JP3618516B2 - 液晶表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、偏光子を備えた液晶表示装置の面内温度分布を均一にし表示品位を向上させる技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来よりパソコンのモニタ用などマンマシンインタフェースの中核として、あるいは携帯用のテレビとして液晶表示装置が様々な分野で用いられている。
【0003】
液晶表示装置はマトリクス状に配列された表示絵素を選択することにより、表示絵素を透過する光の量を調節し文字や画像を表示している。
【0004】
液晶表示装置は熱陰極管あるいは冷陰極管を用いたバックライトユニットを備えている。
【0005】
図3にバックライトユニットとして低消費電力化及び薄型化のためエッジライト(サイドライト)型の液晶表示装置を示す。
【0006】
液晶表示装置は、冷陰極管5と導光板6からなるバックライトユニット2と液晶パネル1とを有しており、液晶パネル1の両表面には偏光子3、4が配置されている。
【0007】
液晶表示装置は、バックライトユニット2からの光が入射される入射側偏光子3によって液晶パネル1に入射される光を直線偏光にし、液晶パネル1に介在された光学的複屈折性をもった液晶分子を駆動回路からの駆動電圧で制御し、出射側偏光子4との組み合わせにより、透過光を制御して文字や画像等を表示する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来の液晶表示装置ではバックライトユニット2の冷陰極管5からの発熱により、液晶パネル1に熱が加えられる。
特にバックライトユニット2側にある入射側偏光子3がこの熱の影響を受け、偏光子3を支えている基材が膨張するが、この膨張が全面にわたって一様でないため、部分的に偏光の軸がずれてくる。
この偏光子の軸がずれると制御している光の透過率が変化し、表示がみだれ初期表示の不良や表示中の不良の発生原因となる。
【0009】
エッジライト型のバックライトユニット2は液晶表示装置の端の方に冷陰極管5があり、この部分から発熱が生じるので液晶パネル1の端の方だけ熱が加えられ、入射側偏光子3の基材の端の方だけが膨張し、偏光子の乱れが生じる。
【0010】
また、特開平6−313873号公報には、図4にその概略図を示すように、液晶表示装置を所定の温度範囲に設定する技術が開示されている。
【0011】
具体的には図4に示すように、液晶パネル1と、バックライト2と、温度規制用機能的基板9と、金属基板10が設けられており、熱を金属基板10を介して放熱させる構成が示されている。
【0012】
また、図4では、金属基板10を介して放熱することができるが、バックライトユニット2からの熱は恒久的に発せられるため、液晶パネルでの温度差は解消されない。
【0013】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、熱伝導むらによる表示不良を防ぐために、バックライトから伝わる熱を一様に発散し、偏光子の配列の乱れを抑制する液晶表示装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、偏光子が設けられた液晶パネルと、該液晶パネルの一方側に設けられたバックライトユニットとを備えた液晶表示装置において、前記液晶パネルの偏光子と前記バックライトユニットとの間に、熱伝導率が高く、かつ透光性の熱伝導層が前記液晶パネルの表示領域の全面にわたって配置され、前記熱伝導層は、前記液晶パネルの前記バックライトユニット側のみの前記偏光子の表面に熱伝導物質がコーティングされたものであり、前記バックライトユニットから前記偏光子に伝わる熱を均一化させ、上記熱伝導物質は、窒化アルミニウムであることを特徴としている。
【0018】
以下に本発明の作用を説明する。
【0019】
