JP3597079B2 - インターナルポンプ - Google Patents

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    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

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  • Structures Of Non-Positive Displacement Pumps (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、原子炉圧力容器の底部に取り付けられ、原子炉冷却材を循環させるウェットモータ型のインターナルポンプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
沸騰水型原子力発電所では、原子炉内の炉心に冷却材を供給し、この冷却材が炉心において加熱され発生した蒸気をタービンに導き、発電機を駆動して発電を行う。近年、従来の沸騰水型原子炉をさらに改良したいわゆる改良型沸騰水型原子炉(以下適宜、ABWRという)が提唱されており、このABWRでは、原子炉内の冷却材を循環させるポンプとして原子炉圧力容器の底部に取り付けたインターナルポンプが採用されている。原子炉圧力容器内の冷却材は、圧力容器内の外周側を圧力容器側壁面に沿って下降し、圧力容器内の外周側底部近傍の周方向複数箇所(例えば10箇所)に設けられたインターナルポンプへ吸い込まれた後、加圧されて吐出され、圧力容器下部の下部プレナムから上昇して炉心へと循環される。
【0003】
インターナルポンプは、最上部に位置し回転駆動される羽根車(インペラ)と、この羽根車の下方に位置する固定案内羽根(ディフューザ)とを備えている。羽根車は、圧力容器の底面を貫通するように鉛直方向に立設された回転軸(シャフト)に固定されており、この回転軸が圧力容器外に設けられたウェットモータで駆動されることによって回転する。回転軸の下端には上部・下部スラスト軸受によって上下方向から回転自在に支持されたスラストディスクが配置されている。また回転軸は、ウェットモータの上方及び下方においてそれぞれ上部・下部ラジアル軸受によって径方向から回転自在に支持されている。
【0004】
上記構成において、原子炉冷却材は、上方から羽根車内に流入し、羽根車で加圧された後にディフューザへと導入され、圧力回復した後にディフューザ下方へと流出する。一方このとき、ウェットモータ内を冷却するモータ冷却水は、スラストディスクが回転することにより補助インペラから吐出された後、ウェットモータのモータケーシングの内部を上昇して回転子(モータロータ)及び固定子(モータステータ)を冷却し、さらに配管を介してモータ外に配置された熱交換器に導かれて冷却される。冷却された冷却水は、配管を介して再び補助インペラへと導入される。
【0005】
インターナルポンプは、原子力発電所の運転を左右する最も重要な設備の一つであるため、高い信頼性が要求される。また、一般に、モータ駆動電源の喪失等によるポンプ停止時においても、慣性力によってある程度の期間回転を維持し、原子炉冷却材流量の急激な減少を防止する設計が要求される。特に、近年の設備合理化の傾向に伴い、インターナルポンプの高慣性化のニーズが生じている。
【0006】
これに対応するために、例えば、特許第2714020号公報に記載のように、回転子(モータロータ)の上部の回転軸に、ポンプ回転体の慣性モーメントを増加させるためのフライホイールを設け、これによってモータ駆動電源喪失時の回転数低下速度を極力緩やかにする構成が提唱されている。この構成によれば、フライホイールから発生する熱量をウェットモータに与えることなく、回転系の固有振動数の低下を