JP3609918B2 - スピンドルモータ - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スピンドルモータに関する。
【0002】
【従来の技術】
リムーバブルハードディスクのような交換可能な記録媒体を回転駆動させるためのスピンドルモータとしては、例えば、図5に示すように、固定のブラケットgの円筒状軸受ハウジングk内に軸受h,hを介してシャフトaが回転自在に取付けられ、シャフトaの上端寄りにロータハブbが外嵌固着されて、ロータハブbの記録媒体載置面c上に記録媒体(ディスク)dを載置すると共に、シャフトaの上方突出状の上端部を記録媒体dの中央孔部eに嵌合させて調芯し、ロータハブb上に固着したクランプ用マグネットfにて記録媒体dを磁気的に吸引することによって、ロータハブb上に記録媒体dを着脱可能な状態で同軸状に支持して回転駆動させるように構成したシャフト回転タイプのスピンドルモータが公知であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、リムーバブルハードディスクのような記録媒体dに対して、安定的に情報の読み書きを行うには、回転駆動される記録媒体dの軸心が、ブラケット(静止部)gの軸心───軸受hを内嵌保持する円筒状軸受ハウジングkの軸心───に一致し、記録媒体dの記録面の軸心方向の振れが十分に小さいことが要求される。即ち、ロータハブbの軸心がブラケットgの上記軸心に一致することが要求される。
【0004】
しかし、上述のような従来のスピンドルモータでは、ブラケットgとロータハブbとの間に、軸受h,hの内外輪の2つの嵌合部と、シャフトaとロータハブbの嵌合部との、合計3箇所の嵌合部が存在するため、ブラケットgの軸心とロータハブbの軸心の同軸度には、それら3箇所の嵌合部における誤差が累積してあらわれて、ロータハブbの軸心をブラケットgの軸心に精度良く一致させる上での難点となっていた。このため、スピンドルモータの組立完了後に、ロータハブbの記録媒体載置面cを切削して精度出しを行う必要性があり、製造工程が煩雑化すると共に切削面の発錆の問題もあった。また、従来のこの種のスピンドルモータは、シャフトaが回転するものがほとんどであり、シャフトaの端部が記録媒体dの中央孔部の内周面に接触していた。このため、記録媒体の着脱によるシャフトの摩耗並びに損傷等を防止するために、製造の際にシャフト素材に焼き入れし、研磨を行った後、スピンドルモータの組立完了時において、振れ精度を出すための組加工が必要であり(シャフトの製造工程は、粗加工、焼き入れ、研磨の順で行われる)、生産性が低かった。
【0005】
そこで、本発明は、上述の問題を解決して、組立完了後に記録媒体載置面の精度出し加工が不要となると共に、軸受等多くの部品との嵌合部を有し精密な加工が要求されるシャフトへの従来のような焼き入れも不要となり、生産性が向上すると共に記録媒体のデータの読み書きの精度を高くし得るスピンドルモータを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明に係るスピンドルモータは、記録媒体が着脱可能に装着されると共に該記録媒体を回転駆動させるスピンドルモータに於て、静止部材の一部を成す固定シャフトと、該固定シャフトに外嵌される軸受と、該軸受を介して上記固定シャフトに回転自在に外嵌されると共に上記記録媒体の一面を受ける記録媒体載置面を有する回転体と、上記静止部材に取付けられるステータと、該ステータに対向するように上記回転体に装着されるロータマグネットと、上記記録媒体の中央孔部に挿入される嵌合筒部を有すると共に上記回転体に固着されるブッシュと、を備えたものである。
