JP3615739B2 - 積層部品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層部品に関し、特に、アンテナと受信回路と送信回路とに接続される積層部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯端末機による通信や、電気機器間の通信などに用いるため、さらには、複数の送受信システムに対応するため、アンテナと受信回路及び送信回路との間に分波回路など電子回路を挿入することがある。この電子回路は、1また複数の電子部品で実現される。
このような電子部品の1つとして、セラミックなどからなる絶縁層を積層した多層基板内にコンデンサやインダクタ、抵抗などの回路パターンを形成した積層部品が知られている。また、このような多層基板の表面に、さらにダイオードやトランジスタなどの半導体素子や、SAWフィルタなどのフィルタ、コンデンサやインダクタ、抵抗など、各種の機能を有するチップ状の電子部品を搭載した積層部品も知られている。
このような積層部品を用いると、複数の電子部品を内蔵あるいは搭載することができるため、小型化、軽量化、低価格化、また挿入損失の低減などの特性向上を図ることができる。
【0003】
図1,図12,図13に、従来技術の一例として示す積層部品100の形態、回路図、及び内部に形成された回路パターンの一部を示す。この積層部品100は、ガラスセラミックなどのセラミックからなる絶縁層を積層してなり、内部及び表面に回路パターンを有し、上面111u、下面111d、側面111sからなる直方体形状の積層部品本体111と、その上面111uに搭載されたダイオードなどチップ状の搭載部品14とからなる。
この積層部品100で構成される電子回路は、図12に示す回路構成を有する。即ち、この積層部品100は、アンテナANTと、第1送信回路Tx1及び第1受信回路Rx1からなる第1送受信回路TaRx1と、第2送受信回路TxRx2との間に配置され、これらに接続するための端子T1〜T4及び制御端子T5を有する。またこの積層部品100は、図中破線で示す分波回路CFOと、図中一点鎖線で示すスイッチ回路SW、及び第2フィルタLP2を備えている。
【0004】
このうち、分波回路CFOは、アンテナANT側に接続する端子T1と、第1送受信回路TxRx1側(具体的にはスイッチ回路SW)に接続する端点T6と、第2送受信回路TxRx2側に接続する端子T4とを有する。この分波回路CFOは、端子T1と端点T6の間で第1送受信回路TxRx1の信号(例えば0.88〜0.96GHz)を通過させる第1ローパスフィルタLPO1と、端子T1とT4の間でこれよりも高い周波数の第2送受信回路TxRx2の信号(例えば、1.71〜2.17GHz)を通過させるハイパスフィルタHPとからなる。
【0005】
このうち、第1ローパスフィルタLPO1は、第1コンデンサCO1と第1インダクタL1とからなるLC並列回路PLCO、及びこのLC並列回路PLCOの一方の共通端Pに一端が接続し他端が接地された第2コンデンサC2から構成される。
LC並列回路PLCOの共振周波数は、例えば1.7GHzとされ、第1送信回路Tx1から送信される送信信号の周波数(0.925〜0.96GHz)の約2倍に設定されているので、この第1ローパスフィルタLPO1の周波数特性は、LC並列回路PLCOの共振周波数(例えば1.7GHz)で大きく減衰する減衰極を1つ有する特性となる(図5参照)。
このため、相対的に低い周波数である第1送受信回路TxRx1に用いる信号は、端点T6に伝わる。逆に、比較的高い周波数である第2送受信回路TxRx2の信号は端点T6に伝わらない。
【0006】
一方、ハイパスフィルタHPは、直列に接続された第3,第4コンデンサC3,C4とこれらの間に一端が接続し他端が接地する第3インダクタL3とを備える。このため、相対的に低い周波数である第1送受信回路TxRx1に用いる信号は、端子T4側に伝わらない。逆に、比較的高い周波数である第2送受信回路TxRx2の信号は端子T4に伝わる。
かくして、第1送受信回路と第2送受信回路の2つで、アンテナANTを共用して、送受信が可能となる。
【0007】
また、スイッチ回路SWは、端点T6と、第1受信回路Rx1側に接続する端子T2と、第1送信回路Tx1側(具体的には第2ローパスフィルタLP2)に接続する端点T8と、制御端子T5とを有する。
このスイッチ回路SWは、制御端子T5の電位をローレベルとした場合には、ダイオードD1,D2がオフとなる。このため、端点T6−T8間は切り離された状態となる一方、端点T6から第6インダクタL6を第10,第11,第12コンデンサC10,C11,C12で構成されるローパスフィルタを通じて端子T2に受信信号が伝わる。
これに対し、制御端子T5の電位をハイレベルとした場合には、ダイオードD1,D2がオンとなる。このため、第2ローパスフィルタLP2を介して第1送信回路Tx1から端点T8に入力された送信信号は、ダイオードD1、端点T6、第1ローパスフィルタLPO1、端子T1を通じてアンテナANTに送られる。なお、端子T2は第6コンデンサC6により高周波的に接地され、第6インダクタL6と第10,第11コンデンサC10,C11との並列共振により、送信信号が端子T2に伝わることが阻止され、端点T6と端子T2との間は切り離された状態となる。かくして、制御端子T5に印加する電圧を変化させることにより、受信と送信とを切り換えることができる。
また、第2ローパスフィルタLP2は、第1送信回路Tx1から出力される送信信号の高調波を抑圧する。
【0008】
次いで、第1ローパスフィルタLPO1を構成する各素子の回路パターン120の立体的な構造を図13に示す。アンテナANTに接続される端子T1は、導体層22に接続している。そのうちの電極部22Cとこの上層に位置してこれに対向する電極部123Cとで第1コンデンサCO1が構成されている。また、導体層22は、ビア導体26を通じて導体層24に接続し、さらにビア導体27を介して導体層123に接続している。導体層24全体で構成される線状のインダクタ部24Lと導体層123のうちのインダクタ部123Lとで、第1インダクタL1が構成されている。また、導体層123は、ビア導体28を通じて導体層25に接続している。この導体層25全体が電極部25Cとなって、この下層に位置して対向する接地層21の電極部21Cとで第2コンデンサC2を構成している。導体層123は、端点T6にも接続する。
