JP3611417B2 - コンデンサ - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明に係るコンデンサは、自動車用空調機を構成する蒸気圧縮式冷凍機のコンプレッサとエバポレータとの間に直列に組み込む。そして、コンプレッサで圧縮した冷媒を放熱し凝縮させてから、リキッドタンクを介してエバポレータに送り出す。
【0002】
【従来の技術】
自動車室内の冷房や除湿を行なう自動車用空調機には、蒸気圧縮式冷凍機が組み込まれている。図4は、特開平4−95522号公報に記載された、蒸気圧縮式冷凍機の基本構成を示す回路図である。コンプレッサ1から吐出された高温・高圧のガス状冷媒は、コンデンサ2を通過する間に空気との間で熱交換を行なって温度低下し、凝縮液化する。この結果生じた液状の冷媒は、一度リキッドタンク3に溜められてから、膨張弁4を介してエバポレータ5に送られ、このエバポレータ5内で蒸発する。エバポレータ5の温度は、蒸発潜熱を奪われて低下する為、このエバポレータ5に空調用の空気を流通させれば、この空気の温度を低下させると同時に、この空気中に含まれる水蒸気を取り除く事ができる。エバポレータ5内で蒸発気化した冷媒は、上記コンプレッサ1に吸引されて圧縮され、再び上記サイクルを繰り返す。
【0003】
次に、図5は、本発明の対象となるコンデンサ2を示している。このコンデンサ2は、上下に間隔をあけてそれぞれ水平方向に配置された上下1対のヘッダパイプ6a、6b同士の間で冷媒が上下方向に流れる、所謂縦流れ式である。この様な縦流れ式のコンデンサ2は、近接設置される図示しないラジエータのコア部との間でフィンを共通化して、これらコンデンサ2とラジエータとのコンパクト化を図れる為、研究されている。この様なコンデンサ2を構成する各ヘッダパイプ6a、6bの内側には、それぞれ1乃至複数枚の隔壁を設けて、各ヘッダパイプ6a、6bの内側を、気密・液密を保持した状態で、複数の室に仕切っている。又、このコンデンサ2のコア部9を構成する複数本の伝熱管7、7は、上記1対のヘッダパイプ6a、6b同士の間に、水平方向に隣り合う伝熱管7、7同士の間にフィン8、8を挟持した状態で、上下方向に配設している。又、これら各伝熱管7、7及びフィン8、8から成るコア部9の左右両端縁部には、それぞれサイドプレート10a、10bを設けている。
【0004】
そして、上側のヘッダパイプ6bの一端(図5の右端)部上面には、入口ブロック11をろう付け固定している。この入口ブロック11には入口ポート12を設け、この入口ポート12を、上記上側のヘッダパイプ6bの一端部内側に通じさせている。上記入口ポート12から送り込まれた冷媒は、図5に矢印で示す様に、上記1対のヘッダパイプ6a、6bの間部分を折り返しつつ流れる。
【0005】
更に、前記上側のヘッダパイプ6bの他端(図5の左端)部で、コンデンサ2の最も下流側に存在する室に対応する部分の上面には、出口管13を固定している。この出口管13は、上記上側のヘッダパイプ6bの他端部内側に通じさせている。上記コンデンサ2に流れ込み、このコンデンサ2内を図5に矢印で示す様に流れた冷媒は、上記上側のヘッダパイプ6bの他端部内側に達する。そして、この冷媒は、上記出口管13から吐出され、リキッドタンク3、膨張弁4を経て、エバポレータ5(図4参照)に送られる。
【0006】
従来考えられていたコンデンサ2の場合、上記出口管13は、図6に示す様に、上側のヘッダパイプ6bの上面に設けた接続孔16を通じこのヘッダパイプ6b内に挿入して、このヘッダパイプ6bの上部空間に開口している。又、この出口管13の外周面と上記接続孔16の内周縁とはろう付により気密且つ液密に接合している。又、前記伝熱管7の上端部は、上記上側のヘッダパイプ6bの下面に設けた接続孔17を通じてこのヘッダパイプ6b内に挿入している。そして、伝熱管7の上端開口部15を、上記上側のヘッダパイプ6bの上下方向中央部に位置させている。従って、図6に示す様に、上記上側のヘッダパイプ6b内に滞溜している液状の冷媒が少量の時(高負荷時)の液面21は、出口管13の先端開口部14まで届かず、液状の冷媒が多量の時(低負荷時)の液面22が、出口管13の先端開口部14まで届く。
