JP3619326B2 - スキャナ - Google Patents

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JP3619326B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画素を一次元的に配置したライン型イメージセンサを用い、該イメージセンサに被写体像を走査させることによって被写体を二次元的に読み取るスキャナに関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来より、画素を一次元的に配置したライン型イメージセンサ上に被写体像を走査させることにより、被写体像の二次元的な画像情報をイメージセンサに読み取らせるスキャナが知られている。一般に、この種のスキャナには、被写体に沿って平行移動する走査ミラーと、イメージセンサに被写体像を結像するための結像レンズが設けられ、走査ミラーの平行移動によってイメージセンサ上に被写体像が走査される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなスキャナでは、走査ミラーの平行移動に伴い、結像レンズへの入射角が変化するため、結像レンズのレンズ径を大きくしなければならないという問題点がある。そこで、走査ミラーをイメージセンサの画素配列方向と平行な軸の回りに回動させることよって、被写体を走査するスキャナが考えられている。
【0004】
しかし、走査ミラーを回動させる場合、イメージセンサと共役な物体面は円筒面となる。即ち、走査ミラーにより結像レンズの光軸が偏向される方向によってピント位置が変化する。そのため、平面状の被写体にピントを合わせるためには、走査ミラーの回動に応じて結像レンズを移動させる等の補正を行う必要がある。このような補正のためには、制御部が、走査ミラーの位置(回転角度)に応じて、結像レンズの光軸が走査ミラーにより偏向される方向を正確に把握している必要がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑み、走査ミラーの位置に応じて、結像レンズの光軸が走査ミラーにより偏向される方向を正確に把握することができるスキャナを提供することを目的とするものである。
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明によるスキャナは、一次元に配列した画素によって被写体を読み取るライン型イメージセンサと、該イメージセンサに被写体像を結像させる結像レンズと、イメージセンサの画素配列方向と平行な軸回りに回動することによりイメージセンサ上に被写体像を走査させ、イメージセンサに被写体像の二次元的な画像情報を読み取らせる走査ミラーと、走査ミラーの回動制御を行う制御部と、を備えると共に、制御部による走査ミラーの回動制御が、結像レンズの光軸が走査ミラーによって直角に偏向される際の走査ミラーの位置を基準位置として行われ、走査ミラーが基準位置にあるとき、制御部が、さらに、結像レンズの合焦位置を検出する合焦処理、及びイメージセンサにおける被写体像の蓄積時間を決定する為の測光処理を行うよう構成されている。
【0007】
このように、結像レンズの光軸が走査ミラーによって直角に偏向される際の走査ミラーの位置を基準位置として走査ミラーが回動制御されるため、走査ミラーの位置に応じて、結像レンズの光軸が走査ミラーによって偏向される方向を、制御部が常に正確に把握することができる。
なお、走査ミラーが上記の基準位置にある時には、走査ミラーの反射面と結像レンズの光軸とのなす角は45°である。また、この時、イメージセンサによる読み取りラインは、画像の中心部にある。
【0008】
また、上記スキャナには、走査ミラーと連動し、走査ミラーを回動させるために所定の角度範囲内で回動する駆動部材と、駆動部材に設けられた被検出部を検出する検出手段とをさらに設けると共に、該検出手段の検出タイミングに基づいて走査ミラーの基準位置を決めることができるよう構成することができる。
さらに、上記の基準位置を、検出手段が駆動部材の被検出部を検出してから、駆動部材が所定量回動した位置とし、当該所定量を、スキャナの個体差に応じて設定される量とすることも可能である。
【0009】
また、上記の駆動部材をパルスモータによって回動し、前記所定量をパルスモータのパルス数により設定されるよう構成しても良い。さらに、被検出部をシャッタープレートとし、検出部をシャッタープレートが所定位置に達した時に該シャッタープレートにより遮られるフォトインタラプタとして構成することもできる。また、シャッタープレートが、駆動部材の前記所定の角度範囲の略半分に亘って、フォトインタラプタを遮うように構成することも可能である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明にかかるスキャナの実施形態としてカメラ型スキャナを説明する。
【0011】
実施形態のカメラ型スキャナは、モノクロのライン型CCDセンサであるイメージセンサを用いて離れた位置にある被写体を走査する方式のカメラ型スキャナである。その撮影光学系は図1に概念的に示すように、被写体O側から走査ミラー2、結像レンズ3、イメージセンサ16により構成される。走査ミラー2をイメージセンサ16の画素配列方向に平行な方向の回転軸Rx回りに回動させることにより、被写体Oを順次ライン状に読み取ってイメージセンサ上に結像させ、被写体の情報を二次元的に読み取る。この明細書では、イメージセンサの画素配列方向に相当する方向を「主走査方向」、走査ミラーの回動により走査される読み取りライン(走査ライン)の移動方向を「副走査方向」と定義する。また、図中に、イメージセンサ16の画素配列方向に平行なy軸と、結像レンズ3の光軸に平行なx軸を定義する。さらに、以下の説明では、結像レンズ3の光軸が図中一点鎖線で示したように走査ミラー2により直角に偏向される際のラインセンサの読み取りラインを「基準走査ライン」と定義する。
【0012】
被写体を走査して情報を読み取る方式とすることにより、センサの画素数に対して読み取りの解像度を高くすることができる。例えば、実施形態におけるイメージセンサの有効画素数は2088であり、54.4度の走査範囲を2870ステップに分解して走査ミラーの回動位置を設定することにより、主走査2088×副走査2870の約600万画素のエリアセンサを用いたのと同等の解像度を得ることができる。この解像度は、例えばB5版の原稿を読み取る際には約300dpiに相当する。
【0013】
また、走査方式として上記のような回転ミラー走査方式を採用したことにより、イメージセンサに入射する光束を常に一定の角度で結像レンズに入射させることができるため、結像レンズの径を最小限に抑えることができる。同様の走査方式でもイメージセンサを走査させる方式とすると、イメージセンサに入射する光束の結像レンズに対する入射角度が走査位置に応じて変化するため、ビネッティングの影響を抑えるために結像レンズに必要とされる径は走査ミラー方式の場合より大きくなる。
また、回転ミラー走査方式では、ラインセンサやミラーを平行移動させる走査方式と比較して、可動部分を小さくすると共に、駆動機構を単純化することができる。
【0014】
ただし、走査ミラーを回動させて被写体を走査する場合、イメージセンサ16と共役な物体面は、走査ミラー2の回転軸Rxを中心とした円筒面となるため、被写体Oが平面である場合には以下の3つの問題が生じる。
第1は、基準走査ラインに焦点を合わせると副走査方向の周辺部を読み取る際には被写体Oより手前の位置にピントが合うという焦点ズレの問題、第2は、走査ミラー2から被写体Oまでの距離が基準走査ラインから副走査方向の周辺部に向かって漸増することにより周辺部に向けて結像倍率が小さくなるという倍率変化の問題、そして、第3は、走査ミラー2から被写体Oまでの距離をLとしたときに走査ラインの副走査方向の位置が走査ミラー2の回転角度θに対してL・tanθで定まるため、走査ミラーの回動角度ピッチが等しいと走査線の密度が画面中心部と比較して周辺部で粗くなるという走査線密度の問題が発生する。
【0015】
実施形態のカメラ型スキャナでは、焦点ズレの問題に関しては、副走査方向の読み取り位置に応じて結像レンズを光軸方向に移動させることにより解消しており、倍率変化の問題に関しては取り込まれた画像の信号処理段階において倍率の小さい周辺部でデータを補完して伸張することにより解消しており、走査線密度の問題に関しては、ミラー駆動モータ側の等ピッチの回転を副走査方向の読み取り位置に応じて不等ピッチの回転に変換する機能を機械系に持たせることにより解消している。これらの解決手段の詳細については、後段の該当個所において詳述されている。
【0016】
また、実施形態のカメラ型スキャナでは、撮影光学系とファインダー光学系とが独立して設けられているため、これらの光学系の間にパララックスが生じる。一般に、例えばレンズシャッターカメラ等のカメラでは、撮影光学系を基準としてファインダー光学系にパララックス補正用の手段を設け、パララックスの影響を避けるようにしている。これに対して、実施形態のカメラ型スキャナは、ファインダー系の視野を基準として、パララックスが生じないよう撮影光学系側の走査範囲を被写体距離に応じて変化させている。これに伴い、基準走査ラインに対して撮影範囲が非対称に設定される。
【0017】
図2及び図3は、本実施の形態によるカメラ型スキャナの外形及び概略構成を示す斜視図である。図2に示すように、カメラ型スキャナ1は、略直方体形状の本体ケース10を有し、本体ケース10の正面には被写体像を取り込むための窓部12が形成されている。また、図3に示すように、本体ケース10の内部には、イメージセンサ16と、イメージセンサ16の画素配列方向に平行な軸Yの回りで回転する走査ミラー2と、走査ミラー2からの反射光をイメージセンサ16に結像させるための結像レンズ3とが備えられている。カメラ型スキャナ1は、走査ミラー2を前記の軸Yを中心として回転させることによって、被写体像を順次ライン状に読み取ってイメージセンサ16上に結像させるよう構成されている。
【0018】
イメージセンサ16は所謂モノクロセンサであり、カラー画像に対応するため、走査ミラー2とイメージセンサ16との光路中には、カラーフィルタ4が設けられている。また、窓部12に隣接して、ファインダー窓13が設けられている。
【0019】
本体1には、電源をオンオフするメインスイッチ310が設けられており、カメラ型スキャナ1の操作はリモコン5の操作ボタン350により行われる。図2に示すように、操作ボタン350には、スタートボタン51、アップ/テレボタン54、ダウン/ワイドボタン55、モードボタン53、ストップ/削除ボタン52の5つがある。また、リモコン5は、本体ケース10の上部に形成されたリモコン装着部17に着脱可能となっている。
【0020】
リモコン5は赤外LEDを用いて赤外線によってカメラ本体に対してコマンド信号を送信する送信部56を有している。本体ケース10の背面には送信部からの信号を受信するための赤外線センサである第1受信部201が設けられ、リモコン装着部17の、リモコン5の送信部56に相当する部分には、第1受信部201に比べて感度の弱い赤外線センサである第2受信部202が設けられている。つまり、リモコン5をリモコン装着部17から取り外した状態では、送信部56からの信号を第1受信部201で受信し、リモコン5をリモコン装着部17に装着した状態では、送信部56からの信号を第2受信部202で受信することができる。
【0021】
また、本体には、リモコン5の着脱を検出するための反射型フォトセンサである、リモコン着脱センサ311が設けられており、リモコン着脱センサ311はリモコン5が装着されていればオン信号を出す。本体側の制御回路はリモコンから同一の操作信号が入力された際にも、リモコン5が本体に装着された状態であるか離脱した状態であるかに応じて異なるコマンドとして実行することができる。
【0022】
図4は、カメラ型スキャナ1の内部構成を示す平面図である。
本体ケース10内には、走査ミラー2を回転可能に保持するミラーホルダ20が設けられている。ミラーホルダ20は後述のミラー駆動機構によって図中時計回り及び反時計回りに回転駆動される。また、ミラーホルダ20に隣接して、結像レンズ3及びイメージセンサ16を収容するためのハウジング120が設けられており、走査ミラー2からの反射光がハウジング120内の結像レンズ3を通ってイメージセンサ16に結像するように構成されている。
【0023】
結像レンズ3は、3枚のレンズ3a,3b,3cよりなっており、レンズ鏡筒30に保持されている。また、レンズ鏡筒30はその外周をハウジング120に設けられた円筒状の鏡筒保持部121の内周に保持されている。レンズ鏡筒30は、後述のレンズ駆動機構6によって走査ミラー3に近接する方向及び離反する方向に駆動される。
【0024】
ハウジング120の、鏡筒保持部121とイメージセンサ16との間には、赤色フィルタ4a、緑色フィルタ4b、青色フィルタ4c、及び無色フィルタ4dからなるカラーフィルタ群4が設けられている。カラーフィルタ群4は、イメージセンサ16の画素配列方向と平行な回転軸の回りに回転するフィルタホルダ40によって、90゜間隔で保持されており、フィルタホルダ40の回転によって各々フィルタが選択的に、結像レンズ3とイメージセンサ16との間の光路中に配置される。
