JP3599976B2 - 運動試験装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば人工衛星搭載用の展開構造物など、本来は無重力中で形状を変化させたり運動したりすることにより機能を達成する構造物の動作を地上で試験する運動試験装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図13は、文献“A Ground Test Equipment with Suspension Wires for Adaptive Structures”(Saburo Matsunaga,Michihiro Natori,First Joint U.S./Japan Conference on Adaptive Structures,pp.917−927,1991)に記載された従来の運動試験装置を示す構成図である。図13において、101はフレーム、102はフレーム101に支持された第1のレール、103は前記第1のレール102に対して直交し、第1のレール102上を移動自在に設置された第2のレール、104は前記第2のレール103上を移動自在に設置されたスライダー機構、105はサスペンションワイヤ、106はサスペンションワイヤ105によって懸架される被試験体であり、棒状構造体を回転駆動力を有するヒンジ機構で直列に結合した形状可変構造物である。この被試験体106は本来、無重力の宇宙環境で運用されることを想定したものである。
【0003】
次に動作について説明する。
被試験体106は、前記ヒンジ機構の駆動力によって各ヒンジ部の回転角を変化させ、水平面内でそれぞれ前記棒状構造体が相対運動して様々に形状を変化させる。サスペンションワイヤ105は、前記被試験体106を各棒状構造体の端部あるいは前記ヒンジ機構において懸架して支えており、その上端はスライダー機構104に結合されている。スライダー機構104は、それぞれが、自身に結合されたサスペンションワイヤ105の下端の水平面内位置に合わせて、水平面内で追従運動をしなければならない。なぜならば、前記追従運動が実現されなければ前記サスペンションワイヤ105が鉛直方向から傾き、これによって被試験体106に対して水平面内に拘束力が作用するので、無重力中での運動の模擬試験という、この運動試験装置本来の目的を十分に達成し得なくなるからである。スライダー機構104の追従運動は、第2のレール103に対するスライダー機構104の相対運動、第1のレール102に対する第2のレール103の相対運動、および、円弧状のフレーム101に対する第1のレール102の回転運動の組み合わせによって実現される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の運動試験装置は以上のように構成されているので、被試験体106を各棒状構造体の端部またはヒンジ部においてサスペンションワイヤ105で懸架していることから、被試験体106を構成する構造体の水平面内の運動(すなわち水平方向の並進運動および鉛直軸まわりの回転運動)に対する追従のみしか実現できず、例えば水平軸まわりの回転運動などの三次元的運動を許容することができず、水平軸まわりの回転運動を伴うような展開構造物の運動試験を行うことができないという課題があった。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、二次元平面内の運動のみにとどまらず、三次元的な回転運動を含む運動試験が可能な運動試験装置を得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る運動試験装置は、水平な平面に沿って二次元的に移動可能な移動子に対し鉛直方向に吊り下げられた第1の懸架線の下端において水平軸まわりおよび鉛直軸まわりに回転自在な第1のヒンジを介して重心位置を支えられたレバーを構成し、前記レバーの両端部からそれぞれ第2の懸架線を吊り下げ、該各第2の懸架線の下端部に水平軸まわりに回転自在な第2のヒンジを介して結合子により結合された被試験体を構成し、前記レバーの両端部と前記各第2の懸架線とがそれぞれ結合された結合点の間を結ぶ第1の線分と、前記各結合子と前記各第2の懸架線とがそれぞれ結合された結合点の間を結ぶ第2の線分とが平行かつ同一の長さになるとともに、前記第2の線分および前記第1の懸架線の延長線が前記被試験体の重心位置を通るようにしたものである。
