JP3618410B2 - 食肉用冷却洗浄槽の汚水回収システム - Google Patents

食肉用冷却洗浄槽の汚水回収システム Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、食肉の冷却洗浄槽の汚水の一部を回収して再利用するようにした食肉用冷却洗浄槽の汚水回収システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
食肉、例えば鳥肉のブロイラー工場においては、鳥肉移送ラインに従って連続的に移送される鳥肉を洗浄するために、複数の冷却洗浄槽が、前記鳥肉移送ラインに沿って配列されている。
【0003】
鳥肉移送ラインに従って移送される鳥肉は、各冷却洗浄槽内の冷却水中に順次浸漬させられ、冷却水中を通過する過程で冷却されると共に徐々に洗浄される。最終冷却洗浄槽内の冷却水により最終の洗浄処理がなされた鳥肉は、鳥肉移送ラインに従って最終冷却洗浄槽から引上げられた後、次の処理工程に向かって移送される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記各冷却洗浄槽のうち、最終冷却洗浄槽内に殺菌された清水(上水)が導入される。各冷却洗浄槽は導管を介して互いに直列に連結され、最前の冷却洗浄槽には汚水を槽外に排出する排出口が設けられている。したがって、冷却洗浄水は、最終冷却洗浄槽から最前の冷却洗浄槽に向かって流れ、最前の冷却洗浄槽から汚水として槽外に排出される。すなわち最前の冷却洗浄槽内の汚水はその排出口から下水として全て排出され、汚水の有効利用が図られていない。また汚水の全量が排出されるので、汚水の処理量が大量となって汚水処理設備が大掛かりとなり、汚水処理費用が嵩むこととなる。
【0005】
本発明は前記した事実に基づいてなされたもので、その目的は、食肉の冷却洗浄槽内の汚水の一部を浄化して冷却洗浄槽内に回収することにより、冷却洗浄槽内の汚水を再利用すると共に汚水の処理量を低減することができる、新規な食肉用冷却洗浄槽の汚水回収システムを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明による食肉用冷却洗浄槽の汚水回収システムにおいては、製氷作用において水の浄化が行なわれる現象に着目し、食肉の冷却洗浄槽内の汚水を氷蓄熱槽内に導入して氷を生成し、この氷を冷却洗浄槽内に回収して再利用すると共に氷蓄熱槽内に残る濃縮された汚水を下水として排出するようになす。
【0007】
すなわち本発明に係る食肉用冷却洗浄槽の汚水回収システムの第1の特徴は、移送される食肉を冷却しながら洗浄するための冷却洗浄槽と、冷凍サイクル中の氷生成用の蒸発器が内部に設置された氷蓄熱槽とを備え、前記冷却洗浄槽内の汚水を前記氷蓄熱槽内に導入してこの汚水から氷を生成し、この氷を前記冷却洗浄槽内に回収すると共に前記氷蓄熱槽内に残る濃縮された汚水を下水として排出することである。
【0008】
また本発明に係る食肉用冷却洗浄槽の汚水回収システムの第2の特徴は、前記構成に加えて、前記冷却洗浄槽を含む複数の冷却洗浄槽が配列され、前記冷却洗浄槽のうち最終冷却洗浄槽の上流側に配列された前記冷却洗浄槽内に、前記氷蓄熱槽内で生成された氷が投入されることである。
【0009】
【作用】
本発明は前記のように構成されているので、冷却洗浄槽内の汚水はその排出口から下水として排出される前に一旦氷蓄熱槽内に導入される。氷蓄熱槽内に導入された汚水の一部は、その内部に設置された冷凍サイクル中の蒸発器によって凍結されることにより氷となる。この製氷過程において、汚水は浄化される。蒸発器により生成された氷は蒸発器の脱氷動作によって離脱し、氷蓄熱槽の上部に浮上する。この氷を冷却洗浄槽内に回収することにより、鳥肉の冷却に再利用される。すなわち回収された氷は冷却洗浄槽内の冷却水を再冷却すると共に融解により冷却水を浄化するよう作用する。鳥肉洗浄による汚水は有効に再利用され、稼働効率が向上する。
【0010】
以上のようにして氷蓄熱槽内の汚水の一部は製氷される。
そして、汚水は製氷した際に、特に緩慢凍結を行なった場合浄水部分のみが凍結し、汚水が凍結されないために、前記凍結により汚水の濃縮と浄水の製氷が可能となる。
