JP3615617B2 - Mri用rfコイル及びmri装置 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は磁気共鳴イメージング(MRI(Magnetic Resonance Imaging))装置に用いるMRI用RFコイル及びMRI装置に関し、特に、送受信の際にMRI用RFコイルの動作の有効/無効を切替える有効/無効切替回路を有するMRI用RFコイル並びに有効/無効切替回路を備えたMRI用RFコイルを用いたMRI装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
MRI装置は、核磁気共鳴現象を利用して被検体中の所望の検査部位における原子核スピンの密度分布,緩和時間分布等を計測して、その計測データから被検体の断面を画像表示するものである。
【0003】
均一で強力な静磁場発生装置内に置かれた被検体の原子核スピンは、静磁場の強さによって定まる周波数(ラーモア周波数)で静磁場の方向を軸として歳差運動を行う。そこで、このラーモア周波数に等しい周波数の高周波パルスを外部より照射すると、スピンが励起されて高いエネルギー状態に遷移する。
【0004】
これを核磁気共鳴現象と言う。この高周波パルスの照射を打ち切ると、スピンはそれぞれの状態に応じた時定数で元の低いエネルギー状態に戻り、この時に外部に電磁波を照射する。これをその周波数に同調した高周波受信コイル(MRI用RFコイル)で検出する。
【0005】
このとき、空間内に位置情報を付加する目的で、三軸の傾斜磁場を静磁場空間に印加する。この結果、空間内の位置情報を周波数情報として捕らえることができる。
【0006】
このようなMRI装置において、被検体に高周波回転磁場を印加するため、または被検体で発生する電磁波を受信するために用いられるMRI用RFコイルは、その中に被検体を収容し、被検体の周囲の線輪(エレメント)部分に高周波電流を流している。
【0007】
このようなMRI用RFコイルとしては、送受信兼用に使用する送受信コイル、送信のみに使用する送信専用コイル、及び受信のみに使用する受信専用コイルがある。
【0008】
この送信専用コイルの場合、送信(高周波パルスの照射)が終了した後には被検体からのラーモア周波数のパルスが送信専用コイルに吸収されないようにするために、送信専用コイルが動作しないように切替える必要がある。
【0009】
同様にして、受信専用コイルの場合、送信(高周波パルスの照射)の際には送信専用コイルからの高周波パルスを直接受信しないようにするために、受信専用コイルが動作しないように切替える必要がある。
【0010】
以上のような切替のためには、コイルのエレメント中に有効/無効切替回路を有するように構成している。
図11はこのような有効/無効切替回路としてのブロッキング回路60の詳細構成の一例を示す構成図である。尚、ここではブロッキング回路60としてダイオードDにより構成された場合を示している。
【0011】
このような回路構成において、MRI用RFコイルのエレメントが有するインダクタL0 とキャパシタC0 の容量分とで前述したラーモア周波数に同調するように調整されている。実際には、インダクタンス分はエレメントの形状等により決定されるため、これによりキャパシタC0 の容量も決定される。
【0012】
この図11の構成の受信コイル50の場合、受信コイル50の受信時には、ダイオードDにバイアス回路61より順方向のバイアス電流を流すことでダイオードDを導通状態にする。
【0013】
これにより、見掛け上はダイオードDの影響がなくなってC0 とL0 の成分だけになり、受信コイル50がラーモア周波数に同調する状態になる。
一方、送信コイル40の送信時には、ダイオードDへの順方向のバイアス電流を停止して(若しくは、逆方向のバイアスをかけて)、ダイオードDを非導通状態にする。
【0014】
これにより、見掛け上は受信コイル50のエレメントのループが切断されて、MRI用RFコイルとして動作しない状態になる。
以上のような場合、受信コイル50の受信時においてダイオードDの導通抵抗(順方向のバイアスがかけられているときの抵抗)は完全に零になっておらず、微小な抵抗値により損失が発生する。
【0015】
また、コイルとして動作しないようにするためには、ダイオードに対して大きな逆バイアス電圧をかける必要があり、ダイオードの切替制御が面倒であるという問題を有している。
【0016】
以上のような問題に鑑みて、図12のようなブロッキング回路が使用されることがある。この図12の回路では、ブロッキング同調用のインダクタL1 とダイオードDの直列接続回路をキャパシタC0 と並列に配置している。そして、ダイオードDの両端から受信信号を取り出すように構成している。
【0017】
この場合には、前述の図11の場合とは逆の状態にダイオードDの導通/非導通の状態を制御する。すなわち、送信コイル40の送信時にダイオードDを導通状態に制御してL1 とC0 とが並列共振するようにする。
【0018】
これにより、受信コイル50のエレメントが切断された状態になり、送信された高周波パルスが受信コイル50に励起されなくなる。また、この状態ではダイオードDのオンは並列共振のためだけであるので損失や発熱の問題は発生しない。
【0019】
そして、受信コイル50での受信時にはダイオードDを非導通状態にするので、受信信号に対する損失の問題も発生しない。
ところで、この受信アンプ70の雑音指数(以下、NFと呼ぶ)を最適値にするためには、MRI装置の使用時(コイル内に被検体を装着した時)に受信コイル50の給電点からみたインピーダンスが50オームになっていることが好ましい。しかし、実際にはキャパシタC0 の容量の関係で数キロΩ程度になっている場合が多い。
【0020】
そこで、図13に示すように、給電点側のキャパシタC0 を小容量のC1 と大容量のC2 とに分割し、C1 とC2 との合成容量はC0 に等しくなるように設定しておく。この回路構成を、この明細書内ではC分割型ブロッキング回路と呼ぶ。
【0021】
このようにすることで、大容量のキャパシタC2 の影響で給電点のインピーダンスを下げることが可能になり、受信アンプ70の入力インピーダンスとの整合が取れるようになり、NFを最適値にすることができるようになる。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、静磁場の強さとラーモア周波数とは比例関係にあるため、静磁場が小さい低磁場型のMRI装置では、ラーモア周波数も低下する。この場合にMRI用RFコイルの大きさが一定であればインダクタ分L0 は一定であるため、ラーモア周波数に同調させるためにキャパシタC0 の容量が大きくなる。
【0023】
従って、キャパシタC0 をC1 とC2 とに分割する場合のキャパシタC2 の容量は低磁場のMRI装置では更に大きくなる。この結果、ブロッキング回路60としてはインダクタL1 の値が小さくなり、共振時のブロッキングインピーダンスが低下することが問題となる。
【0024】
すなわち、キャパシタの容量C0 が大きくなると、並列共振回路の同調状態におけるインピーダンスZB (ZB =L/(CR),このZB を阻止インピーダンスと呼ぶ)が充分大きくならないという問題を生じる。
【0025】
これにより、送信時において受信コイル50の各部品を流れる電流が大きくなるため、各部品の熱的な負荷が大きくなる。
また、受信コイルにおける上述した問題と同様に、送信コイルにおいても同様の問題が発生しており、解決が望まれていた。
【0026】
本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、第1の目的は、切替に際して損失等の問題を生じることなく、充分な大きさの阻止インピーダンスを得ることが可能な有効/無効切替回路を備え、インピーダンス整合にも配慮されたMRI用RFコイルを実現することである。
【0027】
本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、第2の目的は、切替に際して損失等の問題を生じることなく、充分な大きさの阻止インピーダンスを得ることが可能な有効/無効切替回路を備え、インピーダンス整合にも配慮されたMRI装置を実現することである。
【0028】
【課題を解決するための手段】
