JP3616762B2 - 廃棄物炭化炉 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、炭化炉において木質チップ、ゴム片、プラスチック片、生ごみ、畜糞などの有機系廃棄物から乾留して炭材を製造するための炭化炉に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、廃棄物を取り巻く環境も変わり、「再生資源の利用の促進に関する法律」に引き続いて、1995年6月には「容器包装に係わる分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器包装リサイクル法)」が制定、公布され、また従来安定型とされていた廃棄物も管理型に変更されて安易に埋立ができなくなって来ている。このような生活環境の変化に伴い廃棄物をできるだけ再利用しようとする多くの試みがなされている。従来の廃棄物再利用技術としては、プラスチック等の有機物を含んだ可燃性廃棄物を破砕、混練、圧縮してプラスチックを溶融して自らバインダーとなって固形燃料を製造する方法が知られている。この種の固形燃料(RDF)は、発熱量が高くボイラー燃料として役立っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、廃棄物からの固形燃料には、原料プラスチックに塩化ビニル等が含まれる場合には、一般燃料として燃やすことができない。プラスチック片以外にも、回収される有機物系廃棄物には、木質チップ、ゴム片、、生ごみ、畜糞等を含むが、これらの有機物片は、分別が行われて所定サイズ以下に破砕されていれば、固形燃料(RDF)の原料のほかに、乾留焼成して炭材と可燃ガスにして有効活用することが検討される。それらの炭材ないし炭化物は、燃料としての利用と、土壌改良材や、河川の汚濁吸収材や、RDFや生ゴミ等の脱臭材としての利用も、可能であり、また可燃ガスは、エンジンのガス燃料としても利用でき、電力や動力に転化され得るし、乾留ガスから生成した木酢も、凝縮させて得ることができる。
【0004】
然しながら、炭化室内部での乾留ないし炭化焼成状態は、炭化室自体が閉鎖空間のために、操業者は、覗き窓等から見て経験で判断することが多く、良質な炭材を得るには熟練が必要であった。また、廃棄物からの炭材の生産は、バッチ生産の場合が多く、連続生産が比較的難しかった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑み、上記有機系廃棄物を断続的または連続的に、炭化炉に供給して、上記有機系廃棄物の炭化状態を排出口で直接見て判断し、焼成炭材の排出速度を調節することにより、炭材生産の経験の有無に拘わらず、良質な炭材を製造することのできる炭化炉を提供しようするものである。
また、本発明は、比較的構造の簡単で保守が容易で設置占有面積が少なく、熱効率の高い炭化炉を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の炭化炉は、上端部が閉鎖され且つ下端部が開放されて内部に竪形筒状炭化室を形成し且つ上部に有機系廃棄物及び所要の固形燃料を炭化室内部に供給する供給口と、下部炉壁に配置しされた複数の空気供給孔とを有する炭化炉体と、基台上に設置されて上記の炭化炉体を外部から取り囲んで炭化炉体との間に環状空間を形成して支持し、且つ下底部に炭材を排出する排出口を設けた外殻本体と、該外殻本体の下端部内において炭化炉体内の堆積された有機系廃棄物の有機物片を支えると共に炭化炉体の下端部に対して焼成した炭材を出すための隙間を設けてほぼ水平状態に設置されて回転駆動される回転支持盤と、から構成される。
【0007】
この構成において、炭化炉体の内部の炭化室は、供給口から内部に有機系廃棄物を空気供給孔通じ燃焼し加熱して炭化させる炉である。回転支持盤は、炭化炉体直下に配置されて、有機系廃棄物とその炭化物を支持する炉床の役割を有し、回転駆動することにより、回転支持盤の上面と炭化炉体の下端との隙間を通じて、炭化焼成した炭材を一定の速度で外殻本体の下底部に移送し、下底部に開口して配置した排出口から落下排出して、炭材として回収される。回転支持盤の回転速度を調節することにより、炭材の排出速度、従って、廃棄物の炭化室内滞留時間が調整でき、最適の炭化状態を得るための操業条件が設定でき利点がある。
