JP3619108B2 - 後生動物除去方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、河川水等を取水源とする上水、用水等の水処理において、後生動物を除去する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
河川水等を取水源とする水処理プロセスでは、取水原水中に線虫、輪虫等の後生動物が含まれることが多く、従来は塩素等の酸化剤系消毒剤による処理、ならびに凝集沈殿、濾過処理等により除去されていた。
しかしながら、後生動物中には、塩素耐性が高く、なおかつ運動性を有するものが存在し、これらの処理では除去しきれず、その処理が問題となっている。
また、水処理系内に、活性炭処理を含む場合、活性炭層内に棲息する細菌類等を捕食して、後生動物が増殖し、最終処理水にまで漏出する場合も見られる。
【0003】
これらの後生動物を除去する方法としては、先に述べた酸化剤系消毒剤による消毒処理、凝集剤による凝集処理、濾過による除去処理及びMF膜等による膜濾過法による除去処理等が知られている。
しかし、酸化系消毒処理の場合に、消毒剤の濃度を高くした場合に、塩素系ではトリハロメタン等の塩素化合物が、またオゾンの場合にはアルデヒド系化合物の副生等の問題があり、注入濃度が制約される不都合が免れなかった。また、最終工程における処理も、同様の理由で制約される不都合があった。
PAC(ポリ塩化アルミニウム)等による凝集沈殿処理、濾過処理においても、後生動物の運動性を完全に停止させない限りは、除去率は90%台に留まり、原水の水質変動に伴う凝集状態の変動と合俟って、完全に安定した除去性能を維持するすることは、困難な状況に置かれている。
MF膜等による膜濾過法は、処理水量が比較的少ない場合に限定される。
また、運動性の高い後生動物ではプリーツ型のMFフィルターの膜内を通過するものもあり、何らかの消毒処理を併用する必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術における消毒剤による処理では、何らかの副生成物が形成され、凝集沈殿処理あるいは、濾過処理や膜濾過単独では、後生動物の運動性を止めない限りは、有効な除去性能を得ることは難しい。
また、比較的、高除去率が得られる膜処理では、水量の規模が大きな場合には技術面、コスト面でなお十分であるとは言い切れない。
本発明は、上記の種々諸問題に対処して、副生成物が形成することなく、安定した後生動物の除去ができ、その上、水量規模の制約を受けない水処理法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決すための手段】
本発明者等は、上記、従来の処理技術において残されている諸問題を解決するために、後生動物を安全性が高く、また、高い除去性能で除去処理できる方法について鋭意研究したところ、最低必要量の紫外線照射を行なった後、表洗と逆洗の設備を具備する砂濾過設備に通水して、混入する後生動物を除去する方法が最も実用的かつ効果的であることを、知るに至ったものである。
即ち、本発明は、河川水等を取水源とする水処理プロセスで、原水または各工程水中に含まれる後生動物を紫外線処理した後、砂濾過処理を行うことにより除去する方法である。
本発明の特徴は、水処理プロセスの原水ならびに各工程処理水中に含まれる後生動物の運動性ならびに増殖能力を静止させるために、最低必要量の紫外線照射を行なった後、静止状態の後生動物を砂濾過で確実に捕捉することにある。
【0006】
次いで、後生動物を充分に殺滅した逆洗用水による砂濾過の逆線頻度を1回/日以上とすることにより、捕捉した後生動物が再活性化して、運動性ならびに増殖を行う前に逆洗水と共に系外に排出することにある。
更に、前記逆洗水中の後生動物を紫外線、消毒剤を用いて処理した後、系外に排出、もしくは各消毒手段の前工程に回収する。
斯様に処理することにより、大規模な水量中に含まれている後生動物を逆洗排水中に濃縮した後、効果的に殺滅し、処理水量を制約を受けることなく、経済的かつ安全に後生動物の除去を成し遂げることができるものである。
