JP3617858B2 - 双方向通信システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばCATV(Cable Television)網を利用して、中央情報通信制御装置と、各々情報処理機器が接続された複数の通信制御との間で、データの双方向伝送を行なう双方向通信システムおよびその中央情報通信制御装置並びに端末用通信制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報化社会の進展に伴ない、高速で広帯域のデータ通信の要求が企業ユーザだけでなく家庭ユーザからも高まってきている。そこで、伝送路を双方向化したCATV網が特に注目を集めている。この種のシステムであれば、多数の家庭ユーザに対し、電話やCATVなどの基本的なサービスのほかに、チケット予約やカタログ販売等のオンラインサービスやインターネットアクセスなどのデータ通信サービスを提供することが可能である。
【0003】
ところで、CATV網を利用した双方向データ通信サービスを提供するに当たっては、データを効率良く伝送することと、障害時や高負荷時に如何に安定したデータ通信サービスをユーザに提供するかが重要な課題となる。
【0004】
一般に双方向通信システムでは、中央情報通信装置が各通信制御装置へデータを伝送する場合には、データを下り伝送路(中央情報通信制御装置から通信制御装置へ向かう伝送路)を介して放送形式で全ての通信制御装置に伝送しているのに対し、各通信制御装置が中央情報通信制御装置へデータを伝送する場合には、通信制御装置が上り伝送路(各通信制御装置から中央情報通信制御装置へ向かう伝送路)上の通信チャネルを共用してデータを伝送するようにしている。このため、データを送信する際に通信制御装置が上り伝送路上の通信チャネルを如何に獲得するかが、システムのトラヒック特性や障害の影響範囲、高負荷時の安定度などのシステムパフォーマンスを決める重要な要素となる。
【0005】
複数の端末が伝送路を共有する方式は従来よりLANに代表される通信システムで数多く提案されているが、大別するとコンテンション(競合)型とコンテンションフリー型の2つにタイプに分類される。
【0006】
以下、それぞれタイプの代表的な方式について説明する。
【0007】
(1)コンテンション型のアクセス方式
(1−1)ALOHA方式
この方式は、送信しようとする通信制御装置が他の通信制御装置が伝送路を使用しているか否かに拘らず、全く自分勝手にパケットを送信する方式である。また、送信が成功したか否かは下り伝送路を介して中央情報通信制御装置(もしくは相手装置)から応答が返送されるか否かによって判断される。パケットには誤り検出符号が付加されており、衝突が起きた場合は正しく受信されないため、応答が返送されない。規定された時間以内に応答が帰って来なければ、ランダムに設定した時間だけ待ったのちデータの再送を行なう。この方式は、通信制御装置の処理が単純になる反面、ネットワークに接続する通信制御装置の数が多くなると衝突を起こす確率が高くなるため、伝送路の使用効率が悪くなるという欠点がある。
【0008】
(1−2)CSMA(Carrier Sense Multiple Access )方式
この方式は、ALOHA方式を改良して衝突発生の確率を低くしたものであり、送信する通信制御装置がパケットの送信に先立ち伝送路を観測して、他の通信制御装置が伝送路を使用しているか否かを判定(キャリアセンス)する。そして、伝送路が空きであればパケットを送信し、伝送路が使用中であれば空きになるまで待機する方式である。
【0009】
(1−3)CSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection) 方式
この方式は、前述したCSMA方式に、送信中のパケット衝突検出機能およびパケット送信中断機能を付与したものであり、有線LANの一つであるイーサネット(IEEE802.3 )のアクセス方式に採用されている方式である。この方式は、各通信制御装置において送信に先立ち他の通信制御装置が伝送路を使用しているか否かを判定し、伝送路が空きであればパケットを送信する。一方、他の通信制御装置が伝送路を使用中であれば伝送路が空きになるまで待機した後、パケットを送信する。そして、パケット送信後に送信側の通信制御装置において伝送路の状態をモニタすることにより送信パケットの衝突の有無を調べ(パケット衝突検出)、衝突を検出したならばパケットの送信を停止し、再度データを送り直す処理(パケット送信中断)を行なっている。そのため、パケット衝突時の無効なデータ送出期間をCSMA方式より短くすることができるため、CSMA方式より伝送路の使用効率が高くなる。
【0010】
(2)コンテンションフリー型のアクセス方式
コンテンションフリー型の方式は、衝突が発生しないように通信チャネルを分けるかもしくはスケジューリングを行なう方式である。
【0011】
(2−1)固定チャネル割当て方式
時分割多重(TDM)、周波数分割多重(FDM)、符号多重(CDM)あるいはこれらの組み合わせによって一本の伝送路上で複数の通信チャネルを構成し、中央情報通信制御装置が各通信制御装置毎に通信チャネルを固定的に割り当てる方式である。この方式は、衝突は発生しないが、通信制御装置の数と同じ数の通信チャネルが必要となるという欠点がある。
【0012】
(2−2)デマインド・アサイン方式
各通信制御装置はデータの送信に先だって通信チャネルの割当てを中央情報通信制御装置に要求し、中央情報通信制御装置がこの要求を受けて通信チャネルの割当てを決定し通信制御装置に通知する。通信制御装置は割り当てられた通信チャネルを使ってデータを送信し、データ送信終了後割り当てられた通信チャネルを解放する。この方式は、統計多重効果によって必要な通信チャネル数は固定チャネル割当て方式よりも少なくすることができるが、トラヒックの高低に関係なく通信チャネル割当てのためのオバ−ヘッドを必要とする。このため、トラヒックが低いときには待ち時間はコンテンション方式よりも長くなる。
【0013】
以上、コンテンション(競合)型とコンテンションフリー型の各々のアクセス方式についてその代表的なものを説明した。一般に、コンテンション(競合)型のアクセス方式とコンテンションフリー型のアクセス方式とのトラヒック特性をまとめて整理すると以下のことが言える。
【0014】
a.コンテンション型のアクセス方式のトラヒック特性
トラヒックが低い時には、相手に早くデータを届けることができるが、トラヒックがあるしきい値を越えると衝突によってスループットが低下し、同時に網内遅延時間も急激に増加する。網内遅延時間はその時のトラヒック状況に応じて変化するため、サービス提供に当たってユーザに網遅延時間を保証することは困難である。
【0015】
b.コンテンションフリー型のアクセス方式のトラヒック特性
トラヒックの高低に関係なくスケジューリングのためのオーバヘッドが存在するため、トラヒックの低い場合には平均的な網内遅延時間はコンテンション方式よりも長い。しかし、網内遅延時間はトラヒックに関係なく一定であるため、ユーザに網内遅延時間を保証したサービスを提供できる。
【0016】
ところで、データ通信サービスを一般家庭ユーザに提供する双方向通信システムは、LANのように企業内や学校内などの仲間どうしでデータ通信を行なうシステムとは異なり、不特定多数のユーザに対しサービスを提供する。このため、アクセス方式を検討する際には、上述したようなトラヒック特性だけでなく、故障してデータを送信し続ける状態になった端末装置の存在や、悪意を持ったユーザの存在も考慮してシステムの安定性を考慮する必要がある。
【0017】
例えば、通信制御装置に接続された情報処理機器が故障してデータを送信し続けた場合や、悪意を持ったユーザが情報処理機器のソフトウェアを改造して、ネットワークに過剰なトラヒックを発生させようとした場合などが上げられる。実際に、情報処理装置にどういったソフトウエアを搭載するかはユーザの自由であり、また少しでもTCP/IP等のネットワーク・プログラムの開発(作成)を経験したことのあるユーザであれば、データを出し続けるようなプログラムを作成して、ネットワークに故意に過剰なトラヒックを入力することは容易に行ない得る。
【0018】
通信制御装置のアクセス方式に、従来のALOHA方式やCSMA方式、CSMA/CD方式に代表されるコンテンション(競合)型のアクセス方式を採用した場合、上述したように通信制御装置に接続された情報処理機器が故障してデータを出し続けた場合や、悪意を持ったユーザが情報処理機器のソフトウェアを改造してネットワークに過剰なトラヒックを発生させようとした場合には、他のユーザは送信権を獲得し難くなったり、仮に送信権を得たとしても衝突が発生してデータ伝送を行なえなくなるなどの影響を受ける。また、システム運用中に、データベースの検索やオンライン・ショッピングなどのオンライン・サービスを利用している多数のユーザがある時に一斉にデータを送信するような場合のように、ある時間帯で高トラヒックが発生することは十分考えられる。
【0019】
一方、コンテンションフリー型のアクセス方式の場合、一般に中央情報通信制御装置が各通信制御装置の送信許可/不許可を判定して通信チャネルを割り当てるため、どの通信制御装置が故障して信号を出し続けているのかを中央情報通信制御装置において見つけ易い。また、他の通信制御装置の全てを他の安全な通信チャネルを使うように変更させることも行ない易い。
【0020】
以上説明したように、コンテンションフリー型の方式は、網内遅延時間が保証される、故障ためや悪意に信号を出し続ける通信制御装置が存在してもその影響範囲が小さく対策を施しやすいなどの利点を有しており、このため家庭ユーザなど不特定多数を対象にデータ通信サービスを提供する場合には、コンテンションフリー型の方式を採用する以外に手段がないのが現状であった。
【0021】
さらに、前述したCSMAやCSMA/CDのアクセス方式は、CATV網のように中央情報通信制御装置に対し多数の通信制御装置が共通の伝送路を介してツリー状に接続され、その上り伝送路が通信制御装置から中央情報通信制御装置へのみデータ伝送が行なわれるように方向性を有している場合には、通信制御装置が上り伝送路を直接モニタして他の通信制御装置の送信状況を知ることはできない。また、仮に知ることができたとしても確実なキャリアセンスは構成上不可能である。そこで、CATV網を利用した場合のキャリアセンスの方式としては、例えば中央情報通信制御装置が上り伝送路の状態を判定して、この判定結果を下り伝送路を介して各通信制御装置に通知する方式が採られる。
【0022】
しかし、システムの稼働半径が大きい場合、中央情報通信制御装置と各通信制御装置との間の伝搬遅延時間が、通信制御装置の中央情報通信制御装置からの距離によって大きく異なる。このため、上記伝搬遅延時間を考慮せずにアクセス制御を行なうと、中央情報通信制御装置の近くに設置された通信制御装置は遠くに設置された通信制御装置に比べて中央情報通信制御装置からの伝送路の空き通知を早く知ることが可能となり、これにより通信制御装置間で送信権の獲得が公平に行なえなくなるという問題が生じる。
【0023】
また、複数の通信制御装置がそれぞれデータを送信した場合、通信制御装置ごとの伝搬遅延時間の違いによって中央情報通信制御装置における上記各データの受信タイミングがまちまちになる。このため、中央情報通信制御装置では衝突検出を精度良く行なうことができず、衝突検出見逃し率が増大する。
【0024】
さらに、通信制御装置からのデータを受信する場合、中央情報通信制御装置は受信中のデータをすべて受信し終わった後に送信待機中の他の通信制御装置に向けて送信開始許可を送信する。ところが、この様に制御すると、中央情報通信制御装置から送信待機中の通信制御装置に送信開始許可通知が届くまでに伝送路の伝搬遅延による到達遅れがあり、さらにこの許可通知を受けた通信制御装置が即時データの送信を開始しても、このデータが中央情報通信制御装置に到達するまでの間にも伝搬遅延による到達遅れがある。このため中央情報通信制御装置では、任意の通信制御装置からのデータの受信が終了してから、別の通信制御装置からのデータの受信を開始するまでの期間が、受信動作を何も行なっていない空白期間となり、この結果スループットの低下を招いていた。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べたように、従来のコンテンション(競合)型のアクセス方式は、通信制御装置自身が故障して信号を送信し続けるような自体が発生した場合などにおいて、中央情報通信制御装置側でこれを検出することが困難であり、またこのような通信制御装置が存在すると他の通信制御装置が送信できない、あるいは送信しても衝突が発生するなどの現象が発生するという欠点があった。また、悪意で信号を送信し続ける、あるいは多大なトラヒックを入力する通信制御装置が存在した場合にも、他のユーザに悪影響を与えるという欠点があった。
