JP3607622B2 - 電場相互相関計 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、未知の光信号を構成する各周波数成分の、基準とする光の同周波数成分に対する相対的な強度及び位相を、正確に測定する技術に関する。本発明で観測される基準光電界と信号光電界の間の干渉は、数学的には両電界の1次の相互相関関数と見なされ、ゆえに本測定器は、光の電場(電界)相互相関計と呼ぶことができる。
【0002】
ここで、基準とする光が既知であるとき、電場相互相関計によれば、未知の光信号の周波数成分全ての強度及び位相が知られるので、それを時間領域に引き直す計算を行うことで、光信号の強度及び位相の時間変化を得ることができる。他方、信号光が、基準光に線型の伝達関数が作用した結果として生じている場合には、基準とする光が既知でなくても、電界相互相関計によりこの伝達関数を求めることができる。伝達関数の絶対値部分は、通常の透過率測定により容易に得られるが、位相部分の測定はさほど自明でない。かかる位相部分は、一般に光の周波数成分毎に伝搬遅延が異なる現象として現れるので、(波長)分散特性と呼ばれている。したがって前者の場合には、本発明により、光信号電界時間波形を測定する手段が提供され、後者の場合には、信号光が辿ってきた光路の分散特性の測定手段が提供される。
【0003】
【従来の技術】
よく知られているように、全ての信号は時間領域と周波数領域の両側面を持ち、双方の領域はフーリエ変換で結ばれている。光信号の場合、被測定信号のスペクトルを分光的手段で観測することにより、そのパワースペクトルS(ω)=V(ω)V(ω)を得ることは自明である。ここで、ωは光の角周波数、V(ω)は、被測定光についての解析信号V(t)のフーリエ変換であって、実数である信号光電界E(t)に対応して、複素数の“解析信号”V(t)を、E(t)=ReV(t)によって定義している。
【0004】
ここで、前記パワースペクトルに加えて、V(ω)の位相φ(ω)が、何らかの手段によって知られない限り、周波数領域の複素数値関数V(ω)についての完全なデータとはならず、フーリエ変換によって時間領域に引き直してV(t)を求めることもできない。このように、光信号電界の波形の測定は、スペクトル位相φ(ω)(フーリエ位相とも呼ばれる)の情報を、如何にして得るかに還元されると見なせる。
【0005】
この“失われた”スペクトル位相に係る問題は、空間位相の分布がわからないために、像面上の2次元強度分布から3次元物体を再生できないのと同様の事情にあると言える。この解決に向けて、空間光学においては、参照波面と干渉させて光の位相を可視化する手法、即ち、ホログラフィが既に良く知られている。これとの類似で、基準となる参照光電界と干渉させることで、未知の光信号のスペクトル位相を観測しようとする測定器が、電場相互相関計である。
【0006】
参照光電界の解析信号をV(t)、そのフーリエ変換をV(ω)と書くと、光信号と参照光電界の干渉の観測結果から、一般に、周波数領域での両者のコリレーション、
【数1】
(ω)=V(ω)V (ω)
を導き出すことができる。これが、電場相互相関計によって得られる1次データとなる。
【0007】
もし、予め参照光電界が完全に分かっていれば、V(t)、また、V(ω)が既知となるので、後者の複素共役を作り、数1の式のコレリーションをそれにより除することにより、スペクトル領域での被測定信号V(ω)を得ることができる。さらに、これを逆フーリエ変換すれば、光信号電界の波形V(t)を求めることができる。このような操作は、ディコリレート演算と呼ばれる。
【0008】
このような方法に対峙するものとして、参照光なしに、光信号にかかるスペクトル位相を観測する自己参照型光電界波形測定法が、種々知られている。しかし、それら方法の何れにおいても、何らかの非線型光学効果の使用を原理的に免れ得ず、その結果、光信号自身が、その非線型効果を発現させるに十分な強度を有することが、必要である。これに対し、参照光を用いる電場相互相関計による測定にあっては、非線型光学効果が全く介在せず、従って、極めて微弱な光信号についても、その波形が測定できるという著しい特徴がある。
【0009】
一方、光信号が、参照光への線型応答の結果生じている場合、一般に数2の式の関係が成り立つ。
【数2】
V(ω)=t(ω)V(ω)
【0010】
ここで、t(ω)は、伝達関数と呼ばれる。この場合、先のように参照光電界が完全に分かっていれば、前記コリレーションからディコリレート演算によりまずV(ω)を求め、さらにそれをV(ω)で除して、伝達関数t(ω)が求められることは、当然である。この後段の操作は、ディコンボルブ演算と呼ばれている。ところが、電場相互相関計によれば、より一般的に、参照光電界が完全には知られていなくても、伝達関数t(ω)が得られる。これは以下のようにして示せる。
【0011】
前記数2の式の関係を、前記数1の式に代入すると、この場合の周波数領域のコリレーションとして、G(ω)=t(ω)S(ω)が得られる。ここで、S(ω)=V(ω)V (ω)は、参照光のパワースペクトルであって、前述した通り、古典的な分光的手段により容易に測定できる。したがって、コリレーションを参照光のパワースペクトルで除することにより、伝達関数t(ω)が求まるのである。
【0012】
かくして得られる伝達関数において、その絶対値部分|t(ω)|は、所謂、振幅透過率である。この量は、通常の分光的手段で測定されるパワー透過率|t(ω)|を介して、容易に知ることができるため、敢えて電場相互相関計による測定を待つには及ばない。
【0013】
これに対し、伝達関数の位相部分、φβ(ω)=arg[t(ω)]については、状況が異なる。この位相部分の角周波数ωに関する微分τβ(ω)=dφβ(ω)/dωは、中心角周波数ωの波束が受ける遅延、所謂、‘群遅延時間’を与えることが知られている(例えば、Max Born ・ Emil Wolf著、「Principle of Optics」第5版、1.3.4章)。この群遅延時間が、中心角周波数ω、乃至は中心波長に依存して変化する現象は、波長分散と呼ばれている。この波長分散こそは、該伝達関数の作用により引き起こされる光信号波形の変化を見積もる際に、欠くべからざる量である。
【0014】
波長分散を測定するために、IEEE Journal of Lightwave Technology誌・7巻(1989年)・39−44頁に公刊されている如く、正弦波変調された光に伝達関数が作用した際の、該正弦波の位相の変化を観測する方法が知られている。現行のこのような装置において実用されている変調周波数は、20GHz程度であり、この場合、検出される位相変化の1周期分に相当する伝搬長は真空中に直して、15mm程度である。
【0015】
これに対し、電場相互相関計等の干渉法によって測定される伝達関数においては、位相変化の1周期分に相当する真空中の伝搬長は、すなわち真空中の光の波長に他ならない。以上を対置すると、電場相互相関計を用いた分散測定の群遅延時間検出能は、正弦波変調に基づく方法に比して、10000倍程度高いことが期待できる。現実には、伝達関数の位相を微分して群遅延を算出する際に、雑音が強調されるために、この単純な見積もりの通りにはならないが、1000倍程度高い検出感度は、実際に達成されている。かくして、電場相互相関計は、伝達関数の位相部分を測定できることによって、比類のない高感度の分散測定手段を提供するのである。
【0016】
以上が、電場相互相関計の用途・効用である。これ以後は、前述したように、電場相互相関計における1次データである、参照光電界と被測定信号光電界相互の、周波数領域でのコリレーションG(ω)(数1の式)を得ることをもって、電場相互相関計の目的として総括的に論を進め、光信号波形とか波長分散といった、前記コリレーションから副次的に得られる測定対象の一々の例を挙げることは割愛する。
【0017】
こうした電場相互相関計として、最初に想到されるところは、被測定光信号電界V(t)と参照光電界V(t)を重畳し、分光的手段を介して、光検出器で受光する構成である。良く知られているように、光検出器は光電界について2乗特性を有する。この結果、光検出器からは以下の数3の式の信号が出力される。
【数3】
|V(ω)+V(ω)|=S(ω)+S(ω)+2Re[V(ω)V (ω)]
【0018】
ここで、S(ω)、S(ω)はそれぞれ、信号光、参照光のパワースペクトルである。両光の干渉を表しているのは右辺第3項であるが、ここに現れているのは、周波数領域でのコリレーションG(ω)ではなく、その実部ReG(ω)に過ぎない。したがって、このままでは電場相互相関計としての目的は達せられない。
【0019】
この問題は、参照光に時間遅延ΔTを与えることで回避できることが、Journal of Optical Society of America誌・72巻(1982年)・156−160頁において、公知となっている。図5は、この方策に拠った従来例の電場相互相関計の構成を示す図である。この従来例は、光信号波形を得る目的でOptics Letters誌・21巻(1996年)・884−886頁に公刊されている。波長分散の測定を目途としたものは、さらに遡って、Electronics Letters誌・20巻(1984年)・751−752頁に、同様の構成を見いだすことができる。
【0020】
