JP3606057B2 - 現像装置 - Google Patents

現像装置 Download PDF

Info

Publication number
JP3606057B2
JP3606057B2 JP21652498A JP21652498A JP3606057B2 JP 3606057 B2 JP3606057 B2 JP 3606057B2 JP 21652498 A JP21652498 A JP 21652498A JP 21652498 A JP21652498 A JP 21652498A JP 3606057 B2 JP3606057 B2 JP 3606057B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carrier
developer
magnetic
toner
image
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP21652498A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH1195559A (ja
Inventor
信正 古谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
Fujifilm Business Innovation Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Xerox Co Ltd, Fujifilm Business Innovation Corp filed Critical Fuji Xerox Co Ltd
Priority to JP21652498A priority Critical patent/JP3606057B2/ja
Publication of JPH1195559A publication Critical patent/JPH1195559A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3606057B2 publication Critical patent/JP3606057B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Dry Development In Electrophotography (AREA)
  • Magnetic Brush Developing In Electrophotography (AREA)
  • Developing For Electrophotography (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真記録装置又は静電記録装置等で用いられ、静電電位の差による潜像にトナーを選択的に転移させて可視化する現像装置に係り、特に磁性キャリアとトナーとを混合した二成分現像剤を用いる現像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機・プリンタ等の画像形成装置としては、電子写真式又は静電記録式の装置が広く用いられている。このような装置は像担持体上に静電潜像を形成し、これにトナーを転移して可視像とした後、このトナー像を記録用紙等に転写するように構成されている。
【0003】
上記像担持体上の静電潜像を可視化する現像装置には、トナー及び磁性キャリアからなる二成分現像剤を像担持体表面に接触させ、トナーの転移によって現像を行ういわゆる接触型二成分現像装置がある。 この現像装置は、現像剤中におけるトナー濃度の制御が必要であること、現像剤の攪拌機構が必要となり装置が大型化するという課題を有するものの、画質特性および現像剤の搬送性等の点で優れており、現像装置の主流となっている。
【0004】
図14は、上記接触型二成分現像装置の一例を示す概略構成図であり、磁石ロール401aとその周囲で回転駆動するスリーブ401bとを備えた現像ロール401(現像剤担持体)を有している。また、スリーブ401bの周面に二成分現像剤を供給する供給部材402と、トリマと称される層厚規制部材403とを備えており、これによってスリーブ上に適切な厚さの現像剤層を形成する。形成されたスリーブ上の現像剤層は磁石ロール401aによる磁界に従ってキャリアが穂状に連なったいわゆる磁気ブラシを形成し、像担持体410との対向位置でこの像担持体410と接触してトナーを転移するようになっている。
【0005】
このような接触型二成分現像装置では、像担持体の表面を現像剤の磁気ブラシが機械的に摺擦するため、磁気ブラシによるいわゆる刷毛跡や掃き寄せ等の画質欠陥が生じやすい。そこで、接触型二成分現像装置において上記画質欠陥を回避する方法や、像担持体表面に現像剤を接触させずに現像する、いわゆる非接触型二成分現像装置も多数提案されている。
【0006】
例えば特公平8−33691号公報に開示される現像方法では、現像剤担持体上にトナー層と、トナーと磁性キャリアとで形成されている磁気ブラシ層とを有し、該現像剤担持体に交流成分と直流成分からなるバイアス電界を印加しながら像担持体上の静電潜像を現像するものであり、現像部における像担持体と現像剤担持体とで形成される空間の容積に対して、該現像部に存在する磁性キャリアの占める体積を1.5%乃至30%とし、かつ該現像部において前記交流バイアスの作用によって磁性キャリアへの電荷注入を生じさせる。そして、電荷を保持した磁性キャリアを前記現像剤担持体と前記像担持体との間で往復・振動させ、現像部において現像剤担持体上のトナー及び磁性キャリア表面に担持されるトナーを像担持体に転移させるように構成したものである。
【0007】
この方法は、現像部に存在する磁性キャリアの占める体積すなわち充填率を比較的低く設定することにより、磁気ブラシの機械的な摺擦を軽減させて前記画質欠陥の抑制を図るものである。この際、磁気ブラシが疎になり穂立ち間隔すなわち磁気ブラシの隙間部分が広がることにより生じる現像性能の低下を、磁性キャリアの往復・振動運動、及び、磁気ブラシの隙間部分にトナー層を形成してこのトナーを現像に供することにより補い、高濃度での画像再現を図っている。
【0008】
また、特公平3−2304号公報に開示される非接触型二成分現像装置は、絶縁性磁性キャリアを使用し、現像バイアスの交流成分の振幅をVAC(V)、周波数をf(Hz)、像担持体と現像剤担持体との間隙をd(mm)としたとき、
0.2 ≦ VAC/(d・f)
{( VAC/d)−1500}/f ≦ 1.0
を満たすように構成されている。
この画像形成装置は、現像バイアスの交流成分の周波数、振幅等を適切に選択することによって画像の乱れや混色を防止しようとするものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特公平8−33691号公報に開示される方法では、トナーとキャリアとの摩擦帯電によって生じるキャリアの表面電荷量と、現像部でのキャリアへの注入電荷量とが、環境の変化や時間の経過にともなって変動し、磁性キャリアの現像部における往復・振動運動の状態が変化する。このため、画像濃度の安定性に欠けるという難点がある。
【0010】
さらに、磁気ブラシの機械的な摺擦は軽減されてはいるものの、磁性キャリアと像担持体との接触は存在するため、通常の接触型二成分現像装置に比べれば軽微ではあるが、前記刷毛跡や掃き寄せ等の画質欠陥は依然として存在し、高画質化に対して難点を有している。
【0011】
また特公平3−2304号公報に開示される装置では、非接触型とすることにより前記刷毛跡や掃き寄せ等の画質欠陥の発生は回避されるものの、像担持体へ磁性キャリアが付着するいわゆるキャリア付着が生じやすいという難点を有している。
【0012】
このキャリア付着は、上記公報に開示される方法に限らず、二成分現像装置においては、一般的に生じやすい問題点である。特に、低湿度環境においては、トナーの帯電量が増加するため、これにともなって摩擦帯電されるキャリアに対するクーロン力の働きが強くなり、その結果像担持体へのキャリアの付着が生じやすくなる。また、経時的にトナーの帯電量が増加した場合においても同様の現象が起こる。
【0013】
このようなキャリアの像担持体への付着は、線画像の周縁部や線間部に生じやすく、特に画数の多い漢字等の空間周波数の高い画像で発生しやすい。これは、静電潜像の画像部と背景部との境界(縁)でいわゆるフリンジ電界が生じ、画像の周縁部では、トナーと逆極性に帯電した磁性キャリアに対して静電吸引力が作用するためである。
【0014】
キャリア付着が生じると、像担持体上に転移した磁性キャリアがトナー像と共に転写域にて記録用紙に接することになるため、トナー像の欠けや抜けが発生したり、磁性キャリアが記録用紙上に転写されて黒点となる等の画像品質低下が発生する。また、現像装置内から磁性キャリアが少量ずつ流出して行くことになるので、現像剤を補給・交換する間隔が短くなってしまう。この点は、特に現像装置を小型化すること、すなわち収容される現像剤量を少量として使用することに対して大きな障害となる。
さらには、機内汚染の原因となり、画像形成装置内の他の部品の性能低下を引き起こしてしまう。特に像担持体と接触して用いられるロールやベルトやフィルム部材で構成される、いわゆる接触型の帯電手段や転写手段を用いた画像形成装置においては、キャリア汚染による影響が極めて大きい。これらの部材の表面にキャリアが付着すると、該部材と像担持体との間に間隙が生じるために、帯電不良や転写不良が発生し易くなる。また、上記部材と像担持体とが加圧接触する部位にキャリアが入ると、上記部材及び像担持体の表面を損傷させ、性能低下を引き起こしてしまう。
【0015】
また二成分現像装置では、接触型と非接触型とを問わず前述の層厚規制部材を用いているが、層厚規制部材の背面部すなわち現像剤搬送方向の上流側で、現像剤が過度に充填された状態となるため現像剤に強い圧縮力が作用する。また現像剤が層厚規制部材と現像剤担持体の間隙を通過する際には、現像剤に強い摩擦力が作用する。このような力によって現像剤に劣化が発生する。
上記現像剤の劣化はトナーの劣化とキャリアの劣化とに大別され、双方とも圧縮力や摩擦力等により発生するものであり、トナー及びキャリアの代表的な劣化形態とその影響は次の通りである。
【0016】
一般にトナー表面には、帯電性及び流動性向上のために加えられた外添剤が付着しており、現像剤に圧縮力や摩擦力が作用すると、この外添剤がトナー表面から剥離したり、トナーの樹脂中へ埋没する。このような外添剤の剥離や埋没の生じた状態がトナーの劣化の代表的な形態であり、このような劣化が進行すると摩擦帯電特性が変化し、トナーの電荷量分布は極めて広く不安定となる。このため、電荷量の低いトナーおよび所定の極性と逆極性に帯電したトナー(以降、逆極性トナーと称す)が生じて背景部へのカブリが発生する。
【0017】
また、上記のようなトナーの劣化が生じると、トナーとキャリアとの接触面積が増大するために、トナーとキャリアとの間の付着力は増大する。このため、トナーはキャリアの表面から剥離し難くなり、現像されるトナー量は減少して画像濃度が低下してしまう。特に非接触型二成分現像においては、トナーと像担持体との間の付着力が存在しないために、トナーのキャリア表面からの剥離は、電界によりトナーに作用するクーロン力が、トナーとキャリアとの間の付着力に勝った場合に発生する。従って、トナー劣化に伴うトナーとキャリアとの間の付着力の増大により、画像濃度の低下は顕著に現れる。このように、トナーの劣化による画像欠陥が発生する状態となると、現像剤の寿命が尽きたということであり、現像剤の交換が必要となる。
【0018】
一方、キャリアの劣化は、キャリア表面へのトナー並びにトナーの外添剤の固着によって発生する。このような劣化が生じると、キャリア表面にトナーと同種の材料が存在するために、トナーとキャリアとの摩擦帯電序列の差は、劣化前に比べて小さくなる。従って、キャリアの劣化に伴いトナーの電荷量は減少し、電荷量の低いトナーおよび逆極性トナーが生じて、背景部へのカブリが発生することになる。
【0019】
また、層厚規制部材を用いる二成分現像装置の他の問題点として次のような事項がある。
非磁性または磁性の材料からなる層厚規制部材(トリマ)を用いる場合には、現像剤の搬送量が層厚規制部材と現像剤担持体表面との間隙、並びに現像剤担持体の磁極の位置関係に依存するため、層厚規制部材の寸法精度および設定精度が画質に大きく影響する。従って、良好な画像を得るためには、上記間隙を極めて高精度に設定する必要がある。このため、層厚規制部材の加工や設置に多くの手間が必要となり、製造コストが増大することになる。
【0020】
特に、近年の画像形成装置では、解像性や細線再現性等の優れた現像を行うこと、電位の低い潜像の現像を行うこと、さらに高速プロセスにおいて高い現像効率を得ることが要求されており、このような場合には現像間隙すなわち現像剤担持体と像担持体との間隙を狭く設定することが望ましい。このとき、現像剤層はより搬送量が少ない薄い層としなければならず、層厚規制部材と現像剤担持体表面との間隙はより狭く設定しなければならない。このため、高い寸法精度、設定精度が要求される。
【0021】
また、前述の特公平8−33691号公報、並びに特公平3−2304号公報に開示される方法・装置等においても、従来の二成分現像に比べるとより現像剤の搬送量の少ない薄い層としなければならない。このため、層厚規制部材と現像剤担持体表面との間隙をより狭く設定する必要があり、この間隙が狭くなるほど、層厚規制部材の寸法精度および設定精度の画質への影響が大きくなる。また、間隙を狭くするほど現像剤に作用する圧縮力や摩擦力が大きくなるために、現像剤の劣化が促進されてしまう。
【0022】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、機械的に現像剤層の層厚を規制することなく均一な現像剤の薄層を形成し現像剤の劣化を低減するとともに、この現像剤薄層を用いて画質欠陥やキャリア付着のない良好な画像を安定して得ることができる現像装置を提供することである。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明に係る現像装置では、周面上に二成分現像剤を担持して搬送する現像剤担持体が、ほぼ一層のキャリアをほぼ均等に吸着する複数の磁極を有し、像担持体と現像剤担持体との対向位置において、磁性キャリアは現像剤担持体の周面上に相対的にほぼ固定された状態となって移動し、直流電圧に交流電圧が重畳された現像バイアス電圧の作用により像担持体と現像剤担持体との間でトナーが往復運動しながら像担持体に転移され、トナー像を形成するように構成されている。
【0024】
これらの磁極は、発生させる磁界の強さ及び磁極間隔を適切に選択することによって、上記のようなほぼ一層のキャリアの層を形成できるように設定されている。例えば、請求項2に記載の現像装置のように、現像剤担持体の周面付近に着磁された隣り合う磁極間の距離を25μm〜250μm程度とし、N極とS極とが交互となるように着磁されていると、一般に用いられる粒径が25μm〜200μm程度のキャリアをほぼ均一にほぼ一層だけ吸着することができる。
【0025】
このような磁極により、ほぼ均一なキャリアの薄層が形成される原理は次のようのものと考えることができる。
上記のように、狭い間隔で配置された磁極による磁力線は隣接する極性の異なる磁極へと向かうために、現像剤担持体の表面に垂直な方向の磁界成分は、現像剤担持体表面の近傍において急激に減衰する。また、磁性キャリアの層が周面に形成されると、磁力線が現像剤担持体の周面と接触する磁性キャリアの層内を通り、その外側にほとんど分布しない状態となる。従って、キャリアは磁極上の部分に集中して付着することなく、磁界に沿った状態でほぼ一層だけが整然と並んだ状態で吸着される。このため、現像剤担持体上には現像剤の未付着部が無く、且つ山谷構造を持たない薄い現像剤層が形成され、磁力により保持されて現像領域へ搬送される。