また、上記固定シャフトには上記ブッシュがラビリンスシールを構成する微小間隙をもって外嵌されているのが好ましい。また、上記固定シャフトの先端部には小径部が形成され、該小径部に上記ブッシュがラビリンスシールを構成する微小間隙をもって外嵌されている。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態を示す図面に基づいて本発明を詳説する。
【0008】
図1は、本発明に係るスピンドルモータの実施の一形態を示し、このスピンドルモータは、リムーバブルハードディスクのような交換可能な記録媒体Dが着脱可能に装着されると共にその記録媒体Dを回転駆動させるためのものである。しかして、このスピンドルモータは、静止部材1の一部を成す固定シャフト2と、その固定シャフト2に外嵌される軸受3,3と、その軸受3,3を介して固定シャフト2に回転自在に外嵌される回転体4と、静止部材1に取付けられるステータ5と、そのステータ5に対向するように回転体4に装着されるロータマグネット8と、回転体4に固着されるブッシュ6と、を備えている。
【0009】
静止部材1は、中央にシャフト取付孔11を有する円盤状の基部9とその基部9の一面側に突設された円筒状突部10とから成るブラケット7と、そのブラケット7の基部9のシャフト取付孔11に基端部が嵌入固着される固定シャフト2と、から成る。この静止部材1は、記録媒体駆動装置のケーシング等の固定部分に取付けられ、かつ、その固定部分にデータ読書用の(図示省略の)ヘッドが精密移動可能に取付けられる。また、ブラケット7の基部9にコネクタ18が取付けられ、円筒状突部10の外周面にステータ5が取付けられる。しかして、固定シャフト2の先端部に小径部2aを形成する。
【0010】
回転体4は、軸受3,3の外輪が嵌合する内筒部12とその内筒部12の外端縁から径方向外方へ延伸される端面壁部14とその端面壁部14の外端縁から垂下される外筒部15とから成るハブ16と、そのハブ16に嵌入状に固着される円環状部材17と、から成る。ハブ16の外筒部15の内周面にロータマグネット8が固着される。端面壁部14の外面に、軸心方向から見て円形の外突条19と内突条20が同軸状に突設され、その外突条19と内突条20の間に記録媒体Dを磁気的に吸引するクランプ用マグネット21を嵌着する。そして、外突条19の軸心方向外端面が記録媒体載置面13とされる。つまり、回転体4は、記録媒体Dの一面を受ける記録媒体載置面13を有する。なお、ハブ16とブッシュ6と固定シャフト2は鉄製とされ、円環状部材17とブラケット7はアルミニウム製とされる。
【0011】
また、ハブ16の内筒部12の内周面の軸心方向中間部に、周方向の内突部22を一体に形成し、その内突部22の軸心L方向両隣を大径内周面部24, 24とする。即ち、内突部22の内径寸法E1 を大径内周面部24, 24の内径寸法E2 よりも小さく設定する。なお、前記内筒部12の軸心方向外方開口部である、ハブ16の内突条20内側の内径寸法E3 は、大径内周面部24, 24の内径寸法E2 より大きく設定されている。そして、大径内周面部24, 24に軸心方向両側から上記軸受3,3の外輪を嵌入する。さらに、ハブ16の内突条20の内側に、前記円環状部材17を、嵌着する。また、ブッシュ6は、記録媒体Dの中央孔部50に挿入される嵌合筒部6aと、その嵌合筒部6aに一体に形成されると共に嵌合筒部6aの外径よりも小さな外径を有する円筒状の取付部6bと、から成る。具体的には、ブッシュ6の嵌合筒部6aの外径を記録媒体Dの中央孔部50の内径よりも僅かに小さく設定する。
【0012】
しかして、図2に拡大して示すように、回転体4の円環状部材17の中央の孔部23に、ブッシュ6の取付部6bを嵌着する。さらに、固定シャフト2の先端の小径部2aに、ブッシュ6を、ラビリンスシールを構成する微小間隙Sをもって外嵌する。即ち、ブッシュ6の内周面と固定シャフト2の小径部2aとの間に微小間隙Sが生じるように、ブッシュ6の内径を小径部2aの外径よりも所定寸法だけ大きく設定する。そして、この微小間隙Sの間隙幅寸法を20〜35μmとし、好ましくは、間隙幅寸法を25〜30μmとする。