【0008】
そして、外殻本体は、炭化炉体の外周を囲繞して炭化炉本体を支持固定するものであり、外殻本体の内面と炭化炉本体の外面との間に環状空間を形成して、本発明においてはこの環状空間を、炭化室内部で生じた廃棄ガス、即ち乾留ガスが回転支持盤の上面と炭化炉体の下端との隙間を通ってのち上昇する煙道として利用し、環状空間を上昇する過程で乾留ガスが、炭化炉体の側壁を通して伝熱により炭化室内部の廃棄物を予熱し、且つ、乾留ガスが、排気口より排出される。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の廃棄物炭化炉は、上端部が閉鎖され且つ下端部が開放されて内部に竪形筒状炭化室を形成する炭化炉体と、基台上に設置されて上記の炭化炉体を外部から取り囲んで該炭化炉体との間に環状空間を形成して支持する外殻本体と、該外殻本体の下端部内において炭化炉体内の蓄積された有機系廃棄物の有機物片を支え且つ炭化炉体の下端部と上面との間に炭材排出用の隙間を設けてほぼ水平状態に設置されて回転駆動される回転支持盤と、から成り、上記の炭化炉体が、上部に有機系廃棄物及び所要の固形燃料を炭化室の内部に気密弁を介して供給する供給口と、下部炉壁に配置しされた複数の空気供給孔とを有し、上記の外殻本体が、その上端部が上記炉体の上端部に近接した位置で閉鎖されて上部に設けて上記の環状空間に連通する排気口と、下部に上記炉体の空気供給孔に分配管を介して空気を供給速度の制限下で供給する風箱と、外殻本体の下端部に設けて上記の炭材排出用の隙間からの炭材を炭化炉下に排出落下させる排出口と、を含むものである。
【0010】
炭化炉では、炭化炉体内部に上部の供給口から有機質廃棄物が供給されるが、有機質廃棄物には、例えば、木片や木質チップ、ゴム片、プラスチック片、生ごみ、畜糞類、コンポストなどが利用される。これら有機物片と共に、固形燃料が供給されて燃料としてまた一部は、炭の原料として利用することができる。
【0011】
炭化炉の定常状態では、空気供給口から空気を、空気量を制御しながら、供給し、炭化室内上方に装入された有機質廃棄物は、炭化室内を降下する過程で、加熱されて、乾燥、乾留、炭化されるが、炉体中間部で200〜500℃に、例えば、約300℃で保持されて、加熱され、下端部の炉床近くで600〜900℃の範囲に、例えば、約800℃で保持され、部分燃焼と炭化を進める。
【0012】
流量を制限した空気の供給によって空気中約20%あった酸素濃度が、燃焼炭化に消費されて、上方の炭化室内雰囲気では約1〜5%まで減少して、有機質廃棄物は高温により乾留されて炭素を多く残して炭を形成する。その燃焼の熱は上部から順次下降する廃棄物を予熱して、回転支持盤直上の炉床部での乾留炭化を促進する。
【0013】
炭化室で発生する燃焼ガスは、一酸化炭素と乾留による蒸発物を多く含んだ可燃性ガスないし乾留ガスであるが、回転支持盤と炭化炉体の下端部との間の隙間通過して、環状空間を排ガスとして上昇し、外側から炉体壁部を加熱して、炭化室内の蓄積した廃棄物や固形燃料をさらに予熱して、炭化室内での乾留・炭化反応を促進するので、熱効率が改善される。排ガスは、排気口から排出されて、排ガス処理手段によって木酢液等の有用物の分離処理等が行われる。
【0014】
回転支持盤の回転速度は、処理規模によって異なる設計ができるが、支持盤の回転速度を可変調節するのが、好ましい。回転支持盤の回転速度は、廃棄物ないし炭材の炭化室内での滞留時間を決めるものであり、これにより、炭材の焼成不足の時は、回転速度を低下させ、炭材の燃焼損失が大きいときは、回転速度を高めるように、調整することができる。
【0015】
乾留焼成した炭材は、外殻本体の下端部の排出口から排出される。この排出された炭材のしあがり状況は、直接目視により観察することができ、その仕上がり状況から、炉床としての回転支持盤の回転速度を調整して、炭材の仕上がりを最適化することができる。回転速度は、例えば、0.3から2.0rpmの範囲に調節可能にすることができる。
