JP3617088B2 - テレビジョン受像機 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明はテレビジョン受像機に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、高能率符号化技術の進展に伴い、数メガ〜数十メガのビットレートで高品質な画像を伝送することが可能になり、これをデジタル放送やデジタルCATVに適用する研究が進められている。
【0003】
デジタル放送やデジタルCATVでは、現行方式と比較してS/N比の良好な画像が受像でき、テレビ画像の高画質化を図ることができる。また、アスペクト比も現行テレビ方式の4対3とは異なり、アスペクト比を16対9に採用して、テレビ画像のワイド化も実現する。
【0004】
しかし、伝送効率などを考慮して、画像の走査形態は、現行テレビ方式と同様、二対一のインタレース走査を採用する。このため、再生画像では、現行テレビ方式と同様、インタレース走査に伴う画質妨害、例えば、ラインフリッカやペアリング等のインタレース妨害が発生する。そして、これらインタレース妨害によって、デジタル放送やデジタルCATVの特長である高画質化が損なわれてしまうという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、デジタル放送やデジタルCATVなどのテレビジョン信号を高品質,高精細な画像で受像でき、また、現行テレビ方式のテレビジョン信号も高画質化して受像できるテレビジョン受像機を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明では、上記目的を達成するため、画像表示部では順次走査の走査形態で画像表示を行う。そして、インタレース走査から順次走査への走査変換は、デジタル放送やデジタルCATVなどのテレビジョン信号では、ビデオ符号化信号を復号して得る動きベクトル信号を使用してインタレース走査で抜けた走査線の信号を動き補償の補間処理で生成する。また、現行テレビ方式のテレビジョン信号では、従来技術と同様、動き適応の補間処理で補間信号を生成する。
【0007】
【作用】
従来、インタレース妨害を回避するための技術として、インタレース走査で抜けた走査線の信号を補間処理で生成してインタレース走査から順次走査に走査変換し、この順次走査の信号を画像表示部に表示することが知られている。そして、現行テレビ方式のテレビジョン信号に適用した例は、動き適応の補間処理がある。これは、静止画に適した補間信号と、動画に適した補間信号とを、画像の動きに応じて混合比率を変化させて補間信号を生成する。ただ受信テレビジョン信号で動きの検出を行わねばならず、動きによっては誤検出や検出もれが発生し、これに起因した画質の劣化も発生する。
【0008】
一方、デジタル放送やデジタルCATVなどのテレビジョン信号では、動き補償のフレーム間予測符号化を採用する。このため、ビデオ符号化信号には、動きベクトル信号,予測誤差信号など、画像の動きの情報が含まれている。したがって、これら信号を用いる動き補償の補間処理で、インタレース走査から順次走査への走査変換を行うことが可能になる。
【0009】
このため、本発明では、同一フィールドの信号から補間信号を生成するフィールド内補間部と、隣接フィールドの信号を動き補償処理して補間信号を生成する動き補償補間部とを設ける。そして、復号した動きベクトル信号が動き補償補間処理に適合する場合は、予測誤差信号の大小に応じて、フィールド内補間部と動き補償補間部の出力信号の混合比率を変化させて、補間信号を生成する。一方、動きベクトル信号が動き補償補間処理に不適当な場合は、動きベクトル信号の大小に応じて、補間動きベクトル信号が零で生成した動き補償補間部の出力信号とフィールド内補間部の出力信号の混合比率を変化させて補間信号を生成する。
【0010】
