JP3616176B2 - 位置決め装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、回転するθ方向に対して位置決めを行う位置決め装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来例1.
図28は、従来のX方向、Y方向及びθ方向の3次元方向に対して位置決めを行うXYθテーブルを示す図である。図28(a)は、XYθテーブルの平面図、図28(b)は、その側面図である。
図において、200はベース、PXはX方向に移動するプレート、PYはY方向に移動するプレート、Pθはθ方向に移動するプレートである。また、MXはプレートPXをX方向に動かすためのモータ、MYはプレートPYをY方向に動かすためのモータ、MθはプレートPθをθ方向に動かすためのモータである。また、3a,3bはモータの軸に取付けられたカップリングである。4はモータMXに取付けられたボールネジである。2はモータMθに取付けられたウオーム、1はプレートPθの胴部に設けられたホイール、7はプレートPθとプレートPYを回転可能に保持するクロスローラベアリングである。
【0003】
図28に示すように、図においてX方向を左右方向とし、Y方向を上下方向とし、θ方向を回転方向とする。
モータMXは、モータの軸を回転させることにより、ボールネジ4をX方向に移動させる。ボールネジ4とプレートPXは、固定されている。従って、モータMXの回転によりプレートPXは、X方向に移動する。
モータMYは、プレートPXに固定されている。モータMYとプレートPYも、モータMXとプレートPXと同様な関係を有しており、モータMYの回転によりプレートPYをY方向に移動させる。
モータMθは、プレートPYに固定されている。モータMθの回転により、ウオーム2が回転する。ウオーム2が回転することにより、プレートPθにあるホイール1が係合することにより、プレートPθが回転移動する。プレートPθは、クロスローラベアリング7により、プレートPYに回転可能に取り付けられている。従って、モータMθの回転により、プレートPθがθ方向に回転する。
【0004】
このように、従来のXYθテーブルは、モータMXによりプレートPXをX方向に移動させ、モータMYによりプレートPYをY方向に移動させ、モータMθによりプレートPθをθ方向に移動させる。従って、プレートPθにワークを乗せた場合には、これら3つのモータの回転を制御することにより、プレートPθ上に乗ったワークの位置決めを行うことができる。
【0005】
従来のXYθテーブルは、図28に示されるように、3つのモータが3つのプレートを移動させることにより位置決めを行うが、X方向、Y方向、θ方向がそれぞれ異なる3次元の方向をもっているため、モータの取り付け位置及び取り付け方向がそれぞれ異なる。従って、XYθテーブルが大きくなってしまうという問題点があった。また、モータの取付けによりXYθテーブル側面に凹凸が生じてしまうという問題点があった。
【0006】
また、各種プレートは階層的に積み重ねられており、その階層的に積み重ねられたプレートを動かすためにモータも階層的に配置され、XYθテーブルの高さが高くなってしまうという問題点があった。
また、各プレートを動かすためモータの取り付け高さも、まちまちになってしまうという問題点があった。
【0007】
また、従来のXYθテーブルにおいては、例えば、プレートPθをθ方向に移動させるため、ウオームやホイールを用いているが、このウオームやホイールを用いることによりバックラッシュが存在し、θ方向への移動が正しく行われないという問題点があった。
【0008】
従来例2.