【0016】
また、炭化炉体と外殻本体は、竪形にされて、その構造が比較的簡単でかあるから、点検保守修理が容易で、設置占有面積が少なくできる利点がある。
【0017】
上記回転支持盤は、その上面において回転軸の延長部に螺旋体を炭化室内に突出するように配置するのがこのましい。螺旋体は、回転支持盤の回転により、回転方向に対して有機物片やRDF等の固形燃料を上方に戻す作用をするように配置する。
【0018】
上記の螺旋体は、炭化室内部において上部から積み重なってくる有機物片やRDF等の固形燃料を螺旋体の回転によって上方に戻すことにより圧密化を防いで竪形の炭化炉でも十分に炭化時間を確保して良質の炭を得ることができ、また下部側の高熱が、燃焼ガスの有機物片への進入によって伝わり易くし、有機物片の予熱も十分に行うことができる。
【0019】
また回転支持盤には、その上面に放射状に複数の羽根を固定することもできる。複数の放射状羽根を上記の螺旋体と共に配置するには、放射状羽根は、螺旋体に比較して低く設定して中心部から外周部に向けて順次ないし段階的にあるいは適宜低くされて配置することが好ましい。
【0020】
複数の放射状羽根は、回転支持盤上で行われる炭の精錬焼成がその回転により、促進されて、且つ円周方向に亘って均一に排出するので、結果として、均一で良質の炭材を生産することができる。
【0021】
回転支持盤は、その下面に回転方向に対して炭を外側へ移動させる作用をする複数の湾曲羽根を有することができ、回転支持盤上から外殻本体の下底部に落下した炭も複数の湾曲羽根によって排出口の設けられている外周部に押し寄せることができ、炭の排出を促進できる。
【0022】
回転支持盤は、上下位置調節して、回転支持盤の上面と、炭化炉体の下端部との間の隙間を調整することが好ましい。このために、炭化炉には、上記外殻本体の下端部において、上記炭化炉体の下端部と回転支持盤に上面との間の上記炭材排出用の隙間の大きさを調節するための上下位置調節手段を設けることができる。この上下位置調節手段は、炭化源材料の有機物片や固形燃料の種類に応じて回転支持盤の上下位置を調節し、隙間からの炭材の排出速度を制御して、炭化度合いを調節することができるる。
【0023】
さらに、炭化炉には、炭化炉体の下部炉壁に連通して炭化室に高温ガスを供給して、炭化室内の有機系廃棄物及び所要の固形燃料に着火するための着火手段が設けられている。着火手段は、炭化炉体の下部に上記空気供給孔に隣接して設けられた着火孔に高温ガスを噴射する着火バーナ、特に火炎バーナ、例えば、重油バーナなどが、利用される。着火孔から高温ガスを有機物片や固形燃料に直接導くことで作業前の低温度の有機物片や固形燃料に対して確実に着火させることができる。
【0024】
着火手段は、操業の開始時に使用され、炭化室内に供給された有機質廃棄物は、炉体の下部において先ず着火手段によって着火されて、風箱から分配管を介して空気が供給されて燃焼を始め、炭化室内温度が上昇する。有機質廃棄物は、炭化室内に蓄積されながら燃焼され、炭化室内部を高温に保持し、次いで、上記の定常的な炭化操業に移ることができる。
【0025】
上記の外殻本体には、下底部に開口して焼成炭材を下方に落下させるためのに排出口を設けてあるが、排出口は、外殻本体の周壁と上記の回転支持盤の外周部との間に若しくは外周部直下付近に配置するのが便利である。そして、上記の炭材排出用の隙間から回転支持盤の外周部に排出される焼成炭を排出口に案内する案内手段を含むものが好ましい。案内手段は、上記の排出口に対応して外殻本体の下底部の周壁から回転支持盤の外周部へ突設された掻き取り板から成るものが利用できる。掻き取り板は、回転支持盤上に乗って回わる焼成炭材を集めて、排出口に集めて確実に導くことができる。
【0026】
上記供給口の気密弁は、例えば、ロータリシール弁またはダブルダンパー弁を利用することができる。この気密弁によって炭化に影響する空気の侵入を制限しながら確実に所定量の有機物片や固形燃料を炭化室内に供給できる。