本発明によれば、従来の動き適応の補間処理と比較して、動き補償の補間処理では画像の動きにより合致した理想的な補間信号を生成することができる。また、動きベクトル信号の大小で画像の動きの速度を検出し、これに応じて混合比率を変化させて補間信号を生成するため、人間の視覚特性に合致する動きの速度に応じた補間処理ができる。この結果、従来の動き適応の補間処理では達成が極めて困難な、高品質,高精細な画質でインタレース走査から順次走査への走査変換を行うことができる。そして、インタレース妨害を解消した高画質な画像を受像できる。
【0011】
また、動きベクトル信号によって、従来の動きの検出に比較して、誤検出や検出もれがなく、かつ、より正確な画像の動きを検出することができる。そして、この動きの情報を使用することによって、従来の動き適応の補間処理でも、静止部と動画部との解像度のバラツキが良く、違和感の少ない、人間の視覚特性に整合した補間信号を生成することができる。この結果、高品質,高精細な画質で、インタレース走査から順次走査への走査変換が実現でき、インタレース妨害を解消した高画質な画像を受像できる。
【0012】
【実施例】
本発明の第1の実施例について、図1のブロック図で説明する。
【0013】
第1のテレビジョン信号S1は、ベースバンド復調部1で所定の復調処理を行い、ベースバンド帯域の複合カラーテレビジョン信号S2を復調する。ビデオ復調部2は、YC分離,色復調などの所定の復調処理を行う。また、アスペクト比が16対9の画面に画像を表示するための信号処理を行う。例えば、現行のNTSC方式のテレビジョン信号に対しては、画面の左右に無画部領域を設けてアスペクト比が4対3の画像を表示するために、水平方向に時間軸を3/4倍圧縮する処理を行う。また、レターボックス型のEDTV方式のテレビジョン信号に対しては、主画部領域の画像をフルに表示するために、垂直方向に4/3倍伸長する処理を行う。そして、インタレース走査の画像信号S3(輝度信号と二つの色差信号)を復調する。
【0014】
MA走査変換部3は、インタレース走査で抜けた走査線の信号を、従来の動き適応の補間処理で生成する。そして、画像信号S3と補間信号を、水平方向に時間軸を1/2に圧縮し、時系列に多重して、順次走査の画像信号S4(輝度信号と二つの色差信号)を生成する。
【0015】
一方、第2のテレビジョン信号S10は、チャネル復号化部4で所定のデジタル復調処理を行い、符号化ビットストリーム信号を復号する。また、符号誤りの訂正処理および修正処理(訂正が不能な符号誤りを相関の高い信号で置換)を行い、ビデオ符号化信号S11を復号する。ビデオ復号化部5は、所定の復号化処理、例えば、可変長符号復号化,逆量子化,変換係数復号化などを行い、符号化フレームの画像データを復号する。そして、所定の画像フォーマットの変換処理を行い、インタレース走査の画像信号SV(輝度信号と二つの色差信号)と、動き情報データS12(動きベクトル信号と予測誤差信号)とを出力する。MC走査変換部6は、インタレース走査で抜けた走査線の信号を、動き情報データS12を用いた動き補償の補間処理で生成する。なお、この詳細については後述する。そして、画像信号SVと補間信号を、水平方向に時間軸を1/2に圧縮し、時系列に多重して、順次走査の画像信号S13(輝度信号と二つの像差信号)を生成する。
【0016】
選択部7は、第1のテレビジョン信号の受信では画像信号S4,第2のテレビジョン信号の受信では画像信号S13を選択して、出力信号S5に出力する。ビデオプロセス部8は、所定のマトリクス演算の信号処理を行い、三原色RGB系の信号に変換する。そして、三原色画像信号S6(R,G,B信号)を生成する。この信号は、画像表示部9でアスペクト比が16対9、順次走査の形態で表示し、高品質,高精細なテレビ画像を受像する。
【0017】
以下、本実施例におけるMC走査変換部6について詳述する。
【0018】