上記問題点を解決した従来例として、本願発明と同一出願人により、平成5年12月1日に出願されたXYθテーブルがある。
図29,図30を用いて説明する。
図29は、このXYθテーブルの原理を説明するための概念説明図である。
図29は、このXYθテーブルを説明するための概念図であるため、実際の構成とは異なっている。ここでは、図29を用いてこのXYθテーブルの原理について説明する。
図において、4a,4b,4cはモータの軸に取り付けられたボールネジ、5a,5bはボールネジに取り付けられ、SUS−CSPという規格で定められたバネ鋼、6a,6b,6cはコイルバネ、7a,7cはプレートPX,PYをX方向、Y方向にスライドさせるための直動クロスローラガイド、7bは、プレートPθをθ方向にスライドさせるクロスローラベアリングである。
【0009】
この図の特徴は、モータMY,MX,Mθが3つとも同じ方向一列に配列されている点である。ここでは、説明をわかりやすくするため、モータMX,MY,Mθは、ベース200に一列になって固定されているものとする。このように、モータが1次元方向に配列されている場合に、3つのプレートPX,PY,Pθを、それぞれ異なる3次元の方向に動かす場合について以下に説明する。
【0010】
まず、X方向にプレートPXを動かす場合について説明する。
モータMXが回転すると、ボールネジ4cがX方向に移動する。ボールネジ4cは、プレートPXに固定されている。また、プレートPXは、直動クロスローラガイド7cによりX方向に移動可能に取り付けられている。従って、モータMXが回転することにより、ボールネジがX方向に直進運動する。従って、モータの駆動力がプレートPXのX方向への駆動力として伝達され、プレートPXは、X方向に移動する。また、モータの回転軸とボールネジの間にバックラッシュが生じないように、コイルバネ6cにより常にプレートPXを一定方向に付勢している。
【0011】
プレートPYをY方向に移動する場合について説明する。
モータMYが回転すると、ボールネジ4aがその回転にともないX方向に移動する。ボールネジ4aとバネ鋼5aの一端部は固定されている。バネ鋼5aは、カムフォロア8により直角方向に曲げられており、他端部がスタンド9に固定されている。即ち、バネ鋼5aの一端は、ボールネジ4aと固定されており、他端は、スタンド9と固定され間の延在部は湾曲している。スタンド9は、ベース200に固定されている。また、カムフォロアは、プレートPYに回転可能に取り付けられている。また、プレートPYは、直動クロスローラガイド7aによりY方向に移動可能に取り付けられている。更に、コイルバネ6aは、プレートPYを一定方向に付勢している。
このような構成の状態で、モータMYが回転すると、ボールネジの直進運動による駆動力がバネ鋼5aを介してプレートPYに伝えられ、プレートPYはY方向に移動する。コイルバネ6aは、バネ鋼5aの湾曲にたるみが生じないように、プレートPYを常に一定方向に付勢し続ける。また、コイルバネ6aは、モータMYの軸とボールネジ4aのバックラッシュを除去するために、コイルバネ6aは、プレートPYを常に一方向に付勢し続ける。
【0012】
モータMθが回転する場合には、ボールネジ4bがX方向に直進運動をする。バネ鋼5bの一端は、ボールネジ4bに固定されており、他端は固定片10によりプレートPθに固定されている。プレートPθは、軸11を中心に回転できるように、クロスローラベアリング7bにより取り付けられている。従って、モータMθが回転することにより、ボールネジ4bの直進運動は、駆動力バネ鋼5bを介してプレートPθへ伝えられ、プレートPθがθ方向へ移動する。バネ鋼5bは、プレートPθのθ方向への回転により湾曲する。従って、ボールネジの直進運動は、プレートPθの回転が生じている最中にも、θ方向の駆動力として正しく伝えられる。コイルバネ6bは、プレートPθを常に一方向に付勢しており、バネ鋼5bのたるみを防止するとともに、モータMθとボールネジ4bの間に生じるバックラッシュを除去している。
【0013】
このように、バネ鋼5aを用いることにより、ボールネジ4aのX方向への移動をプレートPYのY方向への移動へと変換することができる。また、バネ鋼5bを用いることにより、ボールネジ4bのX方向への移動をプレートPθのθ方向への移動へと変換することができる。従って、3つのモータを同じ方向に一列に配置することができる。このように、モータが同一方向に存在することにより、モータを配置したことによる凸部が装置の一方向側にまとまって存在することになり、装置の凹凸を少なくすることができる。
【0014】
図30は、XYθテーブルの平面透視図であり、XYθテーブルを上から見た場合の各部の配置を示している。