【0027】
排気口は、外殻本体の上部に設けられ、配管により排ガス処理手段に接続されるのが好ましい。このような排ガス処理手段としては、排ガスからダストを除去する集塵機、例えば、サイクロンと、木酢及びタールを除去する熱交換器ないしコンデンサと、排ガスを促進するエジェクターとからなるものが利用できる。排ガスは、集塵機でダストを除去し、熱交換器ないしコンデンサで木酢及びタールを凝結して、液状の有用物を回収でき、後工程での一酸化炭素の含有量の多い可燃ガスの排ガスを燃料として利用し易くできる。エジェクターは、ガス流通抵抗が大きいサイクロンや熱交換器を通過した排ガスを吸引して、排気能力を高めるのに有効である。
【0028】
上記の排出口は、好ましくは、冷却装置を備え且つ、出口に気密弁を介してコンベアに接続することができる。排出口の冷却装置には、例えば、水冷ジャケットを使用して、冷却し、気密弁には、例えば、2重ダンパー弁を備え、コンベアには、例えば気密的に輸送できる水冷スクリューコンベヤが利用される。焼成直後の高温状態の炭材は、水冷スクリューコンベヤで冷却しながら所定の集積位置に速やかに移送できる。排出口に接続される気密弁は、空気の侵入を防止し炭材の侵入空気による過剰燃焼を防止し、断続的に、あるいは実質的に連続的に、排出することができる。
【0029】
炭化炉体は、耐火物によって竪円筒状に形成され、外殻本体も耐火物によって内張されて竪円筒状に形成するのが好ましい。これらより、炭化炉体と外殻本体との間の円環状空間を予熱空間として形成すると、炭化室を竪型円筒状にすることができる。これにより、円筒状炭化室の下方で、回転支持盤の上方で炭化の燃焼をさせて発生する高温ガスを上方に向わせて上側位置での有機物片の乾留ないし蒸し焼きを促進でき、また最終的に燃焼ガスは円形にした環状空間を通ることになり、外側からも炭化室内部の有機物片や固形燃料を予熱でき、熱効率をさらに高めることができる。
【0030】
風箱には、通常は空気が供給されて、炭化炉体の炉壁に設けた空気供給口から炭化室に供給するが、風箱には、空気と過熱蒸気とが切り替え可能にまたは、空気と過熱蒸気とが混合されて供給されるようにするのが好ましい。過熱蒸気は、特に作業前の低温度時に過熱蒸気を炭化室内部に供給することで濡れたり湿った有機物片や固形燃料が混入していても過熱蒸気によって急速に乾燥させることができる。炭化作業中に、過熱蒸気を空気に混合して供給することにより、相対的に炭化を早めることができ、アルカリ化した良質な炭を得ることができる。
【0031】
【実施例】
図1及び図2に示すように、本発明に係る実施例の炭化炉1は、下端部が開放されて内部に炭化室を形成し、加熱された有機系廃棄物及び所要の固形燃料(以下、炭原料Aという)を制限された空気供給によって炭化するため炭化炉体10と、該炭化炉体10を外周部を取り囲んで炭化炉体10を支持固定する外殻本体20と、該外殻本体20の内側て、炭化炉体の下端部直下に配置して、蓄積された炭原料Aを支える回転支持盤とから成っており、回転支持盤が、炭化炉体10の下端部14に対して炭Bが出て来る炭材排出用の隙間Lを介して水平状態に設置されて駆動装置により比較的低速度で回転駆動され、隙間Lから回転支持盤30の外周部31に出る焼成炭Cを排出口29に案内する案内手段50と、を含んでいる。
【0032】
炭化炉体10は、耐熱材料、例えば、耐熱鋼や耐火物、から円筒体に形成れ、上端部12が閉鎖され、下端部14が開放されて、炉体内部は、竪形の円筒状炭化室11が形成されている。炭化炉体10の炉頂部である上端部12には供給口が設けられ、供給口12aからは、炭原料Aである有機質廃棄物が投入される。有機質廃棄物には、木片、紙、ゴム片、プラスチック片、生ごみ、畜糞などが、適当に混合されて炭化室内に供給できる。供給口には、気密弁9として、ロータリシール弁を介して、供給用のスクリューコンベア8が接続されて、ホッパーが設けてある。
【0033】