図2は、この第1のブロック図である。フィールド内補間部10,動き補償補間部11,係数加重部12,加算部13,遅延部14,時系列多重部15、および、MC制御部16で構成し、動き補償の補間処理でインタレース走査から順次走査への走査変換を行う。
【0019】
フィールド内補間部10は、インタレース走査で抜けた走査線の信号を、画像信号SVの同一フィールド内の走査線の信号の演算処理(例えば隣接する上下の走査線の信号の平均値)で、補間信号S20を生成する。
【0020】
動き補償補間部11は、画像信号SVの隣接する前後のフィールドの走査線の信号から、後述する様に、動き補償の補間処理に適した対の走査線の信号を補間動きベクトル信号IVで選択し、これらの信号の平均値で、補間信号S21を生成する。
【0021】
係数加重部12−1と12−2では、補間信号S20とS21に対して混合比率係数kと1−k(0<k<1)の係数値を加重する。そして、加算部13で、係数加重した両者の信号の加算を行い、動き補償補間信号S22を生成する。
【0022】
遅延部14は、動き補償補間信号の生成の信号処理で発生する時間遅延の補正を行い、時間遅延の一致した画像信号S23を生成する。そして、時系列多重部15は、信号S23とS22をそれぞれ水平方向に時間軸を1/2に圧縮し、時系列に多重して、順次走査の画像信号S13を生成する。
【0023】
また、MC制御部16は、動き情報データS12の動きベクトル信号MVと予測誤差信号PEをもとに、後述する様に、補間動きベクトル信号IVと混合比率係数k,1−kを生成する。
【0024】
さて、補間動きベクトル生成の概略を図3で説明する。同図は、画像の動きが垂直方向の場合を示す。図中の白丸はインタレース走査で伝送される走査線、黒丸は補間走査線を示し、また、Vi は動きベクトル信号MVで得られる1フレーム間の動きベクトルである。フィールド1の走査線aの信号は、1フレーム期間後のフィールド3では、動きベクトルV0 (静止)では走査線a,V1 では走査線b,V2 では走査線cの位置に移動する。また、V−1では走査線d,V−2では走査eの位置に移動する。したがって、動きベクトル信号のうち、補間走査線とクロスする動きベクトル(図ではV0 ,V2 ,V−2の三種類)は、動き補償の補間処理に使用することができる。そこで、これらの動きベクトルに対しては、補間動きベクトル信号IVとして、V0 ではIV=0,V2 ではIV=1,V−2ではIV=−1の信号を生成する。一方、動きベクトル信号のうち、伝送走査線とクロスする動きベクトル(図ではV1 ,V−1の二種類)は、動き補償の補間処理には使用できないので、補間動きベクトル信号IVにはIV=0の信号を生成する。
【0025】
つぎに、図4で動き補償補間信号生成の概略を説明する。同図は先の図3と同様、画像の動きが垂直方向の場合を示す。フィールド2の補間走査線αの信号は、これと隣接する前後のフィールド1,フィールド3の信号より生成する。すなわち、補間動きベクトル信号IV=0では、フィールド1の走査線aとフィールド3の走査線a′,IV=1ではフィールド1の走査線bとフィールド3の走査線b′,IV=2ではフィールド1の走査線cとフィールド3の走査線c′, IV=−1ではフィールド1の走査線dとフィールド3の走査線d′,IV= −2ではフィールド1の走査線eとフィールド3の走査線e′、をそれぞれ対の走査線の信号として選択する。そして、これら信号の平均値で、動き補償の補間処理による補間走査線の信号を生成する。
【0026】
なお、図3と図4では、画像の動きが垂直方向の場合を示したが、水平方向の動きの時は、隣接する前後のフィールド1とフィールド3の、補間走査線αと同一位置の走査線の画素の信号より生成する。すなわち、補間動きベクトル信号で選択するフィールド1と3の対の画素の信号の平均値で、動き補償の補間処理による補間走査線の信号を生成する。また、斜め方向の動きの時は、その垂直方向と水平方向の動きに対して、それぞれ動き補償の補間処理を行い、所望の補間走査線の信号を生成する。