尚、ここで言う高負荷時とは、自動車用空調機の設定温度と実際の車内温度との差が大きく、この自動車用空調機内を流れる冷媒の循環が頻繁な状態であり、低負荷時とは、自動車用空調機の設定温度と実際の車内温度との差が小さく、この自動車用空調機内を流れる冷媒の循環が少ない状態である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来構造では、上記上側のヘッダパイプ6b内に滞溜する液状の冷媒が少量の時に、この冷媒の液面21が、出口管13の先端開口部14より下方に位置する結果、出口管13内に液状の冷媒が流入しない。この為、コンデンサ2から膨張弁4に送られる液状の冷媒の量が低下し、エバポレータ5(図4)の温度を低下させる事ができず、自動車用空調機の冷却能力を十分に発揮させる事ができない。
【0008】
これに対して、上記上側のヘッダパイプ6b内に滞溜する液状の冷媒が多量の時には、液面22が出口管13の先端開口部14の上方にまで達し、上述した不都合がなくなる代りに、次の様な問題を生じる。即ち、液面22が伝熱管7の上端開口部15よりも上方に位置する結果、伝熱管7内を上昇して上記上側のヘッダパイプ6b内に流入する冷媒は、このヘッダパイプ6b内に滞溜している液状の冷媒を押し退けつつ、このヘッダパイプ6b内に入り込む。液状の冷媒は、冷媒蒸気に比べて粘性が高く、押し退ける事に対する抵抗も大きい。従って、上記伝熱管7から上記上側のヘッダパイプ6b内に冷媒が入り込む事に対する抵抗、延てはコンデンサ2の抵抗が増大する。コンデンサ2の抵抗の増大は、このコンデンサ2を組み込んだ蒸気圧縮式冷凍機の性能低下につながる為、好ましくない。
本発明のコンデンサは、この様な不都合を何れも解消すべく発明したものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のコンデンサは、前述した従来から考えられているコンデンサと同様に、上下方向に互いに間隔をあけてそれぞれ水平方向に配置された上下1対のヘッダパイプと、これら1対のヘッダパイプ同士の間に設けられ、それぞれの上下両端部を上記各ヘッダパイプの内側に開口させた、互いに平行な複数本の伝熱管と、水平方向に隣り合う伝熱管同士の間に設けられたフィンと、上記1対のヘッダパイプのうち上側のヘッダパイプに設けられた出口管とを備える。
特に、本発明のコンデンサに於いては、上記上側のヘッダパイプ内に存在する上記出口管の先端開口が、上記伝熱管の上端開口部より下方に位置する。
【0010】
更に、好ましくは、上記出口管は、上側のヘッダパイプの上面を上下に貫通する状態で設けられており、この出口管の開口部の下端縁に設けた少なくとも1個の突片の先端縁を、上記上側のヘッダパイプの底面で、且つ、左右に隣り合う伝熱管同士の間部分に突き当てている。
【0011】
【作用】
上述したように構成される本発明のコンデンサは、上側のヘッダパイプに設けられた出口管の先端開口部が水平方向に隣り合う伝熱管の上端開口部よりも下方に位置することにより、液状の冷媒が比較的少量の時でも、出口管の先端開口部は液面よりも下側に位置する。この為、液状の冷媒を出口管の内部に送り込む事が可能となる。又、複数の伝熱管の上端開口部は、常に上記上側のヘッダパイプ内に滞溜する液状の冷媒の液面よりも上方に突出する。この為、この滞溜している液状の冷媒が、上記複数の伝熱管から上側のヘッダパイプ内に吐出する事に対する抵抗にならず、コンデンサの抵抗の低減を図れる。