JP3603638B2 - 楽音発生方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、演算処理装置の波形演算により楽音波形サンプルを生成する楽音発生方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の演算処理装置を用いて楽音波形サンプルを波形生成演算により生成するようにした複数チャンネル同時発音可能な音源においては、各楽音発生チャンネルにおける単位時間当たりに演算生成する波形サンプルの数(演算サイクルと呼ぶ)は各音源毎に一定とされている。
また、1発音中においても、楽音波形サンプルを演算する前記波形演算サイクルは固定とされており、1発音の途中で前記波形演算サイクルを変化させることは行なわれていない。
【0003】
ここで、定義された「演算サイクル」は、本発明に特徴的な考え方の尺度である。演算サイクル、すなわち、単位時間当たりに演算生成されるサンプル数が異なれば、当然、生成された楽音が含有することのできる周波数帯域の上限周波数も異なってくる。
演算サイクルを、1秒間当たりに生成するサンプル数(等価サンプリング周波数)に換算すれば、サンプリングの定理により前記上限は、そのほぼ1/2の周波数となる。例えば、単位時間1/375秒毎に128サンプルの演算生成を行う場合、等価サンプリング周波数は128×375=48(kHz)となり、生成する楽音は上限とされる約24(kHz)までの周波数成分を有することができる。
一般に、サンプリング周波数はディジタル楽音の品質を決める要素であるので、演算サイクルに応じて楽音のクォリティが左右される。
【0004】
一方、この演算サイクルは楽音生成演算の単位時間当たりの演算量にもダイレクトに反映する。1サンプル分の楽音の生成で行われる演算はサンプル毎にそれほど変わらないので、単位時間に演算生成するサンプル数にほぼ比例して必要な演算量も増大する。つまり、前記楽音のクォリティを改善しようとして演算サイクルを高くすると、前記必要な演算量が増えてしまい回路規模が大きくなる。場合によっては演算不可能になってしまうという互いに相容れない関係にあり、如何にバランスを取るかが音源を設計する際のポイントになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、各楽音発生チャンネルにおいて生成される楽音波形の周波数帯域は各楽音の音色等に応じて一般に異なる場合が多く、前記した従来の音源のように各楽音発生チャンネルにおける波形演算サイクルを一定とすると、広帯域が必要でない楽音波形を発生するチャンネルについては、不要な周波数帯域までの無駄な演算を行なってしまうことになる。また、波形演算サイクルを広帯域が必要でない楽音波形に合わせて設定した場合には、広帯域の必要な楽音波形サンプルの生成ができないことになる。
【0006】
さらに、減衰音系の1発音中の楽音波形は、そのアタック部においては高調波が多く含まれて広帯域とされるが、減衰の進んだ持続部においては高調波が少なく余り広帯域とされていない。この場合に、従来のように1発音中において楽音波形サンプルを演算する波形演算サイクルを固定とすると、1発音中の広帯域が必要でない部分においては不要な周波数帯域までの無駄な演算を行なってしまうことになる。また、波形演算サイクルを広帯域が必要でない部分に合わせて設定した場合には、広帯域の必要な部分の生成ができないことになる。
さらにまた、発音チャンネル数が多く設定されていたりして、演算量が大きすぎるようになると、再生されるタイミングまでに演算が終了せず再生波形データが途切れてしまうことになる。
【0007】
そこで、本発明は、演算処理装置の演算により楽音を生成する楽音発生方法において、再生波形データが途切れることなく楽音を効率よく生成できるようにすることを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の楽音発生方法は、演算処理装置の演算により、複数の発音チャンネルについて楽音を生成する楽音発生方法において、単位時間当たりの演算処理内容を指示する制御情報により、発音チャンネルについて前記単位時間あたりに演算される波形演算量が決定されており、発音チャンネルが増加することにより前記単位時間当たりに実行される波形演算量が所定範囲を超えていると判断された場合は、前記単位時間当たりに実行される波形演算量が少なくなるように、前記制御情報を変更するようにしている。
【0009】
また、前記目的の達成することのできる本発明の他の楽音発生方法は、演算処理装置の演算により、複数の発音チャンネルについて楽音を生成する楽音発生方法において、単位時間当たりの演算処理内容を指示する制御情報により、各発音チャンネル毎に前記単位時間あたりに演算される波形演算量が決定されており、発音チャンネルが増加することにより単位時間当たりに実行される波形演算量が所定範囲を超えていると判断された場合は、前記複数の発音チャンネルの優先順位を示す優先順位データに基づいて優先順位の低いチャンネルから、前記単位時間当たりに実行される波形演算量が少なくなるように、前記制御情報を変更するようにしている。
【0010】
さらに、前記目的を達成することのできる本発明のさらに他の楽音発生方法は、演算処理装置の演算により、複数の発音チャンネルについて楽音を生成する楽音発生方法において、単位時間当たりの演算処理内容を指示する制御情報により、各発音チャンネル毎に前記単位時間あたりに演算される波形演算量が決定されており、発音チャンネルが増加することにより単位時間当たりに実行される波形演算量が所定範囲を超えていると判断された場合は、前記複数の発音チャンネルの優先順位を示す優先順位データに基づいて優先順位の低いチャンネルから、前記単位時間当たりに実行される波形演算量が少なくなるように、前記制御情報を変更し、さらに、必要に応じて、前記優先順位データに基づいて優先順位の低いチャンネルから消音するようにしている。
さらにまた、前記楽音発生方法において、前記演算処理装置の演算により楽音を生成する場合に、該楽音を生成する演算を所定周期毎に行うと共に、該各演算毎に複数サンプリング周期分の楽音波形サンプルを一括して演算生成するようにしてもよい。
【0011】
このような本発明によれば、演算処理装置の演算により楽音を生成する際に、演算量が大きすぎても再生波形データが途切れることなく楽音を生成することができるようになる。
