JP3602082B2 - 光走査装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光走査装置に関する。詳しくは、商品に添付されたバーコード情報を読み取り、チェックアウト作用を行うことができるPOSシステムに用いられるバーコードリーダーである光走査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、商品に添付されたバーコード情報を読み取ることにより、チェックアウト作業を行うことができるPOSシステムが急速に普及してきた。このPOSシステムでは、商品を操作するのみでチェックアウト作業を行うことができるため、オペレータの負荷は軽減されつつある。このバーコード情報を読み取る装置をPOSスキャナ(バーコードスキャナ)といい、レーザ光を走査する定置式のスキャナが主流である。
【0003】
従来は、一つの読み取り窓を備えたスキャナをカウンタ面に水平に設置した形態が主流であったが、最近では使用者側の要求により、次の2つの形態に大別されるようになってきた。1つは、特にアメリカにおいて主流となっているものであるが、オペレータの負荷を更に軽減することを目的として、側面と底面の両方に窓ガラスを備え、両方の窓よりバーコードを読み取るためのレーザ走査パターンが出射されるマルチヘッドスキャナである。
【0004】
一方、日本やヨーロッパでは、安価なスキャナが求められるため、2つもの読み取り窓を備えた高性能スキャナは受け入れられず、また、商品籠の移動がスムーズに行われるように、従来装置をカウンタに対して縦に設置した形態が主流ととなっている。ただし、使用者側からは、さらに使い易く安価な装置が要望されている。
【0005】
商店で包装されるような商品には、煮物や豆腐のように汁を含むものや、ケーキなど形が崩れれやすい商品が店舗にならべられている。このような商品の情報を走査させるときに、商品を傾けてしまうと、汁がこぼれチエックアウトカウンタを汚してしまったり、形が崩れて美観を損なうことにより顧客に不快感を与えてしまう。
【0006】
従来装置のいずれも、商品を走査させるときには、商品を傾けた操作が必要であったため、これらの問題が生じていた。また、日本やヨーロッバで用いられているスキャナの縦形設置は、読み取り窓が1つであり、読み取りに対して許容されるバーコードの姿勢の範囲が少なかった。
【0007】
一方、アメリカで主流のカウンター面および正面の両面に読み取り窓を備えた従来装置では、商品籠を移動する際にスキャナが妨げとなることから日本などの店舗には、あまり導入されていない。また、いずれの従来装置を使用した場合もバーコード面を窓面方向にかざした操作が必要であり、オペレータは、バーコードを見ながら操作できないという不具合があった。
【0008】
図8(a)は光走査装置の従来例1として米国特許第5229588号に記載された光走査装置を示した図である。これは、レーザ光源1から出射されたレーザビームがポリゴンミラー2により走査され、ミラー3及び4により反射されて垂直に近い窓5よりレーザ走査パターンAが出射される。また、同時に図示なきミラーを介してカウンタ面の水平な窓6よりもレーザ走査パターンBが出射されるようになっている。
【0009】
また、図8(b)は光走査装置の従来例2として特開昭63−192175号に記載された光走査装置を示す図である。これは、商品滑走面7と該商品滑走面の上方とに窓8および9が設けられ、該2つの窓8,9よりそれぞれレーザ走査パターンA,Bが出射されるようになっている。
【0010】
また、図8(c)は光走査装置の従来例3として米国特許第5140141号に記載された光走査装置を示した図である。これは、商品滑走面7の上方にのみ読み取り窓が設けられ、該窓からレーザ走査パターンAが出射されるようになっている。
【0011】
