JP3612297B2 - パターン形成方法、半導体装置の製造方法、及び、半導体装置 - Google Patents

パターン形成方法、半導体装置の製造方法、及び、半導体装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、パターン形成方法、半導体装置の製造方法、及び、半導体装置に関するものであり、特に、電界効果型トランジスタ等の形成過程において電子ビームリソグラフィを用いて微細パターンを形成するためのパターン形成方法、半導体装置の製造方法、及び、半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の半導体集積回路の高集積化に対する要望にともなって、その回路を構成する配線幅をさらに狭小化し、また、配線を形成する導電性膜の膜厚をさらに薄膜化するための開発が行われている。
【0003】
特に、電界効果型トランジスタ(以下、FETと呼ぶ。)では、ゲート電極の線幅(ゲート長)を微細化することによって、原理的に、FETの動作が急速に高速化されるというさらなる効果が期待できる。そのため、FETのゲート長の微細化に対する開発が、盛んに進められている。
しかし、単純に、ゲート電極の素子寸法を微細化しようとすると、ゲート電極抵抗が大きくなり、かえってFETの性能向上が妨げられる。さらに、多結晶シリコン膜からなるゲート電極を有するFETにおいては、ゲート電極の微細化により空乏化が生じる等の問題が発生する。
したがって、ゲート電極の微細化を進めるには、FETの性能が確実に向上するように、ゲート電極抵抗増加、空乏化等のいわゆる寄生効果の発生を抑える対策を講じる必要がある。
【0004】
これらの寄生効果の発生を抑えてゲート電極の微細化を進めるために、例えば、特開平10−233505号公報では、ゲート電極の材料として、タングステン(W)、窒化タングステン(WN)等の電気抵抗の低い高融点金属材料を用いる技術が開示されている。
さらに、このような高融点金属材料からなるゲート電極の形成過程において、ゲート絶縁層上に積層された高融点金属材料をドライエッチングしてゲート電極を形成するために、そのエッチングマスクとして、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜等のドライエッチングに対する耐性の高い膜を用いる技術が開示されている。このようなシリコンを含有する無機材料は、ゲート絶縁層としてのSiO膜に対して、化学的性質が近似する。そのために、エッチングマスクとゲート電極とのエッチングレート比と、ゲート絶縁層とゲート電極とのエッチングレート比とを、ほぼ同一の値で大きくすることができるという製法上のメリットを有する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来技術において、低電気抵抗の高融点金属材料は、FETのゲート電極の微細化を可能とする材料として有用である。他方、技術革新の目まぐるしい昨今においては、FETのゲート長を100nm以下までさらに微細化する要望があり、これを実現するために、従来の光リソグラフィにかえて、高い解像性能を有する電子ビームリソグラフィの開発が進められている。
【0006】
しかし、上記の従来技術の構成では、電子ビームリソグラフィの性能を生かして、解像度の高いFETのゲート電極パターンを形成することが難しいと予想される。すなわち、光リソグラフィにおいては、基板による反射率が大きいときに、解像度の劣化が生じる。この光リソグラフィの場合と同様に、電子ビームリソグラフィの場合も、低電気抵抗の高融点金属材料の主成分となるタングステン等は原子番号が大きく電子ビームに対する反射率が高いために、高い解像度が得られない可能性がある。
【0007】
詳しくは、電子ビームが、物質に入射したときの反射率は原子番号に依存する。すなわち、電子ビームは、入射した物質を構成する原子の原子核によるラザフォード散乱によって反射するために、入射した物質を構成する元素の原子番号が大きい程、反射率が高くなる。したがって、電子ビームリソグラフィの露光特性は、レジスト層の下地を構成する材料元素の原子番号に大きく依存すると考えられる。