この例において、参照光は、参照光入射端501より入射し、一方、信号光は、信号光入射端502より入射し、合波鏡512に達する。前記参照光は、反射鏡534、反射器535、及び反射鏡536からなる遅延光学系を経て、前記合波鏡512に達する。この遅延光学系により、参照光には、時間遅延ΔTが付与される。前記合波鏡512にて重畳された前記信号光と前記参照光は、スペクトログラフ537に入射し、スペクトル成分毎に空間的に分離される。かくして分離されたスペクトル成分の各々が、線型光検出器列538によって検出される。
【0021】
この従来例の動作について、図6を参照しつつ簡単に説明する。参照光に時間遅延ΔTを与えることは、周波数領域では、位相因子exp(iωΔT)を乗ずることに他ならない。したがって、この従来例で得られる信号は、前記数3の式において、V(ω)をV(ω)exp(iωΔT)に置換することにより得られ、以下の数4の式により表される。
【数4】
Σ=S(ω)+S(ω)+2Re[V(ω)V (ω)exp(−iωΔT)]
【0022】
この信号の形態を、図6(a)に、直流的加算項S(ω)+S(ω)、及び、各光のパワースペクトルS(ω)、S(ω)と共に示した。図6(a)から明らかなように、適当な時間遅延ΔTにより、緩やかに変化する直流的加算項に対して、干渉項に急速に変化する振動を与えることができる。この性質により、直流的加算項からの干渉項の分離、ならびに実数の信号からのコリレーションG(ω)の導出が可能となる。
【0023】
図6(a)の信号を形式的に逆フーリエ変換し、“みなし時間”上の時系列に変換すると、図6(b)に示したように、3つの孤立した“波形”が現れる。このうち、中心に位置するものは、直流的加算項に由来する。一般にパワースペクトルの逆フーリエ変換は、(電場)自己相関関数を与えることはよく知られている。今の場合の信号に対する形式的な逆フーリエ変換は、光周波数軸の原点をずらしたフーリエ変換の逆変換となっているため、光電界自体ではなく、その包絡線関数の自己相関関数となる。すなわち、図6(a)の横軸の光周波数範囲の中心に対応する角周波数をωとし、光信号電界の波形V(t)を、V(t)=u(t)exp(−iωt)と書くとき、u(t)が光信号電界の包絡線関数であり、S(ω)は、u(t)の自己相関関数g(τ)に変換される。同様に、S(ω)は、参照光電界V(t)の包路線関数u(t)の自己相関関数g(τ)に変換される。上で、直流的加算項に由来して現れたのは、これら2つの自己相関関数の和である。
【0024】
その左右に、干渉項に由来する2つの“波形”g(τ+ΔT)、及びg (−τ+ΔT)が現れる。これらは何れも、前記2つの包絡線関数の相互相関関数g(τ)(数5の式)から誘導されたものである。
【0025】
【数5】
(τ)=∫u(t)u (t−τ)dt
このうち左側のg(τ+ΔT)を抜き出し、“みなし時間”上 ΔTだけ遅らせれば、相互相関関数g(τ)が、独立した形で得られる。これに形式的なフーリエ変換を施せば、元々の図6(a)の信号の横軸を張っていた光周波数軸上に、目的とする周波数領域でのコリレーションG(ω)が得られる。
【0026】
こうして得られたコリレーションについて、前述したような参照光電界のディコリレート演算を行えば、図6(c)に示したように、光信号電界の周波数領域V(ω)について、その振幅(スペクトル振幅)ならびに位相(スペクトル位相)を求めることもできる。かくして、この従来例により、電場相互相関計が実現されているのである。
【0027】
本従来例では、合波光を周波数成分に分け(分光した)後、2乗特性を有する光検出器で検出しているが、これに対して、合波光をまず受光し、その後で、周波数成分に分ける(分光する)ことを考える。この分光のためには、参照光に時間遅延τを与え、これを変化しつつ合波光の強度を干渉信号として採取し、しかる後に、遅延τについてフーリエ解析を行えば良い。2乗特性を有する光検出器の前で分光する従来法に対して、後で分光するこの場合には、以下に示すように遥かに容易に、目的とするコリレーションG(ω)に到達する。この違いは、2乗特性の非可換性に由来するものである。
【0028】
この時、光検出器の出力に現れる合波光電界VΣ(t)=V(t)+V(t−τ)の強度PΣ(τ)は、数6の式で表される。
【数6】
Σ(τ)=P+P+G(τ)
【0029】
この数6の式の右辺中、時間遅延τに唯一依存する項は、最後の以下の数7の式のみであり、この項が信号光と参照光の間の電場相互相関関数に他ならない。
【数7】
(τ)=Re∫V(t)V (t−τ)dt
【0030】
光検出器の出力をAC結合にて採取する、あるいは採取信号からDC成分を取り除くことにより、この電場相互相関関数G(τ)を独立して得ることは、極く容易に行える。すなわち、時間遅延τに伴って変化する干渉信号のみを採取することで、従来法の直流的加算項に相当する成分P+Pは、いとも容易に除外することができる。
【0031】
かくして単離測定される電場相互相関関数G(τ)の、遅延τについてのフーリエ変換は、正しく、前記数1の式で与えられていた周波数領域でのコリレーションG(ω)を、直接与える。この原理は、既に、波長分散を測定する分散測定器として、例えば、特許2694201号(特願昭63−287566)の「分散測定方法及び装置」に開示されている。この公知例では、白色光を用いる干渉計の一方の腕に被測定素子を挿入し、遅延時間を変えて生ずる干渉波形を記録し、記録した波形をフーリエ変換して得られる周波数領域での位相情報から、被測定素子の波長分散が求められる。この公知例の方法は、発明者により「フーリエ変換相互相関法(FTC:Fourier−Transformed Crosscorrelation)」と名づけられていたことからも見て取れる通り、正に電場相互相関関数を測るものである。しかしながら、このフーリエ変換相互相関法に基づく電場相互相関計は、後に述べる理由により、今に至るまで実現されていなかった。
【0032】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述した従来の電場相互相関計には、以下のような問題がある。
その第一のものは、前述した“みなし時間”上の時系列を介しての、前記数4の式の信号からの周波数領域でのコレリーションG(ω)の復元手続きに係る問題である。前記g(τ+ΔT)を、隣接するg(τ)+g(τ)から単離できるためには、これらの間に、重なりがないことが必要である。例えば、図6(c)において、左右の端でスペクトル位相に暴れがあり、不正確な結果が得られている。これは、図6(b)で、一見、十分離れていて重なりが無いように見える、g(τ+ΔT)とg(τ)+g(τ)の間にも、実は僅かな重なりがあり、前者を無理に単離したことにより、“波形”を歪ませてしまったことに起因する誤差である。
【0033】
参照光に与える時間遅延ΔTを増せば、g(τ+ΔT)が、g(τ)+g(τ)から離れてゆくので、一見、それらの重なりをいくらでも小さくできるように思えるが、これは正しくない。与えることのできる時間遅延ΔTの大きさは、従来例中のスペクトログラフ537、より一般的には、分光手段の分解能によって制限されているからである。過度に大きなΔTに対しては、図6(a)において干渉項に付与される振動の周期が細かくなり過ぎ、分解できなくなることを想起すれば、この事情は容易に首肯できるであろう。
【0034】
この点につき考究を進めれば、前記従来例においては、分光手段に、信号光ないし参照光の通常のスペクトル観測に要する分解能に対し、少なくとも3倍高い分解能が要求されることを、導くことができる。その論証は以下の通りである。
【0035】
分光手段は全て、その伝達関数(フィルター関数)によって規定されるが、それに対応して、伝達関数をフーリエ変換して得る窓関数を考えることができる。例えば、分光器の伝達関数として良く用いられるsinc関数(sinx/x)に対する窓関数は、矩形関数(∃w、τ<|w|でf(τ)=1、それ以外ではf(τ)=0)となる。一般に、窓関数の幅(値が非ゼロの値域で、数学的には“台”と称する。前記の例では2w)は、伝達関数の幅、すなわち、分解能に反比例する。
【0036】
そもそも信号光のスペクトルS(ω)を正確に測定するためには、その自己相関関数g(τ)が、分光手段の窓関数に内包されていることが必要である。換言すれば、スペクトルS(ω)に対して、自己相関関数の幅を介して、その観測に必要な最小幅の窓関数が決まる。参照光のスペクトルS(ω)について同様にして定まる窓関数との間で、幅の広い方を採れば、前記数4の式中の直流的加算項S(ω)+S(ω)の観測に必要な窓関数が求まる。
【0037】
相互相関関数g(τ+ΔT)に対しても、それを内包する窓関数をΔTの周りに決めることができる。ここで、通例g(τ+ΔT)の拡がり(厳密には台)は、自己相関関数g(τ)、g(τ)の何れよりも大きい。何となれば、自己相関関数には、光のスペクトル位相が寄与しないのに対し、相互相関関数にはその変化分の寄与が加わるからである。一般に、周波数領域の変化は、そのフーリエ変換である相関関数の幅を拡げる作用を持つことに、留意されたい。この結果、相互相関関数g(τ+ΔT)には、少なくとも自己相関関数よりも幅の広い窓関数が付随することとなる。なお、もう一方の相互相関関数g (−τ+ΔT)に、このg(τ+ΔT)と同じ幅の窓関数が付随することは言うまでもない。
【0038】
さて、g(τ+ΔT)を、g(τ)+g(τ)から単離できるという条件は、それぞれに付随する窓関数の間に重なりがないことと同値である。さらに、原点τ=0に関する左右対称性を考慮すれば、これらは、g (−τ+ΔT)とg(τ)+g(τ)の窓関数が重ならないこととも、同値である。ここで、3つの互いに重ならない窓関数を全て包含する窓関数を取ると、その幅は、自己相関関数に付随する窓関数の幅の、少なくとも3倍となる。前者が、前記数4の式の観測に必要な窓関数、後者が通常のスペクトル観測に係る窓関数であり、また、窓関数の幅は分解能に反比例していたことに留意すれば、前記の結論が得られるのである。