また、図示はないが光走査装置の従来例4として米国特許第5206491号に記載された光走査装置がある。これは読み取り窓を2面持っており、2つのレーザ光源、もしくは1つのレーザ光源から出射されたレーザビームをビームスプリッタなどで2分割し、得られた2つのビームを光走査手段に入射させるようになっている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例1では、カウンタ面にあるスキャナ部が商品籠の移動の妨げになること、トレイ商品を傾けた操作が必要なこと、およびオペレータはバーコードを見ながら操作できないという問題がある。また、この従来例1では、図8(a)においてレーザ光源1から光走査手段2への入射ビームは光走査手段の回転軸にほぼ垂直であるが、光走査手段からの走査(走査手段からミラー3への方向)は回転軸に垂直でなく図においてやや上向きに走査される。この場合ミラー4で反射して窓5を通過して出射されるAの走査を一方の窓6とほぼ平行な方向に走査させるためにはミラー4の角度が傾いていなければならない。このため従来例1を縦に設置した場合、トップの光学部の体積が大きくなり結果として装置寸法が大きくなるという問題がある。
【0013】
また、従来例2では、カウンタ面のスキャナ部が商品籠の移動の妨げになること、および装置の構成が、カウンタ面、サイド部、トップ部の3部構成であり、構成が複雑高価となる。また、従来例3では、トレイ商品の傾け操作不要、バーコードを見ながらの操作が可能および商品籠の移動の障害物がないという利点はあるが、レーザの出射方向が上から下への1方向であることから読み取り可能なバーコードの姿勢の許容角度が狭いという問題がある。
【0014】
また、この構成で装置を大きくするとスキャナを支える支持物が高価になったり、商品の操作の妨げになりやすいことから、装置自体小さな構成しか許容されない。この場合には、読み取り領域が狭いという問題がある。また、従来例4では、2つのレーザ光源、もしくは1つのレーザ光源から出射されたレーザビームをビームスプリッタなどで2分割し、得られた2つのビームを光走査手段に入射させるという構成のため高価になるという問題がある。
【0015】
本発明は、上記従来の問題点に鑑み、安価な構成でオペレータの負荷を軽減できるスキャナを提供することであり、特に、トレイ商品(煮物や豆腐といった汁含むものやケーキなど形が崩れやすい商品)の読み取りにおいて、オペレータが、商品を傾けずに操作できる光走査装置を提供することにある。且つ、商品籠の移動がスムーズに行え、読み取り領域が広い光走査装置を、安価な構成で、サイドおよび上面に読み取り窓を備え、従来のサイドスキャナの読み取り性能を維持した構成で、かつ上面から下方向にレーザ走査パターンを出射する縦型2面構成のスキャナを実現しようとする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、レーザ光源、前記レーザ光源から出射されるレーザ光線を走査して走査光を生成する、単一の光走査手段、前記光走査手段により生成された走査光を反射して、第1のレーザ走査パターンを発生する第1の光偏向手段、前記第1の光偏向手段により発生した第1のレーザ走査パターンが斜め下方に出射する第1の開口部、前記光走査手段により生成された走査光を反射して、前記第1のレーザ走査パターンとは異なる第2のレーザ走査パターンを発生する第2の光偏向手段、前記第2の光偏向手段により発生した第2のレーザ走査パターンが商品滑走面とほぼ平行に出射する第2の開口部、を備え、前記レーザ光源は、筐体内部の上部の部分に配置されるとともに、前記光走査手段は、前記筐体部分の下部底面付近に配置されることを特徴とする。
【0017】
この構成により、図1に示すように、トップの第1の読み取り窓12からレーザ走査パターンが上から下方向に出射されるため、オペレータは、バーコードを見ながらトレイ商品を傾けることなくスキャニング作業を行うことができる。また、上面からほぼ直角の関係にあるレーザ走査パターンが出射されるため、スキャナの読み取りはバーコード面内の回転方向の向きに依存せず、かつ上面の左右から同一種類のレーザ走査パターンが読み取り空間にて交差するように出射されるため、トレイ商品自体の左右方向の回転に対する許容角度も広い。
【0018】
また、本発明は、前記光走査手段からの走査は該光走査手段の回転軸にほぼ垂直な方向であることを特徴とする。また、前記光走査手段からの走査は一方の読み取り窓にほぼ平行な方向であることを特徴とする。また、前記光走査手段への入射ビームは1つであることを特徴とする。また、前記光検知手段は単一の光検知手段であることを特徴とする。この構成により、図1に示すように、光走査手段からの走査は回転軸にほぼ垂直であり(図1(b)の光走査手段15からミラーM7への走査方向)、読み取り窓13にほぼ水平であるため、ミラーM7の角度をあまり傾けなくとも所望の走査パターンを窓12を介して外部に提供でき、且つ奥行きは短く、トップ光学系の出っ張りも小さくなるため、オペレータとの対面性がよくなる。
