JP3616882B2 - 電気浸透脱水用電極板 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、上水、下水汚泥、産業廃水汚泥等のフィルタ−プレス装置に取付けられ、被脱水処理物を圧搾しながら対向電極間に直流電流を通電して脱水を促進するために使用する炭素繊維強化炭素材の電気浸透脱水用電極板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電気浸透によって汚泥を▲ろ▼過脱水するフィルタプレス機は、2枚の▲ろ▼布により▲ろ▼室を形成し、該▲ろ▼布の外側に各々、電極板を設置して構成されており、▲ろ▼布を介して排水されるが、▲ろ▼液は電極板を経由して機外へ排出されねばならないため、この電気浸透脱水用電極を使用するにあたり、▲ろ▼液を排水できる流路が形成されていなければならない。その手段として電極板に穴加工等、二次的な機械加工が必要であるが、この機械加工を施した場合、加工コストの負担が大きくなり、また強度面でも低下して割れ易くなるばかりでなく、有効電極面積の低減や電極寿命の短縮につながるなど種々の問題が生じていた。
しかし、この機械加工を施さないならば、電極板に▲ろ▼液の排水流路がなく、また、電極板自身の透水性が悪いため、脱水、排水能力が劣ることになる。その結果、プレスおよび通電の運転時間が長時間となり、運転効率が悪化し、ランニングコストが上昇する等の問題がある上、▲ろ▼布の介在は通電効率をさらに低下させ、電気浸透効果を減ずるものであるところから、これを解消するため、汚泥と陽極側の電極が直接接触するように電極を配備すると共に、陽極側に▲ろ▼布を設けない電気浸透脱水機、例えば特開平6−170123号公報に開示されているものが考えられる。この場合、陽極からの脱水は一般に期待できず、完全な片面▲ろ▼過構造となるので、脱水効率を更に向上させるために、電極自身が▲ろ▼材となり得る材料の開発が待たれていた。
これらのことから、上記電気浸透脱水用電極板として、金属製、導電性FRP、焼結カーボン材、炭素繊維強化炭素材を用いることが提案されているが、これらのものには、次に述べるような欠点がある。
まず金属製のものは、通電によりイオン化溶出するため、電蝕が激しく消耗し易いものである。
また導電性FRP製のものは必要な電導度のものを得るのが難しく、強度面でも問題がある。
さらに焼結カーボン製のものなど、カーボン材のものは、強度が弱く、割れ易い。また通電によって発生する酸素により、消耗が激しく、反りが生じたり破損することも多い上、水が褐色に濁ってしまう点でも問題がある。
このことから、強度、耐久性に優れた炭素繊維強化炭素製のものとして、例えば特開昭64−30613号公報、特開昭64−30614号公報などに開示されている電気浸透脱水電極が開発された。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらは高強度、耐久性に優れているが、高強度、高密度を重視した材料によるため、電極材の開気孔が少なく、排水の透過や表面流路を保持する機能を持ち得るものでなく良好な脱水性、排水性が得られない。
そこで、本発明は上記の問題点に鑑み、これを解決すべくなされたものであって、炭素繊維強化炭素材料に、ガス透過率その他の特性を特定したポーラス質のものを使用すると、電気浸透脱水電極として非常に優れた性能のものが得られるとの知見を基に完成したもので、高強度で耐久性が良く、穴加工等の機械加工を施さずにすみ、かつ電極板自体からも排水能力を有し、排水性の良好な電気浸透脱水用電極板を提供し脱水機の脱水効率を向上させることを目的としたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
これを解決する手段として、請求項1に係る発明は、炭素繊維長繊維織布を積層してこれに炭化可能な樹脂を含浸し、1000℃〜3000℃で炭化焼成してなる炭素繊維で強化されるとともに、ガス透過率を0.1〜10cm2/sec、気孔率を25〜40%、繊維容積含有率を30〜35%とした炭素材を用いた電気浸透脱水用電極板である。
請求項2に係る発明は、電極板自体が排水能力を有するとともに、電気浸透用濾過機に使用した請求項1記載の電気浸透脱水用電極板である。
【0005】
【実施例】
本発明において使用する炭素繊維は、長繊維を織成し、これを積層して、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の炭化可能な樹脂を含浸して約1000〜3000℃で炭化焼成してガス透過率0.1〜10cm2/sec、気孔率25〜40%、繊維容積含有率30〜55%の炭素繊維強化炭素材を得る。
そして、この炭素繊維強化炭素のガス透過率が0.1〜10.0cm2/secであることの必要性は、0.1cm2/sec未満では透水性が劣り、10.0cm2/secを越えると強度が不足して短寿命となる。
また、気孔率を25〜40%とすることは、25%未満では透水性が劣り、脱水効率が悪くなり、40%を越えるとフィルタープレスでの機械強度不足で短寿命の不都合が生じる。
さらに、繊維容積含有率を30〜55容積%とすることは、30容積%未満では炭素繊維強化炭素材の強度不足となり、55容積%を越えても同様に炭素繊維強化炭素材は強度不足となる。
【0006】