【0027】
図5は、上述の動き補償の補間処理を行う、動き補償補間部11のブロック図である。垂直補償生成部17は、1フレーム遅延部19と、1ライン遅延部20と、選択部21とで構成し、補間動きベクトル信号IVで、垂直方向の動きに対する動き補償の補間処理に用いる対の走査線の信号S30とS31(例えば、図4のフィールド3の走査線b′とフィールド1の走査線bの信号)を生成する。一方、水平補償生成部18は、1サンプル遅延部22と、選択部23とで構成し、補間動きベクトル信号IVで、水平方向の動きに対する動き補償の補間処理に用いる対の画素の信号S32とS33とを生成する。そして、演算部24は、両者の信号S32とS33との平均値を演算し、その出力に補間信号S21を生成する。
【0028】
なお、動きベクトル信号MVが動き補償の補間処理に不可の場合は、前述した様に、補間動きベクトル信号IV=0(静止)で処理を行い、従来技術の動き適応の補間処理における静止部に適した補間信号と同様な信号を、補間信号S21に生成する。
【0029】
図6は、MC制御部16における動作の説明図である。同図(a)(b)は、混合比率係数を連続的に変化させるソフトスイッチ制御、(c)(d)は二値で変化させるオンオフ制御の動作を示す。
【0030】
同図(a)(b)のソフトスイッチ制御では、動きベクトル信号MVが動き補償の補間処理に適する場合(図3のV0 ,V2 ,V−2の動きベクトルに相当)には、この動きベクトル信号より補間動きベクトル信号IVを生成する。また、混合比率係数は、(a)のMV動き補償補間可の時の特性に示す様に、予測誤差信号PEの絶対値の大小に応じて係数値を設定する。
【0031】
すなわち、|PE|がE1未満では、動きベクトル信号の精度が高いので、k=0に設定し、動き補償の補間処理で生成した信号を用いる。一方、|PE|がE2以上では、動きベクトル信号の精度が悪く、画像の本来の動きとは異なる動きで動き補償の補間処理を行う可能性が高いため、k=1に設定し、フィールド内の補間処理で生成した信号を用いる。また、|PE|がE1からE2の領域では、E1近傍では動き補償の補間処理の成分を主体,E2近傍ではフィールド内の補間処理の成分を主体になる様に、|PE|の値に応じてkを0から1まで変化させる。
【0032】
つぎに、動きベクトル信号MVが動き補償の補間処理に不適な場合(図3のV1 ,V−1の動きベクトルに相当)には、補間動きベクトル信号IVはIV=0
(静止)を生成する。また、混合比率係数は、(b)のMV動き補償補間不可の時の特性に示す様に、動きベクトル信号MVの絶対値の大小に応じて係数値を設定する。すなわち、|MV|がVα未満の静止あるいは極めてゆっくりした速度の画像の動きでは、k=0に設定し、IV=0の動き補償の補間処理で生成した静止部に適した補間信号を用いる。また、|MV|がVβ以上の早い速度の画像の動きでは、k=1に設定し、動画部に適したフィールド内の補間処理で生成した信号を用いる。一方、|MV|がVα からVβ の領域では、|MV|の値に応じてkを0から1まで変化させる。これにより、画像の動きの速度に応じた動き適応の補間処理を行うことができる。
【0033】
同図(c)(d)のオンオフ制御では、動きベクトル信号MVが動き補償の補間処理に適する場合には、動きベクトル信号より補間動きベクトル信号IVを生成し、混合比率係数は(c)のMV動き補償補間可の時に示す様に、予測誤差信号|PE|がE1未満はk=0,E1以上ではk=1に設定する。一方、動きベクトル信号MVが動き補償の補間処理に不適な場合には、補間動きベクトル信号IV=0を生成し、混合比率係数は(d)のMV動き補償補間不可の時に示す様に、動きベクトル信号|MV|がVα 未満はk=0,Vα 以上ではk=1に設定し、画像の動きの速度に応じた動き適応の補間処理を行う。ただ、オンオフ制御では、場合によっては混合比率係数の変動に起因する画質の劣化が発生する。このため、画質の観点からは、ソフトスイッチ制御を行うことが望ましい。