また、演算量を低減する際に、優先度の低い発音チャンネルから単位時間当たり実行される演算量を少なくするようにしているので、重要度の低い音から落とされるようになり、音楽上の影響は少なくなる。
さらに、演算量を低減する必要がある場合には、優先度の低い発音チャンネルから消音するようにしているので、優先度の高い楽音の単位時間当たりの演算量を少なくすることなく、再生波形データが途切れないように楽音を生成することができるようになる。
このように、本発明によれば、重要度の高い楽音はその品質を落とすことなく、大きすぎる演算量を低減することができ、これにより、再生波形データが途切れることなく楽音を生成することができるようになる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の楽音発生方法を実行できる楽音生成装置の構成を示すブロック図を図1に示す。
この図において、1はアプリケーションプログラム等を実行して楽音波形サンプルの生成等の各種制御を行なう演算処理装置ユニット(CPU)、2はCPUの動作プログラムやプリセット音色データ等が記憶されているリード・オンリ・メモリ(ROM)、3はCPU1のワークメモリエリアや音色データエリア等の記憶エリアを有するランダム・アクセス・メモリ(RAM)、4は時刻を指示すると共に、タイマ割込処理のタイミングをCPU1に指示するタイマ、5はMIDIイベントが入力されると共に、生成されたMIDIイベントを出力するMIDIインタフェース、6は英字、かな、数字、記号などを備えるいわゆるパーソナル・コンピュータ用のキーボードである。
【0013】
7はユーザが楽音生成装置と対話するためのディスプレイ(モニタ)、8は楽音を生成するプログラム等のアプリケーションプログラムが予めインストールされていると共に、楽音波形サンプルを生成するために使用する楽音波形データ等が記録されているハードディスク(HDD)、9はCPU1により指定されたRAM3の一部のエリアに記憶されている楽音波形サンプルのデータをCPU1を介することなく直接に受渡を行ない、一定の再生周期(再生サンプリング周波数)ごとに1サンプルづつ読み出してディジタル・アナログ変換器(DAC)に供給する再生部(DMA:Direct Memory Access)、10は楽音波形サンプルのデータを受け取りアナログ信号に変換するディジタル・アナログ変換器(DAC)、11はDAC10から出力されたアナログ信号に変換された楽音信号を放音するサウンドシステムである。
【0014】
次に、RAM3に設定される各種レジスタのエリアの構成を図2ないし図5に示すが、図2に音色データおよび波形データが記憶されるエリアの構成を、図3にMIDIインターフェース5を介して入力されるMIDIメッセージが格納される入力バッファの構成を、図4に各発音チャンネルの楽音波形サンプルを生成するに必要な各種パラメータが記憶される音源レジスタの構成を示している。
図2に示すエリアには、PD1,PD2,・・・PD16の16種類分の音色データと、WD1,WD2,・・・WDnのn種類の波形データが記憶されている。なお、後述するOPEG波形が波形データ毎に用意されて、波形データWD1,WD2,・・・WDnと共に記憶されている。
【0015】
なお、それぞれの音色データPD1,PD2,・・・PD16は、各音域の波形を指定するデータ(各音域波形指定)、ビブラート等の効果をかけるためのLFO(Low Frequency Oscillator) 制御用のデータ(LFO制御OD)、音色フィルタ特性を時間の経過と共に変化させるフィルタ・エンベロープの発生制御用のデータ(FEG制御OD)、音量変化特性を制御する音量エンベロープの発生制御用のデータ(AEG制御OD)、ベロシティにより楽音の立ち上がりの速さ等を変えるタッチ制御用のデータ(タッチ制御OD)、後述する演算サイクル制御データ等のその他のデータ(その他OD)からなっている。
【0016】
また、図3に示す入力バッファのエリアには、MIDIインターフェース5を介して入力されるノートオン、ノートオフや各種イベントデータID1,ID2,ID3・・・が順次書き込まれ、このMIDIイベントデータID1,ID2,ID3・・・が読み出されてそのイベント処理が楽音生成装置内において実行されることにより、イベントに応じた楽音波形サンプルが生成される。
なお、MIDIイベントデータID1,ID2,ID3・・・は、MIDIイベントのデータ内容(データ1等)と、そのイベントデータの発生時刻(データ1発生時刻等)とが1組として構成される。この発生時刻はタイマ4の現在時刻を取り込むことにより知ることができる。
【0017】
次の図4に示すエリアは、それぞれの発音チャンネルで生成される楽音波形サンプルの制御を行なう各種楽音パラメータが記憶される各発音チャンネルごとに用意されたレジスタ(1ch,2ch,3ch,・・・32ch)からなる音源レジスタとして使用される。なお、この例では発音チャンネルが32チャンネルとされた場合の音源レジスタとされている。
【0018】
各発音チャンネルのレジスタ(1ch,2ch,3ch,・・・32ch)には、その発音チャンネルで発音される楽音のノート・ナンバ、RAM3に記憶されている波形データのいずれかを指定する波形指定データ(波形指定D)、LFO制御データ(LFO制御D)、フィルタ・エンベロープ制御データ(FEG制御D)、音量エンベロープ制御データ(AEG制御D)、ノートオンデータ、その他のデータ(その他D)、および各発音チャンネルの楽音サンプルの生成時に使用されるワークエリアからなっている。
なお、各発音チャンネルの波形指定D、LFO制御D、AEG制御Dは、前記した音色データPD1,PD2,PD3,・・・PD16のいずれかをMIDIイベントの内容に応じて加工して作成されたデータとされる。
【0019】
次の図5には出力バッファを示すが、本発明の楽音発生方法においては演算サイクルが異なると、演算時刻が到来した時に一括して演算生成される楽音波形サンプル数が異なるようになるため、演算サイクルCCごとに出力バッファが用意される。図示する場合は、演算サイクルが3種類とされた場合を示しており、同図(a)〜(c)に示すように、基本演算サイクル(CC=0:等価サンプリング周波数48kHz)用のバッファ0、基本演算サイクルの1/2の演算サイクル(CC=1:等価サンプリング周波数24kHz)用のバッファ1、基本演算サイクルの1/4の演算サイクル(CC=2:等価サンプリング周波数12kHz)用のバッファ2が用意されている。したがって、図示するようにバッファ1はバッファ0の1/2のサンプル数を記憶できる容量とされ、バッファ2はバッファ0の1/4のサンプル数を記憶できる容量とされる。
