JP3599188B2 - 膜特性の解析方法及び膜特性の解析装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水晶振動子上に形成された被測定膜の膜特性の解析方法、解析装置に係り、特に被測定膜が溶液に溶解する際の膜特性の測定に適用して好適である。
【0002】
【従来の技術】
高分子薄膜の溶解特性を測定するには、光干渉法により溶解中の膜厚や屈折率などの膜特性を測定することが行われている。しかし、この方法では、光が試料を透過し、膜と空気の界面、膜と基板の界面の双方で反射して干渉しなければ測定を行うことができない。従って、不透明な試料には適用することができない。また、光の波長以下の膜厚変化を高精度に求めることは困難である。
【0003】
水晶振動子を用いた微小重量分析は、水晶振動子が溶液中でも発振することが発見されて以来、水晶振動子の電極上に高分子試料を塗布し、その高分子薄膜の溶解特性の測定に応用されている。特に、半導体産業では、感光性高分子材料であるレジストを、アルカリ水溶液現像液を用いて現像する過程において、レジストの膜特性を測定する手法(以下、QCM法と呼ぶ。)として用いられている。
【0004】
例えば、水晶振動子を用いた微小重量分析について記載された文献として、ダブル・デイー・ヒンスブルグ、シー・ジー・ウイルソン、ケイ・ケイ・カナザワ、「水晶振動子微小分析を用いた薄膜溶解機構の測定」、ジャーナル・オブ・エレクトロケミカル・ソサエティ、133巻、7号、1448頁から1451頁、1986年(W.D.Hinsberg,C.G.Willson,and K.K.Kanazawa,“Measurement of Thin−Film Dissolution Kinetics Using a Quartz Crystal Microbalance,”J.Electrochem.Soc.,Vol.133,No.7,pp.1448−1451(1986).)を挙げることができる。
【0005】
この文献には、水晶振動子上に回転塗布したレジスト薄膜を現像液に接触させ、現像中の水晶振動子の共振周波数を測定することにより、レジスト試料の重量変化を測定している。そして、現像中にレジスト薄膜が時間と共に膜減りし、溶解する様子をQCM法で測定できることが開示されている。また、その測定データの解析では、共振周波数の変化が膜厚変化に比例するとするSauerbrey則に従うと仮定して、膜厚の現像時間依存性を調べている。
【0006】
また、最近の文献、ダブル・ヒンスブルグ、エスーダブル・リー、エイチ・イトウ、デイー・ホーン、ケイ・カナザワ、「高分子の界面挙動を評価する実験手法」、エスピーアイイー、4345巻、1頁、2001年(W.Hinsberg,S−W.Lee,H.Ito,D.Horne and K.Kanazawa“Experimental approaches for assessing interfacial behavior of polymer”,SPIE,4345,pp.1(2001).)においては、QCM法による測定の際に、共振周波数に加えて水晶振動子のインピーダンスも同時に測定することにより、高分子薄膜が現像中に溶解して膜厚が減少するだけでなく、膨潤する過程も観測できることが指摘されている。そして、水晶振動子、高分子薄膜、膨潤層、現像液層の四層からなる振動の運動方程式を解析することにより、被測定膜の膜特性が得られることが指摘されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、実際にはこのような複雑な運動方程式は連立方程式になり、同時に複数の非線形微分方程式を解かねばならず、現実に測定データの解析に使用することは非常に困難が伴っていた。このため、膨潤層などの高分子膜特性を定量的に測定できる測定方法の開発が強く望まれていた。
【0008】
この発明は上述のような問題を解決するためになされたものであり、被測定膜の膜厚、密度又は剛性率を含む膜特性を定量的に測定することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明の膜特性の解析方法は、水晶振動子に被測定膜を形成し、前記水晶振動子と接続された2つの電極間に所定の電圧を印加し、前記水晶振動子を共振させて前記被測定膜の膜特性を測定する方法であって、前記水晶振動子の共振周波数とインピーダンス又はアドミタンスを測定し、多層膜構造の電気的等価回路を用いて解析することにより前記被測定膜の膜厚、密度又は剛性率を含む膜特性を求めるものである。