【0019】
また、本発明は、前記光走査手段に入射するレーザビームは2つ以上であることを特徴とする。また、2つ以上のレーザ光源を具備したことを特徴とする。また、前記レーザ光源から出射されたレーザビームを分割するためのレーザビーム分割手段を具備したことを特徴とする。
【0020】
この構成により、図6に示すように、複数(例えば2つ)の光源14,14′、または単一のレーザ光源14からビームを光ビーム分割手段(例えば、ビームスプリッタやハーフミラー)19により2ビームを形成し、光走査手段15に入射させ、一方は第1の光偏向手段を介して第1の読み取り窓12へ、また他方はミラー20および第2の光偏向手段を介して第2の読み取り窓13へ提供することもできる。
【0021】
また、本発明は、前記2つの読み取り開口部は、同一平面内にあることを特徴とする。また、前記2つの読み取り開口部は、隣り合う2面それぞれ備えられていることを特徴とする。また、前記2つの読み取り開口部が備えられた平面は、商品滑走面に対して、斜めになっていることを特徴とする。また、装置底面が水平でありカウンタテーブルに据え置き可能な構造になっていることを特徴とする。また、一方の読み取り開口部が、装置が商品滑走面に対して、ほぼ垂直であることを特徴とする。
【0022】
この構成により、図5(b)に示すように、隣り合う2面12,13の交角が直角であったり、図5(c)に示すように同一平面内に配置されていても、所期のレーザ走査パターンを実現することができる。
【0023】
また、本発明は、光走査手段への入射ビームの方向が、装置が載置されるカウンタテーブル面に対して垂直であることを特徴とする。この構成により、前述した図1と同様な効果が得られる。
【0024】
また、本発明は、光走査手段への入射ビームの方向は、装置が載置されるカウンタテーブル面に対してほぼ平行であることを特徴とする。この構成により、図3の如く、レーザ走査バターンの出射方向が、向かって左から右への方向のみであるため、第1の実施の形態に比べて読み取りに対する商品の許容角度は狭いがミラーの枚数が少ないため安価な構成となる。
【0025】
また、本発明は、前記第1あるいは第2のレーザ走査パターンの少なくとも一方は、4方向のレーザ走査線から形成されていることを特徴とする。また、前記第2のレーザ走査パターンは、カウンタ上において商品移動方向に対して20度以内の角度成分からなる走査線を含むことを特徴とする。また、前記第1の読み取り開口部用に走査された2つの走査線は、読み取り開口部では離れているが、装置外部で交わる構成となっていることを特徴とする。また、前記第2の読み取り開口部用に走査された2つの走査線は、読み取り開口部では離れているが、装置外部で交わる構成となっていることを特徴とする。また、前記第2のレーザ走査パターンは、光走査手段から第2の読み取り開口部に至る光路中に一つのミラーでのみ生成されるレーザ走査パターンを含むことを特徴とする。また、前記第2のレーザ走査パターンは、光走査手段から第2の読み取り開口部に至る光路中に三つのミラーを経由して生成されるレーザ走査パターンを含むことを特徴とする。また、前記第1のレーザ走査パターンは、互いにほぼ垂直の関係にある2種類のレーザ走査線を含むことを特徴とする。また、前記第2のレーザ走査パターンは、互いにほぼ垂直の関係にある2種類のレーザ走査線を含むことを特徴とする。
【0026】
この構成により、サイドおよび上面に読み取り窓を備え、従来のサイドスキャナの読み取り性能を維持した構成で、かつ上面から下方向にレーザ走査パターンを出射する縦型2面構成のスキャナを実現できる。
