JP3604943B2 - 車両交通システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は都市間を専用路線で結ぶ都市間交通と都市内エリアでは一般路線を走行させる都市内交通とを併せ持つ車両交通システムに係り、特に都市間の専用路線は単線方式で途中のすれ違いを可能とした車両交通システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、この種の車両交通システムには、特開平2−189267号公報に開示された車両の走行制御装置がある。この車両走行制御装置は、軌道上に連続的に設定された複数の閉塞区間毎に列車を検知し、その列車に後続する列車の走行を制御するようにしたものである。
【0003】
この車両走行制御装置は、ある閉塞区間への列車の進入信号および閉塞区間からの進出信号に基づいて、単一の閉塞区間に複数の列車が共存しないように閉塞制御運転で走行制御し、列車の安全走行を確保している。
【0004】
従来の車両交通システムは軌道上を列車が安全に走行できるように閉塞制御で走行制御するものであるが、列車は一般に機械的にハード連結された複数の車両によって構成されている。
【0005】
複数の車両が機械的にハード連結された列車では、乗客の増減に応じて適宜車両を増減させることが困難であり、車両の増減操作に多くの時間と労力を必要とする。また、車両の増減を可能なように列車を走行させる軌道の敷設は、列車の全長が長いため、種々大きな制約を受ける。
【0006】
車両の増減問題を解決するために、複数の車両が機械的にハード連結されずに、電子的にソフト連結させた車両群が提案されている。この車両群を同じ編成で走行させれば、車両の増減を容易にかつ短時間で行なうことができ、しかも軌道を敷設する上での制約が小さく抑えられるメリットがある。
【0007】
また、列車の安全性確保の面では閉塞制御運転という概念は非常に効果的であり、鉄道やモノレールの既存の車両交通システムに採用されている。しかし、閉塞制御運転方法では、列車の高密度運転を試みても、高密度運転効果の度合が閉塞区間の長さに依存されてしまう問題がある。特に、単線方式の軌道の場合には、高密度運転問題は閉塞区間の長さにより大きな影響を受ける。
【0008】
従来の車両交通システムでは、対向車両が存在しない場合にも、図23に示すように、先行する車両bに後続車両aを接近させて走行させることはできなかった。例えば閉塞区間3にいる車両aは、前方の車両(先行車両)bが閉塞区間4に存在する場合には、先行車両bが閉塞区間4を抜けるまで閉塞区間3で待機し続けなければならず、閉塞区間4に進むことが許可されない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来の車両交通システムを用いて複数の車両がソフト連結された車両群に閉塞制御運転をそのまま適用しようとする場合、車両群の閉塞区間への進入に当って不都合な事態が生じる。車両群を構成する先頭車両がある閉塞区間に進入すると、閉塞制御運転のために車両群と同じ隊列を組む後続車両が上記閉塞区間内に進入することができず、車両群内の車両と車両が切り離されてしまうという不都合が生じる。このため、従来の車両交通システムでは、複数の車両がソフト連結された車両群を軌道上で適切に走行させることが困難であった。
【0010】
さらに、従来の車両交通システムにおいて、軌道が単線である場合、単線方式の軌道上を走行する車両のすれ違いは、駅(ステーション)部のみで行なわれ、軌道上を走行する車両(列車)は、予め作成された運行ダイヤに従って運転される。このため、車両の運転間隔は駅間距離によって制約され、高密度運転を行なうことができなかったり、運行ダイヤをダイナミックに作成することができず、車両運転に柔軟性を持たせ、自由度の高い運転を行なうことができなかった。
【0011】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、駅部(都市)間を結ぶ専用路線を単線方式で構築して建設コストの軽減を図る一方、駅部間にすれ違い部を設けて双方向運転を可能にし、輸送効率を向上させ、高密度運転が可能な車両交通システムを提供することを目的とする。
【0012】
本発明の他の目的は、駅部(都市)間を専用路線で結ぶ都市間交通と都市内エリアでは一般路線を走行させる都市内交通とを併せ持たせ、高密度運転を可能とし、利便性の高い車両交通システムを提供するにある。
【0013】
本発明のさらに他の目的は、自動隊列走行運転(プラトーン走行運転)を専用路線で行ない、都市内エリアではマニュアル走行運転を基本とし、乗客を目的地まで効率よく輸送する利便性の高い車両交通システムを提供するにある。
【0014】
さらにまた、本発明の他の目的は、車両同士をソフト連結した自動隊列走行運転を専用路線で行ない、隊列を組む編成車両の増減あるいは車両交換を駅部で車両毎個別にかつ自由に行ない得るようにした車両交通システムを提供するにある。
【0015】
本発明の別の目的は、専用路線の駅部およびすれ違い部で同じ隊列を組む編成車両同士のすれ違い制御を速度を落とすことなく基本閉塞制御方式で安定的に行ない、待ち時間の少ない車両運転制御を効率的に行なう車両交通システムを提供するにある。
【0016】
本発明のさらに別の目的は、専用路線を走行する隊列車両に最適走行ダイヤを管制制御システムでダイナミックに作成し、車両や隊列車両を効率よく円滑かつスムーズに走行させ、すれ違い部や駅部ですれ違い可能な走行運転制御ができる車両交通システムを提供するにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る車両交通システムは、上述した課題を解決するために、請求項1に記載したように、車両を自動走行運転させる単線方式の専用路線を設け、この専用路線は都市毎に駅部を1箇所以上設け、上記駅部間に車両同士をすれ違い可能なすれ違い部を所要間隔をおいて設け、前記駅部およびすれ違い部で車両同士をすれ違い可能に双方向運転させる一方、前記専用路線の駅部およびすれ違い部に設けられ、かつ、走行車両と制御情報の授受をスポット通信で行う非接触式の通信手段と、上記走行車両に進路指令・出発指令の管制制御を通信手段を介して行なう管制制御システムとをさらに備え、管制制御システムは走行車両の運行制御、運行計画および運転監視を前記非接触式の通信手段を介して走行車両とスポット通信で行なうように構成し、前記管制制御システムは、走行車両と次にすれ違い予定の対向車両との間の通信タイミングにずれが生じたとき、各車両が次にそれぞれ到達する駅部あるいはすれ違い部の到達可能時刻を予め推定して計算し、その時刻ですれ違い制御を行なうように構成したものである。
【0020】
請求項2に係る車両交通システムは、上述した課題を解決するために、車両を自動走行運転させる単線方式の専用路線を設け、この専用路線は都市毎に駅部を1箇所以上設け、上記駅部間に車両同士をすれ違い可能なすれ違い部を所要間隔をおいて設け、前記駅部およびすれ違い部で車両同士をすれ違い可能に双方向運転させる一方、前記専用路線の駅部およびすれ違い部に設けられ、かつ、走行車両と制御情報の授受をスポット通信で行う非接触式の通信手段と、上記走行車両に進路指令・出発指令の管制制御を通信手段を介して行なう管制制御システムとをさらに備え、管制制御システムは走行車両の運行制御、運行計画および運転監視を前記非接触式の通信手段を介して走行車両とスポット通信で行なうように構成し、前記管制制御システムは、交通量の最も多い状態を基準とした仮想ダイヤを作成し、専用路線に入る車両に、仮想ダイヤが空いているか否かを確認して空席部分の仮想ダイヤを埋め、仮想ダイヤ通りの走行ですれ違い制御を行なうように構成したものである。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明に係る車両交通システムの一実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0027】