【0010】
また、前記水晶振動子の表裏面に前記電極がそれぞれ形成され、一方の電極上に前記被測定膜を形成するものである。
【0011】
また、前記水晶振動子の表裏面から離間して前記電極が配置され、一方の電極と前記水晶振動子との間に前記被測定膜を形成するものである。
【0012】
また、前記水晶振動子としてATカット板からなる水晶振動子を用いるものである。
【0013】
また、前記水晶振動子の共振周波数を中心として半値全幅を含むアドミタンス・スペクトルを測定して前記解析を行うものである。
【0014】
また、前記水晶振動子の共振周波数を中心として半値全幅を含むインピーダンス・スペクトルを測定して前記解析を行うものである。
【0015】
また、前記水晶振動子に形成した前記被測定膜を液中に浸した状態で前記共振周波数と前記インピーダンス又はアドミタンスを測定するものである。
【0016】
また、前記被測定膜として複数の層からなる膜を用いるものである。
【0017】
また、この発明の膜特性の解析装置は、被測定膜が形成される水晶振動子と、前記水晶振動子に所定の電圧を印加して共振させる手段と、前記水晶振動子の共振周波数を測定する手段と、前記水晶振動子のインピーダンス又はアドミタンスを測定する手段と、測定した前記共振周波数及び前記インピーダンス又はアドミタンスを多層膜構造の電気的等価回路を用いて解析し、前記被測定膜の膜厚、密度又は剛性率を求める計算手段とを備えたものである。
【0018】
また、前記水晶振動子の表裏面に2つの電極が形成され、一方の電極上に前記被測定膜が形成されるものである。
【0019】
また、前記水晶振動子の表裏面から離間して2つの電極が配置され、一方の電極と前記水晶振動子との間に前記被測定膜が形成されるものである。
【0020】
また、前記水晶振動子はATカット板からなるものである。
【0021】
また、インピーダンス又はアドミタンスを測定する手段は、前記水晶振動子の共振周波数を中心として半値全幅を含む前記インピーダンス又はアドミタンスを測定するものである。
【0022】
また、前記被測定膜を液中に浸した状態で前記共振周波数と前記インピーダンス又はアドミタンスを測定するものである。
【0023】
また、前記被測定膜として複数の層からなる膜を用いるものである。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0025】
本発明者らは鋭意研究を続けた結果、水晶振動子の両面に電極をそれぞれ取り付け、一方の電極上に被測定膜を塗布し、両電極間に水晶振動子が共振する周波数の電圧を印加して、水晶振動子を共振させる水晶振動子を用いた膜特性測定方法において、試料の膜厚、密度、剛性率を高精度に測定できる方法を見出した。この方法は、水晶振動子の共振周波数とインピーダンスを測定し、多層膜構造の電気的等価回路を用いて解析するようにしたものである。
【0026】
この方法において、水晶振動子は、成膜装置における膜厚制御、レート制御に用いられる膜厚モニター用水晶振動子を利用することができる。圧電性を示す室温で安定な水晶は、三方晶系、点群32に属するα−石英である。573℃以上では、六方晶のβ−石英に転移して圧電性がなくなるため、水晶振動子にはα−石英を用いる。水晶デバイスとして使用されている水晶は、水熱合成法により作られた人工水晶である。水晶振動子は切断カット角で周波数温度特性などの性質が大きく変わる。現在、主に使用されているのは、結晶軸の1軸のみを回転した面から切断したATカットの水晶振動子である。ATカット水晶振動子は、Y軸に直交する面をX軸を中心にして約35°回転した面から切り出したものである。この実施の形態においても、水晶振動子は、ATカット板(z軸から約35°15’)を利用することができる。ATカット板は、常温である25℃付近に変曲点を有する3次曲線状の温度特性を示すため、常温付近で使用する場合、極めて良好な周波数安定度が得られ、最も多用されているものである。ATカット板は周波数基準として多くの用途に用いられ、特に携帯電話などの通信機器に使用されている。ここで、板厚0.3mm程度の水晶振動子を用いると、共振周波数は5MHz近傍になる。板厚を薄くすれば共振周波数は高くなり、測定精度を高めることができる。なお、水晶振動子は表面が粗いと特性が悪化するので、表面を平滑にするために研磨(ポリッシュ)する。ポリッシュ後の表面粗さは0.06μm程度が好適である。
