JP3611343B2 - 擬似移動層式クロマト分離装置における光学異性体分離のモニター方法、擬似移動層式クロマト分離装置および擬似移動層式クロマト分離方法 - Google Patents

擬似移動層式クロマト分離装置における光学異性体分離のモニター方法、擬似移動層式クロマト分離装置および擬似移動層式クロマト分離方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は擬似移動層式クロマト分離装置における光学異性体分離のモニター方法、擬似移動層式クロマト分離装置および擬似移動層式クロマト分離方法に関し、さらに詳しくは、(1) 擬似移動層式クロマト分離装置を使用して光学異性体混合物から光学異性体を分離する際の光学異性体の分離状態を迅速に判断することができる光学異性体分離のモニター方法、(2) 光学異性体の分離状態を迅速に判断することができ、これによって最適運転条件を決定することにより光学異性体の分離を効率的に行なうことができる擬似移動層式クロマト分離装置、および(3) 最適運転条件の下で光学異性体の分離を効率的に行なうことができる擬似移動層式クロマト分離方法に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
従来の擬似移動層式クロマト分離装置を使用したクロマト分離方法は、内部に充填剤を収容した複数のカラムを直列に連結し、カラムの前端と後端とを流体通路で結合することにより無端状に連結され、内部に液体が一方向に循環している充填床に、分離するべき成分の混合物である原料を含有する原料含有溶液および溶離液を導入し、同時に分離された成分を含有する液と、他の成分を含有する液とを抜き出すことからなり、擬似移動層式クロマト分離装置における前記充填床には、溶離液導入口、吸着されやすい物質を含有する液(エクストラクト;吸着質に富む溶液)の抜き出し口、原料含有溶液導入口、吸着されにくい物質を含有する液(ラフィネート;非吸着質に富む溶液)の抜き出し口が液体の流れ方向に沿ってこの順序で配置され、かつこれらの導入口および抜き出し口は、循環流路内におけるこれらの相対的な位置関係を保持したまま流体の流れ方向に間欠的に逐次移動されるようになっている。
【0003】
従来の擬似移動層式のクロマト分離における分離の状態を監視する方法としては、例えばエクストラクトあるいはラフィネートの抜き出し口が一定時間毎に間欠的に移動する度にその抜き出し口から排出される溶液の濃度を測定する方法が知られている。
【0004】
しかしながら、抜き出し口から排出される液の濃度は前記抜き出し口の間欠的移動の前後で大きく変動し、正確な濃度の変化を監視することが困難であり、また、光学異性体の分離においては、濃度のみの監視によっては分離の状態を正確に監視することができないという問題を有していた。
【0005】
このように従来の擬似移動層式クロマト分離においては、経時的に変化する濃度や光学純度を正確に把握することができず、分離の状態を迅速に判断することができないという問題を有していた。さらに、分離の状態を迅速に判断できないことから、例えば、導入口および抜き出し口を間欠的移動の時間的間隔、循環する流体の流速、温度等の運転条件を最適な条件に設定することが困難であり、効率的なクロマト分離を行なうことができないという問題があった。
【0006】
この発明は前記事情に基づいてなされたものである。すなわち、この発明の目的は、擬似移動層クロマト分離装置の充填床から抜き出される溶液中の成分の濃度および光学純度を連続的に監視することにより光学異性体の分離の状況を連続的に把握することができる光学異性体分離のモニター方法を提供することにある。この発明の他の目的は、光学異性体の分離状況を連続的に監視することにより最適運転条件を見いだし、効率的に光学異性体の分離を行なうことができる擬似移動層クロマト分離装置を提供することにある。この発明の他の目的は、光学異性体の分離状況を連続的に監視して最適運転条件の下で光学異性体の分離操作を行うことのできる擬似移動層式クロマト分離方法を提供することにある。
【0007】
【前記課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、光学異性体分離用充填剤を収容した複数のカラムを無端状に連結し、内部に流体を一方向に強制循環させることのできる循環流体流路と、この循環流体流路に、光学異性体混合物を含む原料溶液を導入する原料溶液導入口と、循環流体流路から非吸着質に富む溶液を抜き出すラフィネート抜き出し口と、溶離液を導入する溶離液導入口および吸着質に富む溶液を抜き出すエクストラクト抜き出し口とを流体の流れ方向にこの順に結合し、かつ、原料溶液導入口、ラフィネート抜き出し口、溶離液導入口およびエクストラクト抜き出し口を、循環している流体の流れ方向に間欠的に移動させるようにしてなる擬似移動層式クロマト分離装置において、
ラフィネート抜き出し口およびエクストラクト抜き出し口の一方または両方の抜き出し口に検出器および旋光計を設け、抜き出し口の流量と検出器から得られる、ステップタイムの1単位以上の時間における検出信号の波形面積とから溶質の濃度を連続的に求め、かつ、旋光計から連続的に得られる検出信号の波形面積と前記溶質の濃度とから光学純度を導き出すことを特徴とする光学異性体分離のモニター方法であり、
