JP3607923B2 - 被覆毛細管カラム及びその用途としての電気泳動分離方法 - Google Patents

被覆毛細管カラム及びその用途としての電気泳動分離方法 Download PDF

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Description

発明の背景
発明の分野
本発明は、一般に、内面コーティング(被覆)を有する毛細管カラム及びその用途のための電気泳動分離方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、内壁表面つまり内面上に中性の親水性の架橋コーティングを有する毛細管カラムに関する。前記中性の親水性の架橋コーティングは、毛細管カラムの内面と分析物質との相互作用を減少させ、同時に、酸性コンパウンド及び塩基性コンパウンドの電気泳動分離中に毛細管カラムの内面を保護する。
関連技術の説明
電気泳動分離技術は、分子の実効電荷の差異及び(又は)分子の分子径の差異に従って、分子を分離するために長年にわたり利用されている。最近になるまで、電気泳動分離は、ポリアクリルアミドゲル材料から典型的には作られるゲルスラブ又はオープンゲルベッド中において実施されていた。さらに最近になって、毛細管電気泳動技術は分光検出方法と組み合わせられ、分子の自動的な迅速定量分析を可能とした。異なる実効電荷を有する分子の高分解能分離が、緩衝液を充填したか又はゲルを充填した細い毛細管チューブに電気泳動原理を適用することによって達成されている。
典型的には、毛細管電気泳動に使用される毛細管カラムは、25μmから200μmのオーダの直径と、約10cmから200cmの長さとを有する(種々の)長さのシリカチューブで作られている。緩衝液及びゲル分離媒体はカラム内部に直接ポンプで注入され、電気泳動技術を用いて、ペプチド類やタンパク質類、オリゴヌクレオチド類、核酸類、その他の荷電分子種を含む多種類の分子を分離する。電気泳動分離技術の分野は、毛細管電気泳動操作を用いて分離でき、かつ、検出できる分子の種類及び大きさに関して絶えず拡大している。
毛細管電気泳動と関連した利点は極めて多い。定量的情報は極めて小さい試料サイズによって得ることができ、消費するゲル又は緩衝液の量は非常に少ない。さらに、分離に要する時間を極めて短くでき、毛細管電気泳動技術それ自体が自動化や、電子データ保存、データ操作に適している。毛細管電気泳動が従来のスラブゲル電気泳動に存在しないある現象に関連していることは重要である。これらのうちの1つは、電極の1つに向けての緩衝液のバルクフロー(bulk flow)によって特徴づけられる現在よく知られた電気浸透フロー現象である。
電気浸透フローは、シリカ毛細管チューブの表面におけるシラノール官能基類のイオン化によって発生する。このイオン化の結果、シリカチューブの表面において電気泳動緩衝液中にプロトン層を生成する。電場の存在において、プロトン層は陰極に向って移動する流体の陽電荷カラムに類似し、緩衝液媒体の一般的なバルク移動を引き起こす。電気浸透フローが種々の適用において利用でき、電気泳動分離を向上させるのは有用である。たとえば、分離されている分子の電気泳動移動が電気浸透フローの移動とは反対方向にあるとき、正味の効果はカラム性能の向上と、分離の改善とである。
多くの電気泳動の適用にとって電気浸透フローは好ましくなく、バルクフローを除き又は実質的に減らすことは好ましい。一般に、電気浸透フローが最小まで減らされるとき、電気泳動の試料成分は電気泳動移動によってのみ移動し、電気泳動移動は試料成分の分析の再現性と質量回復とを向上する。
電気浸透フローを最小にするか又は制御する1つの方法は、シリカの毛細管チューブで作られ、高分子材料で内側を被覆された毛細管カラムを利用することである。前記高分子コーティングは、電気泳動カラム内のバルクフローの実質的減少をとにかく引き起こす表面のシラノールグループのイオン化の程度を除くか、実質的に減少する。試料成分とコーティングとの間の好ましくない疎水性相互作用を避けるために、前記高分子コーティングは伝統的に親水性である。親水性の高分子コーティングに関連する1つの問題は、コーティングの低い物理的保全性(physical integrity)と、毛細管カラムの表面からの除去ないし移動傾向と、その結果生ずる短い寿命とである。毛細管チューブの表面に親水性ポリマーを共有結合することは、コーティングの移動傾向を減らすが、コーティングの物理的保全性は依然として問題である。
加えて、シリカ毛細管の表面にSi−O−Siによって共有結合されるときでも、親水性コーティングは、Si−O−Si官能基と水性相互作用を促進する。この結果、好ましくない水解と、前記Si−O−Si結合と、短い寿命とを生ずる。
前述のように、毛細管電気泳動技術に関連する別の問題は、試料成分が毛細管チューブの壁に、特にシリカチューブの壁に付着する傾向である。これは、反応性シリカ官能基に容易に吸引される荷電小分子の場合に特に当てはまる。電気泳動分離媒体中に小ペプチド類及び小アミン類が存在するとき、それらは毛細管壁と静電的に、かつ、疎水的に相互作用する。その結果、分離効率の低下となり、誤った分離データを与える好ましくないバンド拡大となる。