図1は本発明に係る車両交通システムの第1実施形態を示すもので、インフラ施設を模式的に表わしたシステム構成図である。車両交通システム10は、市・町・村・郡等の都市A,B,C,D間を専用路線として鉄道等の軌条ではなく、専用道路11で結ぶ都市間交通と都市内エリアでは一般路線としての一般道路12を走行させる都市内交通とを併せ持つインテリジェント・マルチモード・トランジットシステム(Intelligent Multi−Mode Transit System:以下、IMTSと略称する。)である。この車両交通システム10は都市A,B,C,D間を専用道路11で結ぶ新交通システムで、車両はバス同様に定められた定期路線(不定期路線でもよい。)を走行する交通機関である。例えば中規模輸送能力を持つ交通機関である。
【0028】
この車両交通システム10では、専用道路11を電子的にソフト連結した車両が同じ編成の隊列を組んで走行し、都市内エリアの一般道路12では運転手によるマニュアル運転を基本とし、インタチェンジに相当する駅部13で専用道路11は一般道路12に立体的に接続され、専用道路11への乗り入れが行われるようになっている。専用道路11では車両は複数の車両(車両は1台でも可)が隊列をなして走行する自動隊列走行(プラトーン走行)運転とし、都市内エリアでは運転手によるマニュアル運転とし、乗客(あるいは荷物)を目的地まで効率よく輸送する新しい交通システムである。
【0029】
専用道路11を隊列を組んで走行する車両は、車両毎に行き先が個別に決定され、各車両は目的都市の駅部13に到着後、マニュアル運転に切り換えられて都市の一般道路(路線)12を走行し、乗客(荷物)を目的地まで輸送させるようになっている。
【0030】
図1に示された車両交通システム10におけるインフラ施設において、専用道路11は単線(一車線)方式で建設費の軽減を図る一方、駅部13,13間に車両あるいは車両群のすれ違いを可能とするすれ違い部14が適宜間隔をおいて設けられ、高密度輸送を可能としている。専用道路11は新たに建設する単線路以外に、高速道路の一車線を利用したものであっても、既設の軌道(軌条)を利用したものでもよい。専用道路11を走行する車両あるいは車両群は駅部13およびすれ違い部14で速度を落とすことなくノンストップすれ違いができるように双方向運転される。途中のすれ違い部14はすれ違う車両が存在しない場合、一方を待機場として利用してもよい。駅部13,13間の間隔は例えば1km〜十数kmであり、駅部13間に形成されるすれ違い部14の長さは、基本的には隊列を組む最大の車両数と車両の最高速度との兼ね合いで決定される。
【0031】
車両交通システム10におけるIMTSは、図2に示すように、地上側に設置される地上側システムとしての管制制御システム15および走行制御システム16と、車両側に搭載される車両制御システム17とを有する。管制制御システム15は、予め計画されたもしくはダイナミックに作成された運転計画に基づいて車両による編成の割付けと、編成された隊列を組む車両群の次駅部12あるいは到着時刻を作成するようになっている。
【0032】
管制制御システム15は、車両の運行計画、車両の監視(位置監視、編成車両監視)、運行制御(出発指令、進路指令、車両増結指令)の管制制御を行なうようになっている。
【0033】
管制制御システム15は路線全体を中央の管理センターで管理しており、専用道路11全線の各走行車両の位置および都市を走行中の車両を把握し、乗客の待ち時間の少ない車両運行制御を行なうようになっている。全車両の運行状態は中央の管制センターに備えられた運転表示画面上に表示され、監視できるようになっている。駅部13およびすれ違い部14からの車両出発の走行制御は保安制御と呼ばれ、管制センターに設けられた走行制御装置39で制御される。
【0034】
また、管制制御システム15は車両毎の性能を把握して車両の運行ダイヤを例えばダイナミックに作成し、車両をスムーズに走行させるシステムであり、走行制御システム16に通信LAN18を介して接続される。管制制御システム15から出された進路指令、出発指令は走行制御システム16に伝えられ、この保安制御システムである走行制御システム16は車両および車両編成の位置から車両の安全な走行区間が確保できることを確認し、車両にその指令を非接触式通信手段としての路車間通信機を介してスポット通信で伝えるようになっている。
【0035】
走行制御システム16は、全ての車両位置、路線状態を把握して車両の安全走行を確保する形で停止・出発などの保安制御指示を行ない、車両同士の衝突を回避する車両の走行制御を行なうもので、車両に搭載された車両制御システム17と路車間通信機19を介して通信可能に接続される。
【0036】
車両制御システム17は走行制御システム16から受信した制御情報に従って車両の停止制御を行ない、専用道路11を自動隊列走行(プラトーン走行)運転させる制御を行なうものである。車両制御システム17と管制制御システム15とは無線通信可能に構成される。
【0037】
車両交通システム10に用いられる車両20は、バス等の自動車を基本にエンジンや電動モータ等の動力源を搭載した車両であり、この車両20に車両制御システム17が図3に示すように搭載される。車両20は自動操舵可能でかつ運転手によるマニュアル操舵可能な車両であり、自動操舵は専用道路11のみで行なわれ、一般道路12では基本的にマニュアル操作により運転される。
【0038】
車両制御システム17は車両同士の衝突を回避する車両保安制御装置23と、隊列を組む前方車両を認識し、監視する先行車両認識センサとしての前方監視レーダ24と、車両20の走行位置を検出する位置検出センサとしての磁気センサ25と、車両20側と地上側との路車間通信をスポッ的に行なう車両側路車間通信機26とを備える。車両側路車間通信機26は車両29に付設された制御コイルとしての車両側通信コイルで構成される。
【0039】
車両制御システム17における車両保安制御装置23は、図4に示すように、車両情報管理手段28および車両走行制御手段29を備える。車両情報管理手段28は、隊列を組む車両群の編成認識番号(編成ID)、車両認識番号(車両ID)、隊列中の順番、車両の進行方向、車両の性能状態等の車両情報管理機能と、自動運転および手動(マニュアル)運転を選択する運転モードの選択機能とを有する。車両走行制御手段29は、車両20の速度制御、隊列を組み車両間の間隔制御、非常停止を含む停止パターン作成、専用道路11への合流および専用道路11からの分岐処理および自動操舵処理等を伴う車両走行制御機能を備える。
【0040】
また、管制制御システム15は、車両20の性能を把握して車両の運行ダイヤを予め計画したり、あるいはダイナミックに作成し、車両20をスムーズに走行させるシステムである。管制制御システム15は、車両20を運行させる運行ダイヤを例えばダイナミックに作成する運行計画作成手段31と、専用道路11や一般道路12上を走行する車両20の在線状況を監視する運行管理手段32と、車両20の運行実績を監視し、運行状態を画面表示する運行監視手段33と、現在時刻を管理する時刻管理手段34と、車両20のトラブルや事故等のイベント履歴を管理するシステム保守手段35とを備える。
【0041】