図において、MX,MY,Mθはサーボモータ(以下、モータという)、18a,18b,18cはサーボユニット、14a,14bはボールネジ4a,4bのX方向への直進運動をガイドするガイド棒である。12a,12b,12c,12dはプレートPθが位置決めされたときにプレートPθを吸着して固定する電磁石である。図30は、3つのプレートと3つのモータとそれぞれの構成要素を透視して、1つの図で示しているものである。
【0015】
上から順にプレートPθ、プレートPY、プレートPXが順に配置されている。プレートPXは、ベースに対して直動クロスローラガイド7cを介してX方向に移動可能に取り付けられている。また、プレートPθは、プレートPYに対してクロスローラベアリングにより回転可能に取り付けられている。また、バネ鋼5aは、プレートPYをプレートPXに対してY方向に移動するためのものである。従って、プレートPYとプレートPθの間にあって、プレートPY側に設けられている。一方、バネ鋼5bは、プレートPθをプレートPYに対してθ方向に動かすためのものである。従って、プレートPθとプレートPYの間にあって、プレートPθ側に設けられている。
【0016】
モータMYからの回転は、カップリング3a及びサーボユニット18aを介して、ボールネジ4aに伝えられる。ボールネジ4aは、モータMYの回転によりX方向に直進運動をする。バネ鋼5aの一端は、ボールネジ4aに固定されており、他端は、プレートPXに固定されたスタンドに固定されている。カムフォロア8は、プレートPYに回転可能に固定されており、バネ鋼5aは、ボールネジ4aの直進運動をカムフォロア8によりプレートPYに伝える。従って、ボールネジ4aがX方向に動くことにより、カムフォロア8がY方向に移動する。このため、プレートPYがY方向に移動する。
【0017】
モータMXは、ベースに固定されている。モータMXが回転すると、カップリング3c及びサーボユニット18cを介して、モータ軸の回転がボールネジ4cに伝えられる。ボールネジ4cがX方向に直進運動をすることにより、ボールネジ4cが固定されているプレートPXがX方向に移動する。バネ6cは、プレートPXに固定されたピンとベースに固定されたピンにより設置されている。従って、モータMXの軸とボールネジの間に生じるバックラッシュを除去するような働きをもっている。
【0018】
モータMθは、プレートPYに固定されている。モータMYも、プレートPYに固定されている。モータMθの回転は、カップリング3b及びサーボユニット18bを介して、ボールネジ4bに伝えられる。ボールネジ4bは、X方向に直進運動を行う。バネ鋼5bは、ボールネジ4bの直進運動をクロスローラベアリング7bの外環部に伝える。クロスローラベアリングの外環部は、プレートPθと固定されている。内環部は、プレートPYに固定されている。従って、ボールネジ4bの直進運動による駆動力は、プレートPθのθ方向への駆動力へと変換される。コイルバネ6bは、ピン24とピン25に固定されている。ピン24は、プレートPθに固定され、ピン25は、プレートPYに固定されている。従って、コイルバネ6bは、バネ鋼5bのたるみを防止するとともに、モータMθとボールネジ4bのバックラッシュを除去するように働く。
【0019】
以上のように、従来例2においては、固定片でプレートPθに固定されたバネ鋼5bを用いてボールネジの直進運動をプレートPθに伝えることにより、θ方向に移動し、位置決めを行っている。これにより、従来例1のように、ウオームやホイールを用いてプレートPθをθ方向に移動させる場合に、バックラッシュが発生するという問題点を改善している。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来例2で用いているバネ鋼は、薄く軟らかい。また、バネ鋼は、温度変化により長さが変化する。一方、プレートPθは大きく重いので、精確な位置決めをバネ鋼を用いた移動手段により行うには不向きであり、実現できる精確さに限界があるという問題点があった。
また、バネ鋼とプレートPθが面で接しているため、正方向及び逆方向に連続して移動した場合には、正確さを欠くという問題点があった。
【0021】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、θ方向に精確な位置決めを行うことができる位置決め装置を得ることを目的としている。
【0022】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る位置決め装置は、以下の要素を有する。
(a)回転軸を有する基台、
(b)上記基台の回転軸に対して回転可能に取り付けられるとともに、半径方向に沿って当接面を有するテーブル、