本発明の液晶表示装置では、バックライトユニットと前記偏光子との間に熱伝導率のよい熱伝導層を液晶パネルの表示領域の全面にわたって設けることにより、熱伝導層における温度分布が均一になるため、入射側偏光子の膨張の差による偏光子の配列の乱れを生じることがなく、更に熱を放熱する領域が広くバックライトユニットからの熱を効率よく均一に放熱することができるので、熱による偏光子の機能の低下を抑制することができる。
【0020】
また、前記熱伝導層が、他の放熱手段に熱を伝導しない独立した放熱手段であり、熱伝導層における温度差を発生させることなく温度分布を均一にすることができるため、入射側偏光子の膨張の差による偏光子の配列の乱れが生じることがなく、更に熱を放熱する領域が広く、バックライトユニットからの熱を効率よく均一に放熱することができる。
【0022】
また、熱伝導層として、偏光子の表面に熱伝導物質がコーティングされた熱伝導膜を用いることにより、液晶表示装置の厚みを薄くすることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
図1に本発明の実施形態1である液晶表示装置を示す。
【0024】
液晶パネル1は、スイッチング素子としてTFTを用いたアクティブマトリクス型液晶パネルであり、透明電極を蒸着した2枚の透明なガラス基板を貼り合わせ、該ガラス基板間に液晶分子を封入している。
【0025】
一方のガラス基板には、透明電極がマトリクス状に配置され、各透明電極毎に設けられたTFTによって液晶に印加される電圧を制御する。
【0026】
液晶パネル1の下面には入射側偏光子3が、上面には出射側偏光子4が貼り付けられており、用途に応じて互いの偏光軸を平行あるいは直交に組み合わせて用いる。
【0027】
上記液晶表示装置は、2本の冷陰極管5を導光板6の両端面に配置し、液晶パネル1側に光を放射するようにしたバックライトユニット2を有している。
【0028】
バックライトユニット2と入射側偏光子3の間に液晶パネル1の表示領域の全面に熱伝導シート7として厚さ10μmから500μmの透光性シリコンシートが設けられている。
【0029】
熱伝導シート7としては可視領域において光の透過率が70%以上で光学的異方性がないものが望ましく、透光性シリコンの他に、光の透過性の良いガラス基板あるいは透光性フィルム等のシート状物質の上に窒化アルミニウムやインジウム化合物等の熱伝導率の高い金属薄膜を透光性を有するように蒸着させたものでも良い。
【0030】
上記熱伝導シート7により、バックライトユニット2からの熱を液晶パネル1の面方向に広げ、液晶パネル1の面内の温度分布を均一にすることができる。
【0031】
液晶パネル1の面内の温度分布が均一であれば、入射側偏光子3の膨張の差による偏光子の配列の乱れが生じることもなく、表示不良が抑制される。
【0032】
図3に示す従来の液晶表示装置と熱伝導シート7を設けた本発明の液晶表示装置の冷陰極管5を点灯し室温で放置したところ、図3に示す従来の液晶表示装置では、液晶パネルのバックライトに近いA部の温度が液晶パネルの中央のB部の温度より13度高かったが、熱伝導シート7を設けた本発明の液晶表示装置では、図1のA部の温度とB部の温度との温度差は3度以内となった。
【0033】
さらに従来の液晶表示装置では図3のB部の画像がA部より劣化して見えたが、熱伝導シート7を設けた本発明の液晶表示装置では、図1のA部とB部の画質の差はなかった。
【0034】
また、本発明の液晶表示装置では、熱伝導率のよい熱伝導シート7を設けることにより、熱伝導シート7における温度分布が均一になるため、熱を放熱する領域が広く、バックライトユニット2からの熱を効率よく均一に放熱することができるので、偏光子のバックライトに近い部分とバックライトから離れた部分との温度差が低減され、熱による偏光子の機能の低下を抑制することができる。
【0035】
また、熱伝導層として熱伝導シート7を設けることにより、熱伝導層と偏光子との距離が離間されるため熱が偏光子に伝わりにくく、熱による偏光子の機能の低下を抑制することができる。
【0036】
なお、液晶パネル1は、絵素の1つ1つにスイッチング素子としてダイオードやトランジスタ等の能動素子を配置したアクティブマトリクス型の他にTN型、STN型、D−STN型、F−STN型などの液晶パネルでもよい。