【0039】
分光的手段への3倍高い分解能の要求は、装置の大型化・高価格化を招く。同一種の光学構成・材料の分光装置において単純に比較するとき、回折格子またはプリズムといった分散系の辺長が、分解能に反比例する。それを一様に照らすための光学系の焦点距離も、同様に分解能の改善に比例して増大する結果、分光的手段の床面積が、分解能の2乗に反比例する。軸対称な光束を用いる通常の場合には、分光的手段の高さ方向も分解能の改善に比例して増大する。
【0040】
したがって、体積では、分解能の3乗に反比例することとなる。この結果、3倍高い分解能の維持を迫られる従来例では、分光手段が必要以上に大がかりとなる傾向を免れない。通常のスペクトル観測自体に既に高分解能を要する波長分割多重(WDM)関連素子の、波長分散の測定などに、従来例技術を適用しようとする際、特にこれが著しい問題となる。
【0041】
従来の電場相互相関計に関る問題の第二のものは、入射する信号光と参照光の相対的時間関係の変動に、無防備な点である。これ故に、両光の相対的時間関係が変化しない時間のうちに、測定を完了する必要がある。その結果、測定時間を長く取れず、微弱光の測定に限界があった。
【0042】
ここで、信号光と参照光の相対的時間関係の変動が如何なる効果を持つかについて、説明を加える。これを見るためには、参照光に与えた時間遅延ΔTの変動の影響を、考えればよい。なぜなら、入射時点での信号光と参照光の時間関係の変動とΔTの変動は等価だからである。
【0043】
前記数4の式において、ΔTはRe[V(ω)V (ω)exp(iωΔT)]の形で、干渉項中に現れている。ここで、ΔTが2π/ω変化しただけで、角括弧内の位相は、2π回ってしまう。このときのΔTの変動を、光速を乗ずることで、光路長の変動に引きなおすと、丁度光の波長に等しくなる。すなわち、ΔTに関る光路には、光の波長に対して数10分の1、所謂、干渉計精度の安定度が要求されているのである。
【0044】
従来例の装置内で意図的にΔTを付与していた、反射鏡534、反射器535、及び反射鏡536から成る遅延光学系についてならば、干渉計精度の安定度が得られるように、注意を払って設計・構成することは、可能である。例えば、ミラー蒸着したガラスブロックを、光軸を調整した後で、貼り合わせてしまえば、十分な安定度を得ることができる。
【0045】
これに対し、測定装置に入射する信号光と参照光の相対的光路長の変動は、装置の外部で生ずるものであり、従来例の装置自体では原理的に対処し得ない。しかるに、光路長に干渉計精度の安定性が得られるように、装置に光を導く光学系全て、さらに、波長分散測定の場合は当該伝達関数を持つ測定対象自体をも、構成しない限り、測定が全く行えないとなれば、電場相互相関計を、独立した測定装置として製造・供給することが、殆ど意味をなさないであろう。
【0046】
かかる入射光相互の相対的光路長の変動を回避し、多少なりとも汎用性を持たせた形の電場相互相関計を実現するために、従来例では、短時間のうちに一挙に測定を行う構成をとらざるをえない。すなわち、入射する信号光と参照光の相対的光路長が、一定に留まっている間に、測定を完了することで、当該光路長変動の影響を回避しようという訳である。
【0047】
この事情により、前述した図5の従来例の構成において、スペクトルを空間的に分散して出射するスペクトログラフ537が用いられ、かつ、分離された各スペクトル成分の全てが、線型光検出器列538によって、同時に検出されている。可視域では、線型光検出器列に変えて、電荷結合素子(CCD)が用いられることも多い。通常、これら光検出器列ないしCCDは、光に感度を持つ時間、すなわち露光時間を、素子自身に対して電気的に設定できる“電子シャッター機能”を備えている。
【0048】
このような構成には、単発の信号光の測定が可能という利点があり、逆に、単発の信号光の測定を目的とする電場相互相関計としては、従来例の構成が唯一無二である。しかし、現在、単発信号に対する測定が必要なケースは、非常に高いピークパワー(>TW)の光を発生する、主に光加工用の光源の場合に限られている。正確な波形の把握が寧ろ肝要な、光通信・情報処理分野では、光信号は通例繰返し発生されるので、単発測定の必要性は全然認められない。さらに、波長分散の測定を目的とする場合は、連続白色光を光源として行え、単発測定が要りような局面は凡そ生じえない。
【0049】
従来例の装置では、入射光相互の相対的光路長の変動の影響を回避するために、露光時間を短くとらざるを得ないが故に、本来大多数の場合に必要とされない単発測定の構成に依拠している。この単発測定構成に不可欠な線型光検出器列、あるいはCCDといった位置分解光検出器は、当然ながら、通常の光検出器に比して高価である。さらに、それら検出素子からデータを読出し記録する電子回路への出費が加わる。すなわち、前述したように高分解能の分光手段を要することに加えて、この点でも、従来例の装置は、高価格とならざるを得ないのである。
【0050】
よしんば価格は許容できたとしても、露光時間が短く限られていることにより、光検出感度が制限を受ける。露光時間の上限は、入射光の辿ってくる光路の機械的安定度に大きく依存する。例えば、除震台上に固定した長いガラスブロックといった、極く単純で、相対的光路長が非常に安定な、例外的な場合には、0.5秒程度である。より複雑な光路を辿ってくる場合には、除震台上の光学系で0.1秒程度、さらに除震が施されていなければ、10ミリ秒オーダーが、経験値として知られている。このように、そもそも、入射光の辿ってくる光路の如何によって、実質的な光検出感度が左右されることにより、独立した測定器としての工業上の信頼性が損なわれる。
【0051】
さらに露出時間の制限は、特に、高分解能の測定に移行しようとする際に、光検出感度の不足を来す。分解能を高めてゆけば、当然、分解された各光周波数成分毎の光量は、比例して減少してゆく。ここで、電場相互相関計としての入射光検出感度を一定に保とうとすると、その分、露光時間を増す必要がある。ところが、露光時間の上限は、上のように、入射光相互の相対的光路長の変動から決められてしまっているので、自由に露光時間を増すことができないのである。
【0052】
以上の従来の電場相互相関計に関る問題の一、すなわち、必要以上に高い分解能分光手段に関る困難は、前記のフーリエ変換相互相関法によって解決可能である。従来例では、合波光に対し、まず分光的手段を介した後、2乗特性を有する光検出器で受光する結果、数4の式の如く、干渉項の虚部が失われ、かつ信号に直流的加算項を伴うこととなった。これからコリレーションを導出するには、大きな時間遅延ΔTを与えざるを得ず、これに伴う細かい振動を分解するために必要以上に高い分解能の分光手段を要する事態に至っていた。
【0053】
これに対し、フーリエ変換相互相関法では、求める周波数領域でのコリレーションG(ω)と同値な、電場相互相関関数G(τ)を干渉波形として直接測定する。その結果、従来法で必要であった物理的な分光手段そのものを要しない。必要な周波数分解は、干渉波形をフーリエ変換することにより、計算機によって行なわれるからである。
【0054】
今、時間遅延τの範囲−T≦τ<Tにおいて、刻み△τ毎に、干渉波形を採取したとすると、データ点の総数は、N=2T/△τとなる。この離散的データをフーリエ変換すると、良く知られているサンプリング定理により、角周波数の刻み△ω=2π/(2T)を以って、0≦ω≦π/△τの範囲のフーリエ成分に分解される。ここで現れた上端の角周波数ωは、角周波数の形式をとったナイキスト周波数に他ならない。これを光の波長に直して解釈すると、分解可能な入力光の短波端λが、時間遅延に関る光路長変化の刻み△l=c△τ(lはLの小文字、cは光速)によって、数8の式で決められる。
【数8】
λ=2△l
【0055】
他方、前述した角周波数の刻みは、(角)周波数分解能とみなすことができ、これが干渉波形の採取に関る時間遅延の範囲2Tに逆比例する。これは、フーリエ変換相互相関法で得られる周波数分解能は、時間遅延の掃引範囲を変えることで、変化させ得ることを示している。即ち、一つの装置を用いて、場合に応じた最適の分解能による測定が自由に行えるという特徴を有し、従来の電場相互相関計の第1の問題は、ここにおいて完全に解消されるのである。
【0056】
さて、参照光に時間遅延τを与え、これの関数として干渉信号を採取し終えるには、幾許かの時間を要し、況や単発測定ということはあり得ない。そこで、前述したように、汎用的な電場相互相関計において、一般的に無視し得ない入射光相互の相対的光路長の変動が、問題として浮上するに至る。
【0057】
従来例において、入射時点での信号光と参照光の時間関係の変動は、時間遅延ΔTと等価であった。全く同様にして、それらは、フーリエ変換相互相関法における時間遅延τの変動とも等価と言うことができる。フーリエ変換相互相関法では、遅延τは、フーリエ変換に関る横軸となっており、それ故、ここでも再び、光の振動周期に対して数10分の1、所謂、干渉計精度が要求されるのである。もし遅延τに干渉計精度が維持されないと、干渉波形のフーリエ変換結果の周波数軸に歪みが生じることとなり、“分光”を正しく行なうことができない。恰も、線刻数が変動する回折格子を用いたような結果に了るのである。
【0058】