管制制御システム15における運行計画作成手段31は隊列を組む車両数や編成ID割付けを行なう編成組成指令を指示したり、隊列を組む車両の駅間通過順序を決定したり、駅部13で隊列を組む車両群から特定車両の流出指示や次駅到着時刻を与えたり、オペレータの指示を操作入力させる運行計画機能を備えている。この運行計画作成手段31は専用道路11および一般道路12に存在する全ての車両20の在線状況を管理する運行管理手段32および車両20の運行実績を監視する運行監視手段33からの車両在線状況の管理および監視信号を入力して、車両あるいは隊列を組む車両群の運行ダイヤを動的に作成可能に構成している。
【0042】
管制制御システム15からの管制制御信号は管制情報入出力装置37を介して走行制御システム16に送られる。
【0043】
走行制御システム16は、走行制御装置39を備え、この走行制御装置39に隊列を組む車両の進路を制御する進路制御手段40と、自動走行車両を緊急停止させる異常処理手段41と、専用道路11を走行する車両20を追跡し、在線状況を管理する在線管理手段42と、車両交通システム10あるいは走行制御システム16のシステム管理を行なうシステム管理手段43とを備え、光LAN等の通信制御装置44を介して路車間通信機19にスポット通信にて走行制御信号が出力される。
【0044】
走行制御システム16における進路制御手段40は、車両同士の衝突を防止する保安制御として閉塞制御運転を行ったり、専用道路11への合流や流入あるいは専用道路11から一般道路12への流出を制御したり、駅部13からの出発や駅部13での停止指令を出力する進路制御機能を備える。
【0045】
また、システム管理手段43は、システム全体の起動を管理したり、システム構成機器の動作チェック、車両20の在線チェック、時刻管理等のシステム管理機能を備える。
【0046】
さらに、通信制御装置44は、図3に示すように、広域LAN(FDDI)45に走行制御入出力装置46を介して接続される地域LANとしての光NET47を備え、この光NET47上に設置されたリモート入出力装置48を介して地上側の路車間通信機49に走行制御信号がスポット通信にて出力される。地上側路車間通信機49は専用道路11の駅部13およびすれ違い部14に埋設された制御情報伝送装置、あるいは信号通信・管制通信用制御コイルとしてのループコイルで構成される。ループコイル49は原則的に駅部13およびすれ違い部14だけに埋設され、原則として専用路線全体に亘る連続通信アルゴリズムを構成していない。
【0047】
走行制御システム16の通信制御装置44は、路車間通信機19に、送信データ識別コード、ループコイル認識番号(ループコイルID);次駅認識番号(次駅ID)、次駅到着時刻、現在時刻;隊列を組む車両群の編成ID、車両ID、隊列内順番、車両進行方向;駅部13からの出発・停止指令;駅部13から一般道路12への流出指令等が出力され、専用道路11をプラトーン走行する車両群の先頭車両や個々の車両20の車両制御システム17に入力される。
【0048】
一方、車両制御システム17側からは、路車間通信機19のループコイル49を介して走行制御システム16の通信制御装置44に隊列を組む車両ID、編成ID、運転モード(自動運転、マニュアル運転の区別)、車両状態が入力される。
【0049】
さらに、車両交通システム10のインフラ施設を構成する専用道路11には、車両を自動操舵させるための磁気ネイル50が全線に一定間隔で連続的に埋設されている。磁気ネイル50は例えば永久磁石製でS極磁気ネイル51とN極磁気ネイル52が交互に配設される。路面に埋め込まれた磁気ネイル50により車両20の走行方向を制御し、隊列を組む車両群の自動操舵運転ができるようになっている。磁気ネイル51は車両20の絶対位置補正用の地上子を構成している。専用道路11に埋設される制御情報伝送装置としてのループコイル49は、駅部13およびすれ違い部14に複数個、例えば隊列を組む車両群の最大車両数に対応させて設けてもよい。ループコイル49は専用道路11の側方やガイドレールに設けてもよい。
【0050】
また、車両交通システム10は、図5に示すように、専用路線としての専用道路11のすれ違い部14の流入(進入)側および流出(進出)側に車両検知装置53,54がそれぞれ設けられる。車両検知装置53,54はすれ違い部14の上り線および下り線用に車両限界検知コイルとしてそれぞれ設けられ、車両検知装置53,54で車両20の通過を検出している。駅部13もすれ違い部14と同様に車両検知装置53,54が車両20の流入側および流出側に設けられる。そして、車両20への「停止」、「出発」などの制御指示は、走行制御システム16から制御情報伝送装置(ループコイル)49を経て車両20側にスポット通信にて送信され、隊列を組む車両群の車両同士の衝突は、車載された前方監視レーダ24によって防止される。
【0051】
この車両交通システム10では、車両20と走行制御システム16および管制制御システム15との間の情報(出発指令、進路指令、車両ID等)授受は駅部13およびすれ違い部14で路車間通信機19を介してスポット通信にて行なわれ、従来の連続通信アルゴリズムと基本的に相違する。地上システムを構成する管制制御システム15および走行制御システム16と車両20の間における車両運行制御のための通信は原則としてループコイル49を介してループ通信で行なわれる。但し、車両20側に非常時の乗務員や乗客との通話手段が用意される。通話手段としてPHSや携帯電話が備えられる。
【0052】
次に、車両交通システム10の具体的な対象路線例を示す。
【0053】
図6は、3つの都市A,B,Cを専用路線としての専用道路11によって接続した例である。専用道路11は建設コスト低減のために単線(一車線)方式とし、基本的に都市毎の1箇所以上に駅部13が設けられる。駅部間に適当な間隔ですれ違い部14が輸送効率を考慮に入れて設けられ、単線方式の専用道路11でも双方向運転が行なわれるようになっている。専用道路11上の車両は例えば80km〜150km/hの速度で走行し、すれ違い部14や駅部13で速度を落とすことなくすれ違い可能とし、待ち時間の少ない車両運行制御を行なう。
【0054】
また、都市Bの駅部13には側線としての待避線56が設けられ、各駅停車の車両あるいは車両群を急行車両あるいは車両群が追い越すように設定した運用も可能である。待避線56はすれ違い部14に設けるようにしてもよい。
【0055】
この車両交通システム10は、車両同士の衝突を防止するために、専用路線としての専用道路11を図7に示すように所要の区間毎に閉塞区間1…nに区切って閉塞制御運転している。閉塞制御運転ではある定められた区間、例えば閉塞区間3に進入した車両あるいは隊列を組む車両群がその閉塞区間3から進出しなければ、閉塞区間3に別の車両あるいは車両群を進入させない運転方法である。ここでは、定められた一定区間3をある編成車両のみに占有させることを「閉塞」と呼び、その一定区間を閉塞区間として「一定の区間内はある一編成の運転車両あるいは車両群のみを許可し、他の編成車両あるいは車両群が上記区間に進入することがないように構成した区間」と定義する。
【0056】
図7では、閉塞区間1…nは駅部やすれ違い部14における車両検知装置53,54間、および駅部やすれ違い部14の車両流出側車両検知装置54と隣り合うすれ違い部14や駅部の車両流入側車両検知装置53の間をユニットとして形成される。
【0057】
閉塞区間は、駅部やすれ違い部14の車両流出側車両検知装置54から隣り合う先のすれ違い部14や駅部の車両流出側車両検知装置54までをユニットとして破線で示すように形成してもよい。この場合には、閉塞区間a〜eは例えば上り用閉塞区間a,c,eと下り用閉塞区間b,dとに区画される。
【0058】