【0026】
このように上記現像装置では、現像剤担持体に設けられた磁極の作用によって、層厚規制部材を用いることなく現像剤の薄層を形成することができるので、現像剤に大きな負荷をかけることがなく、現像剤の劣化を防止することができる。また、現像剤担持体の磁力のみによって現像剤層を形成するので、現像剤搬送量が部品精度に依存せず且つ経時変化は発生しない。
【0027】
さらに、磁極の間隔が十分狭く設定されているため、磁極パターンによる影響は発生せず、均一性の高い画像が得られる。また、磁性キャリアは磁極と磁極との間で閉磁気回路状のブリッジを形成するため、現像剤担持体上のキャリア層には強い磁気拘束力が作用する。そして、上記磁性キャリアは現像剤担持体の周面と相対的に移動しない状態、つまり周面上でジャンプしたり、転動したり、攪拌されたりすることなく、周面上に吸着された状態のまま搬送される。従って、現像剤の飛散および像担持体上へのキャリア付着は発生しない。さらに、像担持体と現像剤担持体との対向位置において、キャリアが磁気拘束力によって現像剤担持体の周面上にほぼ固定した状態となり、像担持体とは接触しないので、キャリアによる像担持体表面の機械的な摺擦は発生せず、従って刷毛跡や掃き寄せ等の画質欠陥のない高品質な画像再現が可能となる。
【0028】
一方、像担持体と現像剤担持体との間に印加される現像バイアス電圧は、交流電圧に直流電圧が重畳されたものとなっており、この現像バイアス電圧の作用によりトナーは像担持体と現像剤担持体との間で往復運動を生じ、飛翔するトナー量が環境や装置の作動開始後の経過時間によって変動することなくほぼ一定の状態に保たれる。この理由は次のように考えられる。
【0029】
一般に、トナーの飛翔すなわちトナーのキャリア表面からの剥離は、電界によってトナーに作用するクーロン力が、トナーとキャリアとの付着力に勝った時に発生する。このため、環境や時間の経過によって、トナー又はキャリアの帯電量等が変動し、両者間の付着力が増大すると、トナーの飛翔量は減少してしまう。しかしながら、、上記のように像担持体と現像剤担持体との間でトナーの往復運動を生じさせることにより、先に飛翔したトナーが像担持体から現像剤担持体側に逆飛翔して来た際に、キャリアに付着したままのトナーすなわち比較的に付着力の強いトナーと衝突して機械的にトナーをキャリアから剥離することになる。このようにトナーが往復運動を重ねるうちに、キャリア表面から次々にトナーが剥離してゆき、最終的には現像剤担持体の表面にほぼ一層だけ吸着された現像剤層の上面すなわち像担持体側にあるトナーのほとんどがキャリア表面がら剥離して往復運動することになる。このように、飛翔するトナー量が、環境や時間の経過に影響されずほぼ一定の状態に維持されるので、安定した画像の再現が可能となる。
【0030】
さらに、上記現像装置では、前記現像剤担持体の有する磁極が周回移動するように構成されている
例えば、ほぼ一層のキャリアをほぼ均等に吸着する複数の磁極を有する現像ロールを、磁石ロールとその周囲で回転駆動するスリーブとで構成した場合には、磁石ロールを固定としてスリーブの回転に従って現像剤が搬送され、ほぼ一層の現像剤層は、固定された磁極上を移動することになる。この際、従来の二成分現像装置のような磁極パターンに対応した現像剤層の転動は生じずに、前記のほぼ固定された状態はほぼ維持されるものの、現像剤粒子が互いに衝突し、この影響により搬送中に現像剤層に微少な凹凸が生じ易くなる。このような凹凸が生じると低濃度部において磁極ピッチと対応した濃度ムラが発生したり、細線の幅に微少なムラを生じたりすることになる。
これに対し、磁極が設けられた現像剤担持体を周回移動して周面上の現像剤を現像領域へと搬送することにより、より確実にほぼ一層の現像剤層を現像剤担持体の周面上にほぼ固定した状態とすることが可能となる。
【0031】
上記現像装置において、現像バイアス電圧の交流成分の周波数は、約0.4kHz以上10kHz以下であることが望ましい。
交流成分の周波数が、上記値より小さい場合には、像担持体と現像剤担持体との間におけるトナーの往復運動によって、トナーをキャリアから剥離する効果が十分に得られない。一方、交流成分の周波数が上記値より大きい場合には、振動する電界にトナーの運動が追従することができず、十分な往復運動が得られなくなる。
【0032】
また、上記現像バイアス電圧の交流成分の波形は、該交流成分の平均電圧値の+側と−側とがほぼ対称であることが望ましい。
交流成分の電圧波形が上記のような形状となることによって、飛翔するトナーに像担持体側及び現像剤担持体側へ移動させる十分な力が作用し、活発な往復運動が生じる。
【0033】
一方、上記現像剤担持体は、請求項6に記載のように、該現像剤担持体の全長よりも着磁可能幅が短い磁気記録用ヘッドを該現像剤担持体に近接離間または当接させて、該現像剤担持体を周回駆動しながら磁気記録用ヘッドを該現像剤担持体の周面の幅方向に移動させることにより、残留磁化パターンを形成したものであり、前記現像剤担持体の一周回当たりの前記磁気記録用ヘッドの移動量W(mm)と、該磁気記録用ヘッドの着磁可能幅D(mm)とは、
D−1≦W≦D
となるように設定して形成されたものが望ましい。
【0034】
上記のような現像剤担持体では、周面は螺旋状に磁化されて、ほぼ一様に微小間隔で磁極が着磁されている。そして、螺旋状に磁化されたときの周回前に磁化された部分と重複して磁化される範囲の幅が、1mm以下となっているので、付着する現像剤量のムラが、画像にほとんど影響することがなく、均一な画像が得られる。
【0035】
また、上記現像剤担持体は、請求項7に記載のように、周面付近が強磁性体で構成されるか又は周面付近に磁気記録層を有し、その上に導電層が積層されたものであって、上記導電層の厚さは、約3μm以下であることが望ましい。
上記のように、導電層が磁気記録層の上に積層されていることにより、この導電層と像担持体の導電性基体との間に印加された現像バイアス電圧によって電界が形成され、トナーを有効に往復運動させることができる。また、導電層の厚さが約3μm以下となっているので、磁気記録層によって形成される磁界は、現像剤担持体の表面付近でもほとんど減衰することがなく、キャリアを現像剤担持体の表面に磁気的に吸着して、像担持体への転移や飛散を防止することができる。
【0036】
また、上記現像剤担持体は、請求項8に記載のように、周面付近が導電体で形成されるか又は周面付近に導電層を有し、その上に磁気記録層が積層されたものとすることができ、上記磁気記録層の厚さは、約200μm以下であることが望ましい。
このような構成により、磁気記録層に形成された磁化パターンによってキャリアを現像剤担持体の表面に磁気的に保持し、キャリアの像担持体への転移や飛散を防止するとともに、この磁気記録層が約200μm以下と薄いものとなっているので、導電層と像担持体の基体との間に印加される現像バイアス電圧によって、これらの間に有効な振動電界を形成することができる。これにより、トナーは、像担持体と現像剤担持体との間で往復運動しながら像担持体に転移され、良好な現像が行なわれる。
【0037】
さらに、上記現像剤担持体は、周面付近が導電性の強磁性体で構成されるか又は周面付近に導電性の磁気記録層を有するものとしてもよい。
このような構成では、磁気記録層にバイアス電圧を印加することができ、像担持体と現像剤担持体との間に、有効な振動電界を形成するとともに、現像剤担持体の表面付近にほぼ一層のキャリアを磁気的に吸着する磁界を形成することができる。
【0038】
さらに、上記現像剤担持体は、請求項10に記載のように、該現像剤担持体の全長よりも着磁可能幅が短い磁気記録用ヘッドを該現像剤担持体に近接離間または当接させて、該現像剤担持体の周面を周回移動させつつ磁気記録用ヘッドを該現像剤担持体の周面の幅方向に移動させることにより、残留磁化パターンが形成されたものであり、前記現像剤担持体の周回移動による現像剤担持体周面の移動速度Vrと、前記磁気記録用ヘッドの前記現像剤担持体の幅方向への移動速度Vwとは、
Vr≧Vw
となるように設定されていることが望ましい。
【0039】
一般に、磁気記録用ヘッドにより現像剤担持体の着磁を行うと、現像剤担持体の周面は螺旋状に磁化されて、ほぼ一様な微小間隔のパターンで磁極が形成される。しかし、該磁気記録用ヘッドによる着磁方式では、着磁の際の現像剤担持体の回転精度が低い場合、または磁気記録用ヘッドの平行度等の取り付け精度が低い場合に、螺旋状の着磁軌跡の境界部において磁極の位置ずれが生じ易い。このように上記境界部において、磁極が現像剤担持体の軸方向に対して不連続になると、該境界部近傍に担持された磁性キャリアに作用する磁気拘束力が弱くなるため、実用上その使用が困難となるレベルではないものの、像担持体上へのキャリア付着が微量ながら発生してしまう。
【0040】
上記請求項10に記載の現像剤担持体では、Vr≧Vwに設定して、現像剤担持体の一回転当りの磁気記録用ヘッドの移動量Wを小さくすることにより、現像剤担持体の周方向からの螺旋状の着磁軌跡の角度が小さくなり、着磁軌跡のずれが軸方向に広がるのを防止することができる。これにより、螺旋状の着磁軌跡の境界部において磁極の位置ずれが生じにくくなり、該境界部近傍で現像剤担持体の磁極による磁束の方向が不規則となる領域が少なくなる。このため、現像剤担持体周面の着磁軌跡の境界部近傍においてキャリアに十分な磁気拘束力を作用させることが可能となり、像担持体へのキャリア付着の発生を抑制することができる。
【0041】
以上のように、本発明の現像装置では、機械的に現像剤層の層厚を規制することなく均一な現像剤の薄層を形成し、現像剤の劣化を低減することが可能である。また、この現像剤薄層を用いて画質欠陥やキャリア付着のない良好な画像を安定して得ることが可能となる。
【0042】
なお、上記のような構成と同様に現像剤担持体に小さなピッチで磁極を設ける技術が、特開平3−259276号公報に記載されている。
この公報に記載の技術は、現像ロール(現像剤担持体)を単一の回転体で構成し、その周囲に100μm程度以下の小さなピッチで磁極を設け、一成分磁性現像剤をその周囲に吸着するものである。これにより、磁極の位置に対応して吸着される現像剤層のムラが生じるのを低減し、この現像剤層を現像領域におけるトナー像の形成に供する。このような構成により現像ロールを固定支持された磁石ロールとその周囲で回転するスリーブを有する構造とすることなく、単純な構成で濃度ムラのない現像を行うものである。
【0043】
しかし、この公報に記載の現像装置は一成分磁性現像剤を用いるのを前提としており、一成分現像剤は粒径が7〜15μmであり、着磁ピッチを100μm程度以下としても吸着された現像剤は現像ロールの周面上で穂状となる。このため、層厚規制部材で穂の高さを機械的に規制しないと均一な現像剤層を形成することができず、層厚規制部材を用いることを前提としている。このように上記公報に記載の技術は本願に係る発明と扱う現像剤が異なり、目的も異なるもので全く異質の技術的思想に基づくものである。
【0044】
【発明の実施の形態】
以下、本願に係る発明の実施の形態を下記の順序で説明する。
[1.本願発明に係る現像装置が用いられる画像形成装置]
[2.第1の実施の形態]
〈a.現像装置の構成と動作〉
〈b.着磁の方法〉
〈c.磁極間隔等と、画像濃度・画像の均一性・キャリアの付着との関係を調査する実験〉
〈d.維持性についての実験〉
〈e.現像バイアス電圧の交流成分の波形・周波数と、トナー帯電性の変動に対する安定性との関係を調査する実験〉
〈f.環境変動の画像濃度への影響を調査する実験〉
〈g.着磁の条件と画像の均一性との関係を調査する実験〉
〈h.導電層の層厚と、画像濃度・キャリア付着・濃度ムラ・細線再現性との関係を調査する実験〉
〈i.現像ロール及び磁気記録用ヘッドの移動速度とキャリア付着との関係を調査する実験〉
[3.第2の実施の形態]
〈a.現像装置の構成〉
〈b.磁極間隔等と、画像濃度・画像の均一性・キャリアの付着との関係を調査する実験〉
〈c.磁気記録層の層厚と、画像濃度・キャリア付着・濃度ムラ・細線再現性との関係を調査する実験〉
[4.第3の実施の形態]
[5.上記実施形態の変更可能な構成]
【0045】
[1.本願発明に係る現像装置が用いられる画像形成装置]
図1は、本願発明に係る現像装置が用いられる画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
この画像形成装置は、ほぼ円筒状の導電性基体の周面に感光体層が設けられた感光体ドラム1を備えており、この感光体ドラム1が、図中に示す矢印Aの方向に回転駆動されるようになっている。また、感光体ドラム1の周囲には、その回転方向に沿って、帯電器2と、露光装置3と、円筒部材からなる現像ロール12を感光体ドラム1に対向させた現像装置4と、転写前コロトロン5と、転写コロトロン6と、剥離コロトロン7と、クリーナー8と、光除電器9とを有している。
【0046】
上記感光体ドラム1の導電性基体は電気的に接地されている。また、感光体層には負帯電の有機感光体(OPC)が用いられており、ほぼ一様に帯電した後、像光を照射すると、露光部の電荷が上記導電性基体に流れ、電位が減衰するようになっている。
この感光体ドラム1は、例えば外径を100mm、周面の移動速度、すなわちプロセススピードを160mm/s程度に設定することができる。
【0047】
上記露光装置は、画像信号に基づいて点滅するレーザー発生装置と、このレーザー発生装置から射出されるレーザービームを回転しながら反射するポリゴンミラーとを有し、感光体ドラム1の周面を露光走査して静電潜像を形成するものである。
この露光走査は、画像部を露光するものであってもよいし、非画像部を露光するものであってもよく、感光体の帯電極性とトナーの帯電極性とを適切に選択することによって画像部にトナーを転移して顕像化することができる。この画像形成装置では感光体およびトナーは負帯電のものを用い、画像部を露光するように設定されている。
【0048】
次に上記画像形成装置の動作について説明する。
始めに、帯電器2により感光体ドラム1の表面が一様に−450Vに帯電される[図2(a)]。続いて、レーザー光による画像部露光が行われ、露光部電位がほぼ−200Vのネガ潜像が形成される[図2(b)]。そして、このネガ潜像の露光部には現像装置4によりトナーが転移され顕像化される[図2(c)]。
上記のようにして感光体ドラム1上に形成されたトナー像は、転写コロトロン6の帯電によって記録用紙上に転写される。その後、この記録用紙は、剥離コロトロン7の帯電によって感光体ドラム1の表面から剥離されて定着器(図示しない)へと搬送される。定着器ではトナー像が加熱・加圧によって記録用紙上に定着される。
【0049】
一方、トナー像の転写および記録用紙の剥離工程が終了した感光体ドラム1の表面は、クリーナー8によって残留トナーが清掃され、さらに光除電器9による露光で残留電荷が除去されて次の画像記録工程に備えられる。
なお、感光体ドラム1の回転方向における現像装置の下流側に設けられた転写前コロトロン5は、現像時にキャリアが像担持体へ転移する量を調査する際に用いられるもので、感光体ドラム1上に形成されたトナー像に対して一様な負帯電を行なう。これにより、現像の際に意図に反して感光体ドラム1上へ転移したキャリアを負に帯電し、トナーと一緒に記録用紙上に転写されるようにして、記録用紙上においてキャリアの転移量の評価を行うことができる。
【0050】
[2.第1の実施の形態]
次に、本願に係る発明の実施の形態である現像装置について説明する。
〈a.現像装置の構成と動作〉
図3は、上記画像形成装置で用いることができる現像装置であって、本願発明の一実施形態である現像装置を示す概略構成図である。