電気浸透フローと同様に、試料成分と壁との相互作用の程度を最小にすることができる電気泳動毛細管を提供することは、全く成功していない。これまで、動的の二重層コーティングを用いる試みがされていた。これらの二重層コーティングは安定ではなく、電気泳動過程で使用される運転緩衝液に添加剤を必要とする。疎水性のコーティングはシリカカラムの前記Si−O−Si表面を保護するのに有効であるが、毛細管壁と分析物質との間の好ましくない疎水性相互作用を生ずる。前述のように、親水性のコーティングは前記Si−O−Si表面を保護するのに有効ではない。
したがって、本発明の目的は、電気泳動分離に有効であり、電気浸透フローを最少にする新規の被覆毛細管カラムを提供することである。
本発明の別の目的は、試料成分と内部の毛細管壁との間の相互作用を減らすか、または除く毛細管カラムを提供することである。
本発明のさらに別の目的は、物理的に安定なコーティングを有する毛細管カラムを提供することである。
本発明の付加的な目的は、種々の荷電分子の電気泳動分離に有用である毛細管カラムを提供することである。
発明の概要
本発明は、内面コーティングを有する毛細管カラムを提供することによって先に確認した目的を満たす。前記内面コーティングは、試料成分と毛細管カラムの内面との間の相互作用の程度の削除または実質的減少に寄与する。本発明の被覆毛細管カラムは、電気泳動分離中の電気浸透フローの程度を最小にするのに付加的に寄与し、これによってバルクフローを除き、電気泳動移動への試料の移動を制限する。本発明の毛細管カラムを都合よく使用すると、アミン類やアミノ酸類、ベプチド類、タンパク質類を含む、多くの酸性コンパウンド及び塩基性コンパウンドのための向上した分離が得られる。さらに、ここに記載した高分子コーティングは、かなりの物理的保全性を有し、高い安定性があり、毛細管カラムの寿命を従来の毛細管カラムよりも実質的に向上させる。
特に、本発明の毛細管カラムは、内面を有するある長さのチューブを含む。前記内面は高分子の架橋コーティングを有する。この架橋コーティングは、毛細管チューブの前記内面に共有結合された疎水性の高分子官能基と、この疎水性の高分子官能基に共重合された親水性ポリマーとを含む。前記毛細管カラムを準備するのに使用される毛細管チューブはシリカで作られることが好ましく、前記疎水性の高分子官能基は、前記毛細管の内面のSi−OH官能基を適当な反応物と反応させて形成されるSi−O−Si結合によって前記内面に共有結合されることが好ましい。好ましい実施例では、前記疎水性の高分子官能基はポリブタジエンであり、前記親水性ポリマーはポリアクリルアミドである。
本発明の被覆毛細管カラムは、内面と、この内面上のSi−OH官能基とを有するある長さのシリカチューブを供給し、Si−OH反応コンパウンドを前記Si−OH官能基と反応させることによって準備することができる。適当なSi−OH反応コンパウンドは、少なくとも1つの中性の疎水性官能基であってこの疎水性官能基が高分子であり、重合できるモノマーとさらに反応できることが好ましい疎水性官能基を有するシランコンパウンド及びシロキサンコンパウンドを含む。それから、親水性モノマーを単独重合させ、前記疎水性官能基と反応させると、親水性ポリマーと疎水性ポリマーとの相互結合された高分子コーティングを生ずる。好ましい方法では、前記反応コンパウンドは高分子のポリブタジエニルトリエトキシシラン(polybutadienenyl triethoxy silane)であり、前記親水性モノマーはアクリルアミドである。
さらにここに記載されているのは、本発明の被覆毛細管カラムを準備する方法及び使用する方法である。さらに詳しくは、本発明に従うと、被覆毛細管カラムを準備する方法は、内面と、この内面上のSi−OH官能基とを有するある長さのシリカチューブを供給すること、高分子の疎水性官能基を有するSi−OH反応コンパウンドを前記Si−OH官能基と反応させることを含む。それから、親水性モノマーを前記疎水性の高分子官能基と接触して重合させると、親水性ポリマーと疎水性ポリマーとの相互結合された高分子網目(polymeric network)を生ずる。この相互結合された高分子網目は高い物理的保全性と、延長された寿命とを有する。
本発明に関連する前記の及び他の利点は、次の図面を参照しての発明の詳細な説明に記載された発明を理解するとき、当業者に明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明の毛細管電気泳動カラムの断面図で、シリカ毛細管カラムの内面上の疎水性の架橋ポリマー及び親水性ポリマーのコーティングを示している。
図2は毛細管電気泳動カラムの部分断面図で、本発明の好ましい実施例を示している。
図3は、φX174DNAのHa III温浸の電気泳動分離から生じた電気泳動図である。
図4は、本発明に従って水溶液中のタンパク質の電気泳動分離から生じた電気泳動図である。
図5は、本発明の模範的な毛細管カラムを使用して得られた電気泳動図の再現性を示す図である。
図6は、にわとりの卵白中のタンパク質の電気泳動分析から得られた電気泳動図である。
発明の詳細な説明
