JP3614411B2 - コンベヤレール摩耗検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、コンベヤのレールに対する摩耗検出装置に係り、特にオーバーヘッドコンベヤに好適なものに関する。
【0002】
【従来の技術】
オーバーヘッドコンベヤは、頭上の高い位置にレールを配置し、このレール上を回転移動するコンベヤローラーに一端を支持されたトロリーを吊り下げ、その他端を駆動チェーンで駆動するようになっている。このトロリーは、荷物運搬用の移動体であって、大きな荷重がコンベヤローラーを介してレールへ加わる。したがって、長期間使用するとコンベヤローラーとの接触によりレールが摩耗するが、このレール摩耗は全体で一様に生じず、局部的な偏摩耗を生じやすい。このような偏摩耗が生じるとその部分のレールは速やかに交換しなければならず、レール摩耗発見のためのメンテナンスに注力しなければならない。
【0003】
従来行われているメンテナンスにおけるレール摩耗検出方法の一例は、図6に示すように、ノギスaを用いてレールbにおけるコンベヤローラーが転動するローラーガイド部cの厚みを手動計測するものである。また、レールbに平行して摩耗検出手段を配置し、レール摩耗部分で車輪が下方変位することを摩耗検出手段で自動検出するものも知られている(特表平11−504723号)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記手動計測の場合、その手間はコンベヤの長さに応じて著しく増大する。また、オーバーヘッドコンベヤの場合は、予めメンテナンス用デッキを設けておく必要があるが、このようなメンテナンス用デッキをコンベヤローラーの全長に設けることは容易ではない。
そこで自動計測が望まれるところであるが、上記特表公報に記載された例の場合は、摩耗検出手段をレールの側方へ固定配置しなければならず、これをレールの全長に設けるとすれば設備投資が極めて大きくなる。
【0005】
したがって、自動計測でありながら必要なときのみ随時に測定でき、かつ設置数を可能な限り少数として設備投資もあまり大きくせずにメンテナンスを容易にすることのできる摩耗検出手段が望まれている。本願発明は係る要請の実現を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本願のコンベヤレール摩耗検出装置に係る請求項1の発明は、レール上を回転移動するコンベヤローラーと、このコンベヤローラーを回転自在に支持するとともに、コンベヤローラーと一体に移動する移動体とを備えたコンベヤにおいて、前記レールの摩耗を検出するための摩耗検出手段を前記移動体へ着脱自在に取付けたことを特徴とする。
【0007】
また、前記摩耗検出手段が前記コンベヤローラーと前記移動体との連結部材を共通に利用して取付けられることも特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1において、前記摩耗検出手段が、前記コンベヤローラーと前記移動体へ一体的に取付けられる本体部と、この本体部へ支持されて前記レール上を移動する基準ローラーと、前記本体部が取付けられたコンベヤローラーがレール摩耗部を通過したときの前記基準ローラーに対する前記本体部の動きによりレール摩耗を検出して摩耗検知情報を出力する検出部とを有することを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1〜2のいずれかにおいて、前記摩耗検出手段に送信機を設け、検出された摩耗検知情報を任意の場所へ設置された受信装置へ無線送信することを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかにおいて、前記コンベヤがオーバーヘッドコンベヤであることを特徴とする。
【0011】
【発明の効果】
請求項1によれば、摩耗検出手段を移動体へ着脱自在に取付けたので、必要なときのみ摩耗検出手段を設置して随時に測定できることになる。摩耗検出手段を設置したときは、移動体と一体に移動してレール摩耗を自動検出できる。そのうえ固定設置を要さず、設置数も最低一つなど可能な限り少数に出来るから、大きな設備投資を要することなくメンテナンスが容易になる。
【0012】
