JP3598325B2 - 多目的水田水管理自動化システム - Google Patents

多目的水田水管理自動化システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水田の水位をプログラムコントロールによって管理する水田水位自動制御システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
水稲栽培の環境の厳しさ、農業人口の減少や水田管理者の老年齢化などから水田管理の自動化、即ち大巾な省力化効果を伴う高度な水管理システムの開発が要求されている。
【0003】
しかしながら、従来のシステムにあっては、水田水位のコントロールは完全に人の手でするか、簡単な自動化への概念が通用されたとしても、その管理目標値、即ち水位設定値はその時々に応じて人の手で与えられる定値制御のシステムであった。
【0004】
そこで本出願人は水田管理を遠隔地にある制御用コンピュータによって自動的に制御し、管理すると共に、そのコストパフォーマンスを上げるため、その水田水管理を通じてより良いお米、それもより沢山の収量が得られるが如き付帯効果をも生み出した水位管理の目標値を定量的に与えるパターンモデルを基本とするプログラムコントロール方式の水田水管理自動化システムの開発に取り組み、この面での大変な省力化を実現することに成功した。
【0005】
即ち、水田の水位コントロールを予め制御プログラムに組み込むパターンモデルに沿って水田水位を自動コントロールすることで高度な水田管理を行うことができ、しかもこのパターンモデルを所定の生育管理目標に基づいて決定し、異なる目標のパターンモデルを用意することで、例えば水田管理者の要望や品種,気候や土壌などの生育環境等の諸条件に応じた適切な水田管理を行うことができる画期的な多目的水田水管理自動化システムを提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
水田の給水若しくは排水を制御して水田の水位を自動コントロールする水田水位自動制御システムであって、前記水田の水位設定値を予めパターンモデルとして制御プログラムに組み込み、このパターンモデルは、高収量、良食味、高品質などの所定の生育管理目標をモデル決定の基礎とし、夫々生育管理目標の異なる複数のパターンモデルを用意し、この複数のパターンモデルとしては、少なくとも前記水位設定値を低くコントロールして収量の増大を前記生育管理目標として決定された高収量型パターンモデルと、水位設定値を高くコントロールして米の食味向上を前記生育管理目標として決定された良食味型パターンモデルと、出穂期以降の水管理に特別配慮を払う高品質型パターンモデルとが用意され、各パターンモデルは稲の生育段階時期や季節や日時などの作期区分に対応して夫々前記水位設定値を定めたパターンモデルとし、この複数のパターンモデルから選択したものを制御プログラムに組み込むか若しくは予め複数のパターンモデルを選択可能にして制御プログラムに組み込み、この制御プログラムによって水田の給水若しくは排水を制御して水田の水位を前記作期区分に対応して前記所定のパターンモデルに沿って自動コントロールすることを特徴とする多目的水田水管理自動化システムに係るものである。
【0007】
また、水田の給水口若しくは排水口に止水手段を開閉自在に設け、この止水手段を有線若しくは無線によって送信される制御信号によって開閉制御して水田の給水若しくは排水を制御し、前記制御信号を送信する前記制御プログラムを有する制御装置によって水田の水位を遠隔地より自動コントロールすることを特徴とする請求項1記載の多目的水田水管理自動化システムに係るものである。
【0008】
また、前記複数のパターンモデルの他に、水田管理者の自由な生育管理理論や経験則を基礎にパターンモデルを決定して前記制御プログラムに組み込みができ、前記作期区分及び前記水位設定値を自由に決定可能な弾力的なパターンモデルを備えたことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の多目的水田水管理自動化システムに係るものである。
【0009】
また、前記複数のパターンモデルとして、前記作期区分を生育期間通年にわたった区分とした通年パターン型の他に、少なくとも所定時期のみを区分とした期間パターン型若しくは日の時刻を区分とした日間パターン型を備え、異なる時間区分のパターンモデルを有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の多目的水田水管理自動化システムに係るものである。
【0010】