(c)上記テーブルの当接面と当接するカムフォロアを有するカムフォロアユニット、
(d)上記基台に取り付けられ、上記カムフォロアユニットを当接面と直交する方向に移動させる移動手段。
【0023】
上記カムフォロアは、偏心カムフォロアであることを特徴とする。
【0024】
上記移動手段は、上記カムフォロアユニットを正方向と逆方向に移動させるとともに、上記テーブルは、正方向を向いた第1の当接面と逆方向を向いた第2の当接面とを備え、上記カムフォロアユニットは、上記第1の当接面と当接する第1のカムフォロアと、上記第2の当接面と当接する第2のカムフォロアとを備えたことを特徴とする。
【0025】
上記第1の当接面と第2の当接面は、同一平面上に存在し、上記第1のカムフォロアと第2のカムフォロアは、上記回転軸から等しい距離に配置されていることを特徴とする。
【0026】
上記カムフォロアユニットは、上記第1のカムフォロアと第2のカムフォロアをそれぞれ固定する段違いの第1の座と第2の座を備え、上記テーブルは、上記第1と第2の座に固定された第1と第2のカムフォロアに対応して上記第1の当接面と第2の当接面を提供する段違いの第1と第2の押し板を備えたことを特徴とする。
【0027】
上記位置決め装置は、更に、基台をX方向に位置決めする手段とY方向に位置決めする手段を備えたことを特徴とする。
【0028】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態を図を用いて説明する。
図1は、この発明の位置決め装置の斜視図である。
図において、300は回転軸を有しθ方向に移動するテーブル、Mθはテーブル300をθ方向に動かすためのモータである。また、3はモータMθの軸に取り付けられたカップリング、4はモータMθに取り付けられたボールネジである。13はボールネジ4のサポートをしているサポートユニット(軸受)、40はボールネジ4に固定されたスライドベースである。111,112はスライドベース40に固定された座、8aは座111に取り付けられたカムフォロアである。また、71はテーブル300に固定され、カムフォロア8aの外周部と当接して、テーブル300を移動させる押し板である。72は同じくテーブル300に固定され、他のカムフォロアの外周部と当接して、テーブル300を押し板71とは逆方向に移動させる押し板である。また、120a,120b,120cはベース200に固定されたセンサである。42はモータMθの回転に伴って、直線移動するスライドベース40に固定された測定片であり、切り欠き部を備えている。センサ120a,120b,120cは測定片に設けられた切り欠き部を検査することで、スライドベース40の移動距離を測定する。スライドベース40には座が固定されている。スライドベース40に固定されている座に、カムフォロアが取り付けられている。そのため、スライドベース40の移動距離を測定することは、カムフォロアの移動距離を測定することになる。また、カムフォロアと当接する押し板の移動距離を測定することにもなる。
【0029】
図2は、この発明の位置決め装置の正面図である。
図において、61は押し板71がカムフォロア8aと当接する当接面である。また、62は押し板72がカムフォロア8bと当接する当接面である。図2に示すように、カムフォロア8a,8bは、段違いの座111,112にそれぞれ取り付けられ、カムフォロアユニット100を構成している。カムフォロア8a,8bが段違いの座に取り付けられていることにより、また、押し板71,72が高さを変えて取り付けられていることにより、2つの当接面61,62が同一平面上に存在するよう形成されている。また、上記同一平面は、テーブル300の回転軸を通る平面である。
また、90はスライドベース40に固定されたガイド部a及びベース200に固定されたガイド部bからなるガイドである。ボールネジ4は、モータMθの回転に伴い、X方向(図2において左右方向)に直進運動する。ガイド部90は、このX方向への直進運動をガイドする。
また、モータMθの中心をX軸とすると、X軸とテーブル300が回転する際に、押し板とカムフォロアが接する点が描く弧との接点は、1点である。上記同一平面は、この接点を通る平面であり、X軸と垂直に交わる。
【0030】
図3は、この発明の位置決め装置の平面図である。
図において、前述した図に示した符号と同一の符号については、説明を省略する。
図3に示すように、押し板71及び72はL字形をしている。そのため、押し板71及び72をテーブル300に幅広く安定して固定することができる。
【0031】
図4は、この発明の位置決め装置の側面図である。