本件出願の発明者は、従来のMRI用RFコイルの送受信の際の有効/無効切替回路に関する問題を改良すべく鋭意研究を行った結果、受信系のインピーダンス整合や阻止インピーダンスの両立を可能ならしめる各素子の最適な配置を新たに見い出して本発明を完成させたものである。
【0029】
すなわち、課題を解決する手段である本発明は基本的に以下の(1)〜(7)に説明するようなものである。
(1)第1の発明は、第1及び第2のコンデンサが直列接続された同調用キャパシタと、前記第1のコンデンサと並列共振回路を構成するように設けられたインダクタと、導通状態では前記第1のコンデンサと前記インダクタとで並列共振回路を構成させ、非導通状態では前記第1及び第2のコンデンサをエレメント中で直列接続させるスイッチング手段と、からなる送受信の際の有効/無効切替回路をエレメント中に備え、前記第2のコンデンサの両端から信号の入力若しくは出力を行うことを特徴とするMRI用RFコイルである。
【0030】
第1の発明であるMRI用RFコイルでは、スイッチング素子が導通状態にあるときには第1のコンデンサとインダクタとで並列共振回路を構成し、並列共振状態となって高インピーダンスになるため、MRI用RFコイルとしての動作は停止する。
【0031】
この場合、スイッチング素子は導通状態であるが、共振回路が並列共振状態となってMRI用RFコイルを流れる電流を阻止する。
また、第1のコンデンサは、給電部に要求されるインピーダンスに影響されずに容量を選択することができるため、充分な大きさの阻止インピーダンスを得るようにすることが可能になる。
【0032】
そして、スイッチング素子が非導通状態にあるときには第1のコンデンサと第2のコンデンサとの直列接続回路が同調用キャパシタとして働く。このため、合成容量が同調用のキャパシタに適した値になれば、夫々の容量は自由に選択することができる。
【0033】
従って、直列接続されたコンデンサのうち、並列共振回路を構成する第1のコンデンサを小さな値とし、給電部を構成する第2のコンデンサは受信信号を出力するのに適したインピーダンスになるような大きな値に選ぶことができる。
【0034】
このように構成することで、阻止インピーダンスを大きくすることができ、かつ、給電部のインピーダンスを適正な値に保つことが可能になる。
また、この場合にはスイッチング素子は非導通状態にあってMRI用RFコイルを流れる電流には関係ないので、スイッチング素子の損失が動作に影響することはない。
【0035】
(2)第2の発明は、第1及び第2のコンデンサが直列接続された同調用キャパシタと、第1のスイッチング手段を介して前記第1のコンデンサと並列共振回路を構成するように設けられたインダクタと、前記第1のスイッチング手段と直列接続されて前記第2のコンデンサと並列になるように配置された第2のスイッチング手段と、からなる送受信の際の有効/無効切替回路をエレメント中に備え、前記第2のコンデンサの両端から信号の入力若しくは出力を行うことを特徴とするMRI用RFコイルである。
【0036】
第2の発明であるMRI用RFコイルでは、第1のスイッチング素子が導通状態にあるときには第1のコンデンサとインダクタとで並列共振回路を構成し、並列共振状態となって高インピーダンスになるため、MRI用RFコイルとしての動作は停止する。
【0037】
この場合、第1のスイッチング素子は導通状態であるが、共振回路が並列共振状態となってMRI用RFコイルを流れる電流を阻止する。このため、第1のスイッチング素子の導通抵抗はMRI用RFコイルの損失にはならない。
【0038】
また、第1のコンデンサは、給電部に要求されるインピーダンスに影響されずに容量を選択することができるため、充分な大きさの阻止インピーダンスを得るようにすることが可能になる。また、第2のコンデンサの両端の第2のスイッチング素子が導通状態になるため、不要な信号が供給若しくは出力されることはない。
【0039】
そして、スイッチング素子が非導通状態にあるときには第1のコンデンサと第2のコンデンサとの直列接続回路が同調用キャパシタとして働く。このため、合成容量が同調用のキャパシタに適した値になれば、夫々の容量は自由に選択することができる。
【0040】
従って、直列接続されたコンデンサのうち、並列共振回路を構成する第1のコンデンサを小さな値とし、給電部を構成する第2のコンデンサは受信信号を出力するのに適したインピーダンスになるような大きな値に選ぶことができる。
【0041】
このように構成することで、阻止インピーダンスを大きくすることができ、かつ、給電部のインピーダンスを適正な値に保つことが可能になる。
また、この場合にはスイッチング素子は非導通状態にあってMRI用RFコイルを流れる電流には関係ないので、スイッチング素子の損失が動作に影響することはない。
【0042】
(3)第3の発明は、直列接続された第1のコンデンサと第2のコンデンサとから構成された同調用キャパシタと、前記第1のコンデンサ及び前記第2のコンデンサの接続点に一端が接続された第1のスイッチング手段と、一端が前記キャパシタにおける前記第1のコンデンサ側の一端に接続され、他端が前記第1のスイッチング手段の他端に接続され、高周波磁場の周波数において前記第1のコンデンサと並列共振するインダクタと、一端が前記同調用キャパシタの他端に接続され、他端が前記第1のスイッチング手段と前記インダクタとの接続点に接続され、前記第1のスイッチング手段と共にオン/オフするように配置された第2のスイッチング手段と、からなる送受信の際の有効/無効切替回路をエレメント中に備え、前記第2のコンデンサの両端から信号の入力若しくは出力を行うことを特徴とするMRI用RFコイルである。
【0043】
第3の発明であるMRI用RFコイルでは、第1のスイッチング素子が導通状態にあるときには第1のコンデンサとインダクタとで並列共振回路を構成し、並列共振状態となって高インピーダンスになるため、MRI用RFコイルとしての動作は停止する。
【0044】
この場合、第1のスイッチング素子は導通状態であるが、共振回路が並列共振状態となってMRI用RFコイルを流れる電流を阻止する。このため、第1のスイッチング素子の導通抵抗はMRI用RFコイルの損失にはならない。
【0045】
また、第1のコンデンサは、給電部に要求されるインピーダンスに影響されずに容量を選択することができるため、充分な大きさの阻止インピーダンスを得るようにすることが可能になる。また、第2のコンデンサの両端の第2のスイッチング素子が導通状態になるため、不要な信号が供給若しくは出力されることはない。
【0046】
そして、スイッチング素子が非導通状態にあるときには第1のコンデンサと第2のコンデンサとの直列接続回路が同調用キャパシタとして働く。このため、合成容量が同調用のキャパシタに適した値になれば、夫々の容量は自由に選択することができる。
【0047】
従って、直列接続されたコンデンサのうち、並列共振回路を構成する第1のコンデンサを小さな値とし、給電部を構成する第2のコンデンサは受信信号を出力するのに適したインピーダンスになるような大きな値に選ぶことができる。
【0048】
このように構成することで、阻止インピーダンスを大きくすることができ、かつ、給電部のインピーダンスを適正な値に保つことが可能になる。
また、この場合にはスイッチング素子は非導通状態にあってMRI用RFコイルを流れる電流には関係ないので、スイッチング素子の損失が動作に影響することはない。
【0049】
(4)第4の発明は、第1乃至第3のコンデンサが直列接続された同調用キャパシタと、前記第1のコンデンサと並列共振回路を構成するように設けられたインダクタと、導通状態では前記第1のコンデンサと前記インダクタとで並列共振回路を構成させ、非導通状態では前記第1乃至第3のコンデンサをエレメント中で直列接続させるスイッチング手段と、からなる送受信の際の有効/無効切替回路をエレメント中に備え、前記同調用キャパシタとして、前記第1のコンデンサと前記第2のコンデンサとの合成容量が第3のコンデンサの容量と等しくなるように構成され、前記第2のコンデンサの両端から信号の入力若しくは出力を行うことを特徴とするMRI用RFコイルである。
【0050】
第4の発明であるMRI用RFコイルでは、スイッチング素子が導通状態にあるときには第1のコンデンサとインダクタとで並列共振回路を構成し、並列共振状態となって高インピーダンスになるため、MRI用RFコイルとしての動作は停止する。
【0051】
この場合、スイッチング素子は導通状態であるが、共振回路が並列共振状態となってMRI用RFコイルを流れる電流を阻止する。
