JP3604816B2 - 体液分析装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は血糖値等、体液中に含まれる被検知物質を分析することのできる体液分析装置に関し、特に一連の工程を自動的かつ連続的に行うことのできる体液分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、血糖値等を測定する場合には、穿刺器具(ランセット)を用いて指、上腕、腹、臀部などに傷を付け、そこから血滴を絞り出し、包材より取り出してセンサーに装着した電極にその血滴を付着させることにより行っていた。
【0003】
しかしながら、測定に必要な量の血滴を自ら絞り出すのは非常に面倒であり、また、穿刺器具とセンサーが分離していると、一連の工程を行うにあたって測定者に要求される操作が多く、測定を行うのが煩雑であるという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、測定に要する一連の工程を、自動的かつ連続的に行うことのできる便利な体液分析装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決する手段】
上記課題に鑑み鋭意研究の結果、本発明者等は、直線運動型又はロータリ型のソレノイドを利用した穿刺手段、穿刺した指から体液を出液させるための圧迫帯(カフ)及びその加圧手段、出液した体液に関する情報を電気信号に変換する手段、その電気信号により測定値を決定する手段、決定した測定値を表示する表示器などを一つの装置に収め、コンピュータにより制御することによって、測定に要する一連の工程を自動的かつ連続的に行うことができ、体液の分析を簡便にかつ迅速に行うことができることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
即ち、本発明は、指を穿刺する穿刺手段と、前記指を圧迫するための圧迫帯と、前記圧迫帯に空気を供給する加圧手段と、前記圧迫帯の空気を排気する排気手段と、指から出液した体液に関する情報を電気信号に変換する手段と、前記電気信号により測定値を決定する手段と、決定した測定値を表示する表示器とを有する体液分析装置であって、前記穿刺手段が、前進後退可能な穿刺刃又は穿刺針と、前記穿刺刃又は穿刺針の運動方向の延長上に設置された直線運動型のソレノイドとを有することを特徴とする、体液分析装置である。
【0007】
また、本発明は、指を穿刺する穿刺手段と、前記指を圧迫するための圧迫帯と、前記圧迫帯に空気を供給する加圧手段と、前記圧迫帯の空気を排気する排気手段と、指から出液した体液に関する情報を電気信号に変換する手段と、前記電気信号により測定値を決定する手段と、決定した測定値を表示する表示器とを有する体液分析装置であって、前記穿刺手段が、前進後退可能な穿刺刃又は穿刺針と、ロッカーアームと、前記ロッカーアームを介して前記穿刺刃又は穿刺針を駆動させることのできる直線運動型のソレノイドとを有することを特徴とする、体液分析装置である。
【0008】
さらに、本発明は、指を穿刺する穿刺手段と、前記指を圧迫するための圧迫帯と、前記圧迫帯に空気を供給する加圧手段と、前記圧迫帯の空気を排気する排気手段と、指から出液した体液に関する情報を電気信号に変換する手段と、前記電気信号により測定値を決定する手段と、決定した測定値を表示する表示器とを有する体液分析装置であって、前記穿刺手段が、前進後退可能な穿刺刃又は穿刺針と、カムと、前記カムを介して前記穿刺刃又は穿刺針を駆動させることのできるロータリー型のソレノイドとを有することを特徴とする、体液分析装置である。
【0009】
【作用】
ソレノイドを利用して指を穿刺する穿刺手段と、前記指を圧迫するためのカフと、前記カフに空気を供給する加圧手段と、前記カフの空気を排気する排気手段と、指から出液した体液に関する情報を電気信号に変換する手段と、前記電気信号により測定値を決定する手段と、決定した測定値を表示する表示器とを有する本発明の体液分析装置によれば、電気的制御により指を穿刺した後、その指を加圧したカフによって圧迫して体液を出液させ、出液後、排気によってカフを緩めて指を開放し、得られた体液から必要な情報を電気信号に変えて測定値を決定し、表示器に表示することができるため、測定に要する一連の工程を高い信頼性で自動的かつ連続的に行うことができ、体液の分析を簡便にかつ迅速に行うことができる。
【0010】