請求項2に記載の発明は、光学異性体分離用充填剤を収容した複数のカラムを無端状に連結し、内部に流体を一方向に強制循環させることのできる循環流体流路と、流体の流れ方向に沿って次の順序で配置されたところの、この循環流体流路に、光学異性体混合物を含む原料溶液を導入する原料溶液導入口と、循環流体流路から非吸着質に富む溶液を抜き出すラフィネート抜き出し口と、溶離液を導入する溶離液導入口および吸着質に富む溶液を抜き出すエクストラクト抜き出し口と、前記溶離液導入口、エクストラクト抜き出し口、原料溶液導入口、およびラフィネート抜き出し口を、流体の流れ方向に沿ってカラム1基分づつ間欠的に移動させるように切り替えを行なう切り替え手段と、ラフィネート抜き出し口もしくはエクストラクト抜き出し口またはラフィネート抜き出し口およびエクストラクト抜き出し口に設けられた検出器および旋光計と、抜き出し口の流量と検出器から連続的に得られる検出信号の波形面積とから溶質の濃度を連続的に求め、かつ、旋光計から連続的に得られる検出信号の波形面積と前記溶質の濃度とから光学純度を導き出し、前記各抜き出し口および各導入口を切り替えるステップタイムを調整する演算制御部とを備えてなることを特徴とする擬似移動層式クロマト分離装置であり、
請求項3に記載の発明は、前記検出器が、UV検出器、RI検出器および超音波検出器のいずれかである前記請求項1に記載の光学異性体分離のモニター方法であり、
請求項4に記載の発明は、前記検出器が、UV検出器、RI検出器および超音波検出器のいずれかである前記請求項2に記載の擬似移動層式クロマト分離装置であり、
請求項5に記載の発明は、前記請求項1に記載の光学異性体分離のモニター方法によりモニターされた溶質の濃度および光学純度に基づき、溶離液導入口、エクストラクト抜き出し口、原料を含む溶液の導入口およびラフィネート抜き出し口を、循環している流体の流れ方向に間欠的に移動させるステップタイムを調整することを特徴とする擬似移動層式クロマト分離方法である。
【0008】
【作用】
この発明における擬似移動層式クロマト分離装置においては、光学異性体分離用充填剤を収容した複数のカラムが、パイプ等の配管を介して無端状に連結されることにより、循環流体流路が形成されている。この循環流体流路に、流体の流通方向に沿って、光学異性体のラセミ体混合物を含む原料溶液を導入する原料溶液導入口、非吸着質に富む溶液(ラフィネートとも称される。)を抜き出すラフィネート抜き出し口、この循環流体流路に溶離液を導入する溶離液導入口、および吸着質に富む溶液(エクストラクトとも称される。)を抜き出すエクストラクト抜き出し口がこの順に設けられている。
【0009】
循環流体流路中で一方向に流体を循環させつつ、原料溶液導入口から循環流体流路中に原料を導入すると、原料溶液がカラム中の充填剤と接触し、吸着質成分(吸着の容易な成分であり、強吸着成分とも称される。)が充填剤に吸着され、非吸着質成分(吸着の困難な成分であり、弱吸着成分とも称される。)がラフィネート分として溶離液と共にラフィネート抜き出し口から抜き出される(この工程を吸着工程とも称される)。吸着質成分を吸着した充填剤はエクストラクトの一部と接触し、充填剤上に残存している非吸着質成分が追い出され、吸着質成分が濃縮される(この工程を濃縮工程とも称される。)。濃縮された吸着質成分を含む充填剤は溶離液と接触することにより、吸着質成分が充填剤から追い出され、溶離液を伴ってエクストラクトとしてエクストラクト抜き出し口を介して循環流体流路から抜き出される(この工程を脱着工程とも称される。)。実質的に溶離液のみを吸着した充填剤は、ラフィネートの一部と接触し、充填剤に含まれる溶離液の一部が脱離液回収分としてラフィネート抜き出し口から回収される(この工程を脱離液回収工程とも称される。)。
【0010】
上記の連続的な工程は、導入口および抜き出し口の位置をある時点において固定した状態での有様であるが、各導入口および抜き出し口の位置を所定時間ごとに切り替えると、各カラムについても、前記の切り替え毎に前記と同様の工程が繰り返されることになる。
【0011】
この発明のモニター方法においては、ラフィネート抜き出し口あるいはエクストラクト抜き出し口もしくは両方の抜き出し口に設けられた検出器から出力される検出信号の波形から、抜き出し口から排出される溶液の濃度を求める。
【0012】
この溶液の濃度計算は、検出器の接続されているラフィネート抜き出し口、もしくはエクストラクト抜き出し口あるいは両方の抜き出し口における溶液の流量と、流体の導入口および抜き出し口の位置を間欠的に移動させる時間すなわちステップタイムの1単位以上の時間(換言すると、導入口および抜き出し口の位置を所定の位置から次の位置にまで移送させる時間を一単位としてその単位時間の整数倍の時間)における検出器から得られる濃度の波形の面積値の合計とから、通常の濃度計算法により行われる。この溶液の濃度計算により、抜き出される溶液の濃度の平均濃度が求められる。
【0013】
光学純度は、ラフィネート抜き出し口あるいはエクストラクト抜き出し口もしくは両方の抜き出し口に設けられた旋光計から出力されるところの、前記ステップタイムの1単位以上の時間における波形の面積値の合計と、前記検出器から求められる濃度の値とから、光学異性体混合物の標品の旋光度と濃度との検量線データに基づいて、抜き出される溶液の平均の光学純度として、求められる。