なお、本例では、電極部123Cとインダクタ部123Lとの接続部が、LC並列回路の一方の共通端Pに相当し、ビア導体26が他方の共通端Qに相当することになる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、携帯端末機などのさらなる特性向上のため、積層部品についても、さらなる特性向上が求められている。
本発明は、かかる要請に応えるものであって、ごくわずかな回路パターンの改変によって、特性を向上させた積層部品を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
その解決手段は、アンテナと、受信回路と、送信回路とに接続される積層部品であって、第1コンデンサと第1インダクタとからなるLC並列回路であって、一方の共通端を上記受信回路側に接続し、他方の共通端を上記アンテナ側に接続するLC並列回路と、上記LC並列回路の一方の共通端に一端が接続し、他端がアース側に接続する第2コンデンサと、を有し、少なくとも上記第1コンデンサを内蔵し、積層された複数の絶縁層と、上記絶縁層の層間または表面に形成され、上記絶縁層を介して互いに対向して上記第1コンデンサを構成する第1コンデンサ電極層と、を備え、上記第1コンデンサ電極層のうち、上記一方の共通端に接続する送受信回路側第1コンデンサ電極層は、上記一方の共通端及び上記受信回路側に接続するための第1取り出し部と、上記第1取り出し部とは離れて位置し、上記送信回路側に接続するための第2取り出し部と、を含む積層部品である。
【0011】
本発明の積層部品では、第1コンデンサを形成する第1コンデンサ電極層のうち、送受信回路側第1コンデンサ電極層が、第1取り出し部とこれとは離れて位置する第2取り出し部の2つの取り出し部を備えている。
ここで、アンテナ側から受信回路側に信号を受信する場合を考える。すると、アンテナ側(LC並列回路の他方の共通端)から見ると、LC並列回路と、その先につまりその一方の共通端に、一端で接続し他端でアース側に接続する第2コンデンサと、が存在する回路に見える。このため、受信回路側とアンテナ側(LC並列回路の一方の共通端と他方の共通端)との間の周波数特性を測定すると、LC並列回路の並列共振周波数において1つの減衰極を有する低域通過特性となる。これは、前記した従来技術における第1ローパスフィルタの特性と同様である。
【0012】
しかるに、送信回路側からアンテナ側に信号を送信する場合を考える。すると、送信回路側からこの積層部品を見た場合には、信号が送受信回路側第1コンデンサ電極層を第2取り出し部から第1取り出し部まで流れた後に、LC並列回路の一方の共通端に到達し、第1インダクタ及び第2コンデンサに流れることとなる。このため、この場合の周波数特性は、上述のアンテナ側と受信回路側との間の周波数特性とは異なるものとなる。具体的には、第1コンデンサと第1インダクタによるLC並列回路の並列共振周波数において1つの減衰極(第1減衰極)が生じるほか、2つ目の減衰極(第2減衰極)が生じる。送受信回路側コンデンサ電極層内を第2取り出し部から第1取り出し部まで電流が流れるため、この部分にインダクタ成分(等価第2インダクタ)が形成されたことになるからと考えられる。
【0013】
この回路の等価回路は、以下であると考えられる。即ち、第1コンデンサと等価第2インダクタとの直列回路と、第1インダクタとを並列接続し、第1コンデンサと第1インダクタとの共通端(LC並列回路の他方の共通端に相当)がアンテナ側とする。一方、第1インダクタと等価第2インダクタとの共通端(LC並列回路の一方の共通端に相当)に第2コンデンサを接続し、直列回路をなす第1コンデンサと等価第2インダクタとの間で送信回路側に接続する回路である。
この等価回路で考察すると、第1コンデンサと、第1インダクタと等価第2インダクタとの直列回路と、の並列回路におけるLC並列共振周波数において第1の減衰極が形成されるものと考えられる。また、等価第2インダクタと第2コンデンサのLC直列共振回路の共振周波数において、第2の減衰極が形成されるものと考えられる。
【0014】
ここで、受信回路と送信回路とを比較する。一般に、受信感度を上げるには、受信回路とアンテナとの間に挿入される積層部品などの挿入損失をできるだけ抑えることが好ましい。一方、送信回路とアンテナとの間には、信号の高調波がアンテナから放射されたり他の回路への影響したりするのを抑制するため、高調波に相当する周波数域での減衰を大きくとりうる積層部品を介在させるのが好ましい。
これに対し、この積層部品では、受信の際は、アンテナ側と受信回路側との間では、減衰極が1つであり、等価第2インダクタが存在しない状態となるので、挿入損失を相対的に小さくできる。一方、送信の際、アンテナ側と送信回路側との間では、減衰極がさらに1つ増えるため、高周波領域での減衰を比較的大きくとることができる。つまり、高調波に相当する周波数域での減衰を大きくできる。
このため、受信回路及び送信回路の両者の要求を満足することができる。しかも、送受信回路側コンデンサ電極層の取り出し位置を2つにするだけで済むので、新たな素子を形成する必要が無く、積層部品のサイズを維持したまま特性を良好にすることができる。
【0015】
なお、この積層部品は、アンテナと受信回路と送信回路とに接続されるものであればよく、これらと直接接続するものに限定されない。
また、この積層部品は、その内部や表面に回路パターンが形成されたもののみならず、ダイオードその他のチップ部品を搭載していてもよい。
【0016】
さらに、上記積層部品であって、前記送受信回路側第1コンデンサ電極層は、平面方向に窪む凹部を有し、前記第1取り出し部と第2取り出し部とは、上記凹部を挟んで配置されてなる積層部品とするとよい。