【0026】
さらに、コンテンション(競合)型のアクセス方式の中では高スループットが得られるというCSMA方式やCSMA/CD方式も、上記伝搬遅延時間を考慮せずにアクセス制御を行なうと端末間の送信権が公平でなくなる。また、システムの稼働半径が大になると、高スループットを実現することが困難となるという欠点があった。
【0027】
そこで、コンテンションフリー型のアクセス方式を採用することが提案されている。コンテンションフリー型のアクセス方式を用いれば、故障や悪意に信号を出し続ける通信制御装置が存在しても対策を施しやすいため、システムパフォーマンスを大きく低下させることはない。また、高トラヒック時でも網内遅延時間が保証されるなどの利点がある。そのため、数百から数千といった加入者にデータ通信サービスを提供する場合には、コンテンションフリー型の方式を採用するのが一般的である。
【0028】
しかし、近年の情報化の進展に伴い、既存のCATV網を利用してその限られたチャネル容量で高速度のデータ伝送(数Mb/s)を行ないたいという要望もあり、通信チャネルスケジューリングのオ−バヘッドを必要とする従来のコンテンションフリー型のアクセス方式では、チャネル容量が不足するなどの別の問題があった。
【0029】
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その第1の目的は、信号を送信し続ける通信制御装置が存在した場合や高トラヒックの負荷がシステムに入力された場合にも、システムパフォーマンスの低下を抑制して高い安定性を保持することが可能な双方向通信システムを提供することである。
【0030】
また第2の目的は、通信制御装置間の送信権の公平性を確保するとともに衝突検出性能を高く保持してパケット廃棄率を低下させ、かつ十分に高いスループットを得ることができる実用性の高い双方向通信システムを提供することである。
【0031】
【課題を解決するための手段】
上記第1の目的を達成するために、本発明の双方向通信システムは、中央情報通信制御装置に、上記第1の伝送路上の通信状態に関する統計情報を生成するための統計情報生成手段と、この統計情報生成手段により生成された統計情報に基づいて上記複数の通信制御装置のデータ送信機会を制御するための送信機会制御情報を生成する送信機会制御情報生成手段とを備え、この送信機会制御情報生成手段により生成された送信機会制御情報を第2の伝送路を介して上記通信制御装置に通知し、かつ通信制御装置の各々には送信機会制御手段を備え、この手段により、上記中央情報通信制御装置から通知された上記送信機会制御情報に基づいて自装置のデータ送信機会を制御するようにしたものである。
【0032】
この結果本発明によれば、例えば通信制御装置に接続された情報処理機器が故障してデータを送信し続けた場合や、悪意を持ったユーザが情報処理機器のソフトウェアを改造して情報処理機器からデータを出し続けた場合、さらにはチケット予約などのために突然高トラヒックが発生した場合に、ネットワークに過剰なトラヒックが入力されたままにならないように通信制御装置の送信を規制することが可能となる。
【0033】
統計情報生成手段としては、第1の伝送路上における衝突の発生頻度を測定し、その測定結果を基に通信状態に関する統計情報を生成するものや、第1の伝送路を介して行なわれた複数の通信のうちデータを正しく受信できた通信の量と正しく受信できなかった通信の量とのうち少なくとも一方を測定し、その測定結果を基に通信状態に関する統計情報を生成するものが考えられる。
【0034】
中央情報通信制御装置は一般に衝突検出機能を有しており、この衝突検出機能の検出結果を利用することにより衝突の発生頻度を測定し、その測定結果をもとに統計情報を生成することは容易である。また中央情報通信制御装置では、データを正しく受信できたか否かについてもその判定は普通に行なわれており、したがってこの判定結果をもとに統計情報を生成することも容易である。
【0035】
また送信機会情報生成手段としては、統計情報生成手段により生成された統計情報に基づいて、前記複数の通信制御装置のデータ送信を規制するための送信規制情報を生成するものでも、また反対に前記複数の通信制御装置のデータ送信を許可するための送信許可情報を生成するものでもよい。
【0036】
さらに送信機会制御情報は、すべての通信制御装置について各々生成し通知するようにしてもよく、複数の通信制御装置のうちの任意の装置についてのみ生成して通知するようにしてもよい。また送信機会制御情報をすべての通信制御装置あるいは所望の通信制御装置に共通に通知するようにしてもよい。
【0037】
一方、第2の目的を達成するために本発明の双方向通信システムは、中央情報通信制御装置において、伝搬遅延量測定手段により複数の通信制御装置の各々についてこれらの通信制御装置と自装置との間の第1および第2の伝送路による往復伝搬遅延量を測定し、この測定された往復伝搬遅延量に基づいて、各通信制御装置から上記第1の伝送路へ送信されたデータの中央情報通信制御装置における受信タイミングを所定の時間差の範囲内とするべく各通信制御装置ごとの送信タイミングを求め、この送信タイミングを表わす情報を上記第2の伝送路を介して対応する通信制御装置にそれぞれ通知する。一方各通信制御装置においては、上記中央情報通信制御装置から通知された送信タイミングを表わす情報に応じて自装置のデータ送信タイミングを制御するようにしたものである。
【0038】
この結果本発明によれば、中央情報通信制御装置において、各通信制御装置ごとの往復伝搬遅延量が測定され、この伝搬遅延量を基に各通信制御装置ごとの最適な送信タイミングが算出されて通信制御装置に通知される。そして、各通信制御装置ではこの通知された送信タイミングにしたがってデータの送信が行なわれる。このため、各通信制御装置から送信されたデータは、中央情報通信制御装置に近い通信制御装置からのものであってもまた遠方の通信制御装置からものであってもほぼ同時に中央情報通信制御装置に到達することになる。
【0039】
すなわち、各通信制御装置の物理的位置の違いにより発生する伝搬遅延時間の差は吸収され、これによりどの通信制御装置もほぼ均等な条件でデータ送信を行なうことが可能となる。したがって、各通信制御装置間の送信権の公平性は保たれる。
【0040】
また伝搬遅延量を測定する際に、中央情報通信制御装置から各通信制御装置に対し個別にテスト信号送出要求を送り、この要求に応じて各通信制御装置から送信されるテスト信号により各通信制御装置ごとの伝搬遅延量を測定することによって、各通信制御装置ごとに漏れなくかつ輻輳することなく能率良く正確な測定を行なうことができる。
【0041】
さらに上記テスト信号送出要求を送信してから上記テスト信号が返送されるまでの期間に、他の通信制御装置によるデータの送信を禁止することで、伝搬遅延量の測定をより能率良く正確に行なえるようになり、かつ他の通信制御装置が送信するデータへの妨害をなくしてデータ伝送効率を高めることができる。
【0042】
また各通信制御装置において、第1の伝送路へ送信しようとするデータの送信タイミングを当該データのシンボルレートの整数倍の周波数を有するクロックに同期して制御することにより、データ送信タイミングを上記整数分の1の精度で同期させることが可能となる。このため、通信制御装置から中央情報通信制御装置へ伝送するデータに同期確立用のプリアンブルを付加する必要がなくなり、その分データ伝送効率を高めることが可能となる。
【0043】
また本発明のシステムによれば、先に述べた伝搬遅延量に基づく送信タイミングの遅延制御に加えて、各通信制御装置からの信号受信レベルに基づいた送信レベルの制御が行なわれる。このため、各通信制御装置から送信されたデータは、中央情報通信制御装置に近い通信制御装置からのものであってもまた遠方の通信制御装置からものであってもほぼ同じレベルで中央情報通信制御装置で受信されることになる。したがって、各通信制御装置の物理的位置の違いによる受信レベルの差は吸収され、これにより中央情報通信制御装置において衝突検出を高精度に行なうことが可能となる。
【0044】
さらに本発明のシステムによれば、中央情報通信制御装置において上り伝送路上における衝突の発生が監視され、衝突が検出されるとその旨がデータ送信中の通信制御装置に通知されてデータ送信が停止される。このため、各通信制御装置が自身で他の通信制御装置との間のデータ衝突を監視できないCATV網でも、衝突検出およびそれによる送信停止を確実に行なうことができる。
【0045】
また衝突検出方式として、通信制御装置から一定数の所定レベルスロットを含むランダムパルス列を送信し、中央情報通信制御装置においてこのランダムパルス列を受信してそのパルス数が所定数であった場合にのみ非衝突と判断する方式を採用することによって、例えば所定数以上のランダムパルスが検出された場合をすべて衝突発生とする場合に比べて、より正確な判定を行なうことが可能となる。
【0046】
さらに別の衝突検出方式として、通信制御装置から誤り検出符号を含むランダム信号を送信し、中央情報通信制御装置でこのランダム信号を受信してその誤り検出符号により誤りの有無を判定し、誤りが存在すると判定された場合に衝突と判断する方式を採用すると、ランダムパルスを用いる場合に比べて衝突検出ウィンドウの長さを短縮することができ、これにより衝突検出に要する時間を短縮するとともに、データ伝送効率を高めることが可能となる。
【0047】
さらに衝突の発生が検出されなかった場合に、その旨とともに発信元の通信制御装置の識別情報をデータ送信中の通信制御装置に通知し、通信制御装置においてこの通知された端末識別情報の照合を行なって妥当なものではない場合には、たとえ中央情報通信制御装置で衝突発生なしと判定されても衝突発生と看做してデータ送信を停止するようにしたことで、中央情報通信制御装置における判定精度を補ってシステムとして高精度の衝突検出を可能にすることができる。
【0048】
また中央情報通信制御装置において衝突の発生が検出された場合に、データ送信中の通信制御装置に対しては衝突の発生を通知してデータ送信を停止させ、送信待機中の他の通信制御装置に対しては送信開始許可を通知してデータの送信を開始させることで、データ送信中の通信制御装置のデータ送信停止直後に、送信待機中の通信制御装置からデータ送信を開始させることができる。このため、データ送信中の通信制御装置のデータ送信停止を中央情報通信制御装置で確認した後に、中央情報通信制御装置から送信待機中の通信制御装置に対し送信開始許可を通知する場合に比べて、伝搬遅延時間による空白期間を短縮することができ、これによりスループットを高めることが可能となる。
【0049】
さらに、その際上記衝突の発生通知と送信開始許可通知とを一つの情報で表わして各通信制御装置に送出することで、中央情報通信制御装置は異なる2つの通知情報をそれぞれ生成して送信する必要がなくなり、これにより中央情報通信制御装置の制御を簡単化するとともに、通知情報の情報量を減らすことが可能となる。
【0050】
また本発明のシステムによれば、中央情報通信制御装置において通信制御装置から伝送されたデータの伝送誤りが検出され、伝送誤りが検出されるとその旨がデータ送信中の通信制御装置に通知されてデータ送信が停止される。このため、データに伝送誤りが生じたにも拘らず、当該データが引き続き伝送される不具合は解消され、これにより効率の良いデータ伝送が可能となる。
【0051】
またデータ伝送中の通信制御装置に対し伝送誤りの発生通知を送る際に、送信待機中の通信制御装置に対しては送信許可通知を送ることにより、データ送信中の通信制御装置のデータ送信停止直後に、送信待機中の通信制御装置からデータ送信を開始させることができる。したがって、これによってもスループットを高めることが可能となる。
【0052】
さらに本発明のシステムによれば、中央情報通信制御装置において各通信制御装置についての往復伝搬遅延量がデータ伝送前に予め測定され、データ受信中にこのデータの未受信部分の長さが監視される。そして、このデータの未受信長が上記往復伝搬遅延量よりも短くなった時点から、上記未受信長が零になるまでの期間内に、送信待機中の通信制御装置に対し中央情報通信制御装置から送信開始許可が送出される。このため、データ送信中の通信制御装置からのデータ受信終了を中央情報通信制御装置で確認した後に、中央情報通信制御装置から送信待機中の通信制御装置に対し送信開始許可を通知する場合に比べて、伝搬遅延時間による空白期間を短縮することができ、これによりスループットを高めることが可能となる。
【0053】
【発明の実施の形態】
(発明の動作原理)
先ず、本発明に関わるフロー制御方式、遅延/レベル制御方式、衝突検出方式およびプリアイドル通知方式についてその動作原理を説明する。
【0054】