【0013】
ところで、従来のこの種のスピンドルモータは、例えば、図5に示すように、固定のブラケットgの円筒状軸受ハウジングk内に軸受h,hを介してシャフトaが回転自在に取付けられ、シャフトaの上端寄りにロータハブbが外嵌固着されて、ロータハブbの記録媒体載置面c上に記録媒体dを載置すると共に、シャフトaの上方突出状の上端部を記録媒体dの中央孔部eに嵌合させて調芯し、クランプ用マグネットfにて記録媒体dを磁気的に吸引することによって、ロータハブb上に記録媒体dを着脱可能な状態で同軸状に支持して回転駆動させるように構成されていた。また、軸受h,hの間には、スペーサmが介装されていた。
【0014】
しかし、このような従来のスピンドルモータでは、ブラケットgとロータハブbとの間に、軸受h,hによる2つの嵌合部と、シャフトaとロータハブbの嵌合部との、合計3箇所の嵌合部が存在するため、ブラケットgの軸心とロータハブbの軸心の同軸度には、それら3箇所の嵌合部における誤差が累積してあらわれて、ロータハブbの軸心をブラケットgの軸心に精度良く一致させることができなかった。このため、スピンドルモータの組立完了後に、ロータハブbの記録媒体載置面cを切削して精度出しを行う必要性があった。また、従来のこの種のスピンドルモータは、シャフトaが回転するものがほとんどであり、シャフトaの端部が記録媒体dの中央孔部の内周面に接触していた。このため、記録媒体の着脱によるシャフトの摩耗並びに損傷等の防止と回転精度出しのために、製造の際に、シャフト素材に、焼き入れ、切削、研磨等の複雑な加工を行う必要があり、生産性が低かった。
【0015】
これに対し、本発明のスピンドルモータによれば、固定シャフト2とハブ16との間に、軸受3,3による2つの嵌合部しか存在せず、図5の従来のスピンドルモータに比して嵌合部が1つ減少する。これにより、嵌合部における誤差の累積が従来に比して小さくなり、ブラケット7の軸心と回転体4(ハブ16)の軸心の同軸度が高くなる。そして、回転体4を軸受3,3により軸心方向に十分な距離をもって固定シャフト2に嵌合させることにより、回転体4の軸心が傾斜する方向へのずれを著しく小さくすることができ、回転体4の軸心を固定シャフト2の軸心Lに高精度に一致させることができる。従って、回転体4の回転精度が向上する。かつ、このスピンドルモータの組立完了後に、記録媒体載置面13を切削する精度出し加工(組加工)が不要となる。これにより、組加工の負荷による軸受3,3の損傷を防止することができると共に組加工時に生じる切粉等の処理が不要となる。
【0016】
また、ハブ16の内筒部12の内周面に内突部22を一体に形成して、その内突部22の軸心L方向両側の大径内周面部24, 24に軸受3,3の外輪を嵌入したので、2個の軸受3,3の間にスペーサを別途介装させる必要が無く、工数低減と部品点数減少に貢献できると共に、ハブ16に対する軸受3,3の位置決めが容易となる。また、ハブ16は鉄製であり、ロータマグネット8の磁気が記録媒体D側に漏れないので、ロータマグネット8とハブ16との間にヨークを介装する必要が無く、かつ、円環状部材17を小さくすることができる。
【0017】
また、図2の如く、固定シャフト2の先端の小径部2aに、ブッシュ6を微小間隙Sをもって外嵌したので、ブッシュ6は固定シャフト2に接触せず記録媒体の記録面の軸心方向の振れの原因とならないうえ、ラビリンスシール効果が得られ軸受3から出るグリース等の流動体が記録媒体側に漏れるのを防止できる。
【0018】
