JP3601659B2 - 脱臭フィルターおよびファンヒータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、光触媒を使用した脱臭フィルターをファンヒータに装着した構造の脱臭フィルター付きファンヒータに関する。
【0002】
【従来の技術】
ガス、石油などを燃焼させるか又は電熱式ヒータで加熱した空気を送風機により吹き出させるファンヒータは、空気吸込口にメッシュフィルターまたは静電式集塵フィルターを装着している。また、室内の臭気を除去するために、酸化チタンの光触媒反応を利用して、活性炭、無機繊維、パルプなどに光触媒を担持させたペーパーをハニカム状に形成した光触媒式の脱臭フィルターを空気吸込口に設置することが実施されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、従来の光触媒式の脱臭フィルターは、担体がペーパーであるため機械的強度が弱く、かつ耐熱耐久性が低いため、たびたび交換する必要がある。
この発明の目的は、機械的強度が大きく、かつ耐熱耐久性に優れ、長期間交換不要となるファンヒータ用脱臭フィルターおよび該脱臭フィルターを装着したファンヒータの提供にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この発明の脱臭フィルター付きファンヒータは、アナターゼ型酸化チタン、活性炭、粘土、有機バインダーおよび水の混練物を成形、乾燥して形成した平板状の固結体に、板厚方向の通気穴を分散して設けたフィルター本体と、通気窓付きの2枚の側板の間に、通気性のクッション材を介在させて挟んで保持してなり、ファンヒータの吸気口に嵌着された脱臭フィルターを具備する。
ファンヒータは、前面の下部に横長の吹出口が設けられて背面の中間部に吸気口が形成されたケーシングと、該ケーシング内の中間部に設けられたバーナと、該バーナの下方に横置きに設定された横長の遠心式ファンと、吸気口に取り付けられた空気清浄枠とを備えている。
空気清浄枠には、該空気清浄枠の全面を覆うメッシュフィルターと、空気清浄枠の下側部の略2/3の面を覆う静電式集塵機とを有し、脱臭フィルターは空気清浄枠の下側部の略1/3の面を覆う。
【0005】
【発明の効果】
この発明の脱臭フィルター付きファンヒータでは、フィルター本体が平板状に固結されているため機械強度が高く、ペーパーを使用していないため耐熱・耐久性に優れる。また、通気窓を有する2枚の側板の間に通気性のクッション材を介して保持しているため耐振性に優れる。この結果、長期間にわたって継続使用することができるとともに、維持コストの低減化を図ることができる。
さらに、ファンヒータは、前面の下部に横長な吹出口が設けられて背面の中間部に吸気口が形成されたケーシングと、該ケーシング内の中間部に設けられたバーナと、該バーナの下方に横置きに設定された横長の遠心式ファンと、吸気口に取り付けられた空気清浄枠とを備えている。空気清浄枠には、該空気清浄枠の全面を覆うメッシュフィルターと、空気清浄枠の下側部の略2/3の面を覆う静電式集塵機とを有し、脱臭フィルターは空気清浄枠の下側部の略1/3の面を覆う。この構成により、吸気口の全面から均等に室内空気を吸入できるとともに、メッシュフィルターによる埃の除去、静電式集塵機による集塵および脱臭フィルターによる脱臭を効率的に行うことができて、埃や花粉などの比較的大きい粒子から煙草の煙などの小さな粒子までの捕集と、臭いの除去が可能となる。
【0006】
請求項2の構成では、前段は請求項1と同一内容であるため、長期間にわたって継続使用することができるとともに、維持コストの低減化を図ることができる。
また、2枚の側板は、突き合わせ又は嵌め合いによりケースとなる縁筒部を有し、通気窓は複数が列設されるとともに、各通気窓には金網が張られており、通気窓間の側板の内壁面には、仕切り壁が設けられている。この構成では、脱臭フィルターを着脱の容易なカートリッジにして、光触媒を再生・再使用する場合に有利である。請求項2の他の構成は、請求項1と同一内容であるため、請求項1と同様な効果が得られる。