【0034】
この様に、図2によれば、動きベクトル信号をもとに、補間動きベクトル信号による動き補償の補間処理,動きの速度に応じた動き適応の補間処理によって、画像の動きに整合した補間走査線の信号が生成できる。
【0035】
つぎに、本実施例のMC走査変換部6の第2のブロック図を、図7に示す。フィールド内補間部10,動き補償補間部11,係数加重部12,加算部13,遅延部14,時系列多重部15,モード設定部25、および、MC制御部26で構成し、動き補償の補間処理でインタレース走査から順次走査への走査変換を行う。
【0036】
フィールド内補間部10は、画像信号SVの同一フィールド内の走査線の信号の演算処理で、補間信号S20を生成し、動き補償補間部11は、画像信号SVの隣接する前後のフィールドの走査線の信号を補間動きベクトル信号IVで選択する動き補償処理で、補間信号S21を生成する。
【0037】
係数加重部12−1,12−2は、混合比率係数k,1−k(0<k<1)の係数値を加重し、加算部13で係数加重した両者の信号を加算して、動き補償補間信号S22を生成する。
【0038】
遅延部14は、信号処理で生じる時間遅延を調整し、時間遅延の一致した画像信号S23を生成する。時系列多重部15は、信号S23とS22をそれぞれ水平方向に時間軸を1/2に圧縮し、時系列に多重して、順次走査の画像信号S13を生成する。
【0039】
モード設定部25は、動き情報データS12の動きベクトル信号MVをもとに、後述する様に補間処理のモードを設定し、第1の補間モード(前述の第1の構成例と同様な補間処理に相当)はL,第2の補間モードではHのモード信号MOD を生成する。そして、MC制御部26は、モード信号MODに従って、動きベクトル信号MVと予測誤差信号PEをもとに、補間動きベクトル信号IV、および混合比率係数k,1−kを生成する。
【0040】
図8は、このモード設定部25のブロック図である。主走査線信号補間部27は、動きベクトル信号MVのうちの伝送走査線とクロスする動きベクトル(例えば図3でのV1 ,V−1)をもとに、動き補償の補間処理を行い、伝送走査線補間信号SV′を生成する。演算部28は、同一位置の走査線の画像信号SVと伝送走査線補間信号SV′との減算演算を行い、誤差信号ERを生成する。
【0041】
動きベクトル信号が精度の高いものでは、伝送走査線補間信号SV′は画像信号SVとほぼ同じ信号となるため、誤差信号ERは成分がほぼ零の信号になる。一方、動きベクトル信号の精度が悪いものでは、この誤差信号ERの成分は大きくなる。したがって、誤差信号ERの成分の大小で、動きベクトル信号の精度を検証することができる。
【0042】
そこで、判定部29は、誤差信号ERの絶対値の大小で動きベクトル信号の精度を検証する。そして、閾値Th未満の時には動きベクトル信号をもとに動き補償の補間処理を行う第1の補間モード,閾値Th以上の時には動きの速度に応じた動き適応の補間処理を行う第2の補間モードに設定し、これに対応したモード信号MODを生成する。
【0043】
図9は、このMC制御部26の動作の説明図である。同図(a)はMOD信号がHの第2の補間モードでの動作を示す。このモードでは動きの速度に応じた動き適応の補間処理を行うため、動き補償補間部11で静止部に適した補間信号を生成する様に、補間動きベクトル信号IVにはIV=0(静止)の信号を生成する。また、混合比率係数は、動きベクトル信号MVの絶対値の大小に応じて、 Vα未満ではk=0,VαからVβまでは0から1まで連続的に増加し、Vβ以上ではk=1の係数値を生成する。
【0044】