【0014】
前記検出器としては、UV検出器、RI検出器および超音波検出器を採用することができる。いずれの検出器においても、前記各抜き出し口から抜き出される溶液中の溶質の濃度に対応する検出信号を電気信号として出力する。
【0015】
この発明のモニター方法により、抜き出される溶液の濃度および光学純度を監視することができる。この発明のモニター方法により、原料溶液導入口および溶離液導入口ならびにエクストラクト抜き出し口およびラフィネート抜き出し口の位置を次の位置に移動させる時間間隔(この時間間隔は、ステップタイムとも称される。)を短縮あるいは延長することにより、予め定められた光学純度を調整あるいは維持することができる。
【0016】
この発明の擬似移動層式クロマト分離装置においては、抜き出し口に設けられた検出器から演算制御部に検出信号が出力され、また、抜き出し口に設けられた旋光計から演算制御部に検出信号が出力される。演算制御部においては、検出器から出力される検出信号の波形面積から溶質の濃度が計算され、この溶質の濃度と旋光計から出力される検出信号の波形面積とから光学純度が計算される。演算制御部は、光学純度と抜き出し口および導入口を切り替えるステップタイムとの対応表を予め記憶しており、前記の計算された光学純度に対応するステップタイムを前記対応表から求め、求められたステップタイムで各抜き出し口および導入口が切り替わるように制御指令信号を切り替え手段に出力する。切り替え手段は、制御指令信号を入力することにより、定められたステップタイムになるように各抜き出し口および導入口の切り替えを行う。
【0017】
かくして、この発明の擬似移動層式クロマト分離装置によると、抜き出し口に設けられた検出器および旋光計により光学純度を継続的に監視し、得られた光学純度に基づき適正なステップタイムで各抜き出し口および導入口の切り替えを行うので、効率的なクロマト分離を行うことができる。
【0018】
この発明の擬似移動層式クロマト分離方法では、継続的に光学純度をモニターするので、得られる光学純度に基づいて最適のステップタイムを決定することができ、その結果効率的なクロマト分離を行うことができるようになる。
【0019】
【実施例】
以下、本発明について詳説する。
【0020】
図1に示すように、この発明の実施例装置である擬似移動層式クロマトグラフ装置1は、第1〜第8単位カラム(単位充填床とも称される。)2a〜2hを有する。第1単位カラム2aの流体出口と第2単位カラム2bの流体入り口、第2単位カラム2bの流体出口と第3単位カラム2cの流体入り口、以後同様にして第7単位カラム2gの流体出口と第8単位カラム2hの流体入口とが流体通路3aにより相互に接続され、第8単位カラム2hの流体出口と第1単位カラム2aの流体入り口とは流体通路3bにより接続されている。また、各単位カラムと次の単位カラムとを結ぶ流体通路3aには逆止弁4がそれぞれ設けられている。この逆止弁4は、単位カラムから次の単位カラムへと流体を導通させるがその逆の流れを阻止する機能を有する。したがって、この実施例においては、逆止弁4は前記機能を有する限り、その構造に特に制限がなく、公知の逆止弁および今後開発される新規の逆止弁を使用することができる。
【0021】
各単位カラムと隣接する単位カラムとを結ぶ流体通路3aにおいて、単位カラムの流体出口から逆止弁4までの間には第3ロータリーバルブ5に結合された分岐流体通路3cが結合されている。換言すると、この第3ロータリーバルブ5には、第1単位カラム2aと第2単位カラム2bとを連絡する流体通路3aからの流体通路3c、第2単位カラム2bと第3単位カラム2cとを連絡する流体通路3aからの分岐流体通路3c、以下同様にして各単位カラム間の流体通路3aから分岐した8本の分岐流体通路3cを結合している。この第3ロータリーバルブ5は、この8本の分岐流体通路3cの内一本の分岐流体通路3cを選択し、その選択された流体通路3aから流体を抜き出し、他の分岐流体通路3cを閉鎖状態にする機能を有する。かかる機能を有する限り、この第3ロータリーバルブ5の構造については特に制限がなく、従来から公知のロータリーバルブおよび今後開発される新規のロータリーバルブを使用することができる。
【0022】
第3ロータリーバルブ5の吐出側には循環ポンプ6が接続される。循環ポンプ6の吐出側は流体通路3dを介して第4ロータリーバルブ7に接続される。
【0023】
流体通路3dにはその途中から、供給ポンプP を介して溶離液が供給される。したがって、第4ロータリーバルブ7には、流体通路3dを介して流れ込む流体と溶離液とが供給される。この実施例においては、流体通路3dに結合されるところの、供給ポンプP からの配管が、溶離液導入路になる。この第4ロータリーバルブ7の吐出側は8本の流体通路3eに分かれており、各流体通路3eは、それぞれ各単位カラムと次の単位カラムとを連絡する流体通路の、逆止弁4と次の単位カラムの流体入り口との間に結合されている。
【0024】