【0025】
なお、ミラーホルダ20、ハウジング120等は、本体ケース10の下部に設けられた支持フレーム130によって支持されている。支持フレーム130上には、後述の走査用モータ70を支持するためのモータフレーム135、バッテリー210を保持するバッテリーフレーム136が形成されている。
【0026】
次に、ファインダーについて説明する。図5は、図4のカメラ型スキャナ1の線分A−Aに関する断面図である。図5に示すように、ファインダーは、ファインダー窓13から入射した光束を取り込む対物レンズ141と、この対物レンズ141を透過した光束を上側のカバーガラス15側に向けて反射させるファインダーミラー145と、ミラー145により反射された光束を透過させるフレネルレンズ143と、フレネルレンズ143とカバーガラス15との間に配置された透過型の液晶表示パネル152とから構成されている。対物レンズ141とフレネルレンズ143とは、プラスチックにより一体のユニット140として成形されている。ファインダーが設けられたスペースの後方には、図2に示されるように撮影画像のデータを記録するメモリカード220を装着するためのカードスロット230が形成されている。なお、ファインダーユニット140は、ビス止め部146によって、支持フレーム130に固定されている。
【0027】
次に、走査ミラー2を走査するためのミラー駆動機構7について説明する。
図6は、図4のカメラ型スキャナ1の線分B−Bに関する断面図である。図6に示すように、モータフレーム135には、ミラー駆動モータ70が固定され、ミラー駆動モータ70の出力軸には、駆動ギア71が固定されている。また、駆動ギア71の回転を約1/1000に減速するために、歯数の大きなギアと歯数の小さいギアとを一体として構成した5組のギア対74〜78が設けられている。ギア対74〜78のうち、ギア対74,75,76は第1の支軸72の回りに回転可能に支持されており、ギア対77,78は第2の支軸73の回りに回転可能に支持されている。
【0028】
そして、駆動ギア71は、支軸72に支持された第1のギア対の従動ギア74aに係合し、第1のギア対の減速ギア74bは、支軸73に支持された第2のギア対77の従動ギア77aに係合している。第2のギア対77の減速ギア77bは、支軸72に支持された第3のギア対75の従動ギア75aに係合し、第3のギア対75の減速ギア75bは、支軸73に支持された第4のギア対78の従動ギア78aに係合している。第4のギア対78の減速ギア78bは、支軸72に支持された第5のギア対76の従動ギア76aに係合し、第5のギア対76の減速ギア76bは、支軸73に回転可能に支持された後述の駆動部材80に係合している。
【0029】
図7は、駆動機構7を示す平面図である。図7に示すように、駆動部材80は、平板状部材に第1セクタギア82と第2セクタギア83を形成したものである。第1セクタギア82は、前述の第5のギア対76の減速ギア76bに係合しており、当該減速ギア76bの回転によって駆動部材80が回動する。第1セクタギア82は支軸73の中心(軸73aとする)に対し中心角120°を有し、第2セクタギア83は軸73aに対し中心角20°を有している。両セクタギア82,83は、軸73aに対し回転方向には隣接している。
【0030】
また、第1セクタギア82を挟んで、第2セクタギア83と反対側には、軸73aに対する中心角約60°の扇形部80aが形成されている。扇形部80aにおいて、第1セクタギア82のピッチ円の延長線上には、駆動ピン81が立設されている。
【0031】
ここで、ミラー2を保持するミラーホルダ20について説明する。図8は、ミラーホルダ20を示す斜視図である。図8に示すように、ミラーホルダ20は、ミラー面の4辺を規定する正面フレーム21と、鉛直方向の両側面を挟んで保持する側面フレーム22と、Y方向(イメージセンサ16のCCD画素配列方向)に延びるミラー支軸27とを一体として構成したものである。また、正面及び側面フレーム21,22の下部には、ミラー支軸27に直交する平板状部材である連動部材23、及び円板状部材である支持円板25が設けられている。
支持フレーム130には、ミラー支軸27を嵌挿するための孔139が形成されており、ミラー支軸27を孔139に嵌挿すると、支持円板25が支持フレーム130上で摺動することによって、ミラーホルダ20は支持フレーム130上で回転可能となる。
【0032】
図7に示すように、連動部材23には、駆動部材80に立設された駆動ピン81に係合する係合溝24が形成されている。係合溝24は、ミラー支軸27の回転中心に向けて長く形成されている。そして、駆動部材80が時計回りに回転すると、駆動ピン81が係合溝24の長手方向の一辺を付勢し、これにより連動部材23は反時計回りに回動付勢される。即ち、連動部材23と一体であるミラーホルダ20全体が反時計回りに回転する。
かくして、ミラーホルダ20に保持された走査ミラー2は、駆動部材80の回動に伴い、駆動ピン81と係合溝24の係合によって回転する。
【0033】
なお、駆動ピン81と係合溝24との間には僅かなクリアランスがある。このクリアランスに起因する駆動ピン81と係合溝24及びギア対74〜78のがたつきを押さえるため、図8に示すように、ミラー支軸27には、ミラーホルダ20を一方向に付勢するためのコイルバネ28が巻き付けられている。コイルバネ28の一端は、支持円板25に形成された切り欠き部25aを介して、支持フレーム130に突設された凸部29に当接しており、他端は切り欠き部25aの側面に当接している。このように、コイルバネ28は支持円板25を常時一定の方向に回動付勢している。
【0034】
図9に、駆動部材80が図7の状態から反時計回りに回転した状態を示す。また、図10に駆動部材80が図7の状態から時計回りに回転し伝達ギア91(後述)と係合した状態を示す。走査のための走査ミラー2の回転範囲は、図9に示す状態から図10に示す状態までの範囲内で設定される。
【0035】
ここで、図7に示すように、駆動部材80及びミラーホルダ20は、駆動部材80の回転中心と駆動ピン81とミラーホルダ20の回転中心とが略一直線上に並んだ状態で、走査ミラー2の表面と、X軸(走査ミラー2の中心とイメージセンサ160とを結んだ直線)とのなす角度が45°になるように構成されている。
【0036】
つまり、駆動部材80の回転中心と駆動ピン81と走査ミラー2の回転中心とが一直線上に並んだ状態(図7)から、時計回りあるいは反時計回りに駆動部材80が回転するにつれ、駆動ピン81とミラーホルダ20との回転中心との距離が長くなる。従って、駆動部材80の角度ピッチを一定とすると、走査ミラー2は、角度のピッチを減少させながら回転する。
【0037】
このように、被写体の周辺部を走査している時の走査ミラー2の回転角度ピッチを、中心部を走査している時よりも小さくすることによって、周辺部と中心部での走査線の密度が実質的に同じになる。
【0038】
以下、駆動部材80と走査ミラー2の角度ピッチの関係について詳説する。
図11は、駆動部材80と走査ミラー2の回転位置関係を示す概略図である。走査ミラー2の表面がX軸に対して45°傾斜した状態(図11(A))での、被写体上の走査線の位置を基準走査ラインRとし、この時の走査ミラー2及び駆動部材80の回転位置を各々のホーム位置とする。また、この時、結像レンズ3の光軸と、走査ミラー2によって偏向された当該光軸とは直角になっている。なお、回転角度の符号は、走査ミラー2の時計回りに対応する方向を正とし、反時計回りに対応する方向を負とする。
【0039】
図11(B)は、基準走査ラインRからファインダー側(図中左側)の周辺部を走査している状態を示し、図11(C)は、基準走査ラインRからファインダーと反対側(図中右側)の周辺部を走査している状態を示す。
【0040】
駆動部材80の回転中心と走査ミラー2の回転中心との距離をdとし、駆動部材80の回転中心から駆動ピン81までの距離をrとすると、駆動部材80のホーム位置からの回転角度θと、走査ミラー2のホーム位置からの回転角度ωとの間には幾何的に以下の(1)式の関係が成り立つ。また、走査ミラー2のホーム位置からの回転角度ωと、走査線の基準走査ラインRからの振れ角ω’との間には以下の(2)式の関係が成り立つ。
【0041】
【数1】
Figure 0003619326
【0042】
走査基準ラインRから走査線までの距離Yは、Y=L・tanωで表されるので、駆動部材80の単位角度Δθの回転に対する、基準走査ラインR近傍における走査線の振れ角の変化量をω’1とし、周辺部(基準走査ラインRからの走査線の振れ角ω’a)における走査線の振れ角の変化量をω’2とすると、基準走査ラインR近傍及び周辺部での走査線間隔ΔY1、ΔY2は、夫々以下の(3)式、(4)式で表される。
【0043】
【数2】
Figure 0003619326
【0044】
そのため、基準走査ライン近傍と周辺部とで走査線間隔を同じとする(即ち、ΔY1=ΔY2)と、以下の(5)式の関係が得られる。
【0045】
【数3】
Figure 0003619326
【0046】
また、ω’1は、走査ミラー2がホーム位置からΔθだけ回転した時の、基準走査ラインRからの走査線の振れ角と等しいため、(1)式と(2)式から、以下の(6)式の関係が成り立つ。
【0047】
【数4】
Figure 0003619326
【0048】
ここで、ω’aを27.2°(後述)とし、ω’2を0.6°と設定すると、(5)式からω’1=0.82°が得られ、さらに、駆動部材80の単位角度Δθを1°とすると、(6)式からd/r=2.2が得られる。即ち、d/r=2.2を満足するように、駆動部材80及びミラーホルダ20の各寸法を設定することにより、中心部と周辺部とで、走査線間隔を同じにすることができる。
【0049】
走査基準ラインRからの走査線の距離はY=L・tanωで表されるので、(1)式を用いると、駆動部材80を1°ずつ回転させた場合の、走査線間隔の変化を計算することができる。図12に計算結果を示す。なお、駆動部材80の回転角度は+21.5°から−14.5°までとしたが、これについては後述する。また、比較のため、走査ミラー2を一定の角度ピッチで回転させた場合として、駆動部材80に操作ミラーを固定して一定角度ピッチで回転させた場合の走査線位置(L・tan2θ)の変化も示す。
図12に示すように、走査ミラー2を一定の角度ピッチで回転させた場合には、走査線間隔は14.68mmから8.13mmまで大きく変動するのに対し、本実施形態では最大6.86mm、最小6.78mmと、実質的に同じ走査線間隔となる。即ち、中心部と周辺部とで、実質的に同じ走査線間隔となる。
【0050】
このように、本実施の形態では、駆動ピンと係合溝の係合を利用して、走査ミラー2の回転角度ピッチが被写体周辺部ほど小さくなるよう構成しているため、中心部と周辺部とで、実質的に同じ走査線間隔が得られるという効果が達成される。
【0051】
ここで、駆動部材80及び走査ミラー2の回転角度の設定について説明する。図13に、走査ミラー2のホーム位置からの回転角度と、走査線の基準走査ラインRからの振れ角との関係を示す。カメラ型スキャナ1は、結像レンズ3がX軸方向に移動可能となっており、距離Lが23cm〜無限大の距離範囲にある被写体に対してピントを合わせることができる。走査ミラー2による基準走査ラインRからの走査線の振れ角ω’aは、被写体までの距離L、及び基準走査ラインRからの像高Yaから、以下の(7)式で求められる。
【0052】
【数5】
Figure 0003619326
【0053】
ここで、カメラ型スキャナ1は、距離L=23cmにおける(基準走査ラインRからの)像高Ya=120mmの像に対応するように設定されている。従って(5)式から、基準走査ラインRからの走査線の振れ角ω’aは27.2°となる。走査は、基準走査ラインRから、ファインダー側及びその反対側の両方に行われるため、走査線の総振れ角は27.2°×2=54.4°となる。
【0054】
また、走査ミラー2のホーム位置からの回転角度ωaは(2)式から13.6°となる。さらに(1)式を変形し、θをωで表すと、以下の(8)式のように表すことができる。(8)式のωにωaを代入することにより、駆動部材80のホーム位置からの回転角度θa=17.5°が得られる。
【0055】
【数6】
Figure 0003619326
【0056】
カメラ型スキャナ1は、パララックスが生じないように、ファインダーの視野を基準とし、基準走査ラインRに対する走査線の振れ角を被写体距離に応じて変化させるよう構成されている。即ち、走査線の総振れ角(55.4°)を一定とし、基準走査ラインRに対してファインダー側(図中左側)の走査線の振れ角が大きくなるように設定する。本実施形態では、被写体距離が最小(即ち、L=23cm)の場合に、基準走査ラインRからファインダー側の像高Yh=147mmに対応できるよう走査線の振れ角を設定する。基準走査ラインRからファインダー側への走査線の振れ角ω’hは、(7)式と同様に、以下の(9)式により求められ、ω’h=32.3°となる。
【0057】
【数7】