これ故に、汎用的な電場相互相関計では、入射する信号光と参照光の相対的時間関係の変動に、対処できない限り、フーリエ変換相互相関法を採用すること自体、意味をなさない。換言すれば、ここで、従来の電場相互相関計の第2の問題も同時に解決されねばならないのである。未だこの解決がなされていない結果、フーリエ変換相互相関法に基づく電場相互相関計を構成することが、従来はできなかった。
【0059】
以上述べたように、従来の電場相互相関計には、以下の(1)及び(2)の解決すべき問題があった。
(1)必要以上に高い分解能の分光手段を要するために、装置が長大・高価格となる。
(2)入射光検出感度が、入射光相互の相対的光路長の変動如何によって変化し、測定器仕様としてそもそも保証し難く、かつ、測定時間を長くとって検出感度の改善が図れない。これらは何れも、波長(光周波数)分解能の高い測定を行おうとする場合に、顕著となる問題である。
【0060】
このうち、第1の問題はフーリエ変換相互相関法によれば解決可能であることが、公知であるが、フーリエ変換相互相関法では第2の問題がより甚だしく発現する。すなわち、第2の問題のために、フーリエ変換相互相関法による電場相互相関計は、従来、よしんば装置を構築したとしても、現実に動作し得なかったのである。
【0061】
そこで、本発明は、フーリエ変換相互相関法に拠りつつ、第2の問題の解決を図り、以って、従来技術における困難な課題を解決し、スペクトログラフといった古典的分光手段をそもそも必要とせず、しかも、入射光相互の相対的光路長が変動しても、それを測定器側で相殺しつつ正確に測定できる、小型で安価な電場相互相関計を提供することを目的とする。
【0062】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかにする。
【0063】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明の概要を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
第1の発明は、被測定信号光を入射する信号光入射手段と、参照光を入射する参照光入射手段を備え、前記被測定信号光と前記参照光との相互の干渉に基づいて前記被測定信号光のスペクトル成分の位相を測定する電場相互相関計において、前記被測定信号光と前記参照光の入射時の相対的な時間変動を調整するタイミング調整手段と、前記被測定信号光を2分して第1の信号光と第2の信号光を得る光分岐手段と、前記参照光を2分して第1の参照光と第2の参照光を得る前記光分岐手段と共通の光分岐手段と、前記第1の参照光に遅延を与える遅延手段と、前記第1の信号光と前記遅延された第1の参照光を合波する合波手段と、この合波の結果生ずる第1の合波光を検出する第1の光検出手段と、前記第2の信号光と前記第2の参照光を合波する前記合波手段と共通の合波手段と、この合波の結果生ずる第2の合波光を検出する第2の光検出手段と、該第2の光検出手段の出力に基づいて、前記タイミング調整手段を駆動しつつ、前記遅延手段により遅延を変更しながら前記第1の光検出手段の出力を時系列的に記録する手段と、得られた前記第1の光検出手段の出力の時系列データをフーリエ解析するフーリエ解析手段とを具備するものである。
【0064】
第2の発明は、前記第1の発明の電場相互相関計において、前記光分岐手段に達する以前に、前記参照光を分岐する手段と、得られた分岐光を前記被測定信号光の光路に一致させ、前記被測定信号光に替えて伝搬させる手段とを、抜き差し可能に備えるものである。
【0065】
第3の発明は、前記第1の発明または第2の発明の電場相互相関計において、前記第2の光検出手段の出力が一定値をとるように、前記タイミング調整手段を駆動する駆動手段を有するものである。
【0066】
第4の発明は、前記第1の発明または第2の発明の電場相互相関計において、前記タイミング調整手段に、周期的な微小変化を与えつつ、前記第2の光検出手段の出力が前記微小変化に伴って変化しないように、前記タイミング調整手段を駆動する手段を有するものである。
【0067】
第2の本発明のポイントは、前記参照光のパワースペクトルを知るために、前記光分岐手段に達する以前に、前記参照光を分岐する手段と、得られた分岐光を前記信号光の光路に一致させ、前記被測定信号光に替えて伝搬させる手段とを抜き差し可能なように備えることである。これにより、前記参照光の自己相関を測定する機能を付加することができる。
【0068】
また、前記第2の光検出手段の出力に基づいて、タイミング調整手段を駆動する手段は、以下の2通り考えられる。
(1)前記第2の光検出手段の出力が一定値をとるように、前記タイミング調整手段を駆動する直流方式である。
(2)タイミング調整手段に、周期的な微小変化を与えつつ、前記第2の光検出手段の出力が前記変化に伴って変化しないように、当該タイミング調整手段を駆動する交流方式である。
【0069】
本発明は、汎用的な電場相互相関計において、上述したフーリエ変換相互相関法を実行する構成を提示するものと位置づけることができる。既に述べたように、フーリエ変換相互相関法を採用することで、従来の電場相互相関計の第1の問題は自ずと解決される。一方、従来の第2の問題が同時に解決されない限り、フーリエ変換相互相関法に基づく電場相互相関計は実用にならない。この第2の問題の解決のために、本発明では、入射光間の相対的光路長の変化を検出する系を別に設け、変化が検出された場合には、それを丁度に打消すだけの光路長変化を自動的に付与しつつ、干渉波形の採取を行う構成を採る。
【0070】
この技術思想は、例えば、特許2714754号(特願平6−32682)「導波路分散測定方法及び装置」に既に見られる。この公知例では、マイケルソン干渉計の一方の腕に挿入された被測定光導波路の波長分散を、フーリエ変換相互相関法により測定する際、腕を共通にする別のマイケルソン干渉計を設けて、被測定光導波路の光路長の変動を常時監視し、その変動に応じて、干渉波形の採取に係る光路長差を自動的に補正する構成が、示されている。さらに、特願平5−199648「共振器分散測定方法及び装置」には、共振器全体の波長分散の測定のために、両腕の長さが当該共振器長分だけ異なる非平衡マイケルソン干渉計について、同様に、腕を共通にする別の非平衡マイケルソン干渉計を設けて、被測定共振器長の変動を監視・補正する構成が開示されている。しかしながら、これらは何れも、単一の光入射端を有するマイケルソン干渉計について、光路長の変動を監視・補正する構成であって、本発明が対象としているような、2つの光入射端を持つ相互相関計に、直接適用することはできないのである。
【0071】
これについて、本願発明者は鋭意検討を加え、2つの光入射端に係る相対的光路長の変化を監視・補正する機能を付与した、汎用的な電場相互相関計の構成を案出するに至った。
【0072】
以下に、本発明について、本発明による実施形態(実施例)とともに図面を参照して詳細に説明する。
【0073】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
図1は、本発明の実施例1の電場相互相関計の概略構成を示す模式図である。図1において、101は参照光入射端、102は信号光入力端、103は微動鏡、104,106は反射鏡、105は光分岐器(光分岐手段)、107,108は可動反射鏡、109は平行移動台、110,111は固定反射鏡、112は合波鏡(合波手段)、113,115はレンズ、114,116は光検出器、117は帰還回路、118は波形記憶装置、119は計算機である。
【0074】
本実施例1の電場相互相関計では、図1に示すように、参照光は参照光入射端101から、また、被測定光信号は信号光入力端102から入射する。前記被測定光信号は、タイミング調整手段として作用する微動鏡103及び反射鏡104を経て光分岐器105に達する。
【0075】
前記光分岐器105は、1本の入力光束を互いに平行な2本の光束に分岐して出力する光学装置である。これは、例えば、図1中に示したように、1つのビームスプリッタキューブと、1つの斜辺反射三角プリズムを組み合わせて構成することができる。これと同等の光分岐器は、平行四辺形プリズムと直角プリズムを、半透膜面上で貼合わせて製作することもできる。このような光分岐器の構成については、田幸他編「光学的測定ハンドブック」(朝倉書店、1981年)279頁を参照されたい。
【0076】
光分岐器105に入射した被測定光信号は、第1の信号光(図1中で紙面方向奥)と第2の信号光(紙面方向手前)に分岐されて出射する。これら2光束は両方とも、反射鏡106を経て、合波鏡112に達する。他方、参照光は、前記光分岐器105に入射し、第1の参照光(図1中で紙面方向奥)と第2の参照光(紙面方向手前)に分岐されて出射する。このうち、第1の参照光は、2つの可動反射鏡107及び108を経て、前記合波鏡112に至る。
【0077】
前記2つの可動反射鏡107及び108は、平行移動台109に設置され、可動反射鏡107への第1の参照光の入射方向に平行に、一体として移動可能なように形成されている。換言すれば、前記2つの可動反射鏡107、108、及び平行移動台109は、可変の光学遅延線を構成している。
【0078】
前記第2の参照光は、2つの固定反射鏡110及び111を経て、前記合波鏡112に至る。これらの固定反射鏡110及び111は、装置に固定され、固定の光学遅延線を構成する。前記合波鏡112上で前記第1の信号光と前記第1の参照光が合波されてできた第1の合波光は、レンズ113により光検出器114上に入射・結焦される。一方、前記合波鏡112で前記第2の信号光と前記第2の参照光が合波されてできた第2の合波光は、レンズ115により光検出器116上に入射・結焦される。
【0079】