特に、上記穿刺刃又は穿刺針の駆動をロッカーアームを介した直線運動型のソレノイドや、カムを介したロータリ型のソレノイドで行うことにより、体液分析装置を小型化でき、可搬性に優れたものとすることができる。
また、皮膚に刺さった穿刺刃又は穿刺針を引き抜くことのできるバネを設けることにより、穿刺時間(穿刺刃又は穿刺針が皮膚に刺さっている時間)を極めて短くすることができ、測定者の痛みを軽減することができる。
【0011】
上記体液分析装置に、さらにカフの圧力を検出する圧力センサを加えることにより、測定者の指の太さにかかわらずカフの圧力の上限を定めることができ、測定者に過剰な圧迫感を与えることなく、指から適量の体液を絞り出すことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
ここで、本発明における体液とは、穿刺することによって生体から出液し得る液体をいい、例えば血液や、細胞間浸出液等が挙げられる。
本発明の一例による体液分析装置の斜視図を図1に示す。この体液分析装置1は、直方体状のケーシング11を有し、そのケーシング11には緊締部2と、穿刺部3と、表示器4と、メインスイッチ51と、穿刺スイッチ52とが設けられている。
緊締部2は、その中に指が挿入され得るように円筒状になっており、緊締部2の内部には、指を圧迫するカフ(圧迫帯)21が設けられている。このカフ21は、カフ駆動装置(図示せず)による空気の注入・排気を利用して、指を圧迫・開放することができるようになっている。カフ駆動装置は、カフ21の圧力を検知するセンサ(圧力センサ)と、電磁弁と、ポンプと、リーク弁とを有しており、それらはゴム管を通じてカフ21に連通している。このカフ駆動装置は、体液分析装置1の内部に設けられたコンピュータ(図示せず)によって制御される。
【0013】
穿刺部3は、図2に示すようにスリーブ6、及びスリーブ6に収容された板状の基体7を有する。基体7の一方の側には、穿刺刃71が前進・後退可能に設けられており(図3(a) 及び(b) 参照)、他方の側には電極チップ72が設置されているとともに、その電極チップ72の端子部に連結するように電極リード73a,73bが配設されている(図3(c) 参照)。この基体7及び穿刺刃71を後方から見た斜視図は、図3(d) に示される。
【0014】
穿刺刃71は、衛生上の安全性を考慮して、ステンレススチール製のものを使用するのが好ましく、市販のもの、例えば Feather Safety Razor 社製の Blood Lancetsなどを使用することができる。なお、本実施例では穿刺刃を使用しているが、本発明はこれに限定されることなく、皮膚を傷付けて体液を出液させることができるものであればいかなるものであってもよく、例えば針状のもの(穿刺針)であってもよい。
【0015】
電極チップ72における電極の一方には、酵素インキ(図示せず)が塗布されている。この酵素インキは、体液中の被検知物質に応じて種々のものを選択することができ、例えば血糖値を測定する場合には、グルコースオキシダーゼ等を含むインキ組成物を用いることができる。
穿刺刃71及び電極チップ72を有する基体7を収容したスリーブ6を、体液分析装置1から取り外し可能なカートリッジ式にすれば、それらを使い捨てにすることができ、衛生上非常に有利なものとなる。
【0016】
本実施例におけるソレノイド9は直線運動型のものであり、穿刺スイッチ52のオンによって駆動される。このソレノイド9を側方から見た図を図4(a) に示す。ソレノイド9の中心部には、コイルの磁気作用により作動するプランジャ91が通っており、アーム部材8に連結されている。ソレノイド9はソレノイドホルダー93により保持されているが、このソレノイドホルダー93とプランジャ91との間には、アーム部材8が貫通するように押しバネ92が設けられている。
【0017】
ソレノイド9の駆動により、上記穿刺刃71はアーム部材8を介して前進する。前進した穿刺刃71の先端部は基体7から突出し、電極チップ72よりも前方の位置まで到達する。穿刺刃71の電極チップ72からの突出量は、指を体液分析装置1に装着した状態で、その指を穿刺して出液させることができ、かつ出液した体液が電極チップ72に接触し得るように設定すればよい。
【0018】
突出した穿刺刃71は、上記押しバネ92がプランジャ91を押し戻すことにより後退させられる。本実施例のように押しバネ92を設けることにより、皮膚に刺さった穿刺刃71を素早く引き抜くことができ、測定者の痛みを軽減することができる。