更に、出口管の先端縁を上側のヘッダパイプの底面に突き当てれば、このヘッダパイプに対する出口管の支持剛性を向上させる事ができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1〜2は、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例のコンデンサの基本構成は前述の図5に示した従来構造と同様である。但し、本発明のコンデンサは、上側のヘッダパイプ6bに設けられた出口管13aの先端開口部14aと、水平方向に隣り合う伝熱管7、7の上端開口部15との位置関係の点が、前述した従来のコンデンサとは異なる。そこで、前述した従来構造と同等の部分に就いては、重複する図示及び説明を省略若しくは簡略にし、以下、本発明の特徴部分を中心に説明する。
【0013】
上記各伝熱管7、7の上端開口部15、15は、上側のヘッダパイプ6bの上下方向のほぼ中央部に存在するのに対して、上記出口管13aの先端開口部14aは、上記ヘッダパイプ6bの下半部に存在する。従って、この先端開口部14aは、上記各伝熱管7、7の上端開口部15、15よりも下側に存在する。このように、上記出口管13aの先端開口部14aを上記ヘッダパイプ6bの下半部に存在させている為、このヘッダパイプ6b内に滞溜する液状の冷媒が比較的少量の時でも、出口管13aの先端開口部14aが液面21よりも下側に位置する。この為、上記液状の冷媒が比較的少量の時でも、この液状の冷媒を出口管13aの内部に送り込む事が可能になる。又、上記複数の伝熱管7、7の上端開口部15、15は、常に上記上側のヘッダパイプ6b内に滞溜する液状の冷媒よりも上方に突出する。この為、上記複数の伝熱管7、7内を上昇した冷媒は、常にこのヘッダパイプ6b内の冷媒蒸気内に吐出する。言い換えれば、これら各伝熱管7、7の上端開口部15、15から冷媒が、滞溜している液状の冷媒内に吐出する事がない。この為、この滞溜している液状の冷媒が、上記複数の伝熱管7、7からヘッダパイプ6b内に吐出する冷媒に対する抵抗にはならない。従って、コンデンサ2の抵抗を小さく抑える事ができる。
【0014】
更に、冷媒中に混入してコンデンサ2内を通過する潤滑油が、上記上側のヘッダパイプ6bの下流端部に滞留する事も、有効に防止できる。即ち、コンデンサ2を通過する冷媒中には、コンプレッサ1(図4)を潤滑する為の潤滑油が混入している。又、上記上側のヘッダパイプ6bの一部で冷媒の流れ方向に関して下流端部に於ける冷媒の流速は、この冷媒が凝縮・液化する事に基づく体積減少により、低下している。この為、前述の図6に示した従来構造の場合には、上記下流端部に位置する部分に達した潤滑油が、流動性の低下に基づいて上記上側のヘッダパイプ6bの底面近傍部分に滞留し、出口管13に吐出されにくくなる。これに対して本発明のコンデンサの場合には、上記下流端部に達した潤滑油が、上記出口管13a内に効率良く送り込まれる為、当該部分での潤滑油の滞留を少なく抑え、蒸気圧縮式冷凍機のサイクル内での潤滑油の循環性を向上させる事ができる。
【0015】
次に、図3は、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例のコンデンサは、上述した第1例のコンデンサと同様に構成した上、出口管13bの先端開口部14bの下端縁に、それぞれがこの出口管13bの軸方向に突出する、1対の突片19、19を形成している。そして、この突片19、19の先端縁20、20を、上側のヘッダパイプ6bの底面で左右に隣り合う伝熱管7、7同士の間(図2参照)に突き当てて、突き当て部をろう付けしている。尚、上記突片19、19の数は、2個に限定するものではなく、少なくとも1個あれば足りる。又、出口管13bの先端開口部14bで、上記突片19、19から外れた部分の下端縁と、上側のヘッダパイプ6bの底面との間には、液状の冷媒を通す為に十分な通路が確保されれば良い。
【0016】