【0007】
即ち、本発明は以下に記載する各項により構成される。
(1)紫外線照射処理と砂濾過処理との組み合せで構成され、かつ、処理対象となる後生動物を含む被処理水を発光波長200〜300nmの光を出す中圧紫外線ランプからの紫外線を用いて被処理水に含まれる後生動物の運動性ならびに増殖能力を一時的に静止させるに必要な量の紫外線を照射する紫外線照射処理、静止状態の後生動物を砂濾過層で捕捉する砂濾過処理の順に通水することを特徴とする後生動物除去方法。
(2)前段の紫外線照射処理は、発光波長200〜300nmの全殺菌紫外線照射量が処理水量に対する処理紫外線量換算で標的とする後生動物の90%殺菌必要線量以下の範囲にあり、後生動物の運動性を抑制することを特徴とする請求項1記載の後生動物除去方法。
【0008】
(3)後段の砂濾過処理は表洗及び支持層部に水逆洗及び空気洗浄の機能を持ち、水逆洗水には紫外線、酸化剤系消毒剤であるオゾン消毒剤の各処理水を用い、その逆洗頻度は砂濾過層で捕捉した、運動性が静止した後生動物がその運動性を回復する前までの時間で決定することを特徴とする請求項1記載の後生動物除去方法。
(4)後段の砂濾過処理から排出される逆洗排水を紫外線、オゾンの併用もしくは単独処理で処理した後、系外に排出、もしくは前記紫外線照射処理と砂濾過処理との組み合せの工程より前段の処理工程における消毒工程の前工程に戻して回収することを特徴とする前記(3)記載の後生動物除去方法。
(5)発光波長200〜300nmの光を出す中圧紫外線ランプを用い、被処理水に含まれる後生動物の運動性ならびに増殖能力を一時的に静止させるに必要な量の紫外線を照射して処理をする紫外線照射処理装置と静止状態の後生動物を砂濾過層で捕捉する砂濾過装置との組み合せで構成され、かつ、処理対象となる後生動物を含む被処理水を紫外線照射処理装置、砂濾過装置の順に通水することを特徴とする後生動物除去装置。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、各処理工程に基づいて説明する。除去対象となる後生動物を含む処理対象水を、まず紫外線照射装置に一過性で通水し、対象水中の後生動物の運動性を抑制するために必要な波長域の紫外線を最低必要量照射し、後生動物の運動性を静止させる。ここで必要となる光の波長領域は、200〜300nmであり、好ましくは250±10nm付近の波長を主波長とし、相対強度として30%以上含むことが望ましい。ここで用いられる紫外線照射装置は、波長域200〜300nmの紫外線を連続スペクトルとして発光する能力を具備する発光源であれば良い。発光源の方式は、水銀ランプ方式、キセノンランプ方式、レーザ方式アーク放電方式等いずれでも使用できるが、好ましくは、水銀ランプ方式が大量の処理水を安価に処理するうえで実用的で望ましい。この200〜300nmの波長領域の紫外線は、中圧紫外線ランプで好ましく得られる。
【0010】
以下の説明では、水銀ランプ方式を用いて本発明を説明するが、本発明の発光源はこれにより限定されるものではない。水銀ランプ方式の種類は、従来の殺菌用途に使用される中圧ランプのような、200〜300nmの波長を発光し、なおかつ、250±10nmの波長を相対強度として30%以上含むものであれば良い。なお、一過性の紫外線処理を行う装置では、棒状ランプの場合、被処理水をランプの長手方向に対して平行ないし垂直に流して処理するが、本発明では一定の波長域の紫外線を一定量均一に照射できるものであれば、いずれでもよい。
【0011】
これらの紫外線照射装置により、対象となる後生動物に加える照射量は、従来の殺菌手段として用いられる90%殺菌必要量、即ち対象となる生物の生存数を1/10に減少させ、9割を致死に至らしめるために必要な照射線量以下であり、発光源の波長特性により、巾を生じるが、好ましくは従来の90%殺菌必要線量の1/2〜3/4量を照射する。本発明者等は、この線量下において、対象とする後生動物を一時的に運動性を失った静止状態とすることができることを発見した。また、本発明者らは、250±10nmの波長域を30%以上含み、なおかつ200〜240nm、260〜300nmの近・遠紫外線を含む中圧ランプの場合は、前記必要線量の1/2量の照射線量を加えることにより、対象とする後生動物が24時間以上に亙り運動性を停止した静止状態に入り、24時間を超えると運動性が回復する現象を発見した。