【0019】
本発明では、また図4(b) に示すように、押しバネ92の代わりに引張りバネ94をプランジャ91の後端に設けてもよい。このような引張りバネ94を設けることにより、突出した穿刺刃71を初期位置に戻すことができる。本実施例では引張りバネ94の後端をケーシング11の内側に固定したが、ソレノイドホルダー93の内側に固定してもよい。
【0020】
なお、この引張りバネ94の弾性力の大きさが、プランジャ91を初期の位置に戻すには足りるが、皮膚に刺さっている穿刺刃71を引き抜くには足りない場合、図5に示すように、基体7の前方両脇に板バネ74を設置してもよい。このような板バネ74を設けることにより、皮膚に刺さった穿刺刃71を短時間で引き抜くことができ、測定者の痛みを少なくすることができる。また、穿刺刃71の電極チップ72からの突出量は、この板バネ74の厚さや硬さを変えることによって調整することができる。
【0021】
本発明では、さらに図4(c) に示すように、上記押しバネ92と引張りバネ94とを併用してもよい。このように両バネを併用することにより、プランジャ91(ひいては穿刺刃71)の中立位置を保持することができるとともに、皮膚に刺さった穿刺刃71を素早く引き抜くことができる。
【0022】
次に、本発明の他の例による体液分析装置の斜視図を図6に示す。この体液分析装置1’は、図1における体液分析装置1とほぼ同様の構成を有するが、穿刺刃71’を駆動する手段が異なり、ソレノイド9’の運動方向をロッカーアーム81で変換して穿刺刃71’を駆動する。
【0023】
本体液分析装置1’における穿刺刃駆動手段を図7(a) に示す。本体液分析装置1’では、ロッカーアーム81は軸82を支点に揺動可能に設けられている。ソレノイド9’のプランジャ91’にはプッシュロッド95が連結されており、そのプッシュロッド95の先端部がロッカーアーム81に当たるようにソレノイド9’は設置されている。ソレノイド9’が設けられている側と反対側(軸82をはさんで)におけるロッカーアーム81の端には、アーム部材8’が設けられている。そのアーム部材8’の先端部は、穿刺刃71’を挟持している。本実施例では、ソレノイド9’側におけるロッカーアーム81の端に引張りバネ94’が設けられており、ロッカーアーム81をソレノイド9’側に引っ張っている。
【0024】
本実施例のように、ロッカーアームを用いてソレノイドの直線運動の方向を変換することにより、部品配置をコンパクトにまとめることができ、体液分析装置の小型化を図ることができる。
【0025】
本体液分析装置1’における穿刺刃駆動手段では、ソレノイド9’が駆動することによりプッシュロッド95が突出し、ロッカーアーム81を衝打する。衝打されたロッカーアーム81は軸82を支点に揺動運動を行い、アーム部材8’を介して穿刺刃71’を突出させる。揺動したロッカーアーム81及び突出した穿刺刃71’は、引張りバネ94’の作用により初期位置に戻される。
【0026】
なお、この引張りバネ94’の弾性力の大きさが、ロッカーアーム81及び穿刺刃71’を初期の位置に戻すには足りるが、皮膚に刺さっている穿刺刃71’を引き抜くには足りない場合、図5に示すように、基体7の前方両脇に板バネ74を設置してもよい。
【0027】
本発明では、また図7(b) に示すように、アーム部材8’の横にロッカーアーム81を押圧するように押しバネ92’を設けてもよい。この押しバネ92’は、揺動したロッカーアーム81を初期位置に復帰させることができ、それに伴い、突出した穿刺刃71’を後退させることができる。このように押しバネ92’を設けることにより、皮膚に刺さっている穿刺刃71’を素早く引き抜くことができ、測定者の痛みを軽減することができる。
【0028】
本発明では、さらに図7(c) に示すように、上記引張りバネ94’と押しバネ92’とを併用してもよい。このように両バネを併用することにより、ロッカーアーム81(ひいては穿刺刃71)の中立位置を保持することができるとともに、皮膚に刺さった穿刺刃71’を素早く引き抜くことができる。
【0029】
本発明の別の例による体液分析装置の斜視図を図8に示す。この体液分析装置1’’は、図1における体液分析装置1とほぼ同様の構成を有するが、穿刺刃71を駆動する手段が異なり、ロータリー型のソレノイド9’’の回転運動を、カム96を介してアーム部材8’’の直線運動に変え、それにより穿刺刃71’’を駆動する。