本発明は被覆毛細管カラムを提供する。この被覆毛細管カラムは、米国カリフォルニア、フラートンのベックマン社(Beckman Instruments,Inc.,Fullerton,California)によって製作され、かつ、販売されているP/ACEシリーズの毛細管電気泳動装置のような電気泳動分離装置に特に有用である。さらに詳しくは、本発明の被覆毛細管カラムは、種々の分子種がその電気泳動移動度に基づいて分離される適用における分離媒体として有用である。前記分子種は、塩基性の薬品及び核酸のような小さいコンパウンドはもちろんのこと、タンパク質及びポリヌクレオチドのような塩基性の巨大分子及び酸性の巨大分子を含む。
ここに記載した被覆毛細管カラムは、電気泳動分離中の電気浸透フローを除くか又は実質的に最小にするのに寄与する。本発明の特長として、被覆毛細管カラムを形成するのに使用するコーティング材料は、互いに、かつ、毛細管カラム壁に共有結合によって結合されるコンパウンドであり、このように相互結合する高分子網目を形成する。その結果、強められた物理的保全性を有するコーティングを生ずる。前記物理的保全性は、次々に、カラムに長い寿命と、向上した信頼性と、電気泳動分離操作における正確性とを与える。前記コーティングの強められた物理的保全性と化学的特性とはまた、異なる分析物質の毛細管カラム壁との相互作用を妨げる能力を伸ばすのに寄与する。
本発明の被覆毛細管カラムはコーティングに親水性の高分子特性を組み入れ、試料成分と毛細管カラム壁との間の疎水性の相互作用を実質的に除く。加えて、本発明の毛細管カラムは、毛細管カラムの内面に共有結合された疎水性官能基を組み入れる。この疎水性特性は、電気泳動緩衝水溶液環境の毛細管カラムの内面との相互作用を減らし、毛細管カラム壁からの共有結合されたコーティングの水解を最少にする。
さらに詳しくは、図1に示した毛細管カラムの典型的な長手方向の部分断面図を参照して、本発明の被覆毛細管カラム10は、内面14を有するある長さの毛細管チューブ12で作られる。内面14は、毛細管チューブ12の内面14に共有結合された疎水性の高分子官能基16と、疎水性の高分子官能基16に結合された親水性ポリマー18とを含む、相互結合された高分子コーティングを有する。
本発明に使用するのに適する毛細管チューブ12は、ポリアクリレート、ポリビニル、ポリメタクリレート(polymethacrylate)のような有機高分子材料又はシリカや石英を含む無機材料で作ることができる。選定された有機高分子材料又は無機材料は化学的部分を有するか、又は化学的部分を有するように部分的に変態されうることが好ましい。前記化学的部分は、穏やかな又は軽い(mild)pHと温度条件で疎水性官能基を有するコンパウンドと反応する。その結果、疎水性の高分子官能基16は毛細管チューブの内面と共有結合される。図1に示すように、疎水性の高分子官能基16は、さらに、親水性コンパウンド18と反応することができる。親水性コンパウンド18はポリマーであるか、又は重合でき、したがって疎水性ポリマーと親水性ポリマーとの架橋網目のコーティングを提供できるものである。
本発明に有用である毛細管カラムを作るのに好ましい材料は、シリカである。シリカ毛細管カラムはクロマトグラフィー操作において何十年もの間使用されており、最近では電気泳動操作においての有用性が判明している。したがって、前記毛細管カラムの製造や取扱は、当業者には明らかであると思われる。そのため、ここでは詳細には説明しない。本発明に関して一層詳細に説明するように、シリカはSi−OH官能基を有することが有利である。Si−OH官能基は、シロキサン及び同様に反応性のあるシランのようなコンパウンドと容易に反応する。種々の異なる化学的置換基を有するシロキサン及びシランは、商業的に広く入手可能であるため、シリカ毛細管カラムと組み合わせてのそれらの使用は、本発明の実施に際して特に有利である。
本発明に従うと、疎水性官能基を有し、毛細管チューブの前記内面と共有結合できる好ましいコンパウンドは、高分子の炭化水素部分を持つシランコンパウンド又はシロキサンコンパウンドである。そのような炭化水素を含んでいるコンパウンドは、選定された親水性モノマー又は親水性ポリマーと反応できることがさらに好ましい。この付加的な能力は、毛細管カラムの内面への疎水性ポリマーと親水性ポリマーとの相互結合する網目の形成を可能にする。したがって、好ましい疎水性の高分子炭化水素部分は、ポリブタジエンのような反応性炭化水素である。当業者は、前記炭化水素が親水性ビニルモノマーと反応するために反応性ビニル部分を有することを評価するであろう。さらに、親水性ビニルモノマーは、そのようなビニルを含んでいる炭化水素の存在状態で重合され、かつ、そのビニルを含んでいる炭化水素と反応して、疎水性の高分子官能基に共有結合される親水性ポリマーの網目を形成する。前記疎水性の高分子官能基は、順に、毛細管チューブの前記内面に共有結合される。
このように、本発明の好ましい実施例では、親水性官能基を有するコンパウンドはビニルを含んでいる親水性モノマーであり、疎水性官能基を有するコンパウンドはシラン又はシロキサンであって親水性のビニルモノマーと反応できるポリブタジエン部分を保持すべく変態されたシラン又はシロキサンである。当業者は、ひとたび重合されると、その結果が単独重合され、かつ、共重合された、疎水性の高分子官能基と親水性の高分子官能基との網目となることを評価するであろう。その結果生ずる被覆電気泳動毛細管カラムは、毛細管チューブの前記内面に実質的に減少した量のSi−OH官能基を有する。このようにして、電界の影響下にある前記毛細管カラム内の電気浸透フロー又はバルクフローは実質的に除かれる。さらに、前記毛細管カラムの前記内面に結合された疎水性の高分子官能基は、前記コーティングを共有結合するために形成される共有結合との電気泳動緩衝液の水性相互作用を減少する。この減少した相互作用は、典型的にはSi−O−Si結合である前記共有結合の水解を除き、毛細管カラムの寿命を増加させる。最後に、前記コーティングの親水性の高分子部分は、電気泳動分析物質を前記コーティングの疎水性部分からさえぎり、これによって分析物質の試料成分と前記コーティング又は毛細管カラムの内面との間の好ましくない疎水性相互作用を除く。