Figure 0003619326
【0058】
一方、走査線の総振れ角は54.4°と一定であるため、基準走査ラインRからファインダーと反対側の走査線の振れ角ω’kは−22.1°となる。即ち、基準走査ラインRからの走査線の振れ角は、ファインダー側が32.3°、ファインダーと反対側がー22.1°と非対称になる。なお、基準走査ラインRからの走査線の振れ角ω’h=32.3°及びω’k=−22.1°に対応する、走査ミラー2のホーム位置からの時計回りの回転角度ωh(=ω’h/2)は16.2°となり、反時計回りの回転角度ωk(=ω’k/2)は−11.2°となる。ωhとωkを上記(2)式のωに代入すると、駆動部材80のホーム位置からの反時計回りの回転角度θhは21.5°、時計回りの回転角度θkは−14.5°となる。即ち、駆動部材80は21.5°から−14.5°まで回転する。
【0059】
このように、本実施形態のカメラ型スキャナ1は、被写体距離に応じて、基準走査ラインRに対して非対称に振れ角を変化させることにより、パララックスを補正するよう構成されている。なお、被写体距離は直接計測するのでは無く、後述するように、結像レンズ3の位置から求めるものである。
【0060】
次に、走査ミラー2のホーム位置について説明する。
駆動部材80の回動は、パルスモータであるミラー駆動モータ70によってオープンループ制御される。図7に示すように、支持フレーム130には、オープンループ制御ための走査ミラー2のホーム位置を与えるための走査基準位置センサ204が設けられている。走査基準位置センサ204は、発光部と受光部を持つ透過型フォトセンサであり、駆動部材80に設けられたシャッタープレート85が発光部と受光部の間に介在することによってオフとなるものである。
【0061】
シャッタープレート85は、走査ミラー2とX軸とのなす角度が45°より小さい時(図9)、即ち、走査線が基準走査ラインRよりもファインダー側(図11(B))に位置する時には、走査基準位置センサ204の発光部と受光部の間に介在しこれを遮っており、走査基準位置センサ204はオフしている。そして、当該角度がほぼ45°になった時に、シャッタープレート85が走査基準位置センサ204の発光部と受光部の間から抜け出て、走査基準位置センサ204がオンとなる。そして、当該角度が45°より大きい時(図10)、即ち、走査線が基準走査ラインRよりもファインダーと反対側(図11(C))に位置する時には、走査基準位置センサ204はオンしている。
【0062】
ミラー駆動モータ70の駆動制御は、走査基準位置センサ204がオフからオンに変わった時点から、数パルス(Xc)をカウントしたところをホーム位置として、ミラー駆動モータ70の駆動制御を行う。このパルス数Xcは、走査ミラー2とX軸とのなす角度が丁度45°となるように、即ち、走査線が基準走査ラインR(図11)と一致するように設定される。
【0063】
このように、走査ミラー2をホーム位置に位置させた状態で、結像レンズ3の合焦位置を検出する合焦処理、及び被写体の輝度を検出してイメージセンサ16の蓄積時間を決定する測光処理が行われる。合焦処理及び測光処理については、後述する。
【0064】
次に、カラーフィルタ群4の切換について説明する。
図10に示すように、駆動部材80が時計回りに走査範囲の限界まで回動すると、駆動部材80の第2セクタギア83が、カラーフィルタ群4の切換のための伝達ギア91に係合する。カラーフィルター4の切換のための構成について以下に説明する。
【0065】
図14は、図4のカメラ型スキャナ1の線分C−Cに関する断面図である。図14に示すように、支持フレーム130には、駆動部材80に係合する伝達ギア91と、伝達ギア91により回転駆動されるフィルタ駆動ギア93とが、共通の軸92の回りに各々回転可能に支持されている。また、フィルタ駆動ギア93は、カラーフィルタ群4を回転駆動するためのフィルタギア95に係合している。
【0066】
図15に、カラーフィルタ群4とこれを保持するフィルタホルダ40を示す。フィルタホルダ40は、カメラ型スキャナ1の前述のハウジング12内部において、カラーフィルタ群4(4a、4b、4c、4d)を保持すると共に、カラーフィルタ群4をY軸に平行な軸の回りに回転させるものである。
【0067】
フィルタホルダ40には、回転のための支軸であるフィルタ支軸45と、各カラーフィルタ群4の側端部を把持するための、フィルタ支軸45に沿って延びる4つの把持部46が設けられている。各々のカラーフィルタ群4は、把持部46に一側端部を把持された状態で、フィルタ支軸45に対し90°間隔で放射状に保持される。
【0068】
フィルタ支軸45には、フィルタホルダ40を回転させるためのフィルタギア95が取り付けられる。ここで、フィルタ支軸45の下端部には、外周が平らに削られた切欠部45aが形成されており、フィルタギア95にはフィルタ支軸45の下端部に下方から係合する孔95aが形成されている。そして、フィルタ支軸45の下端部にフィルタギア95の孔95aが下方から係合すると、フィルタギア95の上面が切欠部45aの端面45bに当接する。そのため、フィルタギア95はフィルタ支軸45に回転方向の駆動力を伝達するだけでなく、下方から上方(鉛直方向)への駆動力も伝達することが可能になる。
【0069】
また、フィルタ支軸45には、フィルタ支軸45と直交する円板48が固定されている。円板48の下面の外周近傍には、下方に向けて突出した4つの突起49が周方向に等間隔で形成されており、各突起49は各フィルタ4の下側に位置している。また、ハウジング12(図14)の底板125には、各突起49が各々係合する係合穴127が形成されている。即ち、図14に示すように、突起49が係合穴127に係合することによって、フィルタホルダ40を回転させないためのストッパーとなる。なお、支軸45の上端部には、コイルバネ43が巻き付けられており、このコイルバネ43の上端はハウジング120の天面128に当接している。即ち、フィルタホルダ40はコイルバネ43によって下方に付勢されている。
【0070】
ここで、フィルタギア95と、これに係合しているフィルタ駆動ギア93は、はすば歯車である。そのため、フィルタ駆動ギア93が反時計回り(図15中矢印方向)に回転すると、フィルタギア95は圧力角の方向に力を受ける。即ち、フィルタギア95は、上向きに付勢される。前述の通り、フィルタ支軸45はフィルタギア95に対し、下方から上方に向けての駆動力を伝達するため、コイルバネ43の付勢力に抗してフィルタホルダ40が上昇する。
【0071】
即ち、フィルタ駆動ギア93が反時計回りの回転に伴い、フィルタホルダ40が上昇し、円板48に形成された突起49が係合穴127から抜ける。かくして、フィルタホルダ40は、時計回り方向に回転可能となる。
【0072】
フィルタ駆動ギア93が停止し駆動力が無くなると、フィルタギア95を上向きに付勢する力が消滅する。これに伴い、フィルタホルダ40はコイルバネ43によって下方に付勢されているため、フィルタホルダ40は降下する。フィルタギア95の回転角度が90°であれば、各突起48がそれまで係合していた係合穴127に隣接する係合穴127に係合する。これにより、フィルタホルダ40は回転しないように再び保持される。
【0073】
なお、図14に示すように、伝達ギア91とフィルタ駆動ギア93との間には、ワンウェイクラッチ94が設けられており、フィルタ駆動ギア93が反時計回り以外に回転しないようになっている。
【0074】
図16に、駆動部材80の回動によって、カラーフィルタ群4が切り換えられた状態を示す。走査ミラー2の回転による被写体の走査を完了した状態(図10)で駆動部材80の第2セクタギア85が伝達ギア91に係合する。そして、駆動部材80がさらに時計回りに回動することによって、第2セクタギア85と伝達ギア91の係合によって、伝達ギア91が反時計回りに回転する。伝達ギア91の反時計回りの回転は、ワンウェイクラッチ94(図14)を介してフィルタ駆動ギア93に伝達される。そして、フィルタ駆動ギア93が反時計回りに回転すると、フィルタ駆動ギア93に係合するフィルタギア95を時計回りに回転させると共に、上方に向けて付勢する。
【0075】
そして、図16に示す状態まで、駆動部材80が回動することによって、伝達ギア91は反時計回りに数度回転する。伝達ギア91が数度回転すると、フィルタギア95は時計回りに90°回転する。これにより、フィルタホルダ40は、90°回転して停止する。例えば、イメージセンサ16への光路中に無色フィルタ4aが位置していた場合には、赤色フィルタ4bに切り替わる。
【0076】
カラーフィルタ群4が切り換わった後、駆動部材80は、図16に示す状態から図9に示す状態まで反時計回りに回動するが、この際、伝達ギア91とフィルタ駆動ギア93との間に設けられたワンウェイクラッチ94(図14)の作用により、フィルタ駆動ギア93やフィルタギア95が回転することは無い。また、フィルタギア93が時計回りに回転している時以外は、フィルタホルダ40の突起49がハウジング底板125の係合穴127に係合しているため、フィルタホルダ40が不必要に回転してしまうことも無い。
【0077】
このように、駆動部材80が、走査ミラー2の回転による走査終了後、さらに回転することによって、カラーフィルタ群4の切換が行われる。つまり、一つの駆動源(ミラー駆動モータ70)によって、走査ミラー2の回転とカラーフィルタ群4の切換が行われる。
【0078】
また、フィルタホルダ40の突起49がハウジング底板125の係合穴127に係合するよう構成されていると共に、フィルタホルダ40を回転させるためのフィルタ駆動ギア93が、ワンウェイクラッチ94により切換方向にのみ回転可能になっており、さらにはすば歯車であるフィルタ駆動ギア93及びフィルタギア95の回転によってフィルタホルダ40が上昇して、突起49が係合穴127から抜けて回転するよう構成されているため、伝達ギア91等の回転方向により駆動系の切り換えを行う必要が無い。即ち、簡単な構成でカラーフィルタ群4の切換を行うことができる。
【0079】
なお、図15に示すように、フィルタギア95の、無色フィルタ4aの下部に相当する部分には、開口96が設けられている。また、図14に示すように、支持フレーム130には、無色フィルタ4aが光路中に位置する時に開口96に面する、反射型フォトセンサであるフィルタセンサ205が設けられている。従って、無色フィルタ4aが光路中に位置する時には、フィルタセンサ205はオフとなり、それ以外はオンとなっている。つまり、光路中に位置しているフィルタが無色フィルタであるか否かが、フィルタセンサ205のオンオフによって判別される。
【0080】
次に、結像レンズ3を移動するためのレンズ駆動機構6について説明する。
図6に示すように、ハウジング120の鏡筒保持部121には、X軸方向に延びる溝121aが形成され、レンズ鏡筒30には溝121aを貫通してハウジング120外部に向けて延びる鏡筒アーム32が形成されている。また、図4に示すように、レンズ鏡筒30のイメージセンサ16側の端部からは、溝121aを貫通して、鏡筒アーム32と平行で且つ鏡筒アーム32よりも短い第2アーム33が形成されている。
【0081】
また、図4に示すように、鏡筒アーム32と第2アーム33には、X軸方向に延びる挿通孔32a,33aが夫々形成されている。挿通孔32a,33aには、モータフレーム135上に突設された一対の支柱133、134により支持されてX軸方向に延びるガイドバー35が挿通されている。つまり、レンズ鏡筒30は、挿通孔32a,33aとガイドバー35との摺動により、X軸方向に案内される。
【0082】
図17は、図4のカメラ型スキャナ1の線分DーDに関する断面図である。図17に示すように、モータフレーム135には鉛直フレーム132が立設されており、鉛直フレーム132には、パルスモータであるレンズ駆動モータ60が固定されている。レンズ駆動モータ60の出力軸61には、X軸方向に延びるネジ部63が固定されている。そして、レンズ鏡筒30の鏡筒アーム32には、ネジ部63と螺合する雌ネジ部31が設けられている。
【0083】
このように構成されているため、レンズ駆動モータ60が回転すると、レンズ鏡筒30がX軸に沿って、走査ミラー2に近接する方向あるいは離反する方向に移動する。本実施の形態では、レンズ鏡筒30の移動ストロークは約6mmに設定されている。
【0084】
図18にレンズ鏡筒30と鏡筒保持部121及びレンズ駆動機構6を示す。レンズ鏡筒30の移動による摺動抵抗を少なくするため、ガイドバー35と挿通孔32a,33aとの間、及びレンズ鏡筒30と鏡筒保持部121との間には、レンズ鏡筒の移動方向に直交する面(即ち鉛直面)内における僅かなクリアランスがある。即ち、レンズ鏡筒30は、当該鉛直面内のいずれかの方向に僅かに傾斜する可能性がある。
【0085】
そこで、本実施形態のカメラ型スキャナ1では、鉛直フレーム132と鏡筒アーム32との間に、ネジ部63を周回するように巻きバネ64を設けている。レンズ鏡筒30、鏡筒アーム32、及びネジ部63はほぼ同一の水平面内にある。そのため、鏡筒アーム32は、当該水平面内において、挿通孔32aを支点として図18中反時計回りの付勢力を受ける。