ここで、従来技術の構成において、ゲート電極の材料は、シリコン等と比較して原子番号が極めて大きい材料であるために、電子ビームによる露光にてゲート電極を形成するときに、充分な解像性能が得られない可能性が大きい。
【0008】
さらに、従来技術で述べた、タングステン等のゲート電極上に、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜等の中間層を設けた場合を考える。この場合、シリコン酸化膜等の構成元素であるシリコンは原子番号が小さいために、レジスト層を透過して中間層に入射した電子ビームは、中間層を透過することになる。その後、電子は、ゲート電極で反射した後に、さらに中間層を透過してレジスト層に入射することになる。このように、原子番号の小さな中間層は、下地のゲート電極からの反射電子を遮蔽できないために、電子の後方散乱等の影響による解像度の悪化が予想される。
【0009】
他方、FETにおいてゲート長を短くする場合、ゲート電極と基板との間の静電容量を一定に保つために、その間に形成されるゲート絶縁層の膜厚を薄膜化する必要がある。ここで、従来技術の場合、微細化されたゲート長に対応した充分な静電容量を確保するためには、ゲート絶縁層としての酸化シリコン膜(SiO)の膜厚を、1nm程度に薄膜化する必要がある。しかし、この程度にまで薄膜化されたゲート酸化層においては、いわゆるトンネル効果により、ゲートのリーク電流が許容値を超えるという不具合が発生する。
【0010】
この不具合を解消するために、ゲート絶縁層の材料として、比誘電率の大きな材料(以下、High−k材料と呼ぶ。)を用いることが考えられる。これにより、充分大きな膜厚を形成してトンネル電流を抑制しつつ、所望の静電容量を確保することができる。
しかし、このようにゲート絶縁層としてHigh−k材料を用いた場合には、その化学的性質が、エッチングマスクとしてのシリコン酸化膜(又はシリコン窒化膜)とは異なるために、上述の統一された大きなエッチングレート比を用いるという製法上のメリットを失うことになる。
【0011】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、電子ビームリソグラフィを用いて、高解像度の極めて微細なパターンを形成するとともに、寄生効果を抑えて高性能の電界効果型トランジスタを形成することができるパターン形成方法、半導体装置の製造方法、及び、半導体装置を提供することにある。
【0012】
この発明の請求項1記載の発明にかかるパターン形成方法は、電子ビームを反射するベース層を基板上に形成する工程と、電子ビームに対する反射率が上記ベース層よりも低く電子ビームを透過する中間層を上記ベース層上に形成する工程と、レジスト層を上記中間層上に形成する工程と、上記レジスト層を電子ビームで露光して、上記レジスト層に所望のパターンを形成する工程とを備え、上記中間層は、原子番号が14以下の元素からなるとともに、膜厚が50nm以下にて形成されることを特徴とするものである。
【0013】
また、請求項2記載の発明にかかるパターン形成方法は、上記請求項1記載の発明において、上記中間層は、シリコン膜、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜および酸窒化シリコン膜よりなる群から選ばれるいずれか1つの単層膜または2つ以上の膜により構成される積層膜であることを特徴とするものである。
【0014】
また、請求項3記載の発明にかかるパターン形成方法は、ベース層を基板上に形成する工程と、酸化シリコンよりも高い反射率にて電子ビームを反射する中間層を上記ベース層上に形成する工程と、レジスト層を上記中間層上に形成する工程と、上記レジスト層を電子ビームで露光して上記レジスト層に所望のパターンを形成する工程とを備え、上記中間層は、チタン酸ストロンチウム膜、BST膜、La 膜、Pr 膜、ZrO 膜およびHfO 膜よりなる群から選ばれるいずれか1つの単層膜または少なくとも1つの膜を備えた積層膜であることを特徴とするものである。
【0015】
また、この発明の請求項4記載の発明にかかるパターン形成方法は、上記請求項1〜請求項3のいずれかに1に記載の発明において、上記ベース層は、原子番号が72以上の元素を含有することを特徴とするものである。
