JP3611248B2 - 微細パターンの形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はホトリソグラフィ技術分野における微細パターンの形成方法に関する。さらに詳しくは、近年の半導体デバイスの集積化、微小化に対応し得る微細パターンの形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイス、液晶デバイス等の電子部品の製造においては、基板にエッチングなどの処理を施すに際し、活性放射線に感応するいわゆる感放射線ホトレジストを用いて基板上に被膜(ホトレジスト層)を設け、次いでこれを活性放射線で選択的に照射して露光し、現像処理を行って、ホトレジスト層を選択的に溶解除去して基板上に画像パターン(ホトレジストパターン)を形成し、これを保護層(マスクパターン)として基板にホールパターン、トレンチパターン等のコンタクト用パターンなどの各種パターンを形成するホトリソグラフィー技術が用いられている。
【0003】
近年、半導体デバイスの集積化、微小化の傾向が高まり、これらパターンの形成についても微細化が進み、現在パターン幅0.20μm以下の超微細加工が要求されており、マスクパターン形成に用いられる活性光線も、KrF、ArF、F2エキシマレーザー光や、電子線などの短波長の照射光が利用され、マスクパターン形成材料としてのホトレジスト材料についても、これらの照射光に対応した物性をもつものの研究・開発が行われている。
【0004】
このようなホトレジスト材料の面からの超微細化対応策に加え、パターン形成方法の面からも、ホトレジスト材料のもつ解像度の限界を超える技術の研究・開発が行われている。
【0005】
例えば、特開平5−166717号公報では、基板上に塗布したパターン形成用レジストに抜きパターンを形成した後、該パターン形成用レジストとミキシングするミキシング生成用レジストを基板全面に塗布した後、ベークして、ミキシング層をパターン形成用レジスト側壁〜表面に形成し、前記ミキシング生成用レジストの非ミキシング部分を除去して、上記ミキシング層寸法分の微細化を図った抜きパターン形成方法が開示されている。また特開平5−241348号公報では、酸発生剤を含有するレジストパターンを形成した基板上に、酸の存在下で不溶化する樹脂を被着した後、熱処理し、前記樹脂にレジストから酸を拡散させて樹脂とレジストパターン界面付近に一定厚さのレジストを形成した後、現像して、酸の拡散がされていない樹脂部分を除去することにより、上記一定の厚さ寸法分の微細化を図ったパターン形成方法が開示されている。
【0006】
しかしながらこれらの方法は、レジストパターン側壁に形成される層の厚さのコントロールが難しく、ウェーハ面内の熱依存性が十数nm/℃程度と大きく、現在の半導体デバイスの製造で用いられる加熱装置ではウェーハ面内を均一に保つことが非常に困難であり、パターン寸法のバラツキの発生を抑制することができないという問題がある。
【0007】
一方、レジストパターンを熱処理等で流動化させパターン寸法を微細化する方法も知られている。例えば特開平1−307228号公報では、基板上にレジストパターンを形成した後、熱処理を行い、レジストパターンの断面形状を矩形から半円状へと変形させ底辺長を増大させることにより、微細なパターンを形成する方法が開示されている。また特開平4−364021号公報では、レジストパターンを形成した後、その軟化温度の前後に加熱し、レジストの流動化によりそのパターン寸法を変化させて微細なパターンを形成する方法が開示されている。
【0008】
これらの方法は、ウェーハ面内の熱依存性は数nm/℃程度であり、この点での問題点は少ないものの、熱処理によるレジストの変形・流動のコントロールが困難なため、ウェーハ面内で均一なレジストパターンを設けることが難しいという問題がある。
【0009】
上記方法をさらに発展させた方法として、例えば特開平7−45510号公報では、基板上にレジストパターンを形成した後、該基板上に前記レジストパターンの流動しすぎを防止するためのストッパとしての樹脂を形成し、次いで熱処理し、レジストを流動化させてパターン寸法を変化させた後、樹脂を除去して微細なパターンを形成する方法が開示されている。そして上記樹脂として、具体的にはポリビニルアルコールを用いているが、ポリビニルアルコールは、水に対する溶解性が不十分なため水洗で完全に除去することが難しく、そのため良好なプロフィルのパターンの形成が難しく、また経時安定性の面でも必ずしも満足し得るものとはいえない。
【0010】