本発明の双方向通信システムは、中央情報通信制御装置から複数の通信制御装置に向かう下り伝送路(ダウンストリーム)および各通信制御装置から中央情報通信制御装置に向かう上り伝送路(アップストリーム)において、それぞれ次のような伝送フォーマットを用いて実現することができる。
【0055】
図1は、ダウンストリームにおいて使用される伝送フォーマットの構成の一例を示すもので、最大稼働半径を15マイルとした場合の構成である。すなわち、1フレーム(5msec ,5120bytes =40960bits)は、80個のサブフレームDWSF00〜DWSF79(62.5μsec ,64bytes )を時分割多重することにより構成される。これらのサブフレームDWSF00〜DWSF79のうち、先頭に配置されたサブフレームDWSF00は、フレーム制御用として使用されるもので、フレーム同期信号FS、アサインメント信号ASG、リザーブビットRSVおよび誤り訂正ビットFECにより構成される。またその他のサブフレームDWSF01〜DWSF79は、主としてデータ伝送用として使用されるもので、それぞれ通知信号SI、ダウンストリームペイロードDWPLおよび誤り訂正ビットFECにより構成される。
【0056】
このうちアサイメント信号ASGは、例えば図2に示すようにポーリング情報領域と同放領域に分け、個別の通信制御装置に対する情報を送る場合は前者の領域を用いて、全ての通信制御装置に対する情報を送る場合は後者の領域を用いるようにしてもよい。このようにすれば、前述したフロー制御を行う際、故障した情報処理装置が接続されている通信制御装置の送信規制を行なう場合は、ポーリング情報領域を使い、高トラヒックが発生しシステムの負荷を減らすために送信規制を行なう場合には、同放領域を用いるなど、状況に報じて使い分けることができるようになる。
【0057】
また、前記通知信号SIは、例えば図4に示すように送信の禁止および許可、衝突の発生の有無、伝送誤り発生の有無などの通知情報を通信制御装置に送信するために使用されるもので、4ビットにより表現される。そしてSIは、図3に示すように(8,4,4)拡大ハミング符号で符号化されて送信される。
【0058】
上記ダウンストリームペイロードDWPLには、図中※1に示すダウンストリームMAC/Cフレームが格納される。ただし、ダウンストリームMAC/CフレームがFECやSI等の領域をまたぐ場合には次のDWPLの先頭から格納される。なお、上記ダウンストリームMAC/Cフレームの前後に付加されるダウンストリームアイドルパターンDWIPは、フレーム同期信号FSと非同期の擬似ランダムパターン(M系列)からなる。
【0059】
なお、図1に示した各信号の名称は次の通りである。
一方、図5は最大稼働半径を15マイルとした時のアップストリームのフレーム構成例である。すなわち、ダウンストリームと同様に、1フレームは80個のサブフレームUPSF00〜UPSF79を時分割多重することにより構成される。ただし、1フレーム長は5msec ,1280bytes =10240bitsであり、また1サブフレーム長は16bytes である。上記80サブフレームUPSF00〜UPSF79のうち、先頭部分の9サブフレームUPSF00〜UPSF08は制御ウインドウとして使用され、残りのサブフレームUPSF09〜UPSF79はペイロードウインドウとして使用される。
【0060】
制御ウインドウは、後述する遅延/レベル制御のために使用されるもので、この領域ではユーザ情報を含むパケットの送信が禁止される。制御ウインドウでは図中※1に示す応答信号RSPが送信されるが、その挿入位置は送信元の通信制御装置において後述する遅延/レベル制御が非安定状態(NRY状態)のときには中央情報通信制御装置からの距離に依存して可変設定され、送信基の通信制御装置において遅延/レベル制御が安定状態(RDY状態)のときには中央情報通信制御装置からの距離に関係なく一定位置に設定される。
【0061】
図中※2に示されるアップストリームパケットUPPは、中央情報通信制御装置からSIによって送出指示されたアップストリームサブフレームUPSFの先頭位置から送信される。またアップストリームパケットUPPが一個のアップストリームサブフレームUPSFに挿入し切れない場合には、次のフレームのペイロードウインドウの先頭からガードGおよびパケットヘッダUPPHに続いて送信が再開される。
【0062】
図中※3に示されるアップストリームMAC/Cフレームは、アップストリームパケットヘッダUPPHと、アップストリームパケットデータUPPDとに大別され、このうちパケットヘッダUPPHは上記パケットストリームパケットのUPPHに格納される。一方アップストリームパケットデータUPPDは、長さが70bytes の整数(n−1)倍になるようにPADがt bytes付加された後、パケットUPPのn+1個のペイロードUPPL(UPPL0〜UPPLn)に70bytes ごとに区切られて格納される。すなわち、
n=[(s+18)÷70]
t=(s+18)mod 70
ここで、[x]とはxの小数点以下切り上げを示す。
【0063】
なお、図5に示した各信号の名称は次の通りである。
(1)フロ−制御
フロー制御を行なう目的は主として以下の2つである。
【0064】
a.通信制御装置に接続された情報処理機器が故障を起すか、もしくはユーザが悪意で信号を送信し続けたとしても、当該情報通信機器が接続された通信制御装置の送信を中央情報通信装置により規制することにより、システムに多大な影響が及ばないようにする。
【0065】
b.システムのパフォーマンスを大きく低下させるような高トラヒックが入力されることを防ぎ、システムの安定運用を可能にする。
【0066】
本発明のフロー制御は、中央情報通信制御装置に、第1の伝送路上の情報通信状態に関する統計情報を生成する統計情報生成手段と、通信制御装置のデータを送信する機会を規制するための送信規制に関する送信規制情報を生成する手段と、前記送信規制情報を第2の伝送路を介して通信制御装置に通知する手段とを備けている。
【0067】
そのため、情報処理機器が故障してデータを出し続けた場合や、悪意を持ったユーザが情報処理機器のソフトウェアを改造してネットワークに過剰なトラヒックを発生させようとした場合、このようなユーザを見つけたら該ユーザの使用する通信制御装置のデータ送信機会を規制することが可能となっている。
【0068】
また、システム運用中に、中央情報通信制御装置で生成された上り伝送路でやりとりされたパケット数や、上り伝送路上で発生した衝突の発生回数、上り伝送路上のパケット伝送の平均遅延時間などの統計情報を、中央情報通信制御装置に接続された情報処理装置を使って出力もしくは表示し、必要に応じて中央情報通信制御装置から通信制御装置によるデータ送信機会を規制する。これによって、ネットワークに過剰なトラヒックが発生したことを検出すると、中央情報通信制御装置から全通信制御装置に対し、送信確率を低くするよう通知し、通信制御装置から中央情報通信制御装置へ送信されらトラヒック量を制御することが可能となる。
【0069】
(2)遅延/レベル制御方式
遅延/レベル制御を行なう主たる目的は、通信制御装置がアップストリームパケットを送信する際のアクセス制御の公平性を確保することである。
【0070】
上りアクセス制御方式としてCSMA系のアクセス方式を採用する場合、中央情報通信制御装置においてアップストリームの空きを判定し、その判定結果をダウンストリームを介して通信制御装置に通知する。この場合、通信制御装置は伝送路空き通知を受信して初めてパケットを送信することが可能となる。
【0071】
ところで、双方向通信システムの稼働半径が長い場合、先に述べたように加入者宅の物理的位置によって中央情報通信制御装置と加入者宅の通信制御装置との間の往復伝搬遅延時間が大きく異なる。この伝搬遅延時間の差を考慮せずにアクセス制御を行なうと、中央情報通信制御装置の比較的近くに位置する通信制御装置は中央情報通信制御装置からの伝送路の空き通知を早いタイミングで知って他の通信制御装置よりも先にパケットを送出することができるが、中央情報通信制御装置から遠くに位置する通信制御装置は伝送路の空き通知を遅れて知ることになるので他の通信制御装置よりも遅れてパケットを送出することになる。
【0072】
遅延/レベル制御は、各通信制御装置による上りパケットの送信タイミングを、伝搬遅延時間を基に中央情報通信制御装置のフレームに同期して各通信制御装置ごとに個別に設定することにより、中央情報通信制御装置に近い通信制御装置に送信権が優先的に割り当てられ不合理を解消するものである。また、各通信制御装置からの上りパケットが中央情報通信制御装置に同時に到着するように制御することにより、中央情報通信制御装置における衝突検出制御を可能にし、スループットを向上させるものである。
【0073】
また、通信制御装置において、上りパケットの送信タイミングをパケットのシンボルレートのk倍のクロックで制御することによって、中央情報通信制御装置における上りパケットの到着時の位相を、中央情報通信制御装置のクロックの1シンボルの1/Kの精度で同期させることができる。このため、上りパケットに同期確立用のプリアンブルが不要となる。
【0074】
図6は遅延/レベル制御の原理説明に使用するシーケンス図である。
同図に示すように、中央情報通信制御装置がダウンストリームの制御ウインドウにおいて送出する通信制御装置iあてのテスト信号送信要求ASGiは、中央情報通信制御装置に対する通信制御装置iの物理的位置に応じた下り伝搬遅延時間Tdiだけ遅れて通信制御装置iに到着する。これに対し、通信制御装置iが送信するテスト信号RSPiも同様に、上り伝搬時間Tuiだけ遅れて中央情報通信制御装置に到着する。
【0075】
いま、通信制御装置iが中央情報通信制御装置からASGiを受信し、次のフレームで直ちにRSPiを送信するとすれば、中央情報通信制御装置においてASGiを送信した次のフレームの先頭からRSPiを受信するまでの時間を計測すれば、往復伝搬遅延時間RXTi=Tdi+Tuiが求まる。そして、このRXTiを基に送信タイミングTXTiを求める。通信制御装置iから送信されたパケットが希望するタイミングAに中央情報通信制御装置に到着するようにするためには、SIを受信するTXTi=RXTi時間だけ前にパケットを送信すればよい。なお、正確には中央情報通信制御装置や通信制御装置での処理遅延時間も含めて送信タイミングを設定する。中央情報通信制御装置は、このようにして求めた各通信制御装置毎の送信タイミングTXTをASGを用いて各通信制御装置に通知する。
【0076】
また上記遅延計測とともに中央情報通信制御装置は、通信制御装置iから到来したテスト信号(RSP)の受信レベルを計測し、テスト信号送信要求(ASG)の中にこのレベル計測結果を挿入して通信制御装置iに通知する。通信制御装置iは、この通知されたレベル計測結果に基づいて、自装置が送信した送信の中央情報通信制御装置における受信レベルが他のすべての通信制御装置から送信された信号の中央情報通信制御装置における受信レベルと等しくなるように送信レベルTXGを制御する。このようにすると、各通信制御装置から送信された信号の中央情報通信制御装置における受信レベルがすべて等しくなる。このため、中央情報通信制御装置におけるパケットごとの受信利得制御が不要となり、また後述する衝突検出動作が容易になる。
【0077】
なお、中央情報通信制御装置が通信制御装置に対しASGを送信して、通信制御装置からRSPを受信するまでの期間を遅延計測ウインドウとし、この期間では他の通信制御装置が上りパケットを送信することを禁止する。この遅延計測ウインドウの長さは可動半径の往復伝搬時間から決定される。この可動半径は、中央情報通信制御装置から最遠端の通信制御装置までの距離(中央情報通信制御装置から最近端の通信制御装置の距離と最遠端の通信制御装置の距離の差とすることも可能)として定義される。
【0078】
稼動半径(m)= (遅延計測ウインドウ長×2.9979e8(m/s) ×0.68) /(8.192e6(bps)×2 )
ちなみに、計測ウインドウ長は次のように設定される。
稼動半径が3.9mile 以下のときTs(1サフ゛フレーム)
稼動半径が7.8mile 以下のとき2Ts
稼動半径が11.8mile以下のとき3Ts
稼動半径が15.8mile以下のとき4Ts
さらに、上記遅延/レベル計測制御が終了して通信制御装置の遅延/レベル制御状態が安定状態(RDY状態)になるまでの間に他の通信制御装置がパケットを送信すると、上記遅延/レベル計測制御により他の通信制御装置のパケット伝送が妨害される虞れがある。このため中央情報通信制御装置は、任意の通信制御装置において遅延/レベル計測制御が行なわれている期間(NRY状態)では、他の各通信制御装置に対しASGを用いてRSP以外のパケットの送信禁止を通知する。
【0079】