また、本発明は、レーザ光源、前記レーザ光源から出射されるレーザ光線を走査して走査光を生成する、単一の光走査手段、前記光走査手段により生成された走査光を反射して、第1のレーザ走査パターンを発生する第1の光偏向手段、前記第1の光偏向手段により発生した第1のレーザ走査パターンが出射する第1の開口部、前記光走査手段により生成された走査光を反射して、前記第1のレーザ走査パターンとは異なる第2のレーザ走査パターンを発生する第2の光偏向手段、前記第2の光偏向手段により発生した第2のレーザ走査パターンが出射する第2の開口部、を備え、前記レーザ光源は、筐体内部の上部の部分に配置されるとともに、前記光走査手段は、前記筐体部分の下部底面付近に配置されることを特徴とする。また、前記光走査装置において、前記第1の光偏向手段は前記筐体内部に配置されるとともに、前記第1の開口部は前記筐体の底面に対して傾斜して設けられ、前記第1の光偏向手段は前記光走査手段よりも上方に配置されていることを特徴とする。
【0027】
【発明の実施の形態】
図1および図2は本発明の第1の実施の形態を示す図であり、図1(a)は(b)図のa−a線における断面図、図1(b)は(a)図のb−b線における断面図、図2は図1(b)のスクリーンAにおける走査バターンを示す図である。
【0028】
本実施の形態は、図1に示すように、筐体10はカウンタ11(商品滑走面)上に載置される縦長の箱体で、下部側面に第2の読取窓(開口部)13が設けられ、上部に傾斜した第1の読取窓(開口部)12が設けられている。
【0029】
そして、筐体10の内部には上部に配置された単一光源(半導体レーザ)14と、下部底面付近に配置された光走査手段15(ポリゴンミラー)と、上部に配置された第1の光偏向手段と、中央部の左右に配置された第2の光偏向手段とが設けられている。そして、単一光源(半導体レーザ)14から斜め下方に出射されたレーザビーム16は光走査手段15によりほぼ真上に走査され、その走査線の一部は第1の光偏向手段により走査パターンC,D,E,Fとなって第1の読取窓12から出射され、残りの走査線は第2の光偏向手段により走査パターンA,B,G,Hとなって第2の読取窓13から出射されるようになっている。
【0030】
前記第1の光偏向手段は、6個のミラーM5〜M10が筐体体15の上部に3個づつほぼ対称形に配置され(但しミラーM7とM8は左右非対称に配置されている)、前記第2の光偏向手段は、8個のミラーM1〜M4、およびM11〜M14が4個づつほぼ対称形に配置されている。なお、サイドの第2の読取窓13は筐体10の底面に対して垂直に設けられており、上部の第1の読取窓12は筐体10の底面に対して傾斜している。17は信号読み取り用の光検知器、18は光検知器への集光用凹面鏡である。
【0031】
このように構成された本実施の形態の作用を次に説明する。先ずレーザ光源14から出射されたレーザビーム16は、モータにより回転駆動されるポリゴンミラー15に入射する。次いでポリゴンミラー15の回転駆動に応じてポリゴンミラー15で反射されたレーザビームは順次ミラーに向けて反射され、ミラーM1、2、5、7、8、10、13、14の順に走査する。ミラーM1で分割、反射された走査線は、ミラーM3で反射され、第2の読み取り窓13を透過して、走査パターンAとして外部に出射される。
【0032】
同様に、外部に走査線が出射される経路は次のようになる。
走査パターンB:ミラーM2→ミラーM4 →第2の窓
走査パターンC:ミラーM5→ミラーM6 →第1の窓
走査パターンD:ミラーM7 →第1の窓
走査パターンE:ミラーM8 →第1の窓
走査パターンF:ミラーM10→ミラーM9 →第1の窓
走査パターンG:ミラーM13→ミラーM11→第2の窓
走査パターンH:ミラーM14→ミラーM12→第2の窓
【0033】
次にバーコードで反射されたレーザビームは散乱反射されポリゴンミラー15まで出射と同一の経路を逆にたどり、凹面鏡18によって絞られ光検知器17に集光される。バーコードの白と黒に応じた信号光の差を電気信号に変換し、復調回路を経由して信号処理される。
【0034】
本第1の実施の形態では、トップの第1の読み取り窓12からレーザ走査パターンが上から下方向に出射されるため、オペレータは、バーコードを見ながらトレイ商品を傾けることなくスキャニング作業を行うことができる。また、本実施の形態では上面からほぼ直角の関係にあるレーザ走査パターンが出射されるため、スキャナの読み取りはバーコード面内の回転方向の向きに依存せず、かつ上面の左右から同一種類のレーザ走査パターンが読み取り空間にて交差するように出射されるため、トレイ商品自体の左右方向の回転に対する許容角度も広い。