この現像装置4は、現像剤が収容される現像ハウジング11の感光体ドラム1との対向部位に現像用の開口部を設け、この開口部に現像ロール12を配設するとともに、その後方に二つのスクリューオーガー13、14を設けたものである。また、現像ロール12上に付着した現像剤を剥離するスクレーパ15が現像ロール12と接触するように設けられている。
【0051】
上記スクリューオーガー13、14は、現像ハウジング内の仕切り壁16で仕切られた二つの現像剤撹拌搬送室内に設けられ、それぞれ逆方向に現像剤を搬送するように回転駆動されるものである。上記二つの現像剤撹拌搬送室は両端部で連通しており、上記スクリューオーガー13、14によって搬送される現像剤は撹拌されながら二つの現像剤撹拌搬送室内を循環移動するようになっている。
【0052】
上記現像ロール12は、軸線回りに回転が可能となるように支持されており、図4に示すように磁気記録層12bとその周面上に形成された導電層12aとで主要部が構成されている。この現像ロール12の外径は18mm、駆動時の周速度は320mm/sであり、感光体ドラム1と現像剤担持体12との間隙は300μmに各々設定され、現像剤層が感光体ドラム1に対して非接触状態となるよう保持されている。
【0053】
上記導電層12aには現像バイアス用電源17により、現像バイアス電圧が印加される。この現像バイアス電圧には直流電圧を重畳した交流電圧が採用されており、直流成分は地カブリの発生を防ぐために−400Vに設定されている。
また、現像バイアス電圧の交流成分は、周波数6kHzの対称矩形波で、ピーク間電圧が1.5kVに設定されている。
【0054】
一方、上記磁気記録層12bには、全周にわたってS極とN極とが交互に等間隔(25〜250μm程度)で並列するように着磁が施されている。この着磁については後述する。
この磁気記録層12bは、フェライト磁石からなり、導電層12aは、このファライト上にアルミニウム層を厚さ1μm程度に積層して形成したものである。
【0055】
上記現像装置で用いられる現像剤は非磁性トナーと磁性キャリアとを混合した二成分現像剤であり、トナーとしては、重量平均粒径が7μmで、負帯電性のポリエステル系トナーが使用されている。また、キャリアとしては、結着樹脂中に磁性粉を分散させた、いわゆる磁性粉分散型樹脂キャリア又は球形フェライト粒子に樹脂被覆を施した、いわゆるフェライトキャリアが使用されている。
【0056】
このような現像装置4においては、スクリューオーガー13,14によって充分に攪拌された現像剤が、図3中に示す領域Xで現像剤担持体と接触し、現像ロール12上に供給される。そして、磁気記録層12bで形成される磁界によって現像ロール12の周面に一定量の現像剤が吸着される。すなわち、トナーを電気的に吸着した磁性キャリアがほぼ一層だけ、ほぼ均等に付着した状態となり、層厚規制部材を用いずに現像剤層が形成される。そして、この現像剤層は、現像ロール12の回転に伴って感光体ドラム1と対向する現像領域へと搬送され、感光体ドラム1上の静電潜像の現像に供される。
【0057】
なお、この現像装置では、現像ロール12を磁気記録層12bとその周面上に形成された導電層12aとで構成して、磁気記録層12bとしてはフェライト磁石、導電層12aとしてはアルミニウムを使用したが、本発明はこれらの構成および材料に限定されるものではない。磁気記録層12bには、磁化パターンが形成可能である任意の材料が使用可能である。例えば、熱可塑性または熱硬化性の樹脂中に強磁性材料の粉末を分散させた、いわゆるプラスチック磁石や、可撓性を有する材料中に強磁性材料の粉末を分散させた、いわゆるゴム磁石を用いることができる。この場合、可撓性を有する材料としては、多量の磁性材料の混入が可能で、且つ可撓性を維持することが可能な任意のものが使用可能であり、例えばハイパロン、ポリイソブチレン、ネオプレンゴム、ニトリルゴム、塩素化ポリエチレン等が使用できる。また、導電層12aとしては、現像バイアス電圧が印加可能である任意の材料が使用可能である。例えば、Ni、Ti、Cu、Cu−Ni合金、チタンナイトライド等を用いることができる。
【0058】
一方、上記現像装置で用いる現像剤の磁性キャリアは、10 (4π)A/mの磁界中における磁化が、約45kA/m以上360kA/m以下となるものを用いるのが望ましい。
磁性キャリアの磁化が小さいと、上記磁極が形成する磁界によって現像ロールへ吸着される力が小さくなる。このため、磁極間隔が小さく設置されて、現像ロールの表面に垂直な方向の磁界成分が急激に減衰していると、キャリアが現像ロールの表面に吸着されない部分(現像剤層の抜け)が生じ易くなる。このような現像剤層の抜けがあると、低濃度部における微少な濃度ムラや細線の再現性不良が発生する。
また、磁性キャリアの磁化が大きいと、現像ロールの磁化パターンに応じて強い吸着力が作用し、磁極上と磁極間とでほぼ均一な現像剤層、つまり山谷構造のない現像剤層を形成するのが難しくなる。現像剤層にこのような山谷構造があると、低濃度部において磁極ピッチと対応した濃度ムラが発生したり、細線の幅に微少なムラを生じたりすることになる。
【0059】
さらに、本発明の現像装置で用いる現像剤の磁性キャリアは、残留磁化が約25kA/m以下であるものを用いるのが望ましい。
磁性キャリアの残留磁化が大きいと、キャリアの磁気的な凝集が生じ易くなり、この影響により現像ロール上の現像剤層に微少な凹凸、すなわち磁気的な凝集により、一層より多い現像剤層が形成される部位が生じてしまう。このような凹凸が生じると、低濃度部における微少な濃度ムラや細線の再現性不良が発生する。
このように、磁性キャリアの磁化と残留磁化とは、上記磁極によって形成される現像剤層の状態に影響を及ぼすものであり、磁化と残留磁化とを上記の範囲内とすることにより、ほぼ一層の現像剤層を現像ロール12上に形成することが容易となる。
【0060】
また、本発明の現像装置で用いる現像剤の磁性キャリアは、10 V/mの電界中における体積固有抵抗値が1010Ω・cm以上となるものを用いるのが望ましい。
磁性キャリアの体積固有抵抗値が低い場合には、現像領域において磁性キャリアへの電荷注入が生じ易くなり、磁性キャリアに作用するクーロン力が磁気拘束力よりも強くなり、キャリアがほぼ固定された状態から解放されて像担持体上に転移し易くなり、キャリア付着が生じ易くなる。
このように、磁性キャリアの体積固有抵抗値は、現像領域における磁性キャリアの固定状態に影響を及ぼすものであり、体積固有抵抗値を上記の範囲内とすることにより、ほぼ一層の現像剤層を現像ロール12の周面上に固定した状態とすることが容易となる。
【0061】
〈b.着磁の方法〉
次に、上記磁気記録層12bの着磁の方法について説明する。
磁気記録層の着磁は、図5に示すように、現像ロール12の周面に近接して配置された磁気記録用ヘッド200によって行われる。
この磁気記録用ヘッド200は、軟磁性材料からなり両端部が間隔をおいて並列する形状のコア201と、このコア201に巻き回されたコイル202とを有し、上記コア201の両端部が現像ロールの周面に近接するように配置される。コイル202には、磁化信号発生装置によって制御された電源から磁化電流が供給されるようになっており、コイル202に電流が流れると、コア201内に磁束が発生し、この磁束はコア201の先端から磁気記録層12bを通る。これにより、磁気記録層12bが磁化される。コイル202へ供給される磁化電流は、磁化信号発生装置からの信号に基づいて断続的又は適宜電流の方向を変えて供給され、図5に示すように回転駆動される現像ロール12の周面が所定の着磁パターンに磁化される。本実施例では現像ロール12の周方向にN極とS極との交互着磁を正弦波パターンにて行い、現像ロール表面における半径方向の磁束密度のピーク値を50mTに設定している。
【0062】
この実施形態の現像装置で用いられる現像ロール12は、着磁を行なう部分の軸方向の長さが300mmであり、磁気記録用のヘッド200の着磁可能幅Dは6mmとなっている。したがって、現像ロール12の周面の着磁を行なう際には、現像ロール12を回転駆動するとともに、磁気記録用ヘッド200を現像ロール12の回転軸方向に平行に移動させる。このとき、現像ロール12の一回転当たりの磁気記録用ヘッド200の移動量Wは、5.5mmに設定されており、螺旋状に着磁したときの、一周回前に着磁した部分と重ねて着磁する範囲は0.5mmとなるように設定されている。
【0063】
〈c.磁極間隔等と、画像濃度・画像の均一性・キャリアの付着との関係を調査する実験〉
次に、図3に示す現像装置において、静電潜像の現像試験を行い、キャリアの種類および粒径と、磁気記録層12bの磁極間隔とを変化させて、画像濃度、キャリアの付着、画像の均一性を調査した結果について説明する。
一般に二成分現像剤の薄層を用いる現像方式において、きめの細かい画像を得るためには、平均粒径の小さいキャリアを用いることが好ましい。平均粒径の大きなキャリアを用いた場合には、磁界に沿って配列されるキャリアのチェーン間の間隔は広くまた粗くなるため、均一性の高い薄層を得ることは困難となる。このため、画像の均一性不良およびライン画像のエッジ再現不良が発生してしまう。したがってキャリアの平均粒径としては、100μm以下であることが好ましく、本試験では平均粒径が50μm、100μmのキャリアを用いる。使用した4種類のキャリアは表1に示す。
【0064】
以下余白
【表1】
Figure 0003606057
【0065】
表1中に示すキャリアの種類▲1▼および▲2▼は磁性粉分散型樹脂キャリアで、▲3▼および▲4▼はフェライトキャリアである。また、平均粒径は、重量平均粒径である。単位重量当たりの磁化は10 /(4π)A/mの磁界中における値である。
なお、残留磁化は全キャリアで5kA/m未満である。また、体積固有抵抗値は、1015〜1016Ω・cmの範囲となるように調整されている。
現像剤中のトナーとキャリアの混合比は、現像剤中のトナーの重量比で、▲1▼および▲2▼のキャリアでは15重量%、▲3▼および▲4▼のキャリアでは7.9重量%として、単位体積当たりのトナー量がほぼ等しくなるように設定している。また、トナーの電荷量は−15〜−20mC/kgの範囲に調整されている。
現像ロール12としては、その表面における磁極間隔が、13μm、25μm、50μm、100μm、250μm、500μmの6種類のものを使用した。
但し、上記磁極間隔は、少数第1位を四捨五入した値である。
【0066】
画像濃度の評価は、ベタ画像の現像を行い、その濃度を反射濃度計(商品名:X−RITE310)で測定して行う。この測定値が1.8以上であればベタ画像、線画像ともに十分な濃度を有しており、1.8以上を○、1.8未満を×と評価している。
【0067】
また、キャリアの付着は、図6に示すような画像部と背景部とがプロセスの進行方向と直角方向に一定周期で並列されたいわゆる交番ラインの現像を行い、このときのキャリア付着量を測定して評価を行った。
交番ラインの周期は2サイクル/mmで画像部と背景部の比率は1:1である。このような交番ラインの現像においては、感光体の表面に、画像部と背景部とが非常に小さい間隔で隣接する静電潜像が存在するため、感光体層の表面近傍にはいわゆるフリンジ電界が生じ、画像の周辺部では、トナーと逆極性に帯電したキャリアに対して静電的吸引力が作用する。従って、交番ラインはキャリアの付着が生じやすい画像であり、キャリア付着の評価に適している。
【0068】
キャリア付着量の評価指標は、交番ラインの背景部上におけるキャリア粒子の面積率とした。面積率の測定には、画像解析装置(商品名:LUZEX−5000)を使用した。キャリア粒子の面積率が、1.0%以下であれば実用上問題の無いレベルであるので、1.0%以下を○、1.0%を超えた場合を×としている。
【0069】
さらに、画像の均一性の評価は、ベタ画像について目視で行い、目視で濃度ムラが確認されない状態を○、少量の濃度ムラはあるが実用上問題の無いレベルを△、使用不可能なレベルを×とした。
上記のような方法で、評価を行った結果は表2に表す。この表において、総合評価は、上記三項目全てに×のないものを○、一つでも×のあるものを×とした。
以下余白
【0070】
【表2】
Figure 0003606057
【0071】
表2より、磁極間隔が25μm以上250μm以下の範囲であれば、キャリア付着や均一性不良を起こすことなく十分な画像濃度を得られることがわかる。
磁極間隔が25μmより狭い場合には、磁界に沿った磁性キャリアの配列は困難となり、現像剤層は全体的に疎な状態となる。このため、十分な濃度が得られず、画像の均一性も損なわれる。また、現像ロール12の表面から離れた部位における磁界は、磁極間隔が狭いほど急激に減衰して弱くなるため、磁極間隔が25μmより狭い場合には、現像ロール上の磁性キャリアに作用する磁気拘束力は弱くなり、前述のフリンジ電界の作用によるキャリアの付着が発生してしまう。さらに、現像ロールの回転時に作用する遠心力により、現像剤が飛散する現象が観察された。
【0072】
一方、磁極間隔が250μmより広い場合には、磁極間部において磁性キャリアに作用する磁気拘束力が極めて弱くなる。このために、現像剤が磁極付近に集中的に付着する。従って、現像剤層の状態は着磁パターンに応じて山と谷とを形成するようになり、現像された画像には着磁パターン状のムラが発生してしまう。また、上記のように、磁極間部に付着した磁性キャリアに作用する磁気拘束力が弱いため、キャリアの感光体への付着および現像剤の飛散が発生してしまう。
【0073】
これらに対し、磁極間隔を25μm以上250μm以下とすると、現像ロール上において、磁性キャリアは磁界に沿った状態で整然と配列される。このため現像ロール上には現像剤の付着していない部分が無く、かつ山谷構造を持たないほぼ一層の磁性キャリアが配列された現像剤層が形成され、この現像剤層が磁力により保持されて搬送される。
したがって、層厚規制部材を用いることなく、均一性の高い画像を得ることが可能となる。また、現像剤搬送量は部品精度に依存しないので、組立てに高い精度は要求されない。さらに、現像ロール上の現像剤層には強い磁気拘束力が作用するので、キャリアの感光体への付着および現像剤の飛散は発生しない。
また、現像ロール上の現像剤層は現像ロール表面上にほぼ固定された状態で、相対移動することなく搬送されるので、感光体表面を機械的に摺察することがなく、従って刷毛跡や掃き寄せ等の画質欠陥がなく極めて均一性の高い画像を得ることができる。
【0074】
なお、図3に示す現像装置では、現像ロール12上の現像剤層を、感光体ドラム1に対して非接触状態としたが、現像剤層が感光体ドラム1と接触するように設定した場合においても同様な結果が得られる。
この場合には、現像剤層による感光体表面の機械的な摺察が生じることになるが、現像剤層は現像ロール上にほぼ固定された状態であり、従来の接触型二成分現像装置のような磁気ブラシの現像ロール上での転動や振動による運動が存在しないため、刷毛跡や掃き寄せ等の画質欠陥はほとんど生じない。
【0075】
〈d.維持性についての実験〉
次に、図3に示す現像装置の維持性について行った実験を説明する。
この実験は、図1に示す画像形成装置を用い、図3に示す現像装置でベタ画像を連続して10万枚現像する。そして所定枚数の現像を行った後にベタ画像の現像濃度とトナーの電荷量とを測定し、現像枚数を重ねたときの推移を調査するものである。
また、本願発明に係る現像装置の効果を調査するために、従来から知られている現像装置を用いて同様の現像を行い、その結果を上記図3に示す現像装置で得られた結果と比較する。
【0076】
この実験において、現像剤は次のものを用いる。
◎キャリア:フェライトキャリア
平均粒径 50μm
真密度 4.5g/cm
単位重量当たりの磁化 50A・m /kg
磁化 225kA/m