なお、任意の通信制御装置がNRY状態のときの制御は次のように行なわれる。図7はその制御手順を示す図である。すなわち、ASGはポーリング領域ASGPと情報通知領域ASGIとからなり、中央情報通信制御装置はポーリング領域ASGPを使用してNRY状態の通信制御装置iに対しテスト信号送出要求を通知する。これに対し通信制御装置iは次のフレームでRSPiを返送する。遅延/レベル計測制御により得られた制御パラメータは、情報通知領域ASGIにより中央情報通信制御装置から通信制御装置iに通知される。そして、以上の制御は通信制御装置iがRDY状態になるまで繰り返される。
【0080】
また送信タイミングTXTinew の求め方は次式で表わされる。
TXTinew =TXTiold +RXTi
ただし、TXTiold は前回指示したRSP送出タイミング、RXTは今回の計測タイミング、TXTinew は今回指示するRSPの送出タイミングである。
【0081】
一方、通信制御装置iがRDY状態になった後の通信制御装置におけるRSPの送信タイミング制御は次のように行なわれる。図8はその制御手順を示す図である。すなわち、通信制御装置は中央情報通信制御装置からASGPが到来すると、事前に指示された送信タイミングTXTの値にしたがって、次のフレームのTXT前にRSPを返送する。中央情報通信制御装置ではRXTを計測し、上記送信タイミングTXTinew の計算式に基づいて新しいTXTinew を求める。
【0082】
図9は、ユーザパケットの送信タイミング制御の動作例を示す。同図に示すように、通信制御装置iがユーザパケットを送信する場合は、中央情報通信制御装置からSIにより伝送路の空き通知を受けてから、事前に指示された送信タイミングTXTの値および1サブフレーム長Tsを基に、Ts−TXTのタイミングでユーザパケットを送信する。
【0083】
(3)衝突検出方式
双方向通信システムのアップストリームにおいてCSMA/CDによるアクセス方式を実現するためには、中央情報通信制御装置において衝突を検出し通信制御装置に通知する必要がある。また、中央情報通信制御装置で衝突の発生頻度に関する統計情報を生成し、この情報を参照してフロー制御を行えば、単に送信成功確率(正しく受信できたパケット数/受信したパケット数)を参照してフロー制御するよりも、確実なフロー制御が可能となる。そこで本発明では、中央情報通信制御装置において行なわれる2種類の衝突検出方式を提唱する。
【0084】
a.改良型ランダムパルス送出衝突検出方式
図10は、この改良型ランダムパルス送出方式を説明するための図である。中央情報通信制御装置は、アップストリームの伝送路を監視してこの伝送路が使用中であるか否かを判定し、この判定結果をダウンストリームのSIを使って通信制御装置に通知する。これに対し送信を要求しようとする通信制御装置は、ダウンストリームにて受信したSIを参照し、アップストリームの伝送路の状態が空きか否かを判定する。そして、伝送路が空きでないと判定された場合には、アップストリームへの送信を待機する。一方、伝送路が空きと判定された場合には、中央情報通信制御装置から通知された送信規制レベル情報に基づいて乱数を生成し、この乱数を参照して送信開始するかいなかを判定する。乱数を参照した結果、送信を開始してよいと判定した場合、ユーザパケットの送信に先立って衝突検出ウインドウ中に一定数のオンスロットが存在するランダムなパルス列、例えばOn−Off Keying により変調して18シンボル中9シンボルをオンとしたランダムパルス列を送出する。中央情報通信制御装置は、受信したこのランダムパルスの数をチェックして、受信したパルス数が所定数であった場合にのみ非衝突と判定し、所定数のパルス数でない場合はすべて衝突と判定する。
【0085】
図11は、この改良型ランダムパルス送出衝突検出を実現するために必要な通信制御装置および中央情報通信制御装置の機能構成を示したものである。
通信制御装置には、ランダムパルスパターン生成回路203が設けられる。このランダムパルスパターン生成回路203では、パケット毎に18スロット中9スロットで1となり残りは0となるランダムパルスパターンが生成される。そして、このランダムパルスパターンによりスイッチ202をオンオフすることにより、発振器201から発生されたキャリアを変調する。なお、スイッチ202のスイッチング速度は約3μsecに設定される。
【0086】
一方中央情報通信制御装置には、レベル判定回路104と、衝突判定部106とが設けられる。レベル判定回路104は、受信信号のエネルギーを測定して、この受信信号のエネルギがしきい値設定部105で設定されたしきい値を越えたか否かを判定する。なお、上記受信信号エネルギの測定のために、受信信号は帯域通過フィルタ(BPF)101でフィルタリング処理されたのち乗算器102に入力され、この乗算器102で発振器103から発生された信号と乗算されることにより二乗検波される。
【0087】
衝突判定部106では、18スロット中に検出されたパルス数をチェックし、パルス数=9の時には衝突発生なし(非衝突)と判定し、一方パルス数≠9の時には衝突発生あり(衝突)と判定する。
【0088】
b.CRC方式
図12は、このCRC方式の動作を説明するための図である。通信制御装置は、パケットの送信に先立ってCRC符号を付加したランダムデータを送出する。中央情報通信制御装置は、このランダムデータを受信するとそのCRC符号によって誤りの有無を判定し、誤りがあった場合には衝突発生と看做す。但し、このCRC方式を実施する場合には、確実な衝突判定を行なうために中央情報通信制御装置に到着する信号レベルを一定にする必要がある。これは、先に述べた遅延/レベル制御により対応可能である。
【0089】
図13は、このCRC方式を実現するために必要な通信制御装置および中央情報通信制御装置の機能構成を示したものである。
通信制御装置には、差動符号化回路211と、端末ID・CRC生成回路212とが設けられ、さらに送信レベル制御回路が設けられている。端末ID・CRC生成回路212では、通信制御装置のIDおよびCRC符号が生成される。差動符号化回路211では、ランダムデータに上記端末IDおよびCRC符号が付加される。これらの端末IDおよびCRC符号が付加されたランダムデータは、QPSK変調器215で変調されたのち乗算器213に入力され、この乗算器213で局部発振器214から発生された局部発振信号とミキシングされてキャリア信号に周波数変換される。そして、この無線周波信号は図示しない送信レベル制御回路により、中央情報通信制御装置に到着する信号レベルがどの通信制御装置から送信されたものであっても同じレベルになるように送信パワーが制御されたのち、伝送路へ送信される。
【0090】
一方中央情報通信制御装置には、CRC回路115と、衝突判定部116とが設けられている。通信制御装置から到来した信号は、帯域通過フィルタ(BPF)111でフィルタリング処理されたのち乗算器112に入力され、この乗算器112で局部発振器113から発生された局部発振信号とミキシングされて周波数変換される。そして、その出力信号は検波器114でQPSK遅延検波されたのちCRC回路115に入力される。
【0091】
このCRC回路115では、CRC演算により受信ランダムデータ中に誤りがあるか否かが判定される。そして、その判定結果は衝突判定部116に入力される。
【0092】
衝突判定部116では、上記CRC回路115の判定結果を基に、誤り無しの場合には衝突なし(非衝突)と判定し、これに対し誤りがある場合には衝突発生と判定する。
【0093】
上記改良型ランダムパルス送出方式とCRC方式とを比較すると、前者では通信制御装置側で高速のキャリアオン/オフが必要となり、さらに中央情報通信制御装置側でレベル判定などアナログ回路が必要になるのに対し、後者では特別なアナログ回路は必要なく簡単なデジタル回路を追加するだけで実現できる利点がある。
【0094】
図14および図15は、この改良型CRC方式のCSMA/CD動作を説明するための図で、図14は衝突が発生していない場合を、また図15は衝突が発生した場合をそれぞれ示している。
【0095】
中央情報通信制御装置は、アップストリームの伝送路を監視してこの伝送路が使用中であるか否かを判定し、この判定結果をダウンストリームのSIを使って通信制御装置に通知する。これに対し送信を要求しようとする通信制御装置は、ダウンストリームにて受信したSIを参照し、アップストリームの伝送路の状態が空きか否かを判定する。そして、伝送路が空きでないと判定された場合には、アップストリームへの送信を待機する。
【0096】
一方、伝送路が空きと判定された場合には、中央情報通信制御装置から通知された送信規制レベル情報に基づいて乱数を生成し、この乱数を参照して送信開始するかいなかを判定する。乱数を参照した結果、送信を開始してよいと判定した場合、通信制御装置IDおよびCRC符号を含む衝突検出用のアップストリームパケットヘッダ(UPPH)をパケットの先頭に付加して送信する。続いて中央情報通信制御装置は、受信したアップストリームパケットヘッダ(UPPH)を復調後、CRC演算を行なってUPPHに誤りがあるか否かを判定する。もし、誤りがあった場合には、伝送路上で衝突が発生したものと看做し、ダウンストリームのSIを使って通信制御装置に「衝突発生」を通知する。
【0097】
これに対し、衝突が発生していなかった場合には、ダウンストリームのSIを使って「パケット送信継続許可」を通信制御装置に通知するとともに、ダウンストリームのペイロードの一部を使って通信制御装置IDを通信制御装置に通知する。
【0098】
パケット送信中の通信制御装置は、中央情報通信制御装置から到来したSIにより「衝突発生」の通知を受けると、パケットの送信を即時停止し、しかるのちランダムな時間待機したのちパケットの再生処理を繰り返し実行する。すなわち、バックオフ処理を実行する。
【0099】
一方、「パケット送信継続許可」を受取った場合には、中央情報通信制御装置から返送された通信制御装置IDが自通信制御装置のIDと一致するか否かを判定し、自通信制御装置のIDと一致した場合にはそのままパケットの送信を継続する。これに対し返送されたIDが自通信制御装置のIDと一致しなかった場合には、「衝突発生」の通知を受けた時と同じように、パケットの送信を即時停止し、しかるのちバックオフ処理を実行する。
【0100】
(3)プリアイドル方式
図16は、このプリアイドル方式を説明するための図である。本方式は、パケットの受信中にその未受信部分の長さを監視し、このパケットを受信し終わる時点より最大往復伝搬遅延時間だけ前のタイミングで「送信開始許可」を送信待機中の他の通信制御装置に送出する。そして、各通信制御装置はこの信号を受けると、自通信制御装置と中央情報通信制御装置との間の往復伝搬遅延時間とに基づいて、パケットの送信タイミングを制御するものである。
【0101】
すなわち、中央情報通信制御装置と通信制御装置との間の伝搬遅延時間を考慮し、中央情報通信制御装置でパケットの受信が終了する前に送信待機中の他の通信制御装置に対し送信許可を通知して、当該通信制御装置にパケットの送信を開始させるようにしたものである。
【0102】
このような方式によれば、中央情報通信制御装置では、任意の通信制御装置からのパケットの受信が終了すると、即時別の通信制御装置からのパケットの受信が開始されることになり、これによりパケットの受信が行なわれない空白期間を理論上零にして、スループットを大幅に向上させることができる。
【0103】
ちなみに、従来方式では図17に示すようにアップストリームの伝送路が空きになったことを確認したのちに、中央情報通信制御装置が送信待機中の別の通信制御装置に向けて送信許可を送信するため、中央情報通信制御装置には任意の通信制御装置からのパケットの受信が終了した後、少なくとも往復伝搬遅延時間に相当する期間は別の通信制御装置からのパケットが受信されないことになる。これは、前にも述べたように、最大稼働半径が15マイルにもなると、往復伝搬遅延時間は約250μsec(上り伝送速度が2Mbpsの場合は500ビット分のデータを送出する時間に相当する)になるため、スループットが低下は非常に大きなものとなる。
【0104】
(実施の形態)
以下、本発明の一実施の形態を説明する。
図18は、本発明の一実施の形態に係わる双方向通信システムであるCATVネットワークシステムの概略構成図である。
【0105】
このシステムは、中央情報通信制御装置1と多数(図では3個)の通信制御装置2a,2b,2cとの間を、光ケーブルおよび同軸ケーブルが混在したハイブリッド構成のCATV網を介してツリー状に接続したものである。
【0106】
CATV網は、電気/光変換器(E/O)3aおよび光/電気変換器(O/E)3bを備えた中央情報通信制御装置側の光電変換装置と、同じく電気/光変換器(E/O)4aおよび光/電気変換器(O/E)4bを備えた通信制御装置側の光電変換装置と、これらの光電変換装置間を接続する一対の光伝送路5a,5bと、上記中央情報通信制御装置側の光電変換装置と中央情報通信制御装置1との間を接続するための同軸伝送路8と、通信制御装置側の光電変換装置と各通信制御装置2a〜2cとの間を接続するためのツリー状に構成された同軸伝送路7と構成される。