【0035】
また、サイドの第2の読み取り窓13からもレーザ走査パターンが正面方向に出射されるため、バーコードの姿勢に関して、読み取りに対する許容角度もトップおよびサイドからのレーザ走査パターンの補完により広くなっており、オペレータのチェックアウト作業における負荷を軽減することができる。
【0036】
上記実施の形態では、とくに走査パターンDまたはEを生成するために光走査手段から読み取り開口部に至る光路中に1つのミラーを配置するのみで実現している。これらの走査パターンを2枚以上のミラーで生成するような光学系では、装置の縦方向の寸法が大きくなったり、トップスキャナ部のオペレータ側への出っ張りが大きくなり、オペレータとお客の体面性が悪くなったり、スキャニングしにくいなどの問題が発生するが、本実施の形態では、そのようなことはない。
【0037】
また、本実施の形態では、光走査手段からの走査は回転軸にほぼ垂直であり(図1(b)の光走査手段15からミラーM7への走査方向)、読み取り窓13にほぼ水平であるため、ミラーM7の角度をあまり傾けなくとも所望の走査パターンを窓12を介して外部に提供できる。この時、本実施の形態は図8(a)に示した従来例に比し奥行きは短く、トップ光学系の出っ張りも小さいため、オペレータとの対面性がよくなるという利点がある。
【0038】
本実施の形態の走査パターンDおよびEは、図2に示すようにカウンタ面11と平行な面上で、商品移動方向と走査線との交角が20度以内となっており、且つミラーM7とM8を非対称としたことで走査パターンD,Eが中央で交差せず、左右で交差するようになっている。最近の店舗では、店舗内で印刷されるバーコードが多数あるが、その大多数は背の低いバーコードである。この背の低いバーコードを端から端まで走査しようとすると商品の移動方向と走査線の交角を20度以下にする必要がある。該走査線の商品移動方向との交角が20度以上であると、オペレータはトレイ商品(店舗内で印刷されたバーコードが添付されている)を回転させながらスキャニングさせなければならないなどの不具合が発生する。本実施の形態では交角が20度以内であり且つ走査パターンDとEが中央で交差せず左右で交差し空白部がなくなるため、トレイ商品を回転させることなくスキャニングすることができる。
【0039】
なお、本実施の形態では、光走査手段は4面のフアセットをボリゴン15として説明しているため、ポリゴン1回転につき同一種類の走査線が4本づつ出射される。3面のポリゴンの場合では、光走査手段を走査する走査角が大きくなるため、それぞれの走査線の長さが長くなるという利点があるが、ポリゴンミラーの一回転あたりの各走査パターンを構成する走査線数が3本ずつとなり、特に上述のように交角が20度以内となるようなレーザ走査パターンを発生するような光学系では、4面のポリゴンの場合に比べて3面の方が不利となる。即ち同一種類の走査線の間隔を両者同一とした場合に3面の方が走査線の数が少ないことにより走査線の並ぶ方向の領域が狭くなるため、読み取り領域が狭くなるという不利がある。
【0040】
図3は本発明の第2の実施の形態を示す図で、(a)は側面断面図、(b)および(c)は前面より見た斜視図、(d)は商品滑走面における走査パターンである。本実施の形態は、筐体10は第1の実施の形態と同様であり、光走査手段(ポリゴンミラー)15が筐体10の中央より偏奇して設けられ、レーザ光源14が光走査手段15の側方に設けられている。また、ミラーM5〜M8が第1の光偏向手段として配置され、ミラーM1〜M4が第2の光偏向手段として配置されている。
【0041】
このように構成された本実施の形態の作用を次に説明する。レーザ光源14によって出射されたレーザビーム16は、ポリゴンミラー15に入射する。次いでポリゴンミラー15によりレーザビームはミラーM1、2、3、4、5、6の順に走査する。ミラーM1、M2、M3、M4で分割、反射された走査線は、サイドの第2の読み取り窓13を透過して、外部に走査パターンA、B、C、Dとして出射される。
【0042】