【0030】
本体液分析装置1’’における穿刺刃駆動手段を図9(a) に示す。本体液分析装置1’’で使用するソレノイド9’’はロータリー型のものであり、回転運動を行う。ソレノイド9’’の回転軸97には、カム96が取り付けられている。カム96は、穿刺刃71’’を突出させることができればいかなる形状であってもよいが、さらに、突出した穿刺刃71’’を後退させることもできるような形状であるのが好ましい。本実施例では、カム96として段部960 を有するものを使用しており、段部960 における下段の部分(L)はカムの半径が最も小さくなっており、段部960 における上段の部分(U)はカムの半径が最も大きくなっている。
【0031】
穿刺刃71’’を挟持するアーム部材8’’の後端は、押しバネ92’’に連結している。アーム部材8’’の側部からはロッド83が垂直に伸びており、上記カム96はこのロッド83に当接するようになっている。
【0032】
本実施例ではロータリー型のソレノイドを用いているが、ロータリー型のソレノイドは直線運動型のソレノイドと比較して実容積が少ないため、より小さい体液分析装置を作製するのに有利である。
【0033】
本体液分析装置1’’における穿刺刃駆動手段では、ソレノイド9’’が駆動することによりカム96が回転する。本実施例では、カム96は時計回りの方向に回転する。この回転によりロッド83方向のカム96の半径は次第に大きくなリ、カム96はロッド83を押圧する。ロッド83はその押圧によりアーム部材8’’を後方に移動させ、バネ92’’を押し縮める。ここで、カム96の段部960 がロッド83側に来ると、ロッド83は押圧状態から急に開放され、バネ92’’の弾性力によりカム96側に平行移動する。それに伴い、アーム部材8’’及び穿刺刃71’’は前方に突出し、穿刺を行う。
【0034】
皮膚に刺さった穿刺刃71’’は、バネ92’’の反動により皮膚から引き抜くことができるが、その力が小さい場合には、図5に示すように基体7の前方両脇に板バネ74を設置してもよい。カム96が1回転して初期の位置に戻ると、穿刺刃71’’、アーム部材8’’及びロッド83も押しバネ92’’の作用により初期位置に戻される。
上記実施例では、ロッド83がカム96の動きに追従するように押しバネ92’’を設けたが、本発明は押しバネだけに限定されることなく、図9(b) に示すように、押しバネ92’’の代わりにロッド83をカム側に引っ張る引張りバネ94’’を設けてもよいし、図9(c) に示すように、押しバネ92’’と引張りバネ94’’の両者を設けてもよい。
【0035】
図10は体液分析装置1の回路構成の一例を示すブロック図である。なお、体液分析装置1’,1’’も同様の回路構成を有するため、体液分析装置1を例にとって説明する。
【0036】
体液分析装置1では、カフ21は、ゴム管により圧力センサと、電磁弁と、ポンプと、リーク弁とに連通しており、これらで空気圧系を構成している。体液分析装置における各部材の動作は、コンピュータによって制御される。コンピュータは、電磁弁、リーク弁及びポンプをオン/オフする機能、圧力センサで検出される空気圧データを取り込む機能、ソレノイドを作動させる機能、電極からの電気信号を取り込む機能、電気信号を演算して測定値を決定する機能、ならびに測定値を表示器に出力する機能を備えている。
【0037】
このコンピュータは、メインスイッチ51のオンによって初期化され、穿刺スイッチ52のオンによってソレノイド9を駆動させるとともに、その所定時間の後にポンプが駆動するようにプログラムされている。また、圧力センサによって検出したカフ21の圧力もしくは体液が電極に接触したことの情報を取り込むか、又はポンプのオンからの所定時間経過によって、ポンプをオフにし、電磁弁及びリーク弁を開放するように指令を出す。電極からの電気信号もコンピュータに取り込まれるようになっており、コンピュータで決定された測定値は表示器4に出力される。
なお、本回路構成は一例に過ぎず、場合によっては圧力センサはなくてもよい。
【0038】
図11に示すフローチャートを参照して、上記体液分析装置1の詳細な動作の一例を説明する。なお、体液分析装置1’,1’’も同様の動作を行うため、体液分析装置1を例にとって説明する。
測定を開始する前に、測定者はカフ内に指を挿入する。指はいずれの指であってもよく、また左右どちらの手の指であってもよい。メインスイッチ51を入れると、コンピュータ内のメモリ類のクリア等、システムの初期化がなされる。