【0107】
上記各同軸伝送路は、それぞれ1本の同軸ケーブルにより構成され、この1本の同軸ケーブルの伝送帯域を周波数分割することにより、各通信制御装置2a〜2cから中央情報通信制御装置1に向かう上り伝送路(アップストリーム)と、中央情報通信制御装置1から各通信制御装置2a〜2cに向かう下り伝送路(ダウンストリーム)とがそれぞれ構成される。図19はこれらアップストリームおよびダウンストリームの構成の一例を示すもので、アップストリームには10MHz〜40MHzが割り当てられ、ダウンストリームには50MHzよりも高い周波数帯域が割り当てられる。
【0108】
中央情報通信制御装置1には、10BASE−T伝送路を介してサーバ11が接続される。このサーバ11は、例えばワークステーションからなり、サービス事業者がビデオ・オン・デマンド(VOD)などの所要のサービスを行なうために用いられる。一方、各通信制御装置2a〜2cにはそれぞれ10BASE−T伝送路を介して情報処理機器としてのパーソナル・コンピュータ(以後パソコンと略称する)6a〜6cが接続される。これらのパソコン6a〜6cは、各加入者がサービスを受けようとする際の加入者端末として使用される。
【0109】
なお、上記アップストリームの変調方式としては2.048Mb/sのQPSK方式が採用され、1チャンネル当たり2.5MHzの周波数帯域が割り当てられる。一方、ダウンストリームの変調方式としては8.096Mb/sのQPSK方式が採用され、1チャンネル当たり6MHzの周波数帯域が割り当てられる。
【0110】
次に、以上のように構成されたCATVネットワークシステムの動作を説明する。
(1)フロー制御に係わる動作
システムの運用中に中央情報通信制御装置1は次のようにフロー制御を行なっている。図20はその制御手順および制御内容を示すフローチャートである。すなわち、パケットが受信されるごとに、ステップ20aにおいてアップストリームにより受信したパケットが正しいか否かを受信パケット中の誤りの存在から判定し、正しく受信された場合にはそのパケット数をステップ20bで計数する。なお、このとき別のカウンタにおいて受信されたパケットの合計数を計数しておく。そして、ステップ20cにおいて、上記正しく受信できたパケット数と受信したパケット数の合計とからパケット受信成功率(正しく受信できたパケット数/受信したパケット数の合計)を算出し、この算出したパケット受信成功率をステップ20dで予め設定したしきい値αと比較する。そして、上りパケット受信成功率がしきい値αよりも小さくなった場合に、ステップ20eで通信制御装置の送信確率を低くするための送信規制情報を生成し、この送信規制情報をステップ20fにおいてダウンストリームを介して各通信制御装置2a〜2cへ送信する。なお、この送信規制情報は、例えば送信タイミング情報や送信レベル情報等とともにテスト信号送出要求に含められて送られる。
【0111】
なお、上記しきい値αは、例えば通信制御装置2a,2b,2cからランダムに呼が発生するとして、通信制御装置2a,2b,2cが送信したパケット(再送のパケットも含む)のトラヒック量を印加トラヒック(offered traffic )とする。そして、システムの印加トラヒック対スループットの特性と、印加トラヒック対上りパケット送信成功率の特性とをそれぞれ算出して、これにより最大スループットとなるときのパケット成功率を求めることで設定される。
【0112】
ちなみに、通信制御装置2a,2b,2cから中央情報通信制御装置1に送信する時のアクセス方式をスロット化ALOHA(Slotted ALOHA)方式とした場合の、伝送チャネルの伝送容量で正規化した印加トラヒック(Normalized offered traffic)対スループットの特性を図21に示す。また、同様に通信制御装置2a〜2cから中央情報通信制御装置1に送信する時のアクセス方式をスロット化ALOHA方式とした場合の、正規化印加トラヒック対上りパケット送信成功率の特性を図22に示す。同図から判るように、スロット化ALOHA方式をアップストリームのアクセス方式に用いた場合、正規化印加トラヒック=1の時にスループットは0.38となり、この時のパケット成功率も0.38となる。
【0113】
なお、中央情報通信制御装置1から通信制御装置2a,2b,2cに通知する送信規制情報を、以下のように複数のレベルで表して通知してもよい。また、各規制レベルに対して、通信制御装置の送信確率を2のべき乗分の1にしてもよく、このようにすれば、通信制御装置の乱数生成回路をM系列等を使って実現でき、ハードウエアを簡略化することができる。
規制レベル0 …通信制御装置の送信確率 1
規制レベル1 …通信制御装置の送信確率 1/2
規制レベル2 …通信制御装置の送信確率 1/4
規制レベル3 …通信制御装置の送信確率 1/8
規制レベル4 …通信制御装置の送信確率 1/16
規制レベル5 …通信制御装置の送信確率 0
また上記送信規制情報は、個別の通信制御装置に対する情報と、全通信制御に対する情報とを分ける(もしくは識別できる)ようにして、上記規制を個別の通信制御装置に行なう場合と、全通信制御装置に行なう場合とを運用上使い分けられるようにしてもよい。
【0114】
(2)上り伝送路が空きの時
中央情報通信制御装置1では、アップストリームを介して到来するキャリアの有無を監視することにより、アップストリームが空きであるか否かの判定が行なわれている。そして、アップストリームの空きが検出されているときには、中央情報通信制御装置1は図23に示すように一定周期LでSIにより「送信許可」を送信する。このとき周期Lは以下の式で表わされる。
L=Tw+Ts
Tw:計測ウインドウ長
Ts:1サブフレーム時間
したがって、例えば最大稼働半径15マイルの場合は、
L=4Ts+Ts=5Tsとなる。
【0115】
中央情報通信制御装置1のダウンストリームのフレームとアップストリームのフレームは、中央情報通信制御装置1におけるSI処理に必要な処理時間を考慮して、予めTps=0.5Tsだけずらして設定してある。
【0116】
(3)最短パケットではないパケットを送信する時の動作(衝突なし)
図24は、最短パケットでないパケット、つまり全長が7サブフレーム以上のパケットを通信制御装置2iが送信する時の動作を示すものである。
【0117】
送信待機中の通信制御装置2iは、中央情報通信制御装置1から「送信許可」を受けると、中央情報通信制御装置1から通知された前記送信規制レベル情報に基づいて乱数を生成し、この乱数を参照して送信開始するか否かを判定する。乱数を参照した結果、送信を開始してもよいと判定した場合、所定の送信遅延時間Tgdcが経過したのちユーザデータの送信を開始する。すなわち、先ずアップストリームパケットヘッダ(UPPH)を送信し、続いてユーザパケットを送信する。このときUPPHには、自装置の通信制御装置IDとCRC符号が付加されたランダムデータが挿入される。
【0118】
一方、乱数参照した結果、送信延期と判定された場合、次回中央情報通信制御装置1より「送信許可」を受けるまで待機し、「送信許可」を受けたときに上記動作を繰り返す。
【0119】
上記UPPHを受信すると中央情報通信制御装置1は、次のサブフレームのSIで「送信禁止」通知を通信制御装置2iへ送信し、同サブフレームの期間でCRC符号によりUPPHのランダムデータの誤り検出を行なう。そして、誤りが検出されなければ、衝突なしと判断して次のサブフレームのSIにて「衝突なし」の通知を送信元の通信制御装置2iに送信する。またそれとともに同サブフレームにおいて送信元の通信制御装置IDを通信制御装置2iに送信する。
【0120】
ダウンストリームにおいて上記「衝突なし」の通知を受けると、送信中の通信制御装置2iはこの通知を受信したサブフレームから通信制御装置ID(PCB−ID)を抽出し、この通信制御装置IDが自分の通信制御装置IDと一致するか否かを判定する。そして、一致すれば衝突なしが確認できたものと認識して、引き続きパケットの送信を行なう。
【0121】
(4)最短パケット送信時の動作(衝突なし)
図25は、この動作を示すシーケンス図である。最短パケットの長さはUPPHを含めて6サブフレームとなる。このため、15マイル離れた通信制御装置が最短パケットを送出した場合、衝突の有無を通知するSIがこの通信制御装置に到着するのはパケットの送信完了の0.5Ts前となる。
【0122】
中央情報通信制御装置1は、UPPHによる衝突判定後、衝突の有無を送信中の通信制御装置に通知するとともに、「送信許可」を他の送信待機中の通信制御装置に通知する。このため、送信待機中の他の通信制御装置は、上記「送信許可」を受けるとこれに応じてパケットの送信を開始する。したがって、中央情報通信制御装置1では、上記送信中の通信制御装置からのパケットの受信終了後、伝搬遅延時間による空白期間を経ることなく、上記他の通信制御装置から送信されたパケットの受信が開始されることになる。このため、スループットは高められる。
【0123】
(5)中央情報通信制御装置において衝突を見逃した時の動作
図26は、この場合の動作を示すシーケンス図である。中央情報通信制御装置においてCRC符号による衝突検出を行なうと、衝突が発生しているにも拘らず、場合によっては衝突なしと判定されることが希にある。しかし、この実施の形態ではこの衝突の見逃しが通信制御装置において発見される。
【0124】
すなわち、衝突なしと判定されると中央情報通信制御装置は、先に図25でも述べたように、「衝突なし」の通知信号とともに、受信再生した送信元の通信制御装置IDを送信中の通信制御装置に向け送信する。これに対し送信中の通信制御装置は、上記「衝突なし」の通知を受けると、この通知を受信したサブフレームから通信制御装置ID(PCB−ID)を抽出し、この通信制御装置IDが自分の通信制御装置IDと一致するか否かを判定する。
【0125】
このとき、上記中央情報通信制御装置のアップストリームで衝突が発生していたとする。この場合、アップUPPHから再生した送信元の通信制御装置IDは他のデータの影響を受けて誤る確率が高い。このため、通信制御装置において先に述べたように中央情報通信制御装置から返送された通信制御装置IDと自装置の通信制御装置IDとの照合を行なえば、その結果は不一致となるので、これを以て衝突発生と認識することができる。そうして、衝突発生を認識すると、通信制御装置はその時点でパケットの送信を中止し、以後バックオフ処理を実行する。
【0126】
すなわち、アップストリームでパケットの衝突が発生していたにも拘らず、中央情報通信制御装置でこれを検出できずに衝突なしと判定した場合であっても、通信制御装置では中央情報通信制御装置から返送された通信制御装置IDと自装置の通信制御装置IDとの照合により、衝突発生を知ることが可能となる。したがって、性能の高い衝突検出が可能となる。
【0127】
(6)中央情報通信制御装置においてパケットの衝突を検出した時の動作
図27は、この場合の動作を示すシーケンス図である。
中央情報通信制御装置は、受信したUPPHに含まれるCRC符号によりランダムデータに誤りがあるか否かを判定し、誤りが検出されるとアップ伝送路においてパケットの衝突が発生したと認識する。そして、次のサブフレームのSIにおいて、「衝突発生」通知を送信中の通信制御装置に向け送信する。これに対し送信中の通信制御装置は、中央情報通信制御装置から「衝突発生」の通知を受けると、直ちにパケットの送信を停止し、バックオフ処理を行なう。
【0128】
なお、送信待機中の通信制御装置は、上記「衝突発生」通知を「送信許可」通知と看做し、パケットの送信を開始する。このため、中央情報通信制御装置では、上記送信中の通信制御装置からのパケットの受信停止後、伝搬遅延時間に相当する長い時間を待つことなく、他の通信制御装置から送信されたパケットの受信が開始される。したがって、パケットの受信停止から他の通信制御装置からのパケットが受信されるまでの空白期間は短縮され、これによりスループットは高められる。また、「衝突発生」通知を「送信許可」通知と兼用したことにより、中央情報通信制御装置は一つの通知信号を生成して送信するだけでよく、これにより通知制御の簡単化が図られる。
【0129】
(7)中央情報通信制御装置において伝送路誤りを検出した時の動作
図28は、この動作を説明するためのシーケンス図である。ユーザパケットの受信中に中央情報通信制御装置では、このユーザパケットの伝送誤りの判定を行なっている。そして、誤り訂正不可能な誤りビット数が発生すると、伝送誤りが発生したと判断してダウンストリームのSIにて「伝送誤り発生」の通知を送信中の通信制御装置に向け送信する。またこのとき同時に「送信許可」通知を送信待機中の他の通信制御装置に向け送信する。