鏡筒アーム32が挿通孔32aを支点として付勢されるため、レンズ鏡筒30は鏡筒保持部121に対し水平面内において反時計回りに傾斜する。即ち、レンズ鏡筒30の鏡筒保持部121に対する傾斜の方向が常に一定となる。さらに、この傾斜の方向は、水平方向、即ち副走査方向である。
【0086】
このように、本実施形態では、レンズ鏡筒30の移動方向に直交する面内でのクリアランスに対して、レンズ鏡筒30が常に副走査方向に傾斜した状態で保持されているため、レンズ鏡筒30が当該クリアランス内で主走査方向に傾斜するのが防止される。さらに、巻きバネ64が、ネジ部63を周回しているため、モータ60に対するネジ部63のがたつきも防止することができる。
一般に、レンズ鏡筒30が副走査方向に傾斜すると、副走査方向に対する像面の倒れが生ずるが、イメージセンサ16によって読み取られるのは副走査方向の中心部分のみなので影響は少ない。
【0087】
なお、図17に示すように、レンズ鏡筒30のホーム位置を検出するため、鏡筒アーム32の下部には、シャッタープレート36が固定されている。また、支持フレーム130には支柱138が立設され、支柱138には透過型フォトセンサであるレンズ基準位置センサ203が設けられている。そして、レンズ鏡筒30が走査ミラー2側に最も近接した状態で、シャッタープレート36がレンズ基準位置センサ203を遮断するよう構成されている。
【0088】
なお、図3及び図6に示すように、ハウジング120には、被写体にコントラスト付加用のパターンを投影するための補助光ユニット11が設けられている。補助光ユニット11は結像レンズ3に隣接して配置され、補助光ユニット11からの射出光が走査ミラー2を介して窓部12から射出されるよう構成されている。
【0089】
補助光ユニット11は、コントラストが低い被写体にイメージセンサ16の画素配列方向に相当する方向に直交する縞状のパターンを投影する。このような縞状のパターンは、発光ダイオードと透過パターン、あるいは電極を櫛型にすることにより発光パターン自体が縞状になる発光ダイオードを用いることにより形成される。パターンを含む光は、投影レンズを介して走査ミラーに入射し、走査ミラーで反射されて被写体側に投影される。
【0090】
図19は、実施形態のカメラ型スキャナの制御系の全体構成を概略的に示すブロック図である。制御系は、スキャナ本体100に設けられた各回路と、リモコン5に設けられた回路とから構成される。まず、スキャナ本体100側から説明する。
【0091】
本体100側の制御系は、スキャナコントロール回路300を中心に、全体の電源のON/OFFを切り換える電源スイッチ310を備えると共に、情報入力手段として、画像入力用のCCDイメージセンサ16、レンズ基準位置センサ203、走査基準位置センサ204、フィルタセンサ205、リモコン5からの赤外線信号を受信する第1、第2受信部201,202、リモコン5が本体100に装着された際にオンするリモコン着脱検出センサ311を有する。
【0092】
本体側には情報出力手段として、撮影に関する設定情報を表示するファインダー系のLCDパネル152が設けられており、制御対象となる駆動手段としてミラーを走査させると共にフィルターを切り換えるミラー駆動モータ70、結像レンズを光軸方向に駆動するレンズ駆動モータ60、被写体にコントラスト付加用のパターンを投影するための補助投光ユニット11が接続されている。
【0093】
スキャナコントロール回路300には、全体の制御を司るCPU301が設けられている。CPU301は、図中太線で示したアドレス/データバスを介してプログラムメモリ341に接続されており、このプログラムメモリ341に格納されたプログラムに基づいて各制御対象を制御する。CPU301には、各情報入力手段からの信号が入力されると共に、CCDイメージセンサ16を駆動するCCDドライバ331、ミラー駆動モータ70を駆動する第1モータドライバ332、レンズ駆動モータを駆動する第2モータドライバ333が接続されている。
【0094】
CCDイメージセンサ16から入力された信号は、CCD信号処理回路320により画像信号として処理され、CPU301に連なるアドレス/データバスにより接続された内部メモリ340に格納される。このアドレス/データバスには、LCDパネル152を駆動するLCDドライバ334が接続されると共に、画像信号をメモリカードに記録する際に利用されるメモリスロット230と外部のパーソナルコンピュータ等の機器に出力する際に利用される外部出力端子231とが接続されている。
【0095】
一方、リモコン5には、スイッチ群350と、このスイッチ群350の各スイッチの操作に応じて送信部56(図1参照)に設けられた送信用赤外LED351を駆動する送信LED駆動回路352とが設けられている。
【0096】
図20は、イメージセンサからの信号を処理するCCD信号処理回路320の詳細を示すブロック図である。CCDイメージセンサ16から出力される画像信号は、CCDドライバ331から出力されるクランプパルスにより電圧の基準レベルが固定され、バッファアンプ322で増幅される。バッファアンプ322の出力は、シリアルに読み出される各画素の読み取りタイミング(蓄積電圧の転送タイミング)に基づいてCCDドライバ331から出力されるサンプルホールドパルスに基づいてキャパシタンスCに順次アナログ的に保持され、乗算器324に入力される。
【0097】
乗算器324は、各画素の画像データに像高により異なる係数を乗じてシェーディングによる信号強度の変化をアナログ的に補正する機能を要しており、CCDドライバ331から蓄積電圧の転送タイミングに応じて出力されるパルスをカウンタ327でカウントすることにより1ライン中の何れの位置の画素のデータを読み出しているかを計数し、これをアドレスにしてシェーディングRAM326から補正係数を読み出す。シェーディングRAM326には、補正係数がデジタルデータとして保存されており、これをD/A変換器328でアナログデータに変換して乗算器324に入力させる。乗算器324から画像データと補正係数との積として出力される補正された画像データは、A/D変換器325でデジタルデータに変換されてデータバスを介してCPU301に入力される。
【0098】
LCDパネル152には、図21に示すような第1〜第7の表示セグメント群152a〜152gが被写体に重ねて表示されるように形成されている。第1のセグメント群152aは、電源関係の情報を表示する領域であり、設定されるモードの変更とは関係なく表示され、電源スイッチがオンされると「pow」が点灯し、バッテリーの電圧が所定レベルより低くなると「batt」が点灯して警告する。一方、第2〜第7のセグメント群はリモコン5による操作に応じて設定されるモードに対応して表示される。これらのセグメントについては、フローチャートの説明と共に説明する。
【0099】
なお、図21は説明のため全セグメントが点灯した状態を示しているが、実際の使用時には、いくつかのセグメントは同時に点灯することはなく、択一的に点灯する。
【0100】
イメージセンサから出力される撮影データは、スキャナが単独で用いられる場合には内部メモリ、またはメモリスロットに挿入されたメモリカードに記録され、パーソナルコンピュータに接続される場合には撮影と同時に順次コンピュータ側に出力される。さらに、スキャナ内にプリンタドライバを組み込んだ場合には、撮影画像をそのままプリンタに出力することも可能である。
【0101】
次に、上述したブロック図に示される実施形態にかかるカメラ型スキャナの作用を説明する。まず、作用説明の前提となる用語を以下のように定義する。
結像レンズ3の光軸と走査ミラー2で偏向された光軸とが直角になる状態での走査ミラー2の回動位置を走査ミラーの「ホーム位置」と定義する。また、ミラー駆動モータの回転は、走査開始位置から終了方向に回動させる際の回転を「正転」、反対に走査終了位置から開始位置側へ回動させる際の回転を「逆転」と定義する。
【0102】
図22は、走査ミラー2の回動位置とステッピングモータであるミラー駆動モータ70の回転パルス数との関係を示す。走査ミラーの回動位置は、ホーム位置を基準にしたミラー駆動モータ70の回転パルス数で規定される。
【0103】
走査ミラー2は、開始側、終了側のメカ端点の間の回動範囲で回動可能であり、実際にはこのメカ端点により規定される回動範囲より狭い範囲内で回動制御される。前述のようにミラー駆動モータ70は走査ミラー2の回動とフィルター4の切換とに兼用されているため、走査ミラーの回動範囲には走査開始位置から撮影終了位置までの撮影用走査領域と、撮影終了位置からフィルタ切換完了位置までのフィルタ切換領域とが含まれる。フィルタ切換完了位置までミラー駆動モータが回転すると、フィルタ支持体が90度回転し、光路中に配置されるフィルタが次のフィルタに切り換えられる。
【0104】
走査基準位置センサ204は、撮影用走査領域のほぼ中心に位置する走査基準位置センサ切り替わり位置より走査開始位置側では駆動部材80のシャッタープレート85に遮られてオフ、切換位置より撮影終了位置側ではオンとなる。走査ミラーのホーム位置は、走査基準位置センサがオフからオンに切り替わる切換位置から中心位置補正パルスXcだけ撮影終了位置側に移動した位置として定義される。この中心位置補正パルスXcは、個々のカメラ型スキャナの走査基準位置センサの取付誤差等の個体差に応じて設定される値であり、例えば「15」程度の数値となる。走査基準位置センサは、中心位置補正パルスXcが必ず正の値となるように、すなわち走査ミラーのホーム位置が必ず走査基準位置センサ切り替わり位置より撮影終了位置側になるように取付位置が定められている。走査ミラーの回動は、このホーム位置を基準に定められるため、センサ取付位置に個体差による誤差がある場合にも個体差による撮影範囲等のバラツキを抑えることができる。
【0105】
走査開始位置は、走査ミラー2のホーム位置から開始位置パルスXsだけミラー駆動モータ70を逆転させた際に設定される位置である。開始位置パルスXsは、ファインダー系とのパララックスを補正するために被写体距離に応じてこの例では5740〜6942パルスの間で変化する。この開始位置パルスXsの設定については、後述のフローチャートの説明において詳述する。
【0106】
撮影終了位置は、この走査開始位置から撮影用走査パルスXt離れた位置として定義される。撮影用走査パルスXtは、走査ミラーの撮影用走査領域での回動幅を規定するパルス数であり、個体差やパララックス量などの値によって変化しない固定値である。撮影用走査パルスXtの値は、この例では11480パルスとなる。したがって、開始位置パルスXsが5740パルスである場合には、撮影用走査領域は基準走査ラインを境に対称となるが、それ以外の場合には基準走査ラインより開始側の領域が終了側の領域より大きくなって基準走査ラインを境に非対称となる。撮影用走査領域内では、4パルスに1ラインの割合で画像が取り込まれ、副走査方向には2870ライン分の画像が入力される。
【0107】
走査ミラー2のホーム位置からフィルタ切換完了位置までを規定する第1フィルタ切換パルスXf1は固定値(この例では8000パルス)であり、撮影終了位置からフィルタ切換完了位置までを規定する第2フィルタ切換パルスXf2は走査開始位置パルスXsの値によりXs−3480で求められ、この例では3500〜4702パルスの間で変化する。
【0108】
上記の各パルス数は、走査パルスカウンタXにより管理される。例えば、開始位置パルスXsが6942の場合(これは後述のレンズ位置が最も走査ミラー側に位置する場合(Paf=460)に相当する)、走査開始位置ではX=6942、撮影終了位置ではX=−4538となる。また、フィルタ切換完了位置ではX=−8000となる。
【0109】
図23は、結像レンズ3の移動位置とステッピングモータであるレンズ駆動モータ60の回転パルス数との関係を示す。結像レンズは、走査ミラー側となる近接側、イメージセンサ側となる遠方側のメカ端点の間の領域で移動可能であり、移動ストロークは6mm、この移動範囲に相当するレンズ駆動モータのステップ数は480である。したがって、1ステップ当たりの移動量は12.5μmとなる。レンズ駆動モータの回転方向は、結像レンズを近接側に移動させる際の回転を「正転」、遠方側に移動させる際の回転を「逆転」と定義される。
【0110】
図中のレンズホーム位置は、「カメラから23cm離れた位置に配置された被写体をイメージセンサ上に合焦状態で結像させることができる結像レンズの位置」として定義される結像レンズの基準位置である。結像レンズ3の移動位置を示すレンズ位置カウンタPafは、このホーム位置で「460」にセットされ、遠方側に移動するにしたがって1ステップづつデクリメントされ、最も遠方側のソフト端点で「0」となる。
【0111】
ただし、レンズホーム位置をレンズセンサの出力の切り替わり点として固定すると、ホーム位置を正確に出すために各部材の許容取付誤差範囲が狭くなり、組付けが困難になる。このため、実施形態では、基準となるホーム位置をレンズセンサの出力の切り替わり点より遠方側に設定し、切り替わり位置からホーム位置までのパルスをホーム位置補正パルスPhcとして個々のスキャナ毎に設定している。これにより、撮影用のイメージセンサ、レンズセンサの取付位置が誤差を含む場合にも、ホーム位置を前記の定義通りに正確に位置決めすることができる。