【0039】
次に、測定者は穿刺スイッチ52を入れる。穿刺スイッチが入ると、ソレノイド9が駆動し、穿刺刃が基体から突出する(ステップ1)。突出した穿刺刃は指先の皮膚を傷付けた後、バネの作用により元の位置に戻る。穿刺刃の突出後、ポンプが駆動し(ステップ2)、カフ21を加圧する。このカフ21は指を圧迫し、傷ついた皮膚から体液を絞り出す。
【0040】
ポンプをオフにするにあたっての判定には、3通りの方法がある。第1には、例えばカフの圧力によりみかけ上の血圧が所定の値(P)に到達したら、判定YESとする(図11:ステップ3)。なお、みかけ上の血圧とは、カフにより指を圧迫する過程において圧力センサから表示される過渡的な血圧値をいう。すなわち、カフ圧力を端的に反映するみかけ上の血圧は、圧力センサによって検知できる。Pの値は120 mmHg以上が望ましく、180 mmHg程度が最も適量の出液を得ることができる。この第1の方法によれば、測定者の指の太さにかかわらず、カフ圧の上限を定めることができ、測定者に過剰な圧迫感を与えることなく、体液を絞り出すことができる。
【0041】
第2には、ポンプがオンになってから所定時間(T)経過したら、判定YESとする(図12:ステップ3’)。Tの値は、5秒から60秒程度が望ましく、20秒程度が最も適量の出液を得ることができる。
【0042】
第3には、絞り出された体液が電極に接触したら、判定YESとする(図13:ステップ3”)。この第3の方法によれば、必要十分量の体液を確保できると共に、余分な圧力で指を不当に圧迫することがなくなる。なお、このステップで第2の方法及び第3の方法を適用する場合には、圧力センサは不要となる。
【0043】
上記第1〜第3のいずれかの方法による判定に従ってポンプの駆動が停止したら(図11:ステップ4)、即電磁弁及びリーク弁を開放し、カフ内の空気を速やかに排気する(ステップ5)。弁は一つでもよいが、電磁弁及びリーク弁を併用することにより、素早くカフ内の空気を排気することができ、測定者の指を圧迫状態から開放することができる。
【0044】
絞り出された体液は電極チップ72における電極に接触し、体液に関する情報が電気信号となってコンピュータに送られ、演算を開始する(ステップ6)。演算開始からt時間経過したら(ステップ7)、演算終了とする(ステップ8)。測定値が安定するのに一定の時間を必要とするため、tの値は電極の性能に大きく依存するが、一般的に5〜60秒程度を必要とする。コンピュータによる演算によって測定値を決定したら、その測定値を表示器4に表示する(ステップ9)。
【0045】
以上説明した本発明の体液分析装置によれば、一連の操作過程を減らし、極めて簡単に検査を済ませることができる。また、本装置は穿刺手段、加圧手段、体液に関する情報を電気信号に変換する手段、測定値を決定する手段、及び測定値を表示する表示器を全て具備しているため、一般ユーザーが熟練を必要とせず、容易かつ迅速に使用することができる。さらに、本発明の体液分析装置では、使用する酵素インキの種類を変えることにより、血糖値のみならず、体液中の種々の物質の分析を行うことができる。
【0046】
以上、図面を用いて本発明を詳細に説明したが、本発明はこれに限定されることなく、本発明の思想を逸脱しない限り、種々の変更を施すことができる。例えば、表示器の部分を装置本体に対して回動自在にすることにより、表示器を所望の方向に向けることができ、測定が行い易くなる。また、本発明は指用に限らず手首、腕などを対象にした装置に応用しても良い。さらには、盲人用に音声によるガイドを併設し、スイッチ一つで、測定結果を聞くまでの一連のシステムに変更することも可能である。
【0047】
【発明の効果】
本発明の装置によれば、測定に要する一連の工程を高い信頼性で自動的・連続的に行うことができ、体液の分析を簡便にかつ迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の体液分析装置の一例を示す斜視図である。
【図2】図1の体液分析装置における穿刺手段を示す斜視図である。
【図3】本発明の体液分析装置における基体、穿刺刃及び電極チップを示す図である。(a) は穿刺刃側から見た図であり、(b) は穿刺刃が突出した状態を示す図であり、(c) は電極チップ設置側から見た図であり、(d) は後方から見た図である。
【図4】図1の体液分析装置における穿刺刃駆動手段の各例(a) 〜(c) を示す側面図である。
