JP3601465B2 - 目標観測システム - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、大気中を伝搬する電波の電波屈折による変化を観測して高精度な目標の探知、追尾時の位置評定等を実現する目標観測システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、大気中の電波の伝搬経路は、大気中の各層の電波に対する屈折率が異なるため湾曲した経路となる。そして、この種の電波屈折に基づく目標の高度誤差補正の手法としては、屈折率の変化がある一定値を有する標準大気を仮定し、地球の半径が等価的に4/3倍(等価地球半径比k)に伸張した値であるとして補正する手法が広く知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の高度誤差補正手法を用いた装置では、目標の高度誤差補正が等価地球半径比kを用いた固定的な方法で行われていたので、季節あるいは温度、湿度、気圧等の変化により標準大気を仮定出来ないような場合には目標の仰角(高度)が正確に補正されず、目標の探知、追尾時の位置評定精度等が低下するという問題点があった。
【0004】
例えば、特開昭62−8078号公報には、このような気象条件の変化に起因する測角誤差を地表面の電波屈折率計測データに基づいて補正する測高レーダーの高度誤差補正装置について記載されているが、ここで用いられる地表面の電波屈折率Nsは上述した等価地球半径比kと同様の固定値であり、電波屈折角補正定数b,aによって仰角に依存する変動は補正されるものの、季節あるいは温度、湿度、気圧等の変化に対応した変数として取り扱われるものではなく、リアルタイムに変化する気象条件の変動に起因した測角誤差を十分に補正しうるものではない。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解消するためになされたものであり、大気中の気象条件の変動にかかわらず高精度な目標の探知、追尾時の位置評定等を行うことができる新規な目標観測システムを得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明に係る目標観測システムは、地球上空の所定軌道を移動する基準目標までの距離及び仰角を測定する測距手段と、この測距手段により測定された上記基準目標までの距離及び仰角の測定データと上記基準目標までの距離及び仰角の基準データとから上記基準目標の測定時における等価地球半径比を算出する等価地球半径比演算部と、この等価地球半径比演算部により算出された上記基準目標の測定時における等価地球半径比に基づいて目標物の高度を算出する高度演算部とを備えたものである。
【0007】
また、請求項2の発明に係る目標観測システムは、地球上空の所定軌道を移動する基準目標までの距離及び仰角を測定する測距手段と、この測距手段により測定された上記基準目標までの距離及び仰角の測定データと上記基準目標までの距離及び仰角の基準データとから上記基準目標の測定時における等価地球半径比を算出する等価地球半径比演算部と、この等価地球半径比演算部により算出された上記基準目標の測定時における等価地球半径比をデータベースとして蓄積するデータ蓄積部と、このデータ蓄積部に蓄積された等価地球半径比に基づいて目標物の高度を求める高度演算部とを備えたものである。
【0008】
また、請求項3の発明に係る目標観測システムは、上記データ蓄積部を公衆又は専用の通信回線と接続し、上記データ蓄積部にデータベースとして蓄積された等価地球半径比を目標物の高度を測定する他の装置又はシステムにおいて利用可能としたものである。
【0009】
また、請求項4の発明に係る目標観測システムは、地球上空の所定軌道を移動する基準目標までの距離及び仰角を測定する複数の測距手段と、これら複数の測距手段により測定された上記基準目標までの距離及び仰角の各測定データと上記基準目標までの距離及び仰角の各基準データとから上記基準目標の測定時における等価地球半径比を算出する等価地球半径比演算部と、この等価地球半径比演算部により算出された上記基準目標の測定時における等価地球半径比に基づいて目標物の高度を算出する高度演算部とを備えたものである。
【0010】
また、請求項5の発明に係る目標観測システムは、上記測距手段がレーダ装置であるものである。
【0011】
また、請求項6の発明に係る目標観測システムは、上記等価地球半径比演算部が低仰角の軌道に位置する上記基準目標の測定時における等価地球半径比を算出するものである。
【0012】
また、請求項7の発明に係る目標観測システムは、上記等価地球半径比演算部が複数の基準目標について測定された各基準目標までの距離及び仰角の測定データに基づいて上記基準目標の測定時における等価地球半径比を算出するものである。
【0013】