以上のように構成した本例の場合、出口管13bは、上側のヘッダパイプ6bに設けられた接続孔16(図1〜2参照)の周縁部分と、このヘッダパイプ6bの底面との2個所位置で支持・固定される。この為、上記出口管13bの取付強度が向上する。その他の構成及び作用は、上述した第1例の場合と同様である為、重複する図示並びに説明は省略する。
【0017】
【発明の効果】
本発明のコンデンサは、以上の様に構成され作用する為、上側のヘッダパイプ内の液状の冷媒の滞溜量に影響されることが少なく、安定した冷却性能を発揮する事が可能となり、しかも抵抗を減少させて、自動車用空調機の性能向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す、図5の拡大B−B断面に相当する図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】本発明の実施の形態の第2例に使用する出口管の端部斜視図。
【図4】コンデンサを組み込んだ蒸気圧縮式冷凍機の回路図。
【図5】本発明の対象となるコンデンサの1例を示す略斜視図。
【図6】従来構造を示す、図1と同様の図。
【符号の説明】
1 コンプレッサ
2 コンデンサ
3 リキッドタンク
4 膨張弁
5 エバポレータ
6a、6b ヘッダパイプ
7 伝熱管
8 フィン
9 コア部
10a、10b サイドプレート
11 入口ブロック
12 入口ポート
13、13a、13b 出口管
14、14a、14b 先端開口部
15 上端開口部
16 接続孔
17 接続孔
19 突片
20 先端部
21、22 液面
【発明の属する技術分野】
この発明に係るコンデンサは、自動車用空調機を構成する蒸気圧縮式冷凍機のコンプレッサとエバポレータとの間に直列に組み込む。そして、コンプレッサで圧縮した冷媒を放熱し凝縮させてから、リキッドタンクを介してエバポレータに送り出す。
【0002】
【従来の技術】
自動車室内の冷房や除湿を行なう自動車用空調機には、蒸気圧縮式冷凍機が組み込まれている。図4は、特開平4−95522号公報に記載された、蒸気圧縮式冷凍機の基本構成を示す回路図である。コンプレッサ1から吐出された高温・高圧のガス状冷媒は、コンデンサ2を通過する間に空気との間で熱交換を行なって温度低下し、凝縮液化する。この結果生じた液状の冷媒は、一度リキッドタンク3に溜められてから、膨張弁4を介してエバポレータ5に送られ、このエバポレータ5内で蒸発する。エバポレータ5の温度は、蒸発潜熱を奪われて低下する為、このエバポレータ5に空調用の空気を流通させれば、この空気の温度を低下させると同時に、この空気中に含まれる水蒸気を取り除く事ができる。エバポレータ5内で蒸発気化した冷媒は、上記コンプレッサ1に吸引されて圧縮され、再び上記サイクルを繰り返す。
【0003】
次に、図5は、本発明の対象となるコンデンサ2を示している。このコンデンサ2は、上下に間隔をあけてそれぞれ水平方向に配置された上下1対のヘッダパイプ6a、6b同士の間で冷媒が上下方向に流れる、所謂縦流れ式である。この様な縦流れ式のコンデンサ2は、近接設置される図示しないラジエータのコア部との間でフィンを共通化して、これらコンデンサ2とラジエータとのコンパクト化を図れる為、研究されている。この様なコンデンサ2を構成する各ヘッダパイプ6a、6bの内側には、それぞれ1乃至複数枚の隔壁を設けて、各ヘッダパイプ6a、6bの内側を、気密・液密を保持した状態で、複数の室に仕切っている。又、このコンデンサ2のコア部9を構成する複数本の伝熱管7、7は、上記1対のヘッダパイプ6a、6b同士の間に、水平方向に隣り合う伝熱管7、7同士の間にフィン8、8を挟持した状態で、上下方向に配設している。又、これら各伝熱管7、7及びフィン8、8から成るコア部9の左右両端縁部には、それぞれサイドプレート10a、10bを設けている。
【0004】