さらに現在、ホトレジストパターンを有する基板上に被覆材料を塗布する際、気泡(マイクロフォーム)発生という問題があり、これが最終的にはディフェクトと呼ばれるパターン欠陥の発生に関係しているといわれることから、このような問題点も併せて解決し得る技術が要求されている。
【0011】
この点に関し、被覆材料(樹脂)の形成方法についての改良はこれまであまり検討されておらず、上記先行技術においても被覆材料(樹脂溶液)の形成方法についての言及はなされていない。
【0012】
しかしながらパターンのますますの微細化が要求される現況にあっては、ホトレジストパターン上に被覆する被覆材料の塗布性の向上が要求されている。特に磁気ヘッド等の厚膜のホトレジスト層を形成する必要がある分野においては、該被覆材料を厚膜のホトレジストパターン上に完全に被覆し得る技術が必要とされる。完全に被覆し得ない場合には、ホトレジストパターンの面内均一性悪化、形状悪化、あるいは微細化の効率低下(すなわち熱の保持性能の低下)等の問題が生じる。
【0013】
これに関し、従来の被覆材料の塗布形成方法は、回転塗布法においては、例えば図1の「従来方法」プロセスに示すように、ホトレジストパターンを有する基板上に被覆材料(樹脂)を滴下した後、該基板を回転開始から短時間で所定の高回転数まで上げ、次いでその高回転数を維持して被覆材料の塗布を行う方法が一般的である。しかしながらこの場合、特にホトレジストパターンが厚膜の場合などにおいては、被覆材料の均一塗布が難しく、ホトレジストパターンを完全に被覆材料で覆うことができないといった不具合を生じやすい。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、特に水溶性被覆形成剤を用いたパターンの微細化において、パターン寸法の制御性に優れるとともに、良好なプロフィルおよび半導体デバイスにおける要求特性を備えた微細パターンの形成方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明者らは、これまであまり検討されてこなかった被覆材料(樹脂)の塗布形成方法の改良について着目し、被覆材料を被塗布体上に回転塗布する際、被塗布体の回転を適切にコントロールすることによって、上記従来の課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】
すなわち本発明は、ホトレジストパターンを有する基板上に、水溶性樹脂被覆形成剤を被塗布体上に滴下しながらあるいは滴下した後、被塗布体を所定の高回転数まで回転数を上げる工程(第1工程)、該所定の高回転数を維持する工程(第2工程)、該所定の高回転数から所定の低回転数まで回転数を下げる工程(第3工程)、および該所定の低回転数を維持する工程(第4工程)を含む回転塗布方法により水溶性樹脂被覆形成剤を被覆した後、熱処理を行うことにより該被覆形成剤を熱収縮させ、その熱収縮作用を利用してホトレジストパターン間の間隔を狭小せしめ、次いで上記被覆形成剤を除去する工程を含む、微細パターンの形成方法に関する。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。
【0019】
本発明の微細パターンの形成方法は、図1の「本発明方法」プロセスに示すように、水溶性樹脂被覆形成剤を被塗布体上に滴下しながらあるいは滴下した後、被塗布体を所定の高回転数まで回転数を上げる工程(第1工程)、該所定の高回転数を維持する工程(第2工程)、該所定の高回転数から所定の低回転数まで回転数を下げる工程(第3工程)、および該所定の低回転数を維持する工程(第4工程)を含む。
【0020】
上記第1工程では、水溶性樹脂被覆形成剤を被塗布体上に滴下しながらあるいは滴下した後、回転開始から通常、1〜2秒間かけて目的とする所定の高回転数まで上げるのが好ましい。この時間が短すぎると塗布性が悪くなり、一方、長すぎると被塗布体上に塗布液(水溶性樹脂被覆形成剤)が均一に広がらないという問題が生ずる。
【0021】
回転数の上げ方は、所定の高回転数まで一気に高めてもいいが、好ましくは、いったん中間程度の回転数レベルまで上げて被塗布体上で塗布液を一度拡散させ、その後に所定の高回転数まで上げるのが好ましい。この中回転数レベルでの回転は回転開始から0.5〜1秒間程度の間行うのが好ましい。
【0022】
続く第2工程では、上記所定の高回転数を短時間維持する。この所定の高回転数は、具体的には1000〜4000rpmが好ましく、特には1500〜3000rpmである。回転数が低すぎると塗布液が被塗布体上に均一に広がらないという問題が生じ、一方、回転数が高すぎると、被覆が厚膜の場合、その厚膜を維持することが難しくなる。