当業者は、疎水性の炭化水素官能基を有する種々のコンパウンドと、種々の親水性モノマーコンパウンドとは、本発明を実施するに際して適当であることを評価するであろう。ポリブタジエン変態されたシラン又はシロキサン(ポリシラン及びポリシロキサンを含む)に加えて、事実上、ビニルを含む炭化水素変態されたどのようなシラン又はシロキサンも使用できる。特に、広い範囲の分子重量を有する反応性ポリシロキサン又はポリシランに与えられるポリブタジエン官能基は有用である。前記分子重量は、200から2,000,000以上にわたっている。分子重量における制限因子は、ポリブタジエン連鎖の長さである。ポリブタジエン連鎖は立体障害を引き起こしうるし、シラン又はシロキサンを毛細管カラムの前記内面に結合することを妨げるかもしれない。前記コンパウンドが反応性ビニル官能基を有するために、前記コンパウンドは親水性ビニルモノマーと共重合することができる。親水性ビニルモノマーは、ヒロドキシエチルメタクリラート(hydroxyethylmethacrylate)、ビニルピロリドン(vinylpyrrolidone)、アクリルアミド、その他のコーティング網目を形成するものを含む。コーティング網目は、疎水性の炭化水素高分子層と、親水性高分子層の第2の網目とを含む。同様に、アクリル毛細管チューブの内面とエステル交換反応することができ、ビニルの炭化水素官能基を有するエステルは、同様の網目を形成するために親水性モノマーと共重合することができる。
再び図1を参照して、本発明の好ましい実施例では、毛細管チューブ12はシリカで作られ、特別の分析適用に応じて、長さと直径とを変更できる。典型的には、前記カラムは約10cmから200cmの長さと、25μmから200μmの内径との間にある。シリカ毛細管チューブの前記内面は、SiOH部分を有することが有利である。SiOH部分は多くの有機化学官能基及び無機化学官能基と反応し、共有的に取り付けられるコンパウンドのための反応サイトを提供する。この反応サイトは毛細管チューブ12の内面14にとって好ましい化学的特性を有する。さらに、本発明の好ましい実施例に従うと、疎水性の化学的官能基16はポリブタジエン官能基であり、ポリプタジエン官能基は、シロキサンとSiOH官能基との反応によって発生したSi−O−Si結合によって内面14に取り付けられている。この好ましい実施例では、親水性ポリマー18はポリアクリルアミドである。ポリアクリルアミドは、適当な開始剤の存在においてアクリルアミドモノマーを重合することによって形成されるとき、ポリブタジエンの残留している自由のビニルグループとさらに共重合し、高分子の架橋コーティングの形成に寄与する。
毛細管カラムの1つの壁を図式的に示している図2の長手方向の部分断面図は、好ましい被覆毛細管カラムを示す。さらに詳しくは、本発明の好ましい毛細管カラム30のコーティングは、毛細管チューブ34の内面38にSi−O−Si結合32によって共有結合された高分子の架橋網目である。ポリブタジエンは毛細管チューブの内面38に隣接する疎水性コーティング層36を形成し、ポリアクリルアミドは親水性の外側層40を形成する。外側層40は、試料成分と電気泳動分離に使用される緩衝水溶液との相互作用に利用できる。さらに、前記ポリアクリルアミドはポリアクリルアミドの種々の長さの間のブリッジとして作用し、これによってポリマーの架橋網目を形成する。当業者は、前述のコーティングの疎水性特性が緩衝水溶液と毛細管カラムの内面との相互作用を最小にすることを評価するであろう。さらに詳しくは、疎水性−親水性の反発が水性媒体と毛細管の内面のコーティングとの間の相互作用を排除し、これによってSiOH結合の水解を除く。このように、高分子のコーティング網目は毛細管チューブの内面に共有的に結合されたままであり、毛細管カラムの寿命を実質的に伸ばすのに寄与する。
本発明の好ましい被覆毛細管カラムの別の特長は、前記コーティングの親水性特性である。図1及び図2に示すように、コーティングの親水性部分は電気泳動分離中に使用される緩衝媒体との相互作用に利用できる。加えて、親水性の高分子部分はコーティングの疎水性部分と緩衝媒体との間のバッファゾーンとして作用する。この親水性の高分子バッファはコーティングと電気泳動試料成分との間の疎水性相互作用を妨げ、毛細管カラムの内面への試料吸収を最少にする。
本発明に従うと、被覆毛細管カラムを準備する方法は、内面を有し、この内面にSi−OH官能基を付けたある長さのシリカチューブを供給すること、その後、シロキサンコンパウンドを前記Si−OH官能基と反応させることを含む。前記シロキサンコンパウンドは、さらに、中性の重合できる官能基を有するとして特徴づけられる。前記中性の重合できる官能基は、この重合できる官能基と反応するモノマーと架橋をつくり又は共重合するための反応サイトを提供する。親水性モノマーが前記重合できる官能基と共重合するのに利用されるとき、親水性ポリマーと疎水性ポリマーとの架橋コーティングを生ずる。