【図5】図2における基体の他の例を示す斜視図である。
【図6】本発明の体液分析装置の他の例を示す斜視図である。
【図7】図6の体液分析装置における穿刺刃駆動手段の各例(a) 〜(c) を示す平面図である。
【図8】本発明の体液分析装置の別の例を示す斜視図である。
【図9】図8の体液分析装置における穿刺刃駆動手段の各例(a) 〜(c) を示す平面図である。
【図10】本発明の体液分析装置の回路構成の一例を示すブロック図である。
【図11】本発明の体液分析装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図12】図11のフローチャートにおけるステップ3の他の例を示す図である。
【図13】図11のフローチャートにおけるステップ3の別の例を示す図である。
【符号の説明】
1,1’,1’’…体液分析装置
11,11’,11’’…ケーシング
2,2’,2’’…緊締部
21,21’,21’’…カフ
3,3’,3’’…穿刺部
4,4’,4’’…表示器
51,51’,51’’…メインスイッチ
52,52’,52’’…穿刺スイッチ
6…スリーブ
7,7’,7’’…基体
71,71’,71’’…穿刺刃
72…電極チップ
73a,73b…電極リード
74…板バネ
8,8’,8’’…アーム部材
81…ロッカーアーム
82…軸
83…ロッド
9,9’…ソレノイド(直線運動型)
9’’…ソレノイド(ロータリー型)
91,91’…プランジャ
92,92’,92’’…押しバネ
93…ソレノイドホルダー
94,94’,94’’…引張りバネ
95…プッシュロッド
96…カム
960 …段部
97…回転軸
Claims (6)
- 指を穿刺する穿刺手段と、前記指を圧迫するための圧迫帯と、前記圧迫帯に空気を供給する加圧手段と、前記圧迫帯の空気を排気する排気手段と、指から出液した体液に関する情報を電気信号に変換する手段と、前記電気信号により測定値を決定する手段と、決定した測定値を表示する表示器とを有する体液分析装置であって、前記穿刺手段が、前進後退可能な穿刺刃又は穿刺針と、前記穿刺刃又は穿刺針の運動方向の延長上に設置された直線運動型のソレノイドとを有することを特徴とする、体液分析装置。
- 指を穿刺する穿刺手段と、前記指を圧迫するための圧迫帯と、前記圧迫帯に空気を供給する加圧手段と、前記圧迫帯の空気を排気する排気手段と、指から出液した体液に関する情報を電気信号に変換する手段と、前記電気信号により測定値を決定する手段と、決定した測定値を表示する表示器とを有する体液分析装置であって、前記穿刺手段が、前進後退可能な穿刺刃又は穿刺針と、ロッカーアームと、前記ロッカーアームを介して前記穿刺刃又は穿刺針を駆動させることのできる直線運動型のソレノイドとを有することを特徴とする、体液分析装置。
- 指を穿刺する穿刺手段と、前記指を圧迫するための圧迫帯と、前記圧迫帯に空気を供給する加圧手段と、前記圧迫帯の空気を排気する排気手段と、指から出液した体液に関する情報を電気信号に変換する手段と、前記電気信号により測定値を決定する手段と、決定した測定値を表示する表示器とを有する体液分析装置であって、前記穿刺手段が、前進後退可能な穿刺刃又は穿刺針と、カムと、前記カムを介して前記穿刺刃又は穿刺針を駆動させることのできるロータリー型のソレノイドとを有することを特徴とする、体液分析装置。
- 皮膚に刺さった前記穿刺刃又は穿刺針を引き抜くことのできるバネが設けられていることを特徴とする、請求項1乃至3いずれか記載の体液分析装置。
- 駆動した前記穿刺刃又は穿刺針を初期位置に戻すことのできるバネが設けられていることを特徴とする、請求項1乃至4いずれか記載の体液分析装置。
- さらに前記圧迫帯の圧力を検出する圧力センサを有することを特徴とする、請求項1乃至5いずれか記載の体液分析装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17143396A JP3604816B2 (ja) | 1996-07-01 | 1996-07-01 | 体液分析装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17143396A JP3604816B2 (ja) | 1996-07-01 | 1996-07-01 | 体液分析装置 |
Publications (2)
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