押し板71,72は、カムフォロアと当接しなければならないので、同じ高さに並べて配置することは不可能である。この発明においては、図4に示すように、カムフォロアと当接してテーブル300を移動させる2枚の押し板71,72が高さを変えて、段違いにテーブル300に固定されているので、カムフォロアとの当接面をスライドベースの移動方向(X軸)と直交する同一平面にすることができる。
【0032】
図5は、この発明の位置決め装置に用いられるスライドベースの正面図である。
図6は、スライドベースの平面図、図7は、側面図である。
スライドベースは、ボールネジに取り付けられ、カムフォロアユニットをモータMθの回転に伴って直進方向に移動させる。
【0033】
図8は、押し板71の平面図である。
図9は、押し板71の側面図である。
図10は、押し板72の平面図である。
図11は、押し板72の側面図である。
図8〜図11に示すように、押し板71,72は、L字形をしているので、テーブル300に安定して固定することができる。また、図9及び図11の側面図に示すように、テーブル300と当接する部分に切り欠き部を備えており、この切り欠き部がテーブルと係合することにより、押し板がカムフォロアと当接して移動することによりテーブルを移動させる際に、移動に伴う微妙なずれ、くるいなどが発生しないよう形成されている。
【0034】
図12は、カムフォロアユニットを取り付けたスライドベースの移動を測定するセンサの正面図である。
また、図13は、センサの平面図である。
図14は、センサの側面図である。
また、図14は、前述した図2のA−A端面図となっている。
42は測定片であり、ネジ44によりスライドベース40に取り付けられている。120a,120b,120cはセンサであり、それぞれネジ124によりベース200に取り付けられている。測定片42は、切り欠き部を備えており、切り欠き部の一端42aを基準とし、3つのセンサ120a,120b,120cで検査することにより、測定片42を取り付けたスライドベースの正方向及び逆方向への移動をチェックする。
【0035】
図15は、カムフォロアユニットに取り付けられているカムフォロアの斜視図である。
図16は、カムフォロアの断面図、図17は、カムフォロアの透視平面図である。
図において、180はコロ183により滑らかに回転する頭部であり、185はホルダ部、190はネジ部である。このカムフォロアは、上部に取り付けられた六角ネジ182を回転させることによってネジ部190が挿入され、取り付けを行うことができる。また、この実施の形態で使用するカムフォロアは、偏心カムフォロアである。
図17において、ホルダ部185の外周はUで示され、その中心は点jである。また、ネジ部190の外周はS、頭部180の外周はTであり、S及びTの中心は点iである。このように、各部の外周が同心円でないことから、このカムフォロアを偏心カムフォロアという。
図17においては、点iと点jは、長さeだけ間隔があいている。これを偏心量と言う。図15から図17は、説明のために拡大図を用いているが、実際の偏心量eは、例えば、0.4mm〜1.5mmなど、非常に小さな数値である。
図18は、カムフォロアを座に取り付けた状態を示す断面図である。
図において、195はネジ部190と係合してカムフォロアを固定するナットである。
【0036】
次に、図19を用いてカムフォロアの動作について説明する。
図において、zは回転軸である。カムフォロア8がX軸上を直線方向に移動すると、カムフォロアと当接する面も回転軸zを中心に角度θ分移動する。その時、カムフォロアと当接する点O及びPは、角度の変化によって回転軸zからの距離が異なる。図において、ΔLで示している通りである。このように、移動する場合、当接面とカムフォロア8の頭部との間で摩擦が生じるが、コロを内蔵したカムフォロアを用いているために、カムフォロアの外周部が回転し、摩擦を軽減することができる。それにより、X軸方向の移動から、回転するθ方向への角度の移動への変換が円滑に行われる。
【0037】
次に、この実施の形態に偏心カムフォロアを用いた理由について説明する。
図20は、偏心カムフォロアの機能を説明する図である。
偏心カムフォロアを取り付ける際には、ホルダ部185がはめ込み可能な径を持つホールを用意する。用意するホールは、外周部Uに沿った大きさとなる。図17及び図20に示すように、Uの中心点はjである。ネジ部190の外周は、Sである。また、頭部180の外周は、Tである。S及びTの中心点は、iである。この時、iとjの偏心量をeとする。SとTは同心円であるが、Uは偏心しているので、SとUの間隔及びTとUの間隔は、中心点jから見た方向、即ち、角度により異なる。外周Uに沿ったホールにカムフォロアをはめ込み、カムフォロアの頭部の六角ネジを操作することにより、点jを中心にして、点iの位置を回転させることができる。偏心量eを例えば、0.4mmとすると、中心点iの位置が360度変化することにより、カムフォロアの取り付け位置を最大0.8mm微調整することが可能である。それに伴って、iを中心点とする円Tは、やはり0.8mmの範囲内で外周部の位置が変化する。それにより、当接面との間隔の微調整が可能となる。