次に、図3は他の実施の形態を示し、回転体4は、ハブ16と、円環状部材17と、ハブ16の外筒部15に嵌入状に固着されるヨーク25と、から成り、ヨーク25の内周面にロータマグネット8を固着する。また、ハブ16の端面壁部14の外面に、径方向内方へ向く段差部26を形成し、その段差部26の内側に円環状部材17を嵌着する。さらに、円環状部材17の外面に軸心を中心とする円形の外突条19と内突条20が突設され、その外突条19の軸心方向外端面が記録媒体載置面13とされる。さらに、外突条19と内突条20の間にクランプ用マグネット21を嵌着する。なお、固定シャフト2と円環状部材17とブッシュ6とヨーク25は鉄製とされ、ハブ16とブラケット7はアルミニウム製とされる。他の構成は図1と図2に示したものと同様である。しかして、このスピンドルモータによれば、比較的大きくかつ複雑な形状であるハブ16が加工し易くなり、製造が容易となる。
【0019】
また、図4は別の実施の形態の要部を示し、ブッシュ6の断面形状を矩形状とし、かつ、円環状部材17の孔部23を上側の大径孔部23aとその下側の小径孔部23bとその間の段付部30とにて2段に形成して、ブッシュ6を小径孔部23に嵌入したものである。このように構成したことにより、焼き入れで硬化したブッシュ6をストレートに研磨できるため、加工が容易となり、製造コスト減少に貢献できる。
【0020】
【発明の効果】
本発明は上述の如く構成されているので、次に記載する効果を奏する。
【0021】
請求項1記載のスピンドルモータによれば、モータの回転精度に影響するシャフトとハブの間の嵌合部が従来のシャフト回転タイプのスピンドルモータでは3箇所であったのに対し、本発明のスピンドルモータは、(シャフト固定タイプであって)嵌合部を2箇所とすることができ、回転体4の軸心が傾斜する方向へのずれを著しく小さくすることができるため、回転体4の回転精度が向上する。従って、記録媒体Dの記録面の軸心方向の振れを著しく小さくすることができ、記録媒体Dに対してデータを正確に読み書きできる。また、このスピンドルモータの組立完了後に、記録媒体載置面13を切削にて精度出しする組加工が不要となる。これにより、組加工の負荷による軸受3,3の損傷を防止することができると共に、組加工時に生じる切粉等の処理が不要となる。しかも、固定シャフト2に従来のような焼き入れを施さなくて済み、他の部品との接触面積が小さいブッシュ6に焼き入れを施せばよいため、加工が容易となり生産性が向上する。
【0022】
請求項2記載のスピンドルモータによれば、ブッシュ6は固定シャフト2に接触せず記録媒体Dの記録面の振れの原因とならないうえ、ラビリンスシール効果が得られ軸受3から出る潤滑剤等が記録媒体側に漏れるのを防止できる。
請求項3記載のスピンドルモータによれば、請求項2記載のものと同様の効果を奏すると共に、固定シャフト2に小径部2a側から軸受3を外嵌する際に、その固定シャフト2の外周面と軸受3の内周面に傷が生じ難くなり、同軸度が一層高くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示す断面図である。
【図2】要部拡大断面図である。
【図3】他の実施の形態を示す断面図である。
【図4】別の実施の形態の要部拡大断面図である。
【図5】従来例の断面図である。
【符号の説明】
1 静止部材
2 固定シャフト
2a 小径部
3 軸受
4 回転体
5 ステータ
6 ブッシュ
6a 嵌合筒部
8 ロータマグネット
13 記録媒体載置面
50 中央孔部
D 記録媒体
S 微小間隙
【発明の属する技術分野】
本発明は、スピンドルモータに関する。
【0002】
【従来の技術】