したがって氷蓄熱槽内の汚水のうち凍結しない残された汚水は濃縮され、該濃縮された汚水は氷蓄熱槽外へ下水として排出される。
又前記汚水の製氷を行なう事により、製氷された氷はきれいである為に、これを再度冷却洗浄槽に戻しても問題が生じる事がない。
又本氷蓄熱槽は、鳥肉洗浄による汚水から製氷により浄水を分離生成する機能を有し、その結果、汚水の処理量が低減され、汚水処理設備が縮小されるので、汚水処理費用が低減される。
【0011】
本発明においてはまた、前記構成に加えて、前記冷却洗浄槽を含む複数の冷却洗浄槽が配列され、前記冷却洗浄槽のうち最終冷却洗浄槽の上流側に配列された前記冷却洗浄槽内に、前記氷蓄熱槽内で生成された氷が投入されるよう構成される。
この理由は、前記蓄熱槽で生成された氷は、きれいな氷であるが、該氷を搬送する際に蓄熱槽内の汚水を利用して搬送するために、IPFをいくら高くしても汚水が再投入されるのをされるのを避けられない。
そこで最終冷却洗浄槽内に前記氷とともに汚水が投入されると食肉の汚れにつながる。
そこで本発明は最終冷却洗浄槽の上流側の中間若しくは最上流側の冷却洗浄槽内に前記氷を投入するようにしている。
尚、最終冷却洗浄槽内に導入された冷却水は最上流側の氷蓄熱槽に向かって流れ、徐々にその温度が上昇する傾向にあるが、この構成によれば、最終冷却洗浄槽の上流側の冷却洗浄槽内に前記氷が投入されるので、冷却水の温度は逆に低下させられると共に浄化させられる。その結果、鳥肉の冷却効果が一層向上されると共に一層清潔な洗浄が遂行される。
【0012】
【実施例】
以下、添付図面を参照して、本発明に従って構成された食肉用冷却洗浄槽の汚水回収システムの実施例を説明する。本発明の第1の実施例を示す図1を参照して、2は冷却洗浄槽、4は鳥肉移送ラインをそれぞれ示している。冷却洗浄槽2内には導管6から冷却されかつ殺菌された清水が連続的に導入されている。鳥肉移送ライン4は、トランスファチェーン7を備え、トランスファチェーン7にはハンガ8が間隔を置いて装着されている。ハンガ8の下端に設けられた図示しないフックには、それぞれ鳥肉10が引っ掛けられることにより保持されている。トランスファチェーン7は、ハンガ8によって吊り下げられて図1の右から左へ移送される鳥肉10が冷却洗浄槽2の手前の上方から徐々に降下し、冷却洗浄槽2内の冷却水内に浸漬されて移送された後、徐々に上昇して冷却水から引き上げられ、次の処理工程に向かって移送されるよう構成されている。各鳥肉10は、冷却洗浄槽2内の冷却水内に浸漬されて移送される過程で冷却されながら洗浄される。
【0013】
冷却洗浄槽2には排出管12が接続されている。14は氷蓄熱槽(図3も参照)であって、別に設けられた冷凍サイクル(氷蓄熱システム)16中の氷生成用の蒸発器18がその内部に設置されている。前記排出管12の端部は氷蓄熱槽14の上方からその内部に向かって開口しており、排出管12から排出された冷却洗浄槽2内の汚水は氷蓄熱槽14内に導入される。なお、冷凍サイクル16についてはのちに詳しく説明する。
【0014】
20は氷搬送管であって、その一端は氷蓄熱槽14内に開口し、他端は冷却洗浄槽2の上部において冷却洗浄槽2内に向かって開口している。22は氷搬送管20の上流位置に設置された氷搬送用のポンプ、24は氷搬送管20の、ポンプ22の下流側に設けられた氷/水分離器である。
【0015】
氷/水分離器24は、氷搬送管20の一部と、その周囲を間隔を置いて包囲する大径の外管とからなる2重管構造をなしている。大径の外管に覆われた氷搬送管20の一部には複数個の貫通孔が形成されている。ポンプ22によって氷と共に搬送される水(汚水)の大部分は氷/水分離器24を通過する過程で、氷搬送管20の一部に形成された前記貫通孔から外管内に分離され、IPFの調整が行なわれる。分離された汚水は、氷/水分離器24と氷蓄熱槽14とを接続する戻し管26により氷蓄熱槽14内に戻される。
【0016】