【0016】
また、請求項5記載の発明にかかるパターン形成方法は、上記請求項4記載の発明において、上記ベース層は、Hf膜、Ta膜、W膜およびPt膜よりなる群から選ばれるいずれか1つの単層膜または2つ以上の膜により構成される積層膜であることを特徴とするものである。
【0017】
また、請求項6記載の発明にかかるパターン形成方法は、上記請求項記載の発明において、上記ベース層は、Hf、Ta、WおよびPtよりなる群から選ばれる少なくとも1つを主成分とする化合物からなる膜を少なくとも1層備えた積層膜であることを特徴とするものである。
【0018】
また、請求項7記載の発明にかかるパターン形成方法は、上記請求項1〜請求項6のいずれかに記載の発明において、上記ベース層は、膜厚が150nm以下にて形成されることを特徴とするものである。
【0019】
また、請求項8記載の発明にかかる半導体装置は、上記請求項1〜請求項7のいずれか1に記載のパターン形成方法にて製造されたことを特徴とするものである。
【0020】
また、請求項9記載の発明にかかる半導体装置の製造方法は、酸化シリコンよりも比誘電率の高いゲート絶縁層を基板上に形成する工程と、多結晶シリコンよりも電気抵抗の低いゲート電極層を上記ゲート絶縁層上に形成する工程と、上記ゲート絶縁層を形成する元素と同一元素を含有するとともに酸化シリコンよりも高い反射率にて電子ビームを反射する中間層を上記ゲート電極層上に形成する工程と、レジスト層を上記中間層上に形成する工程と、上記レジスト層を電子ビームで露光して上記レジスト層に所望のパターンを形成した後に、電界効果型トランジスタを形成する工程とを備え、上記ゲート絶縁層は、La 膜、Pr 膜、ZrO 膜およびHfO 膜よりなる群から選ばれるいずれか1つの膜であることを特徴とするものである。
【0023】
また、請求項10記載の発明にかかる半導体装置の製造方法は、上記請求項9に記載の発明において、上記ゲート電極層は、原子番号が72以上の元素を含有することを特徴とするものである。
【0024】
また、請求項11記載の発明にかかる半導体装置の製造方法は、上記請求項10に記載の発明において、上記ゲート電極層は、Hf膜、Ta膜、W膜およびPt膜よりなる群から選ばれるいずれか1つの単層膜または2つ以上の膜により構成される積層膜であることを特徴とするものである。
【0025】
また、請求項12記載の発明にかかる半導体装置の製造方法は、上記請求項10に記載の発明において、上記ゲート電極層は、Hf、Ta、WおよびPtよりなる群から選ばれる少なくとも1つを主成分とする化合物からなる膜を少なくとも1層備えた積層膜であることを特徴とするものである。
【0026】
また、請求項13記載の発明にかかる半導体装置の製造方法は、上記請求項9〜12のいずれか1に記載の発明において、上記ゲート電極層は、膜厚が150nm以下にて形成されることを特徴とするものである。
【0028】
また、この発明の請求項14記載の発明にかかる半導体装置は、上記請求項〜請求項13のいずれかに記載の半導体装置の製造方法にて製造されたことを特徴とするものである。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0030】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、この発明の実施の形態1を示すパターン形成方法において、パターン形成前の半導体装置を示す概略断面図である。
図1において、1はシリコン基板等の基板、2は電子ビームに対する反射率が高く電子ビームを反射するベース層としてのW膜(重金属膜)、3は電子ビームに対する反射率がW膜2より低く電子ビームを透過する中間層としてのSiO膜、4は感光性材料からなるレジスト層、Eはレジスト層4に入射する電子ビームを示す。
【0031】
以下、本実施の形態1におけるパターン形成の手順について、説明する。まず、W膜2が、150nm以下の膜厚となるように、基板1上にスパッタにより形成される。そして、SiO膜3が、50nm以下の膜厚となるように、W膜2上にスパッタにより形成される。さらに、レジスト層4が、約300nmの膜厚にて、SiO膜3上に塗布される。ここで、レジスト層4は、例えば、住友化学工業製のネガ型電子線レジストNEB−22を用いることができる。