リムーバブルハードディスクのような交換可能な記録媒体を回転駆動させるためのスピンドルモータとしては、例えば、図5に示すように、固定のブラケットgの円筒状軸受ハウジングk内に軸受h,hを介してシャフトaが回転自在に取付けられ、シャフトaの上端寄りにロータハブbが外嵌固着されて、ロータハブbの記録媒体載置面c上に記録媒体(ディスク)dを載置すると共に、シャフトaの上方突出状の上端部を記録媒体dの中央孔部eに嵌合させて調芯し、ロータハブb上に固着したクランプ用マグネットfにて記録媒体dを磁気的に吸引することによって、ロータハブb上に記録媒体dを着脱可能な状態で同軸状に支持して回転駆動させるように構成したシャフト回転タイプのスピンドルモータが公知であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、リムーバブルハードディスクのような記録媒体dに対して、安定的に情報の読み書きを行うには、回転駆動される記録媒体dの軸心が、ブラケット(静止部)gの軸心───軸受hを内嵌保持する円筒状軸受ハウジングkの軸心───に一致し、記録媒体dの記録面の軸心方向の振れが十分に小さいことが要求される。即ち、ロータハブbの軸心がブラケットgの上記軸心に一致することが要求される。
【0004】
しかし、上述のような従来のスピンドルモータでは、ブラケットgとロータハブbとの間に、軸受h,hの内外輪の2つの嵌合部と、シャフトaとロータハブbの嵌合部との、合計3箇所の嵌合部が存在するため、ブラケットgの軸心とロータハブbの軸心の同軸度には、それら3箇所の嵌合部における誤差が累積してあらわれて、ロータハブbの軸心をブラケットgの軸心に精度良く一致させる上での難点となっていた。このため、スピンドルモータの組立完了後に、ロータハブbの記録媒体載置面cを切削して精度出しを行う必要性があり、製造工程が煩雑化すると共に切削面の発錆の問題もあった。また、従来のこの種のスピンドルモータは、シャフトaが回転するものがほとんどであり、シャフトaの端部が記録媒体dの中央孔部の内周面に接触していた。このため、記録媒体の着脱によるシャフトの摩耗並びに損傷等を防止するために、製造の際にシャフト素材に焼き入れし、研磨を行った後、スピンドルモータの組立完了時において、振れ精度を出すための組加工が必要であり(シャフトの製造工程は、粗加工、焼き入れ、研磨の順で行われる)、生産性が低かった。
【0005】
そこで、本発明は、上述の問題を解決して、組立完了後に記録媒体載置面の精度出し加工が不要となると共に、軸受等多くの部品との嵌合部を有し精密な加工が要求されるシャフトへの従来のような焼き入れも不要となり、生産性が向上すると共に記録媒体のデータの読み書きの精度を高くし得るスピンドルモータを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明に係るスピンドルモータは、記録媒体が着脱可能に装着されると共に該記録媒体を回転駆動させるスピンドルモータに於て、静止部材の一部を成す固定シャフトと、該固定シャフトに外嵌される軸受と、該軸受を介して上記固定シャフトに回転自在に外嵌されると共に上記記録媒体の一面を受ける記録媒体載置面を有する回転体と、上記静止部材に取付けられるステータと、該ステータに対向するように上記回転体に装着されるロータマグネットと、上記記録媒体の中央孔部に挿入される嵌合筒部を有すると共に上記回転体に固着されるブッシュと、を備えたものである。
また、上記固定シャフトには上記ブッシュがラビリンスシールを構成する微小間隙をもって外嵌されているのが好ましい。また、上記固定シャフトの先端部には小径部が形成され、該小径部に上記ブッシュがラビリンスシールを構成する微小間隙をもって外嵌されている。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態を示す図面に基づいて本発明を詳説する。
【0008】