また、前記パターンモデルとして決定されている少なくとも前記水位設定値を気象情報によって修正変更自在としたことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の多目的水田水管理自動化システムに係るものである。
【0011】
また、前記複数のパターンモデルの他に、異常低温や冷害の発生、そして異常高温やフェーン現象など気象災害につながる要因を水田水位情報や気象情報より導き出し、この気象災害時の対処若しくはこの気象災害の予防を前記生育管理目標に替えてモデル決定の基礎として水位設定値を決定した防災制御用のパターンモデルを備えたことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の多目的水田水管理自動化システムに係るものである。
【0012】
また、前記気象情報に、外部から受ける気象予測のデータを組み込むことで災害対応策の迅速化や災害対応策の構成を向上させる予測防災制御併用の技術を備えたことを特徴とする請求項5,6のいずれか1項に記載の多目的水田水管理自動化システムに係るものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
好適と考える本発明の実施の形態(即ち、発明をどのように実施するか)を、簡単に説明する。
【0014】
例えば水田の水位設定値を低くコントロールすることで水稲の分茎を良好として収量を増大することを生育管理目標とし、例えば生育段階時期に対応して前記目標に基づき水位設定値を決定した高収量型パターンモデルと、水位設定値を高くコントロールすることで水稲の分茎をおさえ、米の食味を向上させることを生育管理目標とし、例えば生育段階時期に対応して前記目標に基づき水位設定値を決定した良食味型パターンモデルと、特に米粒の品質や傷害米の発生に敏感な出穂期以降の水管理に特別な配慮を払う高品質型パターンモデルや水田管理者の自由な生育管理理論や経験則に基づいて決定できる弾力的なパターンモデルを用意し、水田管理者の希望や米の品種、気候条件や土地条件などの諸条件に応じて所定のパターンモデルを選択し、例えばこのパターンモデルにおいて具体的に特定されていない数値や範囲設定しかされていない数値については数値決定する。
【0015】
このパターンモデルに沿って制御プログラムが稼働することで、パターンモデルとして決定されている所定の作期区分での水位設定値に水田の水位が自動コントロールされる。即ち、例えばこの制御プログラムに基づいて水田の給水口や排水口に設けた止水手段へ有線や無線を介して止水手段を開閉する制御信号が送信され、水田の給排水を自動コントロールし、水田の水位を所定の水位管理目標に沿うべくパターンモデルに沿って水位が制御管理されることとなる。
【0016】
【実施例】
本実施例は、水田の給水側及び排水側に、遠隔操作でも自動的にでも開閉のできる自動給水弁V1と自動排水弁V2を設け、その自動操作の手段を有線もしくは無線の方式によって送信される制御信号によって開閉制御して、前記プログラムコントロールの機能を実現する。
【0017】
以下、具体的に説明する。
【0018】
図1は水田水管理システムについて、ハード構成面からの概要を示している。
【0019】
先ず制御の対象となる水田の給水口には遠隔地からでも操作ができる自動給水弁V1を設け、排水口には同じく遠隔地から操作ができる自動排水弁V2を設けて、その排水側には水田水位を連続的に計測できる水位センサーL1を設けた構成としている。
【0020】
そして前記水位センサーL1からの情報を無線方式或いは有線方式から成るデータ通信装置を用いて、中央管理センターに置かれた制御用パソコンの中に取り込み、水位そのものの現状レベルを知ると共に、別途に設定された水田水位の管理目標値、即ち水位設定値に沿った形で水位の維持管理ができる自動制御が行われる構成としている。
【0021】
前記制御用パソコンの中には予め水田水位の管理目標値が時間を追って決められたプログラムパターンモデル(以下、パターンモデルと呼称)が設定されており、水田から時々刻々と送られて来る前記水位センサーL1出力と比べながら必要に応じて自動給水弁V1或いは自動排水弁V2等の自動制御弁を操作するための制御信号を出して、水田水位プログラムコントロールの動作が続けられて行くこととなる。
【0022】
図3に示した如く、具体的には、パターンモデルとして少なくとも、水位設定値を低めにコントロールして収量の増大を計るべく生育管理目標を定めた高収量型パターンモデルと、水位設定値を高めにコントロールして米の食味の向上をもたらすよう生育管理目標を定めた良食味型パターンモデルと、出穂期以降の水管理に特別配慮を払う高品質型パターンモデルが用意されており、各パターンモデルでは夫々、時の経過や稲の生育経過等に応じて決まる時間軸区分に対応してその目標水位値が定められるものとし、そうして定義されたパターンモデルに沿って制御プログラムが進行して水田水位を、前記作期区分をも加味した時間軸区分に対応して自動コントロールする構成としている。
