JP3605217B2 - 体液分析装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は血糖値等、体液中に含まれる被検知物質を分析することのできる体液分析装置に関し、特に一連の工程を自動的かつ連続的に行うことのできる体液分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、血糖値等を測定する場合には、穿刺器具(ランセット)を用いて指、上腕、腹、臀部などに傷を付け、そこから血滴を絞り出し、包材より取り出してセンサーに装着した電極にその血滴を付着させることにより行っていた。
しかしながら、測定に必要な量の血滴を自ら絞り出すのは非常に面倒であり、また、穿刺器具とセンサーが分離していると、一連の工程を行うにあたって測定者に要求される操作が多く、測定を行うのが煩雑であるという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、測定に要する一連の工程を、自動的かつ連続的に行うことのできる便利な体液分析装置を提供することである。
【0004】
【課題を解決する手段】
上記課題に鑑み鋭意研究の結果、本発明者等は、穿刺手段、穿刺した指から体液を出液させるための圧迫帯(カフ)及びその加圧手段、出液した体液に関する情報を電気信号に変換する手段、その電気信号により測定値を決定する手段、決定した測定値を表示する表示器などを一つの装置に収め、コンピュータにより制御することによって、測定に要する一連の工程を自動的かつ連続的に行うことができ、体液の分析を簡便にかつ迅速に行うことができることを見出し、本発明を完成した。
【0005】
即ち、本発明は、指を穿刺する穿刺手段と、前記指を圧迫するための圧迫帯(カフ)と、前記カフに空気を供給する加圧手段と、前記カフの空気を排気する排気手段と、指から出液した体液に関する情報を電気信号に変換する手段と、前記電気信号により測定値を決定する手段と、決定した測定値を表示する表示器とを有する体液分析装置である。
また、本発明は、上記体液分析装置に、さらにカフの圧力を検出する圧力センサを加えた体液分析装置である。
【0006】
【作用】
指を穿刺する穿刺手段と、前記指を圧迫するためのカフと、前記カフに空気を供給する加圧手段と、前記カフの空気を排気する排気手段と、指から出液した体液に関する情報を電気信号に変換する手段と、前記電気信号により測定値を決定する手段と、決定した測定値を表示する表示器とを有する本発明の体液分析装置によれば、指を穿刺した後、その指を加圧したカフによって圧迫して体液を出液させ、出液後、排気によってカフを緩めて指を開放し、得られた体液から必要な情報を電気信号に変えて測定値を決定し、表示器に表示することができるため、測定に要する一連の工程を自動的かつ連続的に行うことができ、体液の分析を簡便にかつ迅速に行うことができる。
【0007】
上記体液分析装置に、さらにカフの圧力を検出する圧力センサを加えることにより、測定者の指の太さにかかわらずカフの圧力の上限を定めることができ、測定者に過剰な圧迫感を与えることなく、指から適量の体液を絞り出すことができる。
また、上記体液分析装置に、指を穿刺する前に前記カフによって固定する手段を加えることにより、カフの弱い圧力で指を固定することができ、指を安定させた状態で穿刺することができる。
【0008】
さらに、上記体液分析装置において、指から出液した体液に関する情報を電極によって電気信号に変換することとし、体液が前記電極に接触した際に、カフへの空気の供給を停止する手段を設けることにより、測定に必要十分量の体液を確保できるとともに、余分な圧力で指を不当に圧迫することがなくなる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
本発明の一例による体液分析装置の斜視図を図1に示す。この体液分析装置1は、長方体状のケーシング11を有し、そのケーシング11には緊締部2と、穿刺部3と、表示器4と、メインスイッチ51と、穿刺スイッチ52とが設けられている。また、本発明の他の例による体液分析装置の斜視図を図2に示す。この体液分析装置1’は、図1における体液分析装置1とほぼ同様の構成を有するが、メインスイッチ51’及び穿刺スイッチ52’以外に、固定スイッチ53が設けられている。以下、図1の体液分析装置1を例にとって各部を説明する。
【0010】
緊締部2は、その中に指が挿入され得るように円筒状になっており、緊締部2の内部には、指を圧迫するカフ(圧迫帯)21が設けられている。このカフ21は、カフ駆動装置(図示せず)による空気の注入・排気を利用して、指を圧迫・開放することができるようになっている。カフ駆動装置は、圧力センサと、電磁弁と、ポンプと、リーク弁とを有しており、それらはゴム管を通じてカフ21に連通している。このカフ駆動装置は、体液分析装置1の内部に設けられたコンピュータ(図示せず)によって制御される。