この車両交通システム10においては、専用道路11上を走行する車両20を高密度運転させるために、駅部13,13間にすれ違い部14を設けて閉塞区間の長さを短くしている。
【0059】
また、この車両交通システム10では、機械的なハード連結ではなく電子的にソフト連結(機械的非接触連結)された複数の車両20で同じ編成の隊列を組んだ自動隊列走行(プラトーン走行)運転ができるように、複数の車両20を一つの編成車両として取り扱うことで、1つの閉塞区間に編成を同じくする複数の車両20が進入可能に構成される。
【0060】
複数の車両20が1つの編成車両(隊列)を構成して自動隊列走行運転ができるように、専用道路11を走行する車両20に車両認識番号(車両ID)とは別に編成認識番号(編成ID)が管制制御システム15から割り付けられ、同じ方向に走行する複数の車両20が同じ編成の隊列を組んで1つの閉塞区間に進入し得るようになっている。管制制御システム15から割り付けられる編成IDは車両に予め割り付けても、一般道路から専用道路11に入る駅部13でダイナミックに割り付けるようにしてもよい。
【0061】
すなわち、図8(A)に示すように、閉塞区間3を走行する車両20の編成IDが閉塞区間4を走行する前方車両20の編成IDと同じであれば、前方車両20の存在の有無に拘らず、次の閉塞区間4に自由に進入させることができる。そして、図8(B)に示すように、1つの閉塞区間4内を複数の車両(車両群)20,20が同じ編成を成して隊列走行運転をすることができる。編成を組む車両群において車両相互の衝突防止は各車両20に搭載した前方監視レーダ24と編成車両に個々の車両間相互通信によって確保される。
【0062】
一つの編成(隊列)を組む最大車両数は、図8(C)に示すように専用道路11の路線形状や運用状態によって種々異なる。専用道路11を走行する車両20は必ずしも同じ編成を組む必要がなく、1台だけで単独走行も可能である。また、編成を組む最大車両数は例えば数台から10台程度、好ましくは4・5台程度に設定される。
【0063】
また、専用道路11の駅部13において、図9(A),(B)および(C)に示すように、前方を走行する車両20と同じ編成IDを車両20に割り付けることにより、専用道路11内に直ちに進入させて前方走行車両20と合流させ、同じ編成の隊列を組んで走行させることができる。図9(A),(B)および(C)は駅部13において、一般道路を走行してきた車両20あるいは待機中の車両20に前方走行車両20と同じ編成IDを管制制御システム15により割り付け、専用道路11内に進入させた路線例をそれぞれ示す。駅部13の路線形状は図9(A),(B)および(C)に依存せず、様々な路線形状が考えられる。
【0064】
都市(市・町・村等)内から専用道路11に入る車両20は駅部13から進入する。車両20の進入タイミングは管制制御システム15が判断し、保安制御装置を兼ねる走行制御システム16に進入(出発)指示を出力する。走行制御システム16は駅部13で進入待機する車両20に対して、安全確認をした上で駅部13のループコイル(制御情報伝送装置)49を介して車両20に出発指示を出力する。
【0065】
また、この車両交通システム10においては、図10(A)に示すように、専用路線としての専用道路11を走行する車両20は駅部13やすれ違い部14の流入側車両検知装置53で車両認識番号(車両ID)が検出され、検出された車両IDは走行制御システム16に入力されて管理される。走行制御システム16で管理された車両ID番号を路車間通信機19の制御情報伝送装置(ループコイル)49を介して車両側に送ることで、車両20に搭載された車両IDと比較され、車両情報管理され、許可されていない車両の通行を禁止させることができる。
【0066】
車両IDは走行制御システム16の走行制御装置39で管理され、次の閉塞区間への車両の「出発/停止」指示と併せて、上記車両IDが制御情報伝送装置49を介して車両20側にスポット通信にて伝達される。
【0067】
機器故障等の何らかの理由により、車両20側が認識している車両IDと、制御情報伝送装置49を経て走行制御システム16側からスポット通信で送られてくる車両IDが一致しない場合には、図10(B)に示すように車両20は次の閉塞区間に移動しないで停止される。
【0068】
さらに、車両交通システム10はシステム立上げ時(起動時)や再起動時には、走行制御システム16のシステム管理手段43(図4参照)から在線チェック信号が全制御情報伝送装置49を介して車両20側に出力され、全車両20の呼掛けが行なわれ、図11に示すように、全車両20の所在が確認される。車両20は故障しない限り専用路線である専用道路内では制御情報伝送装置49以外の場所で停車することは有り得ない。
【0069】
専用道路11以外、例えば車庫などに格納されている車両20については、広域無線などの無線通信手段(図示せず)を用いて車両所在が確認され、全ての車両20の所在が確認された状態から車両交通システム10が起動され、安全が確保される。
【0070】
この車両交通システム10は駅部13の入口から専用道路11に車両が進入し、専用道路11の出口から一般道路12へ進出する。したがって、専用道路11内に存在する全車両数は、図12に示すように、駅部13の出入口の進入・進出車両をカウントすることにより管理できる。この車両数管理に基づき、専用道路11内を走行する車両数と車両検知装置53,54で検知された車両IDからの確認車両数が不一致の場合には、システム異常が生じたと判断し、車両交通システム10を停止させ、安全性の確保を図っている。
【0071】
さらに、この車両交通システム10においては、隊列を組んで走行する車両群の中に、図13に示すように急行車両20aと普通車両20bとが混在する場合には、走行中に普通車両20bの編成IDを変更させることにより、より効率の良い運転が可能となる。
【0072】
図13(A)で示された車両交通システム10では、車両20aが急行車両で車両20bが普通車両の場合を示し、車両20aと車両20bは同じ編成IDで隊列を組んで走行している。
【0073】
この場合、車両20bに対してX駅停止の指令を管制制御システム15により走行制御システム16を介して車両20bに送信する。車両20bへのX駅停止の指令は、X駅より手前側の駅部あるいはすれ違い部14で出すことにより、X駅の駅部13で車両20bのみを待避線56に引き込み、この待避線56に停止させることができる。その際、急行車両20aは停車させずに直進させることが可能である。
【0074】
普通車両20bが待避線56に入ったことを流入側車両検知装置53で検知された時点で、管制制御システム15から新しい編成IDが付与され、車両20bの編成IDは変更される。その際、急行車両20aの編成車両数は、この時点で2両編成から図13(B)で示すように1両編成に変更される。
【0075】
待避線56は待避している車両20bに後続車両20の編成IDを付すことにより、車両20bと後続車両20とを同じ編成の隊列を組ませて走行させることができる。その場合、車両20bの後に車両20を走行させることも、車両20を先に走行させて車両20bを後続させる運用も可能である。車両20bと車両20が同じ隊列を編成するか否かの判断は、管制制御システム15が作成する運用計画によって判断される。
【0076】
また、後続車両20が急行車両の場合、車両20の編成IDを車両20aの編成IDに変更させることにより、待避線56に停車している車両20bを追い越して先行車両20aに車両20を追従させ、車両20aと車両20が同じ編成の隊列を組んで自動隊列走行運転させることもできる。この車両交通システム10では、専用道路11を同じ方向に走行する車両20a,20b,20の編成IDを走行途中で変更させることにより、効率の良い走行制御運転を行なうことができる。