また、請求項8の発明に係る目標観測システムは、上記基準目標が周回衛星であるものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1.について図1及び図2を用いて説明する。図1はこの発明の実施の形態1.による目標観測システムを示すブロック構成図、図2はこの発明の実施の形態1.による目標観測システムの測距手段による基準目標の測定状況を示す模式図ある。図1及び図2において、1は送信パルス信号を含む送信ビームを方位方向及び仰角方向に走査して目標物からの反射電波を受信し、この受信した反射電波に基づいて目標物までの距離R,仰角θ及び後述する基準目標までの距離Rk、仰角θkを測定する測距手段、2は測距手段1により測定された基準目標までの距離Rk,仰角θkが入力され、これらと予め図示省略した記憶部等に記憶された標準大気における等価地球半径比k(=4/3)及び既知の位置データに基づく基準目標までの距離Rk’,仰角θk’とから基準目標の測定時における等価地球半径比k’を算出する等価地球半径比演算部、3は等価地球半径比演算部2により算出された基準目標の測定時における等価地球半径比k’を用いて測距手段1により測定された目標物までの距離R,仰角θを算出する距離・仰角演算部、4は距離・仰角演算部3により算出された目標物までの距離R,仰角θ及び測距手段1の設置高度等に基づいて目標物の高度を算出する高度演算部である。
【0015】
また、図2において、5は基準目標、6は地表面であり、測距手段1としては目標の探知及び追尾等を行うレーダ装置、基準目標5としては地球上空の所定軌道を周回する周回衛星を使用する。周回衛星としては国際宇宙ステーション(ISS)、高層大気観測衛星(UARS)等がある。これらの周回衛星は地球上空の所定軌道上を正確に時間管理されて移動しており、各時刻により地球上空のどの軌道上に位置しているのか正確に把握することができる。なお、主要な周回衛星は常にその軌道が監視され、現在位置を計算するためのデータが公表されており、これらのデータを利用することにより周回衛星までの高精度な距離及び仰角のデータを得ることできる。
【0016】
次に動作について説明する。まず測距手段1は目標物の観測を行う前に基準目標5までの距離Rk及び仰角θk距離を測定する。測距手段1により測定された基準目標5までの距離Rk及び仰角θkは等価地球半径比演算部2に入力され、これらと予め図示省略した記憶部等に記憶された標準大気における等価地球半径比k(=4/3)及び既知の位置データに基づく基準目標5までの距離Rk’,仰角θk’とから基準目標5の測定時における等価地球半径比k’が算出される。上述したとおり、周回衛星は地球上空の所定軌道上を正確に時間管理されて移動しており、各時刻により地球上空のどの軌道上に位置しているのかを正確に把握することができ、基準目標5として周回衛星を利用した場合には、基準目標5の測定時刻における周回衛星の位置データと測距手段1の位置データとから測距手段1から基準目標5までの理論上の距離Rk’及び仰角θk’のデータ(以下、基準データという)を得ることができる。このように、標準大気における等価地球半径比kは、基準目標5までの基準データ及び測距手段1により測定された基準目標5までの距離Rk及び仰角θkのデータに基づいて補正され、基準目標5の測定時における等価地球半径比k’が算出される。
【0017】
そして、等価地球半径比演算部2により算出された基準目標5の測定時における等価地球半径比k’は、距離・仰角演算部3に入力され目標物までの距離R’及び仰角θ’の算出に用いられる。即ち、測距手段1により測定された目標物までの距離R及び仰角θは距離・仰角演算部3に入力され、等価地球半径比演算部2により算出された基準目標5の測定時における等価地球半径比k’に基づいて正確な目標物までの距離R’及び仰角θ’が算出される。距離・仰角演算部3により算出された目標物までの距離R’及び仰角θ’のデータは高度演算部4に入力され、この目標物までの距離R’及び仰角θ’のデータに基づいて目標物の高度を算出することにより目標物の正確な高度を算出することができる。
【0018】
なお、目標物の高度hの算出には、例えば、以下の数式を用いる。数式1及び数式2において、hは目標物の高度(m)、RSは目標物までの距離(m)、hSは測距手段1の設置高度(m)、Reは等価地球半径(m)、R0は地球半径(m)、θは仰角、kは等価地球半径比である。本実施の形態による目標観測システムでは、等価地球半径k、目標物までの距離RS及び仰角θは、それぞれ基準目標5の測定時における等価地球半径比k’、等価地球半径比k’によって算出された距離R’及び仰角θ’として目標物の高度の演算を行う。
【0019】
【数1】
【0020】
【数2】
【0021】
このように、本実施の形態による目標観測システムでは、予め目標物までの距離及び仰角が判明している基準目標5について測距手段1による測定を行い、この測距手段1により実際に測定された基準目標5までの距離Rk及び仰角θkにより標準大気における等価地球半径比kを補正して基準目標の測定時における等価地球半径比k’を算出するようにしたので、この基準目標5の測定時における等価地球半径比k’を用いてリアルタイムに変化する気象条件、季節変動等に対応した目標物の高度等を算出することができ、高精度な目標の探知、追尾時の位置評定等を実現することができる。
【0022】
また、大気中を伝搬する電波はその伝搬距離が長くなるほど大気中の各層による電波屈折の影響を受け易いが、低仰角の軌道上に位置する基準目標5の測定に基づいて標準大気における等価地球半径比kを補正することにより測距手段1から基準目標5までの観測距離を長く設定することができ、遠方の目標物の観測に適したより正確な等価地球半径比k’を算出することができる。そして、この低仰角の軌道上に位置する基準目標5の測定時における等価地球半径比k’を用いることにより、遠方の目標物の観測を行う場合においてもその高度等を正確に算出することができ、高精度な目標の探知、追尾時の位置評定等を実現することができる。
【0023】
実施の形態2.
