JP3616944B2 - 系統連系方法および系統連系装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、太陽光発電システムなどにおいて、系統電源と連系した連系運転を行う系統連系装置および系統連系方法に関し、さらに詳しくは、系統電源からの電力の供給が停止されたときの単独運転を能動的方式によって検出するのに好適な系統連系装置および系統連系方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、太陽光電池と系統電源(商用電源)とを逆潮流有りで連系し、太陽電池だけでは電力が賄えない場合に、その電力を系統側から供給するようにした太陽光発電システムが開発されている。
【0003】
かかるシステムにおいては、系統側が停電などによって電力の供給を停止した場合には、太陽光発電システムから系統側へ逆充電されるのを防止して系統側の復旧作業や保守点検を行えるようにする必要があるために、系統側からの電力の供給が停止された単独運転を検出して運転を停止するとともに、系統側と切り離すように構成している。
【0004】
このような系統側からの電力供給の停止、すなわち単独運転を検知する方式として、太陽光発電システムの系統連系装置(パワーコンディショナ)の出力電力や出力周波数などに微小な変動を与え、単独運転時に、微小な変動が増大することを利用して単独運転を検出する能動的方式がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような能動的方式による単独運転の検出では、例えば、大容量の発電電力を供給できるシステムを構築するために、複数のシステムを並列に接続して並列運転する場合には、単独運転を検出するための系統連系装置の出力の変動が干渉してお互いに打ち消すように働く場合があり、かかる場合には、単独運転検出に支障が出ることがある。
【0006】
そこで、各システムの系統連系装置を信号線で接続して各系統連系装置を、同期信号に同期させて出力を変動させるようにすることが考えられるが、系統連系装置が離れていたり、個別の住宅に設置されているような場合には、信号線の接続が困難であり、また、コストが高くつくといった難点がある。
【0007】
本発明は、上述の点に鑑みて為されたものであって、複数のシステムの並列運転を行う場合に、余分に信号線を必要とすることなく、能動的方式による単独運転の検出に支障がないようにすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明では、上述の目的を達成するために、次のように構成している。
【0009】
すなわち、本発明の系統連系方法は、直流電力を交流電力に変換して系統電源と連系した連系運転を行う系統連系装置における系統連系方法であって、系統電圧からピーク電圧を検出し、検出したピーク電圧をバンドパスフィルタに入力し、得られたバンドパスフィルタの出力に基づいて一定周期の位相信号を生成し、該位相信号に同期して前記周期内の一定期間の力率を変化させた電流を出力するものである。
【0010】
また、本発明の系統連系装置は、直流電力を交流電力に変換して系統電源と連系した連系運転を行う系統連系装置であって、系統電圧からピーク電圧を検出するピーク電圧検出手段と、検出したピーク電圧が入力されるバンドパスフィルタと、前記バンドパスフィルタの出力に基づいて、一定周期の位相信号を生成する位相信号生成手段とを備え、前記位相信号に同期して前記周期内の一定期間の力率を変化させた電流を出力するものである。
【0011】
本発明によれば、系統電源に多数の系統連系装置が接続されて並列運転を行う場合に、各系統連系装置は、系統電圧の変動を検出して生成された位相信号に同期して出力電流の力率を変化させるので、或る系統連系装置が電流力率を変化させたことに起因する系統電圧の変動を他の系統連系装置が検出してそれに基づいて生成された位相信号に同期して電流力率を変化させ、その電流力率の変化による系統電圧の変動を、さらに他の系統連系装置が、検出してそれに基づいて生成された位相信号に同期して電流力率を変化させるという繰り返しによって各系統連系装置の同期が順次揃っていくことになり、最終的に全ての系統連系装置の電力変動の位相が揃って互いに干渉することがなくなり、同期用の余分な信号線を用いることなく、単独運転を確実に検出できることになる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面によって本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の一つの実施の形態に係る太陽光発電システムの構成図であり、この実施の形態の太陽光発電システム1は、直流電源としての太陽電池2と、本発明に係る系統連系装置(パワーコンディショナ)3とを備えている。
【0014】
この系統連系装置3は、太陽電池2からの直流電力を系統電源4と同期のとれた交流電力に変換するインバータブリッジ5と、変換された交流電力の高調波成分を除去して電磁接触器6を介して負荷7に供給するリアクトル8およびコンデンサ9からなるフィルタ10と、電圧検出器11で検出された系統電圧Vacに正弦波信号SIN(ωt)を同期させるためのPLL回路12と、このPLL回路12の出力に同期して動作するカウンタ13と、このカウンタ13の出力によって50Hzまたは60Hzの第1の正弦波信号SIN(ωt)を発生する第1のメモリ(ROM)14と、同じくカウンタ13の出力によって50Hzまたは60Hzの位相の異なる第2の正弦波信号SIN(ωt+φ)を発生する第2のメモリ(ROM)15と、電流力率を変化させるために両正弦波信号SIN(ωt),SIN(ωt+φ)を後述のように切り替え出力する切り替え回路16と、検出された系統電圧Vacから単独運転などの異常を検出して運転を停止させるとともに、電磁接触器6を解列するという保護動作を行う電圧リレー17、周波数リレー18および異常検出回路19からなる保護回路20と、電流指令信号Irefの絶対値を規定する制御信号Ivおよび電流指令信号Irefの位相を規定する切り替え回路16からの正弦波信号SIN(ωt),SIN(ωt+φ)に基づいて、電流指令信号Irefを生成する電流指令回路21と、この電流指令信号Irefと電流検出器22で検出されたインバータブリッジ5の出力電流Iとの偏差がゼロになるように、増幅器23、PWM回路24および駆動部25を介してインバータブリッジ5を制御する電流制御器26とを有している。