【0020】
なお、演算サイクルCCは、各発音チャンネルごとおよび1発音中の楽音波形において指定され、演算時刻ごとに行なわれる1単位区間用の波形として、各発音チャンネルで演算生成される楽音波形サンプル数を指定するものであり、生成される楽音発音サンプル数に対応する等価サンプリング周波数で示すこともできる。
この演算サイクルCCの指定は、生成すべき楽音波形サンプルの周波数帯域に応じて決定される。
【0021】
すなわち、図5(a)に示すバッファ0は楽音波形の周波数帯域が広帯域とされる場合のものであり、演算時刻が到来するごとに生成される128サンプル(SD1,SD2,SD3・・SD128)の楽音波形サンプルが記憶される出力バッファとされ、同図(b)に示すバッファ1は楽音波形の周波数帯域が余り広くない場合のものであり、演算時刻が到来するごとに生成された64サンプル(SD1,SD2,SD3・・SD64)の楽音波形サンプルが記憶される出力バッファとされ、同図(c)に示すバッファ2は楽音波形の周波数帯域が狭い場合のものであり、演算時刻が到来するごとに生成された32サンプル(SD1,SD2,SD3・・SD32)の楽音波形サンプルが記憶される出力バッファとされている。
【0022】
これらのバッファ0ないしバッファ2の出力バッファには、発音チャンネルによらず、演算サイクルCCが同じにされた(周波数帯域が略同じにされた)楽音波形サンプルが全発音チャンネルにわたって足し込まれて格納されている。すなわち、新しく演算生成された楽音波形サンプルは、すでに記憶されている楽音波形サンプルに加算されて、同じ出力バッファの同じ位置に記憶される。
また、全発音チャンネルの楽音波形サンプルの生成が終了すると、すべての発音チャンネルの楽音波形サンプルが累算されて再生部9に渡されて発音されることになるが、楽音波形サンプル数がバッファ0とバッファ1とバッファ2とで異なるために単純に累算することはできない。
【0023】
そこで、バッファ1の64サンプルの楽音波形サンプルを補間することにより128サンプルの楽音波形サンプルを得るようにして図2(d)に示すバッファ1’に記憶し、バッファ2の32サンプルの楽音波形サンプルを補間することにより128サンプルの楽音波形サンプルを得るようにして図2(e)に示すバッファ2’に記憶するようにする。
この場合、バッファ1’の楽音波形サンプルSD1、SD2、SD3、・・SD128は1つおきにバッファ1の楽音波形サンプルSD1、SD2、SD3、・・SD64と同じになり、バッファ2’の楽音波形サンプルSD1、SD2、SD3、・・SD128は3つおきにバッファ2の楽音波形サンプルSD1、SD2、SD3、・・SD32と同じになる。
【0024】
このようにして、それぞれ128サンプルとされたバッファ0と、バッファ1’と、バッファ2’の同じ位置の楽音波形サンプルが累算されて、例えばバッファ0の同じ位置に記憶される。そして、バッファ0は再生予約されて再生部9から読み出されて発音されるようになる。
なお、全発音チャンネルの楽音波形サンプルをバッファ0に必ずしも記憶する必要はなく、128サンプルのエリアを有する出力バッファであればいずれでも良い。
【0025】
次に、前記したように出力バッファを使用する図1に示す楽音生成装置において実行される楽音発生方法の概要を図6ないし図11を参照して説明する。ここで、楽音生成装置は波形メモリ音源方式とされており、図6は1発音中の波形データの例を示しており、図7は図6に示す波形データの各時点での周波数スペクトルを示しており、図8は生成された楽音波形サンプルを定再生レートで再生した場合の1発音中の楽音波形の時刻に対するピッチ変化の例を示しており、図9は1発音中の楽音波形サンプルを演算生成する時刻に対する演算サイクルの変化の変化態様の例を示しており、図10は1発音中の楽音波形サンプルを演算生成する時刻に対してFナンバを変化させる変化態様の例を示しており、図11は楽音波形生成を行なう音源処理におけるタイミング・チャートを示している。
【0026】
本発明の楽音発生方法においては、図11(a)に示すように、演算の時刻が到来するごとに、再生部9から読み出されるべき1単位区間用の楽音波形サンプルが演算生成される。この場合、演算時間と演算時間との間では同図(b)に示すように新たなノートオン・イベントやノートオフ・イベントが受信され、これらのイベントに応じた複数の楽音波形サンプルが同図(c)に示す時間で一括されて演算生成されるようになる。
そして、演算生成されて前記したように出力バッファ0に記憶されている全発音チャンネル分の楽音波形サンプルが、同図(d)に示すように再生部9において1単位区間の楽音波形サンプルとして読み出され、定再生レート(一定の再生サンプリング周波数)で再生されて発音される。
【0027】
本発明においては、出力バッファの説明において述べたように1単位区間用の複数の楽音波形サンプルが演算生成される時に、演算生成される楽音波形の周波数帯域に応じた演算サイクルCCに変更するようにしている。
そこで、演算サイクルCCを変更する態様について説明する。減衰音系の1発音中の波形データは例えば図6に示すように変化するが、その横軸は発音中の時刻を示しており、a,b,c,dの時点の波形データに含まれる基本波および高調波のスペクトル分布を図7に示す。時点aで示す部分はアタック部であり、その楽音波形を例えばその上に示すが、図7(a)に示すように高調波のスペクトルが多く含まれた複雑な波形となっている。次に、時点bで示す部分は減衰が若干進んだ部分であり、図7(b)に示すように周波数の高い高調波のスペクトルの減衰が速く進んでいる。
【0028】
さらに、時点cで示す部分は減衰がさらに進んだ持続部(サスティン部)であり、その楽音波形を例えばその上に示すが、図7(c)に示すように高調波のスペクトルが減衰して基本波に近い単純な波形となっている。次に、時点dで示す部分は減衰がかなり進んだ部分であり、図7(d)に示すように周波数の高い高調波のスペクトルはほとんど減衰してほぼ基本波となっている。
このように1発音中の波形データは、その1発音中の時刻によって波形データの周波数帯域が異なるものとされ、その最も広い周波数帯域の波形データを演算生成できるような演算サイクルに固定しておくと、前述したように不要な周波数帯域までもの波形データを演算生成することになる。
【0029】