【0017】
この積層部品では、送受信回路側第1コンデンサ電極層のうち、第1取り出し部と第2取り出し部とが凹部を挟んで配置されている。このため、第1取り出し部と第2取り出し部との間の経路が長くなり、この間に凹部が無い場合に比して、第1取り出し部と第2取り出し部との間に生じる等価第2インダクタのインダクタンスが大きくできる。つまり、所望の周波数に第2減衰極を形成するのに適切な大きさの等価第2インダクタを容易に得ることができる。
【0018】
さらに、上記いずれかに記載の積層部品であって、前記LC並列回路の他方の共通端と前記送受信回路側第1コンデンサ電極層の第2取り出し部との間の周波数特性において、前記送信回路で送信する信号の2倍波の周波数に相当する周波数の第1減衰極と、前記送信回路で送信する信号の3倍波の周波数に相当する周波数の第2減衰極と、を有する積層部品とするとよい。
【0019】
この積層部品では、第1コンデンサと第1インダクタとからなるLC並列回路の他方の共通端つまりアンテナ側と、送受信回路側第1コンデンサ電極層の第2取り出し部つまり送信回路側との間の周波数特性において、送信信号の2倍波に相当する周波数に第1減衰極を持つほかに、3倍波に相当する周波数にも第2減衰極を持つ。このため、第1送信回路から、信号を送信する際に、送信信号の周波数の他に発生する高調波のうち、2倍波や3倍波が、アンテナ側に伝わって放射されたり他の回路に影響するなどの不具合をより確実に抑制することができる。
【0020】
さらに、他の解決手段は、アンテナと、第1送信回路と第1受信回路を含む第1送受信回路と、上記第1送受信回路よりも高い周波数で送受信を行う1または複数の送受信回路からなる第2送受信回路と、に接続される積層部品であって、上記第1送受信回路の信号と上記第2送受信回路の信号とを周波数的に分離する分波回路を備え、上記分波回路は、第1コンデンサと第1インダクタとからなるLC並列回路であって、一方の共通端を上記第1受信回路側に接続し、他方の共通端を上記アンテナ側に接続するLC並列回路と、上記LC並列回路の一方の共通端に一端が接続し、他端がアース側に接続する第2コンデンサと、を含み少なくとも上記第1コンデンサを内蔵し、積層された複数の絶縁層と、上記絶縁層の層間または表面に形成され、上記絶縁層を介して互いに対向して上記第1コンデンサを構成する第1コンデンサ電極層と、を備え、上記第1コンデンサ電極層のうち、上記一方の共通端に接続する第1送受信回路側第1コンデンサ電極層は、上記第1インダクタ及び上記第1受信回路側に接続するための第1取り出し部と、上記第1取り出し部とは離れて位置し、上記第1送信回路側に接続するための第2取り出し部と、を含む積層部品である。
【0021】
本発明の積層部品は、第1コンデンサと第1インダクタからなるLC並列回路を含む分波回路を備える。また、第1コンデンサを形成する第1コンデンサ電極層のうち、第1送受信回路側第1コンデンサ電極層は、第1取り出し部とこれとは離れて位置する第2取り出し部の2つの取り出し部を備えている。
ここで、分波回路について、アンテナ側から第1受信回路側に信号を受信する場合を考える。すると、アンテナ側(LC並列回路の他方の共通端)から見ると、LC並列回路と、その先つまりその一方の共通端に、一端で接続し他端でアース側に接続する第2コンデンサと、が存在する回路に見える。このため、分波回路のうち、第1受信回路側とアンテナ側(LC並列回路の一方の共通端と他方の共通端)との間の周波数特性を測定すると、LC並列回路の並列共振周波数において1つの減衰極を有する低域通過特性となる。これは、前記した従来技術における第1ローパスフィルタの特性と同様である。
【0022】
しかるに、第1送信回路側からアンテナ側に信号を送信する場合を考える。すると、第1送信回路側からこの分波回路を見た場合には、信号が第1送受信回路側第1コンデンサ電極層を第2取り出し部から第1取り出し部まで流れた後に、LC並列回路の一方の共通端に到達し、第1インダクタ及び第2コンデンサに流れることとなる。このため、この場合の周波数特性は、上述のアンテナ側と第1受信回路側との間の周波数特性とは異なるものとなる。具体的には、第1コンデンサと第1インダクタによるLC並列回路の並列共振周波数において、減衰極(第1減衰極)が生じるほか、2つ目の減衰極(第2減衰極)が生じる。第1送受信回路側コンデンサ電極層を第2取り出し部から第1取り出し部まで電流が流れたため、この部分にインダクタ成分(等価第2インダクタ)が形成されたからであると考えられる。
【0023】
この回路の等価回路は、以下であると考えられる。即ち、第1コンデンサと等価第2インダクタとの直列回路と、第1インダクタとを並列接続し、第1コンデンサと第1インダクタとの共通端(LC並列回路の他方の共通端に相当)をアンテナ側とする。一方、第1インダクタと等価第2インダクタとの共通端(LC並列回路の一方の共通端に相当)に第2コンデンサを接続し、直列回路をなす第1コンデンサと第2インダクタとの間で第1送信回路側を接続する回路である。
この等価回路で考察すると、第1コンデンサと、第1インダクタと等価第2インダクタとの直列回路との並列回路におけるLC並列共振周波数で第1の減衰極が形成される。また、等価第2インダクタと第2コンデンサでLC直列共振回路が形成されて、第2の減衰極が形成されるものと考えられる。
【0024】
ここで、第1受信回路と第1送信回路とを比較する。一般に、受信感度を上げるため、第1受信回路とアンテナとの間に挿入される積層部品などの挿入損失をできるだけ抑えることが好ましい。一方、第1送信回路とアンテナの間では、信号の高調波がアンテナから放射されたり第2送受信回路など他の回路への影響するのを抑制するため、高調波に相当する周波数域での減衰を大きくとりうる積層部品を介在させるのが好ましい。
これに対し、この積層部品では、受信の際は、アンテナ側と第1受信回路側との間では、減衰極が1つであり、等価第2インダクタが存在しない状態となるので、挿入損失を相対的に小さくできる。一方、送信の際、アンテナ側と第1送信回路側との間では、減衰極がさらに1つ増えるため、高周波領域での減衰を比較的大きくとることができる。つまり、高調波に相当する周波数域での減衰を大きくできる。