冷凍サイクル16が作動すると、蒸発器18の製氷作用によって氷蓄熱槽14内に導入された汚水の一部から氷28が生成される。冷凍サイクル16はまた、後述するように蒸発器18により生成されそれに付着した氷28を蒸発器18の熱交換器に温冷媒を導入する事により脱氷させる機能をも有している。この脱氷動作により、生成された氷28は蒸発器18から脱氷させられ、氷蓄熱槽14の上部に浮上する。なお蒸発器18に関連して当業者には周知のものでよいバブリング装置を設置し、この装置を適宜作動(バブリング)させるよう構成することもできる。バブリングによって前記した脱氷作用が効果的に行なわれる。
【0017】
前記ポンプ22を作動させると、氷蓄熱槽14の上部に浮上した氷28は氷/水分離器24によりIPFを調整した後、氷搬送管20を介して搬送され、氷洗浄槽2内に回収される。回収された該氷28は冷却洗浄槽2内の冷却水を再冷却すると共に融解により冷却水を浄化するよう作用する。このようにして鳥肉洗浄による冷却洗浄槽2内の汚水はそのまま下水として捨てられることなく有効に再利用され、システム全体の稼働効率が向上する。
【0018】
他方、氷蓄熱槽14内の汚水のうち凍結しない残された汚水は、前記製氷により濃縮される。濃縮された汚水は氷蓄熱槽14に設けられた排出管29を介して槽外へ下水として排出される。これにより汚水の処理量が低減され、汚水処理設備が縮小されるので、汚水処理費用が低減される。
【0019】
次に図2を参照して、本発明の第2の実施例を説明する。なお図2において、図1と実質上同一部分は同一番号で示し、詳細な説明は省略する。本発明の第2の実施例においては、複数、この実施例においては3つの冷却洗浄槽30、2及び32が、鳥肉移送ライン4に沿って鳥肉10の移送方向である図2の右から左へその順に配置されている。鳥肉移送ライン4に沿って移送される鳥肉10の最終洗浄が行なわれる最終冷却洗浄槽32内には、導管6から冷却されかつ殺菌された清水が連続的に導入される。最終冷却洗浄槽32とその前に配置された冷却洗浄槽2及び冷却洗浄槽2とその前に配置された最前の冷却洗浄槽30とは、それぞれ導管34及び36を介して互いに直列に連結されている。最前の冷却洗浄槽30には汚水を槽外に排出する排出管12が接続されている。排出管12の端部は、前記氷蓄熱槽14の上部からその内部に向かって開口している。したがって、導管6から最終冷却洗浄槽32内に導入された冷却洗浄水は、導管34、冷却洗浄槽2、導管36及び冷却洗浄槽30の順に鳥肉10の移送方向に対して逆方向である図2の左から右に流れ、最前の冷却洗浄槽30から汚水として槽外の氷蓄熱槽14内に排出される。
【0020】
トランスファチェーン7は、ハンガ8によって吊り下げられて移送される鳥肉10が冷却洗浄槽30の手前の上方から徐々に降下し、冷却洗浄槽30内の冷却内に浸漬されて移送された後、徐々に上昇して冷却水から引き上げられ、次いで冷却洗浄槽2及び32の順に同様な作用が行われ、最終冷却洗浄槽32内の冷却水内から引き上げられた後、次の処理工程に向かって移送されるよう構成されている。鳥肉10は、冷却洗浄槽30、2及び32内の冷却水内に順次浸漬されて移送される過程で冷却されながら三次、二次及び一次の洗浄が遂行される。
【0021】
一次の洗浄が遂行される最前の冷却洗浄槽30内の汚水は、排出管12から連続的に氷蓄熱槽14内に導入される。先に説明したように、氷蓄熱槽14内には、冷凍サイクル(氷蓄熱システム)16中の氷生成用の蒸発器18が設置され、また、氷蓄熱槽14と最終冷却洗浄槽32の前に配置された冷却洗浄槽2との間には氷搬送管20が配置されている。氷搬送管20の一端は氷蓄熱槽14内に開口し、他端は冷却洗浄槽2の上部からその内部に向かって開口している。22は氷搬送管20の上流位置に設置された氷搬送用のポンプ、24は氷搬送管20の、ポンプ22の下流側に設けられた氷/水分離器である。
【0022】
冷凍サイクル16が作動すると、前記したように蒸発器18の製氷作用によって氷蓄熱槽14内に導入された汚水の一部から氷28が生成される。生成された氷28は温熱冷媒により蒸発器18から脱氷させられ、氷蓄熱槽14の上部に浮上する。
【0023】