【0027】
本実施の形態では基本波の共振周波数で説明するが、高次のオーバートーンを利用することも出来る。
【0028】
電極としては、研磨した水晶板上に金(Au)を蒸着したものを用いることができる。この際、必要に応じてAu層の下層に接着性を向上させるための中間層を蒸着してもよい。水晶振動子の共振周波数はこのAuの蒸着量で調整することができる利点がある。また、電極を水晶振動子上に必ずしも直接的に設ける必要はない。水晶振動子から一定の間隔をもって電極を設置した電極分離型のサンドウィッチ構造でも使用することができる。この場合には、水晶振動子上に金属を配置しなくても良いという利点が得られる。
【0029】
また、電極上に下地膜として酸化膜やハードベークした高分子膜を形成し、その上に被測定膜を形成することにより、被測定膜に対するこれらの膜の下地依存性の情報を得ることができる。上記、サンドウィッチ構造の場合には、水晶基板上に直接、これらの下地材料を設置すればよい。
【0030】
水晶振動子の両電極間に交流電圧を印加すると、水晶振動子は印加した交流信号に等しい周波数で共振する。このときの共振の振幅は共振周波数の時に最大値になる。この交流電圧回路としては通常の発振回路を用いることができる。
【0031】
共振周波数の測定には、周波数帯、オーバートーン次数に合わせた周波数計が利用できる。また、水晶振動子のインピーダンスやアドミタンスは、周波数帯、オーバートーン次数に合わせたスペクトル・アナライザーで測定可能である。インピーダンス・アナライザーとしては、例えばSolartron社(http://www.solartronanalytical.com/flash_index.html)の1260 Impedance Gain−Phase Analyzerを用いることができる。ここで、インピーダンス・アナライザーの入力端子に水晶振動子の両電極を接続し、基準周波数が5MHzの水晶振動子であれば、4.95 MHzから5.05MHzの周波数の間でそのインピーダンスを測定する。この1回目の測定で水晶振動子の共振周波数を求め、次はその周波数を中心に半値全幅の2倍程度の周波数領域を測定し、測定点数を200点以上サンプリングする。そして、これらの値をデータ解析に用いる。アドミタンス測定も同様に行うことができる。
【0032】
このようにして得られた測定値から被測定膜の膜特性を解析する際には、電気的等価回路を用いた伝送線路法を利用することができる。その詳細を以下に述べる。
【0033】
被測定膜をレジスト薄膜として水晶振動子上に形成した場合を例に挙げて説明する。現像中における水晶振動子上のレジスト薄膜の挙動を考察すると、水晶振動子層、レジストである高分子薄膜層、レジストが現像液に溶解し始めて形成される膨潤層、現像液層からなる四層構造とみなすことできる。
【0034】
そこで、被測定膜の各膜特性値を、高分子層の膜厚をhs、高分子層の密度をρs、膨潤層の膜厚をhf、膨潤層の密度をρf、膨潤層の剛性率をGf 、として表すと、四層構造を形成する水晶振動子のインピーダンスZは以下の(1)式で与えられる。
【0035】
【数1】
【0036】
ここで、R1、L1、C1は、それぞれ無負荷時の水晶振動子の抵抗、リアクタンス、容量である。そして、Z(2)、Z(3)、γは以下の(2)〜(4)式で与えられる。ρ1、η1はそれぞれ現像液の密度と粘度である。
【0037】
【数2】
【0038】
【数3】
【0039】
【数4】
【0040】
従って、(1)式よりQCM法で測定した共振周波数は、(1)式が最小となる周波数ωであり、測定したインピーダンスはその周波数における(1)式の最小値である。非線型最小2乗法を用いて(1)式を測定値に当てはめることにより、被測定膜であるレジスト膜の特性値を求めることができる。
【0041】
より多くの膜の特性値を求めたり、より高精度に測定値を求めるためには、インピーダンス・スペクトルを測定して、(1)式を当てはめることが望ましい。