【0077】
次に、専用路線としての専用道路11を走行する車両が、駅部13等の分岐部58にさしかかり、分岐部58で進路選択する場合を図14を用いて説明する。
【0078】
専用道路11を走行する車両は、管制制御システム15の運行計画作成手段31(図4参照)の運行計画指示により、分岐部58における車両進路が選択指令され、車両は指令された進路に車両自身の操舵制御で進行できるようになっている。
【0079】
専用道路11には図14に示すように、車両操舵制御手段を構成する磁気ネイル50が一定の等間隔をおいて埋設されている。磁気ネイル50はS極磁気ネイル51とN極磁気ネイル52が専用道路11に交互に配置される。一方、分岐部58では本線道路60側に例えばN極磁気ネイル52だけが、分岐道路61側に例えば本線道路60と異なるS極磁気ネイル51だけが所定の間隔をおいて埋設される。磁気ネイル50のN極とS極は逆であってもよい。
【0080】
一方、車両は管制制御システム15から走行制御システム16を経てループコイルの制御情報伝送装置49により進行方向情報(磁気ネイルの極)を受信する。例えば進行方向情報が分岐道路61であるA方向が選択されると、車両はS極磁気ネイル51に沿って進行し、本線道路60のB方向が選択されるとN極磁気ネイル52に沿って進行し、車両の分岐部58における進路制御が行なわれる。車両の分岐部58における進路制御は、車両に搭載された車両制御システム17の車両走行制御手段29により行なわれる。
【0081】
また、車両の車両制御システム17には、専用道路11の道路データ、例えばすれ違い部14、駅部13、ループコイル49、道路の勾配やカーブ状態等の絶対位置情報が記憶されている。そして、車両は専用道路11の路面に埋め込まれた地上子、例えば磁気ネイルから受信する絶対位置情報と車両の走行距離メータであるパルスジェネレータの距離カウントにより、車両自体の現在位置が正確に把握される。
【0082】
専用道路11を走行する車両20の現在位置が正確に把握できるため、車両20は自律走行制御により自動運転される。専用道路11の道路データおよび車両20の現在位置情報から、車両20は管制制御システム15で指示された時刻に指示された地点に到達できる自律走行制御が行なわれる。指示された時刻の推測は走行車両の平均速度から推測しても、あるいは、運転曲線方式を採用して推測してもよい。
【0083】
車両20は図15に示したようにすれ違い部14または駅部13への走行到着位置と到着時刻情報を管制制御システム15からループコイルである制御情報伝送装置49を介してスポット通信により受け取る。
【0084】
車両20a,20bは自車の現在位置a,bと走行到達位置A,Bの差から走行予定距離A−a,B−bを計算し、車両20a,20b毎の速度制御を平均速度から行って指定時刻に指定位置に到着する自律走行制御が行なわれる。この車両20a,20bの自律走行制御運転によりすれ違い部14または駅部13では単線方式の専用道路11であってもノンストップ走行ですれ違い走行、すなわち双方向走行させることができる。
【0085】
その際、時刻は、管制制御システム15から各車両20a,20bに対してループコイルを介したスポット通信により送信され、車両20a,20bは時刻が定期的に更生される。
【0086】
車両交通システム10の地上システムとしての管制制御システム15は、単線方式の専用道路11を用いても、駅部13やすれ違い部14で車両同士あるいは車両群同士がスムーズにすれ違う双方向運転ができるようにしたものである。
【0087】
この管制制御システム15は無ダイヤ走行であっても、計画ダイヤ(運行ダイヤ)走行であっても、すれ違い部14や駅部13で車両あるいは車両群同士がスムーズにすれ違う双方向運転を可能にしたものである。
【0088】
〈無ダイヤ走行〉
予め運行ダイヤが設定されていない無ダイヤ走行でも、車両または車両群同士をすれ違い部14や駅部13でスムーズにすれ違い制御させるために、管制制御システム15からスポット通信にて走行制御される。図16において、自車両20aが制御されるタイミングと、すれ違う相手車両20bが制御を受けるタイミングと違っても、次のすれ違い部14または駅部13の位置とその時刻の判定を可能とするために、次の制御が行なわれる。
【0089】
自車両20aがスポット通信にて制御されるタイミングになったら、直近の対向車両20bとの間にあるすれ違い部14(または駅部13)の全てを対象にし、最適すれ違い部14(または駅部13)を探す操作が行なわれ、最適すれ違い部14が「次のすれ違い部」として採用される。
【0090】
最適すれ違い部14(または駅部13)を探す操作は、「車両(または車両群)20a,20bの双方が到達可能で、かつすれ違い時刻が最も良好な評価関数値を得る」ことが条件となり、この条件で見つかったすれ違い時刻を制御情報として管制制御システム15から各車両20a,20bにスポット通信で伝達される。
【0091】
ここで、最適すれ違い部14(または駅部13)を探す操作に用いた2つの条件を満足するか否かの判定には、以下の判定方法のいずれかが用いられる。
【0092】
第1の判定方法;「車両の種別−発すれ違い位置−着すれ違い位置」の3つのパラメータによる3次元到達可能時間表を作成し、この到達可能時間表を参照する方式。
【0093】
第2の判定方法;車両性能と路線(道路)データの物理曲線から運転曲線を作成し、この運転曲線から到達可能時刻を求める方式。
【0094】
また、車両20a,20bと地上側システムである管制制御システム15とは制御コイルとしてのループコイル49を用いたスポット通信にて制御情報のやりとりが行なわれるために、自車両20aが制御タイミングになったとき、すれ違い対象の他車両20bの位置は分からないが、他車両20bに対して最後に送信されたすれ違い時刻を記憶しておくことにより、他車両20bが現地点から最初に遭遇するすれ違い部14へ到達する時刻を推定することは可能である。このため、専用道路11を走行する各車両の運行ダイヤを管制制御システム15にてダイナミックに作成することができ、無ダイヤ走行であっても、走行車両をすれ違い部14や駅部13ですれ違わせる双方向運転を行なうことができる。
【0095】
〈実際の運用例〉
無ダイヤ走行における双方向運転の実際の運用は次のようにして行なわれる。
【0096】
図16において、専用路線としての専用道路11のすれ違い部または駅部をそれぞれすれ違い部14a,14b,14c,14dとして差別化する。
【0097】
自車両20aがスポット通信にて制御されるすれ違い部14aに到着した状態にあり、すれ違い予定の対向車両20bはすれ違い部14dに到着していない状態を想定する。この自車両20aと他車両20bの到達可能なすれ違い部あるいは駅部は3箇所のすれ違い部14b,14c,14dである。この3つのすれ違い部14b,14c,14dの中ですれ違い時刻が最も高い(近い)評価関数値を得ることができるすれ違い地点(すれ違い部)を求める。このすれ違い地点は、3次元到達可能時間表または運転曲線計算により計算したすれ違い時刻から求める。
【0098】
まず自車両20aから計算すると、車両種別と現在のすれ違い部14aから、3つのすれ違い部14b,14c,14dに到着する到達可能時刻(到着予定時刻)が求まる。また他車両20bも車両種別と次のすれ違い部14dの到着時刻から3つのすれ違い部14d,14c,14bに到着する到着可能時刻が求まる。
【0099】