前記シロキサンを前記SiOH官能基と反応させるに先立ち、毛細管チューブの内面を無機酸、無機塩基で順次洗浄し、最後に揮発性の低い有機アルコールで洗浄することによって、毛細管の内面をまず準備することが好ましい。前記シランを前記SiOH官能基と反応させることは、典型的には、毛細管チューブの前記内面をポリブタジエニルトリエトキシシラン(polybutadieneyl triethoxy silane)のような適当なシランコンパウンドと単に接触させることを含む。約10psiのヘリウムのような圧力下の不活性ガスの使用は、効力を高め、シランが毛細管チューブの内面と接触するのに必要な時間を短くする。この技術分野で公知のように、シラン官能基はSiOH部分と容易に反応し、Si−OH−Si結合を形成する。ひとたびシランコンパウンドが毛細管チューブの内面に固着されると、親水性のモノマーコンパウンドは共有結合されたシランコンパウンドと接触状態になる。既に述べたように、親水性のモノマーコンパウンドはその親水性と、共有結合されたシランコンパウンド上の疎水性官能基と反応する能力とによって特徴づけられる。好ましい実施例では、前記親水性モノマーはアクリルアミドである。アクリルアミドは、ポリブタジエンのビニルの官能基と容易に単独重合し、かつ、共重合する。当業者は、アクリルアミドをポリブタジエンで利用できるビニル官能基と反応させる条件では、アクリルアミドを重合するために、この技術分野で公知の標準の重合化学技術を適用することと思われる。
本発明の最も好ましい実施例では、前記重合過程中に形成された前記ポリアクリルアミドは、さらに、前記コーティング材料の物理的保全性を強めるために架橋される。前記重合過程中にN,N'−メチレン−ビス−アクリルアミドのようなジビニルモノマーの使用を含む標準の架橋方法論が利用できる。別の架橋方法は、後重合の架橋過程においてホルムアルデヒドを利用することを含む。ホルムアルデヒドの2つのアルデヒドプロトンがアクリルアミドプロトンと反応するのに利用できる。反応したアクリルアミドプロトンがポリアクリルアミドの異なるストランドに置かれるとき、それらは架橋される。当業者はアクリルアミドを架橋するための技術を適用すると思われる。加えて、架橋のための条件の例は実施例の形態で以下に与えられている。
親水性モノマーの単独重合と、親水性モノマーの親水性の高分子官能基との共反応に続いて、過剰のポリアクリルアミドとアクリルアミドとを毛細管カラムの内部から圧力下の水洗を使用して除去する。その後、被覆毛細管カラムは種々の電気泳動分離に使用される。
本発明の被覆毛細管カラムは容易に形成でき、どのような毛細管電気泳動装置の使用にも適合できる。さらに、その使用には特別の取り扱い操作は必要ではなく、典型的な電気泳動技術がその使用に適用される。したがって、標準の毛細管電気泳動装置にひとたび配置されると、本発明の毛細管カラムは、毛細管電気泳動によって試料成分のための試料組成を分析する方法に使用できる。本発明に従うと、前記方法は、典型的には、被覆毛細管カラムの第1の端部を陽極リザーバにつけること、被覆毛細管カラムの第2の端部を陰極リザーバにつけることを含む。それから、被覆毛細管カラムの一方の端部でその内部に試料成分を導き、前記リザーバを横切って電界を加えると、毛細管カラム内で試料成分が特異的に移動する。適当な検出器、たとえば紫外線可視の検出器又はけい光検出器を被覆毛細管カラムの少なくとも一方の端部に適当に配置するとき、分離された試料成分が検出され、電気泳動図が発生する。
本発明を一般的に説明してきたが、本発明は、説明のために提供するもので、発明を制限することを意図しない次の例を参照して一層容易に理解できるであろう。
例1
次に説明するのは、電気泳動操作に使用ための本発明の被覆毛細管カラムの準備のための典型的な(複数の)第1過程である。これら第1過程は、毛細管カラムの内面を準備すること、この準備された内面に変態された疎水性のポリブタジエン官能基を共有的に結合することを含む。
65cmの長さと50μmの直径とを有する(アリゾナ、フェニックスのポリミクロン社(Polymicron of Phoenix,AZ)から入手できる)融解石英の毛細管チューブを、1NのHCl溶液で15分間内面を洗浄することによって準備した。洗浄作用はHCl溶液を毛細管チューブにポンプで供給することによって行われた。次に、HCl溶液を毛細管チューブから除去し、同様の方法で内面を1NのNaOH溶液で15分間洗浄した。最後に、NaOH溶液を除去した後、毛細管チューブの内部をメタノールで15分間洗浄した。
残留メタノール溶液を毛細管チューブから除去した後、前記準備した毛細管チューブを、トリエトキシジリル(triethoxysilyl)で変態されたポリブタジエン(トルエン中の50%のポリブタジエニルトリエトキシシランをニュージャージー、ピスカタウェイのハルスアメリカ社(HulsAmerica,Inc.Piscataway,New Jersey)から購入した)の50%トルエン溶液で洗浄した。前記ポリブタジエニルトリエトキシシランは高分子コンパウンドであり、高分子ポリブタジエンに結合された多反応性のトリエトキシシラン官能基を有する。この技術分野において公知のように、ポリブタジエン官能基は、ビニル重合条件下で反応するペンダント(pendant)ビニル基を有する。前記ポリブタジエニルトリエトキシシラン溶液は、分子重量の指標である25−50センチストークスの粘度を有していた。