【0042】
なお、以上の説明ではインピーダンスを用いる方法を示したが、アドミタンスなど用いる測定でも同様にデータ解析が可能である。
【0043】
以上説明したようにこの実施の形態では、電気的等価回路を用いた伝送線路法を用いるので、高分子層の膜厚hS、高分子層の密度ρS、膨潤層の膜厚hf、膨潤層の密度ρf、膨潤層の剛性率Gfなどの被測定膜の膜特性値を定量的に求めることが可能となる。
【0044】
【実施例】
以下、実施例を示してこの発明を具体的に説明する。なお、この発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0045】
(実施例1)
図1は、この実施例の膜特性測定装置の構成を示す側断面図である。この測定装置においては、厚さ0.33mmのATカット水晶板からなる水晶振動子2の両面に金電極1が蒸着されている。一方の金電極1上には、レジストが回転塗布され、水晶振動子2を温度90℃程度で60秒程度乾燥させることにより、被測定膜のレジスト薄膜3が形成される。
【0046】
この水晶振動子2を現像液漕4中の現像液5に浸漬して振動させる。この際、レジスト塗布面のみを現像液5に浸漬し、裏面電極などが現像液5に触れないように水晶振動子2を密閉されたセル6に設置し、セル6を現像液5中に入れる。そして、セル6内に組み込んだ発振回路7により水晶振動子2に交流信号を印加し、水晶振動子2を共振させる。
【0047】
そして、周波数計8で水晶振動子2の共振周波数を測定し、インピーダンス・アナライザー9でインピーダンスを現像中に実時間測定し、測定信号を計算機10に取り込んだ。
【0048】
測定した共振周波数とインピーダンスの絶対値の現像時間依存性を図2と図3に示す。これらの測定値を解析するために、電気的等価回路を用いた伝送線路法によりインピーダンスを上記(1)式のように求めた。
【0049】
ここで、レジスト薄膜3の膜厚と密度をそれぞれhS,ρSとし、膨潤層の膜厚、密度、剛性率をhf,ρf,Gfとし、無負荷時の水晶振動子の抵抗、リアクタンス、容量をR1、L1、C1とし、現像液の密度と粘度をρ1、η1で表すと、Z(2),Z(3),γは上述したように(2)〜(4)式で与えられる。
【0050】
従ってQCM法で測定した共振周波数は(1)式が最小となる周波数ωであり、測定したインピーダンスはその周波数における(1)式の最小値である。非線形最小2乗法で(1)式を測定値に当てはめることにより、膜の特性値であるレジストの膜厚と膨潤層の膜厚の現像時間依存性を求める。このデータ解析を行った結果を図4及び図5に示す。
【0051】
図4は、膜厚200nmのレジスト薄膜3が現像の進行と共に現像液に溶解し、約25秒後に消失することを示している。また、図5は、現像液にレジストが浸漬された直後に膜厚10nm程度の膨潤層が形成され、30秒後に消失することを示している。
【0052】
このように、本発明の方法によりレジスト薄膜3が現像中に溶解していく挙動を定量的に得ることができた。そして、本発明により、図5に示すように現像中の膨潤層の膜厚を求めることが可能となった。
【0053】
(比較例)
比較例として、従来方法のようにSauerbrey則により共振周波数変化が膜厚変化に比例すると仮定し、図2の測定結果である共振周波数の現像時間依存性データのみからレジスト薄膜の膜厚変化を計算し、実施例1との比較結果を図6に示す。図6において、15はSauerbrey則に従うと仮定した場合の解析結果を、13は本発明の解析方法による解析結果を示している。
【0054】
現像初期において、従来方法の解析結果15では膨潤層を考慮していないため、膨潤層の形成をレジスト膜厚の増大と見なしている。従って、不正確な測定結果が得られている。また、従来方法による解析結果15では、膨潤層が現像終了後に溶解して消失する過程をもレジスト膜厚の減少と見なしてしまうため、現像時間が長く解釈されている。いずれも現像速度を過大評価することになり、従来の解析方法では不正確な膜特性が導かれることとなる。このように、図6の結果から本発明の方法により膨潤層の定量的な解析が可能となったことが分かる。
【0055】
(実施例2)
実施例1のレジスト薄膜3の代わりに、ポリビニルアルコールと酢酸ビニルエステルとからなる共重合体を被測定膜として実施例1と同一の処理を行った。被測定膜が異なること以外は実施例1と同様である。