前記ポンプ22を作動させると、氷蓄熱槽14の上部に浮上した氷28は氷/水分離器24によりIPFを調整した後、氷搬送管20を介して搬送され、氷洗浄槽2内に回収される。最終冷却洗浄槽32内に導入された冷却水は最前の氷蓄熱槽30に向かって流れ、徐々にその温度は上昇する傾向にある。しかしながらこの構成によれば、最終冷却洗浄槽32の前の冷却洗浄槽2内に前記氷28が回収されるので、最前の氷蓄熱槽30に向かって流れる冷却水は冷却洗浄槽2において改めて冷却される。
したがって冷却水の温度は逆に低下させられると共に氷28の融解により浄化させられる。その結果、鳥肉の冷却効果が一層向上されると共に一層清潔な洗浄が遂行される。
又本実施例においては最終冷却洗浄槽32の上流側の中間冷却洗浄槽2内に前記氷を投入するようにしている為に、前記蓄熱槽で生成された氷を蓄熱槽14内の汚水を利用して搬送する場合でも最終冷却洗浄槽内には汚水が投入されず、汚水/氷の投入によっても食肉の汚れにつながらない。
【0024】
氷蓄熱槽14内の汚水のうち凍結しない残された汚水は、濃縮される。濃縮された汚水は氷蓄熱槽14に設けられた排出管29を介して槽外へ下水として排出される。これにより汚水の処理量が低減され、汚水処理設備が縮小されるので、汚水処理費用が低減される。
【0025】
次に、前記した食肉用冷却洗浄槽の汚水回収システムに適用される冷凍サイクル(氷蓄熱システム)16を、図3及び図4を参照して詳細に説明する。図4において、40はガス冷媒を圧縮する圧縮機、42は圧縮機40を駆動する電動モータ、44はこの加圧ガス冷媒を冷却空気等により冷却して液化させる凝縮器、46はレシーバである。
【0026】
14は前記氷蓄熱槽、18a、18bは氷蓄熱槽14内に設けられた蒸発器、48a、48bは膨張弁、50a、50bは膨張弁48a、48bをバイパスするバイパス管路52、54に設けられた開閉弁、56a、56bは三方弁であって、前記レシーバ46と蒸発器18a、18bとを接続する冷媒管路58、60に設けられている。
【0027】
前記蒸発器18a、18bは、この実施例では2個示されているが、これに限定されることなく複数個設けられ、通常そのうちの1個毎に脱氷動作できるように構成されている。
すなわちこの実施例において、蒸発器18aを脱氷動作させる際には、膨張弁48aを閉、バイパス管路52の開閉弁50aを開、他方の製氷動作用蒸発器18bへの膨張弁48bを開、バイパス管路54の開閉弁50bを閉として、蒸発器18aにレシーバ46に貯蔵された温熱の液体冷媒を供給するようになっている。
【0028】
62は液分離器、64a、64bは四方弁である。また66は四方弁64aと蒸発器18bへの冷媒管路60の膨張弁48bの上流側とを接続する分岐管路、68は四方弁64bと蒸発器18aへの冷媒管路58の膨張弁48aの上流側とを接続する分岐管路、70は前記四方弁64a、64bと液分離器62とを接続する分岐管路である。
【0029】
72は脱水動作中の蒸発器18aと前記四方弁64aとを接続する冷媒管路、74は製氷動作中の蒸発器18bと前記四方弁64bとを接続する冷媒管路である。76は圧縮機40出口と凝縮器44とを接続するガス冷媒管路、78、80は該ガス冷媒管路76から分岐されて三方弁56a、56bに夫々接続されるホットガス用の冷媒管路である。
【0030】
また前記液分離器62の内部には圧縮機40出口のガス冷媒管路76から分岐された冷媒管路82が接続され、液分離器62内の上部空間は管路84を介して凝縮器44に接続され、さらに、液分離器62の下部は管路86を介してレシーバ46に接続されている。
【0031】
前記氷蓄熱槽14の内部構成を示す図3において、12は氷蓄熱槽14の上部空間に連通される前記排水管、29は前記槽14の下部に連通される前記排出管であり、前記蒸発器18を構成する蒸発器18a、18bは槽14の底部に多数並置されている。氷蓄熱槽14内には排出管12から前記冷却洗浄槽2又は30からの汚水が導入される。28はこの汚水から生成された氷である。
【0032】
前記のように構成された冷凍サイクル16において、蒸発器18aを脱氷動作、蒸発器18bその他(図示していないが、1個又は複数個設置可能である)を製氷動作させる場合について説明する。図示しない弁開閉制御装置により、蒸発器18a(脱水)用の膨張弁48aは閉、バイパス管路52の開閉弁50aは開、蒸発器18b(製氷)用の膨張弁48bは開、バイパス管路54の開閉弁50bは閉のように開閉操作されている。