そして、上側のヘッダパイプ6bの一端(図5の右端)部上面には、入口ブロック11をろう付け固定している。この入口ブロック11には入口ポート12を設け、この入口ポート12を、上記上側のヘッダパイプ6bの一端部内側に通じさせている。上記入口ポート12から送り込まれた冷媒は、図5に矢印で示す様に、上記1対のヘッダパイプ6a、6bの間部分を折り返しつつ流れる。
【0005】
更に、前記上側のヘッダパイプ6bの他端(図5の左端)部で、コンデンサ2の最も下流側に存在する室に対応する部分の上面には、出口管13を固定している。この出口管13は、上記上側のヘッダパイプ6bの他端部内側に通じさせている。上記コンデンサ2に流れ込み、このコンデンサ2内を図5に矢印で示す様に流れた冷媒は、上記上側のヘッダパイプ6bの他端部内側に達する。そして、この冷媒は、上記出口管13から吐出され、リキッドタンク3、膨張弁4を経て、エバポレータ5(図4参照)に送られる。
【0006】
従来考えられていたコンデンサ2の場合、上記出口管13は、図6に示す様に、上側のヘッダパイプ6bの上面に設けた接続孔16を通じこのヘッダパイプ6b内に挿入して、このヘッダパイプ6bの上部空間に開口している。又、この出口管13の外周面と上記接続孔16の内周縁とはろう付により気密且つ液密に接合している。又、前記伝熱管7の上端部は、上記上側のヘッダパイプ6bの下面に設けた接続孔17を通じてこのヘッダパイプ6b内に挿入している。そして、伝熱管7の上端開口部15を、上記上側のヘッダパイプ6bの上下方向中央部に位置させている。従って、図6に示す様に、上記上側のヘッダパイプ6b内に滞溜している液状の冷媒が少量の時(高負荷時)の液面21は、出口管13の先端開口部14まで届かず、液状の冷媒が多量の時(低負荷時)の液面22が、出口管13の先端開口部14まで届く。
尚、ここで言う高負荷時とは、自動車用空調機の設定温度と実際の車内温度との差が大きく、この自動車用空調機内を流れる冷媒の循環が頻繁な状態であり、低負荷時とは、自動車用空調機の設定温度と実際の車内温度との差が小さく、この自動車用空調機内を流れる冷媒の循環が少ない状態である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来構造では、上記上側のヘッダパイプ6b内に滞溜する液状の冷媒が少量の時に、この冷媒の液面21が、出口管13の先端開口部14より下方に位置する結果、出口管13内に液状の冷媒が流入しない。この為、コンデンサ2から膨張弁4に送られる液状の冷媒の量が低下し、エバポレータ5(図4)の温度を低下させる事ができず、自動車用空調機の冷却能力を十分に発揮させる事ができない。
【0008】
これに対して、上記上側のヘッダパイプ6b内に滞溜する液状の冷媒が多量の時には、液面22が出口管13の先端開口部14の上方にまで達し、上述した不都合がなくなる代りに、次の様な問題を生じる。即ち、液面22が伝熱管7の上端開口部15よりも上方に位置する結果、伝熱管7内を上昇して上記上側のヘッダパイプ6b内に流入する冷媒は、このヘッダパイプ6b内に滞溜している液状の冷媒を押し退けつつ、このヘッダパイプ6b内に入り込む。液状の冷媒は、冷媒蒸気に比べて粘性が高く、押し退ける事に対する抵抗も大きい。従って、上記伝熱管7から上記上側のヘッダパイプ6b内に冷媒が入り込む事に対する抵抗、延てはコンデンサ2の抵抗が増大する。コンデンサ2の抵抗の増大は、このコンデンサ2を組み込んだ蒸気圧縮式冷凍機の性能低下につながる為、好ましくない。
本発明のコンデンサは、この様な不都合を何れも解消すべく発明したものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のコンデンサは、前述した従来から考えられているコンデンサと同様に、上下方向に互いに間隔をあけてそれぞれ水平方向に配置された上下1対のヘッダパイプと、これら1対のヘッダパイプ同士の間に設けられ、それぞれの上下両端部を上記各ヘッダパイプの内側に開口させた、互いに平行な複数本の伝熱管と、水平方向に隣り合う伝熱管同士の間に設けられたフィンと、上記1対のヘッダパイプのうち上側のヘッダパイプに設けられた出口管とを備える。