このため、第1受信回路及び第1送信回路の両者の要求を満足することができる。しかも、送受信回路側コンデンサ電極層の取り出し位置を2つにするだけで済むので、新たな素子を形成する必要が無く、積層部品のサイズを維持したまま特性を良好にすることができる。
【0025】
なお、信号を周波数的に分離するとは、アンテナからの受信信号を受けた場合においては、受信信号をその周波数に応じて、第1送受信回路の第1受信回路側、あるいは第2送受信回路の受信回路側のいずれかに、分離して伝送することをいう。また、第1送受信回路の第1送信回路側から送信信号をアンテナ側に送信する場合には、第2送受信回路に送信信号が伝わらないように、また逆に、第2送受信回路の送信回路側から送信信号をアンテナ側に送信する場合には、第1送受信回路に送信信号が伝わらないようにすることをいう。
また、この積層部品は、アンテナと受信回路と送信回路とに接続されるものであればよく、これらと直接接続するものに限定されない。
また、この積層部品は、その内部や表面に回路パターンが形成されたもののみならず、ダイオードその他のチップ部品を搭載していてもよい。
【0026】
さらに、上記積層部品であって、前記第1送受信回路側第1コンデンサ電極層は、平面方向に窪む凹部を有し、前記第1取り出し部と第2取り出し部とは、上記凹部を挟んで配置されてなる積層部品とするとよい。
【0027】
この積層部品では、第1送受信回路側第1コンデンサ電極層において、第1取り出し部と第2取り出し部とが凹部を挟んで配置されている。このため、第1取り出し部と第2取り出し部との間に凹部が無い場合に比して、第1取り出し部と第2取り出し部との間に生じる等価第2インダクタのインダクタンスを大きくできる。つまり、所望の周波数に第2減衰極を形成するのに適切な大きさの等価第2インダクタンスを容易に得ることができる。
【0028】
さらに、上記いずれかに記載の積層部品であって、前記LC並列回路の他方の共通端と前記第1送受信回路側第1コンデンサ電極層の第2取り出し部との間の周波数特性において、前記第1送信回路で送信する信号の2倍波の周波数に相当する周波数の第1減衰極と、前記第1送信回路で送信する信号の3倍波の周波数に相当する周波数の第2減衰極と、を有する積層部品とするとよい。
【0029】
この積層部品では、第1送信回路から分波回路を通じてアンテナ側に送信にするのに際し、2倍波のみならず3倍波に相当する周波数にも減衰極を持つので、2倍波のみならず、3倍波のアンテナからの放射や3倍波による第2送受信回路などへの影響を抑制できる。
【0030】
さらに、上記いずれか1項に記載の積層部品であって、前記LC並列回路の他方の共通端と前記第1送受信回路側第1コンデンサ電極層の第2取り出し部との間の周波数特性において、第1減衰極と、これよりも高周波側に生じる第2減衰極を有し、前記第2送受信回路に用いる信号の周波数範囲が、上記第1減衰極と上記第2減衰極との間の周波数範囲内にある積層部品とするとよい。
【0031】
一般に、回路の周波数特性において、2つの減衰極があると、第1減衰極と第2減衰極との間の周波数領域では、第1減衰極のみがある場合に比して、減衰量が大きくとることができる。本発明の積層部品では、第2送受信回路に用いる周波数範囲が、第1減衰極と上記第2減衰極の周波数範囲内にある。このため、第1送信回路と第2送受信回路との間のアイソレーションが大きく取れ、第1送信回路から発する高調波などにより、第2送受信回路が影響を受けることを抑制できる。
【0032】
さらに上記のいずれか1項に記載の積層部品であって、前記LC並列回路の一方の共通端よりも前記第1受信回路側、及び前記第2取り出し部よりも前記第1送信回路側には、上記LC並列回路の一方の共通端を上記第1受信回路側に接続し、上記第2取り出し部をこれよりも上記第1送信回路側と切り離した状態と、上記LC並列回路の一方の共通端をこれよりも上記第1受信回路側と切り離し、上記第2取り出し部を上記第1送信回路側に接続した状態と、を切換可能としてなるスイッチ回路を備える積層部品とするとよい。
【0033】
この積層部品では、スイッチ回路を備える。このため、アンテナから受けた受信信号を第1受信回路に伝える場合に、第2取り出し部よりも第1送信回路側が切り離されているので、確実に受信信号を第1受信回路側に伝えることができる。また、第2取り出し部より第1送信回路側の構成に影響されることがないので、アンテナ側から見た場合に、第1コンデンサと第1インダクタとの並列共振回路の他の端部に第2コンデンサが接地した状態に見えるから、少ない挿入損失で受信信号を第1受信回路に伝えることができる。
【0034】
逆に、第1送信回路からアンテナに向けて信号を送信する場合に、LC並列回路の一方の共通端よりも第1受信回路側が切り離されているので、確実に送信信号をアンテナ側に伝えることができる。また、LC並列回路の一方の共通端より第1受信回路側が先が切り離されているので、これより先の第1受信回路側の構成に影響されることがない。
【0035】
なお、スイッチ回路としては、ダイオードスイッチ回路や、ガリウム−ヒ素トランジスタなど高周波トランジスタなどの高周波スイッチ部品を用いた半導体スイッチ回路などが挙げられる。
また、スイッチ回路に代えて、LC並列回路の一方の共通端よりも第1受信回路側、及び第2取り出し部よりも第1送信回路側両者の後ろに、選択性の良好なフィルタを配置しておくこともできる。
【0036】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
本発明の実施の形態を、図1〜図9を参照して説明する。本実施形態の積層部品10は、図1に示すように、前述の積層部品100と外観同形状である。即ち、この積層部品10は、ガラスセラミックなどのセラミックからなる絶縁層を積層してなり、内部及び表面に回路パターンを有し、上面11u、下面11d、側面11sからなる直方体形状の積層部品本体11と、その上面11uに搭載されたダイオードなどチップ状の搭載部品14とからなる。その側面11sには、端子T1〜T5となる側面電極12が形成されている。