【0023】
該第2工程においては、塗布液を被塗布体全面に広げることが必要であるが、0.3〜2秒間程度以内の短時間でこの高回転数維持工程を完了するのが好ましい。第2工程の時間が長すぎると、被覆が厚膜の場合、その厚膜の維持が困難であり、一方、短すぎると塗布液が被塗布体上に均一に広がり難いという問題が生ずる。
【0024】
続く第3工程では、上記所定の高回転数から、所定の低回転数まで回転数を下げるが、通常、0.5〜2秒間程度で目的の低回転数まで下げるのが好ましい。これよりも長い時間をかけて回転数を下げることは、歩留まりの低下や、膜厚維持が困難であるなどの点からも好ましくない。
【0025】
続く第4工程では、該所定の低回転数を維持するが、この低回転数は500〜1500rpmが好ましく、特には700〜1200rpmであるが、上記高回転数よりも低い回転数となる限りにおいて、上記好適回転数範囲内において適宜、決定するのがよい。第4工程の回転数が高すぎると膜厚維持が困難であり、一方、回転数が低すぎると膜厚の面内均一性が劣化する、あるいは歩留まりの低下などの点で好ましくない。
【0026】
この所定の低回転数を維持する時間は、従来方法に比べてやや長くするのが好ましく、通常、30秒間以上とするのが好ましい。これよりも短い時間では乾燥不完全によりエッジリンスができないなどの問題が生じ、一方、長すぎれば歩留まりの低下や、面内均一性の悪化などの問題が生じやすい。
【0027】
被塗布体としては、ホトリソグラフィー分野において適用され得るものであれば特に限定されるものでなく、例えば基板上に設けられた層間膜等の絶縁膜やホトレジストパターンなどが例示される。本発明では特に、ホトレジストパターンを有する基板への塗布に有用であるが、これに限定されるものでないことはもちろんである。
【0028】
本発明方法で用いられる水溶性樹脂被覆形成剤としては、室温で水に溶解し得るポリマーを含有するものが好ましく、該水溶性ポリマーとしては、アクリル系重合体、ビニル系重合体、セルロース系誘導体、アルキレングリコール系重合体、尿素系重合体、メラミン系重合体、エポキシ系重合体、アミド系重合体などが好ましく用いられる。
【0029】
アクリル系重合体としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、アクリロイルモルホリン等の単量体を構成成分とする重合体または共重合体が挙げられる。
【0030】
ビニル系重合体としては、例えば、N−ビニルピロリドン、ビニルイミダゾリジノン、酢酸ビニル等の単量体を構成成分とする重合体または共重合体が挙げられる。
【0031】
セルロース系誘導体としては、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースヘキサヒドロフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロール、セルロールアセテートヘキサヒドロフタレート、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース等が挙げられる。
【0032】
アルキレングリコール系重合体としては、例えば、エチレングリコール、プロピレンググリコール等の付加重合体または付加共重合体などが挙げられる。
【0033】
尿素系重合体としては、例えば、メチロール化尿素、ジメチロール化尿素、エチレン尿素等を構成成分とするものが挙げられる。
【0034】
メラミン系重合体としては、例えば、メトキシメチル化メラミン、メトキシメチル化イソブトキシメチル化メラミン、メトキシエチル化メラミン等を構成成分とするものが挙げられる。
【0035】
さらに、エポキシ系重合体、ナイロン系重合体などの中で水溶性のものも用いることができる。
【0036】
中でも、アルキレングリコール系重合体、セルロース系重合体、ビニル系重合体、アクリル系重合体の中から選ばれる少なくとも1種を含む構成とするのが好ましく、特には、pH調整が容易であるという点からアクリル系重合体が最も好ましい。さらには、アクリル系重合体と、アクリル系重合体以外の水溶性ポリマーとの共重合体とすることが、加熱処理時にホトレジストパターンの形状を維持しつつ、ホトレジストパターン間隔の収縮効率を高くすることができるという点から好ましい。水溶性ポリマーは1種または2種以上を用いることができる。
【0037】