この第4ロータリーバルブ7は、8本の分岐流体通路3eの内一本の分岐流体通路3eを選択し、同時に他の分岐流体通路3eを閉鎖状態にし、その選択された流体通路3eへ流体を吐出し、これによって特定の単位カラムと次の単位カラムとを結合する流体通路3aに流体を供給する機能を有する。かかる機能を有する限り、この第4ロータリーバルブ7の構造については特に制限がなく、従来から公知のロータリーバルブおよび今後開発される新規のロータリーバルブを使用することができる。
【0025】
図1において8で示すのは第1ロータリーバルブである。この第1ロータリーバルブ8にはポンプP を介して、光学異性体混合物を含有する原料溶液が供給される。この第1ロータリーバルブ8の吐出側には8本の流体通路3fが接続される。この各流体通路3fそれぞれは、それぞれ各単位カラムと次の単位カラムとを連絡する流体通路の、逆止弁4と次の単位カラムの流体入り口との間に結合されている。この実施例においては、第1ロータリーバルブ8の吐出側の8本の流体通路3fのいずれかが、原料溶液導入路になる。
【0026】
この第1ロータリーバルブ8は、8本の分岐流体通路3fの内一本の分岐流体通路3fを選択し、同時に他の分岐流体通路3fを閉鎖状態にし、その選択された流体通路3fへ流体を吐出し、これによって特定の単位カラムと次の単位カラムとを結合する流体通路3aに流体を供給する機能を有する。かかる機能を有する限り、この第1ロータリーバルブ8の構造については特に制限がなく、従来から公知のロータリーバルブおよび今後開発される新規のロータリーバルブを使用することができる。
【0027】
また、この単位カラムと次の単位カラムとを連絡する流体通路3aの、逆止弁4と次の単位カラムの流体入り口との間からは、第2ロータリーバルブ9に接続される分岐流体通路3gが接続されている。この第2ロータリーバルブ9からすると、各単位カラムと次の単位カラムとを連絡する流体通路3aそれぞれから分岐した8本の分岐流体通路3gを結合しており、その内の1本の分岐流体通路3gを開状態にし、他の分岐流体通路3gを閉状態にする。この実施例においては、8本の分岐流体通路3gのいずれかがラフィネート抜き出し流路になる。そして、この第2ロータリーバルブ9は、ポンプP によって流体を吐出するようになっている。
【0028】
この第2ロータリーバルブ9は、8本の分岐流体通路3gの内一本の分岐流体通路3gを選択し、同時に他の分岐流体通路3gを閉鎖状態にし、その選択された流体通路3gから流体を導入し、これによって特定の単位カラムと次の単位カラムとを結合する流体通路3gに流体を排出する機能を有する。かかる機能を有する限り、この第2ロータリーバルブ9の構造については特に制限がなく、従来から公知のロータリーバルブおよび今後開発される新規のロータリーバルブを使用することができる。
【0029】
第2ロータリーバルブ9の吐出口には、吐出ポンプP を介して、ラフィネート抜き出し管11が設けられる。このラフィネート抜き出し管11の途中には、第1UV検出器UVD および第1旋光計PLD がそれぞれ設けられる。
【0030】
この第1UV検出器UVD からは電気信号である検出信号が演算制御部12に出力される。また第1旋光計PLD からは電気信号である検出信号が演算制御部12に出力される。
【0031】
ここで、第1UV検出器UVD としては、前記ラフィネート抜き出し管11から抜き出されるラフィネートに、石英セル等を介して特定波長の紫外線を照射し、弱吸着成分の濃度に応じた特定波長の透過光量の減衰を検出することによりラフィネートの濃度に対応する電気信号を出力することができる機能を有する限り、その構造、種類、型式等については制限がなく、例えば、公知の液体クロマトグラフィー用のUV検出器などを好適に使用することができる。
【0032】
この第1UV検出器UVD からは、ラフィネートの濃度に対応してたとえば図2に示すような変化を有する電気信号が出力される。この電気信号は、第2ロータリーバルブ9を切り替えた瞬間から次の切り替えまでの時間、すなわち、ステップタイムの初期においては0であり、抜き出される液中のラフィネートの濃度が上昇するので時間の経過と信号強度(たとえば電圧、あるいは電流値)が上昇する。
【0033】
ここで、第1旋光計PLD としては、前記ラフィネート抜き出し管11から抜き出されるラフィネートに単色光を照射し、弱吸着成分の濃度に応じた旋光度を検出することによってラフィネートの濃度に対応する電気信号を出力することができる機能を有する限り、その構造、種類、型式等については制限がなく、例えば、公知のLC用旋光計などを好適に使用することができる。前記LC用旋光計としては、例えば昭和電工株式会社製の旋光計OR−1等を挙げることができる。
【0034】
この第1旋光計PLD からは、ラフィネートの濃度に対応して、前記第1UV検出器UVD におけるのと同様に、たとえば図2に示すような変化を有する電気信号が出力される。
【0035】
この単位カラムと次の単位カラムとを連絡する流体通路3aの、逆止弁4と次の単位カラムとの間からは、さらに、第5ロータリーバルブ10に接続される分岐流体通路3hが接続されている。この第5ロータリーバルブ10からすると、各単位カラムと次の単位カラムとを連絡する流体通路3aそれぞれから分岐した8本の分岐流体通路3gを結合しており、その内の1本の分岐流体通路3hを開状態にし、他の分岐流体通路3hを閉状態にする。この実施例においては、8本の分岐流体通路3hのいずれかがエクストラクト抜き出し口になる。