【0112】
次に、前述したブロック図に示される実施形態にかかるカメラ型スキャナのCPU300の作用を図24〜図32に示すフローチャートにしたがって説明する。スキャナ本体1に設けられた電源スイッチがオンされると、スキャナは図24に示すメインフローチャートにしたがって制御される。メインフローチャートのステップ(以下、Sと略称する)001において初期化処理(図25,26)を呼び出して実行する。初期化処理は、走査ミラーをホーム位置に配置すると共に、モノクロ用の無色フィルタ4bが光路中に配置されるよう設定し、結像レンズ3をホーム位置にセットする処理である。
【0113】
初期化処理が終了すると、S003でリモコンのモードスイッチがオンされたか否かを判断し、オフからオンへの変化が検出された場合にS005でモード変更処理(図27)を呼び出して実行する。
S007〜S013では、リモコンのアップ/テレスイッチ54、ダウン/ワイドスイッチ55が操作されたか否かを判断し、アップ/テレスイッチ54がオフからオンに変化した場合には撮影範囲を縮小し、ダウン/ワイドスイッチ55がオフからオンに変化した場合には撮影範囲を拡大する。
【0114】
実施形態のカメラ型スキャナは、イメージセンサ上の主走査方向の使用画素数と副走査方向の走査範囲とを変更することにより、3種類の撮影範囲を選択できるよう構成されている。主走査方向の画素数と走査範囲との積で表される撮影画面の画素数は、最も大きい撮影範囲が選択されている場合には600万画素、中間の撮影範囲が選択されている場合には200万画素、そして、最小の撮影範囲が選択されている場合には50万画素となる。なお、撮影範囲の切換は以下のフローチャートの説明では触れられていない。
【0115】
これらの撮影範囲は、LCDパネル152上の第2のセグメント群152bにより表示される。第2のセグメント群152bは、それぞれ大きさが異なる相似形の3つの長方形の4角に配置された合計12のカギ状の領域から構成され、4つが一組となってファインダー視野内での長方形の撮影範囲を表示する。これらは上記のスイッチ54,55の操作に応じて選択される撮影範囲の設定に応じて3組中の1組が選択的に表示される。
【0116】
S015では、リモコンのスタートスイッチ51がオフからオンに変化したか否かが判断される。このスイッチが操作されずにオフのままであるときには、S003〜S013の処理が繰り返し実行される。スタートスイッチ51がオンすると、S017でリモコン着脱検出センサ311の出力をチェックし、これがオンである場合、すなわちリモコンが本体に装着されている場合には、S019でメモリスロット230に装填されたメモリカードや内部メモリ340から、画像データを外部出力端子231に接続されたコンピュータ等の外部機器に出力する。なお、リモコン5が本体100に装着された状態で、かつ、後述のモード変更処理で「画像データの削除」、あるいは「内部メモリから外部記憶手段への転送」が設定されている場合には、スタートスイッチをオンにすることにより画像データが削除され、あるいは転送される。
【0117】
スタートスイッチ51がオンしたときにリモコン着脱検出センサ311の出力がオフである場合、すなわちリモコンが本体から外されている場合には、S021において合焦処理(図28,29)、S023において測光処理(図30)が実行され、結像レンズが合焦位置に移動されると共に、被写体の明るさ、白地、黒地のパターンの別等が判断され、S025で撮影処理(図31,32)が実行される。撮影処理は、設定された条件にしたがって被写体を走査することにより画像を取り込む処理であり、この処理が正常に終了するとS001の初期化処理からの制御が繰り返される。
【0118】
次に、メインフローチャートのS001,S005,S021,S023,S025に示される各処理の詳細について順に説明する。図25および図26は、メインフローチャートのS001で実行される初期化処理の詳細を示す。
初期化処理に入ると、S101でフィルタカウンタFC、モードカウンタMC、レンズパルスカウンタPafの3つのカウンタが「0」にリセットされる。S103〜S127では、走査ミラー2がホーム位置に設定され、かつ、モノクロ用の無色フィルタ4aが光路中に配置されるようミラー駆動モータ70が制御される。図26のS129〜S149では、結像レンズ3がホーム位置に設定される。
【0119】
まず、S103〜S109では、走査ミラーが当初から走査基準位置センサ204がオフする領域にある場合にはミラー駆動モータ70を正転させ、走査基準位置センサ204がオンする領域にある場合にはミラー駆動モータ70を一旦逆転させて走査基準位置センサがオフする領域まで走査ミラー2を回動させてからミラー駆動モータ70を正転させる。これは、走査ミラー2のホーム位置が走査基準位置センサ204の出力がオフからオンに変化してから中心位置補正パルスXc分正転させた位置として定義されることから、オフからオンへの変化を検出するための処理である。
【0120】
正転中に走査基準位置センサがオンすると、その時点からミラー駆動モータの駆動パルスに同期して走査パルスカウンタXのインクリメントを開始し、フィルタセンサがオンしている場合には、カウンタXが中心位置補正パルスXcに等しくなった時点でミラー駆動モータを停止させる(S111〜S119)。フィルタセンサ205がオフしている場合には、無色フィルタ4aが光路中に配置されていることとなるため、フィルタの切換は行われない。
【0121】
フィルタセンサがオンの場合には、S121でフィルタカウンタFCが3より小さいか否かを判断する。3より小さい場合には、カウンタXが第1フィルタ切換パルスXf1に等しくなるまでミラー駆動モータを正転させ続け、フィルタを1枚切り換えてフィルタカウンタFCをインクリメントし(S123〜S127)、S103からの処理がフィルタセンサがオフするまで繰り返される。フィルタの数は4枚であるため、最大でもフィルタカウンタFCが3になればモノクロフィルタがセットされるはずであり、フィルタカウンタFCが3以上になってもフィルタセンサがオフしない場合には、何らかの故障があるものと考えることができる。そこで、フィルタカウンタFCが3以上になった場合には、S121からエラー処理に入る。
【0122】
図26のS129〜S139では、結像レンズが当初からレンズセンサがオフする領域にある場合にはミラー駆動モータを逆転させ、レンズセンサがオンする領域にあった場合にはレンズ駆動モータを一旦正転させてレンズセンサがオフしてから3パルス分の位置まで結像レンズを移動してからレンズ駆動モータを逆転させる。これは、結像レンズのホーム位置がレンズセンサの出力がオフからオンに変化してからホーム位置補正パルスPhc分逆転させた位置として定義されることから、オフからオンへの変化を検出するための処理である。
【0123】
逆転中にレンズセンサがオンすると、その時点からレンズ駆動モータの駆動パルスに同期してレンズパルスカウンタPafのインクリメントを開始し、カウンタPafの値がホーム位置補正パルスPhcに等しくなった時点でレンズ駆動モータを停止してレンズパルスカウンタPafにホーム位置のカウント「460」をセットする(S141〜S149)。この時点で結像レンズはそのホーム位置に設定されることとなる。
【0124】
図27は、メインフローチャートのS005で実行されるモード変更処理の詳細を示す。ここでは、このフローチャートを図21に示したLCDパネル152上の表示用セグメント群の表示の形態と共に説明する。モード変更処理は、モードカウンタMCの値に応じて6種類の項目のそれぞれの細設定を変更する処理である。細設定の詳細についてはフローチャートには示していない。
【0125】
モードカウンタは、図25に示される初期設定のS101で「0」に設定されており、メインフローチャート中では常に「0」であり、モードスイッチのオフからオンへの変化が検知されてモード変更処理が実行された場合にモード変更処理のS201で「1」に設定される。モード変更処理内では、モードスイッチのオフからオンへの変化が検出される度にモードカウンタMCがインクリメントされ、モードカウンタが5の状態でモードスイッチが操作された際に0にリセットされてメインフローチャートにリターンする(S203,205,207,209)。
【0126】
モードカウンタMCが1のときには、階調・反転切換の処理が可能となる(S211,213)。S213の階調・反転切換処理では、リモコンのアップ/テレスイッチ54、ダウン/ワイドスイッチ55が操作された場合に、撮影した画像を出力する際の階調、反転に関する設定を変更する。ここで選択可能なのは、「2値」、「2値反転」、「256階調」の3種類である。LCDパネル152の第3のセグメント群152cは、この階調・反転切換に関する情報を表示する領域であり、3つのセグメントが選択的に点灯する。図中左側の白色のセグメントは2値データとして出力する場合に点灯し、中央の陰付の白色のセグメントは2値データを反転させたデータとして出力する場合に点灯し、右側の黒色のセグメントは256階調の多値データを出力する場合に点灯する。
【0127】
モードカウンタMCが2のときには、濃度調整の処理が可能となる(S215,217)。S217の濃度調整では、リモコンのアップ/テレスイッチ54、ダウン/ワイドスイッチ55が操作された場合に、一般のカメラの露出調整に該当する濃度調整の設定が変更される。ここで選択可能なのは、マニュアルの4段階と測光結果に基づいて自動的に調整させる自動調整との5つの設定である。LCDパネル152の第4のセグメント群152dは、この濃度調整に関する情報を表示する領域であり、図21中左側の4つの黒色の四角は濃度をマニュアルで設定する場合に、設定される濃度の濃さに応じて点灯される個数が1個〜4個の間で変化し、自動調整の場合には図中右側の「auto」の領域が点灯する。
【0128】
モードカウンタMCが3のときには、データネーム入力の処理が可能となる(S219,221)。データネームは、例えばアルファベットと数字との最大3桁の組み合わせで構成され、S221の入力処理では、リモコンのアップ/テレスイッチ54、ダウン/ワイドスイッチ55が操作された場合には同一桁内で文字がA,B,C…の順、あるいはC,B,A…の順に切り替わり、ストップ/削除スイッチ52が操作されるとその桁の文字が確定して次の桁の入力待ち状態となる。3桁目でストップ/削除スイッチ52が操作されると、1桁目の入力待ち状態となる。入力が終了した場合には、モードスイッチ53を押して文字列を確定させ、次のモードに移行する。LCDパネル152の第5のセグメント群152eは、このデータネームを表示する領域である。
【0129】
モードカウンタMCが4のときには、データ編集の処理が可能となる(S223,225)。S225のデータ編集処理では、リモコンのアップ/テレスイッチ54、ダウン/ワイドスイッチ55が操作された場合に、内部メモリに記憶された画像データの編集に関する設定を変更する。ここで選択可能なのは、「画像データの削除」、および「内部メモリから外部記憶手段への転送」の2種類である。いずれかの編集モードが選択された状態でスタートスイッチ51が操作されると、選択されている削除、転送のいずれかの処理が実行される。LCDパネル152の第6のセグメント群152fは、データ編集に関する情報を表示する領域であり、画像データを削除する場合には「del」、データを転送する場合には「send」の各セグメントが択一的に点灯する。
【0130】
モードカウンタMCが5のときには、モノクロ撮影、カラー撮影の設定変更が可能となる(S227)。モノクロ/カラー切換処理では、リモコンのアップ/テレスイッチ54、ダウン/ワイドスイッチ55が操作された場合に、モノクロ撮影とカラー撮影とを交互に切り換える。LCDパネル152の第7のセグメント群152gは、モノクロ撮影、カラー撮影の設定を表示する領域であり、モノクロ撮影の際には「mono」、カラー撮影の場合には「color」が点灯する。
【0131】
図28および図29は、メインフローチャートのS021で実行される合焦の処理の詳細を示すフローチャートである。実施形態のカメラ型スキャナでは、被写体の測光情報と被写体に対する合焦状態に関する情報とを共に撮影用のイメージセンサ16を用いて読み取る構成である。これらの測光、合焦検出は、いずれも走査ミラーがホーム位置にあって読み取りラインが基準走査ラインに一致している状態で行われる。すなわち、被写体の一部であるホーム位置における1ライン分のコントラスト、明るさに基づいて被写体全体に対する合焦状態、明るさが判定される。
【0132】
合焦検出時には、結像レンズを最近接位置から遠方側に向けて1ステップづつ移動させ、ステップ毎にセンサ出力を取り込み、対象領域の最大輝度と最小輝度との差をコントラストと捉え、コントラストが前回取り込んだステップより低下し始めたステップ、すなわちコントラストのピーク直後のステップを最も良く被写体にピントが合った位置と判断してその位置に結像レンズを設定する。このようなコントラスト法は、焦点位置を挟む2つの位置に配置されたセンサのコントラストを比較する従来から知られているコントラスト法と比較すると、走査コントラスト法ということができる。