残留磁化 5kA/m未満
体積固有抵抗値 1015Ω・cm
◎トナー:負帯電性ポリエステル系トナー
重量平均粒径 7μm
電荷量 −15〜−20mC/kg
また、現像ロール表面の磁極間隔は100μmとなっている。
【0077】
一方、比較を行うために用いた従来の現像装置300は、図7に示すように、現像ロール312と近接対向して設けられた層厚規制部材315を有するものである。また、現像ロール312は、固定支持された磁石ロール312aとその周囲で回転駆動されるスリーブ312bとを有し、磁石ロール312aには周方向に5つの磁極が設けられている。この磁極によって生じる磁界によって、現像剤はスリーブ312bの表面に吸着され、スリーブ312bの回転と共に移動するようになっており、層厚規制部材315との対向位置で現像剤量が規制され、現像剤の薄層が形成される。
【0078】
この現像装置の主要部分の寸法、設定は以下のとおりである。
現像ロール:外径18mm
現像ロールの周速:320mm/s
現像領域の設定:
感光体ドラムと現像ロールとの間隔・・・500μm
感光体ドラムと現像ロールとが最近接する位置・・・磁極N と磁極S とのほぼ中間点
磁極N の位置と磁極S の位置との中心角・・・70°
磁極N の位置、磁極S の位置での磁束密度・・・70mT
現像バイアス:直流重畳交流電圧
直流成分・・・−400V
交流成分・・・6kHzの矩形波、ピーク間電圧1.6kV
【0079】
なお、上記二つの現像装置は、それぞれハウジング内に400gの現像剤を収容するものであり、現像剤中のトナー重量比は、7.5〜8.5重量%となるように適宜トナーを補給するようになっている。
【0080】
図8および図9は、上記本願発明に係る現像装置(図3)および従来の現像装置(図7)とを用いて10万枚の現像を行ったときのベタ画像濃度およびトナー電荷量の推移を示すものである。
これらの図より、本願発明に係る現像装置4では、10万枚の現像を通じて画像濃度およびトナー電荷量は、良好に維持されることがわかる。一方、比較例である従来の現像装置300では、急激な濃度低下およびトナー電荷量の低下が発生する。このトナー電荷量の低下により、2万枚にてトナー飛散による地カブリが発生し、現像剤は寿命に至った。
【0081】
また、長期現像実験後の現像剤の状態を調査した結果、従来の現像装置300で用いた現像剤には、顕著なトナー劣化およびキャリア劣化が発生していた。従来の現像装置300においては、層厚規制部材315による層厚規制時に現像剤に対して強いストレスが作用するため、トナー劣化およびキャリア劣化が早期に発生したことによるものである。この影響により、上記のように濃度低下およびトナー電荷量の低下が発生してしまう。
【0082】
一方、本願に係る現像装置4では、層厚規制部材を用いないため、現像剤層形成時に現像剤に対してストレスが作用せず、従って現像剤の劣化を防止することができる。この現像装置4で用いた現像剤では、長期現像実験後のトナーおよびキャリアは初期と同様な状態であり、劣化状態は見られなかった。また、10万枚を通じて、現像剤搬送量に変動はほとんど生じていない。
【0083】
以上のように、本願発明に係る現像装置では、良好な画質を長期に渡り、安定して維持できることがわかる。
また、本願発明の現像装置では、環境や経時的影響によりキャリアの帯電量や抵抗値に変動が生じた場合においても、現像領域においてはキャリアが磁気拘束力によって現像ロール上にほぼ固定された状態となるので、現像剤層の状態はほぼ一定に保たれる。従って、環境の変化や経時的影響に左右されない安定した画像再現が可能である。
【0084】
〈e.現像バイアス電圧の交流成分の波形・周波数と、トナー帯電量の変動に対する安定性との関係を調査する実験〉
次に、図3に示す現像装置において、現像バイアス電圧の交流成分の波形と周波数とを変化させて、トナー帯電量の変動に対する安定性を調査した結果について説明する。
この実験は、現像バイアス電圧の交流成分の波形及び周波数を変え、それぞれについて、複数の異なるトナー帯電量でベタ画像を現像し、これらの濃度差を調査したものである。つまり、環境の変化等によってトナーの帯電量が変化しても、画像濃度の変動が少なくなる条件を調査したものである。
【0085】
この実験で用いた現像装置は、現像ロール12表面での磁極間隔を100μmとしたものである。
また、この実験で用いたトナーは、重量平均粒径が7μmのポリエステルトナーで、帯電量が−3mC/kg、−15mC/kg、−30mC/kgとなるように調整した3種類のものを用いている。
キャリアは表1中に▲3▼で示すものを用いた。現像剤中のトナーとキャリアとの混合比は、現像剤中のトナーの重量比で7.9重量%とした。
【0086】
この実験で用いた交流成分の波形一周期分の一例を図10に示す。波形は矩形波であり、トナーを現像ロール12側から感光体ドラム1側に飛翔させる方向の電界を形成する−側の振幅V が、トナーを感光体ドラム1側から現像ロール12側に逆飛翔させる電界を形成する+側の振幅V よりも大きくなるように設定されている。この時、交流成分の平均電圧は0Vになるように設定されており、すなわちV ×T とV ×T とは等しくなっている。従って、重畳される直流電圧の値が現像バイアス電圧の平均電圧となる。本実験では、V /Vp−p (=T /T)の値を0.3、0.4、0.5、0.6、0.7とした。ここでV /Vp−p の値が0.5となるとき、交流成分の電圧波形は、対称矩形波となり、その他は非対称矩形波である。
また、交流成分の周波数は、0.25kHz、0.4kHz、3kHz、6kHz、10kHz、12kHzの6種類として、ピーク間電圧は1.5kVとした。
【0087】
現像剤のトナー帯電量に対する安定性は、上記3種類のトナーを使用して同様に画像形成を行い、ベタ画像部における画像濃度の差で評価するものであり、この濃度差が0.1未満を〇、0.1以上0.2未満を△、0.2以上を×とした。〇および△は濃度制御機構を設けずに実使用可能なレベル、×は濃度制御機構を設けずには実用不可能なレベルである。
この実験の結果を表3に示す。
以下余白
【0088】
【表3】
Figure 0003606057
【0089】
表3から、現像バイアスの交流成分の波形をほぼ対称波形として、周波数を0.4kHz以上10kHz以下に設定することにより、トナー帯電量が変動した場合においても、極めて高い濃度安定性が得られることがわかる。
一方、波形を非対称としてV とV とを異ならせた場合には、トナーの飛翔と逆飛翔すなわち現像ロール12側から感光体ドラム1側への飛翔と感光体ドラム1側から現像ロール12側への飛翔の発生しやすさが異なる。
【0090】
が大、すなわちV /Vp−p が大であるほどトナーをキャリアから剥離させて感光体ドラム1側に飛翔させる力は強くなり、飛翔は生じ易くなる。一方、V は小さくなるために逆飛翔は生じ難くなる。
また、V が小、すなわちV /Vp−p が小であるほどトナーをキャリアから剥離させて感光体ドラム1側に飛翔させる力は弱くなり、飛翔は生じ難くなる。そして、V は大きくなるため、逆飛翔は生じ易くなる。
【0091】
以上のような理由により、波形を非対称化した場合には、現像ロール12と感光体ドラム1との間で往復運動するトナーの量は、波形が対称である場合と比べて減少する。このため、前述のようなトナー同士の衝突によるトナーの飛翔発生を促進する効果は減少してしまう。従って、帯電量が低いために充分なクーロン力が作用しないトナーや、帯電量が高いためにキャリアとの静電的な付着力が強いトナー等の、キャリア表面からの剥離が困難であるトナーを往復運動によるトナー同士の衝突により機械的に剥離して現像に供させることは困難となり、このようなトナーを用いた場合には、トナーの飛翔発生量は減少して現像効率が低下し、画像濃度は低下してしまう。このため、環境や経時等の影響によりトナー帯電量が変動した場合には、画像濃度は大きく変動してしまう。
【0092】
一方、波形をほぼ対称とした場合には、上記トナーの飛翔と逆飛翔とがほぼ同様に生じるので、キャリア表面からの剥離が困難であるトナーを往復運動によるトナー同士の衝突により機械的に剥離し、最終的には現像剤層の上面部、すなわち感光体ドラム1側にあったほとんどすべてのトナーがキャリア表面から剥離する。従って、トナーの飛翔発生量はトナー帯電量に依らずに常にほぼ一定の状態に保たれる。
【0093】
また、交流成分の周波数については、周波数が約0.4kHzよりも低い場合には、単位時間当たりにトナーが現像ロール12と像担持体との間で往復運動する回数が少なくなるために、上記トナー同士の衝突回数が少なくなり、機械的にトナーをキャリア表面から剥離する効率が低下してしまう。また、周波数が約10kHzよりも高い場合には、トナーの飛翔運動が電界の変化に追従しきれなくなり、やはり上記剥離効率は低下してしまう。
【0094】
以上のような点から、現像バイアス電圧の交流成分は、周波数が約0.4〜10kHzの範囲で、+側と−側とがほぼ対称、すなわち図10においてV とV およびT とT とがほぼ等しい波形であることが好ましく、現像バイアス電圧の交流成分を上記のように設定すれば、現像部におけるトナーの飛翔発生量はトナー帯電量に依らずにほぼ一定の状態に保たれ、画像濃度は極めて高い安定性を示す。
従って、本願発明に係るの現像装置において、トナー帯電量の変動を考慮した画像濃度制御機構を用いることなく安定した画像濃度の再現が可能となる。また、装置の簡素化および低コスト化が図れる。
【0095】
なお、上記実験において、現像バイアス電圧の交流成分として矩形波を用いたが、正弦波や三角波等の任意の波形を用いた場合においても同様の結果が得られる。この場合にも、+側と−側との振幅および印加時間がほぼ等しく、且つ+側の電圧の立ち上がりと立ち下がり時間並びに−側の電圧の立ち上がりと立ち下がり時間とがほぼ等しい波形であることが好ましい。
【0096】
また、この実験では、現像バイアス電圧の交流成分のピーク間電圧を1.5kVに設定したが、ピーク間電圧が低過ぎると、トナーに充分な現像電界が作用しないために往復運動が生じ難くなり、現像効率は低下してしまう。また、ピーク間電圧が高過ぎると、背景部へのカブリや像担持体上へのキャリア付着が生じ易くなる。以上のような点から、ピーク間電圧は0.8〜3kV程度の範囲に設定することが好ましい。
【0097】
〈f.環境変動の画像濃度への影響を調査する実験〉
次に、図3に示す現像装置において、環境の変動に対する画像の安定性を調査した結果について説明する。
この実験は、▲1▼高温/高湿度環境(30°C/80%)、▲2▼中温/中湿度環境(20°C/50%)、▲3▼低温/低湿度環境(10°C/30%)の3環境下でベタ画像の現像を行い、その濃度を調査したものである。
【0098】
トナーは、重量平均粒径が7μmで、帯電量が−15mC/kgのポリエステル系トナーを用いた。ただし、上記の3環境下でトナーの帯電量は変動し、それぞれ高温高湿度環境下で−9mC/kg、中温中湿度環境下で−15mC/kg、低温低湿度環境下で−19mC/kgとなる。また、キャリアは表1中に▲3▼で示すものを用いた。現像剤中のトナーとキャリアとの混合比は、現像剤中のトナーの重量比で7.9重量%である。
現像バイアス電圧の交流成分の波形は対称矩形波で、周波数は6kHz、ピーク間電圧は1.5kVに設定した。
【0099】
この実験の結果、各環境下で得られたベタ画像の濃度は、それぞれ高温高湿度環境下で1.93、中温中湿度環境下で1.96、低温低湿度環境下で1.96であり、極めて高い安定性を示した。
【0100】
一般に湿度が高いほどトナーとキャリアとの間での非静電的な付着力が強くなり、トナーはキャリア表面から剥離し難くなる。
本発明の現像装置では、環境が変動して上記非静電的な付着力が変化した場合においても、キャリア表面からの剥離が困難であるトナーを往復運動によるトナー同士の衝突により機械的に剥離し、最終的には現像剤層の上面部、すなわち像担持体1側にあったトナー粒子のほとんどがキャリア表面から剥離する。従って、トナーの飛翔発生量は環境によらず、常にほぼ一定の状態に保たれ、画像濃度は極めて高い安定性を示す。
従って、本発明の現像装置では、環境による変動を考慮した画像濃度制御機構を用いることなく安定した画像濃度の再現が可能となるため、装置の簡素化および低コスト化を図ることができる。
【0101】
なお、前述のトナーの往復運動によりキャリア表面からのトナーの剥離を促進する効果を充分に得るためには、現像バイアス電圧の交流成分は、周波数が0.4〜10kHzの範囲で、+側と−側とがほぼ対称の波形であることが好ましい。
また、この実施形態では現像バイアス電圧の交流成分として矩形波を用いたが、正弦波や三角波等の任意の波形を用いた場合においても同様の結果が得られる。
【0102】
〈g.着磁の条件と画像の均一性との関係を調査する実験〉
次に、図3に示す現像装置において、現像ロール12の着磁の条件を変化させて画像の均一性への影響を調査した。
この実験では、現像ロール12に着磁可能幅Dが6mmの磁気記録用ヘッドを用いて着磁を行った。現像ロール12の磁気記録層12bの着磁は、図5に示すように現像ロール12の周面に当接された磁気記録用ヘッド200によって行う。また、着磁を行う際には、現像ロール12を回転させるとともに、磁気記録用ヘッド200を現像ロール12の回転軸に平行に移動させる。そして、この現像ロール12の一回転当たりの磁気記録用ヘッド200の移動量Wを4mm、4.5mm、5mm、5.5mm、6mm、6.5mm、7mmと変化させて、画像の均一性に与える影響について調査した。
なお、この時の磁気記録用ヘッド200の移動量Wを着磁可能幅Dとの関係によって表すと、それぞれD−2、D−1.5、D−1、D−0.5、D、D+0.5、D+1(mm)となる。
【0103】
また、現像ロール表面の磁極間隔は100μm、現像ロール表面における半径方向の磁束密度のピーク値は50mTに設定した。なお、この磁束密度の値は、磁気記録用ヘッド200による着磁磁界の作用を一回のみ受けた部位での値である。
【0104】
上記現像ロールを用いて現像を行なうにあたり、トナーは重量平均粒径が7μmで負帯電性のポリエステル系トナーを、キャリアは表1中に▲3▼で示すものを用いた。また、現像剤中のトナーとキャリアとの混合比は、現像剤中のトナーの重量比で7.9重量%とした。
【0105】
画像の均一性は、面積率が20%と100%(ベタ画像)の網点画像について調査するものとし、着磁の際の現像ロール12の一回転当たりにおける磁気記録用ヘッド200の移動量に相当する濃度ムラを目視にて評価した。評価は、濃度ムラが確認されない状態を〇、少量の濃度ムラはあるが実用上問題のないレベルを△、実用不可能なレベルを×とした。この結果は、表4に示すとおりであり、この表中における総合評価は、△及び×のないものを〇、△はあるが×のないものを△、×のあるものを×としている。
【0106】
【表4】
Figure 0003606057
【0107】
表4から、着磁の際の現像ロール12の一回転当たりの磁気記録用ヘッド200の移動量Wを磁気記録用ヘッド200の着磁可能幅D以下とすることにより、移動量に相当するムラの発生は抑制可能であることがわかる。また、WをD−1以上D以下とすることにより、さらに均一性を高めることが可能となり、より高画質での画像再現が可能となることがわかる。
【0108】
移動量Wが着磁可能幅Dよりも大きい場合には、現像ロール12表面で磁気記録用ヘッド200による着磁磁界の作用を受けない部位が生じ、この部位には残留磁化パターンが形成されていない。このため、この部位には現像剤層は形成されず、現像ロール表面にはW−Dにほぼ一致して現像剤の付着していない部位が存在することになる。このような現像剤層を用いて現像された画像には、この現像剤の未付着部に一致して低濃度部分が発生してしまう。なお、移動量Wを着磁可能幅D以下とすることにより、上記のような低濃度部の発生を抑制することが可能である。