【0036】
この第5ロータリーバルブ10は、8本の分岐流体通路3hの内一本の分岐流体通路3hを選択し、同時に他の分岐流体通路3hを閉鎖状態にし、その選択された流体通路3hから流体を導入し、これによって特定の単位カラムと次の単位カラムとを結合する流体通路3hに流体を排出する機能を有する。かかる機能を有する限り、この第5ロータリーバルブ10の構造については特に制限がなく、従来から公知のロータリーバルブおよび今後開発される新規のロータリーバルブを使用することができる。
【0037】
第5ロータリーバルブ10の吐出口には、吐出ポンプP を介して、エクストラクト抜き出し管13が設けられる。このエクストラクト抜き出し管13の途中には、第2UV検出器UVD および第2旋光計PLD がそれぞれ設けられる。
【0038】
この第2UV検出器UVD および第2旋光計PLD は、第1UV検出器UVD および第1旋光計PLD と同様の構成を有する。
【0039】
ただし、第2UV検出器UVD および第2旋光計PLD から出力される電気信号は、エクストラクトの濃度に対応してたとえば図3に示すような変化を有する電気信号が出力される。この電気信号は、第5ロータリーバルブ10を切り替えた瞬間から次の切り替えまでの時間、すなわち、ステップタイムの初期においては最大値を取り、抜き出される液中のエクストラクトの濃度が減少するので時間の経過と信号強度(たとえば電圧、あるいは電流値)が低下する。
【0040】
この第2UV検出器UVD からは電気信号である検出信号が演算制御部12に出力される。また第2旋光計PLD からは電気信号である検出信号が演算制御部12に出力される。
【0041】
演算制御部12においては、第1UV検出器UVD および第1旋光計PLD ならびに第2UV検出器UVD および第2旋光計PLD からの電気信号を入力し、第1UV検出器UVD から出力される検出信号に基づいてその波形面積からラフィネートの平均濃度が計算される。
【0042】
濃度は、既知の濃度の試料を同流速でUV検出器に導入し、濃度とUV検出器の出力との関係を予め調べておくことにより求めることができる。また、ラフィネートの流量とUV検出器からの出力との関係についても、予め既知の濃度の試料を用いて測定しておくことが望ましい。
【0043】
演算制御部12においては、第1旋光計PLD から出力される検出信号に基づき、その波形面積とラフィネートの濃度とからが光学純度が計算される。
【0044】
光学純度は、次のようにして求めることができる。すなわち、光学純度100%eeの既知の濃度の試料を、同流速で旋光検出器に導入し、前記濃度と旋光度との関係を予め求めておく。そして、実際の運転時における旋光検出器の出力する旋光度の値を、上述の方法により求めたそのときの濃度において光学純度100%eeの試料が示した旋光度の値と比較する。旋光検出器の出力する旋光度の値の、光学純度100%eeの試料が示した旋光度の値に対する比を求める。
【0045】
このようにして光学純度を測定するので、試料の旋光性が大きいほど、測定が容易であり、また高精度で光学純度を測定することができる。
【0046】
通常、ラフィネート中の溶質の濃度および光学純度を前記演算制御部12により求めることにより、ラフィネート中の溶質の濃度および光学純度をモニターすることができる。モニター結果は、図示しない表示装置たとえばCRT、XYプロッター等により表示することができる。
【0047】
そして、モニターの結果に応じて、ステップタイムの自動制御を以下のようにして行うことができる。
【0048】
図4に示すように、ラフィネート中の溶質の濃度および光学純度を演算制御部12で求めた結果、光学純度が所定の値よりも低いときには、ステップタイムを短くするように第1〜5ロータリーバルブ5,7,8,9,10に動作指令信号を出力し、バルブの切り替えタイミングを変更してステップタイムを長くする。また、光学純度が所定の値よりも高いときには、ラフィネート中の溶質の濃度をチェックし、溶質の濃度が低いときには、ステップタイムを短くするように第1〜5ロータリーバルブ5,7,8,9,10に動作指令信号を出力し、バルブの切り替えタイミングを変更してステップタイムを短くする。光学純度が高く、しかも溶質の濃度が高いときには、ステップタイムは適正であると演算制御部12は判断して、従前通りのステップタイムで運転を継続させる。
【0049】
この実施例においては、ラフィネート中の溶質の濃度および光学純度と、エクストラクト中の溶質の濃度および光学純度とを前記演算制御部12により求める。ラフィネートとエクストラクトとについてその溶質の濃度および光学純度をモニターすると、ラフィネートおよびエクストラクトのいずれかだけをモニターする場合に比べて物質収支を得ることができ、液漏れ等のトラブルの早期発見ができるという利点がある。
【0050】
エクストラクト中の溶質の濃度および光学純度をモニターすることによるステップタイムの制御は、通常次のようにして行われる。
【0051】