図21は、偏心カムフォロアの取り付けの微調整を説明する図である。
図21(a)は、調整前であり、図21(b)は、調整後である。微調整が終了し、位置が確定した時点で、六角ネジ182を用いてネジ部190をナットに係合させ、カムフォロアを固定する。この時、ネジ部の中心点はiであり、外周部Tの中心もiであるので、取り付け終了後、頭部180が回転する時に当接面との距離は、一定である。
図21(b)に示すように、調整後は、X軸からΔYだけずれた位置で当接することになるが、調整前の状態よりは、調整後の状態の方が好ましい状態となる。
【0038】
この実施の形態においては、カムフォロア8a,8b及び押し板71,72をそれぞれ段違いに配置することにより、カムフォロア8aと押し板71の当接面及びカムフォロア8bと押し板72の当接面が、同一平面となるように取り付けを行っている。更に、カムフォロア8aと押し板71の当接する点及びカムフォロア8bと押し板72の当接する点は、共に回転軸zから等しい距離に配置されている。このように、配置することにより、2つのカムフォロア8a,8bがX軸に沿って正方向に移動する場合にも、また、逆方向に移動する場合にも、同一条件で移動を制御することができる。
【0039】
図22及び図23,図24は、図3に示した平面図から2つのカムフォロア及び当接面だけを示した図である。
図22は、カムフォロアと押し板の当接面の位置の変化を示す図である。
図において、8a,8bはカムフォロアであり、Zは回転軸zを通る半径方向の平面であり、カムフォロアと押し板の当接面のある平面である。カムフォロア8bが正方向に移動し、8brの位置をとると、ZはZrの位置になる。それに伴い、カムフォロア8aも8arの位置に移動する。
カムフォロア8aもカムフォロア8bと同一のカムフォロアユニットに固定されているので、X軸上をカムフォロア8bと同じ距離だけ移動する。この時、カムフォロア8aは、当接している押し板72から離れる方向に移動するが、押し板72は、テーブル300に固定されているため、カムフォロア8bに押されて移動する押し板71と同じ角度だけ移動するので、カムフォロア8arと接触したままである。
【0040】
逆方向に移動する場合を図23を用いて説明する。
図22と同様、8a,8bはカムフォロア、Zは押し板とカムフォロアの当接面のある平面である。カムフォロア8aがモータMθの回転に伴い、8alの位置に移動すると、カムフォロア8aに当接している押し板71も、ZからZlの位置に移動する。この時、カムフォロア8aと同一のカムフォロアユニットに固定されているカムフォロア8bは、カムフォロア8aと同一距離だけ逆方向に移動し、カムフォロア8blの位置に移動する。この時、カムフォロア8b自体は、当接している押し板72から離れる方向に移動していく。だが、押し板72は、押し板71によって回転するテーブル300に固定されているので、押し板72は、カムフォロア8bに接触したまま、カムフォロア8aに押されて押し板71が移動するのと同じ距離だけ移動する。
【0041】
なお、図22,図23の場合、Zr又はZlの位置では、当接する部分がX軸上からずれることになるが、ここでは、そのずれを無視している。
【0042】
図24は、カムフォロア8aが他のカムフォロア8bよりも回転軸に近い位置に配置されている場合の動きを説明する図である。
まず、正方向に移動する場合には、カムフォロア8bが8brの位置に移動すると、カムフォロア8aも同じ距離移動するので、8arの位置となる。この時、押し板とカムフォロア8arの間に矢印Qで示す隙間があいてしまう。
また、逆にカムフォロア8aが逆方向に移動し、押し板を押していく場合には、カムフォロア8aが8arの位置になる時、カムフォロア8bは、8blの位置となるが、矢印Vで示すように、当接面がカムフォロアにかかってしまい、矛盾が生じる。実際の装置においては、カムフォロア8aに押された押し板71は、図24に示す位置まで移動しようとするが、同じテーブルに固定されている他の押し板72がカムフォロア8blを圧迫するので、カムフォロアと押し板の当接面に無理がかかる。また、押し板とテーブルとの固定面に無理がかかることになる。
以上のように、2つのカムフォロアを回転軸から異なる距離に配置することは、この位置決め装置には不適切であることが分かる。
【0043】
その原理を、図25を用いて説明する。
図25は、カムフォロアと当接面の接点の関係を説明する原理図である。