【0033】
凝縮器44により冷却されレシーバ46に溜まった液体冷媒は、三方弁56a(このときレシーバ出口管路88と管路58とを連通)、バイパス管路52、開閉弁50aを経て氷蓄熱槽14内の蒸発器18aに導入され、ここで蒸発器18aに生成されている氷28と蒸発器18a内の熱交換管を介して接触し、これを蒸発器18aから脱氷させる。蒸発器18aから脱氷させられた氷28は図3に示されているように、槽14内を浮上して上方に溜まる。
【0034】
脱氷作用により過冷却された冷液媒は管路72を経て四方弁64aに入る。このとき四方弁64aは、管路72と分岐管路66及び分岐管路70とを連通し、圧縮機40への管路90側を遮断するように弁開閉制御装置(図示せず)により設定されている。
【0035】
したがって前記過冷却された液体冷媒は、一部が分岐管路70を経て液分離器62へ、残部が分岐管路66を経て製氷動作にある蒸発器18bへの冷媒管路60へそれぞれ送給される。分岐管路70及び66への流量の分配割合は、前記弁開閉制御装置によって四方弁64aの通路面積を調整することにより行なう。
【0036】
液分離器62には圧縮機40出口のガス冷媒が管路82を介して導入されているので、該液分離器40に導入された過冷却冷媒は前記高温高圧のガス冷媒と混合せしめられる。これによりガス冷媒は冷却されてその大部分が液化されると共に、過冷却液体冷媒はガス冷媒と熱交換することによりその一部が蒸発させられる。これら混合液冷媒は管路86を経てレシーバ46に送られる。液化されなかったガス冷媒は液分離器62の上部から管路84を介して凝縮器44に送られ、ここで冷却され液化される。
【0037】
なお、前記液分離器62においては、前記過冷却液冷媒との混合により圧縮機40出口のガス冷媒の全量を液化させることも可能である。この場合は、凝縮器44への負荷が無くなり、稼働効率がより上昇する。
【0038】
一方四方弁64aから分岐管路66に導入された過冷却液体冷媒は冷媒管路60に入って凝縮器44からの液体冷媒と合流する。この過冷却液体冷媒との混合より降温させられた液体冷媒は膨張弁48bを経て蒸発器18bに導かれ、氷蓄熱槽14内の汚水から気化熱を奪って該汚水を氷結させる。
【0039】
蒸発器18bでの製氷動作により気化された冷媒は管路74をへて四方弁64bに到達する。このとき四方弁64bは、管路74と管路92とを連通し、分岐管路90及び分岐管路68を遮断するように調整されている。
したがって前記ガス化された冷媒は四方弁64bから管路92を経て圧縮機40の吸入口に導入され、次のサイクルに入る。
【0040】
なお、蒸発器18aにおける脱氷動作時にレシーバ46からの液体冷媒の熱量が不足する際には、三方弁56aを操作して圧縮機40出口の高温、高圧ガス冷媒を管路78を経て管路58中の液体冷媒中に導入し、これを昇温させる。
【0041】
また、蒸発器18bを脱氷動作、蒸発器18aを製氷動作とする際には、膨張弁48bを閉、開閉弁50bを開、膨張弁48aを開、開閉弁50aを閉とし、凝縮器44から液体冷媒を管路60、バイパス管路54、開閉弁50b、蒸発器18b、管路74を経て四方弁64bに導く。
【0042】
四方弁64bは、管路74と分岐管路68及び分岐管路70とを連通し、管路90を遮断するように開閉制御されている。
【0043】
したがって四方弁64bを経た過冷却液体冷媒の一方は、分岐管路70を経て液分離器62に導入され、前記と同様に圧縮機40出口のガス冷媒と混合させられ、他方は分岐管路68を経て管路58内の液体冷媒と合流し、膨張弁48aを経て蒸発器18aに導入され、前記と同様に製氷動作を行なう。
【0044】