【0023】
即ち、制御対象となる水田の水位設定値を予めパターンモデルとして制御プログラムの中に組み込んで置き、このパターンモデルに沿って水田の給水もしくは排水を制御してその水位を自動的にコントロールする本システムのこのパターンモデル決定の基礎に、高収量化や食味向上そして高品質化などの生産管理目標に応じた栽培篤農技術を置いている。
【0024】
言い換えれば、制御用パソコンの中に夫々、生産管理目標の異なる複数のパターンモデルを用意し、その中から選択されたパターンモデルを一つの制御管理目標値としてプログラム制御の動作を続けて行くことにより、省力化効果に加え、その時々の目標に応じた付帯効果を狙える自動制御運転が続けられる構成としている。
【0025】
更に具体的には、前記複数のパターンモデルとして少なくとも、水位設定値を低めにコントロールして収量の増大を計るべく生育管理目標を定めた高収量型パターンモデルと、水位設定値を高めにコントロールして米の食味の向上をもたらすよう生育管理目標を定めた良食味型パターンモデルと、出穂期以降の水管理に特別配慮を払う高品質型パターンモデルとがある。
【0026】
例えば水田水位の目標値を低めに設定し、それに基づいてコントロールすることで水稲の分茎を良好とし、収量の増大を可能とすることが予想されるが、その考え方を生育管理目標に取り入れて決められたものが高収量型パターンモデルと定義される。
【0027】
逆に水田水位を高めに設定しコントロールすることで水稲の分茎を抑えると水稲そのものの生育が充実したものとなって、整粒度や千粒重など米の品質条件を良くし安定させると共に、登熟度も増して食味の向上に結び付くものと予想され、この考えを取り入れたものが良食味型パターンモデルと定義されることとなる。
【0028】
更にもう一つ大事なことは、出穂期以降に行われる間断灌水プログラムとその運用法である。米の品質、とりわけ米粒の品質はその後の気象条件によって大きく左右されるものであり、異常低温による未熟米の発生や異常高温に基づく傷害米の発生などが品質低下をもたらす大きな要因となる。
【0029】
従って、予めパターンモデルとして設定されている基本方針は尊重されるものではあるが、そこにもう一段、その時々の気象情報の実態に照らした人為判断をも入れた高品質型パターンモデル作成の技術もここでは配慮されている。
【0030】
一方、そうした運転管理目標値は対象となる稲の品種によって異なることは勿論、地理的な条件や栽培管理者自身の判断によって定まる要素も多く、このシステムに或る程度の弾力性を持たせて置くことも望まれ、そこから水位設定面に人為判断や手動設定の余地を残して置く必要性が生まれて来るが、本システム機能にはそうした巾をも持たせた構成としている。
【0031】
前記各パターンモデルでは夫々、時の経過や稲の生育経過等に応じて決まる時間軸区分に対応してその目標水位値が定められるものとし、そうして定義されたパターンモデルに沿って制御プログラムが進行して水田水位を、前記作期区分をも加味した時間軸区分に対応して自動コントロールする構成としている。
【0032】
本実施例では、このパターンモデルに次のような構成を施すことで、水田水管理システムに弾力性を持たせている。
【0033】
即ち、前記複数のパターンモデルの他に、水田管理者の自由な生育管理理論や経験則を基礎にパターンモデルを決定して前記制御プログラムに組み込むこともでき、前記作期区分や水位目標値を自由な形で設定できるようにした弾力的なパターンモデル設定機能も併せ持った構成としている。
【0034】
また、前記パターンモデルとして決定されている水位設定値を気象情報に応じて修正変更し得る構成としている。
【0035】
また、前記複数のパターンモデルとして、前記作期区分を生育全期間に亘った形で定義する通年パターン型の他に、少なくとも所定時期のみを対象とした期間パターン型や一日内の時刻区分で定義する日間パターン型を備え、異なる時間軸区分によってプログラムコントロールすることも可能とした構成としている。
【0036】
また、前記複数のパターンモデルの他に、異常低温やフェーン現象など気象災害に繋がる要因を水田水位情報や気象情報より導き出し、予想される気象災害に対する予防や実際の処置法を前記生育管理目標に替えてモデル決定の基礎とした防災制御用パターンモデルを備えている。
【0037】