【0037】
この積層部品10は、GSM(送信:0.88〜0.915GHz,受信:0.925〜0.96GHz)、DCS(送信:1.71〜1.785GHz,受信:1.805〜1.88GHz)、及びUMTS(送信:1.92〜1.98GHz,受信:2.11〜2.17GHz)の3つの移動体通信システムに対応するものである。具体的には、アンテナANTと、第1送信回路Tx1及び第1受信回路Rx1からなり、GSMに対応した第1送受信回路TxRx1と、DCS及びUMTSの2つの送受信システムにそれぞれ対応した2つの送受信回路を含む第2送受信回路TxRx2との間に配置される。積層部品10は、これらに接続する端子T1〜T4及び制御端子T5を有する。この積層部品10で構成される電子回路は、図2に示す回路構成を有する。この回路は、図中破線で示す分波回路CFと、図中一点鎖線で示すスイッチ回路SW、及び第2フィルタLP2を備えている。
【0038】
このうち、スイッチ回路SWは、2つの端点T6及びT7を有する点で、従来(図12参照)と異なるが、他は従来とほぼ同じである。即ち、端点T6,T7の他、第1受信回路Rx1側に接続する端子T2と、第1送信回路Tx1(具体的には第2ローパスフィルタLP2)に接続する端点T8と、制御端子T5とを有する。
このスイッチ回路SWでは、制御端子T5の電位をローレベルとした場合には、ダイオードD1,D2がオフとなる。このため、端点T7−T8間は切り離された状態となる一方、端点T6から第6インダクタL6を通じて端子T2に受信信号が伝わる。
逆に、制御端子T5の電位をハイレベルとした場合には、ダイオードD1,D2がオンとなる。従って、第2ローパスフィルタLP2を介して第1送信回路Tx1から端点T8に入力された送信信号は、ダイオードD1、端点T7、分波回路CFを通じてアンテナANTに送られる。なお、このとき、端子T2は第6コンデンサC6により高周波的に接地され、第6インダクタL6により、送信信号が端子T2に伝わることが阻止され、端点T6と端子T2との間は切り離された状態となる。かくして、制御端子T5に印加される電圧を変化させることにより受信と送信を切り換えることができる。
また、第2ローパスフィルタLP2も従来と同じく、第1送信回路Tx1から出力される送信信号の高調波を抑圧する。
【0039】
一方、分波回路CFは、従来の分波回路CFO(図12参照)と若干異なる。即ち、アンテナANT側に接続する端子T1と、第2送受信回路TxRx2側に接続する端子T4とを有する。そのほか、第1送受信回路TxRx1側の端点を2つに分け、スイッチ回路SWに接続する端点として、従来と同じく第1受信回路Rx1側に接続する端点T6のほか、第1送信回路Tx1側に接続する端点T7を有する。
この分波回路CFには、従来と同じく、端子T1とT4の間で第2送受信回路TxRx2の信号(例えば、1.71〜2.17GHz)を通過させるハイパスフィルタHPを備える。このハイパスフィルタHPは、直列に接続された第3,第4コンデンサC3,C4とこれらの間に一端が接続し他端が接地する第3インダクタL3とを備える。
【0040】
また、第1ローパスフィルタLP1は、第1コンデンサC1と第1インダクタL1とからなるLC並列回路PLC、及びこのLC並列回路PLCの一方の共通端Pに一端が接続し、他端が接地された第2コンデンサC2から構成される。
但し、図2に模式的に示すように、第1コンデンサC1を構成し、互いに対向する電極のうち、一方の共通端Pに近い側の電極23Cは、第1,第2取り出し部23C1,23C2の2個所から取り出される。この電極23Cは、第1取り出し部23C1を通じて、一方の共通端Pや端点T6に接続し、さらにスイッチ回路SWの第6インダクタL6の接続する。一方、第2取り出し部23C2を通じて、端点T7に接続し、さらに、スイッチ回路SWの第1ダイオードD1のカソード側に接続する。
【0041】
上述した積層部品10の回路のうち、第1ローパスフィルタLP1を構成する各素子の回路パターン20の立体的な構造を図3(a)に示す。容易に理解できるように、この構造は、既に説明した従来の回路パターン120(図13参照)と似た構造を有している。
即ち、アンテナANTに接続される端子T1は、導体層22に接続している。そのうちの電極部22Cとこの上層に位置してこれに対向する電極部23Cとで第1コンデンサC1が構成されている。また、導体層22は、ビア導体26を通じて導体層24に接続し、さらにビア導体27を介して導体層23に接続している。導体層24全体で構成される線状のインダクタ部24Lと導体層23のうちの一部からなるインダクタ部23Lとで、第1インダクタL1が構成されている。また、導体層23は、ビア導体28を通じて導体層25に接続している。この導体層25全体が電極部25Cとなって、この下層に位置して対向する接地層21の電極部21Cとで第2コンデンサC2を構成している。導体層23は、端点T6にも接続する。
なお、本例では、電極部23Cとインダクタ部23Lとの接続部が、一方の共通端Pに相当し、ビア導体26が他方の共通端Qに相当することになる。
【0042】
但し、本実施形態では、電極部23Cは、図3(b)に示すように、第1取り出し部23C1で取り出されて、従来と同じく一方の共通端Pに接続するほか、第1取り出し部23C1とは離れた位置にある第2取り出し部23C2で取り出されて端点T7に接続している。
【0043】
次いで、第1ローパスフィルタLP1の周波数特性について、以下に検討する。まず、スイッチ回路SWにおいて、制御端子T5をローレベルとし、アンテナANTからのGSMシステムの信号を第1受信回路Rx1で受信する場合について検討する。制御端子T5をローレベルとした場合には、前述したように、第1,第2ダイオードD1,D2がオフとなり、端点T7より第1ダイオードD1側は切り離される。従って、等価的に、図4に示す回路となる。
【0044】