水溶性ポリマーは、共重合体として用いた場合、構成成分の配合比は特に限定されるものでないが、特に経時安定性を重視するなら、アクリル系重合体の配合比を、それ以外の他の構成重合体よりも多くすることが好ましい。なお、経時安定性の向上は、アクリル系重合体を上記のように過多に配合する以外に、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等の酸性化合物を添加することにより解決することも可能である。
【0038】
界面活性剤も好ましく含有される。該界面活性剤としては、特に限定されるものでないが、上記水溶性ポリマーに添加した際、溶解性が高く、懸濁を発生せず、ポリマー成分に対する相溶性がある、等の特性が必要である。このような特性を満たす界面活性剤を用いることにより、従来問題となっていた、特に被覆用材料を塗布する際の気泡(マイクロフォーム)発生と関係があるとされる、ディフェクトの発生をより効果的に防止することができる。
【0039】
上記の点から、本発明では、界面活性剤としてはN−アルキルピロリドン系界面活性剤、第4級アンモニウム塩系界面活性剤、およびポリオキシエチレンのリン酸エステル系界面活性剤の中から選ばれる少なくとも1種が好ましく用いられる。
【0040】
N−アルキルピロリドン系界面活性剤としては、下記一般式(I)
【0041】
【0042】
(式中、R1は炭素原子数6以上のアルキル基を示す)
で表されるものが好ましい。
【0043】
かかるN−アルキルピロリドン系界面活性剤として、具体的には、N−ヘキシル−2−ピロリドン、N−へプチル−2−ピロリドン、N−オクチル−2−ピロリドン、N−ノニル−2−ピロリドン、N−デシル−2−ピロリドン、N−デシル−2−ピロリドン、N−ウンデシル−2−ピロリドン、N−ドデシル−2−ピロリドン、N−トリデシル−2−ピロリドン、N−テトラデシル−2−ピロリドン、N−ペンタデシル−2−ピロリドン、N−ヘキサデシル−2−ピロリドン、N−ヘプタデシル−2−ピロリドン、N−オクタデシル−2−ピロリドン等が挙げられる。中でもN−オクチル−2−ピロリドン(「SURFADONE LP100」;ISP社製)が好ましく用いられる。
【0044】
第4級アンモニウム系界面活性剤としては、下記一般式(II)
【0045】
【0046】
〔式中、R2、R3、R4、R5はそれぞれ独立にアルキル基またはヒドロキシアルキル基を示し(ただし、そのうちの少なくとも1つは炭素原子数6以上のアルキル基またはヒドロキシアルキル基を示す);X−は水酸化物イオンまたはハロゲンイオンを示す〕
で表されるものが好ましい。
【0047】
かかる第4級アンモニウム系界面活性剤として、具体的には、ドデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、トリデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ペンタデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、へプタデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、オクタデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。中でも、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシドが好ましく用いられる。
【0048】
ポリオキシエチレンのリン酸エステル系界面活性剤としては、下記一般式(III)
【0049】
【0050】
(式中、R6は炭素原子数1〜10のアルキル基またはアルキルアリル基を示し;R7は水素原子または(CH2CH2O)R6(ここでR6は上記で定義したとおり)を示し;nは1〜20の整数を示す)
で示されるものが好ましい。
【0051】
かかるポリオキシエチレンのリン酸エステル系界面活性剤としては、具体的には「プライサーフA212E」、「プライサーフA210G」(以上、いずれも第一工業製薬(株)製)等として市販されているものを好適に用いることができる。
【0052】
これら界面活性剤の中でも、特にディフェクト低減の点からは、ポリオキシエチレンのリン酸エステル系界面活性剤が好ましく用いられる。
【0053】
界面活性剤の配合量は、被覆形成剤(固形分)に対して0.1〜10質量%程度とするのが好ましく、特には0.2〜2質量%程度である。上記配合量範囲を外れた場合、塗布性の悪化に起因する、面内均一性の低下に伴うパターンの収縮率のバラツキ、あるいはマイクロフォームと呼ばれる塗布時に発生する気泡に因果関係が深いと考えられるディフェクトの発生といった問題が生じるおそれがある。