図1は、本発明に係るスピンドルモータの実施の一形態を示し、このスピンドルモータは、リムーバブルハードディスクのような交換可能な記録媒体Dが着脱可能に装着されると共にその記録媒体Dを回転駆動させるためのものである。しかして、このスピンドルモータは、静止部材1の一部を成す固定シャフト2と、その固定シャフト2に外嵌される軸受3,3と、その軸受3,3を介して固定シャフト2に回転自在に外嵌される回転体4と、静止部材1に取付けられるステータ5と、そのステータ5に対向するように回転体4に装着されるロータマグネット8と、回転体4に固着されるブッシュ6と、を備えている。
【0009】
静止部材1は、中央にシャフト取付孔11を有する円盤状の基部9とその基部9の一面側に突設された円筒状突部10とから成るブラケット7と、そのブラケット7の基部9のシャフト取付孔11に基端部が嵌入固着される固定シャフト2と、から成る。この静止部材1は、記録媒体駆動装置のケーシング等の固定部分に取付けられ、かつ、その固定部分にデータ読書用の(図示省略の)ヘッドが精密移動可能に取付けられる。また、ブラケット7の基部9にコネクタ18が取付けられ、円筒状突部10の外周面にステータ5が取付けられる。しかして、固定シャフト2の先端部に小径部2aを形成する。
【0010】
回転体4は、軸受3,3の外輪が嵌合する内筒部12とその内筒部12の外端縁から径方向外方へ延伸される端面壁部14とその端面壁部14の外端縁から垂下される外筒部15とから成るハブ16と、そのハブ16に嵌入状に固着される円環状部材17と、から成る。ハブ16の外筒部15の内周面にロータマグネット8が固着される。端面壁部14の外面に、軸心方向から見て円形の外突条19と内突条20が同軸状に突設され、その外突条19と内突条20の間に記録媒体Dを磁気的に吸引するクランプ用マグネット21を嵌着する。そして、外突条19の軸心方向外端面が記録媒体載置面13とされる。つまり、回転体4は、記録媒体Dの一面を受ける記録媒体載置面13を有する。なお、ハブ16とブッシュ6と固定シャフト2は鉄製とされ、円環状部材17とブラケット7はアルミニウム製とされる。
【0011】
また、ハブ16の内筒部12の内周面の軸心方向中間部に、周方向の内突部22を一体に形成し、その内突部22の軸心L方向両隣を大径内周面部24, 24とする。即ち、内突部22の内径寸法E1 を大径内周面部24, 24の内径寸法E2 よりも小さく設定する。なお、前記内筒部12の軸心方向外方開口部である、ハブ16の内突条20内側の内径寸法E3 は、大径内周面部24, 24の内径寸法E2 より大きく設定されている。そして、大径内周面部24, 24に軸心方向両側から上記軸受3,3の外輪を嵌入する。さらに、ハブ16の内突条20の内側に、前記円環状部材17を、嵌着する。また、ブッシュ6は、記録媒体Dの中央孔部50に挿入される嵌合筒部6aと、その嵌合筒部6aに一体に形成されると共に嵌合筒部6aの外径よりも小さな外径を有する円筒状の取付部6bと、から成る。具体的には、ブッシュ6の嵌合筒部6aの外径を記録媒体Dの中央孔部50の内径よりも僅かに小さく設定する。
【0012】
しかして、図2に拡大して示すように、回転体4の円環状部材17の中央の孔部23に、ブッシュ6の取付部6bを嵌着する。さらに、固定シャフト2の先端の小径部2aに、ブッシュ6を、ラビリンスシールを構成する微小間隙Sをもって外嵌する。即ち、ブッシュ6の内周面と固定シャフト2の小径部2aとの間に微小間隙Sが生じるように、ブッシュ6の内径を小径部2aの外径よりも所定寸法だけ大きく設定する。そして、この微小間隙Sの間隙幅寸法を20〜35μmとし、好ましくは、間隙幅寸法を25〜30μmとする。
【0013】
ところで、従来のこの種のスピンドルモータは、例えば、図5に示すように、固定のブラケットgの円筒状軸受ハウジングk内に軸受h,hを介してシャフトaが回転自在に取付けられ、シャフトaの上端寄りにロータハブbが外嵌固着されて、ロータハブbの記録媒体載置面c上に記録媒体dを載置すると共に、シャフトaの上方突出状の上端部を記録媒体dの中央孔部eに嵌合させて調芯し、クランプ用マグネットfにて記録媒体dを磁気的に吸引することによって、ロータハブb上に記録媒体dを着脱可能な状態で同軸状に支持して回転駆動させるように構成されていた。また、軸受h,hの間には、スペーサmが介装されていた。