また、第1のコンデンサは、給電部に要求されるインピーダンスに影響されずに容量を選択することができるため、充分な大きさの阻止インピーダンスを得るようにすることが可能になる。
【0052】
そして、スイッチング素子が非導通状態にあるときには第1のコンデンサ〜第3のコンデンサとの直列接続回路が同調用キャパシタとして働く。このため、合成容量が同調用のキャパシタに適した値になれば、夫々の容量は自由に選択することができる。
【0053】
従って、直列接続されたコンデンサのうち、並列共振回路を構成する第1のコンデンサを小さな値とし、給電部を構成する第2のコンデンサは受信信号を出力するのに適したインピーダンスになるような大きな値に選ぶことができる。
【0054】
このように構成することで、阻止インピーダンスを大きくすることができ、かつ、給電部のインピーダンスを適正な値に保つことが可能になる。
また、この場合にはスイッチング素子は非導通状態にあってMRI用RFコイルを流れる電流には関係ないので、スイッチング素子の損失が動作に影響することはない。
【0055】
そして、第3のコンデンサC3 を設けると共に、第1のコンデンサ〜第3のコンデンサの容量を所定の関係に保つことで、コイル上で対GND電位を最小にすることができ、浮遊容量を通して被検体に流れる電流も最小に抑えられ、コイルの損失や被検体の発熱も最小限に抑えられるようになる。
【0056】
尚、以上の第3のコンデンサと並列共振回路を構成するインダクタと、この並列共振回路を動作させるスイッチング素子を設けることも可能であり、更に大きな阻止インピーダンスを実現することが可能になる。
【0057】
(5)第5の発明は、第1乃至第3のコンデンサが直列接続された同調用キャパシタと、前記第1のコンデンサと並列共振回路を構成するように設けられたインダクタと、導通状態では前記第1のコンデンサと前記インダクタとで並列共振回路を構成させ、非導通状態では前記第1乃至第3のコンデンサをエレメント中で直列接続させるスイッチング手段と、からなる送受信の際の有効/無効切替回路をエレメント中に備え、前記同調用キャパシタとして、前記第2のコンデンサと前記第3のコンデンサとの合成容量が第1のコンデンサの容量と等しくなるように構成され、前記第2のコンデンサの両端から信号の入力若しくは出力を行うことを特徴とするMRI用RFコイルである。
【0058】
第5の発明であるMRI用RFコイルでは、スイッチング素子が導通状態にあるときには第1のコンデンサとインダクタとで並列共振回路を構成し、並列共振状態となって高インピーダンスになるため、MRI用RFコイルとしての動作は停止する。
【0059】
この場合、スイッチング素子は導通状態であるが、共振回路が並列共振状態となってMRI用RFコイルを流れる電流を阻止する。
また、第1のコンデンサは、給電部に要求されるインピーダンスに影響されずに容量を選択することができるため、充分な大きさの阻止インピーダンスを得るようにすることが可能になる。
【0060】
そして、スイッチング素子が非導通状態にあるときには第1のコンデンサ〜第3のコンデンサとの直列接続回路が同調用キャパシタとして働く。このため、合成容量が同調用のキャパシタに適した値になれば、夫々の容量は自由に選択することができる。
【0061】
従って、直列接続されたコンデンサのうち、並列共振回路を構成する第1のコンデンサを小さな値とし、給電部を構成する第2のコンデンサは受信信号を出力するのに適したインピーダンスになるような大きな値に選ぶことができる。
【0062】
このように構成することで、阻止インピーダンスを大きくすることができ、かつ、給電部のインピーダンスを適正な値に保つことが可能になる。
また、この場合にはスイッチング素子は非導通状態にあってMRI用RFコイルを流れる電流には関係ないので、スイッチング素子の損失が動作に影響することはない。
【0063】
そして、第3のコンデンサC3 を設けると共に、第1のコンデンサ〜第3のコンデンサの容量を所定の関係に保つことで、コイル上で対GND電位を最小にすることができ、浮遊容量を通して被検体に流れる電流も最小に抑えられ、コイルの損失や被検体の発熱も最小限に抑えられるようになる。
【0064】
尚、以上の第3のコンデンサと並列共振回路を構成するインダクタと、この並列共振回路を動作させるスイッチング素子を設けることも可能であり、更に大きな阻止インピーダンスを実現することが可能になる。
【0065】
(6)以上の(1)〜(5)に示したMRI用RFコイルにおけるスイッチング手段はPINダイオードであることが、逆バイアス時に高周波インピーダンスが高く、順バイアス時に順方向抵抗が低く、かつ高周波的にも純抵抗となる性質から、好ましい。
【0066】
(7)第7の発明は、エレメント中に送受信の際の有効/無効を切り替える有効/無効切替回路を備えたMRI用RFコイルと、前記有効/無効切替回路の動作を切り替える切替制御回路とを備えたMRI装置であって、前記有効/無効切替回路は、並列共振回路用の第1のコンデンサ及び給電部用の第2のコンデンサが直列接続された同調用キャパシタと、前記第1のコンデンサと並列共振回路を構成するように設けられたインダクタと、導通状態では前記第1のコンデンサと前記インダクタとで並列共振回路を構成させ、非導通状態では前記第1及び第2のコンデンサをエレメント中で直列接続させるスイッチング手段と、から構成されたものであることを特徴とするMRI装置である。
【0067】
第7の発明であるMRI装置では、スイッチング素子が導通状態にあるときには第1のコンデンサとインダクタとで並列共振回路を構成し、並列共振状態となって高インピーダンスになるため、MRI用RFコイルとしての動作は停止する。
【0068】
この場合、スイッチング素子は導通状態であるが、共振回路が並列共振状態となってMRI用RFコイルを流れる電流を阻止する。
また、第1のコンデンサは、給電部に要求されるインピーダンスに影響されずに容量を選択することができるため、充分な大きさの阻止インピーダンスを得るようにすることが可能になる。
【0069】
そして、スイッチング素子が非導通状態にあるときには第1のコンデンサと第2のコンデンサとの直列接続回路が同調用キャパシタとして働く。このため、合成容量が同調用のキャパシタに適した値になれば、夫々の容量は自由に選択することができる。
【0070】
従って、直列接続されたコンデンサのうち、並列共振回路を構成する第1のコンデンサを小さな値とし、給電部を構成する第2のコンデンサは受信信号を出力するのに適したインピーダンスになるような大きな値に選ぶことができる。
【0071】
このように構成することで、阻止インピーダンスを大きくすることができ、かつ、給電部のインピーダンスを適正な値に保つことが可能になる。
また、この場合にはスイッチング素子は非導通状態にあってMRI用RFコイルを流れる電流には関係ないので、スイッチング素子の損失が動作に影響することはない。
【0072】
尚、以上のMRI用RFコイルにおけるスイッチング手段はPINダイオードであることが、逆バイアス時に高周波インピーダンスが高く、順バイアス時に順方向抵抗が低く、かつ高周波的にも純抵抗となる性質から、好ましい。
【0073】
また、直列接続されたコンデンサとして、上述の(4)及び(5)のように、第1〜第3のコンデンサを用いることも可能であり、MRI装置として良好な結果が得られる。
【0074】
(8)以上の(1)〜(6)のMRI用RFコイル及び(7)のMRI装置に使用するMRI用RFコイルは、送信コイル,受信コイル,送受信コイルで送信のみを行う場合,送受信コイルで受信のみを行う場合のそれぞれの場合において使用することができる。
【0075】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の発明の実施の形態例を詳細に説明する。図1は本発明のMRI用RFコイルとしての受信コイル並びにMRI装置の原理的構成を示す構成図である。
【0076】
<実施の形態例▲1▼>
ここでは、受信コイルに有効/無効切替回路としてのブロッキング回路を備えたMRI用RFコイル、並びにこのようなMRI用RFコイルを用いたMRI装置の構成を例にして説明を行う。尚、既に説明したものと同一物については同一番号を付してある。
【0077】
この図1において、インダクタL0 は受信コイル50のエレメントにより生じるインダクタを等価的に表したもの、C0 は前記インダクタL0 と共振回路を構成してラーモア周波数に同調するための容量を有するキャパシタである。