【0054】
本発明に用いられるパターン微細化用被覆形成剤には、不純物発生防止、pH調整等の点から、所望により、さらに水溶性アミンを配合してもよい。
【0055】
かかる水溶性アミンとしては、25℃の水溶液におけるpKa(酸解離定数)が7.5〜13のアミン類が挙げられる。具体的には、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等のアルカノールアミン類;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、プロピレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、N−エチル−エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン等のポリアルキレンポリアミン類;2−エチル−ヘキシルアミン、ジオクチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリアリルアミン、ヘプチルアミン、シクロヘキシルアミン等の脂肪族アミン;ベンジルアミン、ジフェニルアミン等の芳香族アミン類;ピペラジン、N−メチル−ピペラジン、メチル−ピペラジン、ヒドロキシエチルピペラジン等の環状アミン類等が挙げられる。中でも、沸点140℃以上(760mmHg)のものが好ましく、例えばモノエタノールアミン、トリエタノールアミン等が好ましく用いられる。
【0056】
水溶性アミンを配合する場合、被覆形成剤(固形分)に対して0.1〜30質量%程度の割合で配合するのが好ましく、特には2〜15質量%程度である。0.1質量%未満では経時による液の劣化が生じるおそれがあり、一方、30質量%超ではホトレジストパターンの形状悪化を生じるおそれがある。
【0057】
また本発明に用いられるパターン微細化用被覆形成剤には、ホトレジストパターン寸法の微細化、ディフェクトの発生抑制などの点から、所望により、さらに非アミン系水溶性有機溶媒を配合してもよい。
【0058】
かかる非アミン系水溶性有機溶媒としては、水と混和性のある非アミン系有機溶媒であればよく、例えばジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ビス(2−ヒドロキシエチル)スルホン、テトラメチレンスルホン等のスルホン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等のアミド類;N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−プロピル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシメチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン等のラクタム類;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジイソプロピル−2−イミダゾリジノン等のイミダゾリジノン類;エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、グリセリン、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール等の多価アルコール類およびその誘導体が挙げられる。中でも、ホトレジストパターン寸法の微細化、ディフェクト発生抑制の点から多価アルコール類およびその誘導体が好ましく、特にはグリセリンが好ましく用いられる。非アミン系水溶性有機溶媒は1種または2種以上を用いることができる。
【0059】
非アミン系水溶性有機溶媒を配合する場合、水溶性ポリマーに対して0.1〜30質量%程度の割合で配合するのが好ましく、特には0.5〜15質量%程度である。上記配合量が0.1質量%未満ではディフェクト低減効果が低くなりがちであり、一方、30質量%超ではホトレジストパターンとの間でミキシング層を形成しがちとなり、好ましくない。
【0060】
本発明に用いられるパターン微細化用被覆形成剤は、3〜50質量%濃度の水溶液として用いるのが好ましく、5〜20質量%濃度の水溶液として用いるのが特に好ましい。濃度が3質量%未満では基板への被覆不良となるおそれがあり、一方、50質量%超では、濃度を高めたことに見合う効果の向上が認められず、取扱い性の点からも好ましくない。
【0061】