次にこの発明の実施形態2.による目標観測システムについて図3及び図4を用いて説明する。上記実施の形態1.による目標観測システムは等価地球半径比演算部2により算出された基準目標5の測定時における等価地球半径比k’を単に目標物までの距離Rk及び仰角θk等の算出に用いるものであったが、本実施の形態による目標観測システムは、目標物等価地球半径比演算部2により算出された基準目標5の測定時における等価地球半径比k’をさらにデータベースとして蓄積するものである。
【0024】
図3はこの発明の実施の形態2.による目標観測システムを示すブロック構成図、図4はこの発明の実施の形態2.による目標観測システムの測距手段による基準目標の測定状況及びデータ蓄積部にデータベースとして蓄積された等価地球半径比の利用態様を示す模式図ある。図3及び図4において、7は等価地球半径比演算部2により算出された基準目標5の測定時における等価地球半径比k’をデータベースとして蓄積するデータ蓄積部、8はデータ蓄積部7と接続された公衆回線又は専用回線等のネットワーク化された通信回線である。なお、図中、同一符号は同一又は相当部分を示し、これらについての詳細な説明は省略する。
【0025】
本実施の形態による目標観測システムによれば、等価地球半径比演算部2により算出された基準目標5の測定時における等価地球半径比k’がデータ蓄積部7にデータベースとして蓄積されるので、等価地球半径比k’の地域的変化あるいは長期的変動を明らかにすることができる。また、距離・仰角演算部3及び高度演算部4は、データ蓄積部7にデータベースとして蓄積された等価地球半径比k’に基づいて目標物までの距離R’、仰角θ’及び高度hをそれぞれ算出するので、このような地域的変化あるいは長期的な変動をも考慮した目標物の観測を行うことができ、より高精度な目標の探知および追尾時の位置評定化等を実現することができる。
【0026】
また、図4に示すように、データ蓄積部7は公衆回線又は専用回線等のネットワーク化された通信回線、例えば公衆電話回線等の通信網に接続されており、データ蓄積部7にデータベースとして蓄積された等価地球半径比k’を目標の探知、追尾等を行う他のレーダシステム等において利用することができる。これにより、本実施の形態による目標観測システムのように標準大気における等価地球半径比kを補正する等価地球半径比演算部2を有していない他のレーダ装置、レーダシステム等においても目標物の高度を正確に算出することができ、高精度な目標の探知、追尾時の位置評定等を実現することができる。
【0027】
実施の形態3.
次にこの発明の実施形態3.による目標観測システムについて図5を用いて説明する。上記実施の形態1.及び2.による目標観測システムはいずれも1つの基準目標5について測定した基準目標5までの距離Rk及び仰角θkに基づいて標準大気における等価地球半径比kを補正し基準目標5の測定時における等価地球半径比k’を算出するものであったが、本実施の形態による目標観測システムは、複数の基準目標について測定した基準目標5までの距離Rk及び仰角θkに基づいて基準目標の測定時における等価地球半径比k’を算出するものである。
【0028】
図5はこの発明の実施の形態3.による目標観測システムの測距手段による基準目標の測定状況を示す模式図あり、図5において、9−1,9−2はそれぞれ周回衛星等の基準目標である。なお、図中、同一符号は同一又は相当部分を示し、これらについての詳細な説明は省略する。また、本実施の形態による目標観測システムも上記実施の形態による目標観測システムと同様に等価地球半径比演算部2、距離・仰角演算部3及び高度演算部4、さらにはデータ蓄積部7を有するものであるが、これらについての図示及び詳細な説明についても省略する。図5に示すように、本実施の形態による目標観測システムでは、複数の基準目標9−1,9−2、例えば低仰角空域の軌道に位置する周回衛星と中仰角空域又は高仰角空域の軌道に位置する周回衛星までの距離Rk及び仰角θkをそれぞれ測定し、これら複数の基準目標9−1,9−2までの距離Rk及び仰角θkの各測定データに基づいて基準目標5の測定時における等価地球半径比k’が算出される。
【0029】
このように、本実施の形態による目標観測システムによれば、複数の基準目標9−1,9−2までの距離Rk及び仰角θkの各測定データに基づいて基準目標5の測定時における等価地球半径比k’を算出するので、より広範囲の空域において大気中の電波屈折の影響を測定することができ、このようなより広範囲の空域においても高精度な目標の探知および追尾時の位置評定化等を実現することができる。なお、図5では基準目標が2つの場合について説明したが、これに限られるものではなく、空域の範囲、必要とする精度等に応じて基準目標の数を決定すればよい。
【0030】
実施の形態4.
