JP3619439B2 - ユニット型リニアスケール - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、メインスケールが収容されている枠体に対して、該スケールに沿って移動するインデックススケールの相対移動量から長さ方向の移動量を検出する検出ヘッドが一体的に形成されているユニット型リニアスケールに関する。
【0002】
【従来の技術】
相対移動する対象物(移動体)の直線変位を検出する装置として、メインスケールが収容されている長尺状の枠体と、該枠体に対して相対移動可能なインデックススケール等の検出部が収容されている検出ヘッドが一体的に形成されているユニット型リニアスケールが一般に用いられている。
【0003】
図4(A)、(B)、(C)は、このようなユニット型リニアスケールの一例を一方の対象物に固定した状態の平面図、左側面図、正面図をそれぞれ示したものである。この図に示されるように、このユニット型リニアスケールは、前記メインスケール(図示せず)が収容されているアルミ枠(枠体)10と、前記検出部(図示せず)が収容されている検出ヘッド12とが一体的に形成され、該検出ヘッド12がアルミ枠10の長手方向である測長方向に沿って移動可能になっている。
【0004】
このユニット型リニアスケールでは、アルミ枠10がその測長方向の両端部に取付けられた固定ブロック14の固定位置にあたるねじ孔14Aを介して、一方の対象物(図中、相手面)にねじ止めすることにより不動状態に固定されると共に、前記検出ヘッド12が図示しない他方の対象物に固定され、両対象物の相対移動量をアルミ枠10と検出ヘッド12の相対移動量から検出するようになっている。
【0005】
このようなユニット型リニアスケールとしては、前記図4に相当する図5に示すように、アルミ枠10の対象物に対する固定を、測長方向両端部の固定ブロック14だけでなく、測長方向の途中(例えば、中心位置である中央部)に取付けた固定部材16の固定位置16Aをねじ止めして、同様に相手面に3点で固定するものもある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、メインスケールが収容されている測長方向に延びる枠体を、測長方向両端部にそれぞれ直結されている固定ブロックをねじ止めして、対象物に固定するユニット型リニアスケールにおいて、前記両端部のいずれか一方の側の固定ブロックに、測長方向のみに自由度を有した、前記枠体の伸びを吸収する熱膨張吸収機構が形成され、前記熱膨張吸収機構が、前記固定ブロックを対象物に固定するために、該対象物の表面に垂直に螺入されるねじ部材の外周面に当接する、測長方向に平行な基準面を有する基準部材と、該基準面に対向し、測長方向に延びる押付面により前記ねじ部材を、前記基準面側に付勢する付勢部材とを備えているようにしたことにより、前記課題を解決したものである。
【0007】
即ち、本発明においては、枠体を、その測長方向両端部にそれぞれ直結されている固定ブロックをねじ止めして、対象物に固定すると共に、いずれか一方の固定ブロックに前記枠体の伸びを吸収する熱膨張吸収機構を形成するようにしたので、該枠体と対象物の材料の熱膨張率が大きく異なっている場合でも、その伸びを確実に吸収できるため、メインスケールの精度の直線性が低下することを防止でき、結果として測定精度を向上することができる。
【0008】
本発明は、又、メインスケールが収容されている測長方向に延びる枠体を、測長方向両端部にそれぞれ直結されている固定ブロックと、側長方向途中に直結されている固定部材をねじ止めして、対象物に固定するユニット型リニアスケールにおいて、前記両端部の固定ブロックに、測長方向のみに自由度を有した、前記枠体の伸びを吸収する熱膨張吸収機構が形成され、前記熱膨張吸収機構が、前記固定ブロックを対象物に固定するために、該対象物の表面に垂直に螺入されるねじ部材の外周面に当接する、測長方向に平行な基準面を有する基準部材と、該基準面に対向し、測長方向に延びる押付面により前記ねじ部材を、前記基準面側に付勢する付勢部材とを備えているようにしたことにより、同様に前記課題を解決したものである。
【0009】
即ち、本発明においては、枠体を測長方向途中で不動状態に固定すると共に、測長方向両端部ではいずれも前記熱膨脹吸収機構により、温度変化による伸びを吸収できるようにしたので、同様に枠体に変形が生じることを防止できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明に係る第1実施形態のユニット型リニアスケールが備えているアルミ枠10を、前記図4(C)と同じ方向から見た測長方向両端部の近傍を拡大して示したものである。但し、相手面(対象物)は図示を省略してある。
【0012】