前記光検出器114の出力は、波形記憶装置118に供給される。該波形記憶装置118には、記録された干渉波形を読出してフーリエ解析を行うための計算機119が接続されている。一方、前記光検出器116の出力は、前記微動鏡103を駆動する帰還回路117に入力される。
【0080】
本実施例1の構成において、第1の信号光と、可変の光学遅延線を辿る第1の参照光とが合波された、前記第1の合波光が、前記数7の式の電場相互相関関数、すなわち、干渉信号の採取に用いられる。その一方で、第2の信号光と固定の光学遅延線を辿る第2の参照光とが合波された前記第2の合波光は、2つの光入射端に係る相対的光路長の変化を監視する目的に供される。これら2つの合波光を受光する光検出器には、何れも、前記数6の式と数7の式で表される出力が得られるが、前記数7の式における時間遅延τについて、両者の間に相違がある。
【0081】
まず、第1の合波光におけるそれは数9の式で表される。
【数9】
τ=−△T+τ−τ−δτ+τc,L−τd,L
ここで、△Tは2つの光入射端において元々存した変動する時間遅延であり、信号光が遅れる方向を正にとってある。また、τとτはそれぞれ参照光入射端101と信号光入射端102から、光分岐器105に至る光路に関る遅延δτは、微動鏡103の変位により信号光に生ずる遅延である。さらに、τc,Lは前記光分岐器105を出射した第1の参照光が、可変の光学遅延線を経て合波鏡112の半透面に達する迄の、コの字型の光路に関る遅延、τd,Lは、同光分岐器105を出た第1の信号光が反射鏡106を経て前記合波鏡112の半透面に至る迄の、鍵型の光路に関る遅延である。
【0082】
一方、第2の合波光における時間遅延τ2は数10の式で表される。
【数10】
τ=−△T+τ−τ−δτ+τc,U−τd,U
ここで、τc,Uとτd,Uは、それぞれ前記に対応して、第2の参照光の固定の光学遅延線を経るコの字型光路、及び前記第2の信号光の鍵型光路に関る遅延である。
【0083】
今、第2の合波光を受光する光検出器116の出力PΣ(τ)を、常時一定に保つならば、当然τが一定に保持される(τ=const)こととなる。この時、前記数10の式を移項して考察すれば、微動鏡103の変位による遅延に対して、数11の式が成立している。
【数11】
δτ=−△T+τ−τ+τc,U−τd,U−const
【0084】
すなわち、微動鏡103は、光入射端102における変動する時間遅延を、相殺する動作を行うのである。
それに加えて、装置内部の光路が、外界からの振動または空気の揺らぎ等により、万一変動した場合にも、微動鏡103はそれを打ち消すように動くことが、前記数11の式から分かる。これは、非常に望ましい性質である。なぜなら、内部の光路の変動を抑えるべく、測定装置を非常に頑強な作りとする必要が無くなるからである。このことは、従来の干渉計に纏わる観念を一新するような、安価・軽量で可搬性に富む装置の実現を可能とする。
【0085】
本発明において、干渉信号の採取に関る遅延時間τは、前記でτであった。前記数9の式に数11の式を代入した後、τを改めてτと書き直すと、数12の式が得られる。
【数12】
τ=(τc,L−τc,U)−(τd,L−τd,U
この遅延時間τに、光入射端における変動△Tが、現れていないことに注目されたい。このことが、まさに、△Tを常時監視し微動鏡103により補正する本発明の作用を、端的に表している。
【0086】
前記数12の式において、第1項は、第1の参照光に対する可変の光学遅延線と、第2の参照光にたいする固定の光学遅延線の間の、光路長差に関る遅延である。本発明においては、可変光学遅延線を動かすことで、遅延時間τを制御することを志す。そのためには、前記数12の式の第2項、すなわち、第1の信号光、及び第2の信号光それぞれの鍵型の光路相互の差は、常に一定に保たれねばならない。
【0087】
この条件を充たすために、光分岐器105、反射鏡106、及び合波鏡112を第1及び第2の信号光で共通に用い、それらの間の第1及び第2の信号光の光路が互いに平行な、図1に示した如き構成が採られているのである。こうすれば、例え、それら光学素子が振動により変位しても、第1の信号光と第2の信号光、それぞれの光路が等量変化する故、それらの間の相対的光路長には、変化が生じない。また、空気の流れによる密度変化についても、十分隣接した平行光路に対しては、相等しい影響を与えると見なせ、従って、これによる相対的光路長変化も回避されている。
【0088】
参照光側についても同様に考慮すれば、第1及び第2の参照光で、共通の光分岐器105と合波鏡112を用いる必要があることは明らかである。合波鏡112は、さらに信号光と参照光を重畳するものであるが故に、必然的に、ただ1個となる。これに対し、光分岐器105の方は、以上の議論だけからは、信号光側と、参照光側で個別のものを用いることも許される筈である。
【0089】
しかるに図1に示した本発明の構成では、敢えて光分岐器105も、信号光と参照光の両者に共通としている。これは、入射端101,102から合波鏡112に至るまでに、信号光と参照光がそれぞれ受ける位相変化を、できる限り均等とするのが望ましいからである。信号光、参照光の受ける位相変化を、それぞれ、Ψ(ω)、Ψ(ω)と書く時、測定されるコリレーションは、一般に、前記数1の式の替わりに、数13の式で与えられる。
【数13】
’(ω)=V(ω)V (ω)exp[i(Ψ(ω)−Ψ(ω))]
ここで、右辺に新たに加わったexpの内部は、両光に対する位相変化の不平衡であり、装置偏差と呼ぶことができる。
【0090】
装置偏差は、数13の式に徴すれば明らかなように、信号光V(ω)として、参照光V(ω)の複製を与えて測定し、得られるコリレーションの位相部分から、原理的には知ることができる。しかしながら、装置偏差が、参照光の複製を作る際に生じる虞れのある位相変化と同程度となってくると、装置偏差を厳密に求める検査手続きが、かなり繁雑となる。それ故、寧ろ、最初から両光に対する位相変化の不平衡を抑えて、装置偏差が生じないように装置を構成する方が、望ましいのである。
【0091】
電場相互相関計に望まれる性質として、以上のように装置偏差が小さいことに加えて、時間的に一致した信号光と参照光が、それぞれの入射端101,102に与えられた場合に、それらの干渉信号が観測される構成となっていることが挙げられよう。かかる入射端101,102における同時性を備えるためには、参照光入射端101から固定の光学遅延線を経由して合波鏡112に達する光路と、信号光入射端102から合波鏡112に達する光路が、相等しい長さに構成されることが必要である。
【0092】
これは、図1の構成において、以下のようにして達成することができる。参照光入射端101と信号光入射端102での両光の間隔をL、光分岐器105に入射する時の間隔をw、さらに光分岐器105から出射した後の信号光の鍵形光路と参照光のコの字型の光路の交点を起点とする、固定反射鏡110上の反射点の後退量をl(Lの小文字)とすると、この3者の間に数14の式に示す条件が成り立つように配置すれば、入射端101,102における同時性が得られる。
【数14】
L=2(l−w)(lはLの小文字)
【0093】
ここで、可動反射鏡107及び108の対は、遅延時間τの掃引の際に前にも迫り出して来るので、前記の後退量lは、少なくとも掃引時の最大移動幅の1/2よりも大きくとる必要がある。ところで、前述したように、本発明の電場相互相関計の周波数分解能は、遅延の掃引範囲に反比例する。すなわち、高い分解能まで得ようとする装置では、最大掃引範囲ひいてはlが大きくなる。これに伴って、数14の式で与える入射端間隔が非常に大きくなり、扱い易さあるいは外観のデザインを損ねる可能性がある。その際は、信号光側の光路に適宜、固定の光学遅延線を加えることで、入射端間隔は適当に保って入射端同時性を確保できることは、言うまでもない。
【0094】
図2は本実施例の帰還回路と微動鏡の動作を説明するための図であり、図2(a)は、直流方式の帰還回路の構成を示すブロック図、図2(b)は交流方式の帰還回路の構成を示すブロック図、図2(c)は微動鏡の動作を説明するための図である。
図2において、201は基準電圧、202は差動増幅器、203は発振器、204は位相検波器、205は積分器、206は加算器、207は出力増幅器である。
【0095】
以下に、図2を用いて帰還回路117及び微動鏡103の動作につき説明する。
前述したように、本実施形態においては、光検出器116の出力PΣ(τ)に基づいて、前記数10の式で表すτを常時一定に保持する構成が本質的に重要である。この作用は、前記光検出器105に接続された帰還回路117及び該帰還回路によって制御される微動鏡103によって実現される。これらの動作について説明する。
【0096】
図2(c)において、左端及び中央のグラフは、入射端におけるタイミング変動△Tに対する、監視用の光検出器116の出力信号の変化を表す。右端のグラフは、このときに干渉波形測定用の光検出器114に現れる出力信号を表し、その横軸は可動の光学遅延線と固定の光学遅延線の光路長差を介して付与される遅延時間τを表す。各グラフにおいて、上段は帰還回路117を停止させた場合、すなわち、微動鏡103が静止している場合の出力信号を表わす。同じく下段は、帰還回路117が作動し微動鏡103の変位が生ずる場合を示している。
【0097】
帰還回路117の停止時には、タイミング変動△Tが起きると、光検出器116の出力信号PΣ(τ)のうちの非定数部分G(τ)が、左端上段のグラフに示される如く正弦波状の変化を呈する。同時に、遅延時間τの関数としての光検出器114の出力信号、すなわち、干渉信号は、右端上段のグラフに示されるように平行移動する。ここで右端上端のグラフ中で、実線はタイミング変動△Tが零の場合の干渉信号、点は正の変動に対する干渉信号を表している。このように、干渉信号はタイミング変動△Tに伴って右側に移動する。
