JP3602215B2 - 芳香族ポリアミドパルプおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は芳香族ポリアミド(以下、アラミドということがある。)パルプおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
フッ素樹脂は、摩擦磨耗特性、耐熱性、耐水性および耐薬品性に優れているので、従来より芳香族ポリアミド樹脂製品の改質に用いられてきた。従来のフッ素樹脂による芳香族ポリアミド樹脂製品の改質の方法は、つぎの二種類の方法に分けることができる。
【0003】
一方は、溶媒を用いてアラミド製品表面にフルオロアルキル基等を導入する方法であり、他方は、アラミド製品にフッ素樹脂分散液を含浸させた後、乾燥、加熱処理を行いアラミド製品の表面にフッ素樹脂被膜を形成させる方法である。
【0004】
溶媒を用いる方法は、特開昭62−81426号公報、特表平7−501840号公報などに開示されているが、これらの方法においてアラミド製品の対象はアラミドのテープや繊維であり、比表面積の大きいアラミドパルプにこれらの方法を応用することは不可能である。また、溶媒を用いるこれらの方法では装置が大がかりになるばかりではなく、作業環境の悪化が問題となる。
【0005】
アラミド製品にフッ素樹脂分散液を含浸させる処理方法は、特開昭56−107073号公報、特開平2−210071号公報、特表平6−511029号公報などに開示されているが、これらについてもアラミド製品の対象は、コード、織布、フェルトなどである。このらの方法をパルプに応用した場合は、フッ素樹脂の付着は含浸操作に依存するために、乾燥時にフッ素樹脂の付着分散が不均一となるといった問題点や付着量を正確に制御することが困難であるといった問題点を有している。
【0006】
上記のように、従来よりアラミドのテープや繊維をフッ素樹脂で改質する試みはなされてきたが、パルプ状の形態をもつアラミド繊維(アラミドパルプ)に均一にフッ素樹脂を付着させたフッ素樹脂処理アラミドパルプは未だ知られていなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、芳香族ポリアミドパルプの有する優れた特性に加えて、均一にフッ素樹脂で処理され、耐水性および撥水性に優れ、帯電し難いという電気的にも優れた性質を兼ね備えた、均一にフッ素樹脂を付着させた芳香族ポリアミドパルプ、並びに、簡便で環境負荷の少ないその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、BET比表面積が3〜25m2 /gであり、フッ素樹脂により表面処理されて0.3〜30重量%のフッ素樹脂を有することを特徴とする芳香族ポリアミドパルプに係るものである。
【0009】
また、本発明は、下記の(イ)乃至(ロ)の工程を有することを特徴とする前記の芳香族ポリアミドパルプの製造方法に係るものである。
(イ)BET比表面積が3〜25m2 /gである芳香族ポリアミドパルプとフッ素樹脂粉末を水中に分散させる工程。
(ロ)凝集剤を分散液に添加して、フッ素樹脂粉末を芳香族ポリアミドパルプの表面に定着させる工程。
【0010】
また、本発明は、下記の(イ)乃至(ハ)の工程を有することを特徴とする前記の芳香族ポリアミドパルプの製造方法に係るものである。
(イ)BET比表面積が3〜25m2 /gである芳香族ポリアミドパルプとフッ素樹脂粉末を水中に分散させる工程。
(ロ)凝集剤を分散液に添加して、フッ素樹脂粉末を芳香族ポリアミドパルプの表面に定着させる工程。
(ハ)脱水を行い含水芳香族ポリアミドパルプを得る工程。
【0011】
また、本発明は、下記の(イ)乃至(ニ)の工程を有することを特徴とする前記の芳香族ポリアミドパルプの製造方法に係るものである。
(イ)BET比表面積が3〜25m2 /gである芳香族ポリアミドパルプとフッ素樹脂粉末を水中に分散させる工程。
(ロ)凝集剤を分散液に添加して、フッ素樹脂粉末を芳香族ポリアミドパルプの表面に定着させる工程。
(ハ)脱水を行い含水芳香族ポリアミドパルプを得る工程。
(ニ)乾燥を行い含水率が30重量%未満に調節された芳香族ポリアミドパルプを得る工程。
以下に本発明を詳細に説明する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる芳香族ポリアミド(アラミド)パルプの原料となる芳香族ポリアミド樹脂は、アミド結合の少なくとも85モル%以上が、芳香族ジアミン、芳香族ジカルボン酸成分より得られるものである。
【0013】
その具体例としては、ポリパラフェニレンテレフタルアミド、ポリメタフェニレンテレフタルアミド、ポリパラベンズアミド、ポリ−4,4’−ジアミノベンズアニリド、ポリパラフェニレン−2,6−ナフタリックアミド、コポリパラフェニン/4,4’−(3,3’−ジメチルビフェニレン)テレフタルアミド、コポリパラフェニレン/2,5−ピリジレンテレフタルアミド、ポリオルソフェニレンフタルアミド、
【0014】
ポリメタフェニレンフタルアミド、ポリパラフェニレンフタルアミド、ポリオルソフェニレンイソフタルアミド、ポリメタフェニレンイソフタルアミド、ポリパラフェニレンイソフタルアミド、ポリオルソフェニレンテレフタルアミド、ポリ−1,5−ナフタレンフタルアミド、ポリ−4,4’−ジフェニレンオルソフタルアミド、ポリ−4,4’−ジフェニレンイソフタルアミド、ポリ−1,4−ナフタレンフタルアミド、ポリ−1,4−ナフタレンイソフタルアミド、ポリ−1,5−ナフタレンイソフタルアミドなど、
【0015】