【0032】
以上のように積層された半導体装置において、同図の矢印に示すように、電子ビームEにてレジスト層4を露光して、レジスト層4に所望の潜像パターンを形成する。
詳しくは、レジスト層4に入射した電子ビームEの一部は、レジスト層4を透過した後に、SiO膜3に入射する。ここで、SiO膜3は、原子番号14(シリコン)以下の元素からなるために、SiO膜3に入射した電子は、SiO膜3を透過することになる。そして、SiO膜3を透過した電子は、W膜2に入射する。ここで、W膜2は、原子番号72以上の重金属元素を主成分として含有するものなので、W膜2に入射した電子ビームEは、W膜2にて反射する。
【0033】
その後、W膜2で反射した反射電子としての電子ビームEは、軽元素からなるSiO膜3を透過して、レジスト層4に至る。このように、レジスト層4は、入射する電子ビームEと、反射による電子ビームEとにより、露光されることになる。
ここで、SiO膜3は、軽元素からなるとともに、50nm以下の薄い膜厚にて形成されているので、SiO膜3内を通過する入射及び反射に係わる電子ビームEは、散乱がある程度制限される。すなわち、SiO膜3を通過する電子ビームEは、空間的な広がりを生じることなくW膜2に達し、さらにW膜2で反射して空間的な広がりなくレジスト層4に達するので、レジスト層4における潜像の広がりを小さくすることができる。
【0034】
なお、本実施の形態1では、中間層として、SiO膜3を用いた。これに対して、中間層として、原子番号が14以下の元素からなるその他の材料を用いることができる。具体的には、中間層を、シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、又は、それらのうち少なくとも2つを積層した積層膜にて形成することができる。これらの材料はいずれも、電子ビームに対する反射率が低く透過性が高いとともに、半導体装置の製造に一般的に用いられている加工性の高い材料である。さらに、これらの下地となる層をドライエッチングする際の、エッチングマスクとして好適な材料である。
【0035】
また、W膜2は、150nm以下の比較的薄い膜厚にて形成されているので、W膜2で反射した電子ビームは、空間的な広がりなく、レジスト層4に達することになる。これにより、レジスト層4に形成される潜像は、コントラストが向上して、高い解像度を得ることになる。
すなわち、電子ビームの反射は、微視的には、電子ビームが入射するW膜2表面からW膜2内部にかけての微小な立体領域で起こる。このため、W膜2の膜厚が厚い場合には、W膜2の深部で反射した電子が空間的に広がった後にレジスト層4に達することになり、レジスト層4に形成される潜像のコントラストは低下してしまう。
【0036】
なお、本実施の形態1では、ベース層として、W膜2を用いた。これに対して、ベース層として、原子番号が72以上の元素を含有するその他の材料を用いることができる。具体的には、ベース層を、Hf、Ta、Pt、それらのうち少なくとも2つを積層した積層膜、又は、それらのうち少なくとも1つを主成分とする化合物からなる膜を少なくとも1層備えた積層膜にて形成することができる。これらの材料はいずれも、電子ビームに対する反射率が高いとともに、電気抵抗が低い。さらに、これらは、耐熱性が高く高温処理を施しても変性しないために、MOSFETのゲート電極として好適な材料である。
【0037】
こうして、レジスト層4を電子ビームEで露光した後に、所定のエッチング工程等を経て、レジスト層4に形成した潜像パターンに対応した所望のパターンを、W膜2に形成する。
なお、電子ビームEによる露光は、一括転写型の電子ビーム露光装置を用いて行うことができる。そして、その電子ビーム露光装置において、例えば、加速電圧を100kV、入射面におけるビーム収束半角を約1.5mrad、電流密度を11.2mA/cmとすることができる。
【0038】
次に、図2にて、図1に示す半導体装置における、中間層としてのSiO膜3の膜厚と、解像度との関係について説明する。