次にこの発明の実施形態4.による目標観測システムについて図6を用いて説明する。上記実施の形態1.乃至3.による目標観測システムはいずれも1つの測距手段1により測定した基準目標5又は9−1及び9−2までの距離Rk及び仰角θkに基づいて標準大気における等価地球半径比kを補正し基準目標の測定時における等価地球半径比k’を算出するものであったが、本実施の形態による目標観測システムは、複数の測距手段により測定した基準目標5までの距離Rk及び仰角θkに基づいて基準目標5の測定時における等価地球半径比k’を算出するものである。
【0031】
図6はこの発明の実施の形態4.による目標観測システムの測距手段による基準目標の測定状況を示す模式図あり、図6において、10−1,10−2は例えばレーダ装置により構成された測距手段である。なお、図中、同一符号は同一又は相当部分を示し、これらについての詳細な説明は省略する。また、本実施の形態による目標観測システムも上記実施の形態による目標観測システムと同様に等価地球半径比演算部2、距離・仰角演算部3及び高度演算部4、さらにはデータ蓄積部7を有するものであるが、これらについての図示及び詳細な説明についても省略する。図6に示すように、本実施の形態による目標観測システムでは、複数の測距手段10−1,10−2により基準目標5までの距離Rk及び仰角θkをそれぞれ測定し、これら複数の測距手段10−1,10−2により測定された基準目標5までの距離Rk及び仰角θkの各測定データに基づいて基準目標5の測定時における等価地球半径比k’が算出される。
【0032】
一般に、レーダ装置は角度方向の精度が距離方向の精度よりも劣る性質を有しており、1つの測距手段によって基準目標5までの距離Rk及び仰角θkを測定した場合には、基準目標5の仰角θkが不正確なものとなり、このような不正確に測定された基準目標5の仰角θkにより基準目標5の測定時における等価地球半径比k’を算出した場合には誤差が残存する可能性があるが、本実施の形態による目標観測システムのように複数の測距手段10−1,10−2によって基準目標5までの距離Rk及び仰角θkを測定することにより、各測距手段10−1,10−2における各角度方向の測定誤差が相互に相殺され、これら測距手段10−1,10−2の各仰角のデータにより基準目標5の仰角θkをより正確に測定することができ、高精度な目標の探知および追尾時の位置評定化等を実現することができる。なお、図6では測距手段が2つの場合について説明したが、これに限られるものではなく、必要とする仰角精度等に応じて測距手段の数を決定すればよい。
【0033】
実施の形態5.
なお、上述した各実施の形態による目標観測システムは、それぞれ単独で実施してもよいが、これらを組み合わせて実施するように構成してもよい。例えば、図7は図5に示すような目標観測システムと図6に示すような目標観測システムとを組み合わせたものである。図7に示すように、複数の基準目標9−1,9−2までの距離Rk及び仰角θkの各測定データに基づいて基準目標5の測定時における等価地球半径比k’を算出することにより広範囲の空域において高精度な目標の探知および追尾時の位置評定化等を実現することができ、かつ、複数の測距手段10−1,10−2によって基準目標9−1,9−2までの距離Rk及び仰角θkを測定することに測距手段10−1,10−2の各角度方向の測定誤差が抑制された高精度な目標の探知および追尾時の位置評定化等を実現することができる。また、図7に示すような目標観測システムにさらに図3及び図4に示すような目標観測システムを組み合わせてもよい。
【0034】
【発明の効果】
以上のようにこの発明によれば、等価地球半径比kを気象条件に応じてリアルタイムに変化する定数(変数)として取り扱うことができ、高精度な目標の探知および追尾時の位置評定を実現することができる。
【0035】
また、等価地球半径比演算部により算出された等価地球半径比をデータベースとして蓄積されるので、等価地球半径比の地域的変化あるいは長期的変動を明らかにすることができ、このような地域的変化あるいは長期的な変動に基づいてより高精度な目標の探知および追尾時の位置評定を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1.による目標観測システムを示すブロック構成図ある。
【図2】この発明の実施の形態1.による目標観測システムの測距手段による基準目標の測定状況を示す模式図ある。
【図3】この発明の実施の形態2.による目標観測システムを示すブロック構成図である。
【図4】この発明の実施の形態2.による目標観測システムの測距手段による基準目標の測定状況及びデータ蓄積部にデータベースとして蓄積された等価地球半径比の利用態様を示す模式図ある。
【図5】この発明の実施の形態3.による目標観測システムの測距手段による基準目標の測定状況を示す模式図ある。
【図6】この発明の実施の形態4.による目標観測システムの測距手段による基準目標の測定状況を示す模式図ある。
【図7】この発明の実施の形態5.による目標観測システムの測距手段による基準目標の測定状況を示す模式図ある。
【符号の説明】
1,10−1,10−2 測距手段
2 等価地球半径比演算部
3 仰角演算部
4 高度演算部
5,9−1,9−2 基準目標
7 データ蓄積部
8 通信回線。
【発明の属する技術分野】
この発明は、大気中を伝搬する電波の電波屈折による変化を観測して高精度な目標の探知、追尾時の位置評定等を実現する目標観測システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、大気中の電波の伝搬経路は、大気中の各層の電波に対する屈折率が異なるため湾曲した経路となる。そして、この種の電波屈折に基づく目標の高度誤差補正の手法としては、屈折率の変化がある一定値を有する標準大気を仮定し、地球の半径が等価的に4/3倍(等価地球半径比k)に伸張した値であるとして補正する手法が広く知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の高度誤差補正手法を用いた装置では、目標の高度誤差補正が等価地球半径比kを用いた固定的な方法で行われていたので、季節あるいは温度、湿度、気圧等の変化により標準大気を仮定出来ないような場合には目標の仰角(高度)が正確に補正されず、目標の探知、追尾時の位置評定精度等が低下するという問題点があった。