特に、本発明のコンデンサに於いては、上記上側のヘッダパイプ内に存在する上記出口管の先端開口が、上記伝熱管の上端開口部より下方に位置する。
【0010】
更に、好ましくは、上記出口管は、上側のヘッダパイプの上面を上下に貫通する状態で設けられており、この出口管の開口部の下端縁に設けた少なくとも1個の突片の先端縁を、上記上側のヘッダパイプの底面で、且つ、左右に隣り合う伝熱管同士の間部分に突き当てている。
【0011】
【作用】
上述したように構成される本発明のコンデンサは、上側のヘッダパイプに設けられた出口管の先端開口部が水平方向に隣り合う伝熱管の上端開口部よりも下方に位置することにより、液状の冷媒が比較的少量の時でも、出口管の先端開口部は液面よりも下側に位置する。この為、液状の冷媒を出口管の内部に送り込む事が可能となる。又、複数の伝熱管の上端開口部は、常に上記上側のヘッダパイプ内に滞溜する液状の冷媒の液面よりも上方に突出する。この為、この滞溜している液状の冷媒が、上記複数の伝熱管から上側のヘッダパイプ内に吐出する事に対する抵抗にならず、コンデンサの抵抗の低減を図れる。更に、出口管の先端縁を上側のヘッダパイプの底面に突き当てれば、このヘッダパイプに対する出口管の支持剛性を向上させる事ができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1〜2は、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例のコンデンサの基本構成は前述の図5に示した従来構造と同様である。但し、本発明のコンデンサは、上側のヘッダパイプ6bに設けられた出口管13aの先端開口部14aと、水平方向に隣り合う伝熱管7、7の上端開口部15との位置関係の点が、前述した従来のコンデンサとは異なる。そこで、前述した従来構造と同等の部分に就いては、重複する図示及び説明を省略若しくは簡略にし、以下、本発明の特徴部分を中心に説明する。
【0013】
上記各伝熱管7、7の上端開口部15、15は、上側のヘッダパイプ6bの上下方向のほぼ中央部に存在するのに対して、上記出口管13aの先端開口部14aは、上記ヘッダパイプ6bの下半部に存在する。従って、この先端開口部14aは、上記各伝熱管7、7の上端開口部15、15よりも下側に存在する。このように、上記出口管13aの先端開口部14aを上記ヘッダパイプ6bの下半部に存在させている為、このヘッダパイプ6b内に滞溜する液状の冷媒が比較的少量の時でも、出口管13aの先端開口部14aが液面21よりも下側に位置する。この為、上記液状の冷媒が比較的少量の時でも、この液状の冷媒を出口管13aの内部に送り込む事が可能になる。又、上記複数の伝熱管7、7の上端開口部15、15は、常に上記上側のヘッダパイプ6b内に滞溜する液状の冷媒よりも上方に突出する。この為、上記複数の伝熱管7、7内を上昇した冷媒は、常にこのヘッダパイプ6b内の冷媒蒸気内に吐出する。言い換えれば、これら各伝熱管7、7の上端開口部15、15から冷媒が、滞溜している液状の冷媒内に吐出する事がない。この為、この滞溜している液状の冷媒が、上記複数の伝熱管7、7からヘッダパイプ6b内に吐出する冷媒に対する抵抗にはならない。従って、コンデンサ2の抵抗を小さく抑える事ができる。
【0014】
更に、冷媒中に混入してコンデンサ2内を通過する潤滑油が、上記上側のヘッダパイプ6bの下流端部に滞留する事も、有効に防止できる。即ち、コンデンサ2を通過する冷媒中には、コンプレッサ1(図4)を潤滑する為の潤滑油が混入している。又、上記上側のヘッダパイプ6bの一部で冷媒の流れ方向に関して下流端部に於ける冷媒の流速は、この冷媒が凝縮・液化する事に基づく体積減少により、低下している。この為、前述の図6に示した従来構造の場合には、上記下流端部に位置する部分に達した潤滑油が、流動性の低下に基づいて上記上側のヘッダパイプ6bの底面近傍部分に滞留し、出口管13に吐出されにくくなる。これに対して本発明のコンデンサの場合には、上記下流端部に達した潤滑油が、上記出口管13a内に効率良く送り込まれる為、当該部分での潤滑油の滞留を少なく抑え、蒸気圧縮式冷凍機のサイクル内での潤滑油の循環性を向上させる事ができる。