一方、ミラーM5で分割、反射された走査線はミラーM7で反射され、走査パターンEとしてトップの第1の読み取り窓12を透過して外部に出射され、ミラーM6で反射、分割された走査線は、ミラーM8で反射され走査パターンFとしてトップの第1の読み取り窓12を透過して外部に出射される。本実施の形態は第1の実施の形態に比べてミラーの枚数が少なく安価な構成であるが、レーザ走査バターンの出射方向が、向かって左から右への方向のみであるため、第1の実施の形態に比べて読み取りに対する商品の許容角度は狭い。
【0043】
図4は本発明の第3の実施の形態を示す図で、(a)は側面断面図、(b)および(c)は前面より見た斜視図、(d)は商品滑走面における走査パターンである。本実施の形態は光走査手段(ポリゴンミラー)15が装置の上部に配置され、レーザ光源14および光検知器17は下方に配置されている。従って、レーザ光源14からポリゴンミラー15への入射ビームの方向は下から上方向である。また、第1の光偏向手段としてミラーM1〜M4およびミラーM11〜14が配置され、第2の光偏向手段としてミラーM5〜M10が配置されている。
【0044】
このように構成された本実施の形態の作用を次に説明する。先ず、レーザ光源14によって出射されたレーザビーム16はポリゴンミラー15に入射する。次いでポリゴンミラー15によりレーザビームはミラーM1、M5、M6、M7、M8、M9、M10、M11の順に走査される。そして第2の光偏向手段のミラーM5〜M10で分割、偏向された走査線は、サイドの第2の読み取り窓13を透過して走査パターンC、D、E、F、G、Hとして外部に出射される。
【0045】
一方、ミラーM1で分割、偏向された走査線は、ミラーM2、M3の順に走査される。そしてミラーM2で反射、分割された走査線はミラーM4で反射されてトップの第1の読み取り窓12を透過し、走査パターンAとして外部に出射される。ミラー3で反射された走査線は、ミラーM4で反射されトップの第1の読み取り窓12を透過し、走査パターンBとして外部に出射される。また、ミラーM11で分割、偏向された走査線はミラーM1で反射された走査線と左右対称であり、ミラーM12、M13、M14により反射分割され、トップの第1の読み取り窓12から走査パターンI、Jとして外部に出射される。本実施の形態は、光走査手段を上部に配置したこと以外は第1の実施の形態と同様な作用効果を有する。
【0046】
図5は本発明の第4および第5の実施の形態を説明するための図で、(a)は比較のための第1,2,3の実施の形態、(b)は第4の実施の形態、(c)は第5の実施の形態を示す各側面図である。(a)図に示すように、第1、第2、第3の実施の形態では、2つの読み取り窓12,13が異なる2面に配置されているが、第4の実施の形態は、(b)図に示すように、隣り合う2つの読み取り窓12,13の2面の交角を直角にしたものである。
【0047】
また第5の実施の形態は、(c)図に示すように2つの読み取り窓12,13を同一平面内に配置したものである。このように隣り合う2面12,13の交角が第4の実施の形態のように直角であっても、第5の実施の形態のように同一平面内に配置されていても、所期のレーザ走査パターンを実現することができる。ただし、2つの窓12,13の角度が鈍角の方が、読み取り領域が広い点で有利である。
【0048】
図6は本発明の第6および第7の実施の形態を説明するための図で、(a)は比較のための第1,2,3の実施の形態、(b)は第6の実施の形態、(c)は第7の実施の形態を示す各側面図である。前述の各実施の形態では、(a)図に示す単一のレーザ光源の場合について説明したが、第6の実施の形態は(b)図に示すように、複数(例えば2つ)の光源14,14′を用い、該光源14,14′からの光ビームを光走査手段15に入射させ、一方は第1の光偏向手段を介して第1の読み取り窓12へ、また他方は第2の光偏向手段を介して第2の読み取り窓13へ提供するように構成したものである。
【0049】
また、第7の実施の形態は(c)図に示すように単一のレーザ光源14からのビームを光ビーム分割手段(例えば、ビームスプリッタやハーフミラー)19により2ビームを形成し、一方はミラー20を介して光走査手段15に入射させ、さらに第1の光偏向手段を介して第1の読み取り窓12へ、また他方は光ビーム分割手段19から光走査手段15に入射させ、さらに第2の光偏向手段を介して第2の読み取り窓13へ提供するように構成したものである。このように構成された第6および第7の実施の形態は部品追加によりコストアップとなるが、前記の各実施の形態と同様に所期のレーザ走査パターンを実現することができる。