図5に示すように、エクストラクト中の溶質の濃度および光学純度を演算制御部12で求めた結果、光学純度が所定の値よりも低いときには、ステップタイムを長くするように第1〜5ロータリーバルブ5,7,8,9,10に動作指令信号を出力し、バルブの切り替えタイミングを変更してステップタイムを長くする。また、光学純度が所定の値よりも高いときには、エクストラクト中の溶質の濃度をチェックし、溶質の濃度が低いときには、ステップタイムを短くするように第1〜5ロータリーバルブ5,7,8,9,10に動作指令信号を出力し、バルブの切り替えタイミングを変更してステップタイムを短くする。光学純度が高く、しかも溶質の濃度が高いときには、ステップタイムは適正であると演算制御部12は判断して、従前通りのステップタイムで運転を継続させる。
【0052】
ラフィネート中の溶質の濃度および光学純度を図4に示す手順でモニターし、かつエキストラク中の溶質の濃度および光学純度を図5に示す手順でモニターする場合、いずれの制御方法を優先させるかは、目的とする成分によって異なる。通常、必要な成分が得られる方を優先させて自動制御を行う。例えば、必要な成分がラフィネート中に得られるのであれば図4に示す手順による制御を優先させ、必要な成分がエクストラクト中に得られるのであれば図5に示す手順による制御を優先させる。
【0053】
上記構成の擬似移動層式クロマトグラフ装置1について更に詳述する。
【0054】
図1に示す擬似移動層式クロマトグラフ装置1では、たとえば、第1〜第5ロータリーバルブ5,7,8,9,10は次のような状態に設定されているとする。
【0055】
すなわち、第4ロータリーバルブ7における8本の流体通路3eの内、第8単位カラム2hと第1単位カラム2aとを連絡する液体通路3bに対して開状態となり、他の液体通路3aに対しては閉状態となるように、1本の流体通路3eが選択され、第5ロータリーバルブ10については、第1単位カラム2aと第2単位カラム2bとを連絡する流体通路3aから分岐する分岐流体通路3hのみが開状態になり、他の分岐流体通路3hは閉鎖状態になるように分岐流体通路3hが選択され、第1ロータリーバルブ8については、第3単位カラム2cと第4単位カラム2dとを連絡する流体通路3aへと結合する流体通路3fのみが開状態になり、他の流体通路3fは閉鎖状態になるように流体通路3fが選択され、第2ロータリーバルブ9については、第7単位カラム2gと第8単位カラム2hとを連絡する流体通路3aから分岐する分岐流体通路3gのみが開状態になり、他の分岐流体通路3gは閉鎖状態になるように分岐流体通路3gが選択され、第3ロータリーバルブ5については、第8単位カラム2hと逆止弁4との間の流体通路3cのみが開状態になり他の流体通路3cは閉鎖状態になるように流体通路3cが選択されている。
【0056】
この状態下においては、第1単位カラム2a〜第8単位カラム2h、第8単位カラム2hの流体出口と逆止弁との間の流体通路から分岐して第3ロータリーバルブ5に連絡する流体通路3c、流体通路3d、第4ロータリーバルブ7、第4ロータリーバルブ7から流体通路3cに連絡する流体通路3e、および流体通路3cをこの順に巡る循環流体流路が形成されている。
【0057】
この第1〜第5ロータリーバルブ5,7,8,9,10の切り替えタイミングは、前記演算制御部12からの制御指令信号により制御される。
【0058】
また、各単位カラム2a〜2hには、分離するべき成分を吸着することのできる充填剤が収容される。
【0059】
この充填剤としては、各種の公知の異性体分離用充填剤を使用することができる。例えば、光学異性体分離用充填剤として、光学活性な高分子化合物、および光学分割能を有する低分子化合物を利用した光学分割用充填剤を挙げることができる。前記光学活性な高分子化合物としては、例えば多糖誘導体(セルロースやアミロースのエステルあるいはカルバメート等)、ポリアクリレート誘導体、あるいはポリアミド誘導体をシリカゲルに担持させた充填剤、またはシリカゲルを使用せずに前記ポリマーそのものを粒状にした充填剤を挙げることができる。また、光学分割能を有する低分子化合物としては、例えばアミノ酸あるいはその誘導体、クラウンエーテルあるいはその誘導体、シクロデキストリンあるいはその誘導体等を挙げることができる。これら低分子化合物は、通常シリカゲル、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン、ケイ酸塩、ケイソウ土等の無機担体、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリアクリル酸誘導体などの有機担体に担持して使用される。
【0060】
光学分割用充填剤は市販品を使用することもでき、例えばそれぞれダイセル化学工業(株)製のCHIRALCEL OB(登録商標)、CHIRALCEL OD(登録商標)、CROWNPAK CR(+)(登録商標)、CHIRALCEL CA−1(登録商標)、CHIRALCEL OA(登録商標)、CHIRALCEL OK(登録商標)、CHIRALCEL OJ(登録商標)、CHIRALCEL OC(登録商標)、CHIRALCEL OF(登録商標)、CHIRALCEL OG(登録商標)、CHIRALPAK WH(登録商標)、CHIRALPAK WM(登録商標)、CHIRALPAK WE(登録商標)、CHIRALPAK OT(+) (登録商標)、CHIRALPAK OP(+) (登録商標)、CHIRALPAK AS(登録商標)、CHIRALPAK AD(登録商標)等を好適例として挙げることができる。