図2において、横軸は、中間層としてのSiO膜3の膜厚を示し、縦軸は、ラインアンドスペースによる限界解像度を示す。
さらに、図2において、実線9は、図1に示す構成の半導体装置における、SiO膜3の膜厚と解像度との関係を示す直線である。一方、図中の破線5は、ベアシリコン基板上に同一条件の露光を行ったときの限界解像度を示す直線である。
【0039】
ここで、ラインアンドスペースとは、電子ビームEによりレジスト層4上に形成される露光パターンであり、露光部と非露光部とが1:1の比率で交互に形成される縞状パターンである。なお、同図において、ウェハ上でのラインアンドスペースによるライン幅は、50〜150nmの範囲で変動させた。
また、限界解像度とは、ライン幅の異なるラインアンドスペース像に対して、分離解像できる最小線幅をいう。
【0040】
同図の点6に示すように、SiO膜の膜厚が10nmのときは、限度解像度は約50nmとなり、上述のベアシリコン上の限度解像度より高い解像度を得ることができる。また、点7に示すように、SiO膜の膜厚が50nmのときは、限度解像度は約60nmとなり、ベアシリコン上の限度解像度と同等の解像度となる。また、点8に示すように、SiO膜の膜厚が100nmのときは、限度解像度は約70nmとなり、ベアシリコン上の限度解像度より低い解像度となる。
このように、シリコンを主成分とする中間層としてのSiO膜の膜厚を、50nm以下とした場合に、ベース層としてのW膜上の解像度が向上する。
【0041】
以上説明したように、本実施の形態1のように構成されたパターン形成方法においては、電子ビームリソグラフィを用いて、高解像度の極めて微細なパターンを形成することができる。
【0042】
実施の形態2.
以下、この発明の実施の形態2を図面に基づいて詳細に説明する。図3(a)〜(e)は、この発明の実施の形態2を示す半導体装置の製造方法において、各工程における半導体装置を示す概略断面図である。本実施の形態2では、半導体装置としてのFETの製造方法における、ゲート電極の形成工程を示している。
【0043】
図3(a)〜(e)において、21はシリコン基板等の基板、22は酸化シリコンよりも高い比誘電率を有するとともに電子ビームに対する反射率が酸化シリコンよりも高いゲート絶縁層としてのHfO膜、22aはFETの所望のゲート絶縁層、23は電気抵抗の低いゲート電極層としてのW膜、23aはFETの所望のゲート電極、24はゲート絶縁層22と同一材料で形成されるHfO膜、24aはゲート電極23a形成時のエッチングマスクとしての中間層、25は感光性材料からなるレジスト層、25aはゲート電極23a形成時のレジストパターン、Eはレジスト層25に入射する電子ビームを示す。
【0044】
以下、本実施の形態2における半導体装置の製造手順について、説明する。
まず、図3(a)に示すように、基板21上に、HfO膜22、W膜23、HfO膜24、レジスト層25が、順次積層される。
詳しくは、まず、HfO膜22が、数nmの膜厚にて、基板21上にALCVD法(Atomic Layer Chemical Vapor Deposition)により形成される。次に、W膜23が、150nm以下の膜厚となるように、例えば、100nmの膜厚にて、膜22上にCVD法(Chemical Vapor Deposition)により形成される。そして、HfO膜24が、十数〜数十nmの膜厚にて、W膜23上にALCVD法により形成される。なお、W膜23上へのHfO膜24の形成方法としては、ALCVD法以外に、酸素ガスを用いてHfをスパッタする反応性スパッタ等の方法を用いることもできる。この場合、ALCVD法と比較して堆積速度を向上することができる。
さらに、レジスト層25が、200〜300nmの膜厚にて、HfO膜24上に塗布される。ここで、レジスト層25として、例えば、耐熱性及び耐ドライエッチ性に優れるPHS(Poly Hydroxy Styrene)を主成分とするベース樹脂を用いたネガ型の化学増幅型レジストを用いることが好適である。
【0045】
以上のように積層された半導体装置において、同図(a)の矢印に示すように、電子ビームEにてレジスト層25を露光して、レジスト層25に所望の潜像パターンを形成する。ここで、電子ビームEによる露光は、例えば、加速電圧が100kV程度の一括転写型の電子ビーム露光装置を用いて行う。