【0011】
穿刺部3は、図3に示すようにスリーブ6、及びスリーブ6に収容された板状の基体7を有する。基体7の一方の側には、穿刺刃71が前進・後退可能に設けられており(図4(a) 及び(b) 参照)、他方の側には電極チップ72が設置されているとともに、その電極チップ72の端子部に連結するように電極リード73a,73bが配設されている(図4(c) 参照)。また、基体7の前方両脇には板バネ74が設置されており、突出した穿刺刃71を初期の位置まで後退させることができる。この基体7及び穿刺刃71を後方から見た斜視図は、図4(d) に示される。
【0012】
穿刺刃71は、衛生上の安全性を考慮して、ステンレススチール製のものを使用するのが好ましく、市販のもの、例えば Feather Safety Razor 社製の Blood Lancetsなどを使用することができる。
電極チップ72における電極の一方には、酵素インキ(図示せず)が塗布されている。この酵素インキは、体液中の被検知物質に応じて種々のものを選択することができ、例えば血糖値を測定する場合には、グルコースオキシダーゼ等を含むインキ組成物を用いることができる。
【0013】
穿刺刃71及び電極チップ72を有する基体7を収容したスリーブ6を、体液分析装置1から取り外し可能なカートリッジ式にすれば、それらを使い捨てにすることができ、衛生上非常に有利なものとなる。
【0014】
穿刺刃71は、アーム部材8を介して、穿刺刃駆動装置(本実施例では、ソレノイド)9の駆動によって前進する。ソレノイド9は、穿刺スイッチ52のオンによって駆動される。前進した穿刺刃71の先端部は基体7から突出し、電極チップ72よりも前方の位置まで到達する。穿刺刃71の電極チップ72からの突出量は、指を体液分析装置1に装着した状態で、その指を穿刺して出液させることができ、かつ出液した体液が電極チップ72に接触し得るように設定すればよい。突出した穿刺刃71は、基体7に設けられた板バネ74の作用により初期の位置まで後退する。なお、本実施例では穿刺刃を駆動する方法としてソレノイドを用いたが、本発明はこれに限定されず、種々の方法によって穿刺刃を駆動させることができる。
【0015】
体液分析装置1’には固定スイッチ53が設けられているが、後述するように、この固定スイッチ53のオンによって、弱いカフ圧力で指を固定する。このように指を固定することにより、指を安定させて穿刺することができる。
【0016】
図5は上記体液分析装置の回路構成の一例を示すブロック図である。
この体液分析装置では、カフ21は、ゴム管により圧力センサと、電磁弁と、ポンプと、リーク弁とに連通しており、これらで空気圧系を構成している。体液分析装置における各部材の動作は、コンピュータによって制御される。コンピュータは、電磁弁、リーク弁及びポンプをオン/オフする機能、圧力センサで検出される空気圧データを取り込む機能、ソレノイドを作動させる機能、電極からの電気信号を取り込む機能、電気信号を演算して測定値を決定する機能、ならびに測定値を表示器に出力する機能を備えている。
【0017】
このコンピュータは、メインスイッチ51のオンによって初期化され、穿刺スイッチ52のオンによってソレノイド9を駆動させるとともに、その所定時間の後にポンプが駆動するようにプログラムされている。また、圧力センサによって検出したカフ21の圧力もしくは体液が電極に接触したことの情報を取り込むか、又はポンプのオンからの所定時間経過によって、ポンプをオフにし、電磁弁及びリーク弁を開放するように指令を出す。電極からの電気信号もコンピュータに取り込まれるようになっており、コンピュータで決定された測定値は表示器4に出力される。
なお、本回路構成は一例に過ぎず、場合によっては圧力センサはなくてもよいし、また固定スイッチが追加されてもよい。
【0018】
図6に示すフローチャートを参照して、図1における体液分析装置の詳細な動作の一例を説明する。
測定を開始する前に、測定者はカフ内に指を挿入する。指はいずれの指であってもよく、また左右どちらの手の指であってもよい。メインスイッチを入れると、コンピュータ内のメモリ類のクリア等、システムの初期化がなされる。
【0019】
次に、測定者は穿刺スイッチを入れる。穿刺スイッチが入ると、ソレノイドが駆動し、アーム部材を介して穿刺刃が基体から突出する(ステップ1)。突出した穿刺刃は指先の皮膚を傷付けた後、板バネの作用により元の位置に戻る。穿刺刃の突出後、ポンプが駆動し(ステップ2)、カフを加圧する。このカフは指を圧迫し、傷ついた皮膚から体液を絞り出す。