【0004】
例えば、特開昭62−8078号公報には、このような気象条件の変化に起因する測角誤差を地表面の電波屈折率計測データに基づいて補正する測高レーダーの高度誤差補正装置について記載されているが、ここで用いられる地表面の電波屈折率Nsは上述した等価地球半径比kと同様の固定値であり、電波屈折角補正定数b,aによって仰角に依存する変動は補正されるものの、季節あるいは温度、湿度、気圧等の変化に対応した変数として取り扱われるものではなく、リアルタイムに変化する気象条件の変動に起因した測角誤差を十分に補正しうるものではない。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解消するためになされたものであり、大気中の気象条件の変動にかかわらず高精度な目標の探知、追尾時の位置評定等を行うことができる新規な目標観測システムを得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明に係る目標観測システムは、地球上空の所定軌道を移動する基準目標までの距離及び仰角を測定する測距手段と、この測距手段により測定された上記基準目標までの距離及び仰角の測定データと上記基準目標までの距離及び仰角の基準データとから上記基準目標の測定時における等価地球半径比を算出する等価地球半径比演算部と、この等価地球半径比演算部により算出された上記基準目標の測定時における等価地球半径比に基づいて目標物の高度を算出する高度演算部とを備えたものである。
【0007】
また、請求項2の発明に係る目標観測システムは、地球上空の所定軌道を移動する基準目標までの距離及び仰角を測定する測距手段と、この測距手段により測定された上記基準目標までの距離及び仰角の測定データと上記基準目標までの距離及び仰角の基準データとから上記基準目標の測定時における等価地球半径比を算出する等価地球半径比演算部と、この等価地球半径比演算部により算出された上記基準目標の測定時における等価地球半径比をデータベースとして蓄積するデータ蓄積部と、このデータ蓄積部に蓄積された等価地球半径比に基づいて目標物の高度を求める高度演算部とを備えたものである。
【0008】
また、請求項3の発明に係る目標観測システムは、上記データ蓄積部を公衆又は専用の通信回線と接続し、上記データ蓄積部にデータベースとして蓄積された等価地球半径比を目標物の高度を測定する他の装置又はシステムにおいて利用可能としたものである。
【0009】
また、請求項4の発明に係る目標観測システムは、地球上空の所定軌道を移動する基準目標までの距離及び仰角を測定する複数の測距手段と、これら複数の測距手段により測定された上記基準目標までの距離及び仰角の各測定データと上記基準目標までの距離及び仰角の各基準データとから上記基準目標の測定時における等価地球半径比を算出する等価地球半径比演算部と、この等価地球半径比演算部により算出された上記基準目標の測定時における等価地球半径比に基づいて目標物の高度を算出する高度演算部とを備えたものである。
【0010】
また、請求項5の発明に係る目標観測システムは、上記測距手段がレーダ装置であるものである。
【0011】
また、請求項6の発明に係る目標観測システムは、上記等価地球半径比演算部が低仰角の軌道に位置する上記基準目標の測定時における等価地球半径比を算出するものである。
【0012】
また、請求項7の発明に係る目標観測システムは、上記等価地球半径比演算部が複数の基準目標について測定された各基準目標までの距離及び仰角の測定データに基づいて上記基準目標の測定時における等価地球半径比を算出するものである。
【0013】
また、請求項8の発明に係る目標観測システムは、上記基準目標が周回衛星であるものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1.について図1及び図2を用いて説明する。図1はこの発明の実施の形態1.による目標観測システムを示すブロック構成図、図2はこの発明の実施の形態1.による目標観測システムの測距手段による基準目標の測定状況を示す模式図ある。図1及び図2において、1は送信パルス信号を含む送信ビームを方位方向及び仰角方向に走査して目標物からの反射電波を受信し、この受信した反射電波に基づいて目標物までの距離R,仰角θ及び後述する基準目標までの距離Rk、仰角θkを測定する測距手段、2は測距手段1により測定された基準目標までの距離Rk,仰角θkが入力され、これらと予め図示省略した記憶部等に記憶された標準大気における等価地球半径比k(=4/3)及び既知の位置データに基づく基準目標までの距離Rk’,仰角θk’とから基準目標の測定時における等価地球半径比k’を算出する等価地球半径比演算部、3は等価地球半径比演算部2により算出された基準目標の測定時における等価地球半径比k’を用いて測距手段1により測定された目標物までの距離R,仰角θを算出する距離・仰角演算部、4は距離・仰角演算部3により算出された目標物までの距離R,仰角θ及び測距手段1の設置高度等に基づいて目標物の高度を算出する高度演算部である。
【0015】
また、図2において、5は基準目標、6は地表面であり、測距手段1としては目標の探知及び追尾等を行うレーダ装置、基準目標5としては地球上空の所定軌道を周回する周回衛星を使用する。周回衛星としては国際宇宙ステーション(ISS)、高層大気観測衛星(UARS)等がある。これらの周回衛星は地球上空の所定軌道上を正確に時間管理されて移動しており、各時刻により地球上空のどの軌道上に位置しているのか正確に把握することができる。なお、主要な周回衛星は常にその軌道が監視され、現在位置を計算するためのデータが公表されており、これらのデータを利用することにより周回衛星までの高精度な距離及び仰角のデータを得ることできる。
【0016】