そこで、本発明の楽音発生方法では、図9に示すように演算サイクルCCを1発音中の時刻の経過に応じて変更している。図示する場合は、時刻t2までは演算サイクルCCが基本演算サイクルの周波数である48kHzとされ、時刻t2から時刻t4までは今までの1/2の演算サイクルに相当する24kHzとされ、時刻t4以降はさらに1/2の演算サイクルに相当する12kHzとされて演算サイクルCCが変更されている。
なお、この演算サイクルCCの変更は、前記図11に示す1単位区間を最小単位として1単位区間内では変更しないようにする。
【0030】
このように、周波数帯域に応じた演算サイクルCCとしたので、本発明は不要な周波数帯域までもの波形サンプルの演算生成を極力行うことがなく、無駄な演算を低減することができる。そして、低減した演算を他の発音チャンネルの演算に振り分けると、そのチャンネルの楽音のクォリティを向上することができ、また、低減した演算により発音チャンネル数を増加することもできる。
なお、各発音チャンネルの演算サイクルを1単位区間の途中で変更するように設計することもできる。その場合、変更される演算サイクルCCに応じて、各チャンネルの生成演算を変更すると共に、そのチャンネルの出力を足し込む出力バッファを、1単位区間の途中で変更する。
【0031】
ところで、前記図2に示すRAM3に記憶されている波形データWD1,WD2,・・WDnは、前記したように1発音中において記録に必要な周波数帯域が変化するため、この変化に応じて波形データをサンプリングして記憶させるサンプリング周波数を変化させるようにして、記憶される波形データ量を低減している。この場合、アタック部においてはサンプリング周波数が高くされ、波形データの減衰に伴いサンプリング周波数も次第に低くされるのが一般的である。
このように、1発音中でサンプリング周波数を変化させながら記憶した波形データを、定レートでRAM3から読み出した場合、波形データのピッチがそのサンプリング周波数に応じて変化するようになる。
【0032】
なお、図6において時点aと時点cのそれぞれ1周期分の波形形状が図示されているが、時点cの波形の横軸方向の幅が時点aの波形の横軸方向の幅の約半分となっているのは、上記説明した1発音中でのサンプリング周波数の変化による。
すなわち、もともとの波形のピッチは時点aと時点cでほぼ同じであったのであるが、波形を録音する際のサンプリング周波数が時点cでは時点aの約半分の周波数であったため、波形メモリに記憶された波形の1周期分に相当するアドレスの長さが時点cでは時点aの1周期分に相当するアドレスの長さの約半分になっている。
【0033】
例えば、波形データを基本演算サイクル(図9に示す例では48kHz)ごとに1サンプルづつ読み出した場合のピッチである元ピッチOPの、1発音中でのピッチの変化の様子を示す波形(OPEG)の例は図8に示すようになる。この図においては、ノート・ナンバC2の元ピッチOPが、時刻t1から時刻t3にかけて1オクターブ上のノート・ナンバC3のピッチに直線的に変化している例が示されている。(ただし、縦軸はセントスケールとされている。)したがって、このような波形データを読み出して楽音サンプルを生成する場合には、1発音中においてピッチが変化しないように読み出し速度(=Fナンバ=生成する楽音1サンプル毎の波形メモリの読み出しアドレスの進み量)を制御する必要がある。
ここで、波形データをサンプリングして波形メモリへ取り込む時のサンプリング周波数は、上述したOPEG波形と丁度反対の変化(セントスケール上)であり、録音時にサンプリング周波数の変化を制御したデータに基づいて、OPEG波形の形状を制御するOPEG制御データが生成される。
【0034】
指定されたピッチを有する楽音を発生するためには、該ピッチとOPEG波形に基づいて、元ピッチ(OPEG波形の値で示される)を指定された該ピッチまでピッチシフトさせるためのピッチ変更量としてFナンバを生成すればよい。具体的な手段としては、まず、セント単位上において、発音ピッチとして指定されたピッチと元ピッチの差を計算する。次に、得られた差を、セント単位からHz単位に変換すると、Fナンバが得られる。この場合、指示される発音ピッチが変動しなくとも、OPEGが時間変化すると、FナンバはOPEGの変化に応じて変化する。
【0035】
また、演算時刻が到来するごとに1単位区間の波形サンプル数として演算サイクルCCで示される数の波形サンプルを演算生成しているのであるが、図9に示すように1発音の途中で演算サイクルCCを変化した場合には、その時点で1サンプル演算ごとに読み出す波形データの進み量(=Fナンバ=読み出し速度)を、演算サイクルCCに応じて変化させる必要がある。例えば、48kHz(CC=0)の基本演算サイクルCCを24kHz(CC=1)に半減した場合、1サンプル演算ごとの進み量を当初の2倍にし、さらに、12kHz(CC=2)に低減された場合は、当初の4倍の進み量とする必要がある。
そこで、本発明では演算生成時に指定された波形データを読み出すアドレスカウンタの、楽音波形の1サンプル演算ごとの進み量であるFナンバを、演算サイクルCCが変化するタイミングで一緒に変化させるようになっている。演算サイクルCCは、各発音チャンネルの無駄な波形演算量を節約するように、チャンネル毎に設定される。
【0036】
本発明では、波形データのサンプリング周波数変化による波形圧縮(図8に示すOPEG波形の変化)と、演算サイクルCCの変化による波形演算量の節約(図9に示すCCの変化)の両方が実現されており、結果として、Fナンバは1発音中で図10のように変化する。
この図に示すように、当初FN0 であったFナンバは、OPEG波形の変化に応じて、時刻t1から時刻t2にかけて曲線状に低下している。さらに時刻t2において、演算サイクルCCが半分になったことに対応してFナンバが2倍にされ、時刻t2から時刻t3にかけてOPEG波形の変化に応じて、先程と同様、曲線状に低下している。
【0037】
次いで、時刻t3から時刻t4までは一定値FN0 (2倍になったOPEG波形と半分になった演算サイクルCCが互いに打ち消しあって、たまたま元のFナンバに戻る。)とされ、時刻t4で演算サイクルCCが当初の1/4倍とされたことに対応して、さらに2倍にされており、時刻t4以降では一定値(2FN0 )とされる。
【0038】
このFナンバを算出する式を次式に示す。
Fナンバ=2(SP−OP)/1200*2CC
ただし、この式においてSPは発音すべきノート・ナンバのピッチであり、OPは元ピッチ、CCは基本演算サイクル(48kHz)に対する割合を示す値であり、演算サイクルが基本演算サイクルの時はCC=0、演算サイクルが1/2とされた時はCC=1、演算サイクルが1/4とされた時はCC=2である。