【0078】
ブロッキング回路62は受信コイル50の動作の有効/無効切替を行うと共に受信信号を出力する給電部を兼ね備えたものである。そして、スイッチング制御手段(切替制御回路)としてのバイアス回路61がバイアスを供給することで有効/無効切替を実現している。
【0079】
ブロッキング回路62からの受信信号を受信アンプ70で増幅した後に受信回路で各種受信処理を実行する。
尚、このブロッキング回路62は直列接続された第1のコンデンサC1 ′と第2のコンデンサC2 ′とから構成された同調用キャパシタ(合成容量C0 )を備えている。そして、第2のコンデンサC2 ′の両端から受信信号を取り出すように接続されている。
【0080】
また、第1のコンデンサC1 ′及び前記第2のコンデンサC2 ′の接続点に一端が接続された第1のスイッチング手段としてのダイオードD1と、一端が第1のコンデンサC1 ′のエレメント側の一端に接続され、他端がダイオードD1の他端に接続され、ラーモア周波数において第1のコンデンサC1 ′と並列共振するインダクタL1 ′を有している。
【0081】
また、一端が第1のコンデンサC2 ′のエレメント側に接続され、他端がダイオードD1とインダクタL1 ′との接続点に接続され、ダイオードD1と共にオン/オフするように配置された第2のスイッチング手段としてのダイオードD2を備えている。
【0082】
そして、バイアス回路61からのバイアス電流若しくはバイアス電圧によりダイオードD1及びダイオードD2の導通/非導通が制御されるように構成されている。
【0083】
すなわちバイアス回路61がスイッチング手段の両端に接続されており、このバイアス回路61はCPU10からの送受信のタイミングについての指示を受けている。
【0084】
そして、このバイアス回路61はMRI装置の送受信に合わせてスイッチング手段を構成するダイオードD1及びダイオードD2の導通/非導通を制御するものである。
【0085】
ここでは、逆バイアス時に高周波インピーダンスが高く、順バイアス時に順方向抵抗が低く、かつ高周波的にも純抵抗となる性質から、PINダイオードを用いることが望ましい。
【0086】
尚、第1のスイッチング手段及び第2のスイッチング手段に関しては、ここに示したダイオードD1及びダイオードD2以外にも各種の構成を用いることが可能である。
【0087】
例えば、トランジスタ,FET,サイリスタなどの半導体スイッチの他、各種スイッチを用いることが可能である。また、バイアス回路61も各種スイッチング手段に適した状態で導通/非導通を制御可能な各種の回路(トリガパルス発生回路等)を用いることができる。
【0088】
また、ここでは、第1のスイッチング手段と第2のスイッチング手段とを共通のバイアス電流で制御するような構成にしているが、第1のスイッチング手段と第2のスイッチング手段とを個別にスイッチング制御する構成でも構わない。
【0089】
このような回路構成において、第1のコンデンサC1 ′は、インダクタL1 ′と並列共振回路を構成した場合に充分な阻止インピーダンスを有することができるように、小さな値に設定することが好ましい。
【0090】
また、給電部を構成する第2のコンデンサC2 ′については、受信信号を出力するのに適したインピーダンスになるように、大きな値に選ぶことが好ましい。
<送信時>
図2は図1に示した受信コイル50において、バイアス回路61からの順バイアスによりダイオードD1及びダイオードD2が導通状態にある場合(送信時)の等価回路を示す回路図である。
【0091】
この場合には、ダイオードD1の導通によって、第1のコンデンサC1 ′とインダクタL1 ′とで並列共振回路を構成している。従って、この並列共振回路が共振状態となって受信コイル50を流れる電流を阻止する。
【0092】
これにより、送信時に受信コイル50が無効状態になる。この場合、第1のコンデンサC1 ′は、給電部に要求されるインピーダンスに影響されずに容量を選択することができるため、充分な大きさの阻止インピーダンスを得るようにすることが可能である。
【0093】
尚、この状態では受信コイル50は動作していない状態であるので、スイッチング素子を構成するダイオードD1及びD2の導通抵抗は受信コイル50の損失にはならない。
【0094】
そして、受信時にスイッチング素子が非導通状態にあるときには第1のコンデンサと第2のコンデンサとの直列接続回路が同調用キャパシタとして働く。このため、合成容量が同調用のキャパシタに適した値になれば、夫々の容量は自由に選択することができる。
【0095】
従って、直列接続されたコンデンサのうち、並列共振回路を構成する第1のコンデンサを小さな値とし、給電部を構成する第2のコンデンサは受信信号を出力するのに適したインピーダンスになるような大きな値に選ぶことができる。
【0096】
このように構成することで、阻止インピーダンスを大きくすることができ、かつ、給電部のインピーダンスを適正な値に保つことが可能になる。
また、第2のコンデンサC2 ′はダイオードD1及びD2により短絡されている。従って、上述した並列共振回路によるエレメントの切断に加え、受信アンプ70の入力が短絡状態になるため、送信時に誘導される大きな電圧が受信系にかかることを防ぐことができる。
【0097】
<受信時>
図3は図1に示した受信コイル50において、バイアス回路61からの逆バイアスによりダイオードD1及びダイオードD2が非導通状態にある場合(受信動作時)の等価回路を示す回路図である。
【0098】
この場合には、ダイオードD1及びD2の非導通によって、第1のコンデンサC1 ′と第2のコンデンサC2 ′とで直列回路を構成している。従って、この直列回路の合成キャパシタがインダクタL0 と共にラーモア周波数で共振状態となって受信動作を行う。これにより、受信時に受信コイル50が有効状態になる。
【0099】
尚、第1のコンデンサC1 ′と第2のコンデンサC2 ′とは直列接続であるため、合成容量は上述したような小さな容量の第1のコンデンサC1 ′の小さな値に近づく。
【0100】
このため、第2のコンデンサC2 ′は、給電部に要求されるインピーダンスを適切な値(例えば、50Ω)にするための大きな容量を選択することが可能になる。
【0101】
また、この状態では受信コイル50は動作状態であるが、スイッチング素子を構成するダイオードD1及びD2は非導通状態であり、スイッチング素子の導通抵抗が受信の際の損失になることはない。
【0102】
また、この場合にはスイッチング素子は非導通状態にあってMRI用RFコイルを流れる電流には関係ないので、スイッチング素子の損失が動作に影響することはない。
【0103】
<実施の形態例▲1▼により得られる効果>
以上詳細に説明したように、上述の実施の形態例によれば、以下のような効果が得られる。
【0104】
▲1▼直列接続されたコンデンサの合成容量が同調用のキャパシタに適した値になれば、第1のコンデンサC1 ′と第2のコンデンサC2 ′の夫々の容量は自由に選択することができる。
【0105】
従って、ブロッキング回路としての並列共振回路を構成する第1のコンデンサを小さな値とし、給電部を構成する第2のコンデンサC2 ′は受信信号を出力するのに適したインピーダンスになるような大きな値に選ぶことができる。
【0106】
このように構成することで、阻止インピーダンスを大きくすることができ、かつ、給電部のインピーダンスを低い値に保つといった、従来は不可能であった2つのことを両立することが可能になる。
【0107】
すなわち、この状態を図4により説明すると、図13に示した従来のC分割型と比較すると、出力インピーダンスZc を低インピーダンス(50Ω等)にできる点では同じであるものの、ブロッキング回路を小容量のC1 ′で構成できて充分な阻止インピーダンスZB ′が得られる点で大きな効果が得られる。
【0108】
▲2▼受信コイル50の無効時にダイオードD1及びD2が導通状態になり、受信コイル50の有効時にダイオードD1及びD2が非導通状態になるため、ダイオードD1及びD2は受信時にMRI用RFコイルを流れる電流(受信信号)には関係なくなる。従って、ダイオードD1及びD2の導通抵抗は受信コイル50の動作に影響しない。
【0109】
従って、切替に際して損失等の問題を生じることなく、充分な大きさの阻止インピーダンスを得ることが可能な有効/無効切替回路を備え、受信系とのインピーダンス整合にも配慮されたMRI用RFコイルを実現できる。
【0110】