【0020】
ポンプをオフにするにあたっての判定には、3通りの方法がある。第1には、例えばカフの圧力により血圧が所定の値(P)に到達したら、判定YESとする(図6:ステップ3)。カフ圧力を反映する血圧は、圧力センサによって検知できる。Pの値は120 mmHg以上が望ましく、180 mmHg程度が最も適量の出液を得ることができる。この第1の方法によれば、測定者の指の太さにかかわらず、カフ圧の上限を定めることができ、測定者に過剰な圧迫感を与えることなく、体液を絞り出すことができる。
【0021】
第2には、ポンプがオンになってから所定時間(T)経過したら、判定YESとする(図7:ステップ3’)。Tの値は、5秒から60秒程度が望ましく、20秒程度が最も適量の出液を得ることができる。
【0022】
第3には、絞り出された体液が電極に接触したら、判定YESとする(図8:ステップ3”)。この第3の方法によれば、必要十分量の体液を確保できると共に、余分な圧力で指を不当に圧迫することがなくなる。なお、このステップで第2の方法及び第3の方法を適用する場合には、圧力センサは不要となる。
【0023】
上記第1〜第3のいずれかの方法による判定に従ってポンプの駆動が停止したら(図6:ステップ4)、即電磁弁及びリーク弁を開放し、カフ内の空気を速やかに排気する(ステップ5)。弁は一つでもよいが、電磁弁及びリーク弁を併用することにより、素早くカフ内の空気を排気することができ、測定者の指を圧迫状態から開放することができる。
【0024】
絞り出された体液は電極チップにおける電極に接触し、体液に関する情報が電気信号となってコンピュータに送られ、演算を開始する(ステップ6)。演算開始からt時間経過したら(ステップ7)、演算終了とする(ステップ8)。測定値が安定するのに一定の時間を必要とするため、tの値は電極の性能に大きく依存するが、一般的に5〜60秒程度を必要とする。コンピュータによる演算によって測定値を決定したら、その測定値を表示器に表示する(ステップ9)。
【0025】
次に、図2における体液分析装置の詳細な動作の一例を、図9に示すフローチャートを参照して説明する。
測定者はカフ内に指を挿入し、メインスイッチを入れた後、固定スイッチを入れ、指を固定させる。指の固定には2通りの方法がある。第1の方法では、固定スイッチが入るとポンプが駆動し(ステップ1)、指が不用意に動かないように固定するに足る程度までカフを加圧する。具体的には、カフの圧力を反映する血圧値が所定値(p)に到達したら判定YESとし(ステップ2)、ポンプの駆動を停止する。pの値は、180 mmHg程度が最も望ましい。このような工程を設け、カフにより弱い圧力で指を固定すれば、指を安定させて穿刺することができるため、確実にかつ適度な深さで穿刺することができる。
【0026】
第2の方法では、固定スイッチが入るとポンプが駆動し(ステップ1)、カフを加圧するが、ポンプがオンになってから所定時間(T’)経過したら、判定YESとし(図10:ステップ2’)、ポンプの駆動を停止する。T’の値は、5〜10秒が最も望ましい。この工程を経ることにより、指が不用意に動くことを未然に防ぎ、安定させて穿刺を行うことができる。
【0027】
ポンプの駆動が一時停止したら(図9:ステップ3)、次に測定者は穿刺スイッチを入れる。穿刺スイッチが入ると、ソレノイドが駆動し、アーム部材を介して穿刺刃が基体から突出する(ステップ4)。突出した穿刺刃は指先の皮膚を傷付けた後、板バネの作用により元の位置に戻る。穿刺刃の突出後、ポンプが再度駆動し(ステップ5)、カフを加圧する。この段階ではカフは指を十分に圧迫し、傷ついた皮膚から体液を絞り出す。
【0028】
ポンプをオフにするにあたっての判定方法には、前述したのと同様の3種類の方法がある(図9:ステップ6,図11:ステップ6’,図12:ステップ6”)。いずれかの方法による判定に従ってポンプの駆動が停止したら(ステップ7)、即電磁弁及びリーク弁を開放し、カフ内の空気を速やかに排気する(ステップ8)。
絞り出された体液は電極チップにおける電極に接触し、体液に関する情報が電気信号となってコンピュータに送られ、演算を開始する(ステップ9)。演算開始からt時間経過したら(ステップ10)演算終了とし(ステップ11)、得られた測定値を表示器に表示する(ステップ12)。
【0029】
以上説明した本発明の体液分析装置によれば、一連の操作過程を減らし、極めて簡単に検査を済ませることができる。また、本装置は穿刺手段、加圧手段、体液に関する情報を電気信号に変換する手段、測定値を決定する手段、及び測定値を表示する表示器を全て具備しているため、一般ユーザーが熟練を必要とせず、容易かつ迅速に使用することができる。さらに、本発明の体液分析装置では、使用する酵素インキの種類を変えることにより、血糖値のみならず、体液中の種々の物質の分析を行うことができる。