【0098】
入射端におけるタイミング変動は、予測不能なランダム現象である。電場相互相関計の動作中、干渉信号は、遅延時間τを、前記数8の式の光路長差刻み△lに対応する刻み△τをもって変化させつつ、時系列的に採取される。この採取中に、タイミング変動△Tによってそれぞれの瞬間に干渉信号がランダムな平行移動を蒙るとすると、採取された干渉信号は、遅延時間に対してある箇所では圧縮され他の箇所では伸張される。その結果、歪んだ干渉信号しか得られず、これをフーリエ変換しても周波数領域でのコリレーションG(ω)を正しく求めることはできない。これが、まさに、フーリエ変換相互相関法を採用した本発明に課せられた解決すべき問題であった。
これに対処するために、τを常時一定に保持するには、直流的な方式と、交流的な方式の2種類の構成がある。
【0099】
そのうち直流的方式では、帰還回路117として、図2(a)に示す構成を有する回路を用いる。この帰還回路は、設定された基準電圧値201と光検出器116からの入力電圧との差を、差動増幅器202によって得る。この差を積分器205と出力増幅器207を介して微動鏡103に供給する。
【0100】
この帰還回路は、光検出器116の出力電圧が、図2(c)左端上段のグラフ中に黒丸を付した値、すなわち、基準電圧値201に固定されるように、微動鏡103を駆動する。図2(c)に示した負の傾きを持つ安定化点では、前記出力電圧が基準電圧値よりも小さい場合に、図1における微動鏡103の反射面が前進する方向の帰還をかければよい。ここで、基準電圧値201は、光検出器116の正弦波状の出力電圧の平均値近傍に設定することが望ましい。これは、その付近で、タイミング変動△Tに伴う光検出器116の出力電圧の変化が最も大きく、換言すれば、帰還回路117の帰還感度が最大になるからである。仮に、基準電圧値201を前記出力電圧の極大または極小値付近に設定すると、帰還感度が零に近くなり、所望の帰還動作は達成できない。
【0101】
この帰還回路117が動作している場合には、入射端でのタイミング変動△Tが起きても、光検出器116の出力信号は、図2(c)の左端下段のグラフに示されるように基準電庄値に固定される。この場合、遅延時間τの関数としての干渉信号には、右端下段のグラフに見てとれるように、タイミング変動△Tに伴う平行移動が消失する。これは、微動鏡103の変位によって、信号光に対する光路が△Tに見合う分だけ自動的に短縮され、合波鏡112に到達する時点では、信号光と参照光の時間関係が常時一定に保たれるからである。
【0102】
次に、交流的方式では、図2(b)に示す回路構成を有する帰還回路を用いる。この帰還回路は、発振器203の出力電圧により、微動鏡103に常時微小な振動を与える。光検出器116からの入力電圧は、前記発振器203の出力を局発信号として参照する位相検波器204により検波される。検波出力は積分器205を介した後、加算回路206により、先の発振器出力電圧と重畳され、出力増幅器207を経て微動鏡103に供給される。
【0103】
この帰還回路では、光検出器116の出力電圧が、図2(c)中央上段のグラフ中に黒丸を付した値、すなわち、極大値または極小値に固定されるように、微動鏡103が駆動される。図2(c)に示すように極大値である安定化点では、位相検波器204による同相成分の検波出力が負となった場合に、図1の微動鏡103の反射面を前進させる方向の帰還を施す。
【0104】
この帰還回路117が動作している場合には、入射端でのタイミング変動△Tが起きても、光検出器116の出力信号は、図2(c)中央下段のグラフに示されるように極大(または極小)値に固定される。この場合にも、右端下段のグラフに見てとれるように、タイミング変動△Tに伴う干渉信号の平行移動が消失する。
【0105】
直流的方式、交流的方式の何れにあっても、入射端でのタイミング変動△Tに伴う干渉信号の平行移動が生じない結果、干渉信号の時系列的な採取中にランダムにタイミング変動が起こっても、干渉信号は平行移動を蒙ることがない。その結果、歪みのない干渉信号が得られ、これをフーリエ変換して周波数領域でのコリレーションを求めることができるのである。
【0106】
ここで、以上の2方式を比較し、それらの得失について簡単に説明する。直流的方法は、無論、相対的にその構成が単純で、帰還動作の応答性にも優れる。交流的方式では、微動鏡103の応答の高域側を、微小な振動を与えるのに割り当てるので、帰還動作は、それ以下の帯域にのみ制限されるからである。この一方、直流的方法には、干渉信号に比較的高い可視度(Visibility)が要求される。
【0107】
ここで、可視度とは、光検出器116の出力信号PΣ(τ)のうちで、干渉信号G(τ)の振幅の、定数部分P+Pに対する比であり、常に1以下の量である。可視度1を得るためには、信号光と参照光のパワーが均衡し(P=P)、かつ両者のスペクトル位相の差が、ωについて高々1次関数であること、すなわち、信号光が、参照光と本質的に同一であることが必要である。言うまでもなく、このような条件が充たされる場合は稀であり、汎用的な電場相互相関計は、低可視度での測定にも対応できることが望ましい。
【0108】
また、直流的方式では、信号光や参照光のパワーの変動、または、それらの間の偏光の変化が誤差を招く。これらから、この方式は、入射光間のタイミングが、光学系の振動等により比較的急速に変化するものの、それらのパワーのドリフトは少なく、また信号光の受ける波長分散も大きくないような場合に適する。具体的には、フェムト秒以下の超高速の光信号を扱う空間光学系が、こうした場合に相当する。
【0109】
これに対し、交流的方式は、応答性には劣るものの、低可視度での動作にも困難が無く、入射光のパワーまたは偏光の変動にも耐性を備えている。したがって、この方式は、信号光が甚大な波長分散を受けている可能性があり、取り分け入射光の偏光のドリフトも生じがちであるが、それらのタイミングの変化は緩慢である場合に適している。光ファイバの装着された光学系が、こうした場合に当たる。
【0110】
図2(a)の直流的方式の回路構成と、図2(b)の交流的方式のそれは、共通の要素を多数有するので、これら2方式を切り替えられるような帰還回路117を、容易に構成することもできる。かかる帰還回路により、状況に応じて2つの帰還方式を切り替えて用いることで、極く汎用的な電場相互相関計を実現することができるのである。
【0111】
既に前記数8の式で説明したように、干渉信号にフーリエ変換を施して、周波数領域でのコリレーションを求めるためには、最低でも波長の10分の1以下、すなわち、数10nmの精度で、固定の光学遅延線に対する可動の光学遅延線の光路長差を校正することが必要である。このような可動反射鏡の変位の測定を実現するためには、以下の方法が考えられる。
【0112】
第1の方法は、すでに広く用いられている2周波He−Ne安定化レーザを利用する方法である。この方法では、すでに5〜10nmの位置分解能が達成されているので、この技術を適用すれば、本発明の必要とする精度の変位の測定を実現できる。ただ、この測長方法に必要な2周波He−Ne安定化レーザは、通常のHe−Neレーザに比して極めて高価なので、むしろ次に説明する第2の方法が経済的に有利である。
【0113】
第2の方法は、長さの基準光源として直線偏光の単色レーザ光源、例えば、通常のHe−Neレーザを用いる方法である。可動反射鏡対107:108、固定反射鏡対110:111のそれぞれを、各腕に含む干渉計を構成し、これに直線偏光の単色レーザ光源を入射する。この干渉計の一方の腕でこの直線偏光を円偏光に変換し、生じた干渉光を偏光を分離して測定する。これによって、互いに90度の位相差を有する二つの干渉信号が得られる。この2つの干渉信号を用いれば、基準光源の波長の50分の1以上の測長分解能が容易に達成される。
【0114】
この他に、単一の干渉信号を位相ロックループ(PLL)により信号処理しても高い分解能を得ることができる。ただし、この方法では、干渉計の掃引速度について、それ以外の方法に比べて高い均一性が要求される。
【0115】
固定反射鏡110,111に対する可動反射鏡107,108の変位を測定する方法としては、これらの3つの方法以外の方法を用いることもできる。すなわち、固定反射鏡の対110:111を装着した梁が機械的に十分な剛性を備え、かつ可動反射鏡の対107:108が平行移動台109に固着され、該平行移動台109との相対的な変位が無視できるならば、前述した反射鏡106の面そのものの変位を検出する方法に替えて、平行移動台109の移動量を精密に校正する方法を用いることができる。
【0116】
このような方法は、対象波長が長くなり近赤外域以上になる程、より安全に行うことができる。例えば、平行移動台109の固定子と摺動子に透過型回折格子をそれぞれ取り付け、その間のモアレ縞の変化を観測する方法が、よく見られる。他に、磁気的な位置センサによる方法も実用できる。実際、これら位置計測手段が既に組み込まれた、閉ループ制御の高精度平行移動台製品は、多数市販されているので、それらを用いることで、極く容易に本発明を実施できる。
【0117】
(実施例2)
図3は、本発明の実施例2の電場相互相関計の構成を示す模式図である。
