピン
25c ばね掛け突起
26 バリヤ駆動環
26a 回転伝達突起
26b ばね掛け突起
26c 開閉ダボ
26d 遮光筒
27 バリヤブロック
27a 撮影開口
27b 化粧板
27c 27d バリヤ
27e トーションばね
27f バリヤ押え板
27g 共通軸
27h 開閉突起
27i 27j 27k 開閉突起
28 引張ばね
29 固定カバー筒
α 通常カム溝部
β(β1〜β4) 深カム溝部
γ 浅カム溝部

Claims (4)

  1. 回転駆動されるカム環の内面に形成した有底カム溝と、直進案内されたレンズ枠から径方向に突出され、この有底カム溝に移動可能に嵌まるカムフォロアと、このカムフォロアを支持して径方向に弾性変形可能で、その弾性によってカムフォロアと有底カム溝の径方向の遊びを除去する弾性支持手段とを有し、
    上記有底カム溝は、上記カム環の回転に応じてカムフォロアを案内して上記レンズ枠をテレ位置とワイド位置の間で光軸方向に移動させるズーム撮影領域と、撮影を行わない収納位置にレンズ枠を移動させる収納用領域とを有し、
    この有底カム溝は、ズーム撮影領域よりも収納用領域の方が径方向に深く、上記カムフォロアがズーム撮影領域内に位置するときには、上記弾性支持手段が弾性変形してカムフォロアと有底カム溝が径方向に遊びなく嵌合し、上記カムフォロアが径方向に深い収納用領域内に位置するときには、上記弾性支持手段が自由状態となって該カムフォロアが有底カム溝に対し遊嵌されることを特徴とするズームレンズ鏡筒。
  2. 請求項1記載のズームレンズ鏡筒において、上記カム環の内面には、互いに軌跡の異なる複数種の有底カム溝が形成されており、各軌跡の有底カム溝においてそれぞれ、上記ズーム撮影領域よりも収納用領域の方が径方向に深く形成されているズームレンズ鏡筒。
  3. 請求項2記載のズームレンズ鏡筒において、上記複数種の有底カム溝は、互いのズーム撮影領域と収納用領域が周方向の同一位置に形成されているズームレンズ鏡筒。
  4. 請求項1から3いずれか1項記載のズームレンズ鏡筒において、
    上記カム環の内側に、光軸と平行な直進案内貫通溝が形成された直進案内環を有し、
    上記レンズ枠は、この直進案内貫通溝に移動可能に嵌まる、内径方向に弾性変形可能な弾性舌片を有し、
    上記カムフォロアは、この弾性舌片から径方向に突出しているズームレンズ鏡筒。
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