【0109】
一方、移動量Wが着磁可能幅Dよりも小さい場合には、現像ロール12表面で磁気記録用ヘッド200による着磁磁界の作用を2回受ける部位が生じる。このために着磁磁界の作用を2回受けた部位(以降、重ね着磁部と称す)と1回のみ着磁磁界の作用を受けた部位(以降、非重ね着磁部と称す)とでは、残留磁化パターンに違いが生じることになる。磁気記録層12bの磁化が着磁磁界の1回目の作用で飽和レベルまで達していない場合には、2回目の作用により半径方向の磁束密度のピーク値は増加する。また、上記磁化が1回目の着磁磁界の作用により飽和レベルまで達している場合においても、例えば半径方向の磁束密度のピーク値の半値幅が増大する等、磁束密度の波形に変化が生じる。
【0110】
これらの影響により、重ね着磁部と非重ね着磁部とでは、現像剤層が異なる状態となり易い。本実験では、非重ね着磁部における現像ロール表面での半径方向の磁束密度のピーク値を50mTに設定したが、重ね着磁部においては65mTとなっていることが観察された。
このため、移動量Wが着磁可能幅Dよりも小さい場合には、重ね着磁部に相当する高濃度部が発生し易くなる。この影響は、飽和画像濃度に近い高濃度部よりも、低濃度部において顕著であり、本実験で用いた20%網点画像は、この濃度ムラの評価に適当なものである。
【0111】
なお、このような重ね着磁部と非重ね着磁部との磁束密度の違いに起因する濃度ムラの低減に関しては、前述の現像ロール12と像担持体1との間でのトナーの往復運動も大きく貢献している。トナーの往復運動がある場合には、トナーの粒径や帯電量の違いにより、現像領域でのトナーの運動速度にばらつきが生じる。従って、現像剤層の充填密度の差による多少の影響は緩和されて、現像ロール12と像担持体1との間には、ほぼ一様な密度でトナーが存在するようになり、濃度ムラは低減される。一方、トナーの往復運動が充分に行われない場合には、上記の緩和作用は不十分となり、濃度ムラが生じ易くなる。
従って、現像バイアス電圧の交流成分は、トナーの往復運動を充分に生じさせるように設定することが好ましく、周波数は約0.4〜10kHzの範囲で、+側と−側とがほぼ対称であることが好ましい。
【0112】
なお、着磁の際の現像ロール12の回転精度が低い場合、または磁気記録用ヘッド200の平行度等の取り付け精度が低い場合には、重ね着磁部において、1回目の着磁と2回目の着磁との位置ずれによる干渉が生じ、半径方向の磁束密度のピーク値が減少することがあるが、この場合においても移動量Wを着磁可能幅D以下とすれば、濃度ムラは実使用可能なレベルとなる。また、移動量WをD−1以上D以下の範囲とすることにより、さらに均一性を高めることが可能であり、より高画質での画像再現が可能となる。
また、この実験では、磁気記録用ヘッド200の着磁可能幅Dを6mmとしたが、着磁可能幅Dが現像ロール12の全長よりも短いすべての場合において同様な結果が得られる。
さらに、この実験では、磁極間隔を100μmとしたが、磁極間隔が25μm以上250μm以下の場合においても同様な結果が得られる。
【0113】
〈h.導電層の層厚と、画像濃度・キャリア付着・濃度ムラ・細線再現性との関係を調査する実験〉
次に、図3に示す現像装置において、現像ロール12の導電層12aの厚さを1μm、3μm、5μmと変化させて、画像濃度、キャリア付着、低濃度部における濃度ムラおよび細線の再現性に与える影響を調査した実験の結果について説明する。
この実験では、現像ロール表面の磁極間隔を100μm、現像ロール表面における半径方向の磁束密度のピーク値を50mTに設定し、トナーとしては、重量平均粒径が7μmで、負帯電性のポリエステル系トナーを、またキャリアは表1中に▲3▼で示すものを用いた。現像剤中のトナーとキャリアとの混合比は、現像剤中のトナーの重量比で7.9重量%とした。
【0114】
低濃度部の画像の均一性は、面積率が20%の網点画像について目視で評価し、濃度ムラが確認されない状態を〇、少量の微少な濃度ムラはあるが実用上問題のないレベルを△、実用不可能なレベルを×とした。
細線の再現性については、幅130μmの線画像について目視で評価を行い、エッジ部のギザつきおよび濃度ムラが確認されない状態を〇、少量のギザつきおよび濃度ムラはあるが実用上問題のないレベルを△、実用不可能なレベルを×とした。
また、画像濃度とキャリアの付着については、c.に示す実験と同様の方法で評価した。
さらに、これらの評価の結果について、総合評価を行い、△および×のないものを〇、△はあるが×のないものを△、×のあるものを×とした。
この実験の結果を表5に示す。
【0115】
【表5】
Figure 0003606057
【0116】
表5から、導電層12aの厚さが3μm以下であれば、キャリア付着を生じることなく充分な画像濃度が得られると同時に、低濃度部の均一性および細線の再現性が良好となることがわかる。このように、導電層の厚さが低濃度部の均一性および細線の再現性に影響を及ぼす理由は次のように考えることができる。
【0117】
前述のように、現像ロール12の磁気記録層12bによる磁界は、磁気記録層12bの表面から離れるに従って減衰して弱くなる。このため、磁気記録層12bの上に形成されている導電層2aの厚さが大きいほど、磁気記録層とキャリアとの距離が広がってキャリアに作用する磁気拘束力は弱くなり、現像剤層には抜け、すなわち現像剤の付着していない部分が生じ易くなる。
これに対して、導電層の厚さを3μm以下とすることにより、キャリアに十分な磁気拘束力を作用させて、上記現像剤層の抜けの発生を抑制することが可能となる。従って、低濃度部の均一性および細線の再現性を高めることができる。
一方、導電層の厚さが3μmよりも大である場合には、現像剤層の抜けを生じることなくキャリアを現像ロール表面上に均一に付着させることは困難となる。そして、実用上その使用が困難となるレベルではないが、低濃度部の均一性および細線再現性は低下してしまう。
以上のような理由により、導電層の厚さを3μm以下とすることにより、低濃度部の均一性および細線の再現性を高めることが可能となる。
【0118】
なお、この実験では、磁極間隔を100μmとしたが、磁極間隔が25μm以上250μm以下の場合において同様な結果が得られる。
また、この実験では、現像ロール12を導電層12aと磁気記録層12bとで構成したが、目的や用途に応じて任意の構成が可能である。例えば、導電層12a上に保護層や耐摩耗層等を設けてもよい。また例えば、導電層12aと磁気記録層12bとの間に接着層、下地層、非磁性層、弾性層等を設けてもよい。なお、これらの層を設けた場合においても、磁性層12b表面から現像ロール12表面までの厚みを3μm以下とすることにより、上記同様の効果が得られる。
【0119】
〈i.現像ロール及び磁気記録用ヘッドの移動速度とキャリア付着との関係を調査する実験〉
次に、図3に示す現像装置において、現像ロール12の周面の移動速度、及び磁気記録用ヘッドの幅方向への移動速度を変化させて、キャリア付着への影響を調査した。
この実験では、現像ロール12の磁気記録層12bの着磁は、図5に示すように現像ロール12の周面に当接された磁気記録用ヘッド200によって行う。また、着磁を行う際には、現像ロール12を回転させるとともに、磁気記録用ヘッド200を現像ロール12の回転軸に平行に移動させる。その際、磁気記録用ヘッド200の着磁可能幅Dを52mm、53mm、54mm、55mm、56mm、57mm、58mm、59mm、60mmと変化させて、現像ロール12の周面への螺旋状の着磁軌跡の境界部近傍において、像担持体へのキャリア付着の発生状況を調査した。
【0120】
上記9種の磁気記録用ヘッドでの着磁可能幅D内の出力磁束に関する特性、及び、着磁可能幅Dの両端部における出力磁束の分布状態は、先の実験g(g.に示す実験、以下実験gという)で用いた、Dが6mmの磁気記録用ヘッドの特性と同様である。また、この実験では、現像ロール12の一回転当たりの磁気記録用ヘッド200の移動量Wと着磁可能幅Dとの関係は、W=D−0.5(mm)に設定した。
【0121】
現像ロール12の外径は18mmであり、周長は約56.5mmである。したがって、着磁の際の現像ロール12の周面移動速度Vrと、磁気記録用ヘッド200の現像ロール12の幅方向への移動速度Vwとの関係は、Wが56.5mm以下の場合はVr≧Vwとなり、Wが56.5mmを越える場合にはVr<Vwとなる。
【0122】
また、この実験では、磁気記録用ヘッド200の螺旋状の着磁軌跡において、現像ロール12の異なる周面で着磁された隣接する磁極の位置を意図的にずらし、螺旋状の着磁軌跡の境界部において磁極が軸方向に不連続となるように着磁を行った。これは着磁の際の現像ロール12の回転精度が低い場合、または磁気記録用ヘッド200の取付精度が低い場合を模したものである。
上記隣接する磁極間の位置ずれを図11に示す。本実験では、位置ずれは現像ロール12の周面上の距離で約50μmとした。その他の設定は実験gと同じである。
【0123】
キャリア付着の評価には、先の実験と同様に図6に示す交番ラインを用いた。また、キャリア付着の評価指標は、先の実験と同様に交番ラインの背景部上におけるキャリア粒子の面積率である。
また、本実験では、現像ロール12の周面への前記螺旋状の着磁軌跡の境界部に着目し、この境界部の近傍に対応する部位で生じたキャリア付着量を評価した。
なお、先の実験のキャリア付着の評価は、上記境界部のみではなく広い領域を万遍なく測定して行っているため、先の実験でのキャリア面積率は本実験に比べて低い値となっている。
【0124】
本実験では、記録用紙上での上記境界部の部位に対応するキャリア粒子の面積率が、3.0%以下であれば実用上問題の無いレベルであるので、3.0%以下を○、3.0%を越えた場合を×としている。上記のような実験の結果を表6に示す。
【0125】
【表6】
Figure 0003606057
【0126】
表6から、着磁の際の現像ロール12の一回転当りの磁気記録用ヘッド200の移動量Wを56.5mm以下、すなわちVr≧Vwとすることにより、前記螺旋状の着磁軌跡の境界部近傍に対応する部位から生じるキャリア付着の発生を抑制できることがわかる。
【0127】
現像ロール12の磁極は、前述のように現像ロール12の軸方向に平行に形成されており、周方向にN極とS極とが交互に配置されている。螺旋状の着磁軌跡の境界部近傍以外の部位においては、N極から出た磁束は隣接するS極へと現像ロール12の軸方向に対して直交する方向、すなわち周方向に沿って隣接するS極へと向かう。
【0128】
また、本実験のように螺旋状の着磁軌跡の境界部において磁極の位置ずれが生じており、該境界部で磁極が軸方向に不連続となる場合には、該境界部近傍においてはN極から出た磁束は上記軸方向に対して直交する方向のみではなく多方向に向かうことになる。このため、境界部における磁界は他の部位に比べて弱くなり、キャリアに作用する磁気拘束力が弱くなるために、像担持体1へのキャリア付着が生じ易くなってしまう。
【0129】
着磁の際の現像ロール12の一回転当りの磁気記録用ヘッド200の移動量Wが大きいほど、現像ロール12の周方向からの螺旋状の着磁軌跡のずれ(図11中に示す角θ)は大きくなる。したがって、この着磁軌跡のずれにより現像ロール12の軸方向に対して、磁束の方向が不規則となる領域が広がってしまう。つまり、着磁軌跡の境界部近傍においては、上記軸方向に対して直交する方向の磁束が少なくなるために、キャリアに作用する磁気拘束力は弱くなり、キャリア付着が生じ易くなる。
【0130】
これに対して、移動量Wを小さくして角θを小さくすることにより、境界部近傍における上記軸方向に対して直交する方向の磁界を強めれば、キャリアに作用する磁気拘束力は高くなる。本実験のように、移動量Wを56.5mm以下、すなわちVr≧Vw(角θが45°以下)とすることにより、キャリアに十分な磁気拘束力を作用させることが可能となり、キャリア付着の発生量を実用可能なレベルまで抑制することが可能となる。
【0131】
なお、この実験では、磁気記録用ヘッド200の着磁可能幅Dを52〜60mmとしたが、Dが現像ロール12の全長よりも短い全ての場合において同様な結果が得られる。さらに、この実験では、現像ロール12の外径を18mmとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、任意の外径の現像ロール12を用いた場合においても同様な結果が得られる。また、この実験では、磁極間隔を100μmとしたが、磁極間隔が25μm以上250μm以下の場合においても同様な結果が得られる。
【0132】
[3.第2の実施の形態]
〈a.現像装置の構成〉
次に、本願に係る発明の第2の実施形態である現像装置について説明する。
この現像装置は、現像ロールとして、図12に示すような導電性の基体122aの上に薄い磁気記録層122bを形成したものを用いており、その他の構成は図3に示す現像装置と同じものである。
この磁気記録層122bは、結着樹脂中に強磁性材料の粉状体を分散させたものを、導電性基体122a上に層厚50μmでコーティングすることにより構成されている。本実施例では、強磁性材料としてBaフェライト、結着樹脂としてポリウレタンが使用されている。この磁性材料としては、磁石材料や磁気記録材料等として公知である任意のものが使用可能であり、上記Baフェライトのほか、CrO 、γ−Fe 、Srフェライト等が使用できる。また、結着樹脂としては、テープ、ディスク、カード等の磁気記録層を構成する任意のものが使用可能で有り、例えばポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン等が使用できる。
【0133】
〈b.磁極間隔等と画像濃度・画像の均一性・キャリアの付着との関 係を調査する実験〉
この実験は、図12に示すような現像ロールを用いて静電潜像の現像を行うものであり、キャリアの種類および粒径と磁気記録層の磁極間隔とを変化させて、画像濃度、キャリアの付着、画像の均一性を調査した。
現像ロールは、磁極間隔が13μm、25μm、50μm、100μm、250μmおよび500μmの6種類のものを使用した。
キャリアとしては、表1に示す4種類のキャリアを使用した。これらのキャリアのうち、▲1▼および▲2▼は磁性粉分散型樹脂キャリアであり、▲3▼および▲4▼はフェライトキャリアである。
単位重量当たりの磁化は、10 /(4π)A/mの磁界中において、▲1▼および▲2▼では88kA/m、▲3▼および▲4▼では225kA/mである。
なお、残留磁化は全キャリアで5kA/m未満、体積固有抵抗値は、1015〜1016Ω・cmの範囲に調整されている。
【0134】
現像剤中のトナーとキャリアとの混合比は、現像在中のトナーの重量比で表わし、▲1▼および▲2▼のキャリアでは15重量%、▲3▼および▲4▼のキャリアでは7.9重量%とし、単位体積当たりのトナー量がほぼ等しくなるように設定した。また、トナー電荷量は−15〜−20mC/kgの範囲に調整されている。
画像濃度およびキャリア付着の評価は、図3に示す現像装置で行なった実験(第1の実施の形態、c.に示す)と同様の方法で行った。
【0135】
この結果、磁極間隔が25μm以上250μm以下の場合において、キャリア付着や均一性不良を生じることなく、充分な画像濃度が得られた。
なお、本実施形態では、導電性基体122aの上に磁気記録層122bを積層したが、導電性の基体上、または絶縁性の基体上に導電層を形成し、この上に磁気記録層を積層してもよい。
【0136】
〈c.磁気記録層の層厚と、画像濃度・キャリア付着・濃度ムラ・細 線再現性との関係を調査する実験〉