なお、本発明に用いられるパターン微細化用被覆形成剤は、上記したように溶媒として水を用いた水溶液として通常用いられるが、水とアルコール系溶媒との混合溶媒を用いることもできる。アルコール系溶媒としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の1価アルコール等が挙げられる。これらのアルコール系溶媒は、水に対して30質量%程度を上限として混合して用いられる。
【0062】
本発明に用いられるパターン微細化用被覆形成剤は、ホトレジスト材料のもつ解像度の限界を超えるほどに解像性を向上させる効果を奏し、また基板面内におけるパターンのバラツキを是正して面内均一性を得ることができ、さらに、露光光の基板からの反射光等に起因するパターン形状の乱れ(ラフネス)を是正してプロフィルの良好なパターンを形成することができる。さらに、ディフェクト発生を抑制することができる効果を奏する。
【0063】
本発明に係る微細パターン形成方法は、ホトレジストパターンを有する基板上に、上記した本発明に係る水溶性樹脂被覆の形成方法によってパターン微細化用被覆形成剤を被覆した後、熱処理により該被覆形成剤を熱収縮させ、その熱収縮作用によりホトレジストパターン間の間隔を狭小せしめ、次いで上記被覆形成剤を除去する工程を含む。
【0064】
ホトレジストパターンを有する基板の作製は、特に限定されるものでなく、半導体デバイス、液晶表示素子、磁気ヘッドあるいはマイクロレンズなどの製造において用いられる常法により行うことができる。例えば、シリコンウェーハ等の基板上に、化学増幅型等のホトレジスト用組成物を、スピンナーなどで塗布、乾燥してホトレジスト層を形成した後、縮小投影露光装置などにより、紫外線、deep−UV、エキシマレーザー光などの活性光線を、所望のマスクパターンを介して照射するか、あるいは電子線により描画した後、加熱し、次いでこれを現像液、例えば1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液等のアルカリ性水溶液などを用いて現像処理することによって、基板上にホトレジストパターンを形成することができる。
【0065】
なお、ホトレジストパターンの材料となるホトレジスト用組成物としては、特に限定されるものではなく、i、g線用ホトレジスト組成物、KrF、ArF、F2等のエキシマレーザー用ホトレジスト組成物、さらにはEB(電子線)用ホトレジスト組成物等、広く一般的に用いられるホトレジスト組成物を用いることができる。
【0066】
次いで、このようなホトレジストパターンを有する基板上に、パターン微細化用被覆形成剤を塗布し被覆する。なお、被覆形成剤を塗布した後に、80〜100℃の温度で30〜90秒間、基板にプリベークを施してもよい。
【0067】
被覆方法は、上記した4工程を含む本発明に係る水溶性樹脂被覆の形成方法による。具体的な態様としては、例えばスピンナー等により、上記パターン微細化用被覆形成剤の水溶液を基板上に滴下しながらあるいは滴下した後、基板の回転数をいったん800rpm程度に上げ、続いて2000rpm程度の高回転数に上げた後、これを800rpm程度の低回転数まで下げ、該低回転数を30秒間以上、例えば60秒間程度、維持する。これにより、ホトレジストパターンが厚膜の場合であっても、均一に、厚膜パターン上を完全に被覆し得るような被覆を行うことができる。
【0068】
次いで熱処理を行って、被覆形成剤からなる塗膜を熱収縮させる。これにより、該塗膜に接するホトレジストパターンが幅広となり、ホトレジストパターン間の間隔が狭められる。このホトレジストパターン間の間隔は、すなわち、最終的に得られるパターンの径や幅を規定することから、これによりホールパターンの径やトレンチパターンの幅を狭小化させることができ、パターンの微小化を行うことができる。
【0069】
加熱温度は、被覆形成剤からなる塗膜の熱収縮を起こし得る温度であって、パターンの微細化を行うに十分な温度であれば、特に限定されるものでないが、ホトレジストパターンに熱流動を起させない温度で加熱するのが好ましい。ホトレジストパターンに熱流動を起させない温度とは、被覆形成剤からなる塗膜の形成がされてなく、ホトレジストパターンだけを形成した基板を加熱した場合、該ホトレジストパターン自体に形状変化(例えば、断面形状変化)を生じさせない温度をいう。このような温度での加熱処理により、プロフィルの良好な微細パターンの形成をより一層効果的に行うことができ、また特にウェーハ面内におけるデューティ(Duty)比、すなわちウェーハ面内におけるパターン間隔に対する依存性を小さくすることができる等の点において極めて効果的である。