炭原料Aは、事前にほぼ所定寸法以下に破砕機又は切断機によって破砕・切断されて調製され、スクリューコンベアにより、連続的に炭化室11に定量供給される。破砕または切断を実施することは、寸法をある程度揃えた炭原料Aを使用することができ、炭化のばらつき生じにくくでき。未炭化物の混入率を低減できる利点がある。この供給スクリューコンベヤ8を2連式にして、第1スクリューコンベヤの送り速度を第2スクリューコンベヤの送り速度よりも早く設定することもでき、第2スクリューコンベヤ内部において炭原料Aが圧密化されて気密弁9が瞬間的に順次開放されても炭化室11内部からのガスの逆流を防止でき、空気供給制御を容易にする効果がある。
【0034】
他方、炭化炉体10の周壁13の下部13Aには、周壁13の水平な周方向に複数の空気供給孔15が設けられ、後述の風箱から分岐した配管に接続されて、炭化室の下部に燃焼用の空気を供給する。この例では、周壁13に貫通して、空気供給孔15と同じレベルで、1つの着火孔16が配置されている。
【0035】
外殻本体20は、この例は、基台2上に設置固定された耐火レンガ等の耐火物で造られた2段円筒体から成り、炉体10を外周部を取り囲み、外殻本体20の内面と炭化炉体10の外面との間に円形状の環状空間23を形成している。外殻本体20は、その上端部22が炉体10の上端部を囲んで閉鎖されている小径の上部円筒部21と、上部円筒部21の下方に接続されて下端部26が炉体10の下端部14の下方まで延長された大径の下部円筒部25と、の2段の周壁を持っている。
【0036】
外殻本体20の上部円筒部21の上端部には排気口24が設けられ、排気口24は、円形の環状空間23と連通しており、環状空間を上昇する排気ガスを炭化炉外に排出する。
【0037】
下部円筒部25の上端部には風箱27が設けられて、炉体10の上記の空気供給孔15に分配管27Aを介して、流量を制御しながら、供給する。さらに、該風箱27の一部分には、着火装置28としてバーナが設けられて、炭化炉体の周壁13に設けた上記の着火孔16に配口されて、炭化室を内に高温のバーナ燃焼ガスを供給する。操業初期には、着火装置28により、炉体下部に蓄積された炭原料Aに着火することができる。
【0038】
風箱27には、空気と過熱蒸気が切り替え可能に供給されるようになっており、特に作業前の低温度時に過熱蒸気を炭化室11内部に供給することで濡れたり湿った炭原料Aが混入していても過熱蒸気によって急速に乾燥させることができるようにしている。また炭化作業中に過熱蒸気を供給すると相対的に炭化を早めることができ、アルカリ化した良質な炭を得ることができる。
【0039】
大径の下部円筒部25には、下端部で閉鎖されて下底部26aを形成し、炭化室内で焼成した炭材Cを排出するための排出口29を下底部26aに設けてある。この例は、排出口29は、下底部26aにおける下部円筒部周壁と回転支持盤の外周との間に形成されている。
【0040】
排出口29の連通する排出管が水冷ジャケットから成り、排出管の出口に2重ダンパー弁62を接続し、2重ダンパー弁がスクリューコンベヤ61に接続されている。この構成は、水冷スクリューコンベヤ61が、高温の焼成炭Cを排出する際に冷却しながら所定個所に直ちに移送できる用にし、出口の2重ダンパー弁62が、空気の炉内侵入を防いで焼成炭Cの燃焼損失を防止し、実質的には連続的に焼成炭を取り出すことができる。
【0041】
該殻本体の下底部近くには、焼成炭Cを排出口29を案内する案内手段50が配置されており、案内手段は、排出口29に対応して外殻本体の下部25の下端部の周壁25aから回転支持盤30の外周部31へ伸縮可能に突設された軸52と、当該軸の先側に取付られた掻き取り板51とから成っている。このような簡単な掻き取り板51は、回転支持盤の上面の外周部31上に乗って回りながら出てくる焼成炭Cを排出口29に向けて確実に落とすことができる。
【0042】
回転支持盤30は、下部円筒部25の下底部26aの下面には回転支持盤用回転駆動装置40により回転駆動される。この装置40においては、回転支持盤30より下方で、外殻本体の下底部26aから支持された支台45の上に可変速電動モータ46が搭載され、回転支持盤30の回転軸41が、減速機47を介して該モータ46とに伝動的に接続されて、該モータ46の可変速度により、回転支持盤を回転数調節可能に回転させることができる。