そのうえ、コンベヤローラーと移動体との連結部材を共通利用して摩耗検出手段を移動体へ取付けるので、連結部材を共用でき、部品点数を削減できる。
【0013】
請求項2によれば、摩耗検出手段を本体部、基準ローラー及び検出部で構成し、コンベヤローラーと移動体へ一体的に取付けられた本体部を一緒にレール上で移動させ、本体部が取付けられたコンベヤローラーがレール摩耗部を通過したときの基準ローラーに対する本体部の動きによりレール摩耗を検出できる。
【0014】
請求項3によれば、摩耗検出手段に送信機を設けたので、検出部により検出された摩耗検知情報を任意場所へ設置された受信装置へ無線送信し、この送信内容を都合のよい任意の場所に配置した受信装置を介して監視することにより、簡単かつ集中的にメンテナンスできる。
【0015】
請求項4によれば、摩耗検出手段をオーバーヘッドコンベヤへ採用することにより、高所に配置されたレールに対しても、容易にメンテナンス可能になる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて一実施例を説明する。図1は全体のシステム図、図2は摩耗検出手段の斜視図、図3は摩耗検出手段の取付図、図4は摩耗検出手段の取付軸線方向から示す正面図、図5は図4のA矢示方向図である。
【0017】
図1において、符号1はオーバーヘッドコンベヤのレール、2はレール1のローラーガイド部、3はローラーガイド部2の上を転動するコンベヤローラー、4はコンベヤローラー3を上端で回転自在に支持し、下端が駆動チェーン5へ係合したトロリーである。コンベヤローラー3及びトロリー4は所定間隔でレール1の長さ方向へ複数設けられ、矢示方向へ移動する駆動チェーン5と一緒にレール1に沿って同方向へ移動する。トロリー4の下端には適宜の搬送物19が支持され、レール1に吊り下げられた状態で搬送される。
【0018】
複数のトロリー4のうちの一つには摩耗検出手段6が着脱自在に取付けられ、トロリー4と一体に移動するとともに、摩耗検出手段6の本体部20が取付けられたコンベヤローラー3が摩耗部1a(図4,5)を通過したときの基準ローラー7に対する本体部20の動きによりレール摩耗を検出し、この摩耗検知情報を送信機8により無線送信して、地上の任意位置に設置された受信装置9で受信し、これをパソコン等のコンピュータ10へ送り、そのディスプレイ11上へ摩耗検知情報を表示する。
【0019】
このディスプレイ11上における表示は、コンベヤ全体のレールを一覧できるように表示し、そのうちのいずれの部分が摩耗しているか判るように、レール摩耗箇所をリアル表示(図中Pで示す点が該当)するようになっている。このリアル表示は摩耗検出手段6の位置情報を摩耗検知情報と一緒に送信することにより可能になる。
【0020】
図2,3に示すように、レール1はI型断面であり、中央のピラー部12の上下に水平方向両側への張り出し部が設けられ、このうちの下側がローラーガイド部2になっている。ローラーガイド部2の断面は上面が外側方へ向かって斜め下がりの斜面をなす傾斜面になっている。コンベヤローラー3は、ローラーガイド部2の傾斜面上を転動面として転動するため、外周面は斜面になっている(図5参照)。コンベヤローラー3はボルト13によりトロリー4の上端部14へ取付けられる。
【0021】
トロリー4は上下方向中間部がローラーガイド部2を逃げる湾曲部16をなし、下部はピラー部12の仮想延長線近傍までローラーガイド部2の下面側へ曲がり返し、さらに下方へ屈曲して伸びた連結脚部17をなし、ここで駆動チェーン5へ結合するとともに、その下端には支持穴18が設けられ適宜な搬送物19を吊り下げるようになっている。
なお、コンベヤローラー3及びトロリー4は、向かい合わせにして左右一対に設けられ、両側のローラーガイド部2に対してコンベヤローラー3が転動するようになっている。図示のトロリー4はその片側を構成するハーフトロリーを示している。
【0022】
図3に明らかなようにボルト13は、トロリー4の上端部14に設けられた通し穴15と、コンベヤローラー3の中心穴3a及び摩耗検出手段6の本体部20に設けられた通し穴21を合わせてこれらに通し、コンベヤローラー3の反対側でナット(図示省略)により固定する。これによりコンベヤローラー3及びトロリー4の上端部14及と摩耗検出手段6の本体部20が共締めで一体化され、コンベヤローラー3はトロリー4に対して回転自在に支持される。