およびこれらの芳香族ジアミンのベンゼン核の一部をピペラジン、1,5−ジメチルピペラジン、2,5−ジエチルピペラジンで置換した化合物などに代表される脂環式アミンを含む芳香族ポリアミド、または芳香族ジアミンが、8,3’−オキシジフェニレンジアミン、3,4−オキシジフェニレンジアミンなどのエーテル結合、−S−、−SO2 −、−CO−、−NH−などの基により結合された2個のフェニル基を含む芳香族ポリアミドのコポリマー、例えば、ポリ−8,8’−オキシジフェニレンテレフタルアミド/ポリパラフェニレンテレフタルアミド共重合体、ポリ−3,4−オキシジフェニレンテレフタルアミド/ポリパラフェレンテレフタルアミド共重合体などを挙げることができる。
【0016】
本発明に用いられるアラミドパルプとは、上記の芳香族ポリアミド樹脂から得られるアラミド繊維が高度にフィブリル化された形状を有するものであり、BET法で測定した比表面積の値が、3〜25m2 /gを示すものであり、好ましくは5〜20m2 /g、さらに好ましくは6〜16m2 /gを示すものである。パルプの比表面積が3m2 /g未満の場合は、投入したフッ素樹脂粉末の定着率が低下し、パルプの処理効果は得られなくなる。また、25m2 /gを越える場合は、フィブリルの絡み合いが多すぎるために、乾燥後の開繊が充分に行われ難く、ガスケットや摩擦材などに用いた場合にも、アラミドパルプの分散は悪くなり、物性の低下を招く原因となる。
【0017】
アラミドパルプを製造する方法は特に限定されず、例えば、特公昭59−603号公報や特公平2−200809号公報などに開示された方法を用いることができる。
【0018】
本発明に用いられるフッ素樹脂としては、例えば、四フッ化エチレン樹脂(以下、PTFEということがある。)、パーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合樹脂(FEP)、四フッ化エチレン−エチレン共重合樹脂(ETFE)、フッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、三フッ化塩化エチレン樹脂(PCTFE)などが挙げられる。
【0019】
これらのフッ素樹脂の微粒子を、アニオン系、カチオン系あるいはノニオン系の界面活性剤を含む水中に、容易には沈降しないように安定に分散させて、フッ素樹脂粉末分散液(ディスパージョンまたはエマルジョンなどと呼ばれることがある。)を得る。さらに一般的には、一種類以上の界面活性剤の存在下でこれらのフッ素樹脂のモノマーを水系重合させることによって同様なフッ素樹脂の分散液が得られる。
【0020】
また、旭硝子(株)、ダイキン工業(株)などから市販されているフッ素樹脂のディスパージョンをそのまま利用して分散液を調製することも可能である。分散液中のフッ素樹脂粉末の好ましい平均粒径は0.01〜10μm、さらに好ましくは0.1〜1μmである。平均粒径が小さすぎるとフッ素樹脂粉末のアラミドパルプ表面への定着が困難となり、逆に大きすぎると安定な分散液を得ることが難しくなり、アラミドパルプの表面に定着させた際もその分布が不均一となり易い。
【0021】
つぎに、アラミドパルプを上記のフッ素樹脂粉末で表面処理する方法について説明する。例えば、まずアラミドパルプを、充分な流動性が得られる程度に水中に分散させる。分散液中のアラミドパルプの適当な濃度は用いるパルプの比表面積やろ水度の値によって異なるが、0.5〜5重量%の範囲で選ばれる。アラミドパルプの均一な分散を行なうには、一般的なプロペラ式の撹拌機を利用することができる。通常のリンターパルプの分散に用いられている、パルプ用の離解機は均一分散を達成するのに特に有効である。
【0022】
次に、アラミドパルプ分散液にフッ素樹脂粉末を添加する。フッ素樹脂粉末の添加量は、絶乾パルプ重量に対するフッ素樹脂粉末の定着量が、0.3〜30重量%となるようにする。好ましくは0.5〜20重量%、より好ましくは1.0〜10重量%となるようにする。フッ素樹脂の定着量が、0.3重量%未満では充分な効果が得られない。また、30重量%を越える場合には、処理されたアラミドパルプの開繊性が悪くなるために、定着量に見合った効果が発現しない上、経済性の劣るものとなる。
【0023】
水中にフッ素樹脂粉末が分散した分散液中にアラミドパルプを投入して分散させる方法を採ることもできる。この場合、市販のフッ素樹脂のディスパージョンをそのまま用いることができる。市販のフッ素樹脂のディスパージョンをそのまま用いる場合は、該フッ素樹脂のディスパージョン中に、または該フッ素樹脂のディスパージョンを水で希釈した分散液中に、アラミドパルプを充分な流動性が得られる程度に分散させる。アラミドパルプとフッ素樹脂粉末の適切な量関係は上記のとおりである。
【0024】
つぎに、このアラミドパルプ/フッ素樹脂粉末の水中分散液に、フッ素樹脂粉末の分散を不安定化させる作用を持つ凝集剤を添加して、フッ素樹脂粉末をアラミドパルプの表面に定着させる。用いる凝集剤の種類および添加量は、フッ素樹脂粉末を分散させるのに用いている安定剤の種類、およびアラミドパルプの比表面積によって異なるので、必ずしも限定されない。
【0025】
フッ素樹脂粉末がアニオン系の界面活性剤で安定化されている場合は、強酸あるいは強電解質、あるいはポリアクリルアミド系、ポリアクリル酸ソーダ系などの高分子凝集剤、さらにはこれらの高分子凝集剤と強酸あるいは強電解質を組合わせて適用することができる。
【0026】
フッ素樹脂粉末がカチオン系の界面活性剤で安定化されている場合は、塩基あるいは強電解質、あるいはポリアクリルアミド系、ポリメタクリル酸エステル系等の高分子凝集剤、さらにはこれらの高分子凝集剤と塩基あるいは強電解質とを組合わせて適用することができる。
【0027】
フッ素樹脂粉末がノニオン系の界面活性剤で安定化されている場合は、強電解質、あるいはポリアクリルアミド系などの高分子凝集剤、さらにはこれらの高分子凝集剤と強電解質とを組合わせて適用することができる。
【0028】
また、ビールやワインの清澄剤としてや顔料工場の廃液処理剤として用いられているタンニン酸と、硫酸アルミニウムなどの多価の金属イオンを含む電解質を併用して適用することは、使用されている界面活性剤の種類に係わらず、特に有効である。この場合、系に水酸化カルシウムやアンモニアなどのアルカリ成分を加えて、系のpHを3. 5から6. 0の範囲に調整することによって、添加したフッ素樹脂粉末の80重量%以上をパルプ表面に定着させることができる。