【0050】
図7は本発明の第9の実施の形態を説明するための図で、(a)は比較のための第1,2,3の実施の形態、(b)は第8の実施の形態を示す各側面図である。前述の各実施の形態に於いては、(a)図の如く信号光集光手段として凹面鏡18を用いた例を説明したが、本実施の形態では(b)図の如く透過型レンズ(例えばフレネルレンズ)21を用いたものである。凹面鏡は、曲面加工と蒸着といった複数の加工作業が必要なため、高価であるが、本実施の形態に用いる透過型レンズ21は安価であり、装置の縦方向の寸法も縮小できるという利点がある。
【0051】
(付記1) レーザ光源、光走査手段、光検知手段、信号光集光手段、および2つの読み取り開口部を備え、商品滑走面に対して垂直ないし斜めに上から下方に向けて出射される第1のレーザ走査パターンと、商品滑走面に対してほぼ平行方向に出射される第2のレーザ走査パターンとを具備したことを特徴とする光走査装置。
(付記2) 前記第1、第2のレーザ走査パターンは、前記2つの読み取り開口部の別々の読み取り開口部より出射されることを特徴とする付記1に記載の光走査装置。
(付記3) 前記光走査手段による走査を第1の読み取り開口部に導く第1の光偏向手段と、第2の読み取り開口部に導く第2の光偏向手段を備えたことを特徴とする付記1に記載の光走査装置。
(付記4) 前記レーザ光源は、単一のレーザ光源であることを特徴とする付記1に記載の光走査装置。
(付記5) 前記光走査手段からの走査は該光走査手段の回転軸にほぼ垂直な方向であることを特徴とする付記1に記載の光走査装置。
(付記6) 前記光走査手段からの走査は一方の読み取り窓にほぼ平行な方向であることを特徴とする付記1に記載の光走査装置。
(付記7) 前記光走査手段への入射ビームは1つであることを特徴とする付記1に記載の光走査装置。
(付記8) 前記光検知手段は単一の光検知手段であることを特徴とする付記1に記載の光走査装置。
(付記9) 前記光走査手段に入射するレーザビームは2つ以上であることを特徴とする付記1に記載の光走査装置。
(付記10) 2つ以上のレーザ光源を具備したことを特徴とする付記9に記載の光走査装置。
(付記11) 前記レーザ光源から出射されたレーザビームを分割するためのレーザビーム分割手段を具備したことを特徴とする付記9に記載の光走査装置。
(付記12) 前記2つの読み取り開口部は、同一平面内にあることを特徴とする付記1に記載の光走査装置。
(付記13) 前記2つの読み取り開口部は、隣り合う2面それぞれ備えられていることを特徴とする付記1に記載の光走査装置。
(付記14) 前記2つの読み取り開口部が備えられた平面は、商品滑走面に対して、斜めになっていることを特徴とする付記12に記載の光走査装置。
(付記15) 装置底面が水平でありカウンタテーブルに据え置き可能な構造になっていることを特徴とする付記1に記載の光走査装置。
(付記16) 一方の読み取り開口部が、装置が商品滑走面に対して、ほぼ垂直であることを特徴とする付記13に記載の光走査装置。
(付記17) 光走査手段への入射ビームの方向が、装置が載置されるカウンタテーブル面に対して垂直であることを特徴とする付記1に記載の光走査装置。
(付記18) 光走査手段への入射ビームの方向は、装置が載置されるカウンタテーブル面に対してほぼ平行であることを特徴とする付記1に記載の光走査装置。
(付記19) 前記第1あるいは第2のレーザ走査パターンの少なくとも一方は、4方向のレーザ走査線から形成されていることを特徴とする付記1に記載の光走査装置。
(付記20) 前記第2のレーザ走査パターンは、カウンタ上において商品移動方向に対して20度以内の角度成分からなる走査線を含むことを特徴とする付記1に記載の光走査装置。
(付記21) 前記第1の読み取り開口部用に走査された2つの走査線は、読み取り開口部では離れているが、装置外部で交わる構成となっていることを特徴とする付記1に記載の光走査装置。
(付記22) 前記第2の読み取り開口部用に走査された2つの走査線は、読み取り開口部では離れているが、装置外部で交わる構成となっていることを特徴とする付記1に記載の光走査装置。