【0133】
また、図28の合焦処理では、合焦処理と同時に被写体がおかれた環境が撮影に適する明るさを満たしているか否かを判定している。実施形態のカメラ型スキャナでは、被写体の最大輝度が撮影可能な最低輝度より低い場合にはマニュアルで蓄積時間を設定する場合を除いて撮影が禁止される。ただし、1回の測定で検出された結果からのみでは被写体が黒色の物体であるために最大輝度が低いのか、被写体のおかれた環境自体が暗いために最大輝度が低いのかを判断することができない。
【0134】
環境自体が暗い場合には撮影を禁止しても良いが、被写体が黒色の物体である場合には、検出した範囲以外に高輝度の部分が存在する可能性があり、その場合には撮影が可能であることが望ましい。そこで、実施形態では、一回の測定で検出された最大輝度が撮影可能な最低基準輝度より低い場合にも撮影を禁止せず、合焦動作のためにレンズが移動する毎に検出された最大輝度と最低基準輝度との比較を繰り返すよう制御される。
【0135】
結像レンズを光軸に沿ってイメージセンサ側に移動させると、第1に、結像倍率が小さくなる方向に変化するため、画角が広くなり、イメージセンサ上に結像する被写体上の範囲が広くなる。したがって、近接側の端点では検出範囲外にあった輝度の高い領域が結像レンズを移動させることにより検出範囲にはいってくる可能性がある。第2に、結像レンズ3が被写体に対する合焦位置に近づくほど検出される画像が鮮明化するため、ピークが明確になり、最大輝度が大きくなる。このため、被写体が黒色である場合には、結像レンズの移動により最大輝度が変化し、環境が暗い場合には結像レンズを移動させても最大輝度は変化しないため、結像レンズの移動による最大輝度の変化があるか否かを判断することにより、被写体が黒色であるのか環境が暗いのかを判別することができる。
【0136】
実施形態では、結像レンズの可動範囲内で合焦位置が検出される前に検出された最大輝度が一回でも最低基準輝度を越えた場合には撮影を可能とし、一回も越えなかった場合にのみマニュアルで蓄積時間を設定する場合を除いて撮影を禁止する。
【0137】
図28の処理では、まず、デフォルトの一定蓄積時間でイメージセンサの蓄積信号を読み取り、主走査方向の中央の画素を中心にした1000ビット分のデータを判定対象として入力する(S301)。このとき、走査ミラーはホーム位置に設定されており、結像レンズは撮影可能範囲の最短距離の被写体にピントが合うようホーム位置に設定されている。
【0138】
続いて、判定対象の1000ビットの輝度の光量補正(暗電流の補正等)後の輝度から最大輝度Bmaxと最小輝度Bminとを検出する(S303)。1000ビット中の最大輝度Bmaxが所定の最低基準輝度Bdより小さい場合には暗環境フラグFdに1を設定し、最大輝度Bmaxが所定の最低基準輝度Bdより大きい場合に暗環境フラグFdに0を設定しておく(S305,307,309)。暗環境フラグFdは、被写体を含む環境が暗いか否かの判定結果を保持するフラグであり、結像レンズが近接側端点にある際に検出された最大輝度が最低基準輝度より低い場合に「1」に設定され、レンズを移動させて検出された最大輝度が一回でも最低基準輝度を越えた場合にS325で「0」に設定される。なお、最低基準輝度Bdは、例えばデフォルトの一定蓄積時間内での蓄積電圧が0.5Vとなるような輝度である。
【0139】
S311では、S303で求められた最大輝度Bmaxと最小輝度Bminとの差を求め、これを第1の輝度差変数Bsub1に書き込む。ここで求められる輝度差が、被写体のコントラストを示す指標として用いられる。続いて、第1の輝度差変数Bsub1の内容を第2の輝度差変数Bsub2に移し(S313)、レンズ駆動モータを1パルス逆転させてレンズパルスカウンタをデクリメントする(S315,S317)。合焦処理に入った直後のレンズパルスカウンタの値は「460」である。
【0140】
結像レンズをモータ1パルス分移動させた後、再びデフォルトの一定蓄積時間蓄積されたイメージセンサの出力を中心の1000ビット分読み込んで最大輝度Bmax、最小輝度Bminを検出する(S319,S321)。S323,S325では、最大輝度Bmaxが最低基準輝度Bdより大きい場合に暗環境フラグFdを「0」に設定する。S327では、S321で求められた最大、最小輝度の輝度差が第1の輝度差変数Bsub1に書き込まれる。S313,S327の処理により、第1の輝度差変数Bsub1には、第2の輝度差変数Bsub2に設定されている輝度差を検出したときより結像レンズを1パルス分イメージセンサ側に移動させた際の輝度差が常に設定されることになる。
【0141】
S313〜S327の処理は、S329においてレンズパルスカウントが0より大きいと判断され、かつ、S331で最新の輝度差信号が1パルス前の結像レンズ位置における輝度差信号より大きいと判断される間繰り返して実行される。結像レンズを光軸に沿って一方向に移動させる場合、被写体のコントラストは結像レンズが合焦位置に近接するにしたがって高くなり、合焦位置を越えると低下し始める。したがって、S331で最新の輝度差信号より前回の輝度差信号の方が大きいと判断された場合には、そのときの結像レンズの位置で被写体に対して合焦していると考えられる。そこで、暗環境フラグが「0」である場合にはレンズパルスカウンタPafの値を保存してメインフローチャートにリターンする(S333,S335)。
【0142】
S331において合焦位置が検出される前に、レンズパルスカウントPafが「0」となり結像レンズが遠方側の端点に達したとS329において判断された場合には、暗環境フラグが「0」である場合にはイメージセンサの信号を保存して図29のS341に進む(S337,S339)。
S333,S337で暗環境フラグが「1」と判断された場合には、被写体を含む環境の輝度が撮影可能なレベルより低いものと考えられ、かつ、コントラストの変化が検出された場合にもこれが合焦位置を示さない可能性があるため、撮影を禁止してエラー処理に入る。
【0143】
図29の処理は、図28の処理で結像レンズを最近接側から最遠方側まで1ステップづつ移動させてコントラストを検出しても合焦位置を検出できなかった場合に実行される処理であり、この例では補助投光装置を用いて被写体に積極的にコントラストを付加し、図28の場合とは逆に結像レンズを最遠方側から最近接側に向けて1ステップづつ移動させてコントラストの変化を検出する。
【0144】
図29では、まず合焦検出用の補助光を点灯させて被写体にパターンを投影してイメージセンサの信号を取り込み、補助光点灯前にS339で保存された信号と補助光点灯後に取り込まれた信号とを比較する(S341,S343,S345)。補助光の点灯によってイメージセンサの信号が変化しない場合には、被写体が補助光が届かない遠方に位置するものと考えられるため、現在のレンズ位置(最遠方側)でピントが合うものとして結像レンズをそれ以上移動させることなく補助光を消灯し、レンズパルスカウンタPafを保存してメインフローチャートにリターンする(S363,S365)。
【0145】
補助光の点灯によってイメージセンサの信号が変化した場合には、被写体が補助光の届く距離にあると考えられるため、S347〜S357において図28のS313〜S327とは反対にレンズ駆動モータを1パルスづつ正転させ、パルスカウントをインクリメントしつつ、取り込まれた画像データからコントラストを求め、コントラストが低下し始める点を検出する。S359でレンズパルスカウントPafが最近接側である「460」に達したと判断される前にS361で前回よりコントラストが低下したと判断されると、補助光を消灯し、レンズパルスカウンタPafを保存してメインフローチャートにリターンする(S363,S365)。
【0146】
S361において合焦位置が検出される前に、レンズパルスカウントPafが「460」となり結像レンズが近接側の端点に達したとS359において判断された場合には、所定の明るさがある被写体で補助光が届く範囲に位置するにも拘わらず結像レンズの可動範囲内でコントラストのピークが発見できないこととなるため、被写体が最短撮影距離である23cmより近い位置に配置されているか、スキャナ自体に何らかの支障があるものと考えられるため、補助光を消灯し、撮影を禁止してエラー処理に入る(S359,S367)。
【0147】
図30は、メインフローチャートのS023で実行される測光処理の詳細を示すフローチャートである。この装置における「測光」は、基準走査ラインの測光対象領域の最大輝度を検出する処理をいう。検出された最大輝度に基づいて、イメージセンサの画素が飽和しないよう撮影時のイメージセンサの各ライン毎の蓄積時間を決定し、決定された設定時間によりミラー駆動モータの回転速度を決定する。
【0148】
一般に、CCDセンサを利用した画像取り込み装置では、被写体の明るさに合わせて蓄積時間を変化させ、これにより最適な画像信号が得られるよう制御する。実施形態の装置も、同様に被写体の明るさに応じて蓄積時間を決定している。ただし、実施形態のような走査型の画像取り込み装置では、一回の走査における各ライン毎の蓄積時間を全て一定に保つ必要があり、基準走査ライン上の対象領域の最大輝度に合わせて蓄積時間を設定すると、他の領域でより高輝度の部分が存在すると飽和する画素が現れる可能性がある。そこで、この例では被写体が白地であるか黒地であるかをセンサ出力に基づいて判定し、この判定結果により撮影時の蓄積時間を決定する際の判断基準を異ならせることにより画素の飽和をできる限り抑えつつ、信号レベルを大きく確保できるよう構成している。
【0149】
S401では合焦処理の場合と同様にデフォルトの一定蓄積時間でイメージセンサの蓄積信号を読み取り、主走査方向の中央の画素を中心にした1000ビット分のデータを判定対象として入力する。続いて、判定対象の1000ビットの輝度の光量補正後の輝度から最大輝度Bmaxとを検出する(S403)。そして、1000ビットの光量補正後の輝度と基準輝度Bshとをビット毎に比較し、基準輝度以下のビット数Ndをカウントする(S405)。基準輝度Bshは、A/D変換の量子化レベルを256階調に設定する際には、例えば16/256に設定される。
【0150】
基準走査ラインで基準輝度より暗いビット数Ndが1000ビット中の85%より小さい場合には、被写体がホワイトボード等の白地であると判断し、検出されたイメージセンサの最大輝度Bmaxに対応する出力電圧が1Vになるよう撮影時の蓄積時間を設定する(S407,409)。反対に、ビット数Ndが1000ビット中の85%以上である場合には、被写体が黒板等の黒地であると判断し、検出されたイメージセンサの最大輝度Bmaxに対応する出力電圧が0.5Vになるよう撮影時の蓄積時間を設定する(S407,411)。
【0151】
CCDイメージセンサでは、各画素毎のフォトダイオードに受光量に応じて蓄積された電荷が、シフトゲートを通して転送部に転送され、伝送された電荷は転送パルスにしたがって順次フローティングキャパシタに注入され、ここで電圧に変換される。その電位降下をMOSトランジスタのソースフォロワ回路で順次検出する。フォトダイオードが飽和しない状態ではイメージセンサの画素毎の出力電圧は受光量の増加に応じてほぼ直線的に上昇する。
【0152】
イメージセンサの一部のフォトダイオードが飽和すると、溢れた電荷が周囲のフォトダイオードに流れ込んでブルーミングが発生して信号が乱れるため、できるだけフォトダイオードが飽和しないよう蓄積時間を制御する必要がある。一方、信号のS/N比を向上させるためには、信号のレベルはできる限り高い方が望ましい。実施形態で用いるイメージセンサは、飽和電圧が2.0Vであり、このようなセンサを用いる場合には1ラインの最大輝度に対応する出力が飽和電圧の半分の1.0V程度になるよう蓄積時間を制御するのが好ましい。
【0153】
また、実施形態では基準走査ラインの1ラインの画像情報に基づいて副走査方向の全ラインにおけるイメージセンサの蓄積時間を決定するため、検出されたラインの情報から全ラインを走査する際に得られるであろう輝度を予測して画面全体でフォトダイオードが飽和しないよう蓄積時間を設定する必要がある。そこで、被写体が白地であるか、黒地であるかを判断し、その判断結果に基づいて撮影時の蓄積時間を決定する際の判断基準を異ならせている。
【0154】
基準走査ライン上の輝度分布から白地と判定される場合には、他のラインでより明るい部分が存在する可能性が比較的小さいため、基準走査ラインの最大輝度に適するように蓄積時間を設定しても、他のラインで飽和する画素が発生する可能性は小さい。そこで、白地の場合には最大輝度がピーク電圧として適切な1.0Vになるように撮影時の蓄積時間を設定する。
反対に、基準走査ラインの1ラインの輝度分布から黒地と判定される場合には、他のラインで、より明るい部分が存在する可能性が比較的高いため、白地と同様に基準走査ライン上の最大輝度に適するように蓄積時間を設定すると、他のラインで飽和する画素が発生する可能性が高い。そこで、黒の場合には最大輝度となる画素の出力が白地の場合の半分の0.5Vになるように撮影時の蓄積時間を設定する。CCDセンサの出力は、入射光の強度が等しいときには蓄積時間にほぼ比例すると考えられるため、例えば測光で得られた最大輝度が等しい場合には、黒地の場合の蓄積時間は白地の場合の蓄積時間の約1/2となる。