【0039】
図12は、CPU1が実行する本発明の楽音発生方法を適用したソフトウェア音源のメインルーチンのフローチャートを示す図であり、メインルーチンがスタートされるとステップS10にて初期設定が行われる。初期設定では全発音チャンネルのクリアや、音色データおよび波形データ等の準備が行われる。次いで、ステップS20にて受信データがあるか否かが判定されるが、この判定は前記した図3に示す入力バッファにMIDI受信データが記録されているか否かを判定することにより行なわれる。
そして、入力バッファにMIDI受信データがない場合はそのままステップS40に進むが、入力バッファに受信データがある場合には、ステップS30にて受信されたMIDIイベントに応じた処理(ノートオン処理、ノートオフ処理等)やその他処理を行なう受信データ処理が行われる。
【0040】
そして、ステップS40にてスイッチ(SW)が操作されたか否かが判定され、スイッチが操作されていない場合にはそのままステップS60に進むが、スイッチが操作された場合はSWイベントありと判定されて、操作されたパネルスイッチに応じて複数パートの各パートの音色を設定するための処理がステップS50のパネルSWイベント処理において行なわれる。
続いて、ステップS60にて演算時刻が到来するごとに楽音波形サンプルを一括して演算生成する音源処理が行われ、ステップS70にてその他の処理が行われ、ステップS20に戻り、ステップS20ないしステップS70の処理が循環して繰返し行われる(定常ループ)。なお、再生部9を、アルゴリズム選択可能専用音源、または、DSP音源とした場合、ステップS60の音源処理は不要になる。
【0041】
次に、CPU1の実行するMIDI受信割込処理のフローチャートを図13に示す。この処理は、MIDIインタフェース5が外部より何らかのMIDIイベントを受信した際に割込により起動される。このMIDI受信割込処理は、他の処理より優先して行われる処理である。このMIDI受信割込処理が開始されると、ステップS80にてMIDIインターフェース5により受信された受信データが取り込まれ、ステップS90にてその受信データは受信された時点の時刻データと組にされて図3に示されるような形式で前述した入力バッファに書き込まれて、割込発生時の処理へリターンされる。これにより、受信したMIDIデータは、順次、受信時刻と共に入力バッファに書き込まれるようになる。
【0042】
次に、メインルーチンのステップS50にて行なわれるパネルスイッチイベント処理の例としてパート1の音色選択イベント処理のフローチャートを図14に示す。パート1の音色選択イベント処理が開始されると、ステップS100にてパネルスイッチで選択された音色番号がレジスタにt1として格納されて、この処理は終了する。これにより、パート1の音色が決定され、図示しないがすべてのパートの音色が選択される処理がメインルーチンのステップS50にて行なわれる。
【0043】
次に、メインルーチンの定常ループでステップS30として実行される受信データ処理において行なわれるノートオン・イベント処理、およびノートオフ・イベント処理の詳細フローチャートを図15(a)(b)に示す。
受信データがノートオン・イベントの場合に図15(a)に示すノートオン・イベント処理が開始され、ステップS110にて、入力バッファ中のそのノートオン・イベントのノートナンバがNNとして、ベロシティがVELとして、パート別音色がtとしてそれぞれレジスタに取り込まれ、さらにそのノートオン・イベントの発生時刻がTMとしてレジスタに取り込まれる。次いで、ステップS120にてレジスタに取り込まれたノートナンバNNの発音割当処理が行われ、割り当てられたチャンネル(ch)の番号iがレジスタに取り込まれる。
【0044】
さらに、ステップS130にて前記パート別に設定されている音色tの音色データTP(t)をノート・ナンバNNおよびベロシティVELに応じて加工する。この場合の音色データは図2に示す音色データPD1ないしPD16のうちの選択されたいずれかの音色データである。そして、ステップS140にて図4に示す音源レジスタのうちレジスタに取り込まれたch番号iの音源レジスタに、発音すべきピッチSPを含む前記ステップの処理で加工された音色データを、前記ノートオン・イベントの発生時刻TMと共に書き込む。
ここで、音源レジスタに書き込まれる波形指定データDは、図2に示す音色データ中の音域波形指定データをノートナンバNNで参照することにより求められ、該ノートナンバNNに対応した楽音生成に用いるべき波形として、波形データWD1から波形データWDnのうちのいずれか1つが指定される。
【0045】
次に、ステップS150にてレジスタに取り込まれたichの演算サイクルを変更するタイミング、および変更する演算サイクル値を指定する演算サイクル制御データが音源レジスタのich領域に設定される。この演算サイクル制御データの設定は、ichで選択された音色データ中に記憶された演算サイクル制御データに基づいて設定される。演算サイクルを変更するタイミングは前記した演算時刻ごとに演算を行なう1単位区間を最小単位として指定されるので、演算時刻に達する回数によりタイミングを検出し、変更を実行することができる。次いで、ステップS160にてレジスタに取り込まれたichに波形データエリアから読み出されたOPEG制御データが音源レジスタのich領域に設定される。このOPEG制御データは、前記図8に示すような元ピッチの1発音中での変化の様子を示すOPEG波形の形状を制御するデータである。
次いで、ステップS170にてレジスタに取り込まれたichの音源レジスタにノートオンが書き込まれ、ノートオン・イベント処理は終了する。
【0046】
図15(b)に示すフローチャートのノートオフ処理は、受信したデータがノートオフ・イベントの場合に開始され、ステップS180にて、入力バッファ中のそのノートオフ・イベントのノートナンバがNNとして、パート別音色がtとしてそれぞれレジスタに取り込まれ、ノートオフ・イベントの発生時刻がTMとしてレジスタに取り込まれる。次いで、ステップS190にて音色t,ノートナンバNNで発音されている発音チャンネル(ch)がサーチされ、見つかった発音chの番号iがレジスタに取り込まれる。
次に、ステップS200にてこのichの音源レジスタに前記レジスタに取り込まれた発生時刻TMとノートオフが書き込まれてノートオフ処理は終了する。
【0047】