図3において、301は参照光入射端、302は信号光入射端、303は微動鏡、304,306,327,330,331,332は反射鏡、305は光分岐器(光分岐手段)、307,308は可動反射鏡、309は平行移動台、310,311は固定反射鏡、312は合波鏡(合波手段)、313,315はレンズ、314,316は光検出器、317は帰還回路、318は波形記憶装置、319は計算機、320は分岐鏡(分岐手段)、321は端面反射器、322,225は反射器、323は上下移動台、324は単色レーザ光源、326は半透鏡、328は端面鏡、329は1/8波長板、333は偏光分離光検出器、334はトリガ発生器である。
【0118】
本実施例2の電場相互相関計は、前述した図1の実施例1の電場相互相関計に、参照光に対する電場自己相関関数測定機能を付加したものである。また、固定の光学遅延線と可動の光学遅延線相互の光路長差を高精度に校正するための測長方法としては、前述した第2の方法を採用している。
【0119】
本実施例2の電場相互相関計は、図3に示すように、参照光は、参照光入射端301から、また、被測定光信号は、信号光入力端302から入射する。この被測定光信号は、反射鏡306及び反射鏡304を経て光分岐器305に達する。光分岐器に入射した被測定光信号は、第1の信号光(図中で紙面方向奥)と第2の信号光(紙面方向手前)に分岐されて出射し、両光束は、微動鏡303を経て、合波鏡312に達する。
【0120】
他方、参照光は、前記光分岐器305に入射する。ここで、該光分岐器の手前で、分岐鏡320と反射鏡322が、それぞれ参照光光路と信号光光路に抜き差し可能なように、上下移動台323上に設置されている。今、上下移動台323を揚げると、分岐鏡320が参照光光路内に挿入され、参照光が2分される。うち一方は、本来の参照光光路に沿って、前述した通り光分岐器305に入射する。他方は、端面反射器321を経て、反射鏡322に戻り、以後、信号光光路を辿って、光分岐器305に達する。すなわち、上下移動台323が揚げられた状態では、信号光が、2分された参照光によって充当され、その結果、参照光自身の干渉波形である電場自己相関関数が測定されることとなる。この自己相関測定に関る遅延時間の原点が、相互相関測定に関るそれと一致するためには、反射鏡322上の反射点から端面反射器321の右葉上の反射点までの間隔l’(lはLの小文字)について、前記数14の式の記号を用いて、数15の式で表される条件が成り立つように配置されることが必要である。
【数15】
l’=L/2
【0121】
ここで、図1の実施例1の構成と対照して、反射鏡306と微動鏡303の位置が入れ替わっている。これは、参照光の電場自己相関機能の使用時にも、前述した微動鏡への帰還による装置内部の光路変動の相殺動作を行わせるためであって、そのために、微動鏡303が、参照光の一部を信号光の光路に結合する光学系と、合波鏡312の中間に設置されることが必要だからである。
【0122】
前記光分岐器305に入射した参照光は、第1の参照光(図中で紙面方向奥)と第2の参照光(紙面方向手前)に分岐されて出射する。このうち、第1の参照光は、可変の光学遅延線を構成する2つの可動反射鏡307及び308を経て、前記合波鏡312に至る。
【0123】
第2の参照光は、固定の光学遅延線を構成する2つの固定反射鏡310及び311を経て、前記合波鏡312に至る。前記合波鏡312上で、前記第1の信号光と前記第1の参照光が合波されてできた第1の合波光、また、前記第2の信号光と前記第2の参照光が合波されてできた第2の合波光は、それぞれレンズ313、レンズ315により、光検出器314、光検出器316上に入射・結焦される。
【0124】
前記光検出器316の出力は、前記微動鏡303を駆動する帰還回路317に入力される。この微動鏡303の駆動機構としては、圧電素子(PZT)を用いるのが良い。積層型の圧電素子では、通例、10〜20μmの行程が得られ、図3の様に45°入射鏡にこれが装着されている場合、光路長差の実質可変幅は、その√2分の1、すなわち、7〜14μmとなる。これは、入射光間の相対的光路長の補正に、通常十分な可変幅である。こうした微動鏡316としては、内部に平衡質量を備え、変位加速度に伴う反射鏡からの反作用と当該平衡質量からの反作用とが、互いに打ち消し合うように構成されている、特願平8−232032に開示されている変位鏡装置を用いると、非常に良い結果を得ることができる。
【0125】
以上の通例の圧電素子の行程を以ってしては、補正しきれないほど大きな光路長変化に対しては、てこによる変位増幅機構を装着した圧電素子を用いることができる。かかる素子では、行程は100μmに達しうるが、その分、応答速度は遅くなる。しかし、一般に大きな光路長変化を齎す現象は、緩慢に起きるのが常なので、応答性の低さが災いすることは少ない。
【0126】
光路長変動に、小刻みで速い成分と、大振幅で緩慢な成分が重畳されているような場合、その補正はより困難である。しかし、この場合でも、通常の圧電素子と、てこ付きの圧電素子の両方を機械的に直列に装備し、帰還回路において周波数帯を分け、超低周波成分をてこ付きの素子に、残余を通常の素子に割り振って帰還する等の、常套的手法によって、技術的困難を克服できる。このような実際の帰還制御のあり方には、本発明の精神を逸脱しない範囲で、適宜選択の幅が存することは言うまでもない。
【0127】
前記光検出器314の出力は、計算機319が接続された波形記憶装置318に供給される。本実施例2で0.8〜1.8μm波長帯の光について電場相互相関を測定する場合には、合波光を受光する光検出器314及び光検出器316としてゲルマニウム光検出器、またはインジウムガリウム砒素光検出器を用いることがよい。また、この短波長端、800nmに対し前述の数8の式を満足して折り返し現象を防ぐためには、400nm未満の光路長差の刻みで干渉信号の測定を行えばよい。
【0128】
一方、可視波長域(0.4〜0.7μm)の光については、光検出器314及び316として、シリコン光検出器または光電子増倍管を用いることができ、干渉信号の測定は、200nm未満の光路長差の刻みで行えばよい。
【0129】
こうした光路長差刻みを高精度に校正するために、本実施例2には、単色レーザ光源324を用いたマイケルソン干渉計が装備されている。すなわち、単色レーザ光源324を出射する直線偏光した光は、反射鏡325を経て、半透鏡326に入射する。該半透鏡326にて二分されたレーザ光の一方は、固定反射鏡310及び311を経て端面鏡328に達し、該端面鏡328にて反射されて、逆行して前記半透鏡326に戻る。二分された他方は、反射鏡327を介した後、可動反射鏡307及び可動反射鏡308を経て、前記端面鏡328に達し、該端面鏡328にて反射され、逆行して前記半透鏡326に戻る。以上により、端面鏡328を共有し、固定反射鏡の対310:311と可動反射鏡の対307:308とをそれぞれの腕に含むマイケルソン干渉計が構成されているのである。
【0130】
このマイケルソン干渉計の一方の腕、この実施例2では固定鏡対例の腕には、8分の1波長板329が挿入されている。該腕中で、光は端面鏡328で折返して、前記8分の1波長板329を2回通過する。この往復分の通過の結果、4分の1波長板を通過したと等価な効果が生じ、当初の直線偏光が円偏光に変換されて、前記半透鏡326に戻ることとなる。
【0131】
前記半透鏡326にて合波されてマイケルソン干渉計を出射した単色合波光は、3つの反射鏡330、331、332を介して、偏光分離光検出器333に導かれる。前記偏光分離光検出器では、単色合波光を、互いに垂直な2つの偏光成分に分離し、個別の光検出器により各成分の光強度が電圧値に変換される。前記マイケルソン干渉計の片腕からの光が円偏光であった結果、各偏光成分に由来する干渉信号電圧は、互いに90度の位相差を持つ。
【0132】
これら2つの干渉電圧信号は、トリガ発生器334に入力される。このトリガ発生器334としては、例えば、特許2747176号(特願平4−256281)「トリガ発生回路」に開示されている装置を用いるのが良い。通常、その種の回路は、前記可変の光学遅延線と固定の光学遅延線の間の相対的光路長差が、前記単色レーザ光源324の波長の1/8、1/4、または1/2だけ変化する毎に、トリガ信号として一つの電圧パルスを発生する。このトリガ信号により、波形記憶装置318は、その電圧パルスが発生した時点の光検出器314の出力電圧値を順次記憶する。波形記憶装置318に記憶された電圧信号時系列、すなわち、干渉信号は計算機319により読み出されフーリエ変換が施される。
【0133】
前記単色レーザ光源324としては、波長632.8nmで発振するHe−Neレーザを用いるのが最も簡便である。この時、0.8〜1.8μm波長帯の測定に対し、前述の数8の式を満足するためには、トリガ発生器334のトリガ間隔を、前記単色レーザ光源324の波長の1/2に設定すれば良い。一方、可視波長域での測定では、同トリガ間隔は、前記単色レーザ光源324の波長の1/4に設定する必要がある。
【0134】
図3に示した本実施例2の全体の動作について以下に詳述する。
測定に先立ち、ユーザは、参照光と信号光を、その間のタイミングを合わせて、本電場相互相関計のそれぞれの入射端に、供給しなければならない。これら測定対象の光の性質について知識を持ちうるのはユーザであるので、適宜、それらの間の時間遅延を按配して、入射端に供給する責は、ユーザ側に帰せられて当然である。2光のタイミングが合っていれば、本電場相互相関計側は、入射端間の同時性が確保されるよう構成されているので、光検出器316の出力には、立ちどころに、両光の干渉波形が現れる。
【0135】
ここで、直流的方式による場合、帰還回路317の基準電圧値を、光検出器316の出力電圧値の平均値付近に設定して、帰還動作、すなわち、微動鏡303の駆動を開始する。交流的方式ならば、何らの設定も要せず、帰還動作を開始することができる。