【0130】
そうすると送信中の通信制御装置は、中央情報通信制御装置から「伝送誤り発生」通知を受けると直ちにパケットの送信を停止し、バックオフ処理に移行する。また送信待機中の他の通信制御装置は、中央情報通信制御装置から「送信許可」通知を受けとると、それに応じてパケットの送信を開始する。
【0131】
かくして、アップストリームでパケットの伝送誤りが発生した場合の送信停止処理が行なわれる。また、上記「伝送誤り発生」の通知と同時に「送信許可」通知が送られるので、送信待機中の通信制御装置は上記パケットの送信停止に代わってパケットの送信を開始することになる。このため、中央情報通信制御装置では送信が停止されたパケットの受信終了後、伝搬遅延時間に相当する長い空白期間を経ることなく、他の通信制御装置からのパケットの受信を開始することが可能となり、これによりスループットの向上が図られる。
【0132】
なお、上記説明では「伝送誤り発生」と「送信許可」とをそれぞれ通知するようにしたが、「伝送誤り発生」の通知で「送信許可」の通知を兼ねるようにしてもよい。このようにすると、中央情報通信制御装置は「伝送誤りの発生」通知信号のみを生成して送信すればよいことになり、これにより制御が簡単化される。
【0133】
(8)バックオフ処理の動作
図29は、このバックオフ処理の動作を示すシーケンス図である。
同図に示すように、中央情報通信制御装置から「衝突発生」もしくは「伝送誤り発生」の通知を受けたパケット送信中の通信制御装置は、直ちにパケットの送信を停止し、待機状態になる。そして、以下に示す確率Pでパケットの再送を行なう。
Ptx=1/(N+2)
ちなみに、図29でN=1に設定した場合、つまりPtx=1/3の場合でパケットの再送を行なう場合を示している。
【0134】
なお、IEEE802,3ではバックオフ処理の周期をスロット時間(9.6μsec )の整数倍とし、その倍数rをn回目の再送信時には次式の範囲で均等に分布する整数値としている。
0≦r<2K (K=min(n,10))
しかし、本発明のシステムでは通信制御装置に5Ts毎に送信機会が与えられるようにしているため、IEEE802.3と同じ方式を採用すると衝突時の遅延が大となり効率が悪くなる。
【0135】
(9)伝送路が空きになる直前の動作
図30は、伝送路が空きになる直前の動作を示したものである。中央情報通信制御装置は、パケットの受信を開始すると、先ずUPPHからユーザ情報の長さ(UPDL)を示す情報を抽出してメモリに一時記憶する。そして、ユーザパケットを受信しながらこのユーザパケットの受信済みの長さを測定し、この受信済み長と上記メモリに一時記憶したユーザパケット長とから、未受信のユーザパケット長を算出する。そして、この未受信のユーザパケット長に相当する時間が、先に述べた遅延/レベル系昨制御において測定した往復伝搬遅延時間と等しくなった時点でSIにてパケットの「送信開始許可」を送出する。
【0136】
このようにすることで、中央情報通信制御装置では任意の通信制御装置からのパケットデータの受信が終了した直後に、別の通信制御装置からのパケットデータの受信が開始されることになる。すなわち、複数の通信制御装置からのパケットをほぼ連続的に受信することが可能となる。このため、ユーザパケットを最後まで受信し終わった後に「送信開始許可」の通知を送信する場合に比べて、空白期間を生じずにスループットの高い端末データの伝送を行なうことができる。
【0137】
(10)テスト信号送信要求(ASG)およびテスト信号(RSP)送受信時の動作
図31は、この動作を説明するためのシーケンス図である。
【0138】
通信制御装置は、フレーム同期および遅延制御の結果を基に、自己の通信制御装置が送出すべき制御ウインドウ期間(UPSF00〜UPSF08)を算出し、この期間にはユーザ情報を含むパケットを送出しないように制御する。また、UPSF79の状態によって以下のようにDWPL4のSIを送出する。
【0139】
この様にすれば、図31のように通信制御装置が制御ウインドウの開始位置でパケットの送信を中断し、制御ウインドウ期間が終了した時点から続きのパケットを送信することが可能となる。
【0140】
(11)制御ウインドウをまたがるパケットの送信動作
図32は、端末がアップストリームの制御ウインドウをまたがってパケットを送信する場合の動作を示すシーケンス図である。
【0141】
パケットの送信中に制御ウインドウUPSF00〜UPSF08の期間になると、通信制御装置はペイロードウインドウの最終サブフレームUPSF79においてパケットの送信動作を一旦中断する。そして、上記制御ウインドウUPSF00〜UPSF08が経過すると、通信制御装置は次のサブフレームUPSF09からパケットの送信を再開する。
【0142】
(12)往復伝搬遅延時間が0.2Tsの場合の動作
図33は、中央情報通信制御装置の近くに設置されている通信制御装置と中央情報通信制御装置との間のシーケンス例を示す図である。
【0143】
ダウンストリームの先頭のFSを受信すると、通信制御装置はRSPを返送する。このRSPの返送期間は図では3サブフレームである。このRSPを受けとると中央情報通信制御装置は次のサブフレームのSIにて「送信許可」の通知を送信する。伝搬遅延時間が0.2Tsと短いと、上記「送信許可」の通知は通信制御装置のアップストリームの制御ウインドウ期間中に通信制御装置に到達する。この場合中央情報通信制御装置は、残りの制御ウインドウの期間(図では5×Ts)において、その各サブフレームのSIにて「送信禁止」の通知を通信制御装置へ送る。このため通信制御装置は、上記制御ウインドウが終了するまで送信遅延を行ない、ペイロードウインドウの先頭サブフレームUPSF09からパケットの送信を開始する。
【0144】
(13)往復伝搬遅延時間が4Tsの場合の動作
図34は、中央情報通信制御装置から遠い位置に設置されている通信制御装置と中央情報通信制御装置との間のシーケンス例を示す図である。
【0145】
アップストリームの制御ウインドウにおいてRSPを受信すると、中央情報通信制御装置は「送信許可」の通知を送信する。そして、以後アップストリームの制御ウインドウの期間の受信が終了するまではSIにて「送信禁止」の通知を送信する。しかし、伝搬遅延時間が4Tsと長いと、上記「送信許可」の通知は遅れて通信制御装置に到達し、通信制御装置のアップストリームは短期間のうちにペイロードウインドウになる。このため、通信制御装置は中央情報通信制御装置からその後到来する「送信禁止」の通知に従わず、アップストリームの制御ウインドウの残りの短期間(図では0.5Ts)だけ送信遅延を行なったのち、ペイロードウインドウの先頭のサブフレームになった時点でパケットの送信を開始する。
【0146】
以上述べたようにこの実施の形態のCATVシステムでは、システムの運用中に中央情報通信制御装置1において、上り伝送路におけるパケット受信成功率、つまり正しく受信できたパケット数/受信したパケット数を検出し、このパケット受信成功率がしきい値αよりも小さくなったときに、通信制御装置の送信確率を低くするための送信規制情報を生成して下り伝送路を介して各通信制御装置2a〜2cへ通知している。そして、各通信制御装置2a〜2cでは、通知された前記送信規制レベル情報に基づいて乱数を生成し、この乱数を参照して送信開始するか否かを判定する。そして、送信延期と判定された場合には、中央情報通信制御装置1より「送信許可」を受けるまで待機し、「送信許可」を受けたときにユーザデータの送信を開始するようにしている。
【0147】
したがって、このようなフロー制御により、通信制御装置2a〜2cに接続されたパーソナル・コンピュータ6a〜6cが例えば故障してデータを送信し続けた場合や、悪意を持ったユーザがソフトウェアを改造してパーソナル・コンピュータからデータを出し続けた場合、さらにはチケット予約などのために突然高トラヒックが発生した場合に、ネットワークに過剰なトラヒックが入力されたままにならないように通信制御装置2a〜2cの送信を規制することができる。
【0148】
図35は、送信規制を行なわないスロット化ALOHA方式と、送信成功確率(正しく受信できたパケット数/受信したパケット数)が0.38より低くなったときにスループットが常に0.38になるように適応的に送信規制を行なったこの発明の実施の形態におけるスロット化ALOHA方式とについて、1パケットの伝送時間で正規化したネットワーク内の平均遅延時間(Normalized delay)特性を比較したものである。
【0149】
同図から判るように、送信規制を行なわないスロット化ALOHA方式では、正規化印加トラヒックが8を越えると平均遅延時間(Normalized delay)が10,000を越えるのに対し、送信規制を行なった場合には同じ正規化印加トラヒック=8のときで平均遅延時間は約80程度で済む。
【0150】
この効果は、LANのように企業内や学校内などの仲間どうしでデータ通信を行なうシステムとは異なり、不特定多数のユーザに対しサービスを提供することを目的とした双方向通信システムにあっては、システムを安定に運用する上で極めて重要である。
【0151】
またこの実施の形態では、パケット送信に先立ち、例えば通信制御装置の電源が投入された時点で遅延/レベル制御を行なって、通信制御装置個々の往復伝搬遅延時間によび応じた最適送信タイミングと最適送信レベルを設定する。そして、パケット伝送時にはパケットの未受信部分の長さと上記往復伝搬遅延時間とを基に、中央情報通信制御装置からパケット受信中に送信待機中の他の通信制御装置へ「送信許可」を通知して、パケットのプリアイドル送信を行なわせるようにしている。
【0152】
また、それとともに中央情報通信制御装置においてパケットの衝突および伝送誤りの発生をそれぞれ監視し、衝突または伝送誤りが検出された場合にはパケット送信中の通信制御装置に「衝突発生または伝送誤り発生」の通知を行なってパケットの送信を直ちに停止させ、同時に送信待機中の他の通信制御装置に対しては「送信許可」の通知を行なってパケットの送信を行なわせるようにしている。
【0153】
したがってこの実施の形態によれば、パケット受信終了時および衝突または伝送誤り発生時において行なわれるプリアイドル送信制御により、伝搬遅延時間により中央情報通信制御装置において発生する受信空白期間をできる限り短縮して、スループットの高いパケット伝送を実現することができる。
【0154】
図36は、この実施の形態によるスループット特性のシュミレーション結果を従来の場合と比較して示したもので、V,Wがこの実施の形態によるスループット特性を、またX,Yが従来のスループット特性をそれぞれ示している。同図から明らかなように伝送レートが2.048Mbps の場合も、またその倍の4.96Mbps の場合も、従来に比べてスループットは最大で20%強改善される。
【0155】
またこの実施の形態によれば、遅延/レベル制御を行なったことにより、中央情報通信制御装置に対する通信制御装置の物理的位置の違いによる送信権の不公平を解消することができる。
【0156】
さらにこの実施の形態によれば、衝突検出方式としてCRC符号を利用したことにより、ランダムパルスを使用する場合に比べて回路構成および制御を簡単化することができる。しかも衝突なしと判定した場合には、通信制御装置から送られた通信制御装置IDを「衝突なし」通知とともに送信元の通信制御装置に通知し、通信制御装置においてこの通知された通信制御装置IDを自装置のIDと照合して、一致しなかった場合には衝突発生の可能性ありと判断してパケット送信を停止するようにしたことによって、中央情報通信制御装置において衝突の発生を見逃した場合でも、通信制御装置において比較的容易に衝突発生の有無の再確認を行なうことができる。したがって、信頼性の高い衝突検出を行なうことができ、これによりパケット排気率を低下させてスループットを高めることが可能となる。
【0157】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、フロー制御、遅延/レベル制御、衝突および伝送誤りの検出制御、およびプリアイドル送信制御の各制御手順とその制御内容、適用するシステムの種類、構成および用途、アップストリームおよびダウンストリームの伝送フォーマットなどについては、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施可能なことは言うまでもない。
【0158】
例えば、前記実施の形態では、パケット受信成功率がしきい値αよりも低くなった場合に、中央情報通信制御装置から各通信制御装置へ通信制御装置のパケット送信を抑制するための送信規制情報を通知するようにしたが、パケット受信成功率がしきい値αよりも低くなった場合には送信許可を与えず、パケット受信成功率がしきい値α以上になったときに送信許可を与えるようにしてもよい。