まず、X軸に回転軸zから垂線を下ろす。次に、垂線を基準に角度θ1の直線を回転軸zからX軸に下ろす。同様に、角度θ2,θ3,θ4についても行う。この時、角度θ1,θ2,θ3,θ4は、全て等しいものとする。また、X軸上の各交点の間を、それぞれ長さL1,L2,L3,L4とする。
また、X軸と平行で回転軸zにより近い直線X1を引き、直線X1上の各交点の間を長さl1,l2,l3,l4とする。
この時、図25に示すように、
l1<L1,l2<L2,l3<L3,l4<L4
となる。
この位置決め装置においては、X軸上の移動距離を制御することにより、回転角θを制御する。このことから図24に示したように、カムフォロア8aとカムフォロア8bを回転軸から異なる距離に配置すると、正方向の移動と逆方向の移動が同一の距離と角度で制御できず、不都合があることが分かる。即ち、正方向に移動するカムフォロアと逆方向に移動するカムフォロアは、同一のX軸上に配置しなければならない。
【0044】
また、図25において、
L1<L2<L3<L4
の関係が成り立っている。
図26を用いて、カムフォロア8a,8bがX軸上に離れて配置されている場合を例にとって説明する。
カムフォロア8aが点P2で押し板71と当接し、カムフォロア8bが点P4で押し板72と当接しているとする。テーブルを角度θだけ回転させるためには、カムフォロア8aは、点P2から点P1(長さL2)に移動し、カムフォロア8bは、点P4から点P3(長さL1)に移動しなければならないが、L1<L2のため、この移動は不可能である。
【0045】
更に、図26から正方向及び逆方向ともに、同一の距離の移動で回転角の制御を行うためには、当接面はともにP3でなければならないことが分かる。点P3は、円と直線(X軸)の接点である。また、点P3と円の中心z(この実施の形態では、回転軸)を通る直線は、X軸と垂直に交わる。
このことから、カムフォロア8aと押し板71の当接面とカムフォロア8bと押し板72の当接面は、点P3と回転軸zを通る同一平面上に存在しなければならないことが分かる。
【0046】
以上のように、この実施の形態においては、移動手段に固定されたカムフォロアと当接する当接面を移動させることにより、当接面と回転軸を有するテーブルを回転させ、移動手段の移動距離及び移動方向を制御することにより、回転方向及び回転角を制御できる位置決め装置について説明した。
この位置決め装置においては、カムフォロアを取り付ける座を段違いにするとともに、カムフォロアと当接する当接面を提供する押し板を段違いに配置することにより、正方向,逆方向の当接面を同一平面上に存在させている。また、その同一平面は、回転軸を通るとともに、移動手段と回転する円が接する接点を通る平面である。これにより、一点で円の回転を制御できる位置決め装置を実現している。
そのため、従来のウオームとホイールを用いた場合に生じるバックラッシュによる誤差のない位置決め装置となっている。
また、バネ鋼を固定片で円周に固定する場合には、面で接してテーブルを回転する力を伝達しているが、この位置決め装置においては、回転方向に対して点で接しているので、より精確な位置決めを行うことができる。
また、図8から図11に示すように、押し板の当接面には焼き入れをしているので、より強度のある当接面を提供でき、くるいのない装置を実現できる。
また、カムフォロアに偏心カムフォロアを用いることにより、取り付ける際の1mm以下の微調整も可能であり、精密機械にも適用できる位置決め装置となっている。
【0047】
実施の形態2.
また、他の実施の形態として、カムフォロアと押し板を片側に配置する構成をとってもよい。
図27は、この発明の他の実施の形態の原理を説明する図である。図中の符号については、前述した実施の形態及び従来例と同一であるので、説明は省略する。
図に示すように、押し板71は、プレートPθに固定されている。また、カムフォロア8aは、ボールネジ4bに取り付けられたスライドベース40に、図示しない座を用いて固定されている。
次に、動作について説明する。
モータMθの回転に伴い、ボールネジ4bは、X方向(図27においては、左右方向)に移動する。それに伴い、ボールネジ4bに固定されたスライドベース40もX方向に移動する。スライドベース40に押し板71を押し、プレートPθを回転させる。また、カムフォロア8aが図27の右方向に移動する際、押し板71から離れようとするが、プレートPθは、コイルバネ6bにより右方向に付勢されているので、押し板71は、カムフォロア8aに当接しながら、右方向に移動する。
【0048】
以上のように、この実施の形態においては、片側に移動手段を用い、片側にコイルバネを用いた位置決め装置について説明した。
【0049】
実施の形態3.