【0046】
詳しくは、レジスト層25に入射した電子ビームEは、レジスト層25を透過した後に、中間層としての膜24に入射する。ここで、HfO膜24は、原子番号38以上の元素を主成分として含有するもので電子ビームに対する反射率が高いので、HfO膜24に入射した電子ビームEは、入射点を頂点とする膜内の狭小な立体角内にて反射する。
その後、HfO膜24で反射した反射電子としての電子ビームEは、レジスト層4に至る。このように、レジスト層4は、図中の矢印方向から入射する電子ビームEと、ほぼ垂直方向に反射する電子ビームEとにより、露光され、コントラストの高い極めて微細な潜像を形成することになる。
【0047】
なお、本実施の形態2では、中間層として、HfO膜24を用いた。これに対して、中間層として、原子番号が38以上の元素を含有するその他の材料を用いることができる。具体的には、中間層を、チタン酸ストロンチウム、BST、La、Pr、ZrO、HfO、又は、それらのうち1つからなる膜を少なくとも1層備えた積層膜にて形成することができる。これらの材料はいずれも、電子ビームに対する反射率が高い材料であり、電子ビームの反射層として機能するものである。したがって、前記実施の形態1に示した電子ビームの透過層としてのSiOと比較して、膜厚の制限が少なくある程度膜厚を自由に設定できるために、下地となる層をエッチングする際のエッチングマスクとして好適な材料となる。
【0048】
次に、図3(b)に示すように、レジストパターン25aを形成する。
詳しくは、露光後の半導体装置を、PEB(露光後ベーク)した後、有機アルカリであるTMAH(Tetra Methyl Ammonium Hydroxide)の水溶液で現像することにより、前工程で形成した潜像に対応したレジストパターン25aを形成する。
【0049】
次に、図3(c)に示すように、エッチングマスクとしての中間層24aを形成する。
詳しくは、前工程で形成したレジストパターン25aをマスクとして、例えば、イオンミリングにより、HfO膜24を選択的にエッチングして除去する。その後、酸素アッシングにてレジストパターン25aを除去することにより、中間層24aを形成する。
【0050】
次に、図3(d)に示すように、所望のゲート電極23aを形成する。
詳しくは、前工程で形成した中間層24aをエッチングマスクとして、塩素系のガスを用いたドライエッチングにより、W膜23をエッチングしてゲート電極23aを形成する。
【0051】
ここで、中間層としてのHfO膜24は、ゲート絶縁層としてのHfO膜22と共通の材料にて形成されているので、双方のW膜23に対するエッチングレート比を共通化することができる。
具体的には、ここでのエッチングに際して、後述する工程における、W膜23とその下層のHfO膜22とのエッチングレート比が最大となる条件と同一条件を用いる。すなわち、本工程において、W膜23の除去が完了した時点でエッチングを停止できるような条件を用いる。望ましくは、W膜23とHfO膜24とのエッチングレート比が、100以上となる条件を用いる。
【0052】
このようなエッチング条件下では、中間層としてのHfO膜24を、薄膜化することが可能である。例えば、エッチングレート比が100であり、W膜23の膜厚が100nmであるとすると、中間層のHfO膜24の膜厚が1nm以上あれば、理論的に、W膜23をエッチング加工することができる。実際には、オーバーエッチ等を行うために、その理論値に対して余裕度分を加算して、HfO膜24を十数nm程度の膜厚にて形成して、エッチング加工を行うことになる。
【0053】
なお、上述したように、中間層24の膜厚は十数nm程度であるのに対して、レジスト層25の膜厚は200〜300nmである。したがって、中間層24の膜厚は、レジスト層25の膜厚の10分の1以下となり、図3(c)に示す工程において、上述したようなエッチング選択性の少ないイオンミリングによるエッチングが可能となる。
【0054】
最後に、図3(e)に示すように、所望のゲート絶縁層22aを形成する。