【0043】
回転支持は盤は、回転軸41から支持盤上方に突出した延長軸41aと、この延長軸41aに支持されて回転方向Rに対して炭原料Aを上方に戻す作用をする螺旋体として螺旋状のコイル32を配置している。この例の螺旋状コイル32は、螺旋包絡面が円錐状の形状になるように、帯体ないし棒で、耐熱性材料を用いて、形成されている。そして、コイル上端が延長軸41aに支持固定され、下端が回転支持盤30に直接または間接的に支持固定されて、回転支持盤30の回転により、螺旋状コイル32を、該コイルに接した有機物片を上方に送る方向に回転するようにされている。これによって、この円錐螺旋状のコイル32炭化室11内部のおいて上部から積み重なる傾向のある有機物片その他の炭原料Aを螺旋状のコイル32の回転によって上方に戻すことで圧密化を防ぐことができる。螺旋状コイルは、このように回転支持盤上の有機物片の集積を解きほぐして、有機物片への高温ガスの流通接触とそれによる熱伝導を確保して、昇温速度を高め、予熱も十分に行われる。
【0044】
さらに、回転支持盤30上には、螺旋状コイル32に比て低く、支持盤30の中心部から外周部にむけて低くなっている複数の放射状羽根33とを備えている。この放射状羽根33においてはは、回転支持盤30上で行われる炭化を終えた炭Bの精錬燃焼が回転する複数の放射状羽根33によって促進され、焼成した炭材の半系方向への移動とそれに伴う排出口からの排出とを容易にしている。
【0045】
このように、回転支持盤30上の螺旋状コイル32と放射状羽根33との作用により、有機物片への下方部からの熱が燃焼ガスの進入によって伝わり易くなり、炭化を促進し、排出を容易にして、竪形炭化炉1においても、十分に炭化に要する時間を短縮して良質の炭材Cを得ることができる。
【0046】
さらに、回転支持盤30は、その下面に、外殻本体下底部26aとの間に、この例では、複数の湾曲羽根34を放射状に固定している。湾曲羽根34は、回転方向に対して焼成炭Cを外側へ移動させる作用をするもので、回転支持盤30上から外殻本体下底部26aに落下した焼成炭Cを、これらの湾曲羽根34によって排出口29が設けられている外周部に押し寄せることができ、焼成炭Cの排出を促進する。
【0047】
回転支持盤30は、外殻本体20の下部25内において炭化炉体10の下端部14に対する隙間Lの大きさを調節できるように上下位置調節手段が設けられている。ここに採用した上下位置調節手段は、回転支持盤30とその回転駆動装置40とが搭載されている下底部26aが、外殻本体の下部25内にネジジャッキ機構Jによって、回転支持盤30を上下に位置調節可能にするものである。
【0048】
炭原料Aの有機物片や固形燃料や焼成した炭材の性質、例えば、種類に応じて異なる性質、例えば、安息角度θ(水平面上に積したときの水平面に対する裾部の傾斜角度)などの相異に対応して、回転支持盤と外殻本体の下端との間の隙間から排出速度が相異するので、上下位置調節手段は、回転支持盤30の上下位置を調節し、上記の隙間を設定し、炭化室内の有機物片の低下速度と、焼成炭Cの排出度合いを調節し、炭化度合いを最良に調節することができる。
【0049】
この例の上下位置調節手段のネジジャッキ機構Jは、図3に示すように、下部25の円筒体下端部の内壁に複数取り付られたブラケット55に回転可能に搭載されたジャッキネジ56を、ブラケット55に対応して回転支持盤30の周辺部の下底部26外縁に形成されネジ孔57に螺合させており、ダブルナット58の締め付けにより、回転支持盤30の上下位置設定でき、上記回転支持盤30と下端部との間の隙間を調節することができ、ダブルナット58により、固定している。
【0050】
炭化炉1の炭化作業の初期には、炭化室11内部に上部の供給口から、炭見料として、有機質廃棄物と、固形燃料とを炉体10の下部13Aにおいて着火装置28によって着火させる。