【0159】
また前記実施の形態では、パケット受信成功率を算出し、このパケット受信成功率がしきい値αよりも小さくなったときに通信制御装置に対し送信規制情報を通知して送信規制を行なわせるようにしたが、上り伝送路のスループットを監視し、このスループットがしきい値βよりも低下したときに通信制御装置に対し送信規制情報を通知して送信規制を行なわせるようにしてもよい。
【0160】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明では、中央情報通信制御装置において、上り伝送路上の通信状態に関する統計情報を生成するとともに、この統計情報に基づいて上記複数の通信制御装置のデータ送信機会を制御するための送信機会制御情報を生成してこの送信機会制御情報を下り伝送路を介して通信制御装置に通知し、かつ各通信制御装置においては、上記通知された送信機会制御情報に基づいて自装置のデータ送信機会を制御するようにしている。
【0161】
したがって本発明によれば、故障して信号を送信し続ける情報処理装置が通信制御装置に接続されている場合や、高トラヒックの負荷がシステムに入力された場合にも、システムのパフォーマンス低下を極力抑えることができる。
【0162】
また本発明では、中央情報通信制御装置において、各通信制御装置についてその往復伝搬遅延量を測定して、この測定された往復伝搬遅延量に基づいて各通信制御装置ごとの最適送信タイミングを求め、この送信タイミングを表わす情報を対応する通信制御装置に通知する。そして各通信制御装置においては、中央情報通信制御装置から通知された送信タイミングを表わす情報に応じて自装置のデータ送信タイミングを制御するようにしている。
【0163】
したがって本発明によれば、CATV網のようにサービス稼働半径が広く最大伝搬遅延時間の大きい場合であっても、後述する本発明の遅延制御によって送信権の公平性を保ち、また、この遅延制御と後述する衝突検出方式によってパケットの衝突を確実に検出でるためパケット廃棄を少なくすることができる。また、それに加えて、最大伝搬遅延時間を考慮して送信許可を与えるプリアイドル送信制御を行なうことによって、スループットを向上したアクセス方式を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される双方向通信システムのダウンストリームにおいて使用される伝送フォーマットの構成例を示す図。
【図2】図1に示した伝送フォーマットにおいて伝送されるアサインメント信号ASGの構成を示す図。
【図3】通知信号の送信構成の一例を示す図。
【図4】通知信号による通知される情報の内容を示す図。
【図5】本発明が適用される双方向通信システムのアップストリームにおいて使用される伝送フォーマットの構成例を示す図。
【図6】遅延/レベル制御の原理説明に使用するシーケンス図。
【図7】通信制御装置がNRDY状態のときの動作を示すシーケンス図。
【図8】通信制御装置がRDY状態になった後のRSPの送信動作を示すシーケンス図。
【図9】ユーザパケットの送信動作の一例を示すシーケンス図。
【図10】改良型ランダムパルス送出方式の原理を説明するためのシーケンス図。
【図11】改良型ランダムパルス送出方式を実現するために必要な通信制御装置および中央情報通信制御装置の機能構成を示した図。
【図12】CRC方式の原理を説明するためのシーケンス図。
【図13】CRC方式を実現するために必要な通信制御装置および中央情報通信制御装置の機能構成を示した図。
【図14】改良型CRC方式の動作(衝突なしの場合)を説明するためのシーケンス図。
【図15】改良型CRC方式の動作(衝突が発生した場合)を説明するためのシーケンス図。
【図16】プリアイドル方式の動作を説明するためのシーケンス図。
【図17】従来方式による動作を説明するためのシーケンス図。
【図18】本発明の一実施の形態に係わる双方向通信システムであるCATVネットワークシステムの概略構成図。
【図19】アップストリームおよびダウンストリームの構成の一例を示す。
【図20】中央情報通信制御装置におけるフロー制御の手順およびその内容を示すフローチャート。
【図21】伝送チャネルの伝送容量により正規化した印加トラヒックに対するスループットの特性を示す図。
【図22】伝送チャネルの伝送容量により正規化した印加トラヒックに対する送信成功確率の特性を示す図。
【図23】図18に示したシステムにおいて上り伝送路が空きの時の動作を説明するためのシーケンス図。
【図24】図18に示したシステムにおいて最短パケットではないパケットを送信する時の動作(衝突なし)を説明するためのシーケンス図。
【図25】図18に示したシステムにおいて最短パケット送信時の動作(衝突なし)を説明するためのシーケンス図。
【図26】図18に示したシステムにおいて中央情報通信制御装置において衝突を見逃した時の動作を説明するためのシーケンス図。
【図27】図18に示したシステムにおいて中央情報通信制御装置においてパケットの衝突を検出した時の動作を説明するためのシーケンス図。
【図28】図18に示したシステムにおいて中央情報通信制御装置において伝送路誤りを検出した時の動作を説明するためのシーケンス図。
【図29】図18に示したシステムにおいてバックオフ処理の動作を説明するためのシーケンス図。
【図30】図18に示したシステムにおいて伝送路が空きになる直前の動作を説明するためのシーケンス図。
【図31】図18に示したシステムにおいてテスト信号送信要求(ASG)およびテスト信号(RSP)送受信時の動作を説明するためのシーケンス図。
【図32】図18に示したシステムにおいて制御ウインドウをまたがるパケットの送信動作を説明するためのシーケンス図。
【図33】図18に示したシステムにおいて往復伝搬遅延時間が0.2Tsの場合の動作を説明するためのシーケンス図。
【図34】図18に示したシステムにおいて往復伝搬遅延時間が4Tsの場合の動作を説明するためのシーケンス図。
【図35】図18に示したシステムの正規化印加トラヒックに対する平均遅延時間の特性を従来の場合と比較して示した図。
【図36】この実施の形態によるスループット特性のシュミレーション結果を従来の場合と比較して示した図。
【符号の説明】
1…中央情報通信制御装置
2a〜2c…通信制御装置
3a,4a…電気/光変換器
3b,4b…光/電気変換器
5a,5b…光伝送路
6a〜6c…情報処理機器としてのパーソナル・コンピュータ
7…通信制御装置側の同軸伝送路
8…中央情報通信制御装置側の同軸伝送路
11…サーバ
101,111…帯域通過フィルタ
102,112,213…乗算器
103,113,214…発振器
104…レベル判定回路
105…しきい値設定回路
106,116…衝突判定部
114…QPSK遅延検波器
115…CRC回路
201…キャリア発振器
202…スイッチ
203…ランダムパルスパターン生成回路
211…差動符号化回路
212…端末ID・CRC生成回路
215…QPSK変調器
Claims (12)
- 中央情報通信制御装置と、各々情報処理機器が接続された複数の通信制御装置とを備え、複数の通信制御装置は中央情報通信制御装置に対し第1の伝送路を介してそれぞれデータを伝送し、中央情報通信制御装置は複数の通信制御装置に対し第2の伝送路を介してデータを伝送する双方向通信システムにおいて、
前記中央情報通信制御装置は、
前記複数の通信制御装置の各々について、これらの通信制御装置と自装置との間の前記第1および第2の伝送路による往復伝搬遅延量を測定するための伝搬遅延量測定手段と、
この伝搬遅延量測定手段により測定された往復伝搬遅延量に基づいて、各通信制御装置から前記第1の伝送路へ送信されたデータの中央情報通信制御装置における受信タイミングを所定の時間差の範囲内とするべく各通信制御装置ごとの送信タイミングを求め、この送信タイミングを表わす情報を前記第2の伝送路を介して該当する通信制御装置にそれぞれ通知するための送信タイミング通知手段と、
前記通信制御装置から第1の伝送路を介して伝送されたデータに伝送誤りが発生したか否かを判定するための伝送誤り検出手段と、
この伝送誤り検出手段により伝送誤りの発生が検出された場合に、該当する通信制御装置に対し第2の伝送路を介して伝送誤りの発生を通知してデータの送信を停止させる伝送誤り通知手段と
を備え、
かつ前記複数の通信制御装置の各々は、前記中央情報通信制御装置から通知された送信タイミングを表わす情報に応じて自装置のデータ送信タイミングを制御するための送信タイミング制御手段を備えたことを特徴とする双方向通信システム。 - 中央情報通信制御装置と、各々情報処理機器が接続された複数の通信制御装置とを備え、複数の通信制御装置は中央情報通信制御装置に対し第1の伝送路を介してそれぞれデータを伝送し、中央情報通信制御装置は複数の通信制御装置に対し第2の伝送路を介してデータを伝送する双方向通信システムにおいて、
前記中央情報通信制御装置は、
前記複数の通信制御装置の各々について、これらの通信制御装置と自装置との間の前記第1および第2の伝送路による往復伝搬遅延量を測定するための伝搬遅延量測定手段と、
この伝搬遅延量測定手段により測定された往復伝搬遅延量に基づいて、各通信制御装置から前記第1の伝送路へ送信されたデータの中央情報通信制御装置における受信タイミングを所定の時間差の範囲内とするべく各通信制御装置ごとの送信タイミングを求め、この送信タイミングを表わす情報を前記第2の伝送路を介して該当する通信制御装置にそれぞれ通知するための送信タイミング通知手段と、
前記複数の通信制御装置の各々について、これらの通信制御装置から第1の伝送路を介して伝送される信号の受信レベルを検出するための受信レベル測定手段と、
この受信レベル測定手段により測定された受信レベルに基づいて、各通信制御装置から前記第1の伝送路へ送信されたデータの中央情報通信制御装置における受信レベルを所定のレベル差の範囲内とするべく各通信制御装置ごとの送信レベルを求め、この送信レベルを表わす情報を前記第2の伝送路を介して該当する通信制御装置にそれぞれ通知するための送信レベル通知手段と、
前記通信制御装置から第1の伝送路を介して伝送されたデータに伝送誤りが発生したか否かを判定するための伝送誤り検出手段と、
この伝送誤り検出手段により伝送誤りの発生が検出された場合に、該当する通信制御装置に対し第2の伝送路を介して伝送誤りの発生を通知してデータの送信を停止させる伝送誤り通知手段と
を備え、
かつ前記複数の通信制御装置の各々は、
前記中央情報通信制御装置から通知された送信タイミングを表わす情報に応じて自装置のデータ送信タイミングを制御するための送信タイミング制御手段と、
前記中央情報通信制御装置から通知された送信レベルを表わす情報に応じて自装置のデータ送信レベルを設定する送信レベル制御手段と
を備えたことを特徴とする双方向通信システム。 - 中央情報通信制御装置と、各々情報処理機器が接続された複数の通信制御装置とを備え、複数の通信制御装置は中央情報通信制御装置に対し第1の伝送路を介してそれぞれデータを伝送し、中央情報通信制御装置は複数の通信制御装置に対し第2の伝送路を介してデータを伝送する双方向通信システムにおいて、
前記中央情報通信制御装置は、
前記複数の通信制御装置のデータ送信機会を制御するための送信機会制御情報を生成する送信機会制御情報生成手段と、
前記複数の通信制御装置の各々について、これらの通信制御装置と自装置との間の前記第1および第2の伝送路による往復伝搬遅延量を測定するための伝搬遅延量測定手段と、
この伝搬遅延量測定手段により測定された往復伝搬遅延量に基づいて、各通信制御装置から前記第1の伝送路へ送信されたデータの中央情報通信制御装置における受信タイミングを所定の時間差の範囲内とするべく各通信制御装置ごとの送信タイミングを求める送信タイミング決定手段と、
前記送信機会制御情報生成手段により生成された送信機会制御情報および送信タイミング決定手段により決定された送信タイミングを表わす情報を前記第2の伝送路を介して対応する通信制御装置に通知するための情報通知手段と、
前記複数の通信制御装置の各々について、これらの通信制御装置から第1の伝送路を介して伝送される信号の受信レベルを検出するための受信レベル測定手段と、
この受信レベル測定手段により測定された受信レベルに基づいて、各通信制御装置から前記第1の伝送路へ送信されたデータの中央情報通信制御装置における受信レベルを所定のレベル差の範囲内とするべく各通信制御装置ごとの送信レベルを求め、この送信レベルを表わす情報を前記第2の伝送路を介して該当する通信制御装置にそれぞれ通知するための送信レベル通知手段と、
前記通信制御装置から第1の伝送路を介して伝送されたデータに伝送誤りが発生したか否かを判定するための伝送誤り検出手段と、
この伝送誤り検出手段により伝送誤りの発生が検出された場合に、該当する通信制御装置に対し第2の伝送路を介して伝送誤りの発生を通知してデータの送信を停止させる伝送誤り通知手段と