【0015】
また、負荷7には、系統電源4から遮断機器27と柱上トランス28を介して交流電力が供給され、系統電源4に連系した連系運転が行われる。
【0016】
以上の構成は、基本的に従来と同様である。
【0017】
この実施の形態では、複数の太陽光発電システムが系統電源に連系されて並列運転された場合に、余分な信号線を必要とすることなく、能動的方式で単独運転を確実に検出できるようにするために、次のように構成している。
【0018】
すなわち、この実施の形態では、1サイクルの周波数で、0.1秒だけ電流力率(電力)を変化させ、この変化信号を自動的に同期させるものであり、このため、系統電圧のピーク電圧を検出するピーク電圧検出回路29と、このピーク電圧検出回路29の出力が与えられる1Hzのバンドパスフィルタ30と、このバンドパスフィルタ30の出力の出力に基づいて、1Hzの位相信号を生成する位相信号生成手段31とを備えており、この位相信号生成手段31は、バンドパスフィルタ30の出力を対数増幅する対数増幅器32と、この対数増幅器からの1Hzの信号が与えられるPLL回路33とを有している。
【0019】
この実施の形態では、系統電圧の微小な変動を検出するために、ピーク電圧検出回路29で系統電圧のピークを検出し、検出したピーク電圧を1Hzのバンドパスフィルタ30を通し、図2(A)に示されるようなこのバンドパスフィルタ30の出力を、対数増幅器32で対数増幅することにより、図2(B)に示されるような1Hzの位相信号を生成してPLL回路33で位相同期させるものである。
【0020】
このPLL回路33からの1Hzの位相信号に同期して上述の両正弦波信号SIN(ωt),SIN(ωt+φ)の切り替えを制御する切り替え制御回路34を設けており、この切り替え制御回路34では、系統電圧の微小変動を検出して生成された1Hzの位相信号に同期して、1秒の周期内で0.1秒の期間の電流力率を変化させるために、0.9秒の期間は、第1の正弦波信号SIN(ωt)を、残りの0.1秒の期間は、第2の正弦波信号SIN(ωt+φ)を、切り替え選択するように切り替え回路16を制御するものである。
【0021】
このようにして切り替え選択された第1,第2の正弦波信号SIN(ωt),SIN(ωt+φ)が、電流指令値Irefの位相を規定するために電流指令回路21に与えられることになり、これによって、位相信号に同期して1サイクルの周波数で、0.1秒だけ力率を変化させた電流を出力するものである。
【0022】
かかる構成を有する系統連系装置3を含む太陽光発電システム1の多数を、図3に示されるように、系統電源4に連系させた並列運転を行う場合には、最初に或る太陽光発電システム1の系統連系装置が、1Hzの系統電圧の変動を検出してそれに同期した位相信号を上述のようにして生成してその位相信号に同期して電流力率を変化させ、これによって、系統電圧の変動が大きくなって検出が容易となり、最初に系統電圧の変動を検出できなかった別の太陽光発電システム1の系統連系装置も1Hzの電圧変動を検出し、それに同期して電流力率を変化させ、以後、同様の動作を繰り返して最終的には、全ての太陽光発電システム1を同期させることが可能となる。
【0023】
このように並列運転を行う多数の太陽光発電システムにおいて、電力変動を同期させることができ、従来例のように電力変動が互いに干渉するといったことがなく、能動的方式によって単独運転を確実に検出できるものである。
【0024】
しかも、同期用の余分な信号線の配線施工が不要となり、コストを低減することができる。
【0025】
上述の実施の形態では、1秒の周期で、力率を0.1秒の期間だけ変化させたけれども、本発明は、1秒の周期に限るものでなく、また、力率の変化の期間も0.1秒に限るものでないのは勿論である。
【0026】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、系統電圧の変動を検出して生成された位相信号に同期して電流力率を変化させるので、並列運転を行う場合に、電力変動の位相が揃って互いに干渉することがなくなり、同期用の余分な信号線を用いることなく、単独運転を確実に検出できることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一つの実施の形態に係る系統連系装置の構成図である。
【図2】図1のバンドパスフィルタおよび対数増幅器の出力を示す図である。
【図3】並列運転状態を示す図である。
【符号の説明】
1 太陽光発電システム
2 太陽電池
3 系統連系装置
29 ピーク電圧検出回路
30 バンドパスフィルタ
31 位相信号生成手段
32 対数増幅器
Claims (2)
- 直流電力を交流電力に変換して系統電源と連系した連系運転を行う系統連系装置における系統連系方法であって、
系統電圧からピーク電圧を検出し、検出したピーク電圧をバンドパスフィルタに入力し、得られたバンドパスフィルタの出力に基づいて一定周期の位相信号を生成し、該位相信号に同期して前記周期内の一定期間の力率を変化させた電流を出力することを特徴とする系統連系方法。 - 直流電力を交流電力に変換して系統電源と連系した連系運転を行う系統連系装置であって、
系統電圧からピーク電圧を検出するピーク電圧検出手段と、
検出したピーク電圧が入力されるバンドパスフィルタと、
前記バンドパスフィルタの出力に基づいて、一定周期の位相信号を生成する位相信号生成手段とを備え、
前記位相信号に同期して前記周期内の一定期間の力率を変化させた電流を出力することを特徴とする系統連系装置。
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JP01558298A JP3616944B2 (ja) | 1998-01-28 | 1998-01-28 | 系統連系方法および系統連系装置 |
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- 1998-01-28 JP JP01558298A patent/JP3616944B2/ja not_active Expired - Fee Related
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