【0007】
請求項3の構成では、前段は請求項1と同一内容であるため、長期間にわたって継続使用することができるとともに、維持コストの低減化を図ることができる。
また、前記フィルター本体は、前記固結体に直径1.0mm〜2.0mmの円穴を、該直径の2±0.5倍の間隔で格子状、千鳥格子状または正三角形状に形成している。これにより、機械的強度の増大と通気抵抗の低減化に有効となる。通気性のクッション材にエステル系の発砲ウレタンシートを使用すると、三次元骨格の網構造になるため通気性に優れ、埃による目詰まりが生じにくいとともに、脱臭性能に影響を与えず、光触媒の再生に便利であるなどの利点がある。請求項3の他の構成は、請求項1と同一内容であるため、請求項1と同様な効果が得られる。
【0010】
請求項4に記載の構成では、頻繁に清掃が必要なメッシュフィルターを空気清浄枠の外側に配し、定期的に取り外して再生することが必要な脱臭フィルターを中間に取り付け、修理または保管のための清掃など以外に触れることのない静電式集塵機を最も奥に配置しているので、使用性を向上させることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1〜3は、この発明にかかるファンヒータ用脱臭フィルター1を示し、四角形の平板状を呈するフィルター本体2を、通気窓30付き内側板3および通気窓40付き外側板4の間に、通気性の内側クッション材5および外側クッション材51を介在させて挟んで保持した構造を有する。
【0012】
フィルター本体2は、図4に示す如く、アナターゼ型酸化チタン、活性炭、粘土、有機バインダーおよび水の混練物を成形、乾燥して形成した平板状固結体に、板厚方向の通気穴21を分散、形成してなる。この実施例では、フィルター本体2は、一辺が60mmの正方形で厚さが6mmの平板に、直径1mmの円形通気穴21を千鳥格子状に2mmの間隔で、幅3mmの縁部を除く全面に設けてなる。
【0013】
通気穴21は、円形で直径が1.0mm〜2.0mmの範囲、形成のパターンは格子状、千鳥格子状または正三角形状、間隔は直径の2±0.5倍であることが、通気性の確保と機械的強度の維持および耐久性、並び生産性の観点から望ましい。なお、フィルター本体2の縁部を補強し、破損を防止する観点から、通気穴を形成しない縁部の幅は、通気穴の直径の2〜4倍であることが望ましい。また、通気穴の形状は、円穴以外に、脱臭能力に関わる表面積や圧力損失に影響がないものであれば多角形、楕円形、その他であってもよい。
【0014】
内側板3は、樹脂で一体成形され、72×202mmの長方形の側板部31と、該側板部31の外周から外方に直交的に延設された縁筒部32とからなる。縁筒部32の外周には、中間位置に凸条33が周設されており、凸条33の一部は大きく突設されて上下各2か所の係止爪34となっている。縁筒部32の凸条33の内側部には、所定位置に係合スリット35が形成されている。
【0015】
側板部31には、一辺が55mmの正方形の通気窓30が長手方向に3個並んで開けられており、各通気窓30にはリブ36が十字形に一体成形されている。側板部31の裏面には全面に金網37が張られて全ての通気窓30を通気自在に塞いでいる。なお、リブ36を多数形成して格子を設け、金網37を省略してもよく、樹脂製の網を使用してもよい。
【0016】
外側板4は、樹脂で一体成形され、長方形の側板部41と、該側板部41の外周から内方に直交的に延設された縁筒部42とからなる。縁筒部42の先端の外周には、係合スリット35に係合する係合突起43が形成されている。側板部41には、一辺が55mmの正方形の通気窓40が、通気窓30に対応して長手方向に3個列設して開けられており、各通気窓40にはリブ44が十字形に一体成形されている。
【0017】
通気窓40、40の間の側板部41の内壁には、上下方向の隔壁45、45が一体形成され、縁筒部42と隔壁45または隔壁45と隔壁45とで囲まれた3つの区隔4A〜4Cを形成している。各区隔4A〜4Cの側板部41の裏面にはそれぞれ金網46が張られて各通気窓40を塞いでいる。なお、リブ44を多数形成して、金網46を省略してもよい。