また、気象情報判断の根拠を、気象予測のデータにも拡大し、特に大きな管理目標の変更を要すると判断されるような予測情報が出て来た時には、いち早くその影響する所を察知し、機に応じて適宜、前記水位設定値を変更しながら対応できるよう構成している。
【0038】
図2には制御系に関する簡単なシステムフローを示している。
【0039】
管理目標の与え方については勿論同図の如く手動(即ち手設定)で与えることもできるが、実際には予め組み込まれているパターンモデルに基づく設定を行うこともでき、実用上は多くの場合このパターンモデルによる方法が取られるように構成されている。
【0040】
本実施例はこうした水田水位自動制御システムにあっての管理目標となる水田水位パターンモデルの作り方に係るものである。
【0041】
栽培管理者自身の試行やそれから得られる経験によって徐々に適正モデルへの一つの概念が固まり、得られた解の普遍性も高まって、一種の専門家システムの形をとりながらモデルパターンの、そして自動制御システムそのものの精度向上が計られて行く事になろう。そうした将来の精度向上に向けてシステムに巾を持たせた所にも、本発明の特徴がある。
【0042】
また、水稲栽培の場合、その時々の気象条件との深い関係も論を持たない。或る時には、日々の生育条件への影響を考えて微調整を要するという面もあるが、或る時には気象災害という形の大きな影響も出て来る所から、それを防ぐべき緊急処理が必要となる場面も避け得ない。そうした気象状況面への判断を入れた所にも、本発明の特徴がある。
【0043】
また、本実施例は、本出願人が既に取得済みの水田水位自動制御システム(特許第3122407号)を用いることで、本実施例の前記生育管理目標に沿った前記パターンモデルを確実に実施できると共に、突然の気象変化に伴う急激な水田水位の増減等にも対処することができる。
【0044】
以下、更に具体的に説明する。
【0045】
1.パターンモデル決定への基本概念
「パターンモデルの格納とその使い方の原則は」
図4にそれを示す。即ち先ずモデルそのものをパソコンメモリの中に登録、格納し、随時これを引き出して水位制御への判断基準として活用する。
【0046】
一方、対象圃場の実水位も定期的に取り込まれ、上記判断基準と対比しながら制御動作の要否を判断し、給水弁或いは排水弁の開閉に結び付けることとなる。
【0047】
「パターン形状決定への一つの判断基準」
図5にその一例を示す。図に見る如く、パターンモデルは横軸要素と縦軸要素の二つから成り立っている。
【0048】
先ず横軸要素は即ち時間軸の要素であり、農作業計画面や生育状況面などから決まる作期区分の要素を持っている。その区分判断には品種条件や地域要素などの入ってくるのは当然であるが、同時にそこには人による差、即ち人的要素が入ってくるのも当然と云えよう。
【0049】
一方縦軸要素とは勿論水田水位そのものであり、その時々にあって何cm位の水位を保つべきか、指示された値を云う。上図には、夫々の時期における水位設定値の一例と、それを決める上で考えるべき要素の幾つかを(1) (7)のコメントの中に示して置いた。
【0050】
この縦軸の値、即ちその時々での水田水位設定値を決める段階で、前記の如き、生育管理目標の選び方が大事な要素として登場するわけで、そこから種々な形のパターンモデルや期待される様々な付帯効果が議論に登って来ることとなる。
【0051】
尚、実際の圃場にあってはその均平度即ち、圃場面全体の高度分布や高低差の絶対値と云った物理条件も大きくものを云って来るので、この縦軸決定に当ってはそうした面も充分考慮に入れておかなければならなくなって来る。
【0052】
「本年度使われたパターンモデルの一事例」
このシステム開発を始めて5年目の今年(平成13年)、合計6,7haの実証圃場でこのパターンモデルを用いた本格的な全自動運転が始まった。
【0053】
そこに採用されたパターンモデルの一例を図6に示す。例1には浅水気味の高収量型の一例を、そして例2にはやや深水気味の高品質型の一例を示した。
【0054】
2.システム運用事例と実績データの中から
「水管理自動化システム開発の歴史には」
このパターンモデル活用の母体となる水田水管理自動化システムの開発は、既に五年の歴史を持っている。その要点を図7に示した。パターンモデルを用いた全自動プログラムコントロールへの概念は研究初期の段階から持っていたが、ハードを含めた諸条件が揃わず遅れて本年度(平成13年度)に至って漸く完成、実務効果も見え出したところである。
【0055】
「パターンモデルの活用法には」
(1) 制御機能活用への三つのモード
この自動制御システムの場合、実運転上選択出来る制御モードは次の三つから構成されている。
【0056】