【0070】
現在のホトリソグラフィー技術において用いられる種々のホトレジスト組成物の熱流動を起させない温度を考慮すると、上記加熱処理は通常、80〜160℃程度の温度で、30〜90秒間程度行われる。
【0071】
また、被覆形成剤からなる塗膜の厚さとしては、ホトレジストパターンの高さと同程度あるいはそれを覆う程度の高さが好ましく、通常、0.1〜0.5μm程度が適当である。
【0072】
この後、パターン上に残留する被覆形成剤からなる塗膜は、水系溶剤、好ましくは純水により10〜60秒間洗浄することにより除去する。本発明に係る被覆形成剤は、水での洗浄除去が容易で、かつ、基板およびホトレジストパターンから完全に除去することができる。
【0073】
そして基板上に、幅広となったホトレジストパターンの間に画定された、微小化されたパターンを有する基板が得られる。
【0074】
本発明により、例えばトレンチパターンの場合、220nmから160nm程度に、またホールパターンの場合、180nmから160nm程度にパターンの間隔を狭めることができる。
【0075】
本発明により得られる微細パターンは、これまでの方法によって得られる解像限界よりもより微細なパターンサイズを有するとともに、良好なプロフィルを有し、所要の要求特性を十分に満足し得る物性を備えたものである。
【0076】
本発明が適用される技術分野としては、半導体分野に限られず、広く液晶表示素子、磁気ヘッド製造、さらにはマイクロレンズ製造等に用いることが可能である。
【0077】
【実施例】
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。なお、配合量は特記しない限り質量%である。
【0078】
(実施例1)
コポリマー(アクリル酸:ビニルピロリドン=2:1(質量比))6.4g、トリエタノールアミン0.6gを水93gに溶解し、固形分濃度7質量%の水溶性樹脂被覆形成剤を調製した。
【0079】
一方、基板上にポジ型ホトレジストである「EP−TF004」(東京応化工業(株)製)を回転塗布し、150℃で300秒間ベーク処理し、膜厚0.2μmのホトレジスト層を形成した。
【0080】
該ホトレジスト層に対して、描画装置HL−800D((株)日立製作所製)を用いて描画処理し、140℃にて300秒間加熱処理を施し、2.38質量%TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)水溶液を用いて現像処理してホトレジストパターンを形成した。このホトレジストパターンの形成により、パターン幅251.8nm(すなわち、ホトレジストパターンがなす間隔が251.8nm)のトレンチパターンを形成した。
【0081】
次に、このトレンチパターン上に、上記水溶性樹脂被覆形成剤5gを基板静止状態で滴下し、続いて基板の回転数を0.5秒間で800rpmに上げ、800rpmを0.5秒間維持し、その後0.5秒間で2000rpmまで回転数を上げ、2000rpmを0.5秒間維持し、さらに1秒間かけて800rpmまで回転数を下げ、その回転数を60秒間維持し、水溶性樹脂被覆を形成した。
【0082】
その結果、ホトレジストパターンを有する基板は、図2(a)に示すように、完全に、かつ均一に水溶性樹脂被覆で覆うことができた。なお図2(a)中、符号1は基板、符号2はホトレジストパターン、符号3は水溶性樹脂被覆を示す。
【0083】
その後120℃にて90秒間基板を加熱処理し、水溶性樹脂被膜の熱収縮作用を利用してホトレジストパターンがなす間隔を狭小せしめて、パターンの微細化を行った。続いて23℃で純水を用いて被覆形成剤を除去した。そのときのトレンチパターンの寸法は237.2nmであった。
【0084】
さらに120℃にて90秒間基板を加熱処理し、パターンの微細化処理を行った。続いて23℃で純水を用いて被覆形成剤を除去した。そのときのトレンチパターンの寸法は202.1nmであった。
【0085】
その後120℃にて90秒間基板を加熱処理し、パターンの微細化処理を行った。続いて23℃で純水を用いて被覆形成剤を除去した。そのときのトレンチパターンの寸法は181.0nmであった。
【0086】
このとき得られたトレンチパターンは、断面形状が垂直な矩形のパターンで良好なプロフィルであった。
【0087】
(比較例1)
ホトリソグラフィー処理により基板上にパターン幅258.9nm(すなわちホトレジストパターンがなす間隔が258.9nm)のトレンチパターンを形成した。
【0088】