【0155】
量子化の段階では、白地、黒地何れの場合も同様に扱われ、量子化レベルが256階調である場合、1Vの幅が256階調に量子化される。したがって、白地の場合には基準走査ライン上の最大輝度が最大階調である256レベルに割り当てられ、黒地の場合には基準走査ライン上の最大輝度が最大階調の半分の128レベルに割り当てられる。
【0156】
前述したように白地の場合には基準走査ライン以外の部分でより明るい部分が存在する可能性が比較的低いため、基準走査ライン上の最大輝度を量子化の最大レベルに割り当てても、この最大レベルを越えて飽和する画素が発生する可能性は小さく、与えられた階調幅を有効に利用して被写体の明るさの階調をより正確に読み取ることができる。
【0157】
反対に黒地の場合には、基準走査ライン以外の部分でより明るい部分が存在する可能性が比較的高いため、基準走査ライン上の最大輝度を量子化の最大レベルの半分のレベルに割り当てることにより、この最大輝度を越える画素が存在する場合にもその画素の出力が1Vを越えない範囲では飽和させずに量子化することができる。
ただし、白地・黒地共に設定された蓄積時間で読み込まれた全画像データで1V以上の画素の階調は全て最大レベル256階調となるが、白地および黒地での蓄積時間設定を上記のようにしたことにより、このような画素が発生する可能性をきわめて小さくできる。
【0158】
なお、測光/合焦時におけるイメージセンサの信号入力は、上記のような設定に基づかずに一定の基準時間の蓄積結果として出力されるため、例えばS301における入力で最大輝度となる画素の出力が0.8Vである場合、白地であればこの画素の出力が1VになるようにS301の基準蓄積時間より長い時間が撮影時の蓄積時間として設定され、黒であればこの画素の出力が0.5Vとなるよう基準蓄積時間より短い時間が撮影時の蓄積時間として設定される。
【0159】
図31、図32は、メインフローチャートのS025で実行される撮影処理の詳細を示すフローチャートである。撮影処理は、合焦処理で設定された結像レンズ位置を基準に、各走査ライン毎に測光処理で求められた蓄積時間が確保できる走査速度で走査ミラーを回動させながら画像を取り込む処理である。
撮影処理に入ると、S501でフィルタカウンタFCが「0」に初期化され、S503で基準走査ライン上での合焦時のレンズパルスカウントPafから基準倍率mbと走査開始パルスXsとが以下の近似式(10),(11)により求められ、S505でミラー駆動モータ70の走査速度fpが算出される。走査速度fpは、測光処理で設定された蓄積時間から算出されるモータ駆動用パルスの周期として定義される。実施形態では、ミラー駆動モータを4パルス駆動する毎にイメージセンサの出力を読み出すため、蓄積時間/4のパルス周期が走査速度となる。
【0160】
【数8】
Figure 0003619326
【0161】
前述したように、実施形態のカメラ型スキャナは、ファインダー系の視野を基準として、パララックスが生じないよう撮影光学系側の走査範囲を被写体距離に応じて変化させている。ただし、実施形態のスキャナでは被写体距離そのものは検出していないため、被写体距離に対応する情報として合焦処理で保存された合焦時のレンズパルスカウントPafを利用している。結像レンズがホーム位置に近い場合には近距離の被写体にピントが合うため、被写体が近くにあるものと考えることができ、逆に結像レンズがイメージセンサ側に近い場合には遠方の被写体にピントが合うため、被写体が遠くにあるものと考えることができる。
【0162】
そこで、結像レンズのホーム位置からの移動パルス数に応じて走査の開始点を変更することにより、被写体距離に応じて変化するパララックスを補正する。すなわち、ホーム位置からの移動パルス数が小さいときには、パララックスが大きいものと判断して走査範囲の中心が基準走査ラインよりファインダー方向にずれるよう走査開始点をずらし、基準走査ラインを境にファインダー光学系側の走査範囲が反対側の走査範囲より広くなるよう基準走査ラインに対して走査範囲を非対称に設定する。
【0163】
結像レンズのホーム位置からの移動パルス数が大きくなるにしたがって非対称性を小さくし、走査範囲の中心と基準走査ラインとのズレが小さくなるよう走査開始点を基準走査ライン側に近づけて設定する。移動パルス数が最大値となったときにはパララックスがないものと判断して走査範囲が基準走査ラインを境として対称になるよう設定される。
合焦時のレンズパルスカウントPafとその際の結像レンズのバックフォーカスfb、基準走査ライン上の基準倍率mb、走査開始パルスXsの対応は以下の表1に示される。
【0164】
【表1】
Figure 0003619326
【0165】
フィルタ関係の処理は、モノクロ、カラーのモード設定により異なる。前述の初期化処理でモノクロ用の無色フィルター4aが光路中にセットされているため、モノクロモードの場合にはフィルターを切り換えることなく、S507からS525以下の走査ミラーのホーム位置への再設定処理が実行される。モノクロモードでない場合、すなわちカラー撮影のモードに設定されている場合には、走査ミラーの再設定処理の前にS509〜S523のフィルタの切換処理が実行される。
【0166】
フィルタの切換処理では、走査パルスカウンタXを「0」にリセットしてパルスのカウントを開始させ、ミラー駆動モータを正転させる(S509,S511)。ミラー駆動モータの回転量は、フィルタカウンタFCの値に応じて選択される。FCの値が「0」である場合には、未だ画像の取り込みのためのミラー走査が実行されていない状態であり、走査ミラーはホーム位置に設定されている。そこで、この場合には、走査パルスカウンタXが第1のフィルタ切換パルスXf1(=8000パルス)に達するまで正転させ続ける(S513,S515)。FCが「0」以外の値である場合には、既に画像の取り込みのためのミラー走査が実行されて走査ミラーは走査終了位置に設定されている。そこで、この場合には走査パルスカウンタXが第2のフィルタ切換パルスXf2(=Xs−3480)に達するまで正転させ続ける(S513,S517)。
【0167】
ミラー駆動モータの回転パルスが所定のパルス数に達すると、モータを停止させてフィルタカウンタFCをインクリメントする(S519,S521)。これでフィルタホルダー40が90度回転してフィルタが1枚分切り換えられたこととなる。S523では、フィルタセンサの出力をチェックする。フィルタセンサは、モノクロ用の無色フィルター4aがセットされたときにのみオフするため、このステップにおいてオフしていた場合にはフィルターが切り替わらなかったか、複数枚分が一度に切り換えられたか等の異常が発生したもの捉えられるため、さらに撮影処理を進めることなくエラー処理に入る。
【0168】
S525〜S529、そして図32のS541〜S545は、前述した初期設定処理のS103〜S119に相当し、走査ミラーをホーム位置に設定するための処理である。走査ミラーがホーム位置より走査終了側に位置して走査基準位置センサがオンしている場合には、走査基準位置センサがオフする走査中心付近に戻るまでミラー駆動モータを逆転させる(S525,S531,S533)。逆転により走査基準位置センサがオフした場合、そして、走査ミラーが当初からホーム位置より走査開始側に位置して走査基準位置センサがオフしている場合の何れの場合にも、ミラー駆動モータを正転させ、走査基準位置センサがオフからオンに切り替わってから中央位置補正パルスXc分正転させてからミラー駆動モータを停止する(S527,S529,S541,S543,S545)。これにより走査ミラーがホーム位置に設定される。
【0169】
続いて、このホーム位置を基準にS503で求めた走査開始パルスXs分ミラー駆動モータを逆転させ、走査ミラーを結像レンズの位置に応じてパララックスを補正できる走査開始位置まで回動させる(S547,S549,S551,S553)。そして、この走査開始位置からS505で測光データに基づいて求められた走査速度fpによりミラー駆動モータを正転させると共に、走査開始パルスXsが設定された走査パルスカウンタXの値をミラー駆動モータの回転パルスに応じてデクリメントし始める(S555,S557)。
【0170】
S559〜S571の処理が、被写体の撮影に関する処理であり、基本的な動作としては、走査パルスカウンタXの値がXs−Xtとなるまで、ミラー駆動モータの駆動パルス4パルス毎にイメージセンサから画像信号を繰り返し読み取る(S563,S573)。撮影用走査パルスXtは11480パルスであり、これを4パルス毎にイメージセンサの画像信号を読み取ることにより、画面全体を副走査方向に2870ラインで読み取ることとなる。
【0171】
また、走査ミラーの回動による走査位置に応じて被写体距離、結像倍率が変化するため、結像レンズを光軸方向に移動させて合焦状態を保つと共に(S559,S561)、結像倍率の変化による像の歪曲を補正するよう基準走査ラインに合わせて副走査方向の周辺部のラインでデータを補完して伸張させる。倍率補正のために利用される各係数は、S565,S567,S569において計算され、この計算結果に基づいてS575で各ライン単位で結像倍率補正が行われる。これらの合焦位置、結像倍率の変化の補正は、被写体が走査ミラーがホーム位置にある際の光軸に対して垂直な平面であることを前提にして、副走査方向の各ライン毎に図中に示した近似式を用いた演算結果に基づいてオープンループ制御により実行される。
【0172】
S571では、倍率補正がかけられる前の画像データに含まれるシェーディングの影響を除去するよう光量が補正される。シェーディング補正は、結像レンズ3のコサイン4乗則による光量低下等による主走査方向の光量ムラを補正するための処理である。また、S573,S575ではカラー撮影の場合にフィルターへの主走査方向の入射角度の違いによる透過波長帯のシフトを光量の変化として捉え、画像データの輝度を各色毎に画素単位で補正する。
【0173】
なお、上記のピント位置補正は、副走査方向のライン毎に行われる処理であり、倍率補正、シェーディング補正はビット毎の処理として行われる。色補正は、ビット毎、あるいは全ビットを複数のグループに分割してそのグループ毎の処理として行われる。
【0174】
走査パルスカウンタXの値が撮影終了位置を示す値に達すると、ミラー駆動モータが停止され、撮影モードがモノクロか否か、カラーの場合には各色成分の3回の走査が終了したかが判定され、モノクロの場合、カラーで3回の走査が終了した場合にはメインフローチャートにリターンする(S579,S581,S583,S585)。カラー撮影のモードで3回の走査が終了していない場合には、図31のS509からの処理が繰り返される。
【0175】
次に、図32のフローチャートに含まれる合焦位置、結像倍率の変化の補正について説明する。
走査手段が結像光学系より被写体側に位置する場合、すなわち、実施形態の装置のように被写体と結像レンズとの間に配置されたミラーを回転させることにより被写体を走査して被写体の各部からの光をイメージセンサ上に結像させる構成を採用する場合、走査により形成されるイメージセンサと共役な物体面は走査ミラーの回転軸を中心軸にした円筒面となる。したがって、被写体がホワイトボードや黒板などの平面である場合には、上記の円筒面と被写体平面との差に相当するピントズレを補正する必要がある。実施形態の装置では、前述のように基準走査ライン上でピントが合うように調整しているため、基準走査ラインから副走査方向の周辺部に向かうにしたがってピントをより遠方に合わせるよう補正する必要がある。
【0176】
合焦位置の変化は、基準走査ライン上での合焦状態でのレンズパルスカウンタPafの値と、走査パルスカウンタXにより表される副走査方向の走査位置に基づいて求められる。合焦位置の変化を補正するために必要とされる結像レンズの移動位置Psは、以下の近似式(12)により求められる。基準レンズ位置のレンズパルスカウンタPafが「460」である場合、すなわち、最近距離23cmの被写体に合焦している際の走査パルスカウンタXに対応するレンズ位置Psの値は以下の表2に示されている。表2中の記号、Δb、Pit、Ytの求め方、利用については後述する。
【0177】
【数9】
Figure 0003619326
【0178】
【表2】
Figure 0003619326
【0179】
走査パルスカウントXに応じて結像レンズ3の位置をレンズ位置パルスPsで示される位置に移動させることにより、被写体が図1に示すように走査ミラー2のホーム位置での光軸に垂直な平面である場合には、何れの走査位置においても合焦状態を保つことができる。
【0180】
走査に伴う倍率の変化については、画像データを処理する際に所定数の補正ビットを挿入することにより補正している。結像倍率は、走査ミラーの回動に伴う物体距離の変化と結像レンズ位置の変化とに起因して副走査方向の周辺部ほど低くなる。したがって、図33(A)に示すような主走査方向に短辺、副走査方向に長辺を持つ長方形の被写体を撮影すると、撮影された画像は図33(B)に示されるように副走査方向の周辺部で短辺が短くなるように樽型に歪曲する。
【0181】