【0012】
このような傾向は、従来の紫外線の殺菌機構とは異なるものである。
従来の殺菌機構の理論は、細菌類、ウィルス、カビ等の原核微生物を対象とするものである。そのメカニズムは生物の生命活動の源である細胞核内のDNA、RNAに254nmの紫外線が特異的に吸収され、DNA、RNAの複製機能を阻害することにより、生物が死滅に至ると説明されている。
しかしながら、後生動物等の進化した真核生物の場合、細胞組織は分化しており、一般的に原核細胞に比べ致死に必要とされる照射線量も高く、紫外線による損傷メカニズム、その回復作用も原核生物とは異なる傾向を取ることは、容易に考えられることである。
【0013】
また、波長特性による効果の相違に関しては、原核生物において波長域が広いほど、多種の生体成分に吸収され、複合的な障害を生じることが知られている。因みに、酸素の存在下で紫外線を加えた場合、損傷部位は細胞膜脂質の脂肪酸、特に不飽和脂肪酸の酸化によるラジカル生成が損傷の引き金になると考えられている。
波長域が広い中圧ランプでは、複合的な障害を生じるために、後生動物の運動性を抑制するために必要となる照射線量が小さくなったものと考えられる。なお、照射線量の範囲は、対象とする後生動物において、致死に至るものが認められ始める線量を下限として、光源を中圧ランプの場合には、1/2量以下を上限とした。
この上限は、紫外線処理した処理水中に含まれる対象となる後生動物が総て24時間以上に亙って、運動性を回復することが無いことを条件として求めた値である。
【0014】
上記のように、90%殺菌必要線量の1/2〜3/4量を照射して運動性を抑制した後生動物を次工程の砂濾過処理により除去する。
後生動物は運動性を有する状態では、砂濾過層内を容易に移動することができ、処理水側に混入し漏出することが知られており、砂濾過処理で確実に後生動物を捕獲するためには、紫外線照射により、その運動性を抑止して静止状態にしておくことが必須の処理条件となる。
上記の砂濾過処理に用いる砂濾過設備は、一般の上水道処理等で用いられている下降流方式の急速濾過地であり、逆洗設備を有するものであれば、何れのものでもよい。
設備の基本仕様としては、濾過速度が120〜150m/d以内であり、水理的には重力式、圧力式の何れでも良い。
【0015】
濾過砂の品質は、日本水道協会規格に準ずるものであり、砂層の厚さは60〜70cmを標準とすることが望ましい。
また、逆洗設備は、砂層の表面部を洗浄する表面洗浄と、濾層下部からの逆流洗浄との両者の機能を有するものであることが好ましい。
また、濾層内の付着濁質が多いなどの場合には、逆流洗浄と空気洗浄を併用しても良い。ここで用いる表面洗浄装置は、固定式、回転式いずれでもよく、洗浄圧力等の条件は、水流の剪断力によって表面部の泥状層を破砕し、洗浄効果を上げられる条件であれば良い。
また、逆流洗浄は、濾層内の抑留物質を濾材から剥離し、剥離した物質を濾層から分離してトラフから排出させるに充分な洗浄流速と均一な水流分布が保たれ、最も洗浄効果が有効とされる層の膨張率20〜30%に保てる条件であれば良い。
【0016】
本発明において、厳守しなければならない条件は、表面洗浄と逆流洗浄の頻度であり、この頻度は、上記した紫外線照射により運動性が静止した後生動物が再活性化して、運動性を回復するまでの所要時間で決定され、先の紫外線照射線量を加えた場合、24時間、1回/1日以上の頻度が必須であり、濾過層における補捉効率、逆洗における使用水量等のことを考慮すると、1回/1日が妥当であり、好ましい。
また、この逆洗に用いる用水は、本発明の砂濾過処理水を最低限の水質とし、出来る限り、後生動物を殺滅した水を用いることが望ましく、更に、砂濾過処理水に10−4レベルの紫外線照射、またはオゾン等の酸化剤系薬剤による消毒を施した用水を使用することがより好ましい。