また、切替に際して損失等の問題を生じることなく、充分な大きさの阻止インピーダンスを得ることが可能な有効/無効切替回路を備え、受信系とのインピーダンス整合にも配慮されたMRI装置を実現できる。
【0111】
<実施の形態例▲2▼>
以上の実施の形態例▲1▼では受信コイルでの送受信の切替の際の有効/無効切替を例にして説明してきたが、以下のものにも使用することが可能である。
【0112】
▲1▼送信コイルにおける送受信の切替の際の有効/無効切替:
この場合には図5に示すように、送信の際に有効/無効切替回路としてのブロッキング回路64をバイアス回路63により有効状態(ダイオードD1及びD2は非導通)になるように制御し、また、受信の際にブロッキング回路64を無効状態(ダイオードD1及びD2は導通)になるように制御する。
【0113】
このようにすることで、例えば50Ωのインピーダンスの送信回路(パワーアンプ30)と送信コイル40とのインピーダンスマッチングをとることができ、送信電力を有効に用いることができる。
【0114】
また、これと同時に、受信時には十分高い阻止インピーダンスを得ることが可能になり、微弱な受信信号が送信コイル40側に励起されることがなくなる。更に、受信時には給電部のコンデンサC2 ′と並列なダイオードD2が導通しているので、送信系から不要な高周波が輻射されることを確実に防止できる。
【0115】
▲2▼また、送受信コイルで送信か受信かの一方を行う場合にも同じ様な動作が可能であり、インピーダンスマッチングと阻止インピーダンスとの両立を図ることが可能になる。
【0116】
この場合、送受信コイルを受信コイルとして使用する場合には上述の受信専用のMRI用RFコイルと同じ動作を行えば良い。また、送受信コイルを送信コイルとしてい使用する場合には上述の送信専用のMRI用RFコイルと同じ動作を行えば良い。
【0117】
<実施の形態例▲3▼>
図6は実施の形態例▲3▼として、有効/無効切替回路を備えたMRI装置の全体構成を示す構成図である。ここでは、受信コイルに有効/無効切替回路としてのブロッキング回路を備えた構成を例にして説明を行う。
【0118】
CPU10はMRI装置全体の動作を統括的に制御するものであり、送受信の制御や有効/無効切替の制御を行う。送信回路20はMRIに必要な高周波パルスを生成し、この高周波パルスをパワーアンプ30で増幅して送信コイル40に供給する。
【0119】
受信の際には、受信コイル50で検出された信号を受信アンプ70で増幅した後に受信回路80で各種受信処理を実行する。そして、その受信処理結果をCPU10がディスプレイ90に画像表示する。
【0120】
尚、受信専用コイル50で送信中の高周波パルスを受信しないように、ブロッキング回路62が設けられている。このブロッキング回路62はCPU10で制御されるバイアス回路61により、有効/無効切替が行われる。
【0121】
すなわち、受信コイル50のエレメント中にはループを電気的に切断することで受信コイル50の動作を停止させるためにブロッキング回路62が配置されている。
【0122】
尚、ここでは、受信コイル50で有効/無効切替を行うMRI装置を示したが、送受信コイルや送信コイルにおいても同様な有効/無効切替を行うことが可能である。
【0123】
<実施の形態例▲4▼>
図7は本発明の実施の形態例▲4▼としてのMRI用RFコイル(受信コイル)並びにMRI装置の原理的構成を示す構成図である。
【0124】
ここでは、受信コイルに有効/無効切替回路としてのブロッキング回路を備えたMRI用RFコイル、並びにこのようなMRI用RFコイルを用いたMRI装置の構成を例にして説明を行う。尚、既に説明したものと同一物については同一番号を付してある。
【0125】
この図7に示したものでは、このブロッキング回路62は直列接続された第1のコンデンサC1 ′,第2のコンデンサC2 ′及び第3のコンデンサC3 とから構成された同調用キャパシタ(合成容量C0 )を備えている。そして、第2のコンデンサC2 ′の両端から受信信号を取り出すように接続されている。
【0126】
すなわち、前述の実施の形態例▲1▼(図1)のものに、第3のコンデンサC3 を付加したことを特徴としている。従って、インダクタL1 ′やダイオードD1,D2に関しては同等な構成となっている。
【0127】
このような回路構成において、第1のコンデンサC1 ′は、インダクタL1 ′と並列共振回路を構成した場合に充分な阻止インピーダンスを有することができるように、小さな値に設定することが好ましい。また、給電部を構成する第2のコンデンサC2 ′については、受信信号を出力するのに適したインピーダンスになるように、大きな値に選ぶことが好ましい。
【0128】
尚、第1のコンデンサC1 ′,第2のコンデンサC2 ′及び第3のコンデンサC3 の夫々の容量の比率については、以下に説明する条件を満たすように設定しておくことが好ましい。
【0129】
コイル上で対GND電位の高い部分が存在していると、被検体(略GND電位と考えられる)との浮遊容量を通してコイル〜被検体に電流が流れることになる。この電流がコイルの損失となったり、また、被検体の発熱の原因になる。そこで、コイル上で対GND電位ができるだけ低くなるようにすることが、電流を最低限に抑える上で好ましい。
【0130】
以上の実施の形態例で示したように、給電部付近とその対向する位置付近との2ヶ所に容量が集中しているような構成の場合、対GND電位を最小にするには、▲1▼2ヶ所の容量を等しくする、▲2▼1ヶ所のコンデンサの両端の電位が大きさが等しく符号が逆になるようにする、の2点を実現すれば良い。
【0131】
このような関係を満たすために、第3のコンデンサC3 を給電部の第2のコンデンサC2 ′の隣(第1のコンデンサC1 ′の反対側)に設け、以下の(1) 及び(2) 式を満たすようにする。
C3 =2C0 …(1)
1/((1/C1 ′)+(1/C2 ′))=2C0 …(2)
尚、以上の式は第2のコンデンサC2 ′と第3のコンデンサC3 との接続点に給電する同軸ケーブルの外被側(GND電位)が接続されている場合である。同軸ケーブルの外被側(GND)が、第1のコンデンサC1 ′と第2のコンデンサC2 ′との接続点に接続されている場合には、以下の(1) ′及び(2) ′式を満たすようにする。
C1 =2C0 …(1) ′
1/((1/C2 ′)+(1/C3 ))=2C0 …(2) ′
これにより、上記▲1▼及び▲2▼の条件が満たされ、対GND電位が最小に抑えられるようになる。従って、浮遊容量を通して被検体に流れる電流も最小に抑えられ、コイルの損失や被検体の発熱も最小限に抑えられるようになる。
【0132】
尚、上記(2) 式を満たす範囲であれば、C1 ′とC2 ′との容量の比は自由に選択することが可能であるため、上述した阻止インピーダンスや送受信回路とのマッチングに適した値を選択することが可能である。
【0133】
<送信時>
図8は図7に示した受信コイル50において、バイアス回路61からの順バイアスによりダイオードD1及びダイオードD2が導通状態にある場合(送信時)の等価回路を示す回路図である。
【0134】
この場合には、ダイオードD1の導通によって、第1のコンデンサC1 ′とインダクタL1 ′とで並列共振回路を構成している。従って、この並列共振回路が共振状態となって受信コイル50を流れる電流を阻止する。
【0135】
これにより、送信時に受信コイル50が無効状態になる。この場合、第1のコンデンサC1 ′は、給電部に要求されるインピーダンスに影響されずに容量を選択することができるため、充分な大きさの阻止インピーダンスを得るようにすることが可能である。
【0136】
尚、この状態では受信コイル50は動作していない状態であるので、スイッチング素子を構成するダイオードD1及びD2の導通抵抗は受信コイル50の損失にはならない。
【0137】
そして、受信時にスイッチング素子が非導通状態にあるときには第1のコンデンサ〜第3のコンデンサとの直列接続回路が同調用キャパシタとして働く。このため、合成容量が同調用のキャパシタに適した値になれば、夫々の容量は自由に選択することができる。
【0138】
従って、直列接続されたコンデンサのうち、並列共振回路を構成する第1のコンデンサを小さな値とし、給電部を構成する第2のコンデンサは受信信号を出力するのに適したイ
ンピーダンスになるような大きな値に選ぶことができる。
【0139】