同図(b)はMOD信号がLの第1の補間モードでの動作を示す。動きベクトル信号MVが動き補償の補間処理に適する場合(図3のV0 ,V2 ,V−2の動きベクトルに相当)は、この動きベクトル信号で補間動きベクトル信号IVを生成する。また、混合比率係数は、図6(a)のMV動き補償補間可の時の特性の様に、予測誤差信号PEの絶対値の大小に応じて、E1未満ではk=0,E1からE2までは0から1まで連続的に増加し、E2以上ではk=1の係数値を生成する。一方、動きベクトル信号が動き補償の補間処理に不適な場合(図3のV1 ,V−1の動きベクトルに相当)は、補間動きベクトル信号IVはIV=0を生成する。また、混合比率係数は、(b)のMV動き補償不可の時の特性の様に、動きベクトル信号MVの絶対値の大小に応じて、Vα未満ではk=0,VαからVβまでは0から1まで連続的に増加し、Vβ以上ではk=1の係数値を生成する。
【0045】
以上述べた様に、第2の構成例によれば、動きベクトル信号の精度が高いものでは動き補償の補間処理,精度の悪いものでは動きの速度に応じた動き適応の補間処理によって、画像の動きに整合した補間走査線の信号を生成できる。
【0046】
つぎに、本実施例のMC走査変換部6の第3の構成例を、図10に示す。フィールド内補間部10,動き補償補間部30,係数加重部12,加算部13,遅延部14,時系列多重部15、および、MC制御部31で構成し、動きの速度に応じた動き適応の補間処理で、インタレース走査から順次走査への走査変換を行う。
【0047】
フィールド内補間部10は、画像信号SVの同一フィールド内の走査線の信号の演算処理で、補間信号S20を生成する。動き補償補間部30は、画像信号 VSの隣接する前後のフィールドの走査線の信号で、補間動きベクトル信号IV=0の静止部に適した補間信号S24を生成する。
【0048】
係数加重部12−1,12−2は、混合比率係数k,1−k(0<k<1)の係数値を加重し、加算部13で係数加重した両者の信号を加算して、動き補償補間信号S22を生成する。
【0049】
遅延部14は、上記の信号処理で生じる時間遅延の調整を行い、時間遅延の一致した画像信号S23を生成する。時系列多重部15は、信号S22とS23をそれぞれ水平方向に時間軸を1/2に圧縮し、時系列に多重して、順次走査の画像信号S13を生成する。
【0050】
MC制御部31は、動き情報データS12の動きベクトル信号MVをもとに、混合比率係数k,1−kを生成する。
【0051】
図11は、このMC制御部31の動作の説明図である。動きベクトル信号MVの絶対値の大小に応じて、Vα未満ではk=0,VαからVβまでは0から1まで連続的に増加,Vβ以上ではk=1の係数値を生成する。なお、同図に示す様なソフトスイッチ制御の特性の他にも、Vα未満はk=0,Vα以上ではk=1のオンオフ制御の特性で係数値を生成することもできる。
【0052】
以上、図10によれば、動きベクトル信号によって、動きの速度に応じた動き適応の補間処理を行うことで、画像の動きに整合した補間走査線の信号を生成できる。
【0053】
なお、本実施例におけるその他の各ブロックについては、従来技術によって容易に実現することができる。
【0054】
本実施例によれば、第1のテレビジョン信号に対しては動き適応の補間処理,第2のテレビジョン信号に対しては、ビデオ符号化信号の動き情報データを用いた動き補償の補間処理を行うことで、インタレース妨害のない高品質,高精細なテレビジョン画像を受像するテレビジョン受像機が実現できる。
【0055】
つぎに、本発明の第2の実施例について、図12に示すブロック図で説明する。
【0056】
第1のテレビジョン信号S1は、ベースバンド復調部1で所定の復調処理を行い、ベースバンド帯域の複合カラーテレビジョン信号S2を復調する。ビデオ復調部2は、YC分離,色復調などの所定の復調処理を行う。また、アスペクト比が16対9の画面に画像を表示するための信号処理、例えば、現行のNTSC方式のテレビジョン信号に対しては、アスペクト比が4対3の画像を画面の左右に無画部領域を設けて表示するために、水平方向に時間軸を3/4倍圧縮する処理を行う。そして、インタレース走査の画像信号S3(輝度信号と二つの色差信号)を復調する。この信号は動き検出部32に供給し、例えば、フレーム間の差分信号の有無などをもとに、動きの情報MDを検出する。