【0056】
図7は、得られた高分子層の膜厚16と膨潤層の膜厚17の現像時間依存性を示す特性図である。高分子膜の現像中の溶解が10nm程度と微量であり、膨潤層が大きく膨潤して膜厚17が80nm程度にまで達することが解る。このように本発明により、膨潤層の寄与を定量的に把握できるようになることが判明した。
【0057】
(実施例3)
実施例3では、実施例1のレジスト薄膜3の代わりにポリメタクリレートとメタクリル酸との共重合体を被測定膜とし、インピーダンス・アナライザーで共振周波数のインピーダンスを測定する代わりに、アドミタンス・スペクトルを測定した。これ以外の測定条件は実施例1と同一である。
【0058】
図8は、測定の結果得られたアドミタンス・スペクトルを示している。ここで、31は現像時間0のアドミタンス・スペクトルを、32は現像時間3秒後のアドミタンス・スペクトルを、33は現像時間6秒後のアドミタンス・スペクトルを示している。そして、このスペクトルに(1)式を当てはめて、各現像時間における膜特性の物理量を求めた。
【0059】
このようにして得られた解析結果を図9に示す。図9において、34は被測定膜である共重合体の膜厚の現像時間依存性の解析結果を、35は膨潤層の膜厚の現像時間依存性の解析結果を示している。このように、膜厚、膨潤層の現像時間依存性の変化を定量的に求めることができた。また、この測定と同時に膨潤層の密度が0.9、剛性率が108+i×107dyn/cm2(iは虚数単位)と求められた。このように、インピーダンス・スペクトルを測定することにより測定データの情報量が多くなり、より多くの物理量を求めることができた。
【0060】
(実施例4)
実施例3において、水晶振動子2の両面に蒸着により金電極1を形成する代わりに、間隔1mmで平行に設置された2枚の平行電極間に厚さ0.33mmの水晶振動子2を設置した。そして、これ以外の条件は実施例3と同一として測定を行った。この結果、図9と同様の結果が得られ、サンドウィッチ構造でも膜特性が測定できることを確認できた。
【0061】
【発明の効果】
この発明は、以上説明したように構成されているので、以下に示すような効果を奏する。
【0062】
水晶振動子の共振周波数とインピーダンス又はアドミタンスを測定し、多層膜構造の電気的等価回路を用いて解析するため、被測定膜の膜厚、密度又は剛性率を含む膜特性値を定量的に求めることができる。
【0063】
電極上に被測定膜を形成することにより、被測定膜の経時変化に伴って変化する水晶振動子の共振周波数、インピーダンス又はアドミタンスを測定することができる。
【0064】
電極と水晶振動子の間に被測定膜を形成することにより、被測定膜の経時変化に伴って変化する水晶振動子の共振周波数、インピーダンス又はアドミタンスを測定することができる。
【0065】
水晶振動子としてATカット板からなる水晶振動子を用いることにより、汎用の水晶振動子を用いることができる。
【0066】
共振周波数を中心として半値全幅を含むアドミタンス・スペクトルを測定して解析を行うことにより、精度の高い膜特性の解析が可能となる。
【0067】
共振周波数を中心として半値全幅を含むインピーダンス・スペクトルを測定して解析を行うことにより、精度の高い膜特性の解析が可能となる。
【0068】
水晶振動子に形成した被測定膜を液中に浸すことにより、被測定膜の溶解特性を解析することができる。
【0069】
被測定膜として複数の層からなる膜を用いることにより、各層の特性を解析することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る水晶振動子を用いた膜特性の解析装置の構成を示す模式図である。
【図2】共振周波数の現像時間依存性を示す特性図である。
【図3】インピーダンスの絶対値の現像時間依存性を示す特性図である。
【図4】レジスト膜厚の現像時間依存性を示す特性図である。
【図5】膨潤層の膜厚の現像時間依存性を示す特性図である。
【図6】本発明に係る方法で解析した測定したレジスト膜厚の現像時間依存性と、従来の解析方法で解析したレジスト膜厚の現像時間依存性とを比較して示す特性図である。
【図7】高分子層の膜厚と膨潤層の膜厚の現像時間依存性を示す特性図である。