次に、図12に示す現像ロール122を用いた現像装置において、現像ロール12の磁気記録層12bの厚さを変化させて画像濃度、キャリア付着、低濃度部における濃度ムラおよび細線の再現性に与える影響を調査した結果について説明する。
本実験では、磁気記録層12bの厚さを50μm、100μm、200μm、300μmと変化させた4種類の現像ロールを用いた。これらの現像ロール表面の磁極間隔は100μm、現像ロール表面における半径方向の磁束密度のピーク値は50mTに設定した。
トナーは重量平均粒径が7μmで、負帯電性のポリエステル系トナーを、また、キャリアは表1中に▲3▼で示すものを用いた。現像剤中のトナーとキャリアとの混合比は、現像剤中のトナーの重量比で7.9重量%とした。
この実験の結果を表7に示す。各評価方法および総合評価方法は第1の実施の形態で行なった実験(第1の実施の形態、h.に示す)と同じ方法とした。
【0137】
【表7】
Figure 0003606057
【0138】
表7から、磁気記録層122bの厚さが200μm以下であれば、キャリア付着を起こすことなく十分な画像濃度が得られると同時に、低濃度部の均一性および細線の再現性が良好となることがわかる。
このように、磁気記録層の厚さが低濃度部の均一性および細線の再現性に影響を及ぼす理由は、次のように考えることができる。
【0139】
前述のように、現像ロール122の導電層122aには現像バイアス電圧が印加されているが、磁気記録層122bに含まれる結着樹脂は高抵抗であるために、磁気記録層122bの厚さが大であるほど、導電層122aと像担持体1との距離が広がって実効的な現像電界は弱くなる。このため、前述のトナーの往復運動を十分に発生させることは困難となり、現像電界が比較的弱い低濃度部の均一性および細線の再現性が低下することになる。
【0140】
このような理由により、上記実験結果における磁気記録層の厚さが200μmよりも大である場合には、実用上その使用が困難となるレベルではないが、低濃度部の均一性および細線再現性は低下してしまう。これに対して、磁気記録層の厚さを200μm以下とすることにより、トナーに現像電界の作用による充分な往復運動を生じさせて、低濃度部の均一性および細線の再現性を高めることができる。
【0141】
なお、この実験では、磁極間隔を100μmとしたが、磁極間隔が25μm以上250μm以下の範囲内であれば同様な結果が得られる。
また、磁気記録層にはその抵抗を小さくするために、導電性微粒子を添加することもできる。この場合には、さらに十分な現像電界を作用させることが可能となる。
【0142】
また、この実施の形態では、現像ロール122を導電層122aと磁気記録層122bとで構成したが、目的や用途に応じて他の構成を付加すること等が可能であり、例えば、磁気記録層122b上に保護層や耐摩耗層等を設けてもよいし、また例えば、導電層122aと磁気記録層122bとの間に接着層、下地層、非磁性層、弾性層等を設けてもよい。なお、これらの層を設けた場合においても、導電層122a表面から現像ロール122表面までの厚さを200μm以下とすることにより、上記同様の効果が得られる。また、図4に示すように現像ロールの磁気記録層12bの上側にさらに導電層を形成することも可能である。
【0143】
[4.第3の実施の形態]
次に、本願に係る発明の第3の実施形態である現像装置について説明する。
この現像装置は、現像ロールとして、導電性の磁性材料を一体的に形成したものを用いており、その他の構成は図3に示す現像装置と同じである。上記現像ロールに用いられる導電性の磁性材料としては、Mg−Alが採用されている。
【0144】
このような現像ロールを用いて、静電潜像の現像を行い、キャリアの種類および粒径と、磁気記録層の磁極間隔とを変化させて、画像濃度、キャリアの付着、画像の均一性を調査する実験を行ったところ、磁極間隔が25μm以上250μm以下の場合において、キャリア付着や均一性不良を起こすことなく、充分な画像濃度が得られた。
【0145】
なお、この実施形態では、導電性の磁性材料としてMg−Alを使用したが、現像バイアスが印加可能であるとともに、残留磁化パターンが形成可能である任意のものが使用可能であり、例えばAl−Ni−Co、Fe−Cr−Co等が使用できる。
また、この実施形態では、現像ロールを導電性の磁性材料を用いて一体的に構成したが、導電性または絶縁性の基体上に導電性の磁性材料を積層した構成としてもよい。この場合の導電性の磁性材料としては、上記Mg−Al、Al−Ni−Co、Fe−Cr−Co等に加えて、磁石材料や磁気記録材料として公知である任意のものが使用可能であり、例えば、Co−Ni−P、Co−Ni、Co−Cr等が使用できる。
さらに、導電性の磁性材料の上に保護層や耐摩耗層等を設けてもよい。なお、これらの層を設けた場合には、導電性の磁気記録層の表面から現像ロールの表面までの厚さを3μm以下とすることが、低濃度部の均一性および細線再現性の点から好ましい。
【0146】
[5.上記実施形態の変更可能な構成]
・上記実施形態では、磁極を含む現像剤担持体が周回移動するように構成したが、現像剤担持体を磁石ロールとその周囲で回転駆動するスリーブとで構成し、磁石ロールを固定して、スリーブの回転に従って現像剤を搬送するように構成してもよい。また、磁石ロールとスリーブとを共に回転させるようにしてもよい。
このような場合、内部磁石により磁性キャリアに対して十分な磁気拘束力を作用させる必要があるため、スリーブを形成する部材は数μmの厚さであることが好ましく、例えば、電鋳等により形成された金属や、押し出し成型等により形成された樹脂フィルム等が好適である。上記金属製スリーブとしてはNi、樹脂スリーブとしてはポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリイミド等が使用可能である。
【0147】
・上記実施形態では、磁極をN極とS極とをほぼ等間隔で交互に着磁したパターンとしたが、本発明はこれに制限されるものではない。例えば、N極とS極とを交互に着磁する場合において、隣接する異極性の一方の磁極との間隔を、もう一方の磁極との間隔と異ならせてもよい。また、複数個の磁極で形成される一定の着磁パターンを用いてもよい。例えば、一対のN極とS極との外側に非着磁領域または低磁化領域を設けてもよい。また、例えば、前記非着磁領域または低磁化領域を挟んで隣接する磁極は、極性の同じ磁極としてもよいし、極性の異なる磁極としてもよい。
【0148】
・上記実施形態では、現像剤担持体の周方向にN極とS極とを交互に着磁したが、現像ロール12の長手方向にN極とS極とを交互に着磁した場合においても同様な結果が得られる。また、現像剤担持体表面上で、N極とS極とがモザイク状に配列するように着磁した場合においても同様な結果が得られる。
【0149】
・上記実施形態では、磁気記録層の周面に対して水平に磁化させることにより残留磁化パターンを形成したが、磁気記録層の周面に対して垂直な方向に磁化させることにより残留磁化パターンを形成してもよい。この場合には、磁気記録層の着磁には、例えば図13に示すような磁気記録用ヘッド210を用いることができる。この磁気記録用ヘッド210は、コアの一端211aが小さな端面となるように断面を減少した形状となっているが、多端211bは大きな端面が現像ロールの周面と対向するようになっている。
【0150】
このような磁気記録用ヘッド210を用いる場合には、現像ロールを軟磁性体層122aの上に磁気記録層122bが設けられたものとする。軟磁性体層122aとしては、公知である任意のものが使用可能であり、例えば鉄、鉄−ケイ素合金、鉄−ニッケル合金等がある。
【0151】
上記コア211に巻き回されたコイル212に電流が供給されると、コア211に発生した磁束は小さな端面211aから磁気記録層を通り、さらにその下にある軟磁性体層122aを通って端面が大きくなっているコアの他端211bへ通じる。したがって磁気記録層の小さな端面211aと対向している位置では、磁気記録層122bの厚さ方向にN極とS極とが形成され、一方大きな端面と対向している部分ではほとんど磁化されない。このような着磁を現像ロールの周面のほぼ全域にわたって行うことにより、磁気記録層122bの厚さ方向に配列された磁極を周面のほぼ全域に形成することができる。このように磁気記録層の厚さ方向に着磁することによって大きな磁束密度の磁界を形成することができ、磁極の間隔、使用するキャリアに応じてこのような着磁パターンを採用することもできる。
【0152】
・上記実施形態では、磁気記録用ヘッドを現像剤担持体に対して当接させて着磁を行ったが、磁気記録用ヘッドを現像剤担持体に対して近接離間させた状態で着磁を行ってもよい。
【0153】
・上記実施形態では、現像剤担持体として円筒状の形態のものを用いたが、本発明はこれに制限されるものではなく、例えば可撓性の無端ベルト状のものを用いてもよい。
この場合には、円筒形状の場合と比べて高い設計自由度を得ることができ、例えば円筒状の現像剤担持体に比べて小径化することが可能であり、ハウジングの現像用開口を幅狭く設計することが可能となる。従って、現像装置および画像形成装置全体を小型化することが可能となる。
また、現像部以外の部位における、現像剤担持体(ベルト)の引き回し形状も任意に設計可能であり、各部位における最適形状に容易に対応できる。
さらに、現像領域長さを円筒形状の場合と比べて長くすることが可能となる。従って、小型化(小径化)に伴って現像時間が短くなることにより生じる現像効率の低下を、現像領域を長く取ることによって補うことが可能となる。
【0154】
・上記実施形態では、現像剤担持体の周面の移動方向を、像担持体(感光体)の周面の移動方向と反対としたが、本発明はこれに制限されるものではなく、同一方向としても同様な結果が得られる。
・上記実施形態では、現像バイアス電圧を直流電圧を重畳した交流電圧としたが、間欠的に印加される直流バイアスを用いた場合においても同様な効果が得られる。ただし、これは、矩形波の交流電圧に、この矩形波の最大電圧値または最低電圧値が0Vとなるように直流電圧を重畳したものと考えることができ、本願に係る発明に包含される技術と考えられる。
・上記実施形態では、像担持体として感光体を使用したが、静電潜像担持体として誘電体を使用して、例えば静電プリンターに使用されている放電記録ヘッドや、特開昭59−190854号公報に開示されるイオン流制御ヘッド等により静電潜像を形成すのものであってもよい。
【0155】
・上記実施形態では、現像剤の撹拌・搬送手段として、スクリューオーガーを使用したが、本発明はこれに制限されるものではなく、目的や用途に応じた任意の撹拌・搬送手段が使用可能である。例えば、機械的、磁気的または静電的に現像剤を撹拌・搬送する任意の手段が使用可能である。
・上記実施形態では、現像剤担持体への現像剤の供給・回収手段として、各々現像ロールへ現像剤を密着させる手段、スクレーパを用いたが、本発明はこれに制限されるものではなく、目的や用途に応じた任意の供給・回収手段が使用可能である。また、現像剤担持体に対して、現像剤を流下させる現像剤流下形成手段や、磁気的に現像剤を保持してその周面上で現像剤を搬送する手段を並設して、これらを用いて現像剤担持体への現像剤の供給・回収を行ってもよい。
【0156】
・上記実施形態は、単色の画像記録装置であるが、像担持体上に複数色のトナーによるカラー画像を形成し、トナー像を記録用紙上に一括転写するカラー画像記録装置、記録用紙または中間転写体上に各色トナー像を順次転写するカラー記録装置、クリーナレス型の画像記録装置等においても同様に適用可能である。
【0157】
【発明の効果】
以上説明したように、本願に係る発明の現像装置では、現像剤担持体に設けられた磁極の作用によって、層厚規制部材を用いることなく現像剤の薄層を形成することができるので、現像剤に大きな負荷をかけることがなく、現像剤の劣化を防止することができる。また、現像剤担持体の磁力のみにより現像剤層を形成するので、現像剤搬送量が部品精度に依存せず、且つ経時変化は発生しない。
また、現像領域における現像剤層の形成状態およびトナーの飛翔発生量は、環境や経時によらずほぼ一定の状態に保たれるので、極めて安定性の高い画像再現が可能である。従って、特別な画像濃度制御機構を用いる必要がなく、画像形成装置の簡素化および低コスト化が可能である。
【0158】
また、磁極の間隔が十分狭く設定されているため、磁極パターンによる影響は発生せず、均一性の高い画像が得られる。
さらに、現像剤担持体上のキャリア層には強い磁気拘束力が作用するため、現像剤の飛散および像担持体上へのキャリア付着は発生しない。また、像担持体と現像剤担持体との対向位置において、キャリアが磁気拘束力によって現像剤担持体の周面上にほぼ固定した状態となるので、キャリアによる像担持体表面の機械的な摺擦は発生せず、従って刷毛跡や掃き寄せ等の画質欠陥のない高品質な画像再現が可能である。
さらにまた、現像剤層の厚さを小さくすることができるので、現像剤担持体と像担持体との間隙を小さく設定可能であり、従って、高速で高画質の現像を行うことができる。
さらにまた、磁気記録用ヘッドを用いて現像剤担持体の着磁を行う場合に、現像剤担持体周面への螺旋状の着磁軌跡の境界部近傍で、像担持体上へのキャリア付着が発生するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に係る現像装置が用いられる画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】図1に示す画像形成装置においてトナー像を形成するときの、像担持体表面の電位の推移を示す図である。
【図3】本願発明に係る現像装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図4】図3に示す現像装置で用いられる現像ロールの部分拡大断面図である。
【図5】図4に示す現像ロールの着磁の方法を示す説明図である。
【図6】図1に示す画像形成装置で二成分現像装置のキャリアが感光体ドラムに転移する量を調査するために用いる画像パターンを示す図である。
【図7】図3に示す現像装置と性能を比較するために用いた従来の現像装置を示す概略構成図である。
【図8】図3に示す現像装置および図7に示す現像装置におけるプリント枚数とベタ画像濃度との関係を示す図である。
【図9】図3に示す現像装置および図7に示す現像装置におけるプリント枚数とトナー電荷量との関係を示す図である。
【図10】図3に示す現像装置による現像バイアス電圧の交流成分の波形を示す図である。
【図11】図3に示す現像装置で用いられる現像ロールの周面の螺旋状の着磁軌跡と、隣接する磁極間の位置ずれとを説明する図である。
【図12】本願発明の他の実施形態である現像装置で用いられる現像ロールの部分拡大断面図である。
【図13】図12に示す現像装置で用いられる現像ロールの着磁の方法の一例を示す概略図である。
【図14】従来の現像装置の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 感光体ドラム 2 帯電器
3 露光装置 4 現像装置
5 転写前コロトロン 6 転写コロトロン
7 剥離コロトロン 8 クリーナー
9 光除電器
11 現像ハウジング 12 現像ロール
12a 導電層 12b 磁気記録層
13 スクリューオーガー 14 スクリューオーガー
15 スクレーパ 16 仕切り壁
17 現像バイアス用電源
122a 導電性基体 122b 磁気記録層
200 磁気記録用ヘッド 201 コア
202 コイル 203 磁束
210 磁気記録用ヘッド 211 コア
212 コイル
300 現像装置 311 現像ハウジング
312 現像ロール 312a 磁石ロール
312b スリーブ 313 スクリューオーガー
314 スクリューオーガー 315 層厚規制部材
401a 磁石ロール 401b スリーブ
402 供給部材 403 層厚規制部材
410 像担持体