を備え、
かつ前記複数の通信制御装置の各々は、
前記中央情報通信制御装置から通知された前記送信機会制御情報に基づいて、自装置のデータ送信機会を制御する送信機会制御手段と、
前記中央情報通信制御装置から通知された送信タイミングを表わす情報に応じて自装置のデータ送信タイミングを制御するための送信タイミング制御手段と、
前記中央情報通信制御装置から通知された送信レベルを表わす情報に応じて自装置のデータ送信レベルを設定する送信レベル制御手段と
を備えたことを特徴とする双方向通信システム。 - 中央情報通信制御装置と、各々情報処理機器が接続された複数の通信制御装置とを備え、複数の通信制御装置は中央情報通信制御装置に対し第1の伝送路を介してそれぞれデータを伝送し、中央情報通信制御装置は複数の通信制御装置に対し第2の伝送路を介してデータを伝送する双方向通信システムにおいて、
前記中央情報通信制御装置は、
前記第1の伝送路上の通信状態に関する統計情報を生成するための統計情報生成手段と、
この統計情報生成手段により生成された統計情報に基づいて、前記複数の通信制御装置のデータ送信機会を制御するための送信機会制御情報を生成する送信機会制御情報生成手段と、
前記複数の通信制御装置の各々について、これらの通信制御装置と自装置との間の前記第1および第2の伝送路による往復伝搬遅延量を測定するための伝搬遅延量測定手段と、
この伝搬遅延量測定手段により測定された往復伝搬遅延量に基づいて、各通信制御装置から前記第1の伝送路へ送信されたデータの中央情報通信制御装置における受信タイミングを所定の時間差の範囲内とするべく各通信制御装置ごとの送信タイミングを求める送信タイミング決定手段と、
前記送信機会制御情報生成手段により生成された送信機会制御情報および送信タイミング決定手段により決定された送信タイミングを表わす情報を前記第2の伝送路を介して対応する通信制御装置に通知するための情報通知手段と、
前記複数の通信制御装置の各々について、これらの通信制御装置から第1の伝送路を介して伝送される信号の受信レベルを検出するための受信レベル測定手段と、
この受信レベル測定手段により測定された受信レベルに基づいて、各通信制御装置から前記第1の伝送路へ送信されたデータの中央情報通信制御装置における受信レベルを所定のレベル差の範囲内とするべく各通信制御装置ごとの送信レベルを求め、この送信レベルを表わす情報を前記第2の伝送路を介して該当する通信制御装置にそれぞれ通知するための送信レベル通知手段と、
通信制御装置から第1の伝送路を介して伝送されたデータに伝送誤りが発生したか否かを判定するための伝送誤り検出手段と、
この伝送誤り検出手段により伝送誤りの発生が検出された場合に、該当する通信制御装置に対し第2の伝送路を介して伝送誤りの発生を通知してデータの送信を停止させる伝送誤り通知手段と
を備え、
かつ前記複数の通信制御装置の各々は、
前記中央情報通信制御装置から通知された前記送信機会制御情報に基づいて、自装置のデータ送信機会を制御する送信機会制御手段と、
前記中央情報通信制御装置から通知された送信タイミングを表わす情報に応じて自装置のデータ送信タイミングを制御するための送信タイミング制御手段と、
前記中央情報通信制御装置から通知された送信レベルを表わす情報に応じて自装置のデータ送信レベルを設定する送信レベル制御手段と
を備えたことを特徴とする双方向通信システム。 - 中央情報通信制御装置と、各々情報処理機器が接続された複数の通信制御装置とを備え、複数の通信制御装置は中央情報通信制御装置に対し第1の伝送路を介してそれぞれデータを伝送し、中央情報通信制御装置は複数の通信制御装置に対し第2の伝送路を介してデータを伝送する双方向通信システムにおいて、
前記中央情報通信制御装置は、
前記複数の通信制御装置の各々について、これらの通信制御装置と自装置との間の前記第1および第2の伝送路による往復伝搬遅延量を測定するための伝搬遅延量測定手段と、
この伝搬遅延量測定手段により測定された往復伝搬遅延量に基づいて、各通信制御装置から前記第1の伝送路へ送信されたデータの中央情報通信制御装置における受信タイミングを所定の時間差の範囲内とするべく各通信制御装置ごとの送信タイミングを求め、この送信タイミングを表わす情報を前記第2の伝送路を介して該当する通信制御装置にそれぞれ通知するための送信タイミング通知手段と、
複数の通信制御装置から送信されたデータの第1の伝送路上における衝突の有無を判定するための衝突検出手段と、
この衝突検出手段により衝突の発生が検出された場合に、該当する通信制御装置に対し第2の伝送路を介して衝突の発生を通知して少なくともデータの送信を停止させる衝突通知手段と、
通信制御装置から第1の伝送路を介して伝送されたデータに伝送誤りが発生したか否かを判定するための伝送誤り検出手段と、
この伝送誤り検出手段により伝送誤りの発生が検出された場合に、該当する通信制御装置に対し第2の伝送路を介して伝送誤りの発生を通知してデータの送信を停止させる伝送誤り通知手段と
を備え、
かつ前記複数の通信制御装置の各々は、前記中央情報通信制御装置から通知された送信タイミングを表わす情報に応じて自装置のデータ送信タイミングを制御するための送信タイミング制御手段を備えたことを特徴とする双方向通信システム。 - 中央情報通信制御装置と、各々情報処理機器が接続された複数の通信制御装置とを備え、複数の通信制御装置は中央情報通信制御装置に対し第1の伝送路を介してそれぞれデータを伝送し、中央情報通信制御装置は複数の通信制御装置に対し第2の伝送路を介してデータを伝送する双方向通信システムにおいて、
前記中央情報通信制御装置は、
前記複数の通信制御装置のデータ送信機会を制御するための送信機会制御情報を生成する送信機会制御情報生成手段と、
前記複数の通信制御装置の各々について、これらの通信制御装置と自装置との間の前記第1および第2の伝送路による往復伝搬遅延量を測定するための伝搬遅延量測定手段と、
この伝搬遅延量測定手段により測定された往復伝搬遅延量に基づいて、各通信制御装置から前記第1の伝送路へ送信されたデータの中央情報通信制御装置における受信タイミングを所定の時間差の範囲内とするべく各通信制御装置ごとの送信タイミングを求める送信タイミング決定手段と、
前記送信機会制御情報生成手段により生成された送信機会制御情報および送信タイミング決定手段により決定された送信タイミングを表わす情報を前記第2の伝送路を介して対応する通信制御装置に通知するための情報通知手段と、
複数の通信制御装置から送信されたデータの第1の伝送路上における衝突の有無を判定するための衝突検出手段と、
この衝突検出手段により衝突の発生が検出された場合に、該当する通信制御装置に対し第2の伝送路を介して衝突の発生を通知して少なくともデータの送信を停止させる衝突通知手段と、
前記通信制御装置から第1の伝送路を介して伝送されたデータに伝送誤りが発生したか否かを判定するための伝送誤り検出手段と、
この伝送誤り検出手段により伝送誤りの発生が検出された場合に、該当する通信制御装置に対し第2の伝送路を介して伝送誤りの発生を通知してデータの送信を停止させる伝送誤り通知手段と
を備え、
かつ前記複数の通信制御装置の各々は、
前記中央情報通信制御装置から通知された前記送信機会制御情報に基づいて、自装置のデータ送信機会を制御する送信機会制御手段と、
前記中央情報通信制御装置から通知された送信タイミングを表わす情報に応じて自装置のデータ送信タイミングを制御するための送信タイミング制御手段と
を備えたことを特徴とする双方向通信システム。 - 中央情報通信制御装置と、各々情報処理機器が接続された複数の通信制御装置とを備え、複数の通信制御装置は中央情報通信制御装置に対し第1の伝送路を介してそれぞれデータを伝送し、中央情報通信制御装置は複数の通信制御装置に対し第2の伝送路を介してデータを伝送する双方向通信システムにおいて、
前記中央情報通信制御装置は、
前記第1の伝送路上の通信状態に関する統計情報を生成するための統計情報生成手段と、
この統計情報生成手段により生成された統計情報に基づいて、前記複数の通信制御装置のデータ送信機会を制御するための送信機会制御情報を生成する送信機会制御情報生成手段と、
前記複数の通信制御装置の各々について、これらの通信制御装置と自装置との間の前記第1および第2の伝送路による往復伝搬遅延量を測定するための伝搬遅延量測定手段と、
この伝搬遅延量測定手段により測定された往復伝搬遅延量に基づいて、各通信制御装置から前記第1の伝送路へ送信されたデータの中央情報通信制御装置における受信タイミングを所定の時間差の範囲内とするべく各通信制御装置ごとの送信タイミングを求める送信タイミング決定手段と、
前記送信機会制御情報生成手段により生成された送信機会制御情報および送信タイミング決定手段により決定された送信タイミングを表わす情報を前記第2の伝送路を介して対応する通信制御装置に通知するための情報通知手段と、
複数の通信制御装置から送信されたデータの第1の伝送路上における衝突の有無を判定するための衝突検出手段と、
この衝突検出手段により衝突の発生が検出された場合に、該当する通信制御装置に対し第2の伝送路を介して衝突の発生を通知して少なくともデータの送信を停止させる衝突通知手段と、
前記通信制御装置から第1の伝送路を介して伝送されたデータに伝送誤りが発生したか否かを判定するための伝送誤り検出手段と、
この伝送誤り検出手段により伝送誤りの発生が検出された場合に、該当する通信制御装置に対し第2の伝送路を介して伝送誤りの発生を通知してデータの送信を停止させる伝送誤り通知手段と
を備え、
かつ前記複数の通信制御装置の各々は、
前記中央情報通信制御装置から通知された前記送信機会制御情報に基づいて、自装置のデータ送信機会を制御する送信機会制御手段と、
前記中央情報通信制御装置から通知された送信タイミングを表わす情報に応じて自装置のデータ送信タイミングを制御するための送信タイミング制御手段と
を備えたことを特徴とする双方向通信システム。 - 前記伝送誤り通知手段は、前記伝送誤り検出手段において伝送誤りが発生したと判断された場合に、データ送信中の通信制御装置に対し第2の伝送路を介して伝送誤りの発生を通知して少なくともデータの送信を停止させるとともに、送信待機中の他の通信制御装置に対し第2の伝送路を介して送信開始許可を通知してデータの送信を開始させることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の双方向通信システム。
- 伝送誤り通知手段は、前記伝送誤り検出手段において伝送誤りが発生したと判断された場合に、伝送誤りが発生した旨と送信開始許可とを表わす一つの通知情報を生成し、この通知情報を第2の伝送路を介して各通信制御装置へ送信することにより、データ送信中の通信制御装置には少なくともデータの送信を停止させ、かつ送信待機中の通信制御装置にはデータの送信を開始させることを特徴とする請求項8記載の双方向通信システム。
- 伝送誤り通知手段は、伝送誤り検出手段により伝送誤りの発生が検出された場合に、該当する通信制御装置に対し第2の伝送路を介して伝送誤りの発生を通知してデータの送信を停止させるとともにランダムな時間待機したのちデータの再送を行なうバックオフ処理を行なわせることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の双方向通信システム。
- 中央情報通信制御装置と、この中央情報通信制御装置に対し第1および第2の伝送路を介して接続される複数の通信制御装置とを備え、複数の通信制御装置は中央情報通信制御装置に対し第1の伝送路を介してデータを伝送し、中央情報通信制御装置は複数の通信制御装置に対し第2の伝送路を介してデータを伝送する双方向通信システムにおいて、
前記中央情報通信制御装置は、
前記複数の通信制御装置の各々について、これらの通信制御装置と自装置との間の前記第1および第2の伝送路による往復伝搬遅延量を測定するための伝搬遅延量測定手段と、
任意の通信制御装置から第2の伝送路を介して伝送されたデータの受信中に、当該データの未受信部分の長さを検出するための未受信長検出手段と、
この未受信長検出手段により検出された当該データの未受信長が前記伝搬遅延量測定手段により測定された往復伝搬遅延量よりも短くなった時点から前記未受信長が零になるまでの期間内に、前記各通信制御装置に対し送信開始許可を送出するための送信開始許可送出手段とを備えたことを特徴とする双方向通信システム。 - 未受信長検出手段は、通信制御装置から伝送されるデータのヘッダ部にデータ長を表わす情報が含まれている場合に、このデータ長を表わす情報と受信済みのデータ長とからデータの未受信部分の長さを検出することを特徴とする請求項11記載の双方向通信システム。
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