遠隔手動モード:遠く離れた我が家、或いは制御基地から直接圃場の給排水弁を操作し、水位調節簡易化の実を上げるモード。
【0057】
半自動モード:一度手動で水位設定値(中央値並びに上下限値)を設定すると、次にそれが変えられるまでそれに基づく制御が続けられるモード。
【0058】
全自動モード:前記パターンモデルに沿った自動運転が続けられ、省力化効果と共に、狙った管理目標達成効果も期待できるモード。
【0059】
研究実績面では、特にハード系から見たシステム安定性の確保に手間取り、手動又は半自動を余儀なくされる面もあっが、今は全て解決を見、本年度(平成13年度)には年初から全自動モードに乗ったパターン制御運転が続けられている。
【0060】
(2) 昨年度までの実績の中での試み
そうした全自動パターンモデル制御運転の成果は本年度の実績に待つしかないが、昨年度までの研究経過の中には今回ここに出願した1〜8の請求項に関する全ての考察、そして試みが含まれている。請求項1〜3に関係する収量型と食味型の差については図6に示した如くであるが、例えば請求項4に示した栽培管理者自身のノウハウの入れ方や請求項6〜8に連なる気象情報との関連付けと云ったテーマについても主に半自動の形で水位設定値を操作することでそれへの対応ノウハウが蓄積されて来た。
【0061】
それらのノウハウや経験則は本年度の後半も含めた今後の運用継続に対し大きな力となって行く事になろう。
【0062】
「これまでの実績データの中から」
(1) パターン制御の効果が見られる収穫データの一例
図8に当社第1実験場たる栄町、茅原地区での比較データを示した。
【0063】
表aは、同じ圃場にあっての年度別比較(即ち、パターン制御有無の差)を示したものであり、表bには同じ年度にあっての圃場間比較(即ち、パターン制御のない近隣対象田との差)を示して見た。
【0064】
あくまで、まだその一例の域を出るものではないが、明確な差の見えたのも事実であり、今後への一つの判断基準となろう。
【0065】
(2) 本年度における複筆一括全自動パターン制御運転の実績より図9には、本年度年初から続けられている全自動運転の実績を連続グラフの形で示す。
【0066】
既に、中干し期を無事乗り切り、7月中頃からの間断潅水処理を経ながら、パターンに沿った運転が続けられている様子が知れよう。
【0067】
この地域にあっては、地元各位と共に、比較対象田も含めた全ての圃場で生育調査活動も続けられている。本年度末には、その収穫データ等ともからめて本格的な全自動パターン制御の効果確認が行われることになろう。
【0068】
【発明の効果】
本発明は上述のように構成した事から、大幅な省力化を実現すると共に、更に水田の水位管理に着目し、この水位コントロールを予め制御プログラムに組み込むパターンモデルに沿って自動コントロールすることで高度な水田管理を行え、しかもこのパターンモデルを所定の生育管理目標に基づいて決定し、異なる目標のパターンモデルを用意することで、例えば水田管理者の要望や、品種、気候や土壌などの生育環境等の諸条件に応じた適切な水田管理が行える画期的な多目的水田水管理自動化システムとなる。
【0069】
また、本発明においては、所定の生育管理目標に沿った適切な水田水位管理が行え秀れた多目的水田水管理自動化システムとなる。
【0070】
また、請求項2記載の発明においては、遠隔地で前記制御プログラムに基づいて高度な水田管理を所定の生育管理目標に沿うべく自動管理できることとなる極めて画期的な多目的水田水管理自動化システムとなる。
【0071】
また、請求項記載の発明においては、水田管理者の要望や独自の生育管理理論や経験則に対応できる一層秀れた多目的水田水管理自動化システムとなる。
【0072】
また、請求項記載の発明においては、自動管理したい時期や、所定の生育管理目標に沿うべく管理したい時期のみ自動管理することも可能となる一層秀れた多目的水田水管理自動化システムとなる。
【0073】
また、請求項記載の発明においては、気象情報に準じて対応可能となる一層秀れた多目的水田水管理自動化システムとなる。
【0074】
また、請求項記載の発明においては、異常低温やフェーン現象など気象災害につながる要因を水田水位情報や気象情報より導き出し、この気象災害時の対処若しくはこの気象災害の予防を行うことが可能となる極めて画期的な多目的水田水管理自動化システムとなる。
【0075】
また、請求項記載の発明においては、外部から受ける気象予測のデータを組み込むことで、災害対応策の迅速化や構成向上などを担った予測防災制御を実現できる極めて画期的な多目的水田水管理自動化システムとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例の水田水管理システムについてハード構成面からの概要を示した水田水管理システム構成図である。