詳しくは、前工程で形成されたゲート電極23aをマスクとして、湿式エッチングにより、HfO膜22の不要部分を除去して、ゲート絶縁層22aを形成する。
その後、イオン注入等の工程を経て、最終的にFETが形成される。
なお、本実施の形態2において、FETにおけるゲート部以外のソース・ドレイン部等については、簡単のためその図示と説明とを省略した。
【0055】
以上述べた製造方法にて製造された半導体装置としてのFETにおいて、ゲート電極23aは、電気抵抗の低い材料にて形成されるとともに、150nm以下の比較的薄い膜厚にて形成されているので、そのゲート長を100nm以下にて形成しても、ゲート電極抵抗を低くすることができる。
さらに、ゲート絶縁層22aと、中間層24aとに、電子ビームに対する反射率が高く、かつ、比誘電率の高い、共通の材料を用いたので、電子ビームリソグラフィによる100nm以下のゲート長のゲート電極23aが形成できるとともに、ゲート絶縁層22aでの静電容量が充分確保されて、さらに、エッチングレート比を大きく設定してエッチング精度を向上することができる。
【0056】
以上説明したように、本実施の形態2のように構成された半導体装置の製造方法においては、電子ビームリソグラフィを用いて、極めてゲート長の短いゲート電極23aを形成するとともに、寄生効果が抑えられた高性能のFETを提供することができる。
【0057】
なお、本実施の形態2では、ゲート電極層として、W膜23を用いた。これに対して、ゲート電極層として、原子番号が72以上の元素を含有するその他の材料を用いることができる。具体的には、ゲート電極層を、Hf、Ta、Pt、それらのうち少なくとも2つを積層した積層膜、又は、それらのうち少なくとも1つを主成分とする化合物からなる膜を少なくとも1層備えた積層膜にて形成することができる。これらの材料はいずれも、電子ビームに対する反射率が高いとともに、電気抵抗が低い。さらに、これらは、耐熱性が高く高温処理を施しても変性しないために、本実施の形態2におけるW膜23と同様に、MOSFETのゲート電極として好適な材料となる。
【0058】
また、本実施の形態2では、ゲート絶縁層22aと、中間層24aとを、同一の材料HfOにて形成した。これに対して、中間層24aを、ゲート絶縁層22aを形成する元素と同一元素を含有する異材料とすることもできる。具体的には、ゲート絶縁層22aをHfOにて形成し、中間層24aをHfO膜とその他の膜からなる積層膜とすることもできる。この場合にも、本実施の形態2と同様の効果を奏することになる。
【0059】
なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態の中で示唆した以外にも、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【0060】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成されているので、電子ビームリソグラフィを用いて、高解像度の極めて微細なパターンを形成するとともに、寄生効果が抑えられた高性能の電界効果型トランジスタを形成することができるパターン形成方法、半導体装置の製造方法、及び、半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1を示すパターン形成方法において、パターン形成前の半導体装置を示す概略断面図である。
【図2】図1に示す半導体装置において、中間層の膜厚と解像度との関係を示すグラフである。
【図3】この発明の実施の形態2を示す半導体装置の製造方法において、各工程における半導体装置を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 基板、 2 W膜(ベース層)、 3 SiO膜(中間層)、 4 レジスト層、 21 基板、 22 HfO膜(ゲート絶縁層)、 22a ゲート絶縁層、 23 W膜(ゲート電極層)、 23a ゲート電極、 24 HfO膜(中間層)、 24a 中間層(エッチングマスク)、 25 レジスト層、 25a レジストパターン、 E 電子ビーム。

Claims (14)

  1. 電子ビームを反射するベース層を基板上に形成する工程と、