【0057】
一方、第2のテレビジョン信号S10は、チャネル復号化部4で所定のデジタル復調処理を行い、符号化ビットストリーム信号を復号する。また、符号誤りの訂正処理、および修正処理(訂正が不能な符号誤りを相間の高い信号で置換)を行い、ビデオ符号化信号S11を復号する。ビデオ復号化部5は、所定の復号化処理、例えば、可変長符号復号化,逆量子化,変換係数復号化などを行い、符号化フレームの画像データを復号する。そして、所定の画像フォーマットの変換処理を行い、インタレース走査の画像信号SV(輝度信号と二つの色差信号)と、動き情報データの動きベクトル信号MVとを出力する。
【0058】
選択部33は、第1のテレビジョン信号の受信では画像信号S3,第2のテレビジョン信号の受信では画像信号SVを、画像信号S7に出力する。また、動き信号MIには、第1のテレビジョン信号の受信では動きの情報MD,第2のテレビジョン信号の受信では動きベクトル信号MVを出力する。
【0059】
MA走査変換部34は、インタレース走査で抜けた走査線の信号を動き信号 MIに応じた動き適応の補間処理で生成し、インタレース走査から順次走査への走査変換処理を行い、順次走査の画像信号S8(輝度信号と二つの色差信号)を生成する。そして、ビデオプロセス部8は、所定のマトリクス演算の信号処理を行い、三原色RGB系の画像信号S6に変換する。この信号は、画像表示部9でアスペクト比が16対9、順次走査の形態で表示して、高品質,高精細なテレビ画像を受像する。
【0060】
図13は、MA走査変換部34の説明図である。同図(a)に示す様に、フィールド内補間部10,フィールド間補間部35,係数加重部12,加算部13,遅延部14,時系列多重部15、および、係数設定部36とで構成する。
【0061】
フィールド内補間部10は、画像信号S7の同一フィールド内の走査線の信号の演算処理(例えば上下の走査線の信号の平均)で、動画部に適した補間信号 S40を生成する。フィールド間補間部35は、隣接する前後のフィールドの走査線の信号の演算処理で、静止部に適した補間信号S41を生成する。
【0062】
係数加重部12−1,12−2は、混合比率係数k,1−k(0<k<1)の係数値を加重し、加算部13で係数加重した両者の信号を加算し、動き適応の補間信号S42を生成する。
【0063】
遅延部14は、上記の信号処理で生じる時間遅延を調整し、時間遅延の一致した画像信号S43を生成する。そして、時系列多重部15は、信号S42とS43とをそれぞれ水平方向に時間軸を1/2に圧縮し、時系列に多重して、順次走査の画像信号S8を生成する。
【0064】
同図(b)は、混合比率係数の一特性例である。第1のテレビジョン信号に対しては、動きの情報MDの絶対値の大小に応じて、M1未満ではk=0,M1からM2までは0から1まで連続的に増加し、M2以上ではk=1の係数値を生成する。一方、第2のテレビジョン信号に対しては、(c)に示す様に、動きベクトル信号MVの絶対値の大小に応じて、Vα未満ではk=0,VαからVβまでは0から1まで連続的に増加し、Vβ以上ではk=1の係数値を生成する。これにより、動きの速度に応じた適応処理が実現でき、視覚の特性に整合した形態の補間処理を行うことができる。
【0065】
なお、本実施例におけるその他の各ブロックについては、従来技術で容易に実現可能である。
【0066】
本実施例によれば、第1のテレビジョン信号に対しては動き適応の補間処理,第2のテレビジョン信号に対しては動きの速度による動き適応の補間処理を行うことで、インタレース妨害の極めて少ない、高品質,高精細なテレビ画像を受像するテレビジョン受像機が実現できる。
【0067】
なお、実施例において、混合比率係数の設定パラメーター(例えば、E1, E2,Vα ,Vβ 、およびM1,M2)は、実用上の支障がない範囲内で自由に設定することができる。