着火後は、風箱27から分配管27Aを介して約1〜5%の酸素濃度まで制限された空気を供給して先ず下部からの熱と円形環状空間23のガスによって予熱(予熱帯)して乾燥、昇温(乾燥帯)させ、順次昇温して、下端部14の近くで約800℃で焼成し、その上方の炉体中間部では、約300℃で炭化燃焼(炭化帯)させる。
【0051】
着火後は通常着火装置28からの高温ガスの供給は停止されるが、炭化燃焼をその流量制限して空気供給によって酸素不足の状態で炭化焼成し、炭素を多く残して炭材Bを形成する。この炭化燃焼によって発生する一酸化炭素を多く含んだ可燃ガスGは炉体11の下端部14から一旦出た後、環状空間23を上昇して外側から炉体内の炭原料Aを予熱して炭化を促進する。可燃ガスに対しては、排気口24から排出して排ガス処理手段64によって木酢液等の有用物の分離処理等を行なう。蒸し焼きにより生成された炭Bが回転支持盤30上で精錬燃焼(精錬帯)してできた焼成炭Cの状態を、案内手段50によって外殻本体20の下端部25の外周部の排出口29へ案内して排出してダンパー弁62から出て来る焼成炭Cを直接見て判断し、例えば0.3から2.0rpmの範囲で回転支持盤30の回転速度を調節することで調整される。これで操業者は、炭材の生産の経験の有無によらずに良質な炭を得ることができる。
【0052】
上部円筒部21の排気口24の近辺には酸素濃度センサーが設けられ、さらにその周壁21Aには適宜防爆装置が設けられる。
酸素濃度センサーによる酸素濃度と焼成炭材の品質や生産性との関係などの操業データに基づいて、酸素濃度センサーによる酸素濃度値を利用して、炭化室の回転支持盤30の回転速度を連動制御するようにすることもできる。
【0053】
図4には、排気ガス処理手段の系統図を示すが、排気口24は、排ガスからダストを除去するサイクロン65と、木酢Q及びタールTを除去する水冷熱交換器ないしコンデンサ66と、排ガスを促進するエジェクター67、例えば、水エジェクターとから成る排ガス処理手段64に接続されている。サイクロン65でダストを除去し、コンデンサ66で木酢及びタールなどの有用物を回収でき、一酸化炭素の含有量の多い排ガスを燃料ガスとして利用し易くでき、また空気流抵抗が大きいサイクロン65や熱交換器66に排ガスを通してもエジェクター67によって排ガスを吸引流通できる。エジェクター67は、タンク68A内の水をポンプ68Bで循環している圧力水を利用しており、スクラバーの働きもしている。
【0054】
【発明の効果】
本発明の炭化炉は、固定された炭化炉体に対して炉床である回転支持盤を回転させるようにしたので、焼成した炉床からの炭材の排出が容易であり、炉床部で発生した高温の燃焼ガスが、炉体の下端部から炭化炉体と外殻本体との間に形成した空間を上昇しながら炉体壁部を通して炭化室内の蓄積した廃棄物及び固形燃料を予熱するので、熱効率が高く、炭化の促進改善に有効である。
特に、回転支持盤の回転速度を制御可能にすれば、炭化の程度と品質を目視観察しながら、回転速度を制御することにより、炭材製造過程を制御して、その品質と生産性を最適化することができる。
【0055】
炭化室内に回転支持盤の軸状に固定として突出する螺旋体を設ければ、堆積した有機物片やRDF等の固形燃料の圧密化を防いで、堆積有機物片への熱伝導を高め、攪拌による均一化して、焼成炭化効率を高めることができる。
【0056】
さらに、回転支持盤が、外殻本体の下端部内において炭化炉体の下端部に対する隙間の大きさを調節できるように上下位置調節可能にすれば、原料の廃棄物や生成した炭材の性質に合わせて、炭材の排出速度を予め適切に決めることが出来、良好に焼成した炭材の生産が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る炭化炉の縦断面図を示す。
【図2】本発明の実施例に係る炭化炉の外殻本体における横断面図を示し、この図の中央部には、回転支持盤の上面図を含む。
【図3】図1のIII部における上下位置調節手段の部分拡大図を示す。
【図4】図1の炭化炉に接続される排気ガス処理手段の系統図を示す。
【符号の説明】
1 炭化炉
2 基台
10 炭化炉体