前記洗浄過程を30分間実施した。その後、毛細管チューブの2つの開口端部はシリコンのプラグでふたをした。ふたをした毛細管チューブを24時間待機した。
例2
次の例は本発明の被覆毛細管カラムを準備する最後の過程を示している。一般に、この被覆毛細管カラムを準備することは、例1に記載したように、準備した毛細管カラムの内面に結合された前記ポリブタジエンを利用すること、結合されたポリブタジエンの存在において線状ポリアクリルアミドを合成することを含む。その結果、結合された疎水性ポリブタジエンのコーティングを取り囲む親水性の線状ポリアクリルアミドの層を生ずる。
例1に記載した毛細管カラムに結合された前記ポリブタジエンを準備した。それから、24時間の熟成期間に続いて、前記ポリブタジエンを結合した毛細管チューブをトルエンで30分間洗浄した。30分後、残留トルエンを除去し、毛細管チューブをメタノールで15分間洗浄した。次に、アクリルアミドの5%水溶液(カリフォルニア、アーバインのアイシーエヌバイオメディカル社(ICN Biomedical,Inc.,Irvine,CA)から入手できる)を準備した。前記水溶液は、この水溶液中の酸素含量を減らすために100mbarの真空下で30分間ガス抜きした。前記5重量%のアクリルアミド溶液のガス抜きと同時に、関連のない100Mlの水をこの水中にヘリウムを泡立てることによって脱酸素し、酸素含量を最初の酸素含量の10%以下に減らした。前記5重量%のアクリルアミドの水溶液を真空から除去する3分前に、10重量%のN,N,N',N'−テトラメチレンジアミン(TEMED)(アイシーエヌバイオメディカル社から購入)の溶液と、10重量%の過硫酸アンモニウム(APS)(アイシーエヌバイオメディカラ社から購入)の溶液とを準備するために前記脱酸素した水を利用した。
その後ただちに、前記10重量%のTEMED溶液の10μLと前記10重量%のAPS溶液の10μLとを前記ガス抜きしたアクリルアミド溶液の2Mlに加えて重合混合物を形成した。この重合混合物を、前記ポリブタジエンを結合した毛細管チューブに10psiのヘリウム圧力を使用して注入した。3分の反応時間の次に、前記10psiのヘリウム圧力を除去し、その2分後、前記毛細管チューブの2つの端部にキャップを被せ、毛細管チューブを24時間の待機とした。次に、端部のキャップを外し、前記ポリブタジエンと反応しない残留ポリアクリルアミドと、残留アクリルアミドとを100psiの水圧を使用して前記毛細管カラムの内部から排出した。その結果、前記結合されたポリブタジエン上に残留ビニル基と共反応した線状のポリアクリルアミドの薄い層が生じた。前述の手順によって準備された被覆毛細管カラムは、毛細管電気泳動分離にただちに使用できた。
例3
次の例は、本発明の変更した被覆毛細管カラムを準備する手順を示している。以下に記載する被覆毛細管カラムは、例2に記載した被覆毛細管カラムとは、前記コーティングの親水性部分が架橋ポリアクリルアミドである点で異なる。前記架橋ポリアクリルアミドは、強められた物理的保全性とその結果のより長い寿命とを備えるコーティングを提供する。
この変更したコーティングを準備するために、例1に記載した前記ボリブタジエンを結合した毛細管カラムを準備した。それから、前記24時間の熟成期間の次に、前記ポリブタジエンを結合した毛細管チューブをトルエンで30分間洗浄した。30分後、残留トルエンを除去し、毛細管チューブをメタノールで15分間洗浄した。その後、5重量%のアクリルアミドの水溶液を準備し、例2に記載したようにガス抜きした。十分のN,N'−メチレン−ビス−アクリルアミドを前記ガス抜きした5重量%のアクリルアミド溶液に加えて1重量%のN,N'−メチレン−ビス−アクリルアミドの溶液を作った。その後、10重量%のTEMED水溶液と10重量%のAPS水溶液とを例2に記載したように準備した。前記TEMED溶液の10μL及び前記APS溶液の10μLを、前記アクリルアミド及びN,N'−メチレン−ビス−アクリルアミド溶液の2mLに加えて重合溶液を準備した。この重合溶液を、ヘリウムの10psiの圧力で2分間加圧し、続いてヘリウムの圧力を0psiに減らし、例1に記載したように準備した毛細管カラムに接触させた。4分経過してから、前記重合溶液を同じ条件で同じ時間2回目の加圧をした。この操作を付加的に4回繰り返し、毛細管カラムを、次のサイクルの次に2回蒸留し、かつ、イオン化した水で洗浄した。その結果、毛細管カラムの内面にSi−O−Si結合によって共有結合されたポリブタジエンの層と、前記ポリブタジエンの残留ビニル基と付加的に反応された架橋ポリアクリルアミドの網目とを含むコーティングが毛細管カラムに生じた。前記コーティングは前記毛細管チューブの内面にしっかり付着し、前記架橋網目によって物理的保全性をさらに強めた。
例4
次の例は、本発明の第2の変更した被覆毛細管カラムを準備する手順を示している。以下に説明する被覆毛細管カラムは、例2に記載した被覆毛細管カラムとは、前記コーティングの親水性部分が架橋ポリアクリルアミドである点で異なる。さらに、例3に記載した被覆毛細管カラムとは、前記架橋ポリアクリルアミドが異なる架橋試薬及び手順を利用して形成されている点で異なる。前記架橋ポリアクリルアミドは、強められた物理的保全性とその結果のより長い寿命とを備える前記コーティングを提供する。