本実施形態では、ユニット型リニアスケールを構成するアルミ枠(枠体)10の右側の測長方向端部が、従来と同様の固定ブロック14にねじ(図示せず)により直結され、該固定ブロック14を固定位置(ねじ孔)14Aを介して対象物(図示せず)にねじ止めして固定されている。従って、測長方向、これに直交する相手面に垂直な方向及び相手面に平行な方向の3軸方向の全ての方向に対してアルミ枠10の動きが規制されるため、その結果この右側端部は完全な不動状態に固定された固定端になっている。
【0013】
一方、左側端部は、固定ブロック18に同様に直結されているが、該固定ブロック18自体に熱膨張吸収機構が形成され、自由端になっており、図中符号20で示す固定用ねじは自由端側の固定位置になっている。以下にこの熱膨張吸収機構について、図2を参照しながら詳述する。
【0014】
この図2(A)は上記固定ブロック18を拡大して示した平面図、同図(B)は固定用ねじ20の軸中心を通るX方向の縦断面図、同図(C)は該固定用ねじ20の軸方向に直交する方向の、同図(B)のC−C位置における横断面図(理解し易いようにハッチングは省略してある)である。
【0015】
前記固定ブロック18は、ブッシュ(ねじ部材)22を介して、対象物の表面に垂直に螺入されている前記固定用ねじ20により、該対象物に固定されている。又、このブッシュ22の上端に位置するフランジ部22Aと固定ブロック18との間には、スプリングワッシャ(ばね部材)24が介設され、該固定ブロック18を固定用ねじ20により完全に締め付けて固定しなくとも、該ワッシャ24の付勢力により対象物の表面に確実に密着させることができ、Y方向に規制されるようになっている。
【0016】
又、前記固定ブロック18には、上記ブッシュ22の外周面に当接する、図2(C)に示すように、測長方向に平行な基準面(図中A面)を有する基準部材18Aと、該基準面に対向し、同様に測長方向に延びる押付面(図中B面)により、前記ブッシュ22を前記基準部材18Aの基準面側に付勢する付勢部材18Bとを備えたことにより、測長方向には伸びの自由度を有する圧縮ばね機構(熱膨張吸収機構)が形成されている。
【0017】
即ち、この固定ブロック18では、少なくとも付勢部材18Bは付勢力を発生させる材料、例えば、アルミ、鉄、亜鉛等のごく一般的な入手可能な金属で形成可能である。そして、前記基準面(A面)と押付面(B面)の最大離間距離Dが二点鎖線で示すブッシュ22の外径φdより小さく形成されており、しかも、アルミ枠10との直結部近傍の付勢部材18Bには、その肉厚を薄くすることにより、図中O点を中心とする圧縮ばね機構が形成され、該ばね機構により固定ブロック18自体が図中X方向に規制され、位置決めされるようになっている。
【0018】
又、前記付勢部材18Bの押付面(B面)は、前記最大離間距離Dの位置を境に測長方向に離間距離が接触角α、βでそれぞれ漸減する曲面で形成されている。従って、前記ブッシュ22は、最大離間距離Dの位置で一番安定することから、この位置を外れるとアルミ枠10に該位置に戻そうとする張力が作用するようになっている。
【0019】
以上詳述した本実施形態によれば、測定環境の温度変化によりアルミ枠10が、Z方向(測長方向)へ伸びようとした場合、ブッシュ22に対して固定ブロックの基準面(A面)を基準として滑りが発生するため、その伸びを吸収することができる。又、このとき、固定ブロック18の前記圧縮ばね機構により前記ブッシュ22が基準面方向に圧縮されてX方向に位置決めされているため、アルミ枠10の伸びのみが吸収されることになり、熱膨張に起因するアルミ枠10の変形を防止することができる。
【0020】
又、固定ブロック18が、固定用ねじ20により前記スプリングワッシャ24を介して対象物に付勢して固定されているため、該固定ブロック18の前記対象物に対する図中Y方向の押付力、図中X、Z方向への摩擦力が、該固定用ねじ20の締付けに左右されないようにすることができる。又、付勢部材18Bの押付面を、前記α、βの角度で設定される接触角からなる曲面で形成することにより、圧縮ばねの締付力を安定する寸法Dの位置にコントロールすることが可能となるため、設計の自由度を向上することができる。
【0021】
又、測長方向両端部の片側を固定端とし、他方の片側を自由端とすることができることにより、アルミ枠10に対する伸びの基準点の設定と伸びの方向の設定が可能となることから、収容されているメインスケールの精度の直線性を向上することが可能となる。
【0022】
図3は、本発明に係る第2実施形態のユニット型リニアスケールを示す、前記図5に相当する平面図である。
【0023】
本実施形態は3点固定のユニット型リニアスケールであり、測長方向中央部(途中)のアルミ枠10が固定部材16で完全な不動状態に固定され、測長方向両端部がいずれも前記圧縮ばね機構が形成されている固定ブロック18により固定するようにしたものである。
【0024】