【0015】
次に、図3は、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例のコンデンサは、上述した第1例のコンデンサと同様に構成した上、出口管13bの先端開口部14bの下端縁に、それぞれがこの出口管13bの軸方向に突出する、1対の突片19、19を形成している。そして、この突片19、19の先端縁20、20を、上側のヘッダパイプ6bの底面で左右に隣り合う伝熱管7、7同士の間(図2参照)に突き当てて、突き当て部をろう付けしている。尚、上記突片19、19の数は、2個に限定するものではなく、少なくとも1個あれば足りる。又、出口管13bの先端開口部14bで、上記突片19、19から外れた部分の下端縁と、上側のヘッダパイプ6bの底面との間には、液状の冷媒を通す為に十分な通路が確保されれば良い。
【0016】
以上のように構成した本例の場合、出口管13bは、上側のヘッダパイプ6bに設けられた接続孔16(図1〜2参照)の周縁部分と、このヘッダパイプ6bの底面との2個所位置で支持・固定される。この為、上記出口管13bの取付強度が向上する。その他の構成及び作用は、上述した第1例の場合と同様である為、重複する図示並びに説明は省略する。
【0017】
【発明の効果】
本発明のコンデンサは、以上の様に構成され作用する為、上側のヘッダパイプ内の液状の冷媒の滞溜量に影響されることが少なく、安定した冷却性能を発揮する事が可能となり、しかも抵抗を減少させて、自動車用空調機の性能向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す、図5の拡大B−B断面に相当する図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】本発明の実施の形態の第2例に使用する出口管の端部斜視図。
【図4】コンデンサを組み込んだ蒸気圧縮式冷凍機の回路図。
【図5】本発明の対象となるコンデンサの1例を示す略斜視図。
【図6】従来構造を示す、図1と同様の図。
【符号の説明】
1 コンプレッサ
2 コンデンサ
3 リキッドタンク
4 膨張弁
5 エバポレータ
6a、6b ヘッダパイプ
7 伝熱管
8 フィン
9 コア部
10a、10b サイドプレート
11 入口ブロック
12 入口ポート
13、13a、13b 出口管
14、14a、14b 先端開口部
15 上端開口部
16 接続孔
17 接続孔
19 突片
20 先端部
21、22 液面
Claims (2)
- 上下方向に互いに間隔をあけてそれぞれ水平方向に配置された上下1対のヘッダパイプと、これら1対のヘッダパイプ同士の間に設けられ、それぞれの上下両端部を上記各ヘッダパイプの内側に開口させた、互いに平行な複数本の伝熱管と、水平方向に隣り合う伝熱管同士の間に設けられたフィンと、上記1対のヘッダパイプのうち上側のヘッダパイプに設けられた出口管とを備えるコンデンサに於いて、上記上側のヘッダパイプ内に存在する上記出口管の先端開口が、上記伝熱管の上端開口部より下方に位置する事を特徴とするコンデンサ。
- 出口管は、上側のヘッダパイプの上面を上下に貫通する状態で設けられており、この出口管の開口部の下端縁に設けた少なくとも1個の突片の先端縁を、上記上側のヘッダパイプの底面で、且つ、左右に隣り合う伝熱管同士の間部分に突き当てた、請求項1に記載したコンデンサ。
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