次に、メインルーチンの定常ループでステップS60として実行される音源処理の詳細フローチャートを図16を参照しながら説明する。
音源処理が開始されると、ステップS210にて音源レジスタのチェックが行なわれ、新規な書き込みがない場合にはステップS220からそのままステップS250に進むが、ステップS220にて新規な書き込みがあったと判定された場合には、ステップS230にて書き込まれたデータを、波形演算を制御するための制御データに変換する。
次いで、ステップS240にて変換された制御データの準備が行なわれるが、ここでは変換後のデータに基づいて、ノートオン/オフ,ピッチ・ベンド,EXP,パン等の変換後のデータに基づいた音源制御準備や、制御時刻/制御データ等のセットの作成が行なわれる。すなわち、ステップS230およびステップS240にて書き込みがあるごとに、あとに実行される楽音生成ステップS270〜ステップS290のための演算の準備が行なわれる。
【0048】
続くステップS250では再生部9における再生波形データの読出しが途切れないように、再生中の波形データが終了する時刻より所定時間だけ早いタイミングを指定する演算時刻管理が行なわれる。すなわち、図11に示すように、同図(a)に示す演算時刻とされた時に、同図(c)に示すように1単位区間に相当する複数の楽音波形サンプルの演算生成が実行され、この演算生成された楽音波形サンプルが、同図(d)に示すように1単位区間の楽音波形として再生部9により読み出されて再生されるが、再生部9の読み出す波形サンプルが途切れないよう図11(c)に示す演算生成に要する時間を考慮して、同図(a)に示す演算時刻を設定するように演算時刻管理が行なわれる。
【0049】
次いで、ステップS260にて演算時刻管理が行なわれた演算時刻に達したか否かが判定されるが、演算時刻に達していない場合はそのまま音源処理は終了する。そして、音源レジスタに新規書き込みがなく、かつ、演算時刻に達していない場合は、音源処理は何も処理を行うことなく抜けてしまうが、定常ループが何回か循環すると演算時刻に達し、ステップS270以降において1単位区間に相当する楽音波形サンプルの演算生成処理が行なわれる。
すなわち、ステップS270にて各チャンネルの生成する楽音に応じて、ここで演算生成する楽音波形サンプル数を指定する演算サイクルCCの変更処理、および重要な楽音を発生しているチャンネル順に演算を行なうよう各チャンネルの演算順序を決定する演算順序決定処理、さらに演算サイクルCCを変更しても全発音チャンネルの楽音波形サンプルを生成できない場合に、演算順序の最後から消音するチャンネルを決定する消音ch処理が行なわれる。
【0050】
次いで、前記ステップS240において音源制御準備されたデータを、時間軸上で展開して演算準備を行なう制御データ展開処理がステップS280にて実行され、さらに、ステップS290にて展開されたデータに基づいて1単位区間分の再生波形データ(楽音波形サンプル)を算出する波形演算が実行される。さらに、前記図5を用いて説明したように、演算サイクルの異なる再生波形データは基本演算サイクルで生成されるサンプル数と同じサンプル数となるよう補間されて、同じサンプル数とされて全発音チャンネルの再生波形データが累算され、例えばバッファ0に格納される処理が行なわれる。
そして、ステップS300にて作成した再生波形データを、再生部9が読み出すように予約する再生予約処理が行なわれるが、ここでは、再生予約は全発音チャンネルの再生波形データが累算された再生波形データが格納されているバッファ0に対して行なわれる。
【0051】
本発明は、発音チャンネルごとに演算サイクルを変更すること、および、各発音チャンネルの1発音の途中で演算サイクルを変更することができるが、各発音チャンネルの1発音の途中で演算サイクルを変更する処理等が行なわれる、前記した音源処理におけるステップS270にて実行されるチャンネル制御処理の詳細フローチャートを図17に示す。
チャンネル制御処理が開始されると、ステップS310にて各チャンネルが有している演算サイクル制御データに基づく1発音の途中での演算サイクルを変更する制御処理が行なわれる。ここでは、時刻のカウントを行ない、演算サイクルを変更するタイミングを管理している。そして、管理の結果、現時点では演算サイクルを変更するチャンネルがない場合には、そのままステップS340に進むが、演算サイクルを変更するチャンネルがあった場合(そのチャンネルの演算サイクル制御データの指定する変更タイミングに達した場合)には、ステップS320にてありと判定されて、該チャンネルの演算サイクルCCがステップS330にて新値(同演算サイクル制御データの指定する同タイミングでの変更値)に変更される。
【0052】
次いで、ステップS340にて発音チャンネルの演算順序の決定処理が行なわれるが、ここでは前記したように重要な音や消音しては困る音を発音しているチャンネルの演算が優先して演算が行なわれるようにチャンネルの演算順序が決定される。ここで、楽音を生成中でない発音チャンネルについては演算が行われないので演算順序に含めなくてもよい。そして、ステップS350にて各発音チャンネルの演算量を累算し、全演算量が算出される。この場合、各発音チャンネルの演算量は、各発音チャンネルの演算サイクルによって異なり、また、各チャンネルごとに発音方式が異なっていれば、それによっても異なるものとされる。次いで、ステップS360にて算出された全演算量が多過ぎるか否かが判定されるが、算出された全演算量が所定範囲内であった場合にはそのままチャンネル制御処理は終了し、波形演算処理が行なわれる。
【0053】
また、ステップS360にて算出された全演算量が多過ぎてそのまま全演算を行うと、再生部9が読み出すタイミングまでに演算が終了せず再生波形データが途切れると判定された場合には、ステップS370にて所定順位の演算順序以降とされた発音チャンネルの演算サイクルCCを、必要数だけ「+1」する。すなわち、演算サイクルCCを小さく(CC=0のチャンネルはCC=1に、CC=1のチャンネルはCC=2に)して生成されるサンプル数を減少させる。
この結果、全演算量が所定範囲内に納まったか否かがステップS380にて判定され、所定範囲内とされた場合にはチャンネル制御処理は終了するが、依然として所定範囲を超えていると判定された場合には、ステップS390にて演算順序の最後とされたチャンネルから順に消音チャンネルを決定し、消音処理が実行される。
【0054】