次に動作について説明する。まず測距手段1は目標物の観測を行う前に基準目標5までの距離Rk及び仰角θk距離を測定する。測距手段1により測定された基準目標5までの距離Rk及び仰角θkは等価地球半径比演算部2に入力され、これらと予め図示省略した記憶部等に記憶された標準大気における等価地球半径比k(=4/3)及び既知の位置データに基づく基準目標5までの距離Rk’,仰角θk’とから基準目標5の測定時における等価地球半径比k’が算出される。上述したとおり、周回衛星は地球上空の所定軌道上を正確に時間管理されて移動しており、各時刻により地球上空のどの軌道上に位置しているのかを正確に把握することができ、基準目標5として周回衛星を利用した場合には、基準目標5の測定時刻における周回衛星の位置データと測距手段1の位置データとから測距手段1から基準目標5までの理論上の距離Rk’及び仰角θk’のデータ(以下、基準データという)を得ることができる。このように、標準大気における等価地球半径比kは、基準目標5までの基準データ及び測距手段1により測定された基準目標5までの距離Rk及び仰角θkのデータに基づいて補正され、基準目標5の測定時における等価地球半径比k’が算出される。
【0017】
そして、等価地球半径比演算部2により算出された基準目標5の測定時における等価地球半径比k’は、距離・仰角演算部3に入力され目標物までの距離R’及び仰角θ’の算出に用いられる。即ち、測距手段1により測定された目標物までの距離R及び仰角θは距離・仰角演算部3に入力され、等価地球半径比演算部2により算出された基準目標5の測定時における等価地球半径比k’に基づいて正確な目標物までの距離R’及び仰角θ’が算出される。距離・仰角演算部3により算出された目標物までの距離R’及び仰角θ’のデータは高度演算部4に入力され、この目標物までの距離R’及び仰角θ’のデータに基づいて目標物の高度を算出することにより目標物の正確な高度を算出することができる。
【0018】
なお、目標物の高度hの算出には、例えば、以下の数式を用いる。数式1及び数式2において、hは目標物の高度(m)、RSは目標物までの距離(m)、hSは測距手段1の設置高度(m)、Reは等価地球半径(m)、R0は地球半径(m)、θは仰角、kは等価地球半径比である。本実施の形態による目標観測システムでは、等価地球半径k、目標物までの距離RS及び仰角θは、それぞれ基準目標5の測定時における等価地球半径比k’、等価地球半径比k’によって算出された距離R’及び仰角θ’として目標物の高度の演算を行う。
【0019】
【数1】
【0020】
【数2】
【0021】
このように、本実施の形態による目標観測システムでは、予め目標物までの距離及び仰角が判明している基準目標5について測距手段1による測定を行い、この測距手段1により実際に測定された基準目標5までの距離Rk及び仰角θkにより標準大気における等価地球半径比kを補正して基準目標の測定時における等価地球半径比k’を算出するようにしたので、この基準目標5の測定時における等価地球半径比k’を用いてリアルタイムに変化する気象条件、季節変動等に対応した目標物の高度等を算出することができ、高精度な目標の探知、追尾時の位置評定等を実現することができる。
【0022】
また、大気中を伝搬する電波はその伝搬距離が長くなるほど大気中の各層による電波屈折の影響を受け易いが、低仰角の軌道上に位置する基準目標5の測定に基づいて標準大気における等価地球半径比kを補正することにより測距手段1から基準目標5までの観測距離を長く設定することができ、遠方の目標物の観測に適したより正確な等価地球半径比k’を算出することができる。そして、この低仰角の軌道上に位置する基準目標5の測定時における等価地球半径比k’を用いることにより、遠方の目標物の観測を行う場合においてもその高度等を正確に算出することができ、高精度な目標の探知、追尾時の位置評定等を実現することができる。
【0023】
実施の形態2.
次にこの発明の実施形態2.による目標観測システムについて図3及び図4を用いて説明する。上記実施の形態1.による目標観測システムは等価地球半径比演算部2により算出された基準目標5の測定時における等価地球半径比k’を単に目標物までの距離Rk及び仰角θk等の算出に用いるものであったが、本実施の形態による目標観測システムは、目標物等価地球半径比演算部2により算出された基準目標5の測定時における等価地球半径比k’をさらにデータベースとして蓄積するものである。
【0024】
図3はこの発明の実施の形態2.による目標観測システムを示すブロック構成図、図4はこの発明の実施の形態2.による目標観測システムの測距手段による基準目標の測定状況及びデータ蓄積部にデータベースとして蓄積された等価地球半径比の利用態様を示す模式図ある。図3及び図4において、7は等価地球半径比演算部2により算出された基準目標5の測定時における等価地球半径比k’をデータベースとして蓄積するデータ蓄積部、8はデータ蓄積部7と接続された公衆回線又は専用回線等のネットワーク化された通信回線である。なお、図中、同一符号は同一又は相当部分を示し、これらについての詳細な説明は省略する。
【0025】
本実施の形態による目標観測システムによれば、等価地球半径比演算部2により算出された基準目標5の測定時における等価地球半径比k’がデータ蓄積部7にデータベースとして蓄積されるので、等価地球半径比k’の地域的変化あるいは長期的変動を明らかにすることができる。また、距離・仰角演算部3及び高度演算部4は、データ蓄積部7にデータベースとして蓄積された等価地球半径比k’に基づいて目標物までの距離R’、仰角θ’及び高度hをそれぞれ算出するので、このような地域的変化あるいは長期的な変動をも考慮した目標物の観測を行うことができ、より高精度な目標の探知および追尾時の位置評定化等を実現することができる。
【0026】
また、図4に示すように、データ蓄積部7は公衆回線又は専用回線等のネットワーク化された通信回線、例えば公衆電話回線等の通信網に接続されており、データ蓄積部7にデータベースとして蓄積された等価地球半径比k’を目標の探知、追尾等を行う他のレーダシステム等において利用することができる。これにより、本実施の形態による目標観測システムのように標準大気における等価地球半径比kを補正する等価地球半径比演算部2を有していない他のレーダ装置、レーダシステム等においても目標物の高度を正確に算出することができ、高精度な目標の探知、追尾時の位置評定等を実現することができる。
【0027】
実施の形態3.