このような結像倍率の変化による像の歪曲を補正するため、実施形態の装置では基準走査ライン上の結像倍率と走査位置での倍率との比率から、基準走査ライン上でイメージセンサの有効ビット長に相当する被写体が副走査方向の任意の走査位置で何画素分縮小されるかを求めている。ただし、結像倍率自体を比較するのではなく、結像倍率に一義的に対応する結像レンズの位置パルスを用い、基準位置での結像レンズの位置パルスPafと任意の走査位置での結像レンズの位置パルスPsとを用いて以下の式(13)により縮小される画素数Δbを求めている。ここでKmは有効画素数である。倍率補正は、イメージセンサの中心を境にして上下の画素について同一の方法で行われるため、以下、上側の半分の画素列についてのみ説明する。
【0182】
【数10】
Figure 0003619326
【0183】
S577の倍率補正では、図34に示される上端のΔbビットの画素のデータを捨て、代わりに同数の補正データを所定のピッチPitで1ビットづつ挿入する。図34では、実際のラインセンサ16の構成を左側に模式的に示し、補正後の1ライン分の画像データの構成を右側に示している。原則的には、最初の補正データを画像データの第1ビットに入れ、イメージセンサ16の第Ycビット目からPit−1ビット分の撮影データを画像データの第2ビット目からセットし、次に補正データを1ビット入れる。この繰り返しにより、主走査方向の中心部に向けてピッチPitビット毎に1ビットづつ補正データを挿入してKm/2ビット分の画像データ、この例では1044ビットの画像データを生成する。ピッチPitおよび挿入開始ビットYcの値は、上記の式(14),(15)により求められる。この例では、K=Km=2088であるため、Yc=Δbとなる。Kmの値は、モード設定による撮影範囲の変更により変化する。
【0184】
また、Ytは、ピッチと挿入ビット数との積で決まる補正後の画素数と片側の有効画素数であるKm/2との差であり、半分の画素数Km/2をピッチPitで割ったときの余りを示す。Km/2がPitで割り切れない場合には、画像データの最も中心に近い部分ではPit−1+Ytビットの撮影データが補正データを介さずに連続することとなる。
【0185】
挿入される補正データの値は、挿入される手前の画素と同一のデータである。ただし例外として、ビッチ内に同一のデータがピッチの30%以上連続する部分があった場合には、この連続部分の最後に同一のデータを挿入する。例えばピッチが100である時、35ビット連続して同一データが存在する場合には、その連続部分の36ビット目に35ビット目と同一のデータを挿入し、100ビット目には追加しない。ここでいう同一のデータとは、二値の場合には0、1の何れかであるが、多値の場合には完全に同一ではなく、階調の1/16幅に入る場合には同一とみなすこととする。例えば256階調の場合、16階調幅に入るデータは同一のデータとして判断する。
【0186】
図35及び図36は、前記の表2に示される具体例において、X=6948のとき、すなわち走査開始位置と、X=2483のときとにおける倍率補正の具体的な方法とを示す図34と同様の説明図である。図35の例では、Δb=Yc=174、ピッチPit=6、Yt=0である。画像データの第1ビットには第1の補正データがセットされる。撮影データの第1〜174ビットは使用されず、画像データの第2〜6ビットには撮影データの第175〜179ビットが挿入される。画像データの第7ビットには第2の補正データが挿入され、第8〜12ビットには撮影データの第180〜184ビットが挿入される。このようにして撮影データを5ビットに対して補正データを1ビットづつ挿入してゆき、画像データの1033ビットには第173番目の補正データ、1034〜1038ビットには撮影データの第1035〜1039ビット、画像データの1039ビットには第174番目の上側の画素列最後の補正データを挿入すると共に、撮影データの1040〜1044ビットをそのまま画像データの同一ビットに挿入する。
【0187】
図36の例では、Δb=27、Pit=38、Yt=18となるため、画像データの各ビットには1ビットの補正データと、撮影データの第28ビットからのデータ37ビットづつとが繰り返しセットされる。ただし、図36の例では、最も中心に近い第27撮影データはPit−1+Ytで55ビット分の撮影データ(第989〜1044ビット)が補正データを介さずに連続して設定される。
【0188】
上記のような画像データの倍率補正により、被写体が基準走査ラインを走査する際の光軸に垂直な平面である場合には、読み取り位置の副走査方向の違いによる倍率の変化を平均化し、歪曲を補正した画像データを得ることができる。
【0189】
最後に、この発明の特徴部分と実施形態との対応関係について説明する。
駆動部材80の回動は、パルスモータであるミラー駆動モータ70によりオープンループ制御される。図7に示すように、支持フレーム130には、走査ミラー2のホーム位置(基準位置)を与えるための走査基準位置センサ204(検出手段)が設けられている。走査基準位置センサ204は、発光部と受光部を持つ透過型フォトセンサであり、駆動部材80に設けられたシャッタープレート85(被検出部)によって遮られるものである。
【0190】
シャッタープレート85は、走査ミラー2と結像レンズの光軸とのなす角度が45°より大きい時には、走査基準位置センサ204の発光部と受光部の間を遮っており、走査基準位置センサ204はオフしている。そして、当該角度がほぼ45°になった時に、シャッタープレート85が走査基準位置センサ204の発光部と受光部の間から抜け出るため、当該角度が45°より小さい時には、走査基準位置センサ204はオンしている。
【0191】
ミラー駆動モータ70の駆動制御は、走査基準位置センサ204がオフからオンに変わった時点から、所定パルス数Xcをカウントしたところをホーム位置とする。このパルス数Xcは、走査ミラー2と結像レンズの光軸とのなす角度が丁度45°となるように、即ち、結像レンズ3の光軸が走査ミラー2によって直角に偏向されるように設定される。なお、この時、走査線(読み取りライン)は基準走査ラインR、即ち画像の中心部に位置する。
【0192】
このように、走査ミラー2の回動制御が、結像レンズ3の光軸が走査ミラーによって直角に偏向される際の走査ミラー2の位置をホーム位置として行われるため、走査ミラー2の位置に応じて、結像レンズ3の光軸が走査ミラー2により偏向される方向を正確に把握することが可能となる。即ち、結像レンズ3の合焦位置を検出する合焦処理等を行うことが可能となる。
【0193】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のスキャナは、走査ミラーの回動制御が、結像レンズの光軸が走査ミラーによって直角に偏向される際の走査ミラーの位置を基準位置として行われるよう構成されている。そのため、走査ミラーの位置に応じて、結像レンズの光軸が走査ミラーにより偏向される方向を正確に把握することが可能になる。即ち、結像レンズの合焦位置を検出する合焦処理等を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るカメラ型スキャナの実施形態の撮影光学系を示す図である。
【図2】図1のカメラ型スキャナの外形を示す斜視図である。
【図3】図2のカメラ型スキャナの概略構成を示す斜視図である。
【図4】図2のカメラ型スキャナの内部構成を示す平面図である。
【図5】図4のカメラ型スキャナの線分A−Aについての断面図である。
【図6】図4のカメラ型スキャナの線分B−Bについての断面図である。
【図7】駆動機構を示す平面図である。
【図8】ミラー保持部を示す斜視図である。
【図9】駆動機構を示す平面図である。
【図10】駆動機構を示す平面図である。
【図11】走査線の振れ角を示す概略図である。
【図12】走査線密度の変化を示すグラフである。
【図13】走査線の振れ角のパララックス補正を示す概略図である。
【図14】図4のカメラ型スキャナの線分C−Cについての断面図である。
【図15】カラーフィルタホルダを示す斜視図である。
【図16】駆動機構を示す平面図である。
【図17】図4のカメラ型スキャナの線分D−Dについての断面図である。
【図18】レンズホルダを示す斜視図である。
【図19】カメラ型スキャナの制御系を示すブロック図である。
【図20】図19に示される画像処理回路の詳細を示すブロック図である。
【図21】ファインダーのLCDパネルの表示例を示す平面図である。
【図22】走査ミラーの回動位置とミラー駆動モータのパルス数の関係を示す概略図である。
【図23】結像レンズの回動位置とレンズ駆動モータのパルス数の関係を示す概略図である。
【図24】カメラ型スキャナのメインフローチャートである。
【図25】初期化処理を示すフローチャートである。
【図26】初期化処理を示すフローチャートである。
【図27】モード変更処理を示すフローチャートである。
【図28】合焦処理を示すフローチャートである。
【図29】合焦処理を示すフローチャートである。
【図30】測光処理を示すフローチャートである。
【図31】撮影処理を示すフローチャートである。
【図32】撮影処理を示すフローチャートである。
【図33】撮影時の像倍率の変化を示す矩形の被写体と被写体像との関係を示す説明図である。
【図34】撮影時の倍率補正の原理を示す説明図である。
【図35】撮影時の倍率補正の具体例を示す説明図である。
【図36】撮影時の倍率補正の他の具体例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 カメラ型スキャナ
2 走査ミラー
4 カラーフィルタ群
3 結像レンズ
5 リモコン
6 レンズ駆動機構
7 ミラー駆動機構
10 本体カバー
11 補助光ユニット
12 窓部
15 ファインダ
16 イメージセンサ
17 リモコン装着部
20 ミラーホルダ
24 係合溝
30 レンズ鏡筒
32 鏡筒アーム
35 ガイドバー
40 フィルタホルダ
60 走査用モータ
64 巻きバネ
70 レンズ駆動モータ
80 駆動部材
81 駆動ピン
91 伝達ギア
93 フィルタ駆動ギア
94 ワンウェイクラッチ
95 フィルタギア
120 ハウジング
121 鏡筒保持部
127 係合穴
201 第1受信部
202 第2受信部
203 レンズ基準位置センサ
204 走査基準位置センサ
300 CPU
310 メインスイッチ
311 リモコンセンサ

Claims (9)

  1. 一次元に配列した画素により被写体を読み取るライン型イメージセンサと、
    該イメージセンサに被写体像を結像させる結像レンズと、
    前記イメージセンサの画素配列方向と平行な軸回りに回動することにより前記イメージセンサ上に被写体像を走査させ、前記イメージセンサに被写体像の二次元的な画像情報を読み取らせる走査ミラーと、
    前記走査ミラーの回動を制御する制御部と、を備え、
    前記制御部による走査ミラーの回動制御が、前記結像レンズの光軸が前記走査ミラーによって直角に偏向される際の前記走査ミラーの位置を基準位置として行われ
    前記走査ミラーが前記基準位置にあるとき、前記制御部は、さらに、前記結像レンズの合焦位置を検出する合焦処理、及び前記イメージセンサにおける被写体像の蓄積時間を決定する為の測光処理を行うこと、を特徴とするスキャナ。
  2. 前記走査ミラーが前記基準位置にある時には、前記走査ミラーの反射面と前記結像レンズの光軸とのなす角が45°であること、を特徴とする請求項1におけるスキャナ。
  3. 前記走査ミラーが前記基準位置にある時には、前記イメージセンサによる読み取りラインは、前記画像の中心部にあること、を特徴とする請求項1又は2におけるスキャナ。
  4. 前記走査ミラーと連動し、前記走査ミラーを回動させるために所定の角度範囲内で回動する駆動部材と、前記駆動部材に設けられた被検出部を検出する検出手段と、をさらに備え、
    前記走査ミラーの前記基準位置が、該検出手段の検出タイミングに基づいて決められること、を特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のスキャナ。
  5. 前記基準位置は、前記検出手段が前記駆動部材の前記被検出部を検出してから、前記駆動部材が所定量回動した位置であること、を特徴とする請求項4に記載のスキャナ。
  6. 前記所定量は、前記スキャナの個体差に応じて設定されること、を特徴とする請求項5に記載のスキャナ。
  7. 前記駆動部材は、パルスモータによって回動され、前記所定量は、前記パルスモータのパルス数により設定されること、を特徴とする請求項6に記載のスキャナ。
  8. 前記被検出部はシャッタープレートであり、前記検出部は前記シャッタープレートが所定位置に達した時に該シャッタープレートにより遮られるフォトインタラプタであること、を特徴とする請求項4から7のいずれかに記載のスキャナ。
  9. 前記シャッタープレートは、前記駆動部材の前記所定の角度範囲の略半分に亘って、前記フォトインタラプタを遮っていること、を特徴とする請求項8に記載のスキャナ。
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