この求まった到着可能時刻をすれ違い部14b,14c,14d毎に評価関数により比較(例えば、最も時刻の近似目標とした交通量に範囲している等)評価し、最も良好なすれ違い部を車両20aと車両20bのすれ違い部とする。こうすることで目的とした交通量に合致したすれ違い制御をスムーズかつ円滑に行なうことができる。
【0100】
〈計画ダイヤ走行〉
車両交通システム10において、車両の運行ダイヤを作成する手法には、仮想ダイヤ方式と輸送量指定ダイヤ方式とがある。
【0101】
仮想ダイヤ方式;車両の運行方針に従って仮想ダイヤ(バーチャルダイヤ)を予め作成しておき、路線内の車両編成は上記仮想ダイヤに合致するように走行制御を行なうものであり、IMTSの計画ダイヤに適した方式である。
【0102】
輸送量指定ダイヤ方式;車両の運行ダイヤを計画する際、編成車両数で運転間隔のみを指定する。実際の走行時には、計画ダイヤ通り運行されるようにダイナミック(動的)に計画を作成する。IGTSの動的運行ダイヤに適したものである。
【0103】
ここに、IGTSはインテリジェント・ガイドウェイ・トランジットシステム(Intelligent Guideway Transit System)のことをいう。
【0104】
〈プラトーン走行運転〉
また、車両交通システム10は専用道路11を同一の編成の車両毎に隊列を組む自動隊列走行運転(プラトーン走行運転)が行なわれる。プラトーン走行している複数車両に到着時刻を与える際には、隊列を組む同じ編成の各車両に対して1つの到達時刻を与える。すなわち、同じ編成の隊列を組む車両群の例えば先頭車両にのみ到達時刻を与える。
【0105】
同じ編成の隊列を組む車両群に1つの到達時刻を与えることにより、車両群を構成する個々の車両に到達時刻を送信する必要がない。構成車両毎個々に到達時刻を送信するのに較べ、情報量を減らすことができ、非接触式通信手段としての路車間通信機19等の簡素化が可能となる。
【0106】
同じ到達時刻がスポット通信により与えられた車両群の個々の構成車両は、自車両が編成を組む車両群の何両目かを常時把握することによって、自車両の到達時刻を補正することが可能である。
【0107】
車両交通システム10は、駅部13で専用道路11に乗り入れ、専用道路11を走行する車両20に合流させることができる。車両を駅部13で合流させる場合には、合流車両に被合流車両(本線走行車両)の編成IDと同じ編成IDが付与され、専用道路11を走行している被合流車両と同じ到着時刻を制御データとして駅部13の合流部出発位置に設けた制御コイル等の送信機器によって合流車両に送信させる。合流車両に被合流車両の編成IDと同じ編成IDを付与し、同じ到着時刻を付与することにより、合流して新たに編成を生成させる際の車両間の位置制御が簡単化される。
【0108】
さらに、この車両交通システム10では、各車両に管制制御システム15からスポット通信により絶対時刻が制御パラメータとして付与されるために、路線全体の各車両が持っている時計を絶対時刻に正確に合致させなければならない。このため、中央の管制制御システム15の現在時刻を路線全体の各車両にスポット通信により制御情報として送信して時刻補正を行ない、各車両の時計を全路線に亘って正確に一致させるようになっている。
【0109】
また、同じ編成で隊列を組む車両群の各構成車両毎に車両停止位置を個別に指示する必要がある場合には、車両停止位置毎に個別に路車間通信機19を設ける。その際、路車間通信機19で車両の「停止」「発進」の信号を単純に出力すると、停止対象でない車両も停止したり、そのま走行したり、発進するために、「停止」信号出力の際には、停止対象車両IDを併せて出力する。
【0110】
また、通信不能時の安全のために、車両に非接触式の通信手段である路車間通信機19が配置されている場所を記憶させておき、その位置に来たとき、停止、進行、発進信号を問わず、信号検知ができない場合には、自動的に車両停止制御を行うプログラムを持たせて安全性を確保している。
【0111】
一方、車両交通システム10を仮想ダイヤ方式で車両運行させる目的は、管理線区内に出現する編成車両の出現時刻に不確定要素が多い場合でも、予め計画した交通量とすれ違いを確保するためである。仮想的にダイヤを作成しておき、管理線区内にそのダイヤとマッチする編成車両があればその車両に仮想ダイヤを割り当てる。また、複数の車両がマッチする場合はマッチする複数車両をひとまとめにして編成を作るよう制御を行う。
【0112】
例えば、仮想ダイヤ(バーチャルダイヤ)では、管理線区内に編成車両を検知した場合、その位置によって、以下のように追跡が開始される。図17に示すように、1駅にて右回り車両を検知した場合、編成ダイヤ(バーチャルダイヤ)の▲1▼の部分とマッチングが取れるため、起動直後に車両は出発制御を受ける。
【0113】
また、1駅にて左回り車両を検知した場合、編成ダイヤの▲2▼の部分とマッチングが取れるため、開始1分後に車両は出発制御を受ける。計画ダイヤモード起動時に2駅にて右回り車両を検知し、他の場所に車両が無い場合、編成ダイヤの▲3▼の部分とマッチングが取れるため、開始3分後に車両は出発制御を受ける。それまでは編成が割り当てられないままダイヤが経過することになる仮想ダイヤ運転が行なわれる。
【0114】
〈走行制御システムにおける閉塞制御運転〉
次に、車両交通システム10の保安制御システムとしての走行制御システムによる閉塞制御運転例を図18を参照して説明する。
【0115】
図18は単線すれ違い制御を行なう車両交通システム10の基本的な閉塞制御運転方式を示すものである。
【0116】
車両交通システム10は専用道路11の閉塞区間a,b,c,dが流出側車両検知装置54間に設定された例を示す。専用道路11上を走行する車両はすれ違い部14または駅部13ですれ違い可能に双方向運転される。すれ違い部14(駅部13)の分岐部両側に流入側および流出側車両検知装置53,54がそれぞれ設置され、これらの車両検知装置53,54で車両の通過が確認される。専用道路11の例えば上り方向は閉塞区間a,cに区切られ、下り方向は閉塞区間b,dに区切られる。
【0117】
専用道路11の上り、下りの閉塞区間a,c:b,dは図18に示すように区画されるが、車両への停止/走行許可のスポット通信はすれ違い部14または駅部13に敷設された制御コイルとしてのループコイル49を介して行なわれる。上り車両がある閉塞区間aのすれ違い部14に進入したとき、次の閉塞区間cへの走行は管制制御システム15からスポット通信による走行許可指令による走行許可指令を受けて行なわれ、この走行許可指令により上り車両は次の閉塞区間cに進入せしめられる。既に他の車両に優先権がある場合、例えば下り車両が閉塞区間bを走行している場合には走行不許可となり、上り車両は閉塞区間aの停止通信機(ループコイル49)上で停止信号を受信し、停止する。
【0118】
その際、停止信号を発信する路車間通信機のループコイル49は、車両に停止/発進信号以外に許可車両IDを送信し、許可車両IDと一致する車両ID(車両認識番号)の車両だけの走行を許容し、車両通過検知等で通信エラー等の検知が可能となり、車両走行の信頼性が向上する。
【0119】
また、駅部13で専用道路11に乗り入れ、本線走行車両と隊列を組む場合には、図19に示す車両合流の閉塞制御が行なわれる。
【0120】
この車両合流時には、隊列を組んで走行する本線走行車両20a,20bの後端車両20bが駅部13のすれ違い領域先端を通過したことを、流出側車両検知装置54が検出した後、合流部分の合流車両停止/発車指示通信装置60により発車の指示が行なわれる。この場合、本線走行車両20a,20bと隊列を組む車両20cには同じ編成IDが付与され、先行する本線走行車両20a,20bの後尾に付けて先行車両20a,20bの隊列に加わり、同じ編成の車両群20a,20b,20cとしてプラトーン走行される。