    電子ビームに対する反射率が上記ベース層よりも低く電子ビームを透過する中間層を上記ベース層上に形成する工程と、
    レジスト層を上記中間層上に形成する工程と、
    上記レジスト層を電子ビームで露光して、上記レジスト層に所望のパターンを形成する工程とを備え
    上記中間層は、原子番号が14以下の元素からなるとともに、膜厚が50nm以下にて形成されることを特徴とするパターン形成方法。
  2. 上記中間層は、シリコン膜、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜および酸窒化シリコン膜よりなる群から選ばれるいずれか1つの単層膜または2つ以上の膜により構成される積層膜である請求項1に記載のパターン形成方法。
  3. ベース層を基板上に形成する工程と、
    酸化シリコンよりも高い反射率にて電子ビームを反射する中間層を上記ベース層上に形成する工程と、
    レジスト層を上記中間層上に形成する工程と、
    上記レジスト層を電子ビームで露光して上記レジスト層に所望のパターンを形成する工程とを備え、
    上記中間層は、チタン酸ストロンチウム膜、BST膜、La 膜、Pr 膜、ZrO 膜およびHfO 膜よりなる群から選ばれるいずれか1つの単層膜または少なくとも1つの膜を備えた積層膜であることを特徴とするパターン形成方法。
  4. 上記ベース層は、原子番号が72以上の元素を含有する請求項1〜3のいずれか1に記載のパターン形成方法。
  5. 上記ベース層は、Hf膜、Ta膜、W膜およびPt膜よりなる群から選ばれるいずれか1つの単層膜または2つ以上の膜により構成される積層膜である請求項4に記載のパターン形成方法。
  6. 上記ベース層は、Hf、Ta、WおよびPtよりなる群から選ばれる少なくとも1つを主成分とする化合物からなる膜を少なくとも1層備えた積層膜である請求項4に記載のパターン形成方法。
  7. 上記ベース層は、膜厚が150nm以下にて形成される請求項1〜6のいずれか1に記載のパターン形成方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1に記載のパターン形成方法にて製造されたことを特徴とする半導体装置
  9. 酸化シリコンよりも比誘電率の高いゲート絶縁層を基板上に形成する工程と、
    多結晶シリコンよりも電気抵抗の低いゲート電極層を上記ゲート絶縁層上に形成する工程と、
    上記ゲート絶縁層を形成する元素と同一元素を含有するとともに酸化シリコンよりも高い反射率にて電子ビームを反射する中間層を上記ゲート電極層上に形成する工程と、
    レジスト層を上記中間層上に形成する工程と、
    上記レジスト層を電子ビームで露光して上記レジスト層に所望のパターンを形成した後に、電界効果型トランジスタを形成する工程とを備え、
    上記ゲート絶縁層は、La 膜、Pr 膜、ZrO 膜およびHfO 膜よりなる群から選ばれるいずれか1つの膜であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  10. 上記ゲート電極層は、原子番号が72以上の元素を含有する請求項9に記載の半導体装置の製造方法
  11. 上記ゲート電極層は、Hf膜、Ta膜、W膜およびPt膜よりなる群から選ばれるいずれか1つの単層膜または2つ以上の膜により構成される積層膜である請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
  12. 上記ゲート電極層は、Hf、Ta、WおよびPtよりなる群から選 ばれる少なくとも1つを主成分とする化合物からなる膜を少なくとも1層備えた積層膜である請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
  13. 上記ゲート電極層は、膜厚が150nm以下にて形成される請求項9〜12のいずれか1に記載の半導体装置の製造方法。
  14. 請求項9〜13のいずれか1に記載の半導体装置の製造方法にて製造されたことを特徴とする半導体装置
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