【0029】
ノニオン系の界面活性剤で安定化したものは不安定化し難く、完全に沈降させることが難しいが、うまく沈降させた場合は、細かい粒子がパルプ表面に均一に定着するので、本発明においてはノニオン系の分散液を原料に用いる方が望ましい。
【0030】
フッ素樹脂粉末の分散液の不安定化の方法としては、前述のとおり、タンニン酸と硫酸アルミニウムを併用する方法が、特に有効である。つまり、凝集させることが困難なノニオン系の分散液に対して有効に働き、また、アニオン系の分散液についても他の凝集剤よりも少ない添加量でフッ素樹脂をアラミドパルプ表面に定着させることができる。
【0031】
上記のようにして、本発明のBET比表面積が3〜25m2 /gであり、フッ素樹脂により表面処理されて0.3〜30重量%のフッ素樹脂を有することを特徴とする芳香族ポリアミドパルプを得ることができる。
【0032】
また、フッ素樹脂粉末を定着させた後に、必要に応じて過剰の水分を除くための脱水を行うこともできる。脱水方法は特に限定されるものではなく、例えば、常法に従ってろ別し、ろ別された表面処理アラミドパルプを遠心分離機などの脱水機により脱水し、その含水率を調整して含水芳香族ポリアミドパルプを得る。ここで、本発明において含水芳香族ポリアミドパルプとは、その含水率が30重量%以上のものをいう。含水率は、好ましくは30重量%以上95重量%以下である。このようにして、含水率が30重量%以上である、本発明のBET比表面積が3〜25m2 /gであり、フッ素樹脂により表面処理されて0.3〜30重量%のフッ素樹脂を有することを特徴とする芳香族ポリアミドパルプを得ることができる。
【0033】
つづいて含水率が30重量%未満の芳香族ポリアミドパルプを作製する場合には、さらに以下の乾燥の操作を行う。パルプの乾燥を行うことにより含水率が30重量%未満、好ましくは5重量%以下である、本発明のBET比表面積が3〜25m2 /gであり、フッ素樹脂により表面処理されて0.3〜30重量%のフッ素樹脂を有することを特徴とする芳香族ポリアミドパルプを得ることができる。乾燥の方法はとくに限定されず、通常用いられる方法、例えば、100〜200℃の加熱オーブン中で乾燥する方法を適用することができる。
【0034】
乾燥を行った表面処理アラミドパルプは、好ましくはついで加熱処理を行う。加熱処理の加熱温度と加熱時間は、表面処理に用いたフッ素樹脂の種類によって決定することが好ましい。加熱温度は用いられたフッ素樹脂の融点(ゲル化温度)以上とする。加熱時間は、アラミドパルプの表面に付着したフッ素樹脂粉末が溶融するだけの時間、または、アラミドパルプの表面にに付着したフッ素樹脂が溶融した後、パルプを被覆するだけの時間が必要である。加熱処理後はアラミドパルプを冷却する。冷却については、例えば、室温に戻して空冷するだけで充分である。
【0035】
乾燥後、または加熱処理後の表面処理アラミドパルプは、つづいて開繊処理を行うことが好ましい。開繊は、ハンマーミル、ACMパルベライザー、コーンミル、ロールクラッシャー、スクリュー中粉砕機、エッジランナー、リングロールミル、スタンプミル、ロッドミル、衝撃粉砕機、ジェットミル、塔式摩砕機、コロイドミルなどの粉砕装置や、円筒または樋状の容器中で、スクリュー、リボン、フィンガープロング、Z形翼などを回転させて混合を行う固定形混合機などを用いて行うことができる。
【0036】
好ましくは、固定形混合機で予備開繊を行った後、ジェットミルなどの微粉砕機で本開繊を行うことにより、フッ素樹脂で表面処理された良好な開繊アラミドパルプが得られるが、これに限定されるものではない。
【0037】
上では加熱処理後に開繊処理を行う方法について記載したが、含水芳香族ポリアミドパルプを乾燥した後に開繊処理を行い、ついで加熱処理を行うこともできる。
【0038】
加熱処理時の被処理物の形態は、アラミドパルプのみならず、アラミドパルプを抄紙したシートの形態、アラミドパルプとフィラーの混合物などの形態であってもよい。本発明は、乾燥以降の工程の順序や加熱処理時の形態によって限定されるものではない。
【0039】
開繊された表面処理アラミドパルプは、運搬や計量時などの取扱い性を容易にするため適当な方法で圧縮することができる。本発明の表面処理アラミドパルプは、0.05〜0.1g/ccの嵩密度に圧縮しても、実際の使用に際して分散性に影響を及ぼすものではない。
【0040】
【実施例】
以下に本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例中の各種の物性値の測定は以下に述べる測定方法に従って実施した。
【0041】
物性評価方法
1.水分率
赤外水分計(メトラー社製LP16型)により測定した。
20℃、65%の恒温恒湿雰囲気に24時間パルプを静置して一部のパルプについて水分率を測定した後、残りのパルプを相対湿度100%のデシケーター中に24時間静置して水分率の上昇した量を測定した。
【0042】
2. 表面処理濾液のCOD
CODは、JIS K0102. 17 に準拠して、100℃のKMnO4 法で測定した。
【0043】
3. フッ素樹脂の定着率
芳香族ポリアミドパルプへのフッ素樹脂の定着率は、表面処理に用いたフッ素樹脂分散液のCODと表面処理後の濾液のCODから次式により算出した。
フッ素樹脂定着率〔重量%〕
=100×{1−(表面処理濾液のCOD〔mg/l〕)/(フッ素樹脂分散液のCOD〔mg/l〕)}
【0044】
4. アラミドパルプに対するフッ素樹脂の付着率
アラミドパルプに対するフッ素樹脂の付着率を次の式で定義し、求めた。
【0045】
5.水滴の転落角