【0061】
各単位カラム2a〜2h中に充填される充填剤の平均粒径は、分離しようとする成分の種類、各単位カラム内に流通する溶媒の体積流通速度等に応じて様々に変化するのであるが、通常1〜300μm、好ましくは5〜100μmである。もっとも、擬似移動床内での圧力損失を小さく抑制するのであれば、15〜100μmに充填剤の平均粒径を調整しておくのが望ましい。充填剤の平均粒径が上記範囲内にあると擬似移動床における圧損を少なくすることができ、例えば10kgf/cm 以下に抑制することもできる。一方、充填剤の平均粒径が大きくなればなるほど吸着理論段数は低下する。したがって、実用的な吸着理論段数が達成されることだけを考慮するなら、前記充填剤の平均粒径は、通常15〜75μmである。
【0062】
第4ロータリーバルブ7に供給される溶離液としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、ヘキサン等の炭化水素類、ハロゲン化物、エーテル、ケトン、エステルなどの有機溶媒、例えば硫酸銅水溶液や過塩素酸塩水溶液等の塩を含有する水溶液を挙げることができる。いずれの溶離液が好ましいかは、分離しようとする成分あるいは化合物の種類に応じて適宜に決定される。
【0063】
第1ロータリーバルブ8に供給される原料溶液としては、光学分割の必要性のある物質であれば特に制限がなく、例えば医薬、農薬、食品、飼料、香料等の分野で使用される各種の化合物例えば医薬品のサリドマイド、有機リン系の農薬であるEPN、化学調味料であるグルタミン酸モノナトリウム塩、香料であるメントール等を挙げることができ、さらには光学活性なアルコール類、光学活性なエステル類等々を挙げることができる。
【0064】
図1に示す擬似移動層式クロマトグラフ装置において、第8単位カラム2hと第1単位カラム2aとを連絡する流体通路3bに、第4ロータリーバルブ7を介して溶離液を供給すると、逆止弁4は逆流防止機能が発揮されると共に、第8単位カラム2hから排出された流体は流体通路3cを介して第3ロータリーバルブ5に導出され、導出された流体は、第3ロータリーバルブ5、循環ポンプ6、第4ロータリーバルブ7、流体通路3eおよび流体通路3bを介して第1単位カラム2aに導入される。
【0065】
図1に示す擬似移動層式クロマトグラフ装置においては、(1) 吸着工程として、第4単位カラム2d〜第7単位カラム2gによって、原料混合物が充填剤と接触し、充填剤に吸着容易な成分(強吸着成分)が吸着され、吸着困難な他の成分(弱吸着成分)がラフィネート分として溶離液と共に回収され、(2) 濃縮工程として、第2単位カラム2b〜第3単位カラム2cによって、強吸着成分を吸着した充填剤がエクストラクトの一部と接触し、充填剤上に残存している弱吸着成分が追い出され、強吸着成分が濃縮され、(3) 脱着工程として、第1単位カラム2aによって、濃縮された強吸着成分を含む充填剤が溶離液と接触させられ、強吸着成分が充填剤から追い出され、溶離液を伴ってエクストラクト分として擬似流動床から排出され、(4) 溶離液回収工程として、第8単位カラム2hによって、実質的に溶離液のみを吸着した充填剤が、ラフィネート分の一部と接触し、充填剤に含まれる溶離液の一部が溶離液回収分として回収される。
【0066】
かかる擬似移動層式クロマトグラフ装置では、一定時間間隔毎に第1〜第5ロータリーバルブ5,7,8,9,10の操作により溶離液の供給位置、原料溶液の供給位置および各抜き出し位置を溶媒の流通方向に単位カラム1基分だけ移動させる。
【0067】
したがって、第2段階では、第2単位カラム2bにより脱着工程、第3単位カラム2cおよび第4単位カラム2dにより濃縮工程、第5単位カラム2e〜第82hにより吸着工程、第1単位カラム2aにより溶離液回収工程がそれぞれ行われるようになる。
【0068】
この場合、第1UV検出器UVD および第1UV検出器UVD から演算制御部12に検出信号が出力され、演算制御部12においてラフィネート中の溶質の濃度および光学純度が求められ、モニターされる。また第2UV検出器UVD および第2UV検出器UVD から演算制御部12に検出信号が出力され、演算制御部12においてエクストラクト中の溶質の濃度および光学純度が求められ、モニターされる。ラフィネートのモニター結果およびエクストラクトのモニター結果に基づいて、演算制御部12から第1〜5ロータリーバルブ5、7〜10から制御指令信号が出力され、ステップタイムの時間が調整される。
【0069】
このような動作を行うことにより、各工程が単位カラム1基づつずれていき、類似した化合物の混合物の分離処理が連続的に効率よく達成される。
【0070】
また、この擬似移動層式クロマトグラフ装置1においては、流体通路3bを介して各単位カラムから抜き出される流体の量は一定であるから、第3ロータリーバルブ5に接続された循環ポンプ6における吐出量を第3ロータリーバルブ5の切り替え毎に調整する必要がない。
【0071】
【発明の効果】