【0121】
〈車両交通システムにおけるすれ違い制御運転〉
車両交通システム10の保安制御システムには走行制御システム16があり、この走行制御システム16により管制制御システム15から運転指令によりすれ違い制御運転が行われる。このすれ違い制御運転例を図20を参照して説明する。
【0122】
走行車両は、単線方式の専用道路11を走行し、駅部13またはすれ違い部14でノンストップすれ違い制御運転される。このとき、車両同士が安全にすれ違うために、すれ違い部14(または駅部13)の全長は、走行車両のすれ違い速度、編成を組む最大車両数、ソフト連結される車両間間隔を考慮し、すれ違い余裕時間Tを見て定められる。すれ違い余裕時間Tとは対向する車両(編成車両)が速度Vですれ違う場合、どちらか早い車両(編成車両)が車両流入側車両支障限界検知コイル(車両検知装置)53を通過後、他方の車両(編成車両)がその車両流入側車両支障限界検知コイル(車両検知装置)53を通過すればよい時間をいう。符号54も車両検知装置としての車両流出側の車両支障限界コイルである。
【0123】
一般に、すれ違い余裕時間Tは、
【数1】
Figure 0003604943
【0124】
具体的には、一例としてすれ違い部14の全長Lが400m、支障限界距離lが20mのすれ違い部14を、最大編成長70mの車両同士がすれ違い速度V(60km/h)ですれ違う場合を想定すると、このときのすれ違い余裕時間Tは、
【数2】
Figure 0003604943
となる。
【0125】
走行車両の車両長が10mでソフト連結される車両間隔が10mであるとすると、編成を組む車両は最大4台で編成長が70mとなる。ソフト連結される車両間隔は、物理的には30cm程度まで制御可能であり、数十cmから数百m程度の中からソフト連結される車両間隔が適宜定められる。また、車両の最大編成長Kは制御情報伝送装置49としてのループコイルの長さにより決定され、最大編成長Kが70mの場合、ループコイル49の敷設長さは少なくとも70mが必要となる。
【0126】
ループコイル49は編成の全車両長を充分にカバーする長さとし、編成の構成車両IC確認、編成速度が限界検知コイル53を介して保安制御システムである走行制御システム16により指示速度以下となるように速度制御される(図21参照)。
【0127】
また、進出側限界制御コイル54は、非常制動信号を走行車両20に送信し、走行車両20を進出側限界制御コイル54の領域内に停止させる場合がある。例えば、図20において、編成車両20同士がすれ違う場合において、すれ違い編成の最後尾車両が進入側限界検知コイル(BBI)53を通過していない場合、進出側限界検知コイル(AEI)54は車両に対して非常制動信号を進出側限界コイル(AEI)54から送信し、このコイルの範囲内に保安制御により停止させる。すれ違い編成の最後尾車両が進入側限界検知コイル(BBI)53を通過したことを走行制御システム(保安制御システム)が確認すると、進出側限界検知コイル(AEI)54から出発指令信号が車両20に送られ、車両20が起動して再び走行せしめられる。このため、進出側限界検知コイル(AEI)54の長さLは、進入側限界検知コイル(AAI)53より長い。一般には、限界検知コイル54の長さLは、
【数3】
L≧(車両速度)/(7.2・減速度)
で表わされる。
【0128】
例えば車両速度を40km/h、減速度を5km/h/s、空走時間を1sec とすると、進出側限界検知コイル53の長さは55m以上となる。車両がすれ違い部14または駅部13で停車する場合には、ループコイル49上を原則とする。
【0129】
〈車両交通システムにおけるフェールセーフ制御運転〉
この車両交通システムにおいて、専用道路11上で編成を組んで走行する車両には、
1.編成を組む車両間の間隔制御
2.編成を組む車両同士の追突防止制御
3.編成を組む車両同士のすれ違い制御
4.編成車両の増結制御
がフェールセーフ制御運転により行なわれる。
【0130】
具体的には、編成を組む車両間の間隔制御および車両同士の追突防止制御は、車両20に搭載されたレーダによる間隔制御運転にて行われる。
【0131】
また、編成を組む車両同士のすれ違い制御および車両増結制御は、保安制御システムである走行制御システム16と路車間通信機19を構成するループコイル49を用いて行われ、保安制御システムによるすれ違い制御と増結車両出発制御運転である。編成車両の増結制御には、保安制御システムによる増結車両出発制御と車両に搭載されたレーダによる間隔制御運転が併用される。
【0132】
〈車両交通システムにおける制御解放運転〉
車両走行システムの専用道路11上を隊列を組んで走行する車両は、管制制御システム15からの運行指令により駅部31で特定の車両が残りの編成車両から必要に応じて切り離されて解放される。
【0133】
編成を組んで走行する車両A,Bから解放車両Bが切り離して解放する場合を図22を参照して説明する。
【0134】
解放車両Bが最後尾車両の場合、管制制御システム15からの運行指令により解放車両Bを駅部13の分岐点前方で減速させ、解放車両Bと先行する編成車両Aとの間に解放距離Dを確保する。この解放距離Dは解放車両Bがノンストップでスムーズに側線に入る距離である。すなわち、解放距離Dは先行する編成車両Aが分岐点を通って本線側の車両流入側通過検知装置である車両支障限界検知コイル53を通過しても、解放車両Bが側線側に進路をとることができる時間を確保できる距離である。
【0135】
解放車両Bが先頭車両である場合には、待避線を兼ねる側線側に車両支障限界検知コイルを図22と同様に設け、先頭の解放車両Bと後方の編成車両Aとの間に分岐点前方で解放距離Dを確保し、分岐点で先頭車両を切り離して解放させる。
【0136】
解放車両Bが中間車両である場合には、中間の解放車両Bとその前後の編成車両との間に分岐点手前で解放距離Dを確保して、中間の解放車両Bだけを分岐で解放させ、側線に案内することができる。
【0137】
いずれにしても、編成車両A,Bから特定の車両Bを解放させる場合には、解放車両Bと残りの編成車両Aとの間に解放距離Dが管制制御システム15からの運行指令により分岐点の手前で確保され、分岐点で解放車両Bだけが他の編成車両Aから切り離されて側線側に解放される。
【0138】
なお、本発明に係る車両交通システムにおいては、車両としてバス等の自動車を想定した例を説明したが、必ずしも自動車に限定されない。専用路線を同じ編成のソフト連結車両が隊列を組んで自動走行し、一般路線では個々の車両毎にマニュアル運転されるものであればよい。
【0139】
また、専用路線は必ずしも単線方式に限定されず、輸送需要の多い大都市間の専用路線を部分的に複線方式を採用し、輸送需要に対応させるようにしてもよい。
【0140】
【発明の効果】
以上に述べたように本発明に係る車両交通システムにおいては、専用路線を単線方式で構成したので、建設コストの軽減を図ることができる一方、単線方式の専用路線の駅部間にすれ違い部を設け、駅部およびすれ違い部で車両同士あるいは車両群同士のすれ違いを可能にしたので、車両運転に柔軟性を持たせ、単線方式であっても双方向運転が可能となって高密度運転が可能となる。専用路線を走行する車両は、単一車両から複数車両で自由に隊列を編成するプラトーン走行運転をさせたので輸送力を柔軟に確保することができる。
【0141】