そこで、端子T1と端点T6との間における挿入損失S21の周波数特性を測定した(アジレント社製、ネットワークアナライザE8753)。結果を図5のグラフに示す。このグラフによると、受信信号の周波数帯域(0.925〜0.96GHz)では、−0.68〜−0.62dBと減衰量を小さくできることが判る。一方、これより高周波側では、周波数1.70GHzに減衰極が発生し、周波数2.68GHzにおいても、−10.1dBの減衰量を確保できることが判る。受信信号の周波数(0.925〜0.96GHz)で、減衰量を小さくできることことから、この積層部品10の挿入損失が小さいことが判る。
なお、この周波数特性は、前述した従来の積層部品100の第1ローパスフィルタLPOの周波数特性とほぼ同様である。
【0045】
次に、スイッチ回路SWにおいて、制御端子T5をハイレベルとし、第1送信回路Tx1から、アンテナANTに向けてGSMシステムの信号を送信する場合について検討する。制御端子T5をハイレベルとした場合には、前述したように、第1,第2ダイオードD1,D2がオンとなり、端点T8と端点T7とが第1ダイオードD1を介して接続される。一方、端点T6より第1受信回路RX1側は、実質的に切り離されたことになり、送信信号は端子T2には流れない。ダイオードD2がオンして端子T2が高周波的に接地されるので、第6インダクタL6と第10,第11コンデンサC10,C11との並列共振により、端点T6側から端子T2側を見たインピーダンスが非常に大きくなるためである。
【0046】
そこで、端点T7と端子T1との間における挿入損失S21の周波数特性を同様に測定した。結果を図6のグラフに示す。このグラフによると、送信信号の周波数(0.88〜0.915GHz)では、−0.85〜−0.78dBとなり、図5のグラフより減衰量が若干大きいことが判る。しかし、これより高周波側では、同様に周波数1.70GHzに第1減衰極が発生するほか、周波数3.2GHzにも第2減衰極が発生することが判る。このため、周波数2.68GHzにおいて、図5のグラフより大きな−19.78dBの減衰量を得られる。
【0047】
このように第1減衰極のほか、第2減衰極が発生する理由を以下に考察する。第1ローパスフィルタLP1について、第1送信回路Tx1からの送信信号がアンテナ側に伝わる様子を図3を用いて考察する。端点T7からの信号は、第2取り出し部23C2から電極部23Cに入る。すると、この電極部23Cと対向する電極部22Cとで構成される第1コンデンサC1を経由して、導体層22により端子T1に伝わる。またそのほか、第1取り出し部23C1から出て、一方の共通端Pに伝わり、インダクタ部23L,24LからなるインダクタL1を経由して導体層22により端子T1に伝わる。また、ビア導体28を通じて、電極部25Cと21Cとからなり接地された第2コンデンサC2にも伝わる。
【0048】
このように、本実施形態では、電極部23Cのうち第2取り出し部23C2から第1取り出し部23C1までを信号(信号電流)が伝わるため、この電極部23Cのうちこの経路部分には、インダクタ成分が生じるものと考えられる。
【0049】
従って、制御端子T5をハイレベルとして、第1送信回路Tx1からの送信信号をアンテナ側に伝える場合には、第1ローパスフィルタLP1は、等価的に、図7に示す等価回路となるものと考えられる。ここで、第2取り出し部23C2から第1取り出し部23C1まで信号が伝わることによって生じる等価的なインダクタを等価第2インダクタL2とした。この等価回路で考えると、第1減衰極は、第1コンデンサC1と、第1インダクタL1及び等価第2インダクタL2との直列回路とのLC並列回路におけるLC並列共振により形成され、第2減衰極は、等価第2インダクタL2と第2コンデンサC2のLC直列共振回路のLC直列共振により形成されると考えられる。
【0050】
なお、図8に示す回路の各素子について適当な数値を仮定し、その周波数特性のシミュレーションを行うと、図9のグラフに示すように、2つの減衰極が現れる。このことからも、図7に示す等価回路が適切であることが裏付けられる。なお、図8に示す回路では、アンテナANTに相当する放射抵抗RAをRA=50Ω、また端点T7より第1送信回路Tx側を見た場合の特性インピーダンスRをR=50Ωとして、シミュレーションを行っている。
【0051】
図7に示すグラフについて、再び検討する。このグラフから判るように、本実施形態では、周波数2.68GHzにおいて、図5のグラフより大きな−19.78dBの減衰量を得られる。このことから、第1送信回路Tx1の送信信号の2倍波(1.7〜1.8GHz)のほか、3倍波(2.64〜2.75GHz)についても、アンテナANTや第2送受信回路TxRx2に伝わるのをさらに抑制できることが判る。
また、第2送受信回路において送受信に用いる周波数領域(1.71〜2.17GHz)が、2つの減衰極の周波数の間の周波数領域に含まれているため、第1減衰極(約1.7GHz)のみがある場合に比して、第1送信回路Tx1と第2送受信回路TxRx2とのアイソレーションを良好にできることがわかる。
【0052】
このように、本実施形態の積層部品10では、第1コンデンサC1の一方の電極を構成する電極部23Cに互いに位置が離れた2つの取り出し部23C1,23C2を設け、第1取り出し部23C1を一方の共通端Pを通じて第1受信回路Rx1側に接続する。また、第2取り出し部23C2を端点T7に、つまり第1送信回路Tx側に接続する。このため、従来と同様、積層部品10の挿入損失を小さく抑えつつ、アンテナANTからの受信信号を第1受信回路Rx1で受信することができるほか、第1送信回路Tx1からの送信信号の3倍波に相当する周波数について減衰量を大きくし、送信信号の3倍波がアンテナANTから放射されたり、第2送受信回路TxRx2に伝わって不具合を生じさせることが抑制できる。
【0053】
(変形形態)
次いで、上記実施形態の変形形態について、図10,図11を参照して説明する。本変形形態の積層部品は、第1ローパスフィルタLP1を構成する各素子の回路パターンを、上述の実施形態と若干異ならせただけであり、それによって、周波数特性を異ならせている。従って、同様な部分の説明は省略あるいは簡略化し、異なる部分について説明する。