本実施形態によれば、アルミ枠10の中央部を固定端とし、両端部を自由端とすることができることにより、該中央部を伸びの基準点に設定し、図中左右に均等なアルミ枠10の伸びを生じさせることが可能となることから、収容されているメインスケールの精度の直線性の低下を防止でき、結果として測定精度を向上することができる。
【0025】
以上、本発明について具体的に説明したが、本発明は、前記実施形態に示したものに限られるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0026】
例えば、前記固定ブロックに形成されている熱膨張吸収機構の具体的な構成は、前記実施形態に示したものに限定されない。具体的には、付勢部材18Bにより基準部材18Aの基準面に付勢されるねじ部材は、前記実施形態に示したブッシュに限られるものでなく、ねじ自体であってもよい。又、付勢部材18Bの押付面は曲面でなく平坦面であっても良い。
【0027】
又、前記第2実施形態では、アルミ枠10を中央部で固定する場合を示したが、測長方向の途中であれば特に制限されない。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、メインスケールが収容されている枠体と、該枠体を固定する対象物との線膨張係数の差が大きい場合でも、メインスケールの精度の直線性が低下することを防止でき、結果として測定精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1実施形態のユニット型リニアスケールが備えるアルミ枠を示す概略正面図
【図2】熱膨張吸収機構を有する固定ブロックを拡大して示す平面図、縦断面図、横断面図
【図3】本発明に係る第2実施形態のユニット型リニアスケールが備えるアルミ枠を示す概略正面図
【図4】従来のユニット型リニアスケールの外観を示す平面図、左側面図、正面図
【図5】従来の他のユニット型リニアスケールの外観を示す平面図、左側面図、正面図
【符号の説明】
10…アルミ枠
12…検出ヘッド
14…固定ブロック
16…固定部材
18…固定ブロック
18A…基準部材
18B…付勢部材
A面…基準面
B面…押付面
20…固定用ねじ
22…ブッシュ
24…スプリングワッシャ(ばね部材)

Claims (6)

  1. メインスケールが収容されている測長方向に延びる枠体を、測長方向両端部にそれぞれ直結されている固定ブロックをねじ止めして、対象物に固定するユニット型リニアスケールにおいて、
    前記両端部のいずれか一方の側の固定ブロックに、測長方向のみに自由度を有した、前記枠体の伸びを吸収する熱膨張吸収機構が形成され
    前記熱膨張吸収機構が、前記固定ブロックを対象物に固定するために、該対象物の表面に垂直に螺入されるねじ部材の外周面に当接する、測長方向に平行な基準面を有する基準部材と、該基準面に対向し、測長方向に延びる押付面により前記ねじ部材を、前記基準面側に付勢する付勢部材とを備えていることを特徴とするユニット型リニアスケール。
  2. メインスケールが収容されている測長方向に延びる枠体を、測長方向両端部にそれぞれ直結されている固定ブロックと、側長方向途中に直結されている固定部材をねじ止めして、対象物に固定するユニット型リニアスケールにおいて、
    前記両端部の固定ブロックに、測長方向のみに自由度を有した、前記枠体の伸びを吸収する熱膨張吸収機構が形成され
    前記熱膨張吸収機構が、前記固定ブロックを対象物に固定するために、該対象物の表面に垂直に螺入されるねじ部材の外周面に当接する、測長方向に平行な基準面を有する基準部材と、該基準面に対向し、測長方向に延びる押付面により前記ねじ部材を、前記基準面側に付勢する付勢部材とを備えていることを特徴とするユニット型リニアスケール。
  3. 前記固定ブロックが、該ブロックを対象物側に付勢するばね部材を介して、前記ねじ部材により固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のユニット型リニアスケール。
  4. 前記基準部材の基準面と前記付勢部材の押付面との間の最大離間距離が、前記ねじ部材の外径より小さく形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のユニット型リニアスケール。
  5. 前記付勢部材の押付面が、前記最大離間距離の位置を境に測定方向にそれぞれ漸減するように形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のユニット型リニアスケール。
  6. 前記付勢部材の枠体との直結部近傍が、該付勢部材が前記基準部材に対する圧縮バネとして機能するように肉厚が薄く形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のユニット型リニアスケール。
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