【0007】
この発明に係る運動試験装置は、被試験体を単位試験体が複数個、折り畳まれた形態の集合試験体で構成し、前記単位試験体に対応した数だけ設けられている第1の懸架線に結合されたレバーの両端部からそれぞれ吊り下げられた第2の懸架線と該第2の懸架線の下端部に一端が結合されて他端が前記単位試験体に結合した結合子とを介して前記集合試験体の各単位試験体を吊り下げて支持する構成と、移動子と当該移動子に対し鉛直方向に吊り下げられる前記各第1の懸架線との間で、前記各第1の懸架線により支持された前記単位試験体からなる前記集合試験体の重心を通る鉛直線上に設けられ、前記各第1の懸架線を一体的に一軸の鉛直軸まわりに回動自在にする鉛直軸回動自在機構とを備えるようにしたものである。
【0008】
この発明に係る運動試験装置は、各結合子の他端と被試験体とのそれぞれの結合点と当該被試験体の重心位置とをそれぞれ結ぶ直線から垂直な方向へ同量かつ互いに反対方向へオフセットされた位置に第2のヒンジを配置した構成を備えるようにしたものである。
【0009】
この発明に係る運動試験装置は、第1の懸架線の長さにかかわらず前記第1の懸架線の張力をほぼ一定に保つ定張力機構を、当該第1の懸架線の中間部または端部に備えるようにしたものである。
【0010】
この発明に係る運動試験装置は、第1の懸架線の長さを調整する長さ調整機構を、当該第1の懸架線の中間部または端部に備えるようにしたものである。
【0011】
この発明に係る運動試験装置は、磁気力により摩擦抵抗なしに移動を可能にする磁気支持機構により、水平方向に設置された第1のレール上を移動自在に構成された第1の移動子と、該第1の移動子により前記第1のレール上を移動自在な前記第1のレールに対して直交した第2のレール上で、前記磁気支持機構により第1の懸架線の移動を自在にする第2の移動子とを有した移動子を備えるようにしたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1から図6まではこの実施の形態1の運動試験装置の主要部分の構成を示す斜視図、図7および図8は前記運動試験装置の部分側面図である。図1から図6までは、この実施の形態1による運動試験装置を、折り畳まれて積み重ねられたパネルを展開し二次元的な平面形態に展開するパネル状の展開構造物に適用したときの初期状態から最終状態までの前記展開構造物の展開動作を示している。
図において、1は第1のレール、2は第1のレール1の上を自在に移動できる第2のレール、3は第2のレール2上を自在に移動できる構造を有したスライダー機構(移動子)、4は第1の懸架線、5は第1の懸架線4の下端に配設された水平軸まわり、および鉛直軸まわりに回転自在に構成された第1のヒンジ、6は前記第1のヒンジ5で中央を保持されたレバー、7はレバー6両端から吊り下げられた第2の懸架線である。図6に示す符号8は第2の懸架線7の途中に挿入された柔軟なバネである。9は第2の懸架線7の下端に配設され水平軸まわりに回転自在に構成された第2のヒンジである。10は被試験体となる展開構造物であるパネルであり、10a,10b,10cは3枚のパネル(単位試験体)10が折り畳まれてなる集合試験体を示す。11は前記パネル10の間を結合する展開ヒンジ、12は前記パネル10と前記第2のヒンジ9の間を結合する結合子、14はスライダー機構3と第1の懸架線4との間を結合するスライダー下部部材(鉛直軸回動自在機構)、13はスライダー下部部材14の端部で第1の懸架線4相互間を結合する結合部材である。
【0013】