以上説明した冷凍サイクル(氷蓄熱システム)16はそれ自体新規な発明をなし、その第1の特徴とするところは、蒸発器における脱氷作用によって過冷却状態となった冷媒を圧縮機出口の冷媒に混入させれば凝縮器の冷却エネルギすなわち負荷を低減させうることに着目し、圧縮機から吐出されたガス冷媒を冷却して液化する凝縮器と氷蓄熱槽内に複数個設けられて前記凝縮器から膨張弁を経た冷媒を蒸発させて前記氷蓄熱槽内に導入された原水(前記実施例においては冷却洗浄槽2又は30から導入された汚水)から氷を生成する蒸発器と、前記凝縮器の液冷媒出口から前記膨張弁をバイパスして前記蒸発器に接続される脱氷液体冷媒管路とを備えた冷凍サイクルにおいて、前記膨張弁をバイパスして脱氷工程にある蒸発器通過により奪熱された液冷媒と前記圧縮機出口のガス冷媒とを混合して該液冷媒によりガス冷媒を冷却する液分離器を設けたことである。
【0045】
またこの冷凍サイクル16は、前記の構成に加えて、前記脱氷工程にある蒸発器の冷媒出口を分岐して、一方の分岐管路を前記液分離器に接続し、他方の分岐管路を製氷工程にある他の蒸発器への冷媒管路の膨張弁上流側管路に接続したことを第2の特徴としている。
【0046】
以上のようにこの実施例に係る冷凍サイクル16にあっては、脱氷動作を行なう側の蒸発器18aを経た過冷却状態にある液体冷媒を、液分離器62にて圧縮機40から吐出された高温、高圧のガス冷媒と混合させるので、該液分離器62が凝縮器の機能を果たし、運転条件によっては、圧縮機40出口のガス冷媒のほぼ全量を液化させることができるので、凝縮器44の負荷が大きく低減される(負荷をほぼゼロとしうる)。これにより冷凍サイクルの稼働コストが大幅に低減される。
【0047】
また、弁の開閉を切り換えるのみで製氷と脱氷とを連続的に行なうことができ、高圧の冷媒液により脱氷作用をさせているので脱氷作用のためのエネルギ損失はない。
【0048】
したがって、以上のように構成された冷凍サイクルを、本発明に係る前記食肉用冷却洗浄槽の汚水回収システムに適用した場合には、該システム全体の稼働効率が向上すると共に、稼働コストが大幅に低減される。
【0049】
以上、本発明による食肉用氷洗浄槽の汚水回収システムを実施例について説明したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形あるいは修正が可能である。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、食肉の冷却洗浄槽内の汚水を氷蓄熱槽内に導入して氷を生成し、この氷を冷却洗浄槽内に回収すると共に氷蓄熱槽内に残る濃縮された汚水を下水として排出するようになされているので、食肉の冷却洗浄槽内の汚水の一部を浄化して回収・再利用すると共に汚水の処理量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従って構成された食肉用氷洗浄槽の汚水回収システムの第1の実施例を示す概略図。
【図2】本発明に従って構成された食肉用氷洗浄槽の汚水回収システムの第2の実施例を示す概略図。
【図3】前記各実施例に使用される氷蓄熱槽の斜視概略図。
【図4】前記氷蓄熱槽を含む冷凍サイクルの実施例を示す構成図(系統図)。
【符号の説明】
2 冷却洗浄槽
4 鳥肉移送ライン
10 鳥肉
12 排出管
14 氷蓄熱槽
16 冷凍サイクル(氷蓄熱システム)
18 蒸発器
20 氷搬送管
22 ポンプ
28 氷
29 排出管
30 最前の冷却洗浄槽
32 最終冷却洗浄槽

Claims (2)

  1. 移送される食肉を冷却しながら洗浄するための冷却洗浄槽と、冷凍サイクル中の氷生成用の蒸発器が内部に設置された氷蓄熱槽とを備え、
    前記冷却洗浄槽内の汚水を前記氷蓄熱槽内に導入してこの汚水から氷を生成し、この氷を前記冷却洗浄槽内に回収すると共に前記氷蓄熱槽内に残る濃縮された汚水を下水として排出することを特徴とする食肉用冷却洗浄槽の汚水回収システム。
  2. 前記冷却洗浄槽を含む複数の冷却洗浄槽が配列され、前記冷却洗浄槽のうち最終冷却洗浄槽の上流側に配列された前記冷却洗浄槽内に、前記氷蓄熱槽内で生成された氷が投入される請求項1記載の食肉用冷却洗浄槽の汚水回収システム。
JP20176095A 1995-07-14 1995-07-14 食肉用冷却洗浄槽の汚水回収システム Expired - Fee Related JP3618410B2 (ja)

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