また、車両交通システムは、車両を自動走行運転させる専用路線と、マニュアル運転させる都市内エリアの一般路線とを有し、専用路線を自動走行する車両を都市内エリアで一般路線に案内し、一般路線ではマニュアル運転させて目的地まで輸送させるようにしたので、乗客を目的地まで効率よく輸送させることができ、利便性を向上させて運転手の労力軽減を図ることができる。
【0142】
さらに、本発明に係る車両交通システムは、駅部およびすれ違い部に設けられ、走行車両と制御情報の授受をスポット通信で行う非接触式の通信手段と、上記走行車両に進路指令・出発指令の管制制御を通信手段を介して行なう管制制御システムとをさらに備え、管制制御システムは走行車両の運行制御、運行計画および運転監視を前記非接触式の通信手段を介して走行車両とスポット通信で行なうようにしたので、建設コストの軽減が図れる一方、単線方式の専用路線の駅部間にすれ違い部を設け、単線方式であっても高密度な双方向運転を行なうことができ、さらに、管制制御システムはすれ違い部および駅部に設けられた通信手段によるスポット通信で走行車両との通信が行なわれ、専用路線全体に連続通信アルゴリズムを敷設する必要がないので、通信手段の設置が簡素化される。
【0143】
さらにまた、本発明に係る車両交通システムは、管制制御システムからスポット通信で車両側に送信される制御情報で管制制御され、単線方式の専用路線の駅部あるいはすれ違い部で双方向に進行する車両あるいは車両群同士をすれ違い制御させて双方向運転させることができ、通信タイミングがずれても、車両あるいは車両群同士を駅部あるいはすれ違い部で確実にすれ違わせることができる。
【0144】
また、本発明に係る車両交通システムにおいては、管制制御システムで最も交通量の多い仮想ダイヤを作成しておき、専用路線に入る車両に仮想ダイヤの空きの有無を確認して仮想ダイヤの空き部分にダイナミックに割り付けることで、仮想ダイヤ通りに走行させ、単線すれ違いを簡単に実施させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車両交通システムの一実施形態を示すシステム構成図。
【図2】本発明の車両交通システムを構成するIMTSの概要図。
【図3】本発明に係る車両交通システムを構成するIMTSの全体的な概要図。
【図4】本発明に係る車両交通システムに組み込まれる管制制御システムと走行制御システム(保安制御システム)と車両制御システムとの相対的な関係を示す説明図。
【図5】本発明に係る車両交通システムの概略的なシステム構成を示す図。
【図6】本発明に係る車両交通システムを備えた対象路線例を示す図。
【図7】本発明に係る車両交通システムに用いられる専用路線としての専用道路の閉塞区間を例示した図。
【図8】(A),(B)および(C)は本発明に係る車両交通システムを用いて車両を閉塞制御運転させた一例を示す特徴図。
【図9】(A),(B)および(C)は本発明に係る車両交通システムにおいて、専用路線に合流される車両を路線毎に示す図。
【図10】(A),(B)は本発明に係る車両交通システムにおける通過許可(進行許可)車両ID送信例を時系列的に示した図。
【図11】本発明に係る車両交通システムにおいてシステム起動時(再起動時)の在線チェック例を示す図。
【図12】本発明に係る車両交通システムにおいて専用路線内の車両数チェック例を示す図。
【図13】(A),(B)は本発明に係る車両交通システムにおいて同じ編成の隊列走行からの車両切り離し例を時系列的に示す図。
【図14】本発明に係る車両交通システムにおいて、分岐部の車両進路制御例を示す説明図。
【図15】本発明に係る車両交通システムにおいて、車両の定時走行制御例を示す説明図。
【図16】本発明に係る車両交通システムにおいて、無ダイヤ走行時の車両同士のすれ違い制御例を示す説明図。
【図17】本発明に係る車両交通システムにおいて、車両編成制御を行なうバーチャルダイヤを示す図。
【図18】本発明に係る車両交通システムにおいて、基本閉塞制御方式で単体すれ違い制御例を説明する図。
【図19】本発明に係る車両交通システムにおいて、車両合流時の閉塞制御例を示す説明図。
【図20】本発明に係る車両交通システムにおける車両のすれ違い運転例を示す説明図。
【図21】本発明に係る車両交通システムにおける車両の保安制御例を示す図。
【図22】本発明に係る車両交通システムにおいて、車両の解放制御例を示す説明図。
【図23】鉄道に採用された従来の交通システムを示す構成図。
【符号の説明】
10,10A 車両交通システム
11 専用道路(専用路線)
12 一般道路(一般路線)
13 駅部(インターチェンジ)
14 すれ違い部
15 管制制御システム
16 走行制御システム
17 車両制御システム
18 通信LAN
19 路車間通信機(非接触式通信手段)
20 車両
23 車両保安制御装置
24 前方監視レーダ(先行車両認識センサ)
25 磁気センサ(位置検出センサ)
26 車両側路車間通信機(車両側通信コイル)
28 車両情報管理手段
29 車両走行制御手段
30 運行計画作成手段
32 運行管理手段
33 運行監視手段
34 時刻管理手段
35 システム保守手段
37 管制情報入出力装置
39 走行制御装置
40 進路制御手段
41 異常処理手段
42 在線管理手段
43 システム管理手段
44 通信制御装置
45 走行制御用広域LAN(FDDI)
46 走行制御入出力装置(走行制御I/D)
47 光LAN
48 リモート入出力装置(R−I/O)
49 地上側路車間通信機(制御情報伝送装置、ループコイル)
50 磁気ネイル
51 S極磁気ネイル
52 N極磁気ネイル
53,54 車両検知装置
56 待避線
60 停止/発車指示通信装置
61 本線
62 待機線

Claims (2)

  1. 車両を自動走行運転させる単線方式の専用路線を設け、この専用路線は都市毎に駅部を1箇所以上設け、上記駅部間に車両同士をすれ違い可能なすれ違い部を所要間隔をおいて設け、前記駅部およびすれ違い部で車両同士をすれ違い可能に双方向運転させる一方、前記専用路線の駅部およびすれ違い部に設けられ、かつ、走行車両と制御情報の授受をスポット通信で行う非接触式の通信手段と、上記走行車両に進路指令・出発指令の管制制御を通信手段を介して行なう管制制御システムとをさらに備え、管制制御システムは走行車両の運行制御、運行計画および運転監視を前記非接触式の通信手段を介して走行車両とスポット通信で行なうように構成し、前記管制制御システムは、走行車両と次にすれ違い予定の対向車両との間の通信タイミングにずれが生じたとき、各車両が次にそれぞれ到達する駅部あるいはすれ違い部の到達可能時刻を予め推定して計算し、その時刻ですれ違い制御を行なうように構成したことを特徴とする車両交通システム。
  2. 車両を自動走行運転させる単線方式の専用路線を設け、この専用路線は都市毎に駅部を1箇所以上設け、上記駅部間に車両同士をすれ違い可能なすれ違い部を所要間隔をおいて設け、前記駅部およびすれ違い部で車両同士をすれ違い可能に双方向運転させる一方、前記専用路線の駅部およびすれ違い部に設けられ、かつ、走行車両と制御情報の授受をスポット通信で行う非接触式の通信手段と、上記走行車両に進路指令・出発指令の管制制御を通信手段を介して行なう管制制御システムとをさらに備え、管制制御システムは走行車両の運行制御、運行計画および運転監視を前記非接触式の通信手段を介して走行車両とスポット通信で行なうように構成し、前記管制制御システムは、交通量の最も多い状態を基準とした仮想ダイヤを作成し、専用路線に入る車両に、仮想ダイヤが空いているか否かを確認して空席部分の仮想ダイヤを埋め、仮想ダイヤ通りの走行ですれ違い制御を行なうように構成したことを特徴とする車両交通システム。
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