【0037】
冷陰極管5は、1本でも良く、また図1の手前あるいは奥側の端面に配置してもよい。
【0038】
また、冷陰極管5の代わりに熱陰極管を用いてもよい。
【0039】
バックライトユニット2の代わりに、液晶パネルの下に冷陰極管あるいは熱陰極管を直接配した直下型のバックライトユニットを用いてもよい。
【0040】
(実施形態2)
図2に本発明の実施形態2の液晶表示装置を示す。
【0041】
本実施形態2の液晶表示装置は、実施形態1の熱伝導シート7の代わりに、入射側偏光子3のバックライトユニット2側の表面に金属薄膜を蒸着した熱伝導膜8を用いている。
【0042】
熱伝導膜8は、偏光子3の表面に窒化アルミニウムを透過光が影響を受けない程度に蒸着して形成し、窒化アルミニウムが蒸着された偏光子3を液晶パネル1のバックライトユニット2側に貼り合わせている。
【0043】
熱伝導膜8としては可視領域において光の透過率が70%以上で光学的異方性がないものが望ましく、窒化アルミニウムの他にアルミナやインジウム化合物等の金属薄膜を蒸着させても良い。
【0044】
熱伝導膜8を設けることにより、バックライトユニット2からの熱を液晶パネル1の面方向に広げ、液晶パネル1面内の温度分布を均一にすることができ、入射側偏光子3の膨張の差による偏光子の配列が乱れず、表示不良が抑制される。
【0045】
従来の液晶表示装置では図3のB部の画像がA部より劣化して見えたが、熱伝導膜8を設けた本発明の液晶表示装置では図2のA部とB部の画質の差はなかった。
【0046】
熱伝導膜8として、偏光子の表面にコーティングされた熱伝導物質を用いることにより、液晶表示装置の厚みを薄くすることができる。
【0047】
本実施形態ではバックライトユニット2の冷陰極管5は2本あるが、1本でも良く、図2の手前あるいは奥側の端面に配置したものでも構わない。
【0048】
また、冷陰極管5の代わりに熱陰極管を用いてもよい。
【0049】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、熱伝導率の高く、且つ透光性の熱伝導層をバックライトと偏光子との間に設けることにより、バックライトユニットから偏光子に伝わる熱を均一化し温度むらによる表示不良を抑制することができる。
【0050】
さらに、バックライトユニットの熱を効率よく発散し、液晶表示装置の機能の低下や画質の劣化などを防ぐことができる。
【0051】
また、本発明は、大型のパネルに適用することができるので、大型の液晶表示装置を提供することができる。
【0053】
また熱伝導層として、偏光子の表面に熱伝導物質がコーティングされた熱伝導膜を用いることにより、液晶表示装置の厚みを薄くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1である熱伝導シートを用いた液晶表示装置を示す断面図である。
【図2】本発明の実施形態2である熱伝導膜を用いた液晶表示装置を示す断面図である。
【図3】従来の液晶表示装置を示す断面図である。
【図4】従来の他の液晶表示装置を示す断面図である。
【符号の説明】
1 液晶パネル
2 バックライトユニット
3、4 偏光子
5 冷陰極管
6 導光板
7 熱伝導シート
8 熱伝導膜
Claims (1)
- 偏光子が設けられた液晶パネルと、該液晶パネルの一方側に設けられたバックライトユニットとを備えた液晶表示装置において、
前記液晶パネルの偏光子と前記バックライトユニットとの間に、熱伝導率が高く、かつ透光性の熱伝導層が前記液晶パネルの表示領域の全面にわたって配置され、
前記熱伝導層は、前記液晶パネルの前記バックライトユニット側のみの前記偏光子の表面に熱伝導物質がコーティングされたものであり、前記バックライトユニットから前記偏光子に伝わる熱を均一化させ、
上記熱伝導物質は、窒化アルミニウムであることを特徴とする液晶表示装置。
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