【0023】
摩耗検出手段6は、本体部20、前後の基準ローラー7、7及び本体部20と前後の基準ローラー7、7を連結する前後のリンク22、22,それぞれの一端23。23の動きによりON・OFFするスイッチ24、24を備える。スイッチ24,24は通し穴21を前後に挟んでその近傍に設けられる。25、25は回転軸、26。26はリンク22,22の揺動を規制するストッパ、27はトロリー4が入る切り欠きである。
【0024】
各リンク22、22は回転軸25、25を中心に揺動し、その揺動端のうち前方又は後方へ長く延出する方の揺動端側にはローラー軸28、28が設けられ、その各先端に基準ローラー7、7が回転自在に支持されている。ローラー軸28、28はその長さ方向にてコンベヤローラー3の外周面と交差する程度に長くボルト13の取付軸線と平行に延出し(図5参照)、その周囲に巻回されたコイルスプリング29、29により基準ローラー7、7を軸端へ押し付けている。
【0025】
基準ローラー7、7、リンク22、22及びスイッチ24、24は、トロリー4の進行方向両側(以下、前後方向)へ一対で設けられ、各基準ローラー7,7がコンベヤローラー3の前後でローラーガイド部2上を転動するようになっている。
【0026】
図4に明らかなように、各スイッチ24、24はリンク22、22の一端23、23によりON,OFFされる接点30、30を備える。スイッチ24、24はノーマルクローズ仕様であり、ローラーガイド部2が正常な厚さの場合は、コンベヤローラー3及び本体部20は仮想線で示す正常位置にあり、リンク22、22の一端23、23が接点30、30に接触してこれを開き、スイッチ24、24がOFFになっている。
【0027】
ローラーガイド部2に摩耗部1aがあると、この摩耗部1aへコンベヤローラー3が落ち込むため、実線で示すようにコンベヤローラー3及び本体部20が図の下方へ変位した異常位置になり、その結果、リンク22,22の一端23、23が矢示のように下降して接点30、30から離れることにより接点30、30が閉じてスイッチ24、24がONとなる。
【0028】
なお、前後のスイッチ24,24は、直列に接続され、一方のスイッチ24(本実施例では前側のスイッチ)の端子31がメインスイッチ33を介して送信機8へ接続され、端子32が他方のスイッチ24(本実施例では後側のスイッチ)の端子31へ接続される。また、他方のスイッチ24における端子32は送信機8へ接続される。
【0029】
これにより、メインスイッチ33がONでかつ前後のスイッチ24、24が同時にONとなったときだけ送信機8へ電流が通じ、送信機8から摩耗検知情報として送信される。
【0030】
基準ローラー7は、図5に示すように、コンベヤローラー3の幅程度の長さを有するカラー36を挟んでローラー軸28の軸線方向へ開いた一対のローラーで構成され、図4及び5に示すようにコンベヤローラー3の転動によって形成されたローラーガイド部2の摩耗部1aを跨いで避けることができる。
【0031】
このため、コンベヤローラー3が摩耗部1aへ落ち込んだときも、前後一対の基準ローラー7、7(並びに前後それぞれにおいてローラー軸28の軸方向へ対をなす一対の基準ローラー7、7(以下これを左右方向一対の基準ローラーという)は摩耗部1aへ落ち込まず、摩耗部1aの無いローラーガイド部2の正常部上へ自重で接地するようになっている。
【0032】
次に、本実施例の作用を説明する。摩耗検出手段6をボルト13によりトロリー4の上端部14へコンベヤローラー3と共締めで取付け、コンベヤローラー3と一緒にレール1のローラーガイド部2上を移動させる。
【0033】
メインスイッチ33がONの計測状態でコンベヤローラー3がレールの摩耗部1aに来ると、前後左右の基準ローラー7、7に対してコンベヤローラー3が下方へ変位し、リンク22、22の一端23、23がスイッチ24、24の接点30、30から離れて、各スイッチ24、24がONになり、送信機8から摩耗検出情報が無線送信される。
【0034】
図1に示すように、送信機8から摩耗検知情報が無線送信されると、これを地上の受信装置9で受信し、コンピュータ10にて処理し、ディスプレイ11上へリアルタイムで摩耗個所Pを表示する。