パルプを角型シートマシン(熊谷理機(株)製)を用いて250mm角の金網上に抄紙し、200g/ m2 のシートを作製した。得られたシート上にマイクロシリンジで25μlの水滴を滴下した後、シートを傾斜させて水滴が転がり落ちる角度を測定した。
【0046】
6.摩擦後の表面電位
パルプを強制的に摩擦帯電させたときの表面電位を測定した。
(1)試験片形状
水分率を調整した5gのパルプを、内径38mm、高さ50mmの紙管に充填したものを試験片とした。
(2)表面電位測定方法
紙管の端面からパルプを1mm突出させ、この面をガラス/エポキシ樹脂積層板で30回摩擦する。その後、静電電位測定機(EV−102、ノイズ研究所(株)製)により表面電位を測定した。
(3)測定条件
パルプ表面から測定機までの距離:50mm
帯電時から測定までの時間:10秒
測定環境:20℃、相対湿度62%(一定)
【0047】
実施例1
絶乾重量9. 5gのパラ系芳香族ポリアミドパルプ〔トワロン1099(日本アラミド(有)、BET比表面積:11.6m2 /g、濾水度:360ml)〕とPTFE系分散液〔ノニオン系分散液、フルオンディスパージョンAD1(旭硝子(株)製、平均粒径:0. 25μm、固形分60重量%)〕0. 83g(固形分0. 5g)を1リットルのイオン交換水中に分散させた後、固形分1gの特殊油水分離剤グレージンCF(松本油脂(株)製、成分はタンニン酸(60重量部)/硫酸アルミ(40重量部))を10重量%水溶液の状態で加えて、系内のタンニン酸の濃度を600ppm、硫酸アルミの濃度を400ppmに調整した。これに100mgの水酸化カルシウム粉末を添加してpHを調節し、そのまま10分間攪拌してフッ素樹脂を芳香族ポリアミドパルプの表面に沈降、定着させた。ついで、ろ別、脱水、乾燥を行った後、380℃に10分間保持して加熱処理を行った。その後、コーヒーミルによりパルプの開繊を行いフッ素樹脂で処理された乾燥芳香族ポリアミドパルプを得た。このアラミドパルプを上記の方法で評価して結果を表1に記した。
【0048】
実施例2
絶乾重量1470gのパラ系芳香族ポリアミドパルプ〔トワロン1099(日本アラミド(有)、BET比表面積:11. 6m2 /g、濾水度:360ml)〕とPTFE系分散液〔ノニオン系分散液、フルオンディスパージョンAD1(旭硝子(株)製、平均粒径:0.25μm、固形分60重量%)〕47g(固形分28g)を150リットルのイオン交換水中に分散させた後、10重量%に希釈した特殊油水分離剤グレージンCF(松本油脂(株)製、成分はタンニン酸(60重量部)/硫酸アルミ(40重量部))を1130g加えて、系内のタンニン酸の濃度を750ppmに調整した。これに563gの1重量%アンモニア水を添加してpHを調節し、そのまま20分間攪拌してフッ素樹脂を芳香族ポリアミドパルプの表面に沈降、定着させた。ついで、ろ別、脱水、乾燥を行った後、380℃に20分間保持して加熱処理を行った。その後、レーディゲミキサーM−20(松坂貿易(株)製)によりパルプの予備開繊を行い、さらにジェットオーミルJOM−0202型(セイシン企業株(製))により本開繊を行った。そして、フッ素樹脂で処理された乾燥芳香族ポリアミドパルプを得た。このアラミドパルプを上記の方法で評価して結果を表1に記した。
【0049】
実施例3
絶乾重量1470gのパラ系芳香族ポリアミドパルプ〔トワロン1099(日本アラミド(有)、BET比表面積:11. 6m2 /g、濾水度:360ml)〕とPTFE系分散液〔ノニオン系分散液、フルオンディスパージョンAD1(旭硝子(株)製、平均粒径:0. 25μm、固形分60重量%)、47g(固形分28g)を150リットルのイオン交換水中に分散させた後、10重量%に希釈した特殊油水分離剤グレージンCF(松本油脂(株)製、成分はタンニン酸(60重量部)/硫酸アルミ(40重量部))を1130g加えて、系内のタンニン酸の濃度を750ppmに調整した。これに563gの1重量%アンモニア水を添加してpHを調節し、そのまま20分間攪拌してフッ素樹脂を芳香族ポリアミドパルプの表面に沈降、定着させた。その後、ろ別、脱水を行いフッ素樹脂で処理された含水芳香族ポリアミドパルプ(含水率:69%)を得た。この含水芳香族ポリアミドパルプ40. 32gを角型シートマシン(熊谷理機(株)製)を用いて250mm角の金網上に抄紙し、200g/m2 のシートを作製した。さらに、得られたシートを380℃に20分保持して加熱処理を行った後、上記の方法で評価して結果を表1に記した。
【0050】
比較例1
パラ系芳香族ポリアミドパルプ〔トワロン1099(日本アラミド(有)、BET比表面積:11. 6m2 /g、濾水度:360ml)〕を上記の方法で評価して結果を表1に記した。
【0051】
【表1】
【0052】
【発明の効果】
本発明のフッ素樹脂で表面処理された芳香族ポリアミドパルプは、耐水性および撥水性に優れ、また、表面電位が低いため帯電し難いという電気的にも優れた性質を示す。また、本発明のフッ素樹脂で表面処理された芳香族ポリアミドパルプの製造方法は、簡便で環境負荷の少ない優れた製造方法である。
【発明の属する技術分野】
本発明は芳香族ポリアミド(以下、アラミドということがある。)パルプおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
フッ素樹脂は、摩擦磨耗特性、耐熱性、耐水性および耐薬品性に優れているので、従来より芳香族ポリアミド樹脂製品の改質に用いられてきた。従来のフッ素樹脂による芳香族ポリアミド樹脂製品の改質の方法は、つぎの二種類の方法に分けることができる。
【0003】
一方は、溶媒を用いてアラミド製品表面にフルオロアルキル基等を導入する方法であり、他方は、アラミド製品にフッ素樹脂分散液を含浸させた後、乾燥、加熱処理を行いアラミド製品の表面にフッ素樹脂被膜を形成させる方法である。
【0004】