Claims (10)

  1. 表面に静電潜像が形成される像担持体と近接離間又は接触して設けられ、周面が周回可能に支持された現像剤担持体を備え、
    この現像剤担持体の周面に、トナーと磁性キャリアとを含む二成分現像剤を担持して搬送し、該現像剤担持体と前記像担持体との間に現像バイアス電圧を印加して、形成される電界内で前記トナーを前記像担持体に転移させてトナー像を形成する現像装置において、
    前記現像剤担持体は、該現像剤担持体の周面上にほぼ一層の磁性キャリアをほぼ均等に吸着する複数の磁極を有し、
    前記像担持体と前記現像剤担持体との対向位置において、前記磁性キャリアを前記現像剤担持体の周面と相対移動させることなく該周面及び前記磁極の周回移動とともに搬送し、
    前記現像バイアス電圧として、直流電圧が重畳された交流電圧を印加し、前記像担持体と前記現像剤担持体の間でトナーの往復運動を生じさせつつトナーのみを像担持体に転移させて静電潜像を現像し、トナー像を形成することを特徴とする現像装置。
  2. 請求項1に記載の現像装置において、
    前記複数の磁極は、N極とS極とが交互に配置され、
    前記現像剤担持体の周面付近に形成される磁界の、前記磁極と対応する位置の中心間距離が25μm以上250μm以下となっていることを特徴とする現像装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の現像装置において、
    前記現像剤担持体は、周回方向の全域にわたってほぼ等間隔で前記複数の磁極が設けられていることを特徴とする現像装置。
  4. 請求項1、請求項2又は請求項3に記載の現像装置において、
    前記現像バイアス電圧の交流成分の周波数は、約0.4kHz以上10kHz以下であることを特徴とする現像装置。
  5. 請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載の現像装置において、
    前記現像バイアス電圧の交流成分の波形は、該交流成分の平均電圧値の+側と−側とがほぼ対称であることを特徴とする現像装置。
  6. 請求項1、請求項2、請求項3、請求項4又は請求項5に記載の現像装置において、
    前記現像剤担持体は、
    該現像剤担持体の全長よりも着磁可能幅が短い磁気記録用ヘッドを該現像剤担持体に近接離間または当接させて、該現像剤担持体の周面を周回移動させつつ磁気記録用ヘッドを該現像剤担持体の周面の幅方向に移動させることにより、残留磁化パターンが形成されたものであり、
    前記現像剤担持体の一周回当たりの前記磁気記録用ヘッドの移動量W(mm)と、該磁気記録用ヘッドの着磁可能幅D(mm)とは
    D−1≦W≦D
    となるように設定して形成されたものであることを特徴とする現像装置。
  7. 請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5又は請求項6に記載の現像装置において、
    前記現像剤担持体は、周面付近が強磁性体で構成されるか又は周面付近に磁気記録層を有し、その上に導電層が積層されたものであり、
    前記導電層の厚さは、約3μm以下であることを特徴とする現像装置。
  8. 請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5又は請求項6に記載の現像装置において、
    前記現像剤担持体は、周面付近が導電体で形成されるか又は周面付近に導電層を有し、その上に磁気記録層が積層されたものであり、
    前記磁気記録層の厚さは、約200μm以下であることを特徴とする現像装置。
  9. 請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5又は請求項6に記載の現像装置において、
    前記現像剤担持体は、周面付近が導電性の強磁性体で構成されるか又は周面付近に導電性の磁気記録層を有することを特徴とする現像装置。
  10. 請求項1、請求項2、請求項3、請求項4又は請求項5に記載の現像装置において、
    前記現像剤担持体は、
    該現像剤担持体の全長よりも着磁可能幅が短い磁気記録用ヘッドを該現像剤担持体に近接離間または当接させて、該現像剤担持体の周面を周回移動させつつ磁気記録用ヘッドを該現像剤担持体の周面の幅方向に移動させることにより、残留磁化パターンが形成されたものであり、
    前記現像剤担持体の周回移動による現像剤担持体周面の移動速度Vrと、前記磁気記録用ヘッドの前記現像剤担持体の幅方向への移動速度Vwとは、
    Vr≧Vw
    となるように設定されていることを特徴とする現像装置。
JP21652498A 1997-07-24 1998-07-16 現像装置 Expired - Fee Related JP3606057B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21652498A JP3606057B2 (ja) 1997-07-24 1998-07-16 現像装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9-213983 1997-07-24
JP21398397 1997-07-24
JP21652498A JP3606057B2 (ja) 1997-07-24 1998-07-16 現像装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1195559A JPH1195559A (ja) 1999-04-09
JP3606057B2 true JP3606057B2 (ja) 2005-01-05