このように構成することで、阻止インピーダンスを大きくすることができ、かつ、給電部のインピーダンスを適正な値に保つことが可能になる。
また、第2のコンデンサC2 ′はダイオードD1及びD2により短絡されている。従って、上述した並列共振回路によるエレメントの切断に加え、受信アンプ70の入力が短絡状態になるため、送信時に誘導される大きな電圧が受信系にかかることを防ぐことができる。
【0140】
<受信時>
図9は図7に示した受信コイル50において、バイアス回路61からの逆バイアスによりダイオードD1及びダイオードD2が非導通状態にある場合(受信動作時)の等価回路を示す回路図である。
【0141】
この場合には、ダイオードD1及びD2の非導通によって、第1のコンデンサC1 ′〜第3のコンデンサC3 で直列回路を構成している。従って、この直列回路の合成キャパシタがインダクタL0 と共にラーモア周波数で共振状態となって受信動作を行う。これにより、受信時に受信コイル50が有効状態になる。
【0142】
尚、第1のコンデンサC1 ′と第2のコンデンサC2 ′とは直列接続であるため、合成容量は上述したような小さな容量の第1のコンデンサC1 ′の小さな値に近づく。
【0143】
このため、第2のコンデンサC2 ′は、給電部に要求されるインピーダンスを適切な値(例えば、50Ω)にするための大きな容量を選択することが可能になる。
【0144】
また、この状態では受信コイル50は動作状態であるが、スイッチング素子を構成するダイオードD1及びD2は非導通状態であり、スイッチング素子の導通抵抗が受信の際の損失になることはない。
【0145】
また、この場合にはスイッチング素子は非導通状態にあってMRI用RFコイルを流れる電流には関係ないので、スイッチング素子の損失が動作に影響することはない。
【0146】
<実施の形態例▲4▼により得られる効果>
以上詳細に説明したように、上述の実施の形態例▲4▼によれば、以下のような効果が得られる。
【0147】
▲1▼直列接続されたコンデンサの合成容量が同調用のキャパシタに適した値になれば、第1のコンデンサC1 ′と第2のコンデンサC2 ′の夫々の容量は自由に選択することができる。
【0148】
従って、ブロッキング回路としての並列共振回路を構成する第1のコンデンサを小さな値とし、給電部を構成する第2のコンデンサC2 ′は受信信号を出力するのに適したインピーダンスになるような大きな値に選ぶことができる。
【0149】
このように構成することで、図4で説明したように、阻止インピーダンスを大きくすることができ、かつ、給電部のインピーダンスを低い値に保つといった、従来は不可能であった2つのことを両立することが可能になる。
【0150】
▲2▼受信コイル50の無効時にダイオードD1及びD2が導通状態になり、受信コイル50の有効時にダイオードD1及びD2が非導通状態になるため、ダイオードD1及びD2は受信時にMRI用RFコイルを流れる電流(受信信号)には関係なくなる。従って、ダイオードD1及びD2の導通抵抗は受信コイル50の動作に影響しない。
【0151】
従って、切替に際して損失等の問題を生じることなく、充分な大きさの阻止インピーダンスを得ることが可能な有効/無効切替回路を備え、受信系とのインピーダンス整合にも配慮されたMRI用RFコイルを実現できる。
【0152】
また、切替に際して損失等の問題を生じることなく、充分な大きさの阻止インピーダンスを得ることが可能な有効/無効切替回路を備え、受信系とのインピーダンス整合にも配慮されたMRI装置を実現できる。
【0153】
▲3▼第3のコンデンサC3 を設けると共に、第1のコンデンサ〜第3のコンデンサの容量を所定の関係に保つことで、コイル上で対GND電位を最小にすることができる。従って、浮遊容量を通して被検体に流れる電流も最小に抑えられ、コイルの損失や被検体の発熱も最小限に抑えられるようになる。
【0154】
<実施の形態例▲5▼>
以上の実施の形態例▲4▼における第3のコンデンサC3 と並列共振回路を構成するインダクタL3 ′を設け、第3のスイッチング手段としてD3 を設けることで、第2の並列共振回路を構成することも可能である。この様子を図10に示す。
【0155】
この図10のように構成することで、2つの並列共振回路(L1 ′−C1 ′,L3 ′−C3 )により更に大きな阻止インピーダンスを得ることができるという利点がある。また、スイッチング素子に逆バイアスが加わっている場合には、前述の図9と同様な等価回路になり、実施の形態例▲4▼と同じ動作をする。
【0156】
<実施の形態例▲6▼>
また、以上の実施の形態例▲4▼及び▲5▼では受信コイルでの送受信の切替の際の有効/無効切替を例にして説明してきたが、以下のものにも使用することが可能である。
【0157】
▲1▼送信コイルにおける送受信の切替の際の有効/無効切替:
▲2▼送受信コイルで送信か受信かの一方を行う場合の有効/無効切替:
以上の2つの場合にも同じ様な動作が可能であり、インピーダンスマッチングと阻止インピーダンスとの両立を図ることが可能になる。
【0158】
【発明の効果】
以上詳細に説明した発明によれば以下のような効果が得られる。
(1)第1の発明のMRI用RFコイルでは、第1及び第2のコンデンサが直列接続された同調用キャパシタと、前記第1のコンデンサと並列共振回路を構成するように設けられたインダクタと、導通状態では前記第1のコンデンサと前記インダクタとで並列共振回路を構成させ、非導通状態では前記第1及び第2のコンデンサをエレメント中で直列接続させるスイッチング手段と、からなる送受信の際の有効/無効切替回路をエレメント中に備え、前記第2のコンデンサの両端から信号の入力若しくは出力を行うように構成した。
【0159】
このため、スイッチング素子が導通状態にあるときには第1のコンデンサとインダクタとで並列共振回路を構成し、並列共振状態となって高インピーダンスになるため、MRI用RFコイルとしての動作は停止する。
【0160】
この場合、スイッチング素子は導通状態であるが、共振回路が並列共振状態となってMRI用RFコイルを流れる電流を阻止する。
また、第1のコンデンサは、給電部に要求されるインピーダンスに影響されずに容量を選択することができるため、充分な大きさの阻止インピーダンスを得るようにすることが可能になる。
【0161】
そして、スイッチング素子が非導通状態にあるときには第1のコンデンサと第2のコンデンサとの直列接続回路が同調用キャパシタとして働く。このため、合成容量が同調用のキャパシタに適した値になれば、夫々の容量は自由に選択することができる。
【0162】
従って、直列接続されたコンデンサのうち、並列共振回路を構成する第1のコンデンサを小さな値とし、給電部を構成する第2のコンデンサは受信信号を出力するのに適したインピーダンスになるような大きな値に選ぶことができる。
【0163】
このように構成することで、阻止インピーダンスを大きくすることができ、かつ、給電部のインピーダンスを適正な値に保つことが可能になる。
(2)第2の発明のMRI用RFコイルでは、第1及び第2のコンデンサが直列接続された同調用キャパシタと、第1のスイッチング手段を介して前記第1のコンデンサと並列共振回路を構成するように設けられたインダクタと、前記第1のスイッチング手段と直列接続されて前記第2のコンデンサと並列になるように配置された第2のスイッチング手段と、からなる送受信の際の有効/無効切替回路をエレメント中に備え、前記第2のコンデンサの両端から信号の入力若しくは出力を行うように構成した。
【0164】
このため、第1のスイッチング素子が導通状態にあるときには第1のコンデンサとインダクタとで並列共振回路を構成し、並列共振状態となって高インピーダンスになるため、MRI用RFコイルとしての動作は停止する。
【0165】
この場合、第1のスイッチング素子は導通状態であるが、共振回路が並列共振状態となってMRI用RFコイルを流れる電流を阻止する。このため、第1のスイッチング素子の導通抵抗はMRI用RFコイルの損失にはならない。
【0166】
また、第1のコンデンサは、給電部に要求されるインピーダンスに影響されずに容量を選択することができるため、充分な大きさの阻止インピーダンスを得るようにすることが可能になる。また、第2のコンデンサの両端の第2のスイッチング素子が導通状態になるため、不要な信号が供給若しくは出力されることはない。
【0167】
そして、スイッチング素子が非導通状態にあるときには第1のコンデンサと第2のコンデンサとの直列接続回路が同調用キャパシタとして働く。このため、合成容量が同調用のキャパシタに適した値になれば、夫々の容量は自由に選択することができる。