また、図7において、15はパネル10の重心位置である。16は同一のパネル10に結合された第2のヒンジ9の間を結ぶ線分であり、この線分16は前記パネル10の重心位置15を通り、かつ当該パネル10を吊り下げているレバー6と平行である。
【0014】
また、図8において17は第1の懸架線4の延長直線であり、この延長直線17はパネル10の重心位置15を通る。図7に戻り、18はパネル10と結合子12との結合点と、当該パネル10の重心位置15とを結ぶ直線である。同一のパネル10の各結合子12は、この直線18に関して互いに反対の方向にそれぞれの第2のヒンジ9の位置をオフセットさせている。
なお、図が煩雑になるのを避けるため、図1から図5と図7ではバネ8の図示を省略し、また図7および図8では展開ヒンジ11の図示を省略している。
さらに同様に、図1から図8において展開ヒンジ11の一部あるいはバネ8の一部を図示省略している。
【0015】
次に動作について説明する。
この運動試験装置によって試験される展開構造物のパネル10は、最初、図1に示すようにスタック状に積み重ねられていたものが、パネル間に適切に配設された展開ヒンジ11の作用によって図2→図3→図4→図5→図6の順で展開されていく。この実施の形態では9枚のパネルが3枚ごとの集合体となって、先ず第1のレール1の長手方向に屏風状に広がっていく。このとき、3枚ごとのパネル10の集合体は図2に示す形態で屏風状に広がっていく。
図3は、前記3枚ごとのパネル10の集合体が第1のレール1の長手方向に広がりきった状態を示している。
【0016】
図1から図3に示したように前記3枚ごとのパネルの集合体が屏風状に広がっていくとき、それぞれの3枚ごとのパネル10には、水平面内の並進運動とともに、鉛直軸まわりの回転運動も生じる。この回転運動は、第1の懸架線4を3枚ごとのパネル10の集合体ごとに結合部材13で結合し、これを結合部材13の中央からスライダー下部部材14でスライダー機構3に結合することによって可能になっている。
なお、スライダー下部部材14の上端または下端には、スライダー機構3と結合部材13との相対的な鉛直軸まわりの回転運動を自在にするためのベアリング(図示していない)などが挿入されている。また、結合部材13の中央とスライダー機構3とを結ぶ延長線は、その下方に懸架されている3枚ごとのパネル10の集合体の重心位置15を通る鉛直線と一致するように構成されており、この結果、それぞれの3枚ごとのパネル10の集合体は、それぞれの重心位置を懸架したのと等価な効果が得られている。
【0017】
次に、図3の状態まで被試験体であるパネル10が展開した段階で、第1の懸架線4の上部を結合していた結合部材13は取り外され、代わりに新たなスライダー下部部材14が追加されて、第1の懸架線4のそれぞれとスライダー機構3とが1対1に対応して結合される。この状態を示したのが図4である。
【0018】
なお、第1の懸架線4の長さが折り畳み時のパネル間隔に比べて十分に長く、少々の第1の懸架線4の傾き(鉛直線からのずれ)が生じても支障がない場合には、結合部材13の取り付けや取り外しを行わずに、展開初期の状態から常にスライダー機構3と第1の懸架線4とが図4に示すように1対1に対応して結合された状態にしておいても良く、その場合には結合部材13を取り外すために展開動作を一時中断させる必要がなくなる。
またこのときには、第1のヒンジ5の鉛直軸まわりの回転自由度によって、レバー6あるいはパネル10と第1の懸架線4との間の相対的なねじれが開放される。
【0019】
図4の状態に移行した後には、続いて被試験体の3枚ごとのパネル10の集合体がそれぞれ第2のレール2の長手方向に開いていくことで、展開運動が進行する。この状況を示したものが図5と図6である。図4に示した状態から図5に示す状態、さらに図6に示す状態へ移行する過程では、3枚ごとのパネル10の集合体の各パネルが水平軸まわりに回転運動しながら、同時に水平方向へ並進運動も行なっている。各パネル10の水平方向の並進運動は、第2のレール2上に配設されたそれぞれのスライダー機構3が各パネル10の水平方向の移動に従って移動し、また、各パネル10の水平軸まわりの回転運動は、第1のヒンジ5の水平軸まわり自由度によりレバー6が自在に傾くことにより実現される。図4に示す状態から図6に示す状態への途中の状況を示したものが図5であり、最終的には被試験体の各パネル10は図6に示すように平面状に展開し、このとき第1の懸架線4の延長線17は鉛直方向を向き、かつ、それぞれの延長線17は周辺の付属構造物を含む対応する直下のパネル10の重心位置15を通る。
【0020】
図7および図8では、展開初期状態および展開終了状態における被試験体の3枚ごとのパネル10の集合体と第1のレール1および第2のレール2を示している。
いずれの状態においても、各パネル10の第2のヒンジ9の間を結ぶ線分16とレバー6は平行で長さが等しく、この線分16とレバー6と第2の懸架線7とにより平行四辺形のリンクを構成している。また、第1のヒンジ5はレバー6の中央を支えており、上述したように第1のヒンジ5を通る第1の懸架線4の延長線17はそれぞれのパネル10の重心位置15を通過する。
【0021】
前記平行四辺形のリンクは、水平軸まわりの回転であるパネル10の傾きに合わせてせん断的変形を生じるが、図7に示すようにパネル10の面が鉛直面に一致する姿勢にあっても、直線18に対して互いに反対方向にオフセットした位置に第2のヒンジ9を配設するように結合子12が構成されているので、鉛直に立った状態のパネル10と第2の懸架線7とが干渉することなく、パネル10を懸架保持することができる。
【0022】
この実施の形態1では、3枚ごとのパネル10の集合体が複数、同一方向に積み重ねられている状態から、前記各集合体がそれぞれ鉛直軸まわりに回動しながら第1のレール1の長手方向に屏風状に広がっていき、やがて前記各集合体のパネル10の面が同一の方向を向くまでの二次元的な平面上での展開動作が、第1のレール1に対する第2のレール2の移動と、第2のレール2に対するスライダー機構3の移動と、結合部材13の鉛直軸まわりの回転運動とにより実現される。また、次の前記各集合体毎の各パネル10が三次元的な動作を行い最終的に平面状に広がる展開動作が、第2のレール2に対するスライダー機構3の移動と、第1のヒンジ5の水平軸まわりの回転運動と、第2のヒンジ9の水平軸まわりの回転運動とにより実現される。
【0023】
以上のように、この実施の形態1では、被試験体である前記各集合体毎およびそのパネル10の重心位置15を回転自在の状態で懸架したのとほぼ等価となり、前記被試験体の無重力状態における自由運動を模擬しやすい状況を実現できる効果が得られる。
【0024】
また、前記被試験体の重心を通る鉛直軸まわりの当該被試験体の回転運動は、第1のヒンジ5の鉛直軸まわりの回転自由度によって実現され、また、前記被試験体の重心を通る水平軸まわりの当該被試験体の回転運動は、上記レバー6と被試験体であるパネル10と第2の懸架線7が形成する平行リンク機構のせん断変形状の運動、さらには前記第2のヒンジ9の水平軸まわりの回転自由度等によって実現され、前記被試験体の重心を通る鉛直軸まわりの当該被試験体の回転運動や、前記被試験体の重心を通る水平軸まわりの当該被試験体の回転運動を含む被試験体の無重力状態における自由運動を容易に模擬でき、被試験体の運動に対する追従性に優れた運動試験装置が得られる効果がある。
【0025】
また、結合子12は、結合子12と被試験体であるパネル10との結合点と、当該被試験体の概略重心位置とを結ぶ直線から垂直な方向に第2のヒンジ9をオフセットさせており、同一の被試験体に結合された2個の各結合子12が形成するオフセットは同量かつ前記直線に関して互いに反対方向になるように構成されているので、被試験体の水平軸まわりの回転運動により、結合子12と当該被試験体との結合点と、前記被試験体の概略重心位置とを結ぶ直線が鉛直となる状態に被試験体が至っても、第2の懸架線7が完全に重なり合うことはなく、前記オフセットによって規定される一定量の間隔を保ったまま当該被試験体を保持することができ、被試験体の運動に対する追従性に優れた運動試験装置が得られる効果がある。
【0026】
実施の形態2.
図9は、この発明の実施の形態2の運動試験装置の特徴的な第1の懸架線4の部分拡大図である。図において、20は第1の懸架線4に作用する張力を第1の懸架線4の長さにかかわらずほぼ一定の範囲に保つ定張力バネ機構(定張力機構)、20aは第1の懸架線4の一端が周面へ固定された巻取ローラ、20bは第1の懸架線4を前記一定の範囲のトルクで巻き取り、前記張力を前記一定の範囲に保つ回転付勢力を与える渦巻バネである。この定張力バネ機構20を第1の懸架線4に挿入することにより、第1のヒンジ5より下方に懸架される被試験体が鉛直方向に上下運動を行なっても、これに追従して当該被試験体を懸架保持することができるので、より一層、運動自由度の大きい運動試験装置を得ることができる。
【0027】
また、定張力バネ機構20の代わりに極めて剛性の小さいコイルバネ等を使ってもよく、あるいは張力検出器とケーブル巻上機構を組み合わせて能動的に張力を制御する張力制御機構を用いてもよく、同等の効果を得ることができる。
【0028】
また、この実施の形態2では第1の懸架線4に定張力バネ機構20を挿入する例を示したが、第2の懸架線7に挿入しても良く、同等の効果が得られる。
【0029】
以上のように、この実施の形態2によれば、第1の懸架線4の中間部または端部に、第1の懸架線4の張力を当該懸架線の長さにかかわらずほぼ一定に保つ定張力バネ機構20を挿入したので、被試験体の鉛直方向の運動が生じても、被試験体をそれ自身の重量に等しい一定の力で保持することができ、被試験体の無重力状態における自由運動を模擬しやすい状況が実現でき、被試験体の運動に対する追従性に優れた運動試験装置が得られる効果がある。
【0030】
実施の形態3.
図10は、この発明の実施の形態3の運動試験装置の特徴的な第1の懸架線4を示す部分拡大図である。図において、21は長さ調整機構であり、この実施の形態ではターンバックルを用いた構成を示している。前記長さ調整機構21を挿入して、第1の懸架線4の長さを調整することによって、被試験体を懸架する場合に隣接するパネル10相互間の高さのばらつきに合わせて懸架位置の高さを調整することができる。
【0031】
以上のように、この実施の形態3によれば、第1の懸架線4の中間部または端部に、第1の懸架線4の長さを調整できる長さ調整機構21を挿入したので、被試験体をセットする際における鉛直方向の位置調整が容易になる運動試験装置が得られる効果がある。
また、組立てや試験時の作業性に優れた運動試験装置を得られる効果がある。
【0032】
実施の形態4.
図11および図12は、この発明の実施の形態4の運動試験装置におけるスライダー機構(第2の移動子)3と第2のレール2との組み合わせ部分の断面構造図、図12は前記第2のレール2と前記第1のレール1との組み合わせ部分の断面構造図である。図において、31aと31bは電磁石(磁気支持機構)であり、電磁石31aは第1のレール1または第2のレール2に対して鉛直方向に吸引力を発生する電磁石、31bは第1のレール1または第2のレール2に対して水平方向に吸引力を発生する電磁石である。32aと32bはギャップセンサ(磁気支持機構)であり、ギャップセンサ32aは第1のレール1または第2のレール2に対する鉛直方向の間隙を計測するセンサ、32bは第1のレール1または第2のレール2に対する水平方向の間隙を計測するセンサである。
【0033】
また、図12における符号33は、第2のレール2に結合され第1のレール1上を移動可能なスライドフレーム(第1の移動子)である。
前記電磁石31a,31bおよびギャッブセンサ32a,32bと図示しない制御装置とにより、スライダー機構3は第2のレール2に対して、また、スライドフレーム33は第1のレール1に対してそれぞれ一定の間隙を保った状態で保持される。
【0034】
従って、スライダー機構3およびスライドフレーム33は、それぞれが組み合わされる第1のレール1または第2のレール2に対して摩擦抵抗のない、極めて滑らかな状態で間隙を保って保持されるので、被試験体の運動に対して滑らかに追従可能な運動試験装置が実現できる。
【0035】
また、電磁石31a,31bの磁気吸引力が消滅しても、図11あるいは図12に示したようにスライダー機構3およびスライドフレーム33はそれぞれ逆T字型の第2のレール2または第1のレール1を抱き込むように構成されているので、これらが支える構造体は落下することなく安全性が向上する。
【0036】
以上のように、この実施の形態4によれば、スライダー機構3あるいは第2のレール2は極めて摩擦抵抗の少ない状態で水平面内の二次元的な自由運動が可能であるばかりでなく、前記電磁石31a,31bが何らかの故障で磁気力を失い構造体を支持できない状態になっても、スライダー機構3が自然落下することなく、第1のレール1や第2のレール2上に係止されるので、安全性を向上できるという効果が得られる。
【0037】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、水平な平面に沿って二次元的に移動可能な移動子に対し鉛直方向に第1の懸架線を吊り下げ、該第1の懸架線の下端において水平軸まわりおよび鉛直軸まわりに回転自在な第1のヒンジを介してレバーの重心位置を支え、前記レバーの両端部からそれぞれ第2の懸架線を吊り下げ、該第2の懸架線の下端が結合された水平軸まわりに回転自在な第2のヒンジと結合子とを介して、前記レバーの両端部と前記各第2の懸架線とがそれぞれ結合された結合点の間を結ぶ第1の線分と、前記各結合子と前記各第2の懸架線とがそれぞれ結合された結合点の間を結ぶ第2の線分とが平行かつ同一の長さになるとともに、前記第2の線分および前記第1の懸架線の延長線が重心位置を通るように被試験体を吊り下げる構成を備えたので、被試験体の水平面内の運動だけでなく三次元的な回転運動を含む運動試験が可能になる効果がある。
【0038】
この発明によれば、移動子に対し鉛直方向に吊り下げられた第1の懸架線により支持された単位試験体からなる集合試験体の重心を通る鉛直線上に設けられた鉛直軸回動自在機構により、前記第1の懸架線のそれぞれを一体的に一軸の鉛直軸まわりに回動自在にするように構成したので、前記集合試験体ごとの鉛直軸まわりの回動を含む水平面内の運動試験が可能になる効果がある。
【0039】
この発明によれば、結合子の他端と被試験体との結合点と当該被試験体の重心位置とをそれぞれ結ぶ直線から垂直な方向へ同量かつ互いに反対方向へオフセットされた位置にある第2のヒンジを備えるように構成したので、第2の懸架線が重なり合うことなく、被試験体を鉛直方向と平行に立った姿勢に保持でき、この状態からの三次元的な回転運動を含む運動試験が可能になる効果がある。
【0040】
この発明によれば、第1の懸架線の長さにかかわらず前記第1の懸架線の張力をほぼ一定に保つ定張力機構を、当該第1の懸架線の中間部または端部に備えるように構成したので、被試験体の鉛直方向の運動に対し、当該被試験体をそれ自身の重量に等しい一定の力で保持することができ、被試験体の無重力状態における自由運動の模擬が容易になる効果がある。
【0041】
この発明によれば、第1の懸架線の長さを調整する長さ調整機構を、当該第1の懸架線の中間部または端部に備えるように構成したので、被試験体をセットする際の鉛直方向の位置調整が容易になる効果がある。
【0042】
この発明によれば、磁気力により摩擦抵抗なしに移動を可能にする磁気支持機構により、水平方向に設置された第1のレール上を移動自在に構成された第1の移動子と、該第1の移動子により前記第1のレール上を移動自在な前記第1のレールに対して直交した第2のレール上で、前記磁気支持機構により第1の懸架線の移動を自在にする第2の移動子とを備えるように構成したので、水平面内の次元的な自由運動が摩擦抵抗の少ない状態で実現できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1の運動試験装置の主要部分の構成を示す斜視図である。
【図2】この発明の実施の形態1の運動試験装置の主要部分の構成を示す斜視図である。
【図3】この発明の実施の形態1の運動試験装置の主要部分の構成を示す斜視図である。
【図4】この発明の実施の形態1の運動試験装置の主要部分の構成を示す斜視図である。
【図5】この発明の実施の形態1の運動試験装置の主要部分の構成を示す斜視図である。
【図6】この発明の実施の形態1の運動試験装置の主要部分の構成を示す斜視図である。
【図7】この発明の実施の形態1の運動試験装置の部分側面図である。
【図8】この発明の実施の形態1の運動試験装置の部分側面図である。
【図9】この発明の実施の形態2の運動試験装置の特徴的な第1の懸架線の部分拡大図である。
【図10】この発明の実施の形態3の運動試験装置の特徴的な第1の懸架線を示す部分拡大図である。
【図11】この発明の実施の形態4の運動試験装置におけるスライダー機構と第2のレールとの組み合わせ部分の断面構造図である。
【図12】この発明の実施の形態4の運動試験装置における第2のレールと第1のレールとの組み合わせ部分の断面構造図である。
【図13】従来の運動試験装置を示す構成図である。
【符号の説明】
1 第1のレール、2 第2のレール、3 スライダー機構(移動子,第2の移動子)、4 第1の懸架線、5 第1のヒンジ、6 レバー、7 第2の懸架線、9 第2のヒンジ、10 パネル(被試験体,単位試験体)、10a,10b,10c 集合試験体、12 結合子、14 スライダー下部部材(鉛直軸回動自在機構)、20 定張力バネ機構(定張力機構)、21 長さ調整機構、31a,31b 電磁石(磁気支持機構)、32a,32b ギャップセンサ(磁気支持機構)、33 スライドフレーム(第1の移動子)。
Claims (6)
- 水平な平面に沿って二次元的に移動可能な移動子と、
該移動子に対し鉛直方向に吊り下げられた第1の懸架線と、
該第1の懸架線の下端において水平軸まわりおよび鉛直軸まわりに回転自在な第1のヒンジを介して重心位置を支えられ前記第1の懸架線に結合されたレバーと、
前記レバーの両端部からそれぞれ吊り下げられた第2の懸架線と、
水平軸まわりに回転自在な第2のヒンジを介して前記各第2の懸架線の下端部に一端が結合された結合子と、
前記レバーの両端部と前記各第2の懸架線とがそれぞれ結合された結合点の間を結ぶ第1の線分と、前記各結合子と前記各第2の懸架線とがそれぞれ結合された結合点の間を結ぶ第2の線分とが平行かつ同一の長さになるとともに、前記結合子の他端に結合されており、前記第2の線分および前記第1の懸架線の延長線が重心位置を通る被試験体とを備えた運動試験装置。 - 被試験体は、単位試験体が複数個、折り畳まれた形態の集合試験体から構成され、
第1の懸架線に結合されたレバーは、当該レバーの両端部からそれぞれ吊り下げられた第2の懸架線と該第2の懸架線の下端部に一端が結合されて他端が前記単位試験体に結合した結合子とを介して前記集合試験体の各単位試験体を吊り下げて支持し、前記単位試験体に対応した数だけ設けられており、
移動子と当該移動子に対し鉛直方向に吊り下げられた前記各第1の懸架線との間で、前記各第1の懸架線により支持された前記単位試験体からなる前記集合試験体の重心を通る鉛直線上に設けられ、前記各第1の懸架線を一体的に一軸の鉛直軸まわりに回動自在にする鉛直軸回動自在機構を備えていることを特徴とする請求項1記載の運動試験装置。 - 各第2の懸架線の下端部と各結合子の一端とを結合した各第2のヒンジは、
前記各結合子の他端と被試験体とのそれぞれの結合点と当該被試験体の重心位置とをそれぞれ結ぶ直線から垂直な方向へ同量かつ互いに反対方向へオフセットされた位置にあることを特徴とする請求項1または請求項2記載の運動試験装置。 - 第1の懸架線の長さにかかわらず前記第1の懸架線の張力をほぼ一定に保つ定張力機構を、当該第1の懸架線の中間部または端部に備えていることを特徴とする請求項3記載の運動試験装置。
- 第1の懸架線の長さを調整する長さ調整機構を、当該第1の懸架線の中間部または端部に備えていることを特徴とする請求項3記載の運動試験装置。
- 移動子は、
磁気力により摩擦抵抗なしに移動を可能にする磁気支持機構により、水平方向に設置された第1のレール上を移動自在に構成された第1の移動子と、
該第1の移動子により前記第1のレール上を移動自在な前記第1のレールに対して直交した第2のレール上で、前記磁気支持機構により第1の懸架線の移動を自在にする第2の移動子とを備えていることを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の運動試験装置。
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