【図8】測定の結果得られたアドミタンス・スペクトルを示す特性図である。
【図9】アドミタンス・スペクトルから解析した被測定膜及び膨潤層の膜厚の現像時間依存性を示す特性図である。
【符号の説明】
1 金電極、 2 水晶振動子、 3 被測定膜、 4 現像液漕、 5 現像液、 6 セル、 7 共振回路、 8 周波数計、 9 インピーダンス・アナライザ、 10 計算機、 13,15,34,35 解析結果、 16 高分子層の膜厚、 17 膨潤層の膜厚、 31,32,33 アドミタンス・スペクトル。
Claims (15)
- 水晶振動子に被測定膜を形成し、前記水晶振動子と接続された2つの電極間に所定の電圧を印加し、前記水晶振動子を共振させて前記被測定膜の膜特性を測定する方法であって、
前記水晶振動子の共振周波数とインピーダンス又はアドミタンスを測定し、多層膜構造の電気的等価回路を用いて解析することにより前記被測定膜の膜厚、密度又は剛性率を含む膜特性を求めることを特徴とする膜特性の解析方法。 - 前記水晶振動子の表裏面に前記電極がそれぞれ形成され、一方の電極上に前記被測定膜を形成することを特徴とする請求項1記載の膜特性の解析方法。
- 前記水晶振動子の表裏面から離間して前記電極が配置され、一方の電極と前記水晶振動子との間に前記被測定膜を形成することを特徴とする請求項1記載の膜特性の解析方法。
- 前記水晶振動子としてATカット板からなる水晶振動子を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の膜特性の解析方法。
- 前記水晶振動子の共振周波数を中心として半値全幅を含むアドミタンス・スペクトルを測定して前記解析を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の膜特性の測定方法。
- 前記水晶振動子の共振周波数を中心として半値全幅を含むインピーダンス・スペクトルを測定して前記解析を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の膜特性の測定方法。
- 前記水晶振動子に形成した前記被測定膜を液中に浸した状態で前記共振周波数と前記インピーダンス又はアドミタンスを測定することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の膜特性の測定方法。
- 前記被測定膜として複数の層からなる膜を用いることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の膜特性の測定方法。
- 被測定膜が形成される水晶振動子と、
前記水晶振動子に所定の電圧を印加して共振させる手段と、
前記水晶振動子の共振周波数を測定する手段と、
前記水晶振動子のインピーダンス又はアドミタンスを測定する手段と、
測定した前記共振周波数及び前記インピーダンス又はアドミタンスを多層膜構造の電気的等価回路を用いて解析し、前記被測定膜の膜厚、密度又は剛性率を求める計算手段とを備えたことを特徴とする膜特性の解析装置。 - 前記水晶振動子の表裏面に2つの電極が形成され、一方の電極上に前記被測定膜が形成されることを特徴とする請求項9記載の膜特性の解析装置。
- 前記水晶振動子の表裏面から離間して2つの電極が配置され、一方の電極と前記水晶振動子との間に前記被測定膜が形成されることを特徴とする請求項9記載の膜特性の解析装置。
- 前記水晶振動子はATカット板からなることを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の膜特性の解析装置。
- インピーダンス又はアドミタンスを測定する手段は、前記水晶振動子の共振周波数を中心として半値全幅を含む前記インピーダンス又はアドミタンスを測定することを特徴とする請求項9〜12のいずれかに記載の膜特性の解析装置。
- 前記被測定膜を液中に浸した状態で前記共振周波数と前記インピーダンス又はアドミタンスを測定することを特徴とする請求項9〜13のいずれかに記載の膜特性の解析装置。
- 前記被測定膜として複数の層からなる膜を用いることを特徴とする請求項9〜14のいずれかに記載の膜特性の解析装置。
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