上記本発明の炭素繊維強化炭素材を電気浸透用▲ろ▼過装置の電極として使用するには図1に示すように、フイルタ−プレスの1対の▲ろ▼板間の一方の▲ろ▼板1の表面には、▲ろ▼布を設けることなく、▲ろ▼布と電極の機能を併有する本発明の炭素繊維強化炭素材よりなる陽極側電極板4を取付け、▲ろ▼室3を隔てた反対側の▲ろ▼板2には、ダイヤフラム5が取付けられ、その表面に▲ろ▼液孔7を開口した陰極側電極板6を配設し、さらにその表面に▲ろ▼布8を張設する。
このように構成されているので、汚泥を脱水するには、汚泥を原液入口9から原液ポンプにより▲ろ▼室3内に圧入すると、▲ろ▼布を設けない陽極側電極板4は長繊維を織成した積層体のポーラス状であるところから、恰も▲ろ▼材の役割を果たして汚泥を▲ろ▼過し▲ろ▼液出口10から機外に排出される。一方反対側は、▲ろ▼布8で汚泥は▲ろ▼過されて陰極側電極板6を経由しダイヤフラム5の表面に設けられた▲ろ▼液孔7を通って▲ろ▼液出口11より機外に排出される。一定時間汚泥を供給した後、圧力水を圧水通路12よりダイヤフラム5と▲ろ▼板2との間に送入し、図2に示すようにダイヤフラム5を膨脹させ、▲ろ▼室3内の汚泥を圧搾脱水する。その後陽極側電極板4に+、陰極側電極板6に−となるように直流電気を通電することにより電気浸透作用による脱水を促進する。そして汚泥の脱水が終了した後には▲ろ▼板を開き▲ろ▼布を引き下げて脱水ケーキを機外に取出す。
【0007】
【表1】
【0008】
この表1における従来の電極は、例えば特開平6−170123号公報、(特願平4−359696号)に開示された陽極側に▲ろ▼布を配しない構造の電気浸透加工脱水方式の電極であって、気孔率10%、かさ比重1.6のものであり、これに対して本発明の実施例の電極は炭素繊維強化炭素製の電気浸透脱水電極で電極自体の排水能力を有するものであって、気孔率30%、かさ比重1.4の電極を夫々使用したものである。
その結果、表1に示すように、従来の電極に比べて本発明の実施例の電極は、▲ろ▼過速度が汚泥サンプルAの場合で26.1%増加し、汚泥サンプルBの場合で34.5%増加し、汚泥サンプルCの場合で27.3%増加する優れた効果を発揮する。即ち、本発明は従来に比べ、同等のケーキ水分において▲ろ▼過速度は約25〜35%増加し、電気浸透による脱水効果は電気浸透を行なわない加圧脱水機との▲ろ▼過速度の比較で、従来電極の場合1.2〜2.5倍に対し本発明の電極で1.6〜3.2倍と飛躍的に増大した。
【0009】
【発明の効果】
以上、詳述したように本発明の電気浸透脱水用電極板は、炭素繊維強化炭素材にガス透過率その他の特性を特定したポーラスなもので、電極板自体も排水能力を有し、従来のように排水性を確保するために電極板に穴加工等の二次加工が不要になり、加工コストが削減でき、加工による強度低下も生じない。そして濾布を設けない陽極側電極板であっても恰も濾材の役割を果たして脱水効率が向上し、濾過速度を増大することができる。
また通電加速試験で電極板の消耗も従来の炭素繊維強化炭素製の電極と同等で、耐用年数も変わらない。
また炭素質、黒鉛質のカーボン製の電極に比較して約5〜10倍の強度を有し、割れにくく丈夫であり、損耗が進んでも反りが発生しないことや、水の褐色の濁りが発生しない点でもメリットがある。そして、処理物の脱水時のプレスによる変形(たわみ)に対しても、十分に追随し得る柔軟性を有する等、優れた効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電極を使用した電気浸透加圧脱水装置の縦断側面図
【図2】同じくダイヤフラム作動による脱水時の縦断側面図
【符号の説明】
1 ▲ろ▼板
2 ▲ろ▼板
3 ▲ろ▼室
4 陽極側電極板(炭素繊維強化炭素材)
5 ダイヤフラム
6 陰極側電極板
7 ▲ろ▼液孔
8 ▲ろ▼布
9 原液入口
10 ▲ろ▼液出口
11 ▲ろ▼液出口
12 圧水通路
Claims (2)
- 炭素繊維長繊維織布を積層してこれに炭化可能な樹脂を含浸し、1000℃〜3000℃で炭化焼成してなる炭素繊維で強化されるとともに、ガス透過率を0.1〜10cm2/sec、気孔率を25〜40%、繊維容積含有率を30〜35%とした炭素材を用いることを特徴とする電気浸透脱水用電極板。
- 電極板自体が排水能力を有するとともに、電気浸透用濾過機に使用することを特徴とする請求項1記載の電気浸透脱水用電極板。
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JP31545894A JP3616882B2 (ja) | 1994-11-14 | 1994-11-14 | 電気浸透脱水用電極板 |
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JP31545894A JP3616882B2 (ja) | 1994-11-14 | 1994-11-14 | 電気浸透脱水用電極板 |
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Family Applications (1)
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1994
- 1994-11-14 JP JP31545894A patent/JP3616882B2/ja not_active Expired - Fee Related
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