【0018】
内側板3および外側板4は、縁筒部32内に縁筒部42が印籠嵌合されて、矩形で偏平なケースとなっている。ケース内の各通気窓30、40の位置には、フィルター本体2が配置され、フィルター本体2と金網37、46との間には、厚さ5.0mmのエステル系の発泡ウレタンシート製で通気性のクッション材5、51が介装されている。内側のクッション材5は、側板部31の内壁面に対応した長方形を呈している。外側のクッション材51は、隔壁45で仕切られた側板部41の内壁面より大きく形成され、縁部52が折れ曲がることで、フィルター本体2の外周面と、縁筒部42の内壁または隔壁45との間に挟み込まれている。縁部52は、垂直面内でフィルター本体2のクッションとなっている。
【0019】
この構成では、フィルター本体2にペーパーを担体として使用しておらず、アナターゼ型酸化チタン、活性炭、粘度、有機バインダーの固結体を使用しているため、機械的強度が高く耐熱性に優れる。また、金網37、46の間にエステル系発泡ウレタンシート製のクッション材5、51を介してフィルター本体2を保持しているため、フィルター本体2に強い振動または集中応力が加わることが有効に防止できる。さらに、内側板3および外側板4は、縁筒部32内に縁筒部42が印籠嵌合されて、矩形で偏平なケースとなっており、脱臭フィルター1がカートリッジとなっているため、光触媒の再生などのために取外したり、装着する作業が容易にできる。
【0020】
図5、図6は脱臭フィルター1を吸気口に装着したファンヒータ6を示し、奥行きが偏平な鉄板製のケーシング61の内部に横長のガスバーナ62を水平的に配している。ガスバーナ62の下方には筒状の遠心式ファン63が横に設置されており、ケーシング61の前面の下部には、横長の吹出口64が設けられている。ケーシング61の背面には、中間部および上部の、やや左寄りに開口した吸気口65が矩形状に設けられており、該吸気口65には、矩形筒状の空気清浄枠7が連結されている。
【0021】
空気清浄枠7は、前側(ケーシング61側)71が吸気口65を囲んでケーシング61の背面に連結されている。空気清浄枠7の後側(外側)面72に、空気中の埃の内の比較的大きいものを除去するためのメッシュフィルター73が全面を塞いで着脱自在に装着されている。空気清浄枠7の前側部には、メッシュフィルター73の下部のほぼ2/3の面積に相当する吸入空気の流路面積に、静電式集塵機74が装着されている。メッシュフィルター73と静電式集塵機74との間には、メッシュフィルター73の下部の略1/3の面積に相当する吸入空気の流路面積に脱臭フィルター1が装着されている。
【0022】
このファンヒータ6は、ファン63に誘導され吸気口65から吸い込まれる空気が脱臭フィルター1内を通過する際に脱臭される。この際にファン63による吸引力が大きい吸気口65の下部の約1/3に脱臭フィルター1を配し、吸引力が中程度の吸気口65の中部の約2/3に静電式集塵機74を配している。このため、吸気口65からケーシング61内に吸引される空気が均一化できる。
【0023】
また、主に空気清浄枠7の中間部を通過しガスバーナ62に供給される燃焼用空気、主に空気清浄枠7の上部を通過する器具を冷却するための空気、および主に空気清浄枠7の下部を通過し遠心式ファン63によって部屋に対流を生じさせるための空気をバランス良く分布させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】脱臭フィルターの正面図である。
【図2】脱臭フィルターの平面図である。
【図3】脱臭フィルターの側面断面図である。
【図4】フィルター本体の斜視図である。
【図5】ファンヒーターの側面断面図である。
【図6】ファンヒーターの背面の斜視図である。
【符号の説明】
1 脱臭フィルター
2 フィルター本体
3 内側板
4 外側板
5、51 クッション材