この変更したコーティングを準備するために、例1に記載した前記ボリブタジエンを結合した毛細管カラムを準備した。それから、前記24時間の熟成期間の次に、前記ポリブタジエンを結合した毛細管チューブをトルエンで30分間洗浄した。30分後、残留トルエンを除去し、毛細管チューブをメタノールで15分間洗浄した。その後、5重量%のアクリルアミドの水溶液を準備し、例2に記載したようにガス抜きした。前記TEMED及びAPSの溶液と、前記重合溶液とを例2に記載したように準備した。これら溶液を準備した後、前記重合溶液を、例1に記載したように準備した毛細管カラムに、例2に記載したのと同じ条件で注入した。線状ポリマーを形成するために重合された前記アクリルアミドと、ポリブタジエンと反応しない残留ポリアクリルアミドと、過剰のアクリルアミドとを前記毛細管カラムから除去した後、被覆毛細管カラムを、2%1NのNaOHを有する37%ホルムアルデヒド溶液に満たした。このホルムアルデヒド溶液は24時間毛細管カラム内で待機した。その後、毛細管カラムを2回蒸留した水で洗浄した。その結果生じた被覆毛細管カラムは、多くの異なるタイプのコンパウンドの電気泳動分離に適していた。
例5
次の例は、本発明の被覆毛細管カラムの典型的な適用を示す。特に、以下に述べるように、本発明の被覆毛細管カラムは、核酸のように荷電小粒子の分離に有用である。
30/37cm(37cmの全体長さと30cmのuvウインド)の例2に記載したように準備した被覆毛細管カラムを、前記P/ACE毛細管電気泳動装置(前記ベックマン社製)に配置した。前記毛細管カラムを、50mMのトリ−HCl及び2mMのEDTA中に3%のアクリルアミドを含んだ緩衝液で満たした。Ha IIIで温浸されたφX174DNA(200μg/mL DNA)溶液であってオレンジGの内標準を含んでいるDNA溶液の試料を、10秒間0.5psiの圧力注入を使用して毛細管カラムの一方の端部に注入し、200V/cmまたは7.4kVを20℃の温度で電気泳動装置のリザーバを横切って印加した。分離した塩基性DNAフラグメントをuv検出器によって254nmにおいて検出した。図3は20分未満の移動の後得られた電気泳動図を示している。DNAフラグメントのそれぞれを、基準線分離によって他のDNAフラグメントから次の移動順序で分離した。第1ピーク:内標準オレンジG;第2ピーク:72塩基対DNAフラグメント;第3ピーク:188塩基対;第4ピーク:194塩基対;第5ピーク:234塩基対;第6ピーク:271塩基対;第7ピーク:281塩基対;第8ピーク:310塩基対;第9ピーク:603塩基対;第10ピーク:872塩基対;第11ピーク:1078塩基対;第12ピーク:1353塩基対。
例6
次の例は、本発明の被覆毛細管カラムのための典型的な適用である。特に、以下に述べ、かつ、図4に示すように、本発明の被覆毛細管カラムはタンパク質の分離に有用である。内標準(ヒスタミン)、リゾチーム、シトクロムC、リボヌクレアーゼAのそれぞれ1mg/mLを含む水溶液を準備し、例4に記載した手順にしたがって準備した20/27cmの被覆毛細管カラムを前記P/ACE毛細管電気泳動装置に配置した。毛細管カラムを20mMのMES(ミズーリ、セントルイスのシグマケミカル社(Sigma Chemical,St.Louis,MO)から購入した緩衝液)と、pH6.0に調節された20mMのシトラート緩衝液とで充填した。タンパク質の水溶液の試料を2秒間0.5psiの圧力注入を使用して前記毛細管カラムの一方の端部に注入し、500V/cmを25℃の温度で電気泳動リザーバを横切って印加した。分離したタンパク質をub検出器によって214nmにおいて検出した。図4は12分未満の移動の後得られた電気泳動図を示している。タンパク質のそれぞれを基準線分離によって他のタンパク質から分離した。この場合の移動順序は電気泳動図の左から右へ内標準(ヒスチジン)、リゾチーム、シトクロームC、リボヌクレアーゼである。
例7
本発明の被覆毛細管カラムを使用する検定の多様性や長期使用の安定性、再現性を証明するために、例5で実行されたタンパク質検定を20回繰り返した。繰り返しの検定のそれぞれのために各タンパク質の電気泳動移動時間を検出した。この再現性の結果を図5に示してある。内標準(ヒスタミン)の移動時間の再現性をライン1(移動時間1.99分)で示してあり、リゾチームの移動時間の再現性をライン2(移動時間4.6分)で示してあり、シトクロムCの移動時間の再現性をライン3(移動時間5.77分)で示してあり、リボヌクレアーゼの移動時間の再現性をライン4(移動時間9.73分)で示してある。
繰り返しのヒスタミン検定、リゾチーム検定、シトクロムC検定、及びリボヌクレアーゼ検定のための相対標準偏差はそれぞれ0.74%、1.08%、1.12%、1.63%である。これらデータは、本発明の典型的な毛細管カラムのすぐれた物理的安定性と長期の使用特性とを証明している。
例8