【0068】
【発明の効果】
本発明によれば、現行テレビ方式、および、高能率符号化したビデオ符号化信号のデジタル放送やデジタルCATVなどのデジタル方式の双方のテレビジョン信号を、インタレース妨害のない高品質,高精細な画像で受像するテレビジョン受像機ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例のブロック図。
【図2】図1におけるMC走査変換部の第1のブロック図。
【図3】本発明における補間動きベクトル生成の説明図。
【図4】本発明における動き補償補間信号生成の説明図。
【図5】図2における動き補償補間部のブロック図。
【図6】図2におけるMC制御部の動作の説明図。
【図7】MC走査変換部の第2のブロック図。
【図8】図7におけるモード設定部のブロック図。
【図9】図7におけるMC制御部の動作の説明図。
【図10】MC走査変換部の第3のブロック図。
【図11】図10におけるMC制御部の動作の説明図。
【図12】本発明の第2の実施例のブロック図。
【図13】図12におけるMA走査変換部の説明図。
【符号の説明】
1…ベースバンド復調部、2…ビデオ復調部、3…MA走査変換部、4…チャネル復号化部、5…ビデオ復号化部、6…MC走査変換部、7…選択部、8…ビデオプロセス部、9…画像表示部。
Claims (6)
- 輝度信号に搬送色信号を重畳した第1のテレビジョン信号,符号化したビデオ符号化信号である第2のテレビジョン信号を、アスペクト比が16対9の順次走査の形態の画像表示部で受像するテレビジョン受像機において、
インタレース走査で抜けた走査線の信号を動き適応の補間処理で生成し、インタレース走査から順次走査への走査変換を行う手段を有し、上記動き適応の補間処理に用いる動きの情報を、上記第1のテレビジョン信号では複数フレーム間の有意差信号、上記第2のテレビジョン信号ではビデオ符号化信号を復号して得る動きベクトル信号で検出することを特徴とするテレビジョン受像機。 - 請求項1において、上記ビデオ符号化信号とは、直交変換符号化と動き補償のフレーム間予測符号化との組み合せによる高能率符号化した信号であるテレビジョン受像機。
- 輝度信号に搬送色信号を重畳した第1のテレビジョン信号,符号化したビデオ符号化信号である第2のテレビジョン信号を、アスペクト比が16対9の順次走査の形態の画像表示部に表示するための画像処理回路において、
インタレース走査で抜けた走査線の信号を動き適応の補間処理で生成し、インタレース走査から順次走査への走査変換を行う手段を有し、上記動き適応の補間処理に用いる動きの情報を、上記第1のテレビジョン信号では複数フレーム間の有意差信号、上記第2のテレビジョン信号ではビデオ符号化信号を復号して得る動きベクトル信号で検出することを特徴とする画像処理回路。 - 請求項3において、上記ビデオ符号化信号とは、直交変換符号化と動き補償のフレーム間予測符号化との組み合せによる高能率符号化した信号である画像処理回路。
- 輝度信号に搬送色信号を重畳した第1のテレビジョン信号,符号化したビデオ符号化信号である第2のテレビジョン信号を、アスペクト比が16対9の順次走査の形態の画像表示部で表示する信号処理方法において、
インタレース走査で抜けた走査線の信号を動き適応の補間処理で生成して、インタレース走査から順次走査への走査変換を行い、
上記動き適応の補間処理に用いる動きの情報を、上記第1のテレビジョン信号では複数フレーム間の有意差信号、上記第2のテレビジョン信号ではビデオ符号化信号を復号して得る動きベクトル信号で検出することを特徴とする信号処理方法。 - 請求項5において、上記ビデオ符号化信号とは、直交変換符号化と動き補償のフレーム間予測符号化との組み合せによる高能率符号化した信号である信号処理方法。
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