溶媒を用いる方法は、特開昭62−81426号公報、特表平7−501840号公報などに開示されているが、これらの方法においてアラミド製品の対象はアラミドのテープや繊維であり、比表面積の大きいアラミドパルプにこれらの方法を応用することは不可能である。また、溶媒を用いるこれらの方法では装置が大がかりになるばかりではなく、作業環境の悪化が問題となる。
【0005】
アラミド製品にフッ素樹脂分散液を含浸させる処理方法は、特開昭56−107073号公報、特開平2−210071号公報、特表平6−511029号公報などに開示されているが、これらについてもアラミド製品の対象は、コード、織布、フェルトなどである。このらの方法をパルプに応用した場合は、フッ素樹脂の付着は含浸操作に依存するために、乾燥時にフッ素樹脂の付着分散が不均一となるといった問題点や付着量を正確に制御することが困難であるといった問題点を有している。
【0006】
上記のように、従来よりアラミドのテープや繊維をフッ素樹脂で改質する試みはなされてきたが、パルプ状の形態をもつアラミド繊維(アラミドパルプ)に均一にフッ素樹脂を付着させたフッ素樹脂処理アラミドパルプは未だ知られていなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、芳香族ポリアミドパルプの有する優れた特性に加えて、均一にフッ素樹脂で処理され、耐水性および撥水性に優れ、帯電し難いという電気的にも優れた性質を兼ね備えた、均一にフッ素樹脂を付着させた芳香族ポリアミドパルプ、並びに、簡便で環境負荷の少ないその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、BET比表面積が3〜25m2 /gであり、フッ素樹脂により表面処理されて0.3〜30重量%のフッ素樹脂を有することを特徴とする芳香族ポリアミドパルプに係るものである。
【0009】
また、本発明は、下記の(イ)乃至(ロ)の工程を有することを特徴とする前記の芳香族ポリアミドパルプの製造方法に係るものである。
(イ)BET比表面積が3〜25m2 /gである芳香族ポリアミドパルプとフッ素樹脂粉末を水中に分散させる工程。
(ロ)凝集剤を分散液に添加して、フッ素樹脂粉末を芳香族ポリアミドパルプの表面に定着させる工程。
【0010】
また、本発明は、下記の(イ)乃至(ハ)の工程を有することを特徴とする前記の芳香族ポリアミドパルプの製造方法に係るものである。
(イ)BET比表面積が3〜25m2 /gである芳香族ポリアミドパルプとフッ素樹脂粉末を水中に分散させる工程。
(ロ)凝集剤を分散液に添加して、フッ素樹脂粉末を芳香族ポリアミドパルプの表面に定着させる工程。
(ハ)脱水を行い含水芳香族ポリアミドパルプを得る工程。
【0011】
また、本発明は、下記の(イ)乃至(ニ)の工程を有することを特徴とする前記の芳香族ポリアミドパルプの製造方法に係るものである。
(イ)BET比表面積が3〜25m2 /gである芳香族ポリアミドパルプとフッ素樹脂粉末を水中に分散させる工程。
(ロ)凝集剤を分散液に添加して、フッ素樹脂粉末を芳香族ポリアミドパルプの表面に定着させる工程。
(ハ)脱水を行い含水芳香族ポリアミドパルプを得る工程。
(ニ)乾燥を行い含水率が30重量%未満に調節された芳香族ポリアミドパルプを得る工程。
以下に本発明を詳細に説明する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる芳香族ポリアミド(アラミド)パルプの原料となる芳香族ポリアミド樹脂は、アミド結合の少なくとも85モル%以上が、芳香族ジアミン、芳香族ジカルボン酸成分より得られるものである。
【0013】
その具体例としては、ポリパラフェニレンテレフタルアミド、ポリメタフェニレンテレフタルアミド、ポリパラベンズアミド、ポリ−4,4’−ジアミノベンズアニリド、ポリパラフェニレン−2,6−ナフタリックアミド、コポリパラフェニン/4,4’−(3,3’−ジメチルビフェニレン)テレフタルアミド、コポリパラフェニレン/2,5−ピリジレンテレフタルアミド、ポリオルソフェニレンフタルアミド、
【0014】
ポリメタフェニレンフタルアミド、ポリパラフェニレンフタルアミド、ポリオルソフェニレンイソフタルアミド、ポリメタフェニレンイソフタルアミド、ポリパラフェニレンイソフタルアミド、ポリオルソフェニレンテレフタルアミド、ポリ−1,5−ナフタレンフタルアミド、ポリ−4,4’−ジフェニレンオルソフタルアミド、ポリ−4,4’−ジフェニレンイソフタルアミド、ポリ−1,4−ナフタレンフタルアミド、ポリ−1,4−ナフタレンイソフタルアミド、ポリ−1,5−ナフタレンイソフタルアミドなど、
【0015】
およびこれらの芳香族ジアミンのベンゼン核の一部をピペラジン、1,5−ジメチルピペラジン、2,5−ジエチルピペラジンで置換した化合物などに代表される脂環式アミンを含む芳香族ポリアミド、または芳香族ジアミンが、8,3’−オキシジフェニレンジアミン、3,4−オキシジフェニレンジアミンなどのエーテル結合、−S−、−SO2 −、−CO−、−NH−などの基により結合された2個のフェニル基を含む芳香族ポリアミドのコポリマー、例えば、ポリ−8,8’−オキシジフェニレンテレフタルアミド/ポリパラフェニレンテレフタルアミド共重合体、ポリ−3,4−オキシジフェニレンテレフタルアミド/ポリパラフェレンテレフタルアミド共重合体などを挙げることができる。
【0016】
本発明に用いられるアラミドパルプとは、上記の芳香族ポリアミド樹脂から得られるアラミド繊維が高度にフィブリル化された形状を有するものであり、BET法で測定した比表面積の値が、3〜25m2 /gを示すものであり、好ましくは5〜20m2 /g、さらに好ましくは6〜16m2 /gを示すものである。パルプの比表面積が3m2 /g未満の場合は、投入したフッ素樹脂粉末の定着率が低下し、パルプの処理効果は得られなくなる。また、25m2 /gを越える場合は、フィブリルの絡み合いが多すぎるために、乾燥後の開繊が充分に行われ難く、ガスケットや摩擦材などに用いた場合にも、アラミドパルプの分散は悪くなり、物性の低下を招く原因となる。