Family

ID=26520087

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP21652498A Expired - Fee Related JP3606057B2 (ja) 1997-07-24 1998-07-16 現像装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3606057B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6107314A (en) 1997-10-07 2000-08-22 Rhone-Poulenc Inc. Pesticides

Also Published As

Publication number Publication date
JPH1195559A (ja) 1999-04-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6035169A (en) Developing device
EP0598483A1 (en) Image forming apparatus with charger of image carrier using magnetic brush
US5799234A (en) Developing apparatus using a dual component developer
JPH09269661A (ja) 現像装置
JPH06230650A (ja) 画像形成装置
JP3606057B2 (ja) 現像装置
JP3084465B2 (ja) 現像装置
JPH06118855A (ja) 画像形成装置
JPH1115276A (ja) 現像装置
JPH09288418A (ja) 現像装置
JP3507246B2 (ja) 磁気ブラシ帯電装置及び画像形成装置
JP3843639B2 (ja) 現像装置
JPH09329938A (ja) 磁気ブラシ帯電装置及び画像形成装置
JPH06230655A (ja) 画像形成装置
JP2528650B2 (ja) 現像装置
JPH11149218A (ja) 現像装置
JPH1144996A (ja) 現像装置
JP3353172B2 (ja) 帯電装置
JPH06186821A (ja) 画像形成装置
JPH1124408A (ja) 現像装置
JPH11212367A (ja) 現像装置
JPH1063101A (ja) 現像装置
JPH11258914A (ja) 現像装置
JPH06118767A (ja) 帯電装置
JPH1063100A (ja) 現像装置

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040524

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040608

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040805

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040914

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040927

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071015

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081015

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091015

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101015

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees