JP3600307B2 - シートトラック - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、フロア側に固着されるロアレールと、該ロアレールに摺動可能に係合するアッパレールと、該アッパレールに設けられ、前記アッパレールの摺動をロック/ロック解除するロック機構とを有するシートトラックに関する。
【0002】
【従来の技術】
次に図面を用いて従来例を説明する。図7は従来のシートトラックを示す要部構成斜視図、図8は図7における側面図である。
【0003】
これらの図において、1は図示しないシートの前後摺動を案内するためのシートトラックである。このシートトラック1は、シート側に設けられるアッパレール2と、フロア側に設けられ、アッパレール2が摺動可能に嵌合するロアレール3とを有している。そして、ロアレール3は、ロアレール3の前後端部にそれぞれ設けられた前部ロアブラケット4と後部ロアブラケット5とを介してフロアに取り付けられている。
【0004】
ロアレール3の側面には、ロック穴3aが長手方向に沿って所定間隔で穿設されている。
6はアッパレール2上に設けられ、ロックシャフト7を回転可能に保持するブラケットである。このロックシャフト7には、ロアレール3のロック穴3aに噛合可能なロックレバー8が固着されている。更に、ロックシャフト7の一方の端部は、折曲されてハンドル部7aが形成され、他方の端部には、すり割り溝7bが形成されている。
【0005】
9は一端部がアッパレール2に、他端部がロックシャフト7のすり割溝7bにそれぞれ係止され、ロックシャフト7に対してロックレバー8がロック穴3aに噛合する方向(図7において矢印X方向)に付勢するトーションスプリングである。
【0006】
次に上記構成の作動を説明する。図7及び図8に示す状態は、ロックレバー8がロアレールのロック穴3aに噛合し、アッパレール2の移動が禁止されている(ロック状態)。
【0007】
この状態から、シートを前後方向に移動調整する場合には、ロックシャフト7のハンドル部7aを図7において、トーションスプリング9の付勢力に抗して反矢印X方向に回転させる。すると、ロックレバー8が、ロック穴3aより離脱し、アッパレール2はロアレール3に対して摺動可能な状態となる(アンロック状態)。そして、シートを前後方向に移動して、所望のシートポジションを得たならば、ロックシャフト7を反矢印X方向に回転させている操作力を解除する。すると、再び、ロックレバー8がロック穴3aに噛合し、ロック状態となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記構成のシートトラックにおいては、ブラケット6,ロックシャフト7,ロックレバー8及びトーションスプリング9から構成されるロック機構が、移動するアッパレール2の側面にブラケット6を介して設けられているので、ロック機構が占めるスペースが大きいという問題点がある。
【0009】
又、このロック機構の構成部品点数も多いという問題点がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、ロック機構の占めるスペースが小さく、ロック機構の構成部品点数が少ないシートトラックを提供することにある
また、本発明の別の目的は、シートトラックに衝撃が作用した場合でも、ロックが解除されないシートトラックを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明は、フロア側に固着されるロアレールと、該ロアレールに摺動可能に係合するアッパレールと、該アッパレールに設けられ、前記アッパレールの摺動をロック/ロック解除するロック機構とを有するシートトラックにおいて、前記ロアレールは、内部に空間と、該空間にロック突起が形成された垂下部とを有し、前記アッパレールは、前記空間まで延出する第1のアッパレールと、前記空間まで延出する第2のアッパレールとから構成し、前記ロック機構は、前記第1及び第2のアッパレール間に設けられたピンと、該ピンに遊嵌し、前記第1及び第2のアッパレール間で回転可能に設けられ、前記第1及び第2のアッパレール間に形成された略垂直方向の空間に位置し、前記ロック突起に嵌合可能な嵌合部が形成されたロックレバーと、該ロックレバーを前記ロック突起に係合する方向に付勢する付勢部材とから構成し、前記空間には、前記ロックレバーの嵌合部の側部近傍まで延出し、他の部分に比較して強度の弱い当接部を形成したものである。
【0011】
また、前記第1及び第2のアッパレール間に形成去れる空間は、前記第1のアッパレールに形成された第1の拡幅部と、前記第2アッパレールに形成され、前記第1の拡幅部に対向する第2の拡幅部によって形成され、前記当接部は、前記拡幅部の端部に形成され、略コの字形の長穴の内側の切片を前記空間に向かって延出させたものである。
【0012】
【作用】
本発明のシートトラックにおいて、ロックレバーを付勢手段に抗して回転すると、ロックレバーとロック突起との係合が解除され、アッパレールはロアレールに対して摺動可能な状態となる。
【0013】
ロックレバーは、アッパレールの第1の基部,第2の基部間に形成された空間に配設されているので、ロック機構の占めるスペースが小さく、しかも、ブラケットを用いていないのでロック機構の構成部品点数が少ない。
【0014】
また、ロックレバーは、第1及び第2のアッパレール間に設けられたピンに遊嵌しているが、ロックレバーの嵌合部の側部近傍まで延出する当接部が設けられているので、ガタはない。
【0015】
更に、シートトラックに衝撃が加わると、ロックレバーの嵌合部が当接部に当接するが、この当接部は他の部分に比較して強度が弱いので、当接部が変形して衝撃を吸収する。
【0016】
よって、ロックレバーの嵌合部のロック突起への嵌合は保持され、ロックが解除されることはない。
【0017】
【実施例】
次に図面を用いて本発明の一実施例を説明する。図1は本発明の一実施例の要部分解斜視図、図2は図1において組付け後のA−A断面図、図3は図1において組付け後のB−B断面図、図4は図1において組付け後のC方向矢視図、図5は図1において組付け後のD方向矢視図、図6は図1におけるアッパレールの拡幅部の拡大斜視図である。
【0018】
尚、本実施例のシートトラックは、シート下面の両サイドに設けられるものであるが、構成は同一なので、一方のシートトラックを用いて説明し、他方のシートトラックの説明は行なわない。
【0019】
先ず、図2及び図3を用いてシートトラックの構成部品であるアッパレール及びロアレールの断面形状を説明する。
フロア側に固着されるロアレール11は、フロアと略平行に設けられた基底部12と、基底部12の一方の端部に下方の端部が接続され、フロアから離れる方向に延出する第1の側壁部13と、基底部11の他方の端部に下方の端部が接続され、フロアから離れる方向に延出し、第1の側壁部13と略同じ長さの第2の側壁部14と、第1の側壁部13の上方の端部に一方の端部が接続され、基底部12と略平行に第2の側壁部14方向へ延出する第1の天部15と、第2の側壁部14の上方の端部に一方の端部が接続され、基底部12と略平行に第1の側壁部13方向へ延出し、第1の天部と略同じ長さの第2の天部16と、第1の天部15の他方の端部から基底部方向12に折曲し、第1の側壁部13より長さが短い第1の垂下部17と、第2の天部16の他方の端部から基底部12方向に折曲し、第1の垂下部17と空間Sを介して対向し、第1の垂下部17と略同じ長さの第2の垂下部18とからなっている。
【0020】
そして、第1の垂下部17,第2の垂下部18のうちどちらか一方、本実施例では第1の垂下部17には、ロアレール11の長手方向に沿ってロック突起19が複数形成されている。
【0021】
アッパレール21は、第1のアッパレール22と第2のアッパレール23とから構成される。
第1のアッパレール22はロアレール11の第1の垂下部17,第2の垂下部18間に形成された空間Sを介してロアレール11内に嵌入する第1の基部24と、第1の基部24から延出し、ロアレール11の第1の側壁部13,第1の天部15,第1の垂下部17で形成された空間S1まで延出する第1の延出部25とからなっている。
【0022】
一方、第2のアッパレール23は、ロアレール11の第1の垂下部15,第2の垂下部18間に形成された空間Sを介してロアレール11内に嵌入し、第1のアッパレール22の第1の基部24に固着された第2の基部26と、第2の基部26から延出し、ロアレール11の第2の側壁部14,第2の天部16,第2の垂下部18で形成された空間S2まで延出する第2の延出部27とからなっている。
【0023】
そして、ロアレールの基底部12,第1の側壁部13及びアッパレール21の第1の延出部25間に配置された鋼球30と、ロアレールの基底部12,第2の側壁部14及びアッパレール21の第2の延出部27間に配置された鋼球31とにより、アッパレール21はロアレール11に対して摺動可能となっている。
【0024】
アッパレール21において、第1のアッパレール22の第1の基部24の下部と、第2のアッパレール23の第2の基部26下部との間には、アッパレール21の長手方向に沿って空間S3が形成されている。
【0025】
又、アッパレール21の後部において、第1のアッパレール22の第1の基部24と、第2のアッパレール23の第2の基部26には、拡幅部22a,23aが設けられ、前述の空間S3の延出方向と直交する方向(上下方向)延出し、空間S3に接続する空間S3′が形成されている。
【0026】
次に、図1から図5を用いてシートトラックロック機構の説明を行なう。41はアッパレール21の第1のアッパレール22と第2のアッパレール23との間に形成された空間S3に配設されるロックレバーである。
【0027】
ロックレバー41の略中間部には、穴42が形成され、アッパレール21に形成された穴43及びロックレバー41の穴42に係合するピン44を用いて、アッパレール21に対して回転可能に設けられている。尚、穴42の径はピン44の径より大きく設定され、ピン44と穴42とは遊嵌状態にある。
【0028】
このロックレバー41の一方の回転端部(後端部)下部には、ロアレール11のロック突起19方向に折曲された折曲部45と、一方の回転端部上部には、アッパレール21の第1のアッパレール22と第2のアッパレール23の拡幅部21a,との間に形成された空間S3′に嵌入する嵌合部46とが形成されている。折曲部45には、ロアレール11のロック突起19に係合可能なロック穴47が形成され、又、嵌合部46に穴48が形成されている。尚、本実施例の場合、第1のアッパレール22の第1の基部24,第1の延出部25において、ロックレバー41の折曲部45の移動範囲と干渉する部分は図5に示すように切りかかれている。
【0029】
第2のアッパレール23の拡幅部23aの両端部には、略コの字形の長穴23b,23cが形成され、各長穴23b,23cの内側の切片23d,23eは空間S3′に向かって折曲され、先端はロックレバー41の嵌合部46の側部近傍まで延出している。尚、これら切片23d,23eの高さhは、低いので他の部分に比べて剛性が弱くなっている。
【0030】
一方、アッパレール21の第1のアッパレール22及び第2のアッパレール23には、穴51が穿設され、この穴の近傍には上方に延出した切り欠き片52が形成され、更に、穴51を中心とし、ロックレバー41の穴48と交差する円弧状の長穴53が形成されている。そして、付勢部材としてのトーションバー60の基端部が穴51に係合し、中間部が切り欠き片52に係止され、先端部側は下方に弾性変形された状態で長穴53を介してロックレバー41の穴48に係合し、ロックレバー41のロック穴47が、ロアレール11のロック突起19に係合する方向に付勢している。
【0031】
ロックレバー41の他方の端部(前端部)は、他方のシートトラック方向に折曲され、先端には切り欠き溝63が形成されている。
アッパレール21の前部には、穴64が形成され、この穴64にハンドルバー70の一方の端部が回転可能に係合している。このハンドルバー70の他方の端部は、他方のシートトラックのアッパレール21の穴に回転可能に係合している。
【0032】
このハンドルバー70は、両端部近傍に形成され、ロックレバー41の切り欠き溝63が係合するクランク部71と、シート前縁に沿って延出する操作部72とから構成されている。
【0033】
次に、上記構成の作動を説明する。ロックレバー41のロック穴47はトーションバー60により、ロアレール11のロック突起19に係合し、アッパレール21の摺動は禁止されている。
【0034】
ここで、ハンドルバー70の操作部72を上方に持ち上げると、クランク部71はアッパレール21の穴64を中心に上方に移動する。ハンドルバー70のクランク部71に係合するロックレバー41は、ピン44を中心に切り欠き溝63側が上方に、ロックレバー41の折曲部45側は下方に移動するように回転し、ロックレバー41のロック穴47のロアレール11のロック突起19への係合は解除される。よって、アッパレール21はロアレール11に対して摺動可能な状態となり、所望のシートトラック位置へアッパレール21を摺動させる。
【0035】
この時、ロックレバー41に係合するトーションバー60も穴51を中心に回転しようとするが、切り欠き片52により、それ以上の回転が禁止され、切り欠き片52との当接部から先端部迄は下側に更に弾性変形する。
【0036】
所望の位置へアッパレール21が移動したならば、ハンドルバー70の操作力を解除する。すると、トーションバー60は元の位置へ弾性復帰し、トーションバー60が係合するロックレバー41も元の位置に復帰し、ロックレバー41のロック穴47が、ロアレール11のロック突起19に係合し、アッパレール21の摺動は再び禁止される。
【0037】
上記構成によれば、ロックレバー41は、アッパレール21の第1の基部24,第2の基部26間に形成された空間S3に配設されているので、ロック機構の占めるスペースが小さく、しかも、従来ロック機構のように、ブラケットを用いていないのでロック機構の構成部品点数が減少する。
【0038】
また、ロックレバー41は、第1及び第2のアッパレール22,23間に設けられたピン44に遊嵌しているが、ロックレバー41の嵌合部46の側部近傍まで延出する当接部としての切片23d,23eが設けられているので、ガタはない。
【0039】
更に、シートトラックに衝撃が加わると、ロックレバー41の嵌合部46が切片23d又は23eに当接するが、この切片23d又は23eは他の部分に比較して強度が弱いので、切片23d又は23eが変形して衝撃を吸収する。
【0040】
よって、ロックレバー41の嵌合部46のロック突起10への嵌合は保持され、ロックが解除されることはない。
【0041】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、 ロックレバーは、アッパレールの第1の基部,第2の基部間に形成された空間に配設されているので、ロック機構の占めるスペースが小さく、しかも、ブラケットを用いていないのでロック機構の構成部品点数が少ない。
【0042】
また、ロックレバーは、第1及び第2のアッパレール間に設けられたピンに遊嵌しているが、ロックレバーの嵌合部の側部近傍まで延出する当接部が設けられているので、ガタはない。
【0043】
更に、シートトラックに衝撃が加わると、ロックレバーの嵌合部が当接部に当接するが、この当接部は他の部分に比較して強度が弱いので、当接部が変形して衝撃を吸収する。
【0044】
よって、ロックレバーの嵌合部のロック突起への嵌合は保持され、ロックが解除されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施例の要部分解斜視図である。
【0046】
【図2】図1において組付け後のA−A断面図である。
【0047】
【図3】図1において組付け後のB−B断面図である。
【0048】
【図4】図1において組付け後のC方向矢視図である。
【0049】
【図5】図1において組付け後のD方向矢視図である。
【0050】
【図6】図1におけるアッパレールの拡幅部の拡大斜視図である。
【0051】
【図7】従来のシートトラックを示す要部構成斜視図である。
【0052】
【図8】図7における側面図である。
【0053】
【符号の説明】
11 ロアレール
12 基底部
13 第1の側壁部
14 第2の側壁部
15 第1の天部
16 第2の天部
17 第1の垂下部
18 第2の垂下部
19 ロック突起
21 アッパレール
22 第1のアッパレール
23 第2のアッパレール
23d,23e 切片(当接部)
24 第1の基部
25 第1の延出部
26 第2の基部
27 第2の延出部
41 ロックレバー
60 トーションバー(付勢部材)

Claims (2)

  1. フロア側に固着されるロアレールと、該ロアレールに摺動可能に係合するアッパレールと、該アッパレールに設けられ、前記アッパレールの摺動をロック/ロック解除するロック機構とを有するシートトラックにおいて、
    前記ロアレールは、
    内部に空間と、
    該空間にロック突起が形成された垂下部とを有し、
    前記アッパレールは、
    前記空間まで延出する第1のアッパレールと、
    前記空間まで延出する第2のアッパレールとから構成し、
    前記ロック機構は、
    前記第1及び第2のアッパレール間に設けられたピンと、
    該ピンに遊嵌し、前記第1及び第2のアッパレール間で回転可能に設けられ、前記第1及び第2のアッパレール間に形成された略垂直方向の空間(S′)に位置し、前記ロック突起に嵌合可能な嵌合部が形成されたロックレバーと、
    該ロックレバーを前記ロック突起に係合する方向に付勢する付勢部材とから構成し、
    前記第1及び第2のアッパレール間の空間には、前記ロックレバーの嵌合部の側部近傍まで延出し、他の部分に比較して強度の弱い当接部を形成したことを特徴とするシートトラック。
  2. 前記第1及び第2のアッパレール間に形成去れる空間は、
    前記第1のアッパレールに形成された第1の拡幅部と、前記第2アッパレールに形成され、前記第1の拡幅部に対向する第2の拡幅部によって形成され、
    前記当接部は、
    前記拡幅部の端部に形成され、略コの字形の長穴の内側の切片を前記空間に向かって延出させたものであることを特徴とする請求項1記載のシートトラック。
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