(付記23) 前記第2のレーザ走査パターンは、光走査手段から第2の読み取り開口部に至る光路中に一つのミラーでのみ生成されるレーザ走査パターンを含むことを特徴とする付記1に記載の光走査装置。
(付記24) 前記第2のレーザ走査パターンは、光走査手段から第2の読み取り開口部に至る光路中に三つのミラーを経由して生成されるレーザ走査パターンを含むことを特徴とする付記1に記載の光走査装置。
(付記25) 前記第1のレーザ走査パターンは、互いにほぼ垂直の関係にある2種類のレーザ走査線を含むことを特徴とする付記1に記載の光走査装置。
(付記26) 前記第2のレーザ走査パターンは、互いにほぼ垂直の関係にある2種類のレーザ走査線を含むことを特徴とする付記1に記載の光走査装置。
【0052】
【発明の効果】
本発明の光走査装置に依れば、安価でかつ小さな構成で、第1および第2の読み取り窓より所期のレーザ走査パターンを読み取り領域へ提供できる。本レーザ走査パターンの提供により、オペレータはトレイ商品の傾け走査が不要になり、且つ、バーコードを見ながらの操作が可能となるため、チェックアウト作業の効率化に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す図で、(a)は(b)図のa−a線における断面図、図1(b)は(a)図のb−b線における断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を示す図で、(a)は図1(b)のスクリーンAにおける走査バターン、(b)は商品滑走面における走査バターンを示す上面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態を示す図で、(a)は側面断面図、(b)および(c)は前面より見た斜視図、(d)は商品滑走面における走査パターンである。
【図4】本発明の第3の実施の形態を示す図で、(a)は側面断面図、(b)および(c)は前面より見た斜視図、(d)は商品滑走面における走査パターンである。
【図5】本発明の第4および第5の実施の形態を示す図で、(a)は比較のために示した第1の形態の側面断面図、(b)は第4の実施の形態の側面断面図、(c)は第5の実施の形態の側面断面図である。
【図6】本発明の第6および第7の実施の形態を示す図で、(a)は比較のために示した第1の形態の側面断面図、(b)は第6の実施の形態の側面断面図、(c)は第7の実施の形態の側面断面図である。
【図7】本発明の第8の実施の形態を示す図で、(a)は比較のために示した第1の形態の側面断面図、(b)は第8の実施の形態の側面断面図である。
【図8】従来の光走査装置の3例を示す図である。
【符号の説明】
10…筐体
11…カウンタ(商品滑走面)
12…第1の読み取り窓
13…第2の読み取り窓
14…レーザ光源
15…光走査手段(ポリゴンミラー)
16…レーザビーム
17…光検知器
18…凹面鏡
19…光ビーム分割手段
20…ミラー
21…透過型レンズ

Claims (2)

  1. レーザ光源、
    前記レーザ光源から出射されるレーザ光線を走査して走査光を生成する、単一の光走査手段、
    前記光走査手段により生成された走査光を反射して、第1のレーザ走査パターンを発生する第1の光偏向手段、
    前記第1の光偏向手段により発生した第1のレーザ走査パターンが斜め下方に出射する第1の開口部、
    前記光走査手段により生成された走査光を反射して、前記第1のレーザ走査パターンとは異なる第2のレーザ走査パターンを発生する第2の光偏向手段、
    前記第2の光偏向手段により発生した第2のレーザ走査パターンが商品滑走面とほぼ平行に出射する第2の開口部、を備え、
    前記レーザ光源は、筐体内部の上部の部分に配置されるとともに、
    前記光走査手段は、前記筐体部分の下部底面付近に配置されることを特徴とする光走査装置。
  2. 前記光走査装置において、前記第1の光偏向手段は前記筐体内部に配置されるとともに、
    前記第1の開口部は前記筐体の底面に対して傾斜して設けられ、
    前記第1の光偏向手段は前記光走査手段よりも上方に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
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