【0014】
しかし、このような従来のスピンドルモータでは、ブラケットgとロータハブbとの間に、軸受h,hによる2つの嵌合部と、シャフトaとロータハブbの嵌合部との、合計3箇所の嵌合部が存在するため、ブラケットgの軸心とロータハブbの軸心の同軸度には、それら3箇所の嵌合部における誤差が累積してあらわれて、ロータハブbの軸心をブラケットgの軸心に精度良く一致させることができなかった。このため、スピンドルモータの組立完了後に、ロータハブbの記録媒体載置面cを切削して精度出しを行う必要性があった。また、従来のこの種のスピンドルモータは、シャフトaが回転するものがほとんどであり、シャフトaの端部が記録媒体dの中央孔部の内周面に接触していた。このため、記録媒体の着脱によるシャフトの摩耗並びに損傷等の防止と回転精度出しのために、製造の際に、シャフト素材に、焼き入れ、切削、研磨等の複雑な加工を行う必要があり、生産性が低かった。
【0015】
これに対し、本発明のスピンドルモータによれば、固定シャフト2とハブ16との間に、軸受3,3による2つの嵌合部しか存在せず、図5の従来のスピンドルモータに比して嵌合部が1つ減少する。これにより、嵌合部における誤差の累積が従来に比して小さくなり、ブラケット7の軸心と回転体4(ハブ16)の軸心の同軸度が高くなる。そして、回転体4を軸受3,3により軸心方向に十分な距離をもって固定シャフト2に嵌合させることにより、回転体4の軸心が傾斜する方向へのずれを著しく小さくすることができ、回転体4の軸心を固定シャフト2の軸心Lに高精度に一致させることができる。従って、回転体4の回転精度が向上する。かつ、このスピンドルモータの組立完了後に、記録媒体載置面13を切削する精度出し加工(組加工)が不要となる。これにより、組加工の負荷による軸受3,3の損傷を防止することができると共に組加工時に生じる切粉等の処理が不要となる。
【0016】
また、ハブ16の内筒部12の内周面に内突部22を一体に形成して、その内突部22の軸心L方向両側の大径内周面部24, 24に軸受3,3の外輪を嵌入したので、2個の軸受3,3の間にスペーサを別途介装させる必要が無く、工数低減と部品点数減少に貢献できると共に、ハブ16に対する軸受3,3の位置決めが容易となる。また、ハブ16は鉄製であり、ロータマグネット8の磁気が記録媒体D側に漏れないので、ロータマグネット8とハブ16との間にヨークを介装する必要が無く、かつ、円環状部材17を小さくすることができる。
【0017】
また、図2の如く、固定シャフト2の先端の小径部2aに、ブッシュ6を微小間隙Sをもって外嵌したので、ブッシュ6は固定シャフト2に接触せず記録媒体の記録面の軸心方向の振れの原因とならないうえ、ラビリンスシール効果が得られ軸受3から出るグリース等の流動体が記録媒体側に漏れるのを防止できる。
【0018】
次に、図3は他の実施の形態を示し、回転体4は、ハブ16と、円環状部材17と、ハブ16の外筒部15に嵌入状に固着されるヨーク25と、から成り、ヨーク25の内周面にロータマグネット8を固着する。また、ハブ16の端面壁部14の外面に、径方向内方へ向く段差部26を形成し、その段差部26の内側に円環状部材17を嵌着する。さらに、円環状部材17の外面に軸心を中心とする円形の外突条19と内突条20が突設され、その外突条19の軸心方向外端面が記録媒体載置面13とされる。さらに、外突条19と内突条20の間にクランプ用マグネット21を嵌着する。なお、固定シャフト2と円環状部材17とブッシュ6とヨーク25は鉄製とされ、ハブ16とブラケット7はアルミニウム製とされる。他の構成は図1と図2に示したものと同様である。しかして、このスピンドルモータによれば、比較的大きくかつ複雑な形状であるハブ16が加工し易くなり、製造が容易となる。