【図2】本実施例の制御系に関するシステムフローを示した制御システム機能全体構成図である。
【図3】本実施例の水田水管理パターンモデルの適用区分を示す説明図である。
【図4】本実施例のパターンモデルの格納と使い方の原則を示す説明図である。
【図5】本実施例のパターン形状決定への一つの判断基準を示す説明図である。
【図6】本実施例の実証圃場区で実用化されたパターンモデルの一事例として高収量型のパターンモデルと高品質型のパターンモデルの夫々の一案示した説明図である。
【図7】本実施例の多目的水田水管理自動化システムの開発経過の要点を示す説明図である。
【図8】本実施例のパターンモデル運転の収穫データに与えた効果の一例を示す説明図である。
【図9】本実施例の複数一括全自動パターン制御運転実績の一例を示す説明図である。

Claims (7)

  1. 水田の給水若しくは排水を制御して水田の水位を自動コントロールする水田水位自動制御システムであって、前記水田の水位設定値を予めパターンモデルとして制御プログラムに組み込み、このパターンモデルは、高収量、良食味、高品質などの所定の生育管理目標をモデル決定の基礎とし、夫々生育管理目標の異なる複数のパターンモデルを用意し、この複数のパターンモデルとしては、少なくとも前記水位設定値を低くコントロールして収量の増大を前記生育管理目標として決定された高収量型パターンモデルと、水位設定値を高くコントロールして米の食味向上を前記生育管理目標として決定された良食味型パターンモデルと、出穂期以降の水管理に特別配慮を払う高品質型パターンモデルとが用意され、各パターンモデルは稲の生育段階時期や季節や日時などの作期区分に対応して夫々前記水位設定値を定めたパターンモデルとし、この複数のパターンモデルから選択したものを制御プログラムに組み込むか若しくは予め複数のパターンモデルを選択可能にして制御プログラムに組み込み、この制御プログラムによって水田の給水若しくは排水を制御して水田の水位を前記作期区分に対応して前記所定のパターンモデルに沿って自動コントロールすることを特徴とする多目的水田水管理自動化システム。
  2. 水田の給水口若しくは排水口に止水手段を開閉自在に設け、この止水手段を有線若しくは無線によって送信される制御信号によって開閉制御して水田の給水若しくは排水を制御し、前記制御信号を送信する前記制御プログラムを有する制御装置によって水田の水位を遠隔地より自動コントロールすることを特徴とする請求項1記載の多目的水田水管理自動化システム。
  3. 前記複数のパターンモデルの他に、水田管理者の自由な生育管理理論や経験則を基礎にパターンモデルを決定して前記制御プログラムに組み込みができ、前記作期区分及び前記水位設定値を自由に決定可能な弾力的なパターンモデルを備えたことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の多目的水田水管理自動化システム。
  4. 前記複数のパターンモデルとして、前記作期区分を生育期間通年にわたった区分とした通年パターン型の他に、少なくとも所定時期のみを区分とした期間パターン型若しくは日の時刻を区分とした日間パターン型を備え、異なる時間区分のパターンモデルを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の多目的水田水管理自動化システム。
  5. 前記パターンモデルとして決定されている少なくとも前記水位設定値を気象情報によって修正変更自在としたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の多目的水田水管理自動化システム。
  6. 前記複数のパターンモデルの他に、異常低温や冷害の発生、そして異常高温やフェーン現象など気象災害につながる要因を水田水位情報や気象情報より導き出し、この気象災害時の対処若しくはこの気象災害の予防を前記生育管理目標に替えてモデル決定の基礎として水位設定値を決定した防災制御用のパターンモデルを備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の多目的水田水管理自動化システム。
  7. 前記気象情報に、外部から受ける気象予測のデータを組み込むことで災害対応策の迅速化や災害対応策の構成を向上させる予測防災制御併用の技術を備えたことを特徴とする請求項5,6のいずれか1項に記載の多目的水田水管理自動化システム。
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