【0017】
アラミドパルプを製造する方法は特に限定されず、例えば、特公昭59−603号公報や特公平2−200809号公報などに開示された方法を用いることができる。
【0018】
本発明に用いられるフッ素樹脂としては、例えば、四フッ化エチレン樹脂(以下、PTFEということがある。)、パーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合樹脂(FEP)、四フッ化エチレン−エチレン共重合樹脂(ETFE)、フッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、三フッ化塩化エチレン樹脂(PCTFE)などが挙げられる。
【0019】
これらのフッ素樹脂の微粒子を、アニオン系、カチオン系あるいはノニオン系の界面活性剤を含む水中に、容易には沈降しないように安定に分散させて、フッ素樹脂粉末分散液(ディスパージョンまたはエマルジョンなどと呼ばれることがある。)を得る。さらに一般的には、一種類以上の界面活性剤の存在下でこれらのフッ素樹脂のモノマーを水系重合させることによって同様なフッ素樹脂の分散液が得られる。
【0020】
また、旭硝子(株)、ダイキン工業(株)などから市販されているフッ素樹脂のディスパージョンをそのまま利用して分散液を調製することも可能である。分散液中のフッ素樹脂粉末の好ましい平均粒径は0.01〜10μm、さらに好ましくは0.1〜1μmである。平均粒径が小さすぎるとフッ素樹脂粉末のアラミドパルプ表面への定着が困難となり、逆に大きすぎると安定な分散液を得ることが難しくなり、アラミドパルプの表面に定着させた際もその分布が不均一となり易い。
【0021】
つぎに、アラミドパルプを上記のフッ素樹脂粉末で表面処理する方法について説明する。例えば、まずアラミドパルプを、充分な流動性が得られる程度に水中に分散させる。分散液中のアラミドパルプの適当な濃度は用いるパルプの比表面積やろ水度の値によって異なるが、0.5〜5重量%の範囲で選ばれる。アラミドパルプの均一な分散を行なうには、一般的なプロペラ式の撹拌機を利用することができる。通常のリンターパルプの分散に用いられている、パルプ用の離解機は均一分散を達成するのに特に有効である。
【0022】
次に、アラミドパルプ分散液にフッ素樹脂粉末を添加する。フッ素樹脂粉末の添加量は、絶乾パルプ重量に対するフッ素樹脂粉末の定着量が、0.3〜30重量%となるようにする。好ましくは0.5〜20重量%、より好ましくは1.0〜10重量%となるようにする。フッ素樹脂の定着量が、0.3重量%未満では充分な効果が得られない。また、30重量%を越える場合には、処理されたアラミドパルプの開繊性が悪くなるために、定着量に見合った効果が発現しない上、経済性の劣るものとなる。
【0023】
水中にフッ素樹脂粉末が分散した分散液中にアラミドパルプを投入して分散させる方法を採ることもできる。この場合、市販のフッ素樹脂のディスパージョンをそのまま用いることができる。市販のフッ素樹脂のディスパージョンをそのまま用いる場合は、該フッ素樹脂のディスパージョン中に、または該フッ素樹脂のディスパージョンを水で希釈した分散液中に、アラミドパルプを充分な流動性が得られる程度に分散させる。アラミドパルプとフッ素樹脂粉末の適切な量関係は上記のとおりである。
【0024】
つぎに、このアラミドパルプ/フッ素樹脂粉末の水中分散液に、フッ素樹脂粉末の分散を不安定化させる作用を持つ凝集剤を添加して、フッ素樹脂粉末をアラミドパルプの表面に定着させる。用いる凝集剤の種類および添加量は、フッ素樹脂粉末を分散させるのに用いている安定剤の種類、およびアラミドパルプの比表面積によって異なるので、必ずしも限定されない。
【0025】
フッ素樹脂粉末がアニオン系の界面活性剤で安定化されている場合は、強酸あるいは強電解質、あるいはポリアクリルアミド系、ポリアクリル酸ソーダ系などの高分子凝集剤、さらにはこれらの高分子凝集剤と強酸あるいは強電解質を組合わせて適用することができる。
【0026】
フッ素樹脂粉末がカチオン系の界面活性剤で安定化されている場合は、塩基あるいは強電解質、あるいはポリアクリルアミド系、ポリメタクリル酸エステル系等の高分子凝集剤、さらにはこれらの高分子凝集剤と塩基あるいは強電解質とを組合わせて適用することができる。
【0027】
フッ素樹脂粉末がノニオン系の界面活性剤で安定化されている場合は、強電解質、あるいはポリアクリルアミド系などの高分子凝集剤、さらにはこれらの高分子凝集剤と強電解質とを組合わせて適用することができる。
【0028】
また、ビールやワインの清澄剤としてや顔料工場の廃液処理剤として用いられているタンニン酸と、硫酸アルミニウムなどの多価の金属イオンを含む電解質を併用して適用することは、使用されている界面活性剤の種類に係わらず、特に有効である。この場合、系に水酸化カルシウムやアンモニアなどのアルカリ成分を加えて、系のpHを3. 5から6. 0の範囲に調整することによって、添加したフッ素樹脂粉末の80重量%以上をパルプ表面に定着させることができる。
【0029】
ノニオン系の界面活性剤で安定化したものは不安定化し難く、完全に沈降させることが難しいが、うまく沈降させた場合は、細かい粒子がパルプ表面に均一に定着するので、本発明においてはノニオン系の分散液を原料に用いる方が望ましい。
【0030】
フッ素樹脂粉末の分散液の不安定化の方法としては、前述のとおり、タンニン酸と硫酸アルミニウムを併用する方法が、特に有効である。つまり、凝集させることが困難なノニオン系の分散液に対して有効に働き、また、アニオン系の分散液についても他の凝集剤よりも少ない添加量でフッ素樹脂をアラミドパルプ表面に定着させることができる。
【0031】
上記のようにして、本発明のBET比表面積が3〜25m2 /gであり、フッ素樹脂により表面処理されて0.3〜30重量%のフッ素樹脂を有することを特徴とする芳香族ポリアミドパルプを得ることができる。