【0168】
従って、直列接続されたコンデンサのうち、並列共振回路を構成する第1のコンデンサを小さな値とし、給電部を構成する第2のコンデンサは受信信号を出力するのに適したインピーダンスになるような大きな値に選ぶことができる。
【0169】
このように構成することで、阻止インピーダンスを大きくすることができ、かつ、給電部のインピーダンスを適正な値に保つことが可能になる。
(3)第3の発明のMRI用RFコイルは、直列接続された第1のコンデンサと第2のコンデンサとから構成された同調用キャパシタと、前記第1のコンデンサ及び前記第2のコンデンサの接続点に一端が接続された第1のスイッチング手段と、一端が前記キャパシタにおける前記第1のコンデンサ側の一端に接続され、他端が前記第1のスイッチング手段の他端に接続され、高周波磁場の周波数において前記第1のコンデンサと並列共振するインダクタと、一端が前記同調用キャパシタの他端に接続され、他端が前記第1のスイッチング手段と前記インダクタとの接続点に接続され、前記第1のスイッチング手段と共にオン/オフするように配置された第2のスイッチング手段と、からなる送受信の際の有効/無効切替回路をエレメント中に備え、前記第2のコンデンサの両端から信号の入力若しくは出力を行うように構成した。
【0170】
このため、第1のスイッチング素子が導通状態にあるときには第1のコンデンサとインダクタとで並列共振回路を構成し、並列共振状態となって高インピーダンスになるため、MRI用RFコイルとしての動作は停止する。
【0171】
この場合、第1のスイッチング素子は導通状態であるが、共振回路が並列共振状態となってMRI用RFコイルを流れる電流を阻止する。このため、第1のスイッチング素子の導通抵抗はMRI用RFコイルの損失にはならない。
【0172】
また、第1のコンデンサは、給電部に要求されるインピーダンスに影響されずに容量を選択することができるため、充分な大きさの阻止インピーダンスを得るようにすることが可能になる。また、第2のコンデンサの両端の第2のスイッチング素子が導通状態になるため、不要な信号が供給若しくは出力されることはない。
【0173】
そして、スイッチング素子が非導通状態にあるときには第1のコンデンサと第2のコンデンサとの直列接続回路が同調用キャパシタとして働く。このため、合成容量が同調用のキャパシタに適した値になれば、夫々の容量は自由に選択することができる。
【0174】
従って、直列接続されたコンデンサのうち、並列共振回路を構成する第1のコンデンサを小さな値とし、給電部を構成する第2のコンデンサは受信信号を出力するのに適したインピーダンスになるような大きな値に選ぶことができる。
【0175】
このように構成することで、阻止インピーダンスを大きくすることができ、かつ、給電部のインピーダンスを適正な値に保つことが可能になる。
(4)第4の発明のMRI用RFコイルでは、第1乃至第3のコンデンサが直列接続された同調用キャパシタと、前記第1のコンデンサと並列共振回路を構成するように設けられたインダクタと、導通状態では前記第1のコンデンサと前記インダクタとで並列共振回路を構成させ、非導通状態では前記第1乃至第3のコンデンサをエレメント中で直列接続させるスイッチング手段と、からなる送受信の際の有効/無効切替回路をエレメント中に備え、前記同調用キャパシタとして、前記第1のコンデンサと前記第2のコンデンサとの合成容量が第3のコンデンサの容量と等しくなるように構成され、前記第2のコンデンサの両端から信号の入力若しくは出力を行うように構成した。
【0176】
このため、スイッチング素子が導通状態にあるときには第1のコンデンサとインダクタとで並列共振回路を構成し、並列共振状態となって高インピーダンスになるため、MRI用RFコイルとしての動作は停止する。
【0177】
この場合、スイッチング素子は導通状態であるが、共振回路が並列共振状態となってMRI用RFコイルを流れる電流を阻止する。
また、第1のコンデンサは、給電部に要求されるインピーダンスに影響されずに容量を選択することができるため、充分な大きさの阻止インピーダンスを得るようにすることが可能になる。
【0178】
そして、スイッチング素子が非導通状態にあるときには第1のコンデンサ〜第3のコンデンサとの直列接続回路が同調用キャパシタとして働く。このため、合成容量が同調用のキャパシタに適した値になれば、夫々の容量は自由に選択することができる。
【0179】
従って、直列接続されたコンデンサのうち、並列共振回路を構成する第1のコンデンサを小さな値とし、給電部を構成する第2のコンデンサは受信信号を出力するのに適したインピーダンスになるような大きな値に選ぶことができる。
【0180】
このように構成することで、阻止インピーダンスを大きくすることができ、かつ、給電部のインピーダンスを適正な値に保つことが可能になる。
そして、第3のコンデンサC3 を設けると共に、第1のコンデンサ〜第3のコンデンサの容量を所定の関係に保つことで、コイル上で対GND電位を最小にすることができ、浮遊容量を通して被検体に流れる電流も最小に抑えられ、コイルの損失や被検体の発熱も最小限に抑えられるようになる。
【0181】
尚、以上の第3のコンデンサと並列共振回路を構成するインダクタと、この並列共振回路を動作させるスイッチング素子を設けることも可能であり、更に大きな阻止インピーダンスを実現することが可能になる。
【0182】
(5)第5の発明のMRI用RFコイルでは、第1乃至第3のコンデンサが直列接続された同調用キャパシタと、前記第1のコンデンサと並列共振回路を構成するように設けられたインダクタと、導通状態では前記第1のコンデンサと前記インダクタとで並列共振回路を構成させ、非導通状態では前記第1乃至第3のコンデンサをエレメント中で直列接続させるスイッチング手段と、からなる送受信の際の有効/無効切替回路をエレメント中に備え、前記同調用キャパシタとして、前記第2のコンデンサと前記第3のコンデンサとの合成容量が第1のコンデンサの容量と等しくなるように構成され、前記第2のコンデンサの両端から信号の入力若しくは出力を行うように構成した。
【0183】
このため、スイッチング素子が導通状態にあるときには第1のコンデンサとインダクタとで並列共振回路を構成し、並列共振状態となって高インピーダンスになるため、MRI用RFコイルとしての動作は停止する。
【0184】
この場合、スイッチング素子は導通状態であるが、共振回路が並列共振状態となってMRI用RFコイルを流れる電流を阻止する。
また、第1のコンデンサは、給電部に要求されるインピーダンスに影響されずに容量を選択することができるため、充分な大きさの阻止インピーダンスを得るようにすることが可能になる。
【0185】
そして、スイッチング素子が非導通状態にあるときには第1のコンデンサ〜第3のコンデンサとの直列接続回路が同調用キャパシタとして働く。このため、合成容量が同調用のキャパシタに適した値になれば、夫々の容量は自由に選択することができる。
【0186】
従って、直列接続されたコンデンサのうち、並列共振回路を構成する第1のコンデンサを小さな値とし、給電部を構成する第2のコンデンサは受信信号を出力するのに適したインピーダンスになるような大きな値に選ぶことができる。
【0187】
このように構成することで、阻止インピーダンスを大きくすることができ、かつ、給電部のインピーダンスを適正な値に保つことが可能になる。
そして、第3のコンデンサC3 を設けると共に、第1のコンデンサ〜第3のコンデンサの容量を所定の関係に保つことで、コイル上で対GND電位を最小にすることができ、浮遊容量を通して被検体に流れる電流も最小に抑えられ、コイルの損失や被検体の発熱も最小限に抑えられるようになる。
【0188】
尚、以上の第3のコンデンサと並列共振回路を構成するインダクタと、この並列共振回路を動作させるスイッチング素子を設けることも可能であり、更に大きな阻止インピーダンスを実現することが可能になる。
【0189】
(6)以上の(1)〜(5)に示したMRI用RFコイルにおけるスイッチング手段をPINダイオードで構成することで、逆バイアス時に高周波インピーダンスが高く、順バイアス時に順方向抵抗が低く、かつ高周波的にも純抵抗となる性質から、良好なスイッチングの効果が得られる。
【0190】