【0054】
本変形形態の第1ローパスフィルタLP1(図2参照)を構成する回路パターン220を図10に示す。実施形態1における回路パターン20(図3参照)と比較すれば容易に理解できるように、実施形態の電極部23Cは矩形状であった。これに対して、本変形形態では、導体層223のうち電極部223Cは、その平面形状において、平面方向に窪む凹部223CDを有している。しかも、第1取り出し部223C1と第2取り出し部223C2とは、この凹部223CDを挟むように配置されている。但し、電極部223Cの面積が、上述の実施形態における電極部23Cと同じ面積となるように、凸部223CEを有している。そして、この電極部223Cと導体層22のうち対向する電極部222Cとで第1コンデンサC1を構成している。なお、電極部223Cの面積が実施形態の電極部23Cの面積と同じであることから、コンデンサC1の静電容量は実施形態と同じとすることができる。
【0055】
しかし、電極部223Cは凹部223CDを有し、第1取り出し部223C1と第2取り出し部223C2とは、この凹部223CDを挟むようにして配置されている。このため、第1送信回路Tx1からアンテナANTに向けて送信信号を送ったとき、第2取り出し部223C2から第1取り出し部223C1まで信号が流れる距離が長くなる。つまり、この部分で発生する等価第2インダクタL22のインダクタンスを、実施形態における等価第2インダクタL2のそれより大きくすることができる(図7参照)。
【0056】
そこで、本変形形態では、この等価第2インダクタL22の大きさを適切な値となるように調整したところ、端点T7と端子T1との間における挿入損失S21の周波数特性が、図11のグラフのようになった。このグラフによると、周波数1.8GHz付近に第1減衰極が発生するほか、周波数2.68GHzにも第2減衰極が発生している。第1減衰極では減衰量を約−49dBとすることができ、第2減衰極では減衰量を約−50dBとすることができた。
つまり、本変形形態では、第1送信回路Tx1の送信信号の2倍波に相当する周波数に第1減衰極を形成し、3倍波に相当する周波数に第2減衰極を形成することができた。このため、この変形形態では、第1ローパスフィルタLP1において、第1送信回路Tx1で発生する2倍波、3倍波の高調波を、極めて大きく減衰させ得ることが判る。
このため、本変形形態の積層部品を用いれば、第1送信回路Tx1からの送信信号の2倍波や3倍波が、アンテナから放射されることをさらに抑制することができる。
なお、アンテナと第1受信回路との間の特性は、実施形態と同様であった。
【0057】
以上において、本発明を実施形態及び変形形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態等に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、上記実施形態等では、積層部品10として、第1ローパスフィルタLP1を含む分波回路CFのほか、スイッチ回路SWや第2ローパスフィルタLP2なども備えるものを例示した。しかしながら、積層部品において、実施形態等の如く第1コンデンサC1、第1インダクタL1、及び第2コンデンサC2で構成された回路の構成を備えていれば良い。従って、第2ローパスフィルタLP2を除いた回路を備える積層部品、さらにスイッチ回路SWを除いた回路を備える積層部品、さらには分波回路のハイパスフィルタHPを除いた回路を備える積層部品に適用することもできる。逆に、実施形態等の如く第1コンデンサC1、第1インダクタL1、及び第2コンデンサC2で構成された回路のほかに、他の回路をも有する積層部品に適用することもできる。
例えば、ハイパスフィルタHPよりも第2送受信回路TxRx2側にスイッチ回路やフィルタ回路などを設けるようにしても良い。
【0058】
また、上述の実施形態等では、第1インダクタL1や第2コンデンサC2も積層部品本体11内に内蔵されて、回路パターン20により構成された例を示した。しかし、積層部品本体11の上面等に、これらに相当するチップインダクタやチップコンデンサを搭載することもできる。
また、上述の実施形態等では、第1コンデンサC1を構成する電極部23C,223Cを、積層部品本体11の内層に形成したが、積層部品本体11の上面11u等の表面に形成するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】積層部品の外観例を示す斜視図である。
【図2】実施形態にかかる積層部品の回路構成を示す回路図である。
【図3】実施形態にかかる積層部品に含まれる回路パターンの一部の形態を示し、(a)は立体構造を、(b)は送受信回路側第1コンデンサ電極層の平面形状を示す説明図である。
【図4】実施形態にかかる積層部品の回路構成の要部について、第1受信回路側に接続し、第1送信回路側を切り離したときの等価回路図である。
【図5】図2及び図4に示す回路図において、端子T1と端部T6との間の周波数特性を示すグラフである。
【図6】図2及び図7に示す回路図において、端部T7と端子T1との間の周波数特性を示すグラフである。
【図7】実施形態1にかかる積層部品の回路構成の要部について、第1送信回路側に接続し、第1受信回路側を切り離したときの等価回路図である。
【図8】シミュレーションに用いた回路構成を示す回路図である。
【図9】図8に示す回路図において、端部T7と端子T1との間の周波数特性を示すグラフである。
【図10】変形形態にかかる積層部品に含まれる回路パターンの一部の形態を示し、(a)は立体構造を、(b)は送受信回路側第1コンデンサ電極層の平面形状を示す説明図である。
【図11】変形形態にかかり、端部T7と端子T1との間の周波数特性を示すグラフである。
【図12】従来技術にかかる積層部品の回路構成を示す回路図である。
【図13】従来技術にかかる積層部品に含まれる回路パターンの一部の立体構造を示す説明図である。
【符号の説明】
10 積層部品
C1 第1コンデンサ