従来の音源制御では、発音すべき楽音が多過ぎる場合、トランケート処理、つまり発音中の楽音のうちのいずれかを消音する処理が行われている。本実施例では、ステップS360で「YES」と判定された場合でも、ステップS370からステップS390の処理で、まず、演算サイクルを落とすことにより、従来行われていた楽音の消音を回避している。しかも、この場合に演算サイクルが落とされるのは、重要度の低い音であるので、音楽上の影響は少ない。また本実施例では、上記演算サイクルの低減だけで対処できない時には、従来と同様の消音処理が実行される。
これで、チャンネル制御処理が終了し、波形演算の処理が続いて行なわれるようになる。
【0055】
次に波形演算処理の詳細なフローチャートを図18に示し、その説明を行なう。波形演算処理が開始されると、ステップS400にて演算順序1番の発音チャンネル準備が行なわれる。この場合、図5に示す各出力バッファは演算に先立ちすべてクリアされる。次いで、ステップS410にて発音するピッチSP、演算サイクルCCおよび元ピッチOPに基づき、前記した式1によりFナンバを発生する。このステップS410にて各チャンネルのFナンバを毎回算出しているため、発音途中での演算サイクルCCや元ピッチOPの変化に応じ、Fナンバが直ちに変化する。さらに、ピッチベンドやビブラート等の効果による発音途中で発音ピッチSPの変化に応じて、Fナンバを変化させることもできる。
なお、演算時刻の発生する時間間隔は一般に数ミリ秒程度であるので、1単位区間分の楽音生成演算の途中でFナンバを変化させる必要はない。
【0056】
次いで、ステップS420にて読み出しアドレスを作成し、作成された読み出しアドレスの整数部に基づいて波形データを読み出すと共に、読み出しアドレスの小数部に基づいて連続する波形データ間の補間処理を行なう。ステップS420の処理では、補間サンプル毎の読み出しアドレス作成から補間処理を1単位として、この単位とされた処理を演算サイクルCCに応じた回数繰り返すようになっている。この結果、演算サイクルCCに応じた数の補間サンプルが生成される。なお、各補間サンプルの読み出しアドレスは、直前の補間サンプルの読み出しアドレスにFナンバを加算することにより求められる。したがって、読み出しアドレスは、各補間サンプル毎にFナンバに応じた速さで進行し、その進行速度に応じて読み出された波形のピッチが制御される。
【0057】
さらに、ステップS430にて前ステップで生成された補間サンプルに音量EG波形による音量制御が施された後、演算サイクルCCに応じた出力バッファのバッファ0ないしバッファ2のいずれかに足し込まれる。この音量EG波形は、楽音の立ち上がりから減衰までの音量エンベロープの変化を制御する波形であり、各発音チャンネルのレジスタに設定されたAEG制御Dに基づいて、各補間サンプルに対応させて演算生成される。すでに説明したように、生成する補間サンプルの数と選択される出力バッファの記憶するサンプル数は、共に、各発音チャンネルの演算サイクルCCで制御されており、互いに同数である。そのため、ステップS430の処理も、先程のステップS430と同様に各サンプル単位である。つまり、生成された補間サンプルに対し、音量EG波形による音量制御、および演算サイクルCCに応じた出力バッファの対応する順番位置への足し込みが、サンプル単位で順次行われる。
以上のような手順で各処理を実行することにより、CPU1の演算レジスタの書き込み/読み出しの回数を最小限に押さえ、全体としての処理速度を向上させている。
【0058】
このようにして、図5に示すように、バッファ0には基本演算サイクルの発音チャンネルで演算された楽音サンプルが、バッファ1には基本演算サイクルの1/2の演算サイクルの発音チャンネルで演算された楽音サンプルが、バッファ2には基本演算サイクルの1/4の演算サイクルの発音チャンネルで演算された楽音サンプルが、それぞれそれまでに格納されていたデータ値に順次足し込まれてそれぞれ格納されるが、この場合は1番目に演算された補間サンプルであるので、そのチャンネルの演算サイクルCCに対応した出力バッファにそのまま格納される。
【0059】
次に、ステップS440にて演算すべき全発音チャンネルの演算が終了したか否かが判定されるが、また、演算すべき(発音中の)発音チャンネルが残っている場合は、終了していないと判定されてステップS480に進み、2番目の順番の発音チャンネルの準備が行なわれてステップS410に戻る。そして、全発音チャンネルの演算が終了するまで、ステップS410ないしステップS480のループの処理が行なわれる。
なお、本発明のプログラム以外のアプリケーションソフトをCPU1が並列実行していると、そのアプリケーションソフトの処理に時間が取られて、本演算が遅れることがあるが、その場合、再生部9の再生が途切れないように、未だ演算されていないチャンネルがあっても、ステップS440にて終了したと判定することがある。
【0060】
これにより、図5に示すバッファ0、バッファ1、およびバッファ2に演算サイクルCCに応じて格納された複数チャンネルの補間サンプルが累算されて格納されるようになる。
全発音チャンネルの演算が終了すると、ステップS450にてバッファ1に格納されている波形サンプルの補間処理(2倍オーバサンプリング)が行なわれて、基本演算サイクルで演算した場合のサンプル数(この場合、128サンプル)と同じサンプル数とされてバッファ0と同じ構成のバッファ1’に格納される。(図5(d)参照)次いで、ステップS460にてバッファ2に格納されている波形サンプルの補間処理(4倍オーバサンプリング)が行なわれて、基本演算サイクルで演算した場合のサンプル数と同じサンプル数とされてバッファ0と同じ構成のバッファ2’に格納される(図5(e)参照)。
【0061】
続いて、ステップS470にてバッファ0に、バッファ1’、バッファ2’の波形サンプルを足し込むことにより、全発音チャンネルの波形サンプルを累算した波形サンプルをバッファ0上に実現する(図5(f)参照)。これにより、波形演算処理は終了し、バッファ0上の波形サンプルは予約されて再生部9により読み出されて発音されるようになる。
【0062】
以上においては、前記図1に示す楽音生成装置にて実行されるプログラムとして本発明の楽音発生方法の説明を行った。また、本発明の楽音発生方法を、Windows (米マイクロソフト社のパソコン用OS)やその他のオペレーティング・システムの動作する汎用コンピュータ上で、1つのアプリケーションプログラムとして実行させてもよい。
【0063】