【0136】
次いで、可動反射鏡対307及び308を載せた平行移動台309を、干渉信号G(τ)が観測される位置から、その信号が十分消失する位置まで前進させる。ここで、波形記憶装置318の記憶を消去して、データ書き込み位置を波形記憶装置318の先頭番地にリセットする。次に、平行移動台309を緩慢に後退させると、光路長差が前記の刻み変化するごとに波形記憶装置318にトリガ電圧信号が供給され、光検出器314の出力電圧信号値が、前記波形記憶装置318に記憶されていく。
【0137】
ここで「緩慢に」とは、トリガ発生器334から発生されるトリガ信号の繰り返しに対し、前記波形記憶装置318のアナログ・ディジタル変換及び書き込み動作が追従できる範囲の掃引速度での意味である。例えば、前記波形記憶装置318のアナログ・ディジタル変換及び書き込み速度が20kHzで、0.8〜1.8μm波長帯の測定の場合、最大可能な干渉計光路長差掃引速度が、20000(/秒)×316.4(nm)=6.328(mm/秒)となり、平行移動台309の最大可能移動速度は、この半分の3.164mm/秒である。ここで半分とするのは、可動反射鏡対307及び308の表面で総体として光が折り返すため、それら対の移動量の2倍が光路長変化になるからである。
【0138】
例えば、信号光が、相対的に単一モード光ファイバ2〜3cm程度の波長分散を余分に蒙っている場合、データ点数を512点とし、0.55ピコ秒の遅延時間差変化範囲にわたり掃引を行えば十分である。この遅延時間差掃引範囲を光路長差掃引範囲に換算すると0.08mmであり、この範囲を平行移動台309の最大可能移動速度をもって掃引すると、信号測定に要する時間は僅か0.03秒程度となる。十分余裕を持たせて掃引を非常に遅めにしても0.5秒以内には信号測定が完了する。なお、かかる掃引のための平行移動台309としては、公知のものが適用できる。本実施例2では、安価な直流モータにより駆動される、鋼球ガイド付直進ステージを用いた。
【0139】
こうして得られた干渉波形の測定例を図4(a)に示す。このときに採取した512点のデータのフーリエ変換の計算は、計算機319として、汎用のクロック周波数50MHzの32ビットパーソナルコンピュータを用いて、優に0.5秒未満で実行できた。
【0140】
本測定例では、前記の干渉信号G(τ)の測定に加えて、上下移動台323を揚げた状態で、参照光の電場自己相関関数G(τ)の測定が行われた。この干渉信号G(τ)の測定手順は、上下移動台の状態を除いて、上に述べた干渉信号G(τ)の測定手順と同一である。信号測定の所要時間、及びデータのフーリエ変換の計算時間も、上と同様である。かくして図4(b)に示すような、参照光それ自身との干渉信号、すなわち、電場自己相関が得られた。
【0141】
図4(a)から得られたコリレーションについて、図4(b)による参照光電界のディコリレート演算を行えば、図4(c)に示したように、光信号電界の周波数領域V(ω)について、その振幅(スペクトル振幅)ならびに位相(スペクトル位相)を求めることができる。かかるディコリレート計算と、位相の計算・表示も、上記計算機を用いて、0.5秒未満に完了した。最近のコンピュータの性能の進歩は、目覚ましいものがあり、このようなデータ処理に要する時間は、今後益々、無視できる程度にまで短縮されることが確実に期待される。
【0142】
ここで得られた光信号電界の周波数領域V(ω)には、従来例の図6(c)において見られていた、端でのスペクトル位相の暴れが見られない。これは、本発明の電場相互相関計では、従来例方法にあったような、人為的な窓関数による信号成分の無理な単離といった操作が、全く介在していないからである。
【0143】
以上の測定において、2つの信号測定及び計算の所要時間は、全体でも優に3秒未満におさまる。こうして、十分迅速に測定が行える電場相互相関計が実現されたのである。
【0144】
入射光が微弱な場合、多数回の平行移動台の掃引にわたって、干渉信号を加算平均し、信号対雑音比の改善も可能である。例えば、24回の掃引にわたって平均を採るならば、それぞれの干渉信号の採取時間は、30秒弱となる。かかる加算平均を行えば、nWレベル以下の光信号に対する測定も十分行える。こうした場合でも、フーリエ変換等のデータ処理に要する時間は、前記と変わることはなく、総体として、依然、十分実用的な測定スループットが保たれる。
【0145】
以上、本発明者によってなされた発明を、前記実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【0146】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、フーリエ変換分光法に基づくので、スペクトログラフといった古典的分光手段をそもそも必要とせず、同一の装置でも、必要に応じて遅延時間掃引幅を変えることにより、光周波数分解能を自由に変えて、測定を行うことができる。
【0147】
また、入射光相互の相対的光路長が変動しても、それを測定器側で相殺するので、正確さが損なわれない。
また、微弱光に対しては、測定時間を任意に長く取り、感度を高めた測定を行うことができる。
【0148】
また、光周波数分解能を高くした場合でも、その分長い測定時間をかけることにより、同一の測定感度を保つことができる。
また、本発明の電場相互相関計は、小型・安価に製造でき、かつ、広い測定目的に汎用的に用いることができるので、工業的に大きな効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の電場相互相関計の概略構成を示す模式図である。
【図2】本実施例1の帰還回路と微動鏡の動作を説明するための図である。
【図3】本発明の実施例2の電場相互相関計の構成を示す模式図である。
【図4】本実施例2の電場相互相関計による測定例を示す図である。
【図5】従来例の電場相互相関計の構成を示す模式図である。
【図6】従来例の電場相互相関計による測定例を示す図である。
【符号の説明】
101…参照光入射端 102…信号光入射端
103…微動鏡 104,106…反射鏡
105…光分岐器 107,108…可動反射鏡
109…平行移動台 110,111…固定反射鏡
112…合波鏡 113,115…レンズ
114,116…光検出器 117…帰還回路
118…波形記憶装置 119…計算機
201…基準電圧 202…差動増幅器
203…発振器 204…位相検波器
205…積分器 206…加算回路
207…出力増幅器 301…参照光入射端
302…信号光入射端 303…微動鏡
304,306…反射鏡 305…光分岐器
307,308…可動反射鏡 309…平行移動台
310,311…固定反射鏡 312…合波鏡
313,315…レンズ 314,316…光検出器
317…帰還回路 318…波形記憶装置
319…計算機 320…分岐鏡
321…端面反射器 322,325…反射器
323…上下移動台 324…単色レーザ光源
326…半透鏡 328…端面鏡
329…1/8波長板 327,330,331,332…反射鏡
333…偏光分離光検出器 334…トリガ発生器
501…参照光入射端 502…信号光入射端
512…合波鏡 534,536…反射鏡
535…反射器 537…スペクトログラフ
538…線型光検出器列

Claims (4)

  1. 被測定信号光を入射する信号光入射手段と、参照光を入射する参照光入射手段を備え、前記被測定信号光と前記参照光との相互の干渉に基づいて前記被測定信号光のスペクトル成分の位相を測定する電場相互相関計において、
    前記被測定信号光と前記参照光の入射時の相対的な時間変動を調整するタイミング調整手段と、
    前記被測定信号光を2分して第1の信号光と第2の信号光を得る光分岐手段と、
    前記参照光を2分して第1の参照光と第2の参照光を得る前記光分岐手段と共通の光分岐手段と、
    前記第1の参照光に遅延を与える遅延手段と、
    前記第1の信号光と前記遅延された第1の参照光を合波する合波手段と、
    この合波の結果生ずる第1の合波光を検出する第1の光検出手段と、
    前記第2の信号光と前記第2の参照光を合波する前記合波手段と共通の合波手段と、
    この合波の結果生ずる第2の合波光を検出する第2の光検出手段と、
    該第2の光検出手段の出力に基づいて、前記タイミング調整手段を駆動しつつ、前記遅延手段により遅延を変更しながら前記第1の光検出手段の出力を時系列的に記録する手段と、
    得られた前記第1の光検出手段の出力の時系列データをフーリエ解析するフーリエ解析手段と
    を具備することを特徴とする電場相互相関計。
  2. 前記光分岐手段に達する以前に、前記参照光を分岐する手段と、
    得られた分岐光を前記被測定信号光の光路に一致させ、前記被測定信号光に替えて伝搬させる手段とを、
    抜き差し可能に備えることを特徴とする請求項1記載の電場相互相関計。
  3. 前記第2の光検出手段の出力が一定値をとるように、前記タイミング調整手段を駆動する駆動手段を有することを特徴とする請求項1または2記載の電場相互相関計。
  4. 前記タイミング調整手段に、周期的な微小変化を与えつつ、前記第2の光検出手段の出力が前記微小変化に伴って変化しないように、前記タイミング調整手段を駆動する駆動手段を有することを特徴とする請求項1または2記載の電場相互相関計。
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