C2 第2コンデンサ,
C3,C4,C5,C6,C7,C8,C9,C10,C11,C12,C21コンデンサ
L1 第1インダクタ
L3,L4,L5,L6,L7 インダクタ
L2,L22 等価第2インダクタ
PLC LC並列回路
CF 分波回路
SW スイッチ回路
LP1,LP2 ローパスフィルタ
ANT アンテナ
Tx1 第1送信回路(送信回路)
Rx1 第1受信回路(受信回路)
TxRx1 第1送受信回路
TxRx2 第2送受信回路
T1,T2,T3,T4,T5 端子
T6,T7,T8 端点
20,220 回路パターン
23L,24L インダクタ部
21C,22C,23C,25C,222C,223C 電極部
23C,223C,22C,222C 電極部(第1コンデンサ電極層)
23C,223C 電極部(送受信回路側第1コンデンサ電極層,第1送受信回路側第1コンデンサ電極層)
23C1,223C1 第1取り出し部
23C2,223C2 第2取り出し部
23CD 凹部
P LC並列回路の一方の共通端
Q LC並列回路の他方の共通端

Claims (8)

  1. アンテナと、受信回路と、送信回路とに接続される積層部品であって、
    第1コンデンサと第1インダクタとからなるLC並列回路であって、一方の共通端を上記受信回路側に接続し、他方の共通端を上記アンテナ側に接続するLC並列回路と、
    上記LC並列回路の一方の共通端に一端が接続し、他端がアース側に接続する第2コンデンサと、を有し、
    少なくとも上記第1コンデンサを内蔵し、
    積層された複数の絶縁層と、
    上記絶縁層の層間または表面に形成され、上記絶縁層を介して互いに対向して上記第1コンデンサを構成する第1コンデンサ電極層と、を備え、
    上記第1コンデンサ電極層のうち、上記一方の共通端に接続する送受信回路側第1コンデンサ電極層は、
    上記一方の共通端及び上記受信回路側に接続するための第1取り出し部と、
    上記第1取り出し部とは離れて位置し、上記送信回路側に接続するための第2取り出し部と、
    を含む
    積層部品。
  2. 請求項1に記載の積層部品であって、
    前記送受信回路側第1コンデンサ電極層は、
    平面方向に窪む凹部を有し、
    前記第1取り出し部と第2取り出し部とは、上記凹部を挟んで配置されてなる
    積層部品。
  3. 請求項1または請求項2に記載の積層部品であって、
    前記LC並列回路の他方の共通端と前記送受信回路側第1コンデンサ電極層の第2取り出し部との間の周波数特性において、
    前記送信回路で送信する信号の2倍波の周波数に相当する周波数の第1減衰極と、
    前記送信回路で送信する信号の3倍波の周波数に相当する周波数の第2減衰極と、
    を有する積層部品。
  4. アンテナと、第1送信回路と第1受信回路を含む第1送受信回路と、上記第1送受信回路よりも高い周波数で送受信を行う1または複数の送受信回路からなる第2送受信回路と、に接続される積層部品であって、
    上記第1送受信回路の信号と上記第2送受信回路の信号とを周波数的に分離する分波回路を備え、
    上記分波回路は、
    第1コンデンサと第1インダクタとからなるLC並列回路であって、一方の共通端を上記第1受信回路側に接続し、他方の共通端を上記アンテナ側に接続するLC並列回路と、
    上記LC並列回路の一方の共通端に一端が接続し、他端がアース側に接続する第2コンデンサと、を含み、
    少なくとも上記第1コンデンサを内蔵し、
    積層された複数の絶縁層と、
    上記絶縁層の層間または表面に形成され、上記絶縁層を介して互いに対向して上記第1コンデンサを構成する第1コンデンサ電極層と、を備え、
    上記第1コンデンサ電極層のうち、上記一方の共通端に接続する第1送受信回路側第1コンデンサ電極層は、
    上記第1インダクタ及び上記第1受信回路側に接続するための第1取り出し部と、
    上記第1取り出し部とは離れて位置し、上記第1送信回路側に接続するための第2取り出し部と、
    を含む積層部品。
  5. 請求項4に記載の積層部品であって、
    前記第1送受信回路側第1コンデンサ電極層は、
    平面方向に窪む凹部を有し、
    前記第1取り出し部と第2取り出し部とは、上記凹部を挟んで配置されてなる
    積層部品。
  6. 請求項4または請求項5に記載の積層部品であって、
    前記LC並列回路の他方の共通端と前記第1送受信回路側第1コンデンサ電極層の第2取り出し部との間の周波数特性において、
    前記第1送信回路で送信する信号の2倍波の周波数に相当する周波数の第1減衰極と、
    前記第1送信回路で送信する信号の3倍波の周波数に相当する周波数の第2減衰極と、
    を有する積層部品。
  7. 請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載の積層部品であって、
    前記LC並列回路の他方の共通端と前記第1送受信回路側第1コンデンサ電極層の第2取り出し部との間の周波数特性において、
    第1減衰極とこれよりも高周波側に第2減衰極とを有し、
    前記第2送受信回路に用いる信号の周波数範囲が、上記第1減衰極と上記第2減衰極との間の周波数範囲内にある
    積層部品。
  8. 請求項4〜請求項7のいずれか1項に記載の積層部品であって、
    前記LC並列回路の一方の共通端よりも前記第1受信回路側、及び前記第2取り出し部よりも前記第1送信回路側には、
    上記LC並列回路の一方の共通端を上記第1受信回路側に接続し、上記第2取り出し部をこれよりも上記第1送信回路側と切り離した状態と、
    上記LC並列回路の一方の共通端をこれよりも上記第1受信回路側と切り離し、上記第2取り出し部を上記第1送信回路側に接続した状態と、
    を切換可能としてなるスイッチ回路を備える
    積層部品。
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