【0035】
なお、メインスイッチ33がONの計測状態において、前後のスイッチ24、24が同時にONにならない限り、送信機8から摩耗検知情報を送信しないので、レール摩耗に原因せず一方の基準ローラー7のみが何らかの理由で変位しても、送信機8から摩耗検知情報を送信せず、ノイズやレールの段差による誤情報を防止できる。メインスイッチ33がOFFの非計測状態では、当然に送信機8から摩耗検知情報が送信されることはない。
【0036】
このように、摩耗検出手段6をトロリー4へ着脱自在に取付けたので、必要なときのみ摩耗検出手段6を設置して随時に測定できることになる。摩耗検出手段6を設置したときは、トロリー4と一体に移動してレールの摩耗を自動検出できる。そのうえ固定設置を要さず、設置数も最低一つなど可能な限り少数に出来るから、大きな設備投資を要することなくメンテナンスが容易になる。
【0037】
また、コンベヤローラー3とトロリー4との連結部材の一例であるボルト13を共通利用して摩耗検出手段6をトロリー4へ取付けるので、連結部材を共用でき、部品点数を削減できる。
【0038】
さらに、摩耗検出手段6を本体部20、基準ローラー7、7及び検出部(リンク22、22及びスイッチ24、24)で構成し、摩耗検出手段6をトロリー4と一緒に移動させてレール1のローラーガイド部2上を移動させることにより、レール摩耗を検出できる。
【0039】
また、摩耗検出手段6に送信機8を設けたので、検出部により出力された摩耗検知情報を任意場所へ設置された受信装置9へ無線送信し、これを都合のよい任意の場所に配置したデイスプレイ11にて監視することにより、簡単かつ集中的にメンテナンスできる。
【0040】
そのうえ、摩耗検出手段6をオーバーヘッドコンベヤへ採用することにより、高所に配置されたレール1に対しても、容易にメンテナンス可能になる。
【0041】
なお、本願発明は、オーバーヘッドコンベヤに限らず、地上へ接地する形式のものでも適用できる。また、移動体はトロリーによる吊り下げ式ではなく、レール上を移動する跨座式であってもよい。さらに、摩耗検出手段6における検出部の構造は、基準ローラー7に対するコンベヤローラー3の上下動変位を検出できれば、他のいかなる形式であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】全体のシステム図
【図2】摩耗検出手段の斜視図
【図3】摩耗検出手段の取付図
【図4】摩耗検出手段の取付軸線方向から示す正面図
【図5】図4のA矢示方向図
【図6】従来の摩耗計測方法を示す図
【符号の説明】
1:レール、1a:摩耗部、2:ローラーガイド部、3:コンベヤローラー、4:トロリー、5:駆動チェーン、6:摩耗検出手段、7:基準ローラー、8:送信機、9:受信装置、10:コンピュータ、11:ディスプレイ、13:ボルト、20:本体部、22:リンク、24:スイッチ
Claims (4)
- レール上を回転移動するコンベヤローラーと、このコンベヤローラーを回転自在に支持するとともに、コンベヤローラーと一体に移動する移動体とを備えたコンベヤにおいて、
前記レールの摩耗を検出するための摩耗検出手段を前記移動体へ着脱自在に取付けるとともに、
この摩耗検出手段が、前記コンベヤローラーと前記移動体との連結部材を共通に利用して取付けられることを特徴とするコンベヤレール摩耗検出装置。 - 前記摩耗検出手段は、前記コンベヤローラーと前記移動体へ一体的に取付けられる本体部と、この本体部へ支持されて前記レール上を移動する基準ローラーと、前記本体部が取付けられたコンベヤローラーがレール摩耗部を通過したときの前記基準ローラーに対する前記本体部の動きによりレール摩耗を検出して摩耗検知情報を出力する検出部とを有することを特徴とする請求項1に記載したコンベヤレール摩耗検出装置。
- 前記摩耗検出手段に送信機を設け、検出された摩耗検知情報を任意の場所へ設置された受信装置へ無線送信することを特徴とする請求項1及至2のいずれかに記載したコンベヤレール摩耗検出装置。
- 前記コンベヤがオーバーヘッドコンベヤであることを特徴とする請求項1及至3のいずれかに記載したコンベヤレール摩耗検出装置。
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