【0032】
また、フッ素樹脂粉末を定着させた後に、必要に応じて過剰の水分を除くための脱水を行うこともできる。脱水方法は特に限定されるものではなく、例えば、常法に従ってろ別し、ろ別された表面処理アラミドパルプを遠心分離機などの脱水機により脱水し、その含水率を調整して含水芳香族ポリアミドパルプを得る。ここで、本発明において含水芳香族ポリアミドパルプとは、その含水率が30重量%以上のものをいう。含水率は、好ましくは30重量%以上95重量%以下である。このようにして、含水率が30重量%以上である、本発明のBET比表面積が3〜25m2 /gであり、フッ素樹脂により表面処理されて0.3〜30重量%のフッ素樹脂を有することを特徴とする芳香族ポリアミドパルプを得ることができる。
【0033】
つづいて含水率が30重量%未満の芳香族ポリアミドパルプを作製する場合には、さらに以下の乾燥の操作を行う。パルプの乾燥を行うことにより含水率が30重量%未満、好ましくは5重量%以下である、本発明のBET比表面積が3〜25m2 /gであり、フッ素樹脂により表面処理されて0.3〜30重量%のフッ素樹脂を有することを特徴とする芳香族ポリアミドパルプを得ることができる。乾燥の方法はとくに限定されず、通常用いられる方法、例えば、100〜200℃の加熱オーブン中で乾燥する方法を適用することができる。
【0034】
乾燥を行った表面処理アラミドパルプは、好ましくはついで加熱処理を行う。加熱処理の加熱温度と加熱時間は、表面処理に用いたフッ素樹脂の種類によって決定することが好ましい。加熱温度は用いられたフッ素樹脂の融点(ゲル化温度)以上とする。加熱時間は、アラミドパルプの表面に付着したフッ素樹脂粉末が溶融するだけの時間、または、アラミドパルプの表面にに付着したフッ素樹脂が溶融した後、パルプを被覆するだけの時間が必要である。加熱処理後はアラミドパルプを冷却する。冷却については、例えば、室温に戻して空冷するだけで充分である。
【0035】
乾燥後、または加熱処理後の表面処理アラミドパルプは、つづいて開繊処理を行うことが好ましい。開繊は、ハンマーミル、ACMパルベライザー、コーンミル、ロールクラッシャー、スクリュー中粉砕機、エッジランナー、リングロールミル、スタンプミル、ロッドミル、衝撃粉砕機、ジェットミル、塔式摩砕機、コロイドミルなどの粉砕装置や、円筒または樋状の容器中で、スクリュー、リボン、フィンガープロング、Z形翼などを回転させて混合を行う固定形混合機などを用いて行うことができる。
【0036】
好ましくは、固定形混合機で予備開繊を行った後、ジェットミルなどの微粉砕機で本開繊を行うことにより、フッ素樹脂で表面処理された良好な開繊アラミドパルプが得られるが、これに限定されるものではない。
【0037】
上では加熱処理後に開繊処理を行う方法について記載したが、含水芳香族ポリアミドパルプを乾燥した後に開繊処理を行い、ついで加熱処理を行うこともできる。
【0038】
加熱処理時の被処理物の形態は、アラミドパルプのみならず、アラミドパルプを抄紙したシートの形態、アラミドパルプとフィラーの混合物などの形態であってもよい。本発明は、乾燥以降の工程の順序や加熱処理時の形態によって限定されるものではない。
【0039】
開繊された表面処理アラミドパルプは、運搬や計量時などの取扱い性を容易にするため適当な方法で圧縮することができる。本発明の表面処理アラミドパルプは、0.05〜0.1g/ccの嵩密度に圧縮しても、実際の使用に際して分散性に影響を及ぼすものではない。
【0040】
【実施例】
以下に本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例中の各種の物性値の測定は以下に述べる測定方法に従って実施した。
【0041】
物性評価方法
1.水分率
赤外水分計(メトラー社製LP16型)により測定した。
20℃、65%の恒温恒湿雰囲気に24時間パルプを静置して一部のパルプについて水分率を測定した後、残りのパルプを相対湿度100%のデシケーター中に24時間静置して水分率の上昇した量を測定した。
【0042】
2. 表面処理濾液のCOD
CODは、JIS K0102. 17 に準拠して、100℃のKMnO4 法で測定した。
【0043】
3. フッ素樹脂の定着率
芳香族ポリアミドパルプへのフッ素樹脂の定着率は、表面処理に用いたフッ素樹脂分散液のCODと表面処理後の濾液のCODから次式により算出した。
フッ素樹脂定着率〔重量%〕
=100×{1−(表面処理濾液のCOD〔mg/l〕)/(フッ素樹脂分散液のCOD〔mg/l〕)}
【0044】
4. アラミドパルプに対するフッ素樹脂の付着率
アラミドパルプに対するフッ素樹脂の付着率を次の式で定義し、求めた。
【0045】
5.水滴の転落角
パルプを角型シートマシン(熊谷理機(株)製)を用いて250mm角の金網上に抄紙し、200g/ m2 のシートを作製した。得られたシート上にマイクロシリンジで25μlの水滴を滴下した後、シートを傾斜させて水滴が転がり落ちる角度を測定した。
【0046】
6.摩擦後の表面電位
パルプを強制的に摩擦帯電させたときの表面電位を測定した。
(1)試験片形状
水分率を調整した5gのパルプを、内径38mm、高さ50mmの紙管に充填したものを試験片とした。
(2)表面電位測定方法
紙管の端面からパルプを1mm突出させ、この面をガラス/エポキシ樹脂積層板で30回摩擦する。その後、静電電位測定機(EV−102、ノイズ研究所(株)製)により表面電位を測定した。
(3)測定条件
パルプ表面から測定機までの距離:50mm
帯電時から測定までの時間:10秒
測定環境:20℃、相対湿度62%(一定)
【0047】
実施例1