なお、本発明に係る楽音生成方法は、各発音チャンネルごとに、発音される楽音波形が広帯域とされているか否か、あるいは重要度に応じて波形演算サイクルを決定することができ、楽音波形の広帯域あるいは狭帯域にかかわらず、無駄な波形演算を行なうことなく楽音波形サンプルを演算生成することができる。
また、減衰音系の場合1発音中のアタック部では波形演算サイクルを大きくして多くの波形サンプルを生成し、持続部においては波形演算サイクルを小さくして波形サンプルを生成しているので、無駄な波形演算が生じないと共に、効率的に1発音中の波形サンプルを生成することができる。
【0064】
このように、特定の発音チャンネルにおける波形演算の節約をすることができるため、その他のチャンネルの楽音波形の波形演算量を増やすと、そのチャンネルの楽音クォリティを改善することができ、また節約された波形演算量により発音チャンネル数を増やすことができる。
さらに、各発音チャンネル毎に独立して、単位時間当たりの生成楽音サンプル数を制御することができるので、発音チャンネル間で生成楽音のクォリティ差をつけられるにようになった。また、クォリティが低くても影響の少ない発音チャンネルの演算量を削減できる。
【0065】
【発明の効果】
本発明は以上説明したように構成されているので、演算処理装置の演算により楽音を生成する際に、演算量が大きすぎても再生波形データが途切れることなく楽音を生成することができるようになる。
また、演算量を低減する際に、優先度の低い発音チャンネルから単位時間当たり実行される演算量を少なくするようにしているので、重要度の低い音から落とされるようになり、音楽上の影響は少なくなる。
さらに、演算量を低減する必要がある場合には、優先度の低い発音チャンネルから消音するようにしているので、優先度の高い楽音の単位時間当たりの演算量を少なくすることなく、再生波形データが途切れないように楽音を生成することができるようになる。
このように、本発明によれば、重要度の高い楽音はその品質を落とすことなく、大きすぎる演算量を低減することができ、これにより、再生波形データが途切れることなく楽音を生成することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の楽音発生方法を実行する楽音生成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明のRAM上の音色データおよび波形データエリアを示す図である。
【図3】本発明のRAM上の入力バッファエリアを示す図である。
【図4】本発明のRAM上の音源レジスタエリアを示す図である。
【図5】本発明のRAM上の出力バッファエリアおよびその動作説明するための図である。
【図6】1発音中の波形データの例を示す図である。
【図7】1発音中の波形データのスペクトル分布を示す図である。
【図8】1発音中のOPEGの波形の一例を示す図である。
【図9】本発明の楽音発生方法の1発音中の演算サイクルの変化の例を示す図である。
【図10】本発明の楽音発生方法の1発音中のFナンバの変化の例を示す図である。
【図11】本発明の楽音発生方法の音源処理のタイミングチャートを示す図である。
【図12】本発明の楽音発生方法のメインルーチンのフローチャートを示す図である。
【図13】本発明の楽音発生方法のMIDI受信割込処理のフローチャートを示す図である。
【図14】本発明の楽音発生方法のパート1の音色選択イベント処理のフローチャートを示す図である。
【図15】本発明の楽音発生方法の受信データ処理におけるノートオン・イベント処理およびノートオフ・イベント処理のフローチャートを示す図である。
【図16】本発明の楽音発生方法のメインルーチンにおける音源処理のフローチャートを示す図である。
【図17】本発明の楽音発生方法の音源処理におけるチャンネル制御処理のフローチャートを示す図である。
【図18】本発明の楽音発生方法の音源処理における波形演算処理のフローチャートを示す図である。
【符号の説明】
1 CPU、2 ROM、3 RAM、4 タイマ、5 MIDIインターフェース、6 キーボード、7 ディスプレイ、8 ハードディスク、9 再生部、10 DAC、11 サウンドシステム
Claims (4)
- 演算処理装置の演算により、複数の発音チャンネルについて楽音を生成する楽音発生方法において、
単位時間当たりの演算処理内容を指示する制御情報により、発音チャンネルについて前記単位時間あたりに演算される波形演算量が決定されており、発音チャンネルが増加することにより前記単位時間当たりに実行される波形演算量が所定範囲を超えていると判断された場合は、前記単位時間当たりに実行される波形演算量が少なくなるように、前記制御情報を変更するようにしたことを特徴とする楽音発生方法。 - 演算処理装置の演算により、複数の発音チャンネルについて楽音を生成する楽音発生方法において、
単位時間当たりの演算処理内容を指示する制御情報により、各発音チャンネル毎に前記単位時間あたりに演算される波形演算量が決定されており、発音チャンネルが増加することにより単位時間当たりに実行される波形演算量が所定範囲を超えていると判断された場合は、前記複数の発音チャンネルの優先順位を示す優先順位データに基づいて優先順位の低いチャンネルから、前記単位時間当たりに実行される波形演算量が少なくなるように、前記制御情報を変更するようにしたことを特徴とする楽音発生方法。 - 演算処理装置の演算により、複数の発音チャンネルについて楽音を生成する楽音発生方法において、
単位時間当たりの演算処理内容を指示する制御情報により、各発音チャンネル毎に前記単位時間あたりに演算される波形演算量が決定されており、発音チャンネルが増加することにより単位時間当たりに実行される波形演算量が所定範囲を超えていると判断された場合は、前記複数の発音チャンネルの優先順位を示す優先順位データに基づいて優先順位の低いチャンネルから、前記単位時間当たりに実行される波形演算量が少なくなるように、前記制御情報を変更し、
さらに、必要に応じて、前記優先順位データに基づいて優先順位の低いチャンネルから消音するようにしたことを特徴とする楽音発生方法。 - 前記演算処理装置の演算により楽音を生成する場合に、該楽音を生成する演算を所定周期毎に行うと共に、該各演算毎に複数サンプリング周期分の楽音波形サンプルを一括して演算生成することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の楽音発生方法。
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