6 ファンヒータ
7 空気清浄枠
21 通気穴
30、40 通気窓
32、42 縁筒部
37、46 金網
61 ケーシング
62 ガスバーナ
63 遠心式ファン
64 吹出口
65 吸気口
73 メッシュフィルター
74 静電式集塵機
Claims (4)
- アナターゼ型酸化チタン、活性炭、粘土、有機バインダーおよび水の混練物を成形、乾燥して形成した平板状の固結体に、板厚方向の通気穴を分散して設けたフィルター本体と、通気窓付きの2枚の側板の間に、通気性のクッション材を介在させて挟んで保持してなり、ファンヒータの吸気口に嵌着された脱臭フィルターを具備し、
前記ファンヒータは、前面の下部に横長の吹出口が設けられて背面の中間部に前記吸気口が形成されたケーシングと、該ケーシング内の中間部に設けられたバーナと、該バーナの下方に横置きに設定された横長の遠心式ファンと、前記吸気口に取り付けられた空気清浄枠とを備え、
前記空気清浄枠には、該空気清浄枠の全面を覆うメッシュフィルターと、前記空気清浄枠の下側部の略2/3の面を覆う静電式集塵機とを有し、前記脱臭フィルターは前記空気清浄枠の下側部の略1/3の面を覆うことを特徴とする脱臭フィルター付きファンヒータ。 - アナターゼ型酸化チタン、活性炭、粘土、有機バインダーおよび水の混練物を成形、乾燥して形成した平板状の固結体に、板厚方向の通気穴を分散して設けたフィルター本体と、通気窓付きの2枚の側板の間に、通気性のクッション材を介在させて挟んで保持してなり、ファンヒータの吸気口に嵌着された脱臭フィルターを具備し、
前記2枚の側板は、突き合わせ又は嵌め合いによりケースとなる縁筒部を有し、前記通気窓は複数が列設されるとともに、各通気窓には金網が張られており、前記通気窓間の側板の内壁面には、仕切り壁が設けられており、
前記ファンヒータは、前面の下部に横長の吹出口が設けられて背面の中間部に前記吸気口が形成されたケーシングと、該ケーシング内の中間部に設けられたバーナと、該バーナの下方に横置きに設定された横長の遠心式ファンと、前記吸気口に取り付けられた空気清浄枠とを備え、
前記空気清浄枠には、該空気清浄枠の全面を覆うメッシュフィルターと、前記空気清浄枠の下側部の略2/3の面を覆う静電式集塵機とを有し、前記脱臭フィルターは前記空気清浄枠の下側部の略1/3の面を覆うことを特徴とする脱臭フィルター付きファンヒータ。 - アナターゼ型酸化チタン、活性炭、粘土、有機バインダーおよび水の混練物を成形、乾燥して形成した平板状の固結体に、板厚方向の通気穴を分散して設けたフィルター本体と、通気窓付きの2枚の側板の間に、通気性のクッション材を介在させて挟んで保持してなり、ファンヒータの吸気口に嵌着された脱臭フィルターを具備し、
前記フィルター本体は、前記固結体に直径1.0mm〜2.0mmの円穴を、該直径の2±0.5倍の間隔で格子状、千鳥格子状または正三角形状に形成し、
前記ファンヒータは、前面の下部に横長の吹出口が設けられて背面の中間部に前記吸気口が形成されたケーシングと、該ケーシング内の中間部に設けられたバーナと、該バーナの下方に横置きに設定された横長の遠心式ファンと、前記吸気口に取り付けられた空気清浄枠とを備え、
前記空気清浄枠には、該空気清浄枠の全面を覆うメッシュフィルターと、前記空気清浄枠の下側部の略2/3の面を覆う静電式集塵機とを有し、前記脱臭フィルターは前記空気清浄枠の下側部の略1/3の面を覆うことを特徴とする脱臭フィルター付きファンヒータ。 - 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の脱臭フィルター付きファンヒータにおいて、前記空気清浄枠の内側部に前記静電式集塵機を配し、前記空気清浄枠の外側部に前記メッシュフィルターを着脱自在に取り付け、前記空気清浄枠内の前記静電式集塵機と前記メッシュフィルターとの間に前記脱臭フィルターを着脱可能に装着したことを特徴とする脱臭フィルター付きファンヒータ。
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