次にこの発明の実施形態3.による目標観測システムについて図5を用いて説明する。上記実施の形態1.及び2.による目標観測システムはいずれも1つの基準目標5について測定した基準目標5までの距離Rk及び仰角θkに基づいて標準大気における等価地球半径比kを補正し基準目標5の測定時における等価地球半径比k’を算出するものであったが、本実施の形態による目標観測システムは、複数の基準目標について測定した基準目標5までの距離Rk及び仰角θkに基づいて基準目標の測定時における等価地球半径比k’を算出するものである。
【0028】
図5はこの発明の実施の形態3.による目標観測システムの測距手段による基準目標の測定状況を示す模式図あり、図5において、9−1,9−2はそれぞれ周回衛星等の基準目標である。なお、図中、同一符号は同一又は相当部分を示し、これらについての詳細な説明は省略する。また、本実施の形態による目標観測システムも上記実施の形態による目標観測システムと同様に等価地球半径比演算部2、距離・仰角演算部3及び高度演算部4、さらにはデータ蓄積部7を有するものであるが、これらについての図示及び詳細な説明についても省略する。図5に示すように、本実施の形態による目標観測システムでは、複数の基準目標9−1,9−2、例えば低仰角空域の軌道に位置する周回衛星と中仰角空域又は高仰角空域の軌道に位置する周回衛星までの距離Rk及び仰角θkをそれぞれ測定し、これら複数の基準目標9−1,9−2までの距離Rk及び仰角θkの各測定データに基づいて基準目標5の測定時における等価地球半径比k’が算出される。
【0029】
このように、本実施の形態による目標観測システムによれば、複数の基準目標9−1,9−2までの距離Rk及び仰角θkの各測定データに基づいて基準目標5の測定時における等価地球半径比k’を算出するので、より広範囲の空域において大気中の電波屈折の影響を測定することができ、このようなより広範囲の空域においても高精度な目標の探知および追尾時の位置評定化等を実現することができる。なお、図5では基準目標が2つの場合について説明したが、これに限られるものではなく、空域の範囲、必要とする精度等に応じて基準目標の数を決定すればよい。
【0030】
実施の形態4.
次にこの発明の実施形態4.による目標観測システムについて図6を用いて説明する。上記実施の形態1.乃至3.による目標観測システムはいずれも1つの測距手段1により測定した基準目標5又は9−1及び9−2までの距離Rk及び仰角θkに基づいて標準大気における等価地球半径比kを補正し基準目標の測定時における等価地球半径比k’を算出するものであったが、本実施の形態による目標観測システムは、複数の測距手段により測定した基準目標5までの距離Rk及び仰角θkに基づいて基準目標5の測定時における等価地球半径比k’を算出するものである。
【0031】
図6はこの発明の実施の形態4.による目標観測システムの測距手段による基準目標の測定状況を示す模式図あり、図6において、10−1,10−2は例えばレーダ装置により構成された測距手段である。なお、図中、同一符号は同一又は相当部分を示し、これらについての詳細な説明は省略する。また、本実施の形態による目標観測システムも上記実施の形態による目標観測システムと同様に等価地球半径比演算部2、距離・仰角演算部3及び高度演算部4、さらにはデータ蓄積部7を有するものであるが、これらについての図示及び詳細な説明についても省略する。図6に示すように、本実施の形態による目標観測システムでは、複数の測距手段10−1,10−2により基準目標5までの距離Rk及び仰角θkをそれぞれ測定し、これら複数の測距手段10−1,10−2により測定された基準目標5までの距離Rk及び仰角θkの各測定データに基づいて基準目標5の測定時における等価地球半径比k’が算出される。
【0032】
一般に、レーダ装置は角度方向の精度が距離方向の精度よりも劣る性質を有しており、1つの測距手段によって基準目標5までの距離Rk及び仰角θkを測定した場合には、基準目標5の仰角θkが不正確なものとなり、このような不正確に測定された基準目標5の仰角θkにより基準目標5の測定時における等価地球半径比k’を算出した場合には誤差が残存する可能性があるが、本実施の形態による目標観測システムのように複数の測距手段10−1,10−2によって基準目標5までの距離Rk及び仰角θkを測定することにより、各測距手段10−1,10−2における各角度方向の測定誤差が相互に相殺され、これら測距手段10−1,10−2の各仰角のデータにより基準目標5の仰角θkをより正確に測定することができ、高精度な目標の探知および追尾時の位置評定化等を実現することができる。なお、図6では測距手段が2つの場合について説明したが、これに限られるものではなく、必要とする仰角精度等に応じて測距手段の数を決定すればよい。
【0033】
実施の形態5.