前述した実施の形態においては、カムフォロアに偏心カムフォロアを用いていたが、偏心でないカムフォロアを用いてもよい。その場合も、カムフォロアを固定する際の微調整を除いて、前述した実施の形態と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の位置決め装置の斜視図である。
【図2】この発明の位置決め装置の正面図である。
【図3】この発明の位置決め装置の平面図である。
【図4】この発明の位置決め装置の側面図である。
【図5】この発明の位置決め装置のスライドベース40の正面図である。
【図6】この発明の位置決め装置のスライドベース40の平面図である。
【図7】この発明の位置決め装置のスライドベース40の側面図である。
【図8】この発明の位置決め装置の押し板71の平面図である。
【図9】この発明の位置決め装置の押し板71の側面図である。
【図10】この発明の位置決め装置の押し板72の平面図である。
【図11】この発明の位置決め装置の押し板72の側面図である。
【図12】この発明の位置決め装置のセンサの正面図である。
【図13】この発明の位置決め装置のセンサの平面図である。
【図14】この発明の位置決め装置のセンサの側面図である。
【図15】この発明の位置決め装置のカムフォロアの斜視図である。
【図16】この発明の位置決め装置のカムフォロアの断面図である。
【図17】この発明の位置決め装置のカムフォロアの透視平面図である。
【図18】この発明の位置決め装置のカムフォロアを取り付けた状態を示す断面図である。
【図19】この発明の位置決め装置のカムフォロアの動作を説明する図である。
【図20】この発明の位置決め装置の偏心カムフォロアの機能を説明する図である。
【図21】この発明の位置決め装置の偏心カムフォロアの機能を説明する図である。
【図22】この発明の位置決め装置のカムフォロアと押し板の当接面の位置を示す図である。
【図23】この発明の位置決め装置のカムフォロアと押し板の当接面の位置を示す図である。
【図24】この発明の位置決め装置のカムフォロアと押し板の当接面の位置を示す図である。
【図25】この発明の位置決め装置のカムフォロアと当接面の接点の関係を説明する原理図である。
【図26】この発明の位置決め装置のカムフォロアと当接面の接点の関係を説明する原理図である。
【図27】この発明の位置決め装置の他の実施の形態を示す図である。
【図28】従来のXYθテーブルを示す図である。
【図29】従来のXYθテーブルを示す図である。
【図30】従来のXYθテーブルを示す図である。
【符号の説明】
1 ホイール、2 ウオーム、3,3a,3b カップリング、4,4a,4b,4c ボールネジ、5,5a,5b,5c バネ鋼、6,6a,6b,6cコイルバネ、7,7a,7c 直動クロスローラガイド、7b クロスローラベアリング、8,8a,8b カムフォロア、9 スタンド、10 固定片、13 サポートユニット、18a,18b,18c サーボユニット、40 スライドベース、42 測定片、42a 基準点、61,62 当接面、71,72押し板、90 ガイド、91 ガイド部a、92 ガイド部b、100 カムフォロアユニット、111,112 座、120a,120b,120c センサ、124 ネジ、200 ベース、300 テーブル、500 移動手段、MX,MY,Mθ モータ、PX,PY,Pθ プレート。

Claims (5)

  1. 以下の要素を有する位置決め装置
    (a)回転軸を有する基台、
    (b)上記基台の回転軸に対して回転可能に取り付けられるとともに、半径方向に沿って、第1の当接面と上記第1の当接面と同一平面上に存在する上記第1の当接面に対し逆方向を向いた第2の当接面とを有するテーブル、
    (c)上記テーブルが有する上記第1の当接面と当接する第1のカムフォロアと、上記テーブルが有する上記第2の当接面と当接する第2のカムフォロアとを有するカムフォロアユニット、
    (d)上記基台に取り付けられ、上記カムフォロアユニットを直進移動させることにより上記テーブルを上記回転軸に対して回転させる移動手段。
  2. 上記カムフォロアは、偏心カムフォロアであることを特徴とする請求項1記載の位置決め装置。
  3. 上記第1のカムフォロアが上記第1の当接面と当接する個所と第2のカムフォロアが上記第2の当接面と当接する個所とが、上記回転軸から等しい距離になるように上記第1のカムフォロアと第2のカムフォロアが、配置されていることを特徴とする請求項記載の位置決め装置。
  4. 上記カムフォロアユニットは、上記第1のカムフォロアと第2のカムフォロアをそれぞれ固定する段違いの第1の座と第2の座を備え、上記テーブルは、上記第1と第2の座に固定された第1と第2のカムフォロアに対応して上記第1の当接面と第2の当接面を提供する段違いの第1と第2の押し板を備えたことを特徴とする請求項記載の位置決め装置。
  5. 上記位置決め装置は、更に、基台をX方向に位置決めする手段とY方向に位置決めする手段を備えたことを特徴とする請求項1〜いずれかに記載の位置決め装置。
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