(7)この発明のMRI装置は、エレメント中に送受信の際の有効/無効を切り替える有効/無効切替回路を備えたMRI用RFコイルと、前記有効/無効切替回路の動作を切り替える切替制御回路とを備え、前記有効/無効切替回路は、並列共振回路用の第1のコンデンサ及び給電部用の第2のコンデンサが直列接続された同調用キャパシタと、前記第1のコンデンサと並列共振回路を構成するように設けられたインダクタと、導通状態では前記第1のコンデンサと前記インダクタとで並列共振回路を構成させ、非導通状態では前記第1及び第2のコンデンサをエレメント中で直列接続させるスイッチング手段と、から構成した。
【0191】
このため、スイッチング素子が導通状態にあるときには第1のコンデンサとインダクタとで並列共振回路を構成し、並列共振状態となって高インピーダンスになるため、MRI用RFコイルとしての動作は停止する。
【0192】
この場合、スイッチング素子は導通状態であるが、共振回路が並列共振状態となってMRI用RFコイルを流れる電流を阻止する。
また、第1のコンデンサは、給電部に要求されるインピーダンスに影響されずに容量を選択することができるため、充分な大きさの阻止インピーダンスを得るようにすることが可能になる。
【0193】
そして、スイッチング素子が非導通状態にあるときには第1のコンデンサと第2のコンデンサとの直列接続回路が同調用キャパシタとして働く。このため、合成容量が同調用のキャパシタに適した値になれば、夫々の容量は自由に選択することができる。
【0194】
従って、直列接続されたコンデンサのうち、並列共振回路を構成する第1のコンデンサを小さな値とし、給電部を構成する第2のコンデンサは受信信号を出力するのに適したインピーダンスになるような大きな値に選ぶことができる。
【0195】
このように構成することで、阻止インピーダンスを大きくすることができ、かつ、給電部のインピーダンスを適正な値に保つことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態例のMRI用RFコイル及びMRI装置の要部の原理的回路構成を示す構成図である。
【図2】本発明の実施の形態例のMRI用RFコイルの原理的回路構成におけるスイッチング手段導通時の等価回路を示す構成図である。
【図3】本発明の実施の形態例のMRI用RFコイルの原理的回路構成におけるスイッチング手段非導通時の等価回路を示す構成図である。
【図4】本発明の実施の形態例のMRI用RFコイルの構成を従来のMRI用RFコイルと比較した説明図である。
【図5】本発明の実施の形態例のMRI用RFコイル及びMRI装置の要部の原理的回路構成を示す構成図である。
【図6】ブロッキング回路を備えたMRI用RFコイルを用いたMRI装置の全体構成を示す構成図である。
【図7】本発明の実施の形態例としてブロッキング回路に3つのコンデンサを備えたMRI用RFコイル及びMRI装置の要部の原理的回路構成を示す構成図である。
【図8】本発明の実施の形態例としてブロッキング回路に3つのコンデンサを備えたMRI用RFコイルの原理的回路構成におけるスイッチング手段導通時の等価回路を示す構成図である。
【図9】本発明の実施の形態例としてブロッキング回路に3つのコンデンサを備えたMRI用RFコイルの原理的回路構成におけるスイッチング手段非導通時の等価回路を示す構成図である。
【図10】本発明の実施の形態例としてブロッキング回路に3つのコンデンサを備え、2つの並列共振回路を備えたMRI用RFコイル及びMRI装置の要部の原理的回路構成を示す構成図である。
【図11】従来のブロッキング回路を備えたMRI用RFコイルの原理的回路構成を示す構成図である。
【図12】従来のブロッキング回路を備えたMRI用RFコイルの原理的回路構成を示す構成図である。
【図13】従来のC分割型のブロッキング回路を備えたMRI用RFコイルの原理的回路構成を示す構成図である。
【符号の説明】
50 受信コイル
61 バイアス回路
62 ブロッキング回路
70 受信アンプ
C1 ′第1のコンデンサ(並列共振用)
C2 ′第2のコンデンサ
C3 第3のコンデンサ
L1 ′インダクタ(並列共振用)
L3 ′インダクタ(並列共振用)
D1 ダイオード(スイッチング素子)
D2 ダイオード(スイッチング素子)
D3 ダイオード(スイッチング素子)
Claims (7)
- 第1及び第2のコンデンサが直列接続された同調用キャパシタと、前記第1のコンデンサと並列共振回路を構成するように設けられたインダクタと、導通状態では前記第1のコンデンサと前記インダクタとで並列共振回路を構成させ、非導通状態では前記第1及び第2のコンデンサをエレメント中で直列接続させるスイッチング手段と、からなる送受信の際の有効/無効切替回路をエレメント中に備え、
前記第2のコンデンサの両端から信号の入力若しくは出力を行うことを特徴とするMRI用RFコイル。 - 第1及び第2のコンデンサが直列接続された同調用キャパシタと、第1のスイッチング手段を介して前記第1のコンデンサと並列共振回路を構成するように設けられたインダクタと、前記第1のスイッチング手段と直列接続されて前記第2のコンデンサと並列になるように配置された第2のスイッチング手段と、からなる送受信の際の有効/無効切替回路をエレメント中に備え、
前記第2のコンデンサの両端から信号の入力若しくは出力を行うことを特徴とするMRI用RFコイル。 - 直列接続された第1のコンデンサと第2のコンデンサとから構成された同調用キャパシタと、
前記第1のコンデンサ及び前記第2のコンデンサの接続点に一端が接続された第1のスイッチング手段と、
一端が前記キャパシタにおける前記第1のコンデンサ側の一端に接続され、他端が前記第1のスイッチング手段の他端に接続され、高周波磁場の周波数において前記第1のコンデンサと並列共振するインダクタと、
一端が前記同調用キャパシタの他端に接続され、他端が前記第1のスイッチング手段と前記インダクタとの接続点に接続され、前記第1のスイッチング手段と共にオン/オフするように配置された第2のスイッチング手段と、
からなる送受信の際の有効/無効切替回路をエレメント中に備え、
前記第2のコンデンサの両端から信号の入力若しくは出力を行うことを特徴とするMRI用RFコイル。 - 第1乃至第3のコンデンサが直列接続された同調用キャパシタと、前記第1のコンデンサと並列共振回路を構成するように設けられたインダクタと、導通状態では前記第1のコンデンサと前記インダクタとで並列共振回路を構成させ、非導通状態では前記第1乃至第3のコンデンサをエレメント中で直列接続させるスイッチング手段と、からなる送受信の際の有効/無効切替回路をエレメント中に備え、
前記同調用キャパシタとして、前記第1のコンデンサと前記第2のコンデンサとの合成容量が第3のコンデンサの容量と等しくなるように構成され、
前記第2のコンデンサの両端から信号の入力若しくは出力を行うことを特徴とするMRI用RFコイル。 - 第1乃至第3のコンデンサが直列接続された同調用キャパシタと、前記第1のコンデンサと並列共振回路を構成するように設けられたインダクタと、導通状態では前記第1のコンデンサと前記インダクタとで並列共振回路を構成させ、非導通状態では前記第1乃至第3のコンデンサをエレメント中で直列接続させるスイッチング手段と、からなる送受信の際の有効/無効切替回路をエレメント中に備え、
前記同調用キャパシタとして、前記第2のコンデンサと前記第3のコンデンサとの合成容量が第1のコンデンサの容量と等しくなるように構成され、
前記第2のコンデンサの両端から信号の入力若しくは出力を行うことを特徴とするMRI用RFコイル。 - 前記スイッチング手段はPINダイオードであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のMRI用RFコイル。
- エレメント中に送受信の際の有効/無効を切り替える有効/無効切替回路を備えたMRI用RFコイルと、
前記有効/無効切替回路の動作を切り替える切替制御回路とを備えたMRI装置であって、
前記有効/無効切替回路は、並列共振回路用の第1のコンデンサ及び給電部用の第2のコンデンサが直列接続された同調用キャパシタと、前記第1のコンデンサと並列共振回路を構成するように設けられたインダクタと、導通状態では前記第1のコンデンサと前記インダクタとで並列共振回路を構成させ、非導通状態では前記第1及び第2のコンデンサをエレメント中で直列接続させるスイッチング手段と、から構成されたものであることを特徴とするMRI装置。
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