絶乾重量9. 5gのパラ系芳香族ポリアミドパルプ〔トワロン1099(日本アラミド(有)、BET比表面積:11.6m2 /g、濾水度:360ml)〕とPTFE系分散液〔ノニオン系分散液、フルオンディスパージョンAD1(旭硝子(株)製、平均粒径:0. 25μm、固形分60重量%)〕0. 83g(固形分0. 5g)を1リットルのイオン交換水中に分散させた後、固形分1gの特殊油水分離剤グレージンCF(松本油脂(株)製、成分はタンニン酸(60重量部)/硫酸アルミ(40重量部))を10重量%水溶液の状態で加えて、系内のタンニン酸の濃度を600ppm、硫酸アルミの濃度を400ppmに調整した。これに100mgの水酸化カルシウム粉末を添加してpHを調節し、そのまま10分間攪拌してフッ素樹脂を芳香族ポリアミドパルプの表面に沈降、定着させた。ついで、ろ別、脱水、乾燥を行った後、380℃に10分間保持して加熱処理を行った。その後、コーヒーミルによりパルプの開繊を行いフッ素樹脂で処理された乾燥芳香族ポリアミドパルプを得た。このアラミドパルプを上記の方法で評価して結果を表1に記した。
【0048】
実施例2
絶乾重量1470gのパラ系芳香族ポリアミドパルプ〔トワロン1099(日本アラミド(有)、BET比表面積:11. 6m2 /g、濾水度:360ml)〕とPTFE系分散液〔ノニオン系分散液、フルオンディスパージョンAD1(旭硝子(株)製、平均粒径:0.25μm、固形分60重量%)〕47g(固形分28g)を150リットルのイオン交換水中に分散させた後、10重量%に希釈した特殊油水分離剤グレージンCF(松本油脂(株)製、成分はタンニン酸(60重量部)/硫酸アルミ(40重量部))を1130g加えて、系内のタンニン酸の濃度を750ppmに調整した。これに563gの1重量%アンモニア水を添加してpHを調節し、そのまま20分間攪拌してフッ素樹脂を芳香族ポリアミドパルプの表面に沈降、定着させた。ついで、ろ別、脱水、乾燥を行った後、380℃に20分間保持して加熱処理を行った。その後、レーディゲミキサーM−20(松坂貿易(株)製)によりパルプの予備開繊を行い、さらにジェットオーミルJOM−0202型(セイシン企業株(製))により本開繊を行った。そして、フッ素樹脂で処理された乾燥芳香族ポリアミドパルプを得た。このアラミドパルプを上記の方法で評価して結果を表1に記した。
【0049】
実施例3
絶乾重量1470gのパラ系芳香族ポリアミドパルプ〔トワロン1099(日本アラミド(有)、BET比表面積:11. 6m2 /g、濾水度:360ml)〕とPTFE系分散液〔ノニオン系分散液、フルオンディスパージョンAD1(旭硝子(株)製、平均粒径:0. 25μm、固形分60重量%)、47g(固形分28g)を150リットルのイオン交換水中に分散させた後、10重量%に希釈した特殊油水分離剤グレージンCF(松本油脂(株)製、成分はタンニン酸(60重量部)/硫酸アルミ(40重量部))を1130g加えて、系内のタンニン酸の濃度を750ppmに調整した。これに563gの1重量%アンモニア水を添加してpHを調節し、そのまま20分間攪拌してフッ素樹脂を芳香族ポリアミドパルプの表面に沈降、定着させた。その後、ろ別、脱水を行いフッ素樹脂で処理された含水芳香族ポリアミドパルプ(含水率:69%)を得た。この含水芳香族ポリアミドパルプ40. 32gを角型シートマシン(熊谷理機(株)製)を用いて250mm角の金網上に抄紙し、200g/m2 のシートを作製した。さらに、得られたシートを380℃に20分保持して加熱処理を行った後、上記の方法で評価して結果を表1に記した。
【0050】
比較例1
パラ系芳香族ポリアミドパルプ〔トワロン1099(日本アラミド(有)、BET比表面積:11. 6m2 /g、濾水度:360ml)〕を上記の方法で評価して結果を表1に記した。
【0051】
【表1】
【0052】
【発明の効果】
本発明のフッ素樹脂で表面処理された芳香族ポリアミドパルプは、耐水性および撥水性に優れ、また、表面電位が低いため帯電し難いという電気的にも優れた性質を示す。また、本発明のフッ素樹脂で表面処理された芳香族ポリアミドパルプの製造方法は、簡便で環境負荷の少ない優れた製造方法である。
Claims (6)
- BET比表面積が3〜25m2 /gであり、フッ素樹脂により表面処理されて0.3〜30重量%のフッ素樹脂を有することを特徴とする芳香族ポリアミドパルプ。
- 下記の(イ)乃至(ロ)の工程を有することを特徴とする請求項1記載の芳香族ポリアミドパルプの製造方法。
(イ)BET比表面積が3〜25m2 /gである芳香族ポリアミドパルプとフッ素樹脂粉末を水中に分散させる工程。
(ロ)凝集剤を分散液に添加して、フッ素樹脂粉末を芳香族ポリアミドパルプの表面に定着させる工程。 - 下記の(イ)乃至(ハ)の工程を有することを特徴とする請求項1記載の芳香族ポリアミドパルプの製造方法。
(イ)BET比表面積が3〜25m2 /gである芳香族ポリアミドパルプとフッ素樹脂粉末を水中に分散させる工程。
(ロ)凝集剤を分散液に添加して、フッ素樹脂粉末を芳香族ポリアミドパルプの表面に定着させる工程。
(ハ)脱水を行い含水芳香族ポリアミドパルプを得る工程。 - 下記の(イ)乃至(ニ)の工程を有することを特徴とする請求項1記載の芳香族ポリアミドパルプの製造方法。
(イ)BET比表面積が3〜25m2 /gである芳香族ポリアミドパルプとフッ素樹脂粉末を水中に分散させる工程。
(ロ)凝集剤を分散液に添加して、フッ素樹脂粉末を芳香族ポリアミドパルプの表面に定着させる工程。
(ハ)脱水を行い含水芳香族ポリアミドパルプを得る工程。
(ニ)乾燥を行い含水率が30重量%未満に調節された芳香族ポリアミドパルプを得る工程。 - 上記の(ニ)の工程の後に下記の(ホ)の工程を有することを特徴とする請求項4記載の芳香族ポリアミドパルプの製造方法。
(ホ)開繊を行う工程。 - 上記の(ニ)の工程の後に下記の(ホ)ついで(ヘ)の工程を有することを特徴とする請求項4記載の芳香族ポリアミドパルプの製造方法。
(ホ)フッ素樹脂の融点以上の温度で加熱処理する工程。
(ヘ)開繊を行う工程。
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