【0019】
また、図4は別の実施の形態の要部を示し、ブッシュ6の断面形状を矩形状とし、かつ、円環状部材17の孔部23を上側の大径孔部23aとその下側の小径孔部23bとその間の段付部30とにて2段に形成して、ブッシュ6を小径孔部23に嵌入したものである。このように構成したことにより、焼き入れで硬化したブッシュ6をストレートに研磨できるため、加工が容易となり、製造コスト減少に貢献できる。
【0020】
【発明の効果】
本発明は上述の如く構成されているので、次に記載する効果を奏する。
【0021】
請求項1記載のスピンドルモータによれば、モータの回転精度に影響するシャフトとハブの間の嵌合部が従来のシャフト回転タイプのスピンドルモータでは3箇所であったのに対し、本発明のスピンドルモータは、(シャフト固定タイプであって)嵌合部を2箇所とすることができ、回転体4の軸心が傾斜する方向へのずれを著しく小さくすることができるため、回転体4の回転精度が向上する。従って、記録媒体Dの記録面の軸心方向の振れを著しく小さくすることができ、記録媒体Dに対してデータを正確に読み書きできる。また、このスピンドルモータの組立完了後に、記録媒体載置面13を切削にて精度出しする組加工が不要となる。これにより、組加工の負荷による軸受3,3の損傷を防止することができると共に、組加工時に生じる切粉等の処理が不要となる。しかも、固定シャフト2に従来のような焼き入れを施さなくて済み、他の部品との接触面積が小さいブッシュ6に焼き入れを施せばよいため、加工が容易となり生産性が向上する。
【0022】
請求項2記載のスピンドルモータによれば、ブッシュ6は固定シャフト2に接触せず記録媒体Dの記録面の振れの原因とならないうえ、ラビリンスシール効果が得られ軸受3から出る潤滑剤等が記録媒体側に漏れるのを防止できる。
請求項3記載のスピンドルモータによれば、請求項2記載のものと同様の効果を奏すると共に、固定シャフト2に小径部2a側から軸受3を外嵌する際に、その固定シャフト2の外周面と軸受3の内周面に傷が生じ難くなり、同軸度が一層高くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示す断面図である。
【図2】要部拡大断面図である。
【図3】他の実施の形態を示す断面図である。
【図4】別の実施の形態の要部拡大断面図である。
【図5】従来例の断面図である。
【符号の説明】
1 静止部材
2 固定シャフト
2a 小径部
3 軸受
4 回転体
5 ステータ
6 ブッシュ
6a 嵌合筒部
8 ロータマグネット
13 記録媒体載置面
50 中央孔部
D 記録媒体
S 微小間隙
Claims (3)
- 記録媒体が着脱可能に装着されると共に該記録媒体を回転駆動させるスピンドルモータに於て、静止部材の一部を成す固定シャフトと、該固定シャフトに外嵌される軸受と、該軸受を介して上記固定シャフトに回転自在に外嵌されると共に上記記録媒体の一面を受ける記録媒体載置面を有する回転体と、上記静止部材に取付けられるステータと、該ステータに対向するように上記回転体に装着されるロータマグネットと、上記記録媒体の中央孔部に挿入される嵌合筒部を有すると共に上記回転体に固着されるブッシュと、を備えたことを特徴とするスピンドルモータ。
- 上記固定シャフトには上記ブッシュがラビリンスシールを構成する微小間隙をもって外嵌されている請求項1記載のスピンドルモータ。
- 上記固定シャフトの先端部には小径部が形成され、該小径部に上記ブッシュがラビリンスシールを構成する微小間隙をもって外嵌されている請求項1記載のスピンドルモータ。
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