なお、オゾン処理の場合、逆洗操作後の濾層内にオゾン水が残留することがあり、その水が処理水として出てしまうことがあるので、捨水により残留オゾン水が除かれたことを確認できた後に、採水を行うことが必要となる。
上記、逆洗に用いる用水の両者の処理を考慮すると、用水の使用量、逆洗に要する時間等の点で紫外線処理が最も実用的である。
【0017】
前記したように、逆洗用水中の対象となる後生動物の数は、1個/1m3 以下のレベルであることが望ましい。本発明の逆洗用水である砂濾過水中の後生動物数は、1個/1リットル以下のレベルであることが望ましい。仮に、逆洗用水中に後生動物が、1個/1m3 以上存在している水を用いた場合、砂濾過層下部側において、それらの後生動物が増殖し、容易に処理水中に流出して、見掛け上、除去性能が顕しく低下することになる。
次に、砂濾層から分離された後生動物を含む逆洗排水は、そのまま排水すると、排水先において多量の後生動物が再活性化して排水系を汚染するなどの問題を生じる可能性があり、問題のないレベルまで消毒した後、系外に排出するか、もしくは、前段の処理工程において、後生動物を除去あるいは消毒しうる工程の前に戻して回収することが望ましい。
【0018】
排水を消毒して排出する場合、消毒手段としては、まず、酸化剤系消毒剤による処理が挙げられる。これに用いる消毒剤としては、二酸化塩素等の無機塩素系消毒剤が、また、処理時間を短縮したい場合には、オゾン消毒が挙げられる。
なお、消毒剤の場合、その致死効果は消毒剤濃度と処理時間で主に決まるため、接触槽などを設け、10−6〜10−7レベルの消毒効果が得られる処理を行う必要がある。
因に、最も酸化系消毒剤に対して耐性を持つとされる、Rhabditis sp. 、 Prectus sp. 等の線虫をオゾンで処理する場合、10−6〜10−7レベルの不活性化を達成するためには、CT値(mg・min/リットル)換算で30〜35mg・min/リットルの処理を加えることになる。
【0019】
また、UVを用いる場合は、対象となる後生動物の90%殺菌必要線量から換算して、10−6〜10−7の不活性必要線量を求め、一過性もしくは滞留槽に外部循環式の紫外線照射装置を設けて、必要線量に応じた処理を加えればよい。
紫外線照射処理を加えた逆洗排水は、そのまま系外に排出してもよく、逆洗排水中の濁質、後生動物の死骸を除去しうる凝集沈殿、凝集濾過などの前段に戻してもよい。
なお、オゾン又は塩素系の酸化剤系消毒剤を用いた場合、逆洗排水は、残留する消毒剤を中和もしくは除去した後、系外に排出するか、もしくは紫外線と同様に、SS成分を除去しうる工程の前段に戻して回収してもよい。
また、逆洗排水を一旦、消毒せずに回収する場合は、対象となる後生動物を消毒できる工程、好ましくは、凝集沈殿、濾過工程、その後段にオゾン処理等の消毒工程を有する場合は、凝集の前段に戻すことが望ましい。
【0020】
以上、詳細に説明したように、本発明においては後生動物を含む被処理水、特に、大水量の水の中から、紫外線処理と砂濾過処理により不必要なエネルギーを投入することなく、対象とする後生動物を除去、濃縮し、更に逆洗排水中に濃縮された後生動物を効率高く、かつ、安全に不活性化して系外に排出、もしくは回収するものであり、従来、困難とされていた後生動物の除去を高い効率で、かつまた、安全になし得るものである。
【0021】
【実施例】
以下において、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれによって制限されるものではない。
【0022】
実施例
図1は、本発明を実施する処理系統の一例で、処理を連続形式で行った場合について説明する。
原水1には河川水を用い、この原水1を550m3 /dの流量で接触池2に供給する過程において、二酸化塩素(ClO2 )3を2mg/リットルを添加し、滞留時間60分で接触酸化処理を行う。
次いで、接触酸化処理を経た処理水4に凝集剤(PAC)5を75〜115mg/リットル添加して凝集沈殿池6に移送し、滞留時間60分で凝集沈殿処理を行う。