なお、上述した各実施の形態による目標観測システムは、それぞれ単独で実施してもよいが、これらを組み合わせて実施するように構成してもよい。例えば、図7は図5に示すような目標観測システムと図6に示すような目標観測システムとを組み合わせたものである。図7に示すように、複数の基準目標9−1,9−2までの距離Rk及び仰角θkの各測定データに基づいて基準目標5の測定時における等価地球半径比k’を算出することにより広範囲の空域において高精度な目標の探知および追尾時の位置評定化等を実現することができ、かつ、複数の測距手段10−1,10−2によって基準目標9−1,9−2までの距離Rk及び仰角θkを測定することに測距手段10−1,10−2の各角度方向の測定誤差が抑制された高精度な目標の探知および追尾時の位置評定化等を実現することができる。また、図7に示すような目標観測システムにさらに図3及び図4に示すような目標観測システムを組み合わせてもよい。
【0034】
【発明の効果】
以上のようにこの発明によれば、等価地球半径比kを気象条件に応じてリアルタイムに変化する定数(変数)として取り扱うことができ、高精度な目標の探知および追尾時の位置評定を実現することができる。
【0035】
また、等価地球半径比演算部により算出された等価地球半径比をデータベースとして蓄積されるので、等価地球半径比の地域的変化あるいは長期的変動を明らかにすることができ、このような地域的変化あるいは長期的な変動に基づいてより高精度な目標の探知および追尾時の位置評定を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1.による目標観測システムを示すブロック構成図ある。
【図2】この発明の実施の形態1.による目標観測システムの測距手段による基準目標の測定状況を示す模式図ある。
【図3】この発明の実施の形態2.による目標観測システムを示すブロック構成図である。
【図4】この発明の実施の形態2.による目標観測システムの測距手段による基準目標の測定状況及びデータ蓄積部にデータベースとして蓄積された等価地球半径比の利用態様を示す模式図ある。
【図5】この発明の実施の形態3.による目標観測システムの測距手段による基準目標の測定状況を示す模式図ある。
【図6】この発明の実施の形態4.による目標観測システムの測距手段による基準目標の測定状況を示す模式図ある。
【図7】この発明の実施の形態5.による目標観測システムの測距手段による基準目標の測定状況を示す模式図ある。
【符号の説明】
1,10−1,10−2 測距手段
2 等価地球半径比演算部
3 仰角演算部
4 高度演算部
5,9−1,9−2 基準目標
7 データ蓄積部
8 通信回線。
Claims (8)
- 地球上空の所定軌道を移動する基準目標までの距離及び仰角を測定する測距手段と、この測距手段により測定された上記基準目標までの距離及び仰角の測定データと上記基準目標までの距離及び仰角の基準データとから上記基準目標の測定時における等価地球半径比を算出する等価地球半径比演算部と、この等価地球半径比演算部により算出された上記基準目標の測定時における等価地球半径比に基づいて目標物の高度を算出する高度演算部とを備えたことを特徴とする目標観測システム。
- 地球上空の所定軌道を移動する基準目標までの距離及び仰角を測定する測距手段と、この測距手段により測定された上記基準目標までの距離及び仰角の測定データと上記基準目標までの距離及び仰角の基準データとから上記基準目標の測定時における等価地球半径比を算出する等価地球半径比演算部と、この等価地球半径比演算部により算出された上記基準目標の測定時における等価地球半径比をデータベースとして蓄積するデータ蓄積部と、このデータ蓄積部に蓄積された等価地球半径比に基づいて目標物の高度を求める高度演算部とを備えたことを特徴とする目標観測システム。
- 上記データ蓄積部を公衆又は専用の通信回線と接続し、上記データ蓄積部にデータベースとして蓄積された等価地球半径比を目標物の高度を測定する他の装置又はシステムにおいて利用可能としたことを特徴とする請求項2記載の目標観測システム。
- 地球上空の所定軌道を移動する基準目標までの距離及び仰角を測定する複数の測距手段と、これら複数の測距手段により測定された上記基準目標までの距離及び仰角の各測定データと上記基準目標までの距離及び仰角の各基準データとから上記基準目標の測定時における等価地球半径比を算出する等価地球半径比演算部と、この等価地球半径比演算部により算出された上記基準目標の測定時における等価地球半径比に基づいて目標物の高度を算出する高度演算部とを備えたことを特徴とする目標観測システム。
- 上記測距手段は、レーダ装置であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の目標観測システム。
- 上記等価地球半径比演算部は、低仰角の軌道に位置する上記基準目標の測定時における等価地球半径比を算出すること特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の目標観測システム。
- 上記等価地球半径比演算部は、複数の基準目標について測定された各基準目標までの距離及び仰角の測定データに基づいて上記基準目標の測定時における等価地球半径比を算出することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の目標観測システム。
- 上記基準目標は、周回衛星であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の目標観測システム。
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