本発明の方法によると、擬似移動層クロマト分離装置の充填床から抜き出される溶液中の成分の濃度および光学純度の経時的変化を連続的に監視することができ、この濃度および光学純度を監視することにより擬似移動層式クロマト分離装置運転中における光学異性体の分離の状況を迅速に把握することができる。
【0072】
更に、光学異性体の分離の状況に応じて擬似移動層式クロマト分離装置の運転条件を適宜変更することにより、最適な運転条件での運転が可能となり効率的に光学異性体をクロマト分離することができる。
【0073】
また、光学異性体の分離の状況を連続的に監視することにより最適運転条件を見いだすことができ、効率的な光学異性体の分離ができる擬似移動層クロマト分離装置を提供することができる。さらに、光学異性体の分離の状況に応じて運転条件を自動的に適宜変更することができる擬似移動層クロマト分離装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はこの発明における擬似移動層式クロマト分離装置の概念説明図である。
【図2】図2はラフィネート抜き出し口に接続された検出器から出力される数値データの時間的変化を示すグラフである。
【図3】図3はエクストラクト抜き出し口に接続された検出器から出力される数値データと時間的変化を示すグラフである。
【図4】図4はラフィネートの濃度および光学純度から、溶液の導入口および抜き出し口を移動する間隔(ステップタイム)を制御する方法を示す流れ図である。
【図5】図4はエクストラクトの濃度および光学純度から、溶液の導入口および抜き出し口を移動する間隔(ステップタイム)を制御する方法を示す流れ図である。
【符号の説明】
1・・・擬似移動層式クロマトグラフ装置、2a〜2h・・・単位カラム、3a〜3h・・・流体通路、4・・・逆止弁、5・・・第3ロータリーバルブ、6・・・循環ポンプ、7・・・第4ロータリーバルブ、8・・・第1ロータリーバルブ、9・・・第2ロータリーバルブ、10・・・第5ロータリーバルブ、11・・・ラフィネート抜き出し管、12・・・演算制御部、13・・・エクストラクト抜き出し管、UVD ・・・第1UV検出器、UVD ・・・第2UV検出器、PLD ・・・第1旋光計、PLD ・・・第2旋光計。

Claims (5)

  1. 光学異性体分離用充填剤を収容した複数のカラムを無端状に連結し、内部に流体を一方向に強制循環させることのできる循環流体流路と、この循環流体流路に、光学異性体混合物を含む原料溶液を導入する原料溶液導入口と、循環流体流路から非吸着質に富む溶液を抜き出すラフィネート抜き出し口と、溶離液を導入する溶離液導入口および吸着質に富む溶液を抜き出すエクストラクト抜き出し口とを流体の流れ方向にこの順に結合し、かつ、原料溶液導入口、ラフィネート抜き出し口、溶離液導入口およびエクストラクト抜き出し口を、循環している流体の流れ方向に間欠的に移動させるようにしてなる擬似移動層式クロマト分離装置において、
    ラフィネート抜き出し口およびエクストラクト抜き出し口の一方または両方の抜き出し口に検出器および旋光計を設け、抜き出し口の流量と検出器から得られる、ステップタイムの1単位以上の時間における検出信号の波形面積とから溶質の濃度を連続的に求め、かつ、旋光計から連続的に得られる検出信号の波形面積と前記溶質の濃度とから光学純度を導き出すことを特徴とする光学異性体分離のモニター方法。
  2. 光学異性体分離用充填剤を収容した複数のカラムを無端状に連結し、内部に流体を一方向に強制循環させることのできる循環流体流路と、流体の流れ方向に沿って次の順序で配置されたところの、この循環流体流路に、光学異性体混合物を含む原料溶液を導入する原料溶液導入口と、循環流体流路から非吸着質に富む溶液を抜き出すラフィネート抜き出し口と、溶離液を導入する溶離液導入口および吸着質に富む溶液を抜き出すエクストラクト抜き出し口と、前記溶離液導入口、エクストラクト抜き出し口、原料溶液導入口、およびラフィネート抜き出し口を、流体の流れ方向に沿ってカラム1基分づつ間欠的に移動させるように切り替えを行なう切り替え手段と、ラフィネート抜き出し口もしくはエクストラクト抜き出し口またはラフィネート抜き出し口およびエクストラクト抜き出し口に設けられた検出器および旋光計と、抜き出し口の流量と検出器から連続的に得られる検出信号の波形面積とから溶質の濃度を連続的に求め、かつ、旋光計から連続的に得られる検出信号の波形面積と前記溶質の濃度とから光学純度を導き出し、前記各抜き出し口および各導入口を切り替えるステップタイムを調整する演算制御部とを備えてなることを特徴とする擬似移動層式クロマト分離装置。
  3. 前記検出器が、UV検出器、RI検出器および超音波検出器のいずれかである前記請求項1に記載の光学異性体分離のモニター方法。
  4. 前記検出器が、UV検出器、RI検出器および超音波検出器のいずれかである前記請求項2に記載の擬似移動層式クロマト分離装置。
  5. 前記請求項1に記載の光学異性体分離のモニター方法によりモニターされた溶質の濃度および光学純度に基づき、溶離液導入口、エクストラクト抜き出し口、原料を含む溶液の導入口およびラフィネート抜き出し口を、循環している流体の流れ方向に間欠的に移動させるステップタイムを調整することを特徴とする擬似移動層式クロマト分離方法。
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