凝集沈殿処理で沈殿物を分離した処理水7は、次いでオゾン接触池8に移行させて、濃度1.5〜2.0mg/リットル、接触時間12分のオゾン処理をする。
オゾン処理を経た処理水9は、活性炭接触池10に通水速度SV=5h−1で通水して線虫類を含む対象水11を得る。
【0023】
次いで、この対象水11を、本発明による中圧UVランプ方式紫外線照射装置12→砂濾過池13a→処理水槽15a→逆洗ポンプ16a→紫外線照射装置17→砂濾過池13aに至る試験区(A)ラインと、砂濾過池13b→処理水槽15b→逆洗ポンプ16b→砂濾過池13bに至る試験区(B)ラインの各々に、220m3 /日で通水し、本発明の効果を確認した。
なお、砂濾過池13a、13bの濾過速度はLV=100m/日とし、逆洗は表面洗浄と逆洗洗浄を併用し、逆洗頻度は24時間毎とした。
【0024】
紫外線照射装置12による紫外線照射量は、対象とした後生動物である線虫類の90%殺菌必要線量68mJ/cm2 の1/2量である34mJ/cm2 とした。
なお、最終段の砂濾過池13aの逆洗用水は、砂濾過池13aの処理水14aを処理水貯槽15a、逆洗ポンプ16aを経て紫外線照射装置17で処理した水17aを使用した。砂濾過池13aの逆洗排水18aは、原水1に返戻、回収する。
一方、砂濾過池13bの逆洗用水には、砂濾過池13bの処理水14bを処理水槽15b、逆洗ポンプ16bを経て返戻した水18bを使用した。
上記において、夏季3ケ月間の運転で得られた結果をそれぞれ、第1表、図2に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
第1表の結果は、各工程における処理水中の線虫類の生体数、死体数の計測値とその値から換算した各工程処理水中の線虫の致死率と各工程での除去率を示したものである。
ここで言う致死率は、生体数と死体数を合わせた総数を分母とし、その工程の死体数を分子として求めた値であり、死体、生体を合わせた値である。
図1の流れに順じて線虫類の挙動を説明すると、まず、原水には総数で20〜220個/2リットルが見られ、その内、死体は5%〜21%程度で、生きているものが大半である。
次の前二酸化塩素及び凝集沈殿処理を受けた凝集沈殿処理水では総数で10〜20個/2リットルに減少し、なおかつ凝集沈殿で残留するものは、総て運動性をもつ生体である。
次のオゾン処理水は、総数では変化は見られないが、大半は死体となる。死体の大半は残存するため、除去率は変わらない。
更に対象水である活性炭処理水では、生体数、死体数ともに増加し、総数で7〜147個/2リットルとなり、活性炭処理で線虫類が増殖している様子が解る。
【0027】
次に、本発明による紫外線、砂濾過処理水では、総数の除去率で99.5%以上、残存するものは生体1個/2リットルのみとなり、明らかに除去されていることが解る。一方、対照とした砂濾過処理のみでは、総数15〜147個/2リットルと若干ながら増えている様子すら見られ、砂濾過処理のみでは十分な除去がし得ないことが解る。
次に、図2において、本発明の対象水とした活性炭処理水、試験区である紫外線・砂濾過処理水、対照区である砂濾過処理水、更には砂濾過の逆洗用水中の線虫類の存在状態を生体、死体、更には本発明の特徴である運動性を失った静止体に区分して測定した結果を示す。
状態判定の基準は、次の通りである。
生体は、顕微鏡観察下30秒間で明らかに動くもの。
死体は、直線状態を採り、1分間以上動かないもの。
静止体は、1分間以内に、僅かながらも動くもの、または体が直線状にならないもの。
として、それぞれを計測した。
【0028】
対象水である活性炭素処理水には、生体と死体に判断されるものが多く、生体と判定されたものの、大半は明瞭な運動性を示した。
試験区の紫外線処理を加えたものでは、死体数も2%程度は増加するが、大半は、運動性を著しく失い静止体と判定される状態となる。
次の砂濾過処理により、生体の一部のみが残存するものの、線虫類の大半は除去されていることが解る。