11 炭化室
12 上端部
12a供給口
14 下端部
15 空気供給孔
16 着火孔
20 外殻本体
23 環状空間
24 排気口
29 排出口
30 回転支持盤
32 螺旋体
33 放射状羽根
34 湾曲羽根
50 案内手段

Claims (11)

  1. 上端部が閉鎖され且つ下端部が開放されて内部に竪形筒状炭化室を形成する炭化炉体と、
    基台上に設置されて上記の炭化炉体を外部から取り囲んで該炭化炉体との間に環状空間を形成して支持する外殻本体と、
    該外殻本体の下端部内において炭化炉体内の蓄積された有機系廃棄物の有機物片を支え且つ炭化炉体の下端部と上面との間に炭材排出用の隙間を設けて上面が平坦で水平に設置されて回転駆動される回転支持盤と、
    から成り、
    上記の炭化炉体が、排気口を設けることなく、上部に有機系廃棄物及び所要の固形燃料を炭化室の内部に気密弁を介して供給する供給口と、下部炉壁に配置された複数の空気供給孔とを有し、
    上記の外殻本体が、その上端部が上記炉体の上端部に近接した位置で閉鎖されて上部に設けて上記の環状空間に連通する排気口と、下部に上記炉体の空気供給孔に分配管を介して空気を供給速度の制限下で供給する風箱と、外殻本体の下底部に設けて上記の炭材排出用の隙間からの炭材を炭化炉下に排出落下させる排出口と、を含む有機系廃棄物を炭化処理するための廃棄物炭化炉において、
    炭化炉には、外殻本体の下端部内において、回転支持盤の上面と炭化炉体の下端部との間の上記炭材排出用の隙間の大きさを調節するために上下位置調節手段が設けられ、上下位置調節手段が、回転支持盤を支持する上下可動の下底部を外殻本体の下端部に連結するネジジャッキ機構により回転支持盤の上下位置を移動調節するようにしたことを特徴とする廃棄物炭化炉。
  2. 上記回転支持盤が、回転駆動装置により回転駆動され、回転駆動装置が、回転支持盤の回転軸に接続した可変速電導モータを含んで、回転支持盤の回転速度を可変調節するようにした請求項1記載の廃棄物炭化炉。
  3. 回転支持盤が、支持盤上面において回転軸の延長部に回転方向に対して有機物片を上方に戻す作用をするコイル包連絡面が下広がり円錐状の形状である螺旋状コイルと、該螺旋状コイルに比較して低くしかつ中心部から外周部にかけて低くされた複数の放射状羽根とを有する請求項又は2に記載廃棄物炭化炉。
  4. 回転支持盤が、その下面に回転方向に対して炭を外側へ移動させる作用をする複数の湾曲状若しくは直線状の羽根を放射状に有する請求項1ないし3いずれかに記載の廃棄物炭化炉。
  5. 炭化炉には、炭化炉体の下部炉壁に連通して炭化室に高温ガスを供給して、炭化室内の有機系廃棄物及び所要の固形燃料に着火するための着火手段が設けられている請求項1ないし4いずれかに記載の廃棄物炭化炉。
  6. 着火手段が、上記炭化炉体の下部に上記空気供給孔に隣接して設けられた着火孔から高温ガスを炭化室内に放射する着火バーナから成る請求項5記載の廃棄物炭化炉。
  7. 外殻本体が、上記隙間から該回転支持盤の外周部に排出される焼成炭材を上記排出口に案内する案内手段を含み、案内手段が、排出口に対応して外殻本体の下端部の周壁から回転支持盤の外周部へ突設された掻き取り板から成る請求項1ないし6いずれかに記載の廃棄物炭化炉。
  8. 排出口が、冷却装置を備えて且つ気密弁を介してスクリューコンベヤに接続されている請求項1ないし7いずれかに記載の廃棄物炭化炉。
  9. 供給口の気密弁が、ロータリシール弁若しくはダブルダンパー弁を含む請求項1ないし8いずれかに記載の廃棄物炭化炉。
  10. 排気口が、排ガスからダストを除去するサイクロンと、木酢及びタールを除去する熱交換器と、排ガスの吸引を促進するエジェクターとから成る排ガス処理手段に接続されている請求項1ないし9いずれかに記載の廃棄物炭化炉。
  11. 上記風箱には、空気と過熱蒸気が切り替え可能に供給される請求項1ないし10いずれかに記載の廃棄物炭化炉。
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