次の例は、本発明の典型的な毛細管カラムのさらに別の適用を示している。特に、例4に記載した手順にしたがって準備した毛細管カラムをにわとりの卵白内のタンパク質を分離するのに使用した。検定条件と試料濃度とは例5に記載したものと同じである。検定の結果は図6に示してある。移動時間5.46におけるピークはリゾチーム、5.89におけるピークはコンアルブミン、7.18におけるピークはオボアルブミンである。
本発明は特別の実施例に関連して説明したけれども、さらに別の変更も可能である。この出願は、一般に、本発明の原理に従うどのような修正、使用又は適用をも含むことを意図している。さらに、発明が属する技術分野内の公知の又は通例の実施となり、かつ、先に説明し、請求の範囲に記載した本質的特徴に付加されるような本発明の出発を含むどのような修正、使用又は適用をも含むことを意図している。

Claims (20)

  1. 試料成分の電気泳動分離のための毛細管カラムであって、
    内面を有するある長さのチューブを備え、前記内面は相互結合される高分子コーティングを有し、この相互結合される高分子コーティングは、前記内面に共有結合される疎水性の高分子官能基と、この疎水性の高分子官能基と共重合される親水性ポリマーとを備える、毛細管カラム。
  2. 前記チューブはシリカで作られ、前記疎水性の高分子官能基はSi−O−Si結合によって前記内面に共有結合されている、請求項1に記載の毛細管カラム。
  3. 前記疎水性の高分子官能基はポリブタジエンである、請求項1に記載の毛細管カラム。
  4. 前記親水性ポリマーはポリアクリルアミドである、請求項1に記載の毛細管カム。
  5. 前記ポリアクリルアミドは架橋されている、請求項4に記載の毛細管カラム。
  6. 試料成分の電気泳動分離のための毛細管カラムであって、
    内面を有するある長さのチューブを備え、前記内面は相互結合される高分子コーティングを有し、この相互結合される高分子コーティングは、前記内面に共有結合されるポリブタジエン官能基と、このポリブタジエン官能基と共重合されるポリアクリルアミドとを備える、毛細管カラム。
  7. 前記チューブはシリカで作られ、前記ポリブタジエン官能基はSi−O−Si結合によって前記内面に共有結合されている、請求項6に記載の毛細管カラム。
  8. 前記ポリブタジエン官能基は、ポリブタジエニルトリエキシシランを前記シリカのSi−OHと反応させることによって前記内面に共有結合されている、請求項7に記載の毛細管カラム。
  9. 前記ポリアクリルアミドは架橋されている、請求項6に記載の毛細管カラム。
  10. 毛細管カラムを準備する方法であって、
    内面とこの内面上のSi−OH官能基とを有するある長さのシリカチューブを供給すること、
    疎水性の高分子官能基を有するSi−OH反応コンパウンドを前記Si−OH官能基と反応させること、
    親水性モノマーを前記疎水性の高分子官能基と接触させて重合させ、これによって親水性ポリマーと疎水性ポリマーとの相互結合する高分子網目を形成することを含む、毛細管カラムを準備する方法。
  11. 前記Si−OH反応コンパウンドはポリブタジエニルトリエキシシランである、請求項10に記載の毛細管カラムを準備する方法。
  12. 前記親水性モノマーはアクリルアミドである、請求項10に記載の毛細管カラムを準備する方法。
  13. 前記親水性ポリマーを架橋することを含む、請求項10に記載の毛細管カラムを準備する方法。
  14. N,N'−メチレン−ビス−アクリルアミドの存在において前記アクリルアミドを重合し、これによって架橋ポリアクリルアミドを形成ることを含む、請求項12に記載の毛細管カラムを準備する方法。
  15. 前記重合されたアクリルアミドをホルムアルデヒドと接触させ、これによって架橋ポリアクリルアミドを形成することを含む、請求項12に記載の毛細管カラムを準備する方法。
  16. 毛細管電気泳動によって試料成分の試料組成を分析する方法であって、
    毛細管カラムを供給することであって、内面を有するある長さのチューブを備え、前記内面は相互結合される高分子コーティングを有し、この相互結合される高分子コーティングは、前記内面に共有結合される疎水性の高分子官能基と、この疎水性の高分子官能基と共重合される親水性ポリマーとを備える毛細管カラムを供給すること、
    第1の端部を陽極リザーバに浸し、かつ、第2の端部を陰極リザーバに浸すこと、
    前記試料成分を前記第1の端部または第2の端部で前記毛細管カラム内に導くこと、
    前記リザーバを横切って電界を印加することを含み、前記電解は、前記毛細管カラム内の各試料成分に関して異なる速度で前記試料成分を移動させることができる、試料成分の試料組成を分析する方法。
  17. 前記試料成分は塩基性コンパウンド及び酸性コンパウンドからなるグループから選定される、請求項16に記載の試料成分の試料組成を分析する方法。
  18. 前記チューブはシリカで作られ、前記疎水性の高分子官能基はSi−O−Si結合によって前記内面に共有結合されている、請求項17に記載の試料成分の試料組成を分析する方法。
  19. 前記疎水性の高分子官能基はポリブタジエンである、請求項16に記載の試料成分の試料組成を分析する方法。
  20. 前記親水性ポリマーはポリアクリルアミドである、請求項16に記載の試料成分の試料組成を分析する方法。
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