対象区の砂濾過処理のみでは、生体数、死体数ともに僅かではあるが増えている様子も見られる。
【0029】
特に、処理水中には、対象水と同程度の死体数が認められ、砂濾過層内で再繁殖している可能性が示唆された。
更に、紫外線・砂濾過処理水を、再度紫外線処理した逆洗用水中には、僅かに死体が見られる程度であり、逆洗用水による二次汚染は完全に防止されていることが解る。
また、本試験では、逆洗排水を原水接触池に回収しているが、第1表に見られるように、凝集沈殿、続くオゾン処理では、大半が不活性化されて死体となっており、何ら問題なく、本発明が機能していることが解る。
【0030】
【発明の効果】
本発明は、以上において詳細に説明したことから明らかなように、従来の水処理において困難であった、被処理水中に混入する後生動物の除去を、無駄なエネルギーを投入することなく、紫外線照射処理と砂濾過処理という比較的簡単な処理で、効率よく、容易かつ経済的に除去することができるので、極めて有益である。
本発明においては、紫外線照射処理においては後生動物が運動性を著しく失う程度の照射量を加えればよいので、紫外線照射量が少なくて良く、その運動性を著しく失った後生動物を砂濾過処理で分離することができる。さらに、その砂濾過装置で溜まった後生動物を逆洗で除去すれば、砂濾過装置で後生動物が増殖することを抑えられ、逆洗水中の後生動物を処理して除くことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する処理系統の一例を示す図面である。
【図2】本発明の対象水の処理別に、線虫類の存在状態を生体、死体、静止体に区分して測定した結果を示す。
【符号の説明】
1 原水
2 接触池
3 二酸化塩素
4 処理水
5 凝集剤
6 凝集沈殿地
7 処理水
8 オゾン接触池
9 処理水
10 活性炭接触池
11 対象水
12 中圧UVランプ方式紫外線照射装置
13a、13b 砂濾過池
14a、14b 処理水
15a、15b 処理水槽
16a、16b 逆洗ポンプ
17 紫外線照射装置
17a 紫外線照射装置で処理した水
18a 砂濾過池13aの逆洗排水
18b 逆洗ポンプ16bを経て返戻した水
Claims (5)
- 紫外線照射処理と砂濾過処理との組み合せで構成され、かつ、処理対象となる後生動物を含む被処理水を発光波長200〜300nmの光を出す中圧紫外線ランプからの紫外線を用いて被処理水に含まれる後生動物の運動性ならびに増殖能力を一時的に静止させるに必要な量の紫外線を照射する紫外線照射処理、静止状態の後生動物を砂濾過層で捕捉する砂濾過処理の順に通水することを特徴とする後生動物除去方法。
- 前段の紫外線照射処理は、発光波長200〜300nmの全殺菌紫外線照射量が処理水量に対する処理紫外線量換算で標的とする後生動物の90%殺菌必要線量以下の範囲にあり、後生動物の運動性を抑制することを特徴とする請求項1記載の後生動物除去方法。
- 後段の砂濾過処理は表洗及び支持層部に水逆洗及び空気洗浄の機能を持ち、水逆洗水には紫外線、酸化剤系消毒剤であるオゾン消毒剤の各処理水を用い、その逆洗頻度は砂濾過層で捕捉した、運動性が静止した後生動物がその運動性を回復する前までの時間で決定することを特徴とする請求項1記載の後生動物除去方法。
- 後段の砂濾過処理から排出される逆洗排水を紫外線、オゾンの併用もしくは単独処理で処理した後、系外に排出、もしくは前記紫外線照射処理と砂濾過処理との組み合せの工程より前段の処理工程における消毒工程の前工程に戻して回収することを特徴とする請求項3記載の後生動物除去方法。
- 発光波長200〜300nmの光を出す中圧紫外線ランプを用い、被処理水に含まれる後生動物の運動性ならびに増殖能力を一時的に静止させるに必要な量の紫外線を照射して処理をする紫外線照射処理装置と静止状態の後生動物を砂濾過層で捕捉する砂濾過装置との組み合せで構成され、かつ、処理対象となる後生動物を含む被処理水を紫外線照射処理装置、砂濾過装置の順に通水することを特徴とする後生動物除去装置。
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