【0030】
以上、図面を用いて本発明を詳細に説明したが、本発明はこれに限定されることなく、本発明の思想を逸脱しない限り、種々の変更を施すことができる。例えば、指用に限らず手首、腕などを対象にした装置に応用しても良い。また盲人用に音声によるガイドを併設し、スイッチ一つで、測定結果を聞くまでの一連のシステムに変更することも可能である。
【0031】
【発明の効果】
本発明の装置によれば、測定に要する一連の工程を自動的・連続的に行うことができ、体液の分析を簡便にかつ迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の体液分析装置の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明の体液分析装置の他の例を示す斜視図である。
【図3】本発明の体液分析装置におけるスリーブ、基体、穿刺刃及び穿刺刃駆動装置(ソレノイド)を示す図である。
【図4】本発明の体液分析装置における基体、穿刺刃及び電極チップを示す図である。(a) は穿刺刃側から見た図であり、(b) は穿刺刃が突出した状態を示す図であり、(c) は電極チップ設置側から見た図であり、(d) は後方から見た図である。
【図5】本発明の体液分析装置の回路構成の一例を示すブロック図である。
【図6】図1における体液分析装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図7】図6のフローチャートにおけるステップ3の他の例を示す図である。
【図8】図6のフローチャートにおけるステップ3の別の例を示す図である。
【図9】図2における体液分析装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図10】図9のフローチャートにおけるステップ2の他の例を示す図である。
【図11】図9のフローチャートにおけるステップ6の他の例を示す図である。
【図12】図9のフローチャートにおけるステップ6の別の例を示す図である。
【符号の説明】
1,1’…体液分析装置
11,11’…ケーシング
2,2’…緊締部
21,21’…カフ
3,3’…穿刺部
4,4’…表示器
51,51’…メインスイッチ
52,52’…穿刺スイッチ
53…固定スイッチ
6…スリーブ
7…基体
71…穿刺刃
72…電極チップ
73a,73b…電極リード
74…板バネ
8…アーム部材
9…ソレノイド
Claims (5)
- 突出して指を穿刺した後に元の位置に戻る穿刺刃を備えた穿刺手段と、穿刺した後の指を圧迫して出液させる圧迫帯と、前記圧迫帯に空気を供給する加圧手段と、前記圧迫帯の空気を排気する排気手段と、前記圧迫帯の圧力を検出する圧力センサと、指から出液した体液に関する情報を電気信号に変換する手段と、前記電気信号により測定値を決定する手段と、決定した測定値を表示する表示器とを有する体液分析装置。
- 指を、穿刺する前に前記圧迫帯によって固定する手段を備えたことを特徴とする、請求項1記載の体液分析装置。
- 突出して指を穿刺した後に元の位置に戻る穿刺刃を備えた穿刺手段と、穿刺した後の指を圧迫して出液させる圧迫帯と、前記圧迫帯に空気を供給する加圧手段と、前記圧迫帯の空気を排気する排気手段と、指から出液した体液に関する情報を電気信号に変換する手段と、前記電気信号により測定値を決定する手段と、決定した測定値を表示する表示器とを有する体液分析装置。
- 指から出液した体液に関する情報を電気信号に変換する手段が、電極を使用してなるものであって、体液が前記電極に接触した際に、圧迫帯への空気の供給を停止する手段を有することを特徴とする、請求項2又は3記載の体液分析装置。
- 前記圧迫帯は円筒状であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の体液分析装置。
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JP02917396A JP3605217B2 (ja) | 1996-02-16 | 1996-02-16 | 体液分析装置 |
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JP02917396A JP3605217B2 (ja) | 1996-02-16 | 1996-02-16 | 体液分析装置 |
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