上記実施例1で用いたものと同じ被覆形成剤を、該トレンチパターン上に塗布するにあたり、通常の塗布方法、すなわち基板上に、水溶性樹脂被覆形成剤5gを基板静止状態で滴下し、続いて基板の回転数を0.5秒間で800rpmに上げ、800rpmを1.5秒間維持し、その後3秒間で2000rpmまで回転数を上げ、2000rpmを27秒間維持し水溶性樹脂被覆を形成した。
【0089】
その結果、ホトレジストパターンを有する基板は、図2(b)に示すように、水溶性樹脂被覆で完全に覆うことはできなかった。
【0090】
その後120℃にて90秒間基板を加熱処理し、水溶性樹脂被膜の熱収縮作用を利用してホトレジストパターンがなす間隔を狭小せしめて、パターンの微細化を行った。続いて23℃で純水を用いて被覆形成剤を除去した。そのときのトレンチパターンの寸法は237.5nmであった。
【0091】
さらに120℃にて90秒間基板を加熱処理し、パターンの微細化処理を行った。続いて23℃で純水を用いて被覆形成剤を除去した。そのときのトレンチパターンの寸法は229.6nmであった。
【0092】
その後120℃にて90秒間基板を加熱処理し、パターンの微細化処理を行った。続いて23℃で純水を用いて被覆形成剤を除去した。そのときのトレンチパターンの寸法は215.1nmであった。
【0093】
このとき得られたトレンチパターンは、断面形状が弓状に湾曲し、デバイスの製造に支障をきたす形状であった。さらに、得られたパターン寸法は上記実施例1で得られたパターン寸法の約1.2倍の大きさであった。
【0094】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、特に水溶性被覆形成剤を用いたパターンの微細化において、パターン寸法の制御性に優れるとともに、良好なプロフィルおよび半導体デバイスにおける要求特性を備えた微細パターンを得ることができる水溶性樹脂被覆の形成方法およびこれを用いた微細パターンの形成方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の水溶性樹脂被覆形成方法と、本発明に係る水溶性樹脂被覆形成方法の一態様を比較対照した図である。
【図2】図2(a)は実施例1において得られた水溶性樹脂被覆の様子を模式的に示した図であり、図2(b)は比較例1において得られた水溶性樹脂被覆の様子を模式的に示した図である。
【符号の説明】
1 基板
2 ホトレジストパターン
3 水溶性樹脂被覆
Claims (9)
- ホトレジストパターンを有する基板上に、水溶性樹脂被覆形成剤を被塗布体上に滴下しながらあるいは滴下した後、被塗布体を所定の高回転数まで回転数を上げる工程(第1工程)、該所定の高回転数を維持する工程(第2工程)、該所定の高回転数から所定の低回転数まで回転数を下げる工程(第3工程)、および該所定の低回転数を維持する工程(第4工程)を含む回転塗布方法により水溶性樹脂被覆形成剤を被覆した後、熱処理を行うことにより該被覆形成剤を熱収縮させ、その熱収縮作用を利用してホトレジストパターン間の間隔を狭小せしめ、次いで上記被覆形成剤を除去する工程を含む、微細パターンの形成方法。
- 所定の高回転数が1000〜4000rpmであり、所定の低回転数が500〜1500rpmである、請求項1記載の微細パターンの形成方法。
- 所定の高回転数を維持する時間が0.5〜1秒間である、請求項1または2記載の微細パターンの形成方法。
- 所定の低回転数を維持する時間が30秒間以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の微細パターンの形成方法。
- 被塗布体がホトレジストパターンを有する基板である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の微細パターンの形成方法。
- ホトレジストパターンの膜厚が1μm以上である、請求項5記載の微細パターンの形成方法。
- 水溶性樹脂被覆形成剤が、アルキレングリコール系重合体、セルロース系誘導体、ビニル系重合体、およびアクリル系重合体から選ばれる少なくとも1種の水溶性樹脂を含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の微細パターンの形成方法。
- 水溶性樹脂被覆形成剤が、さらに水溶性アミンを含有する、請求項7記載の微細パターンの形成方法。
- 水溶性樹脂被覆形成剤が、さらに非アミン系水溶性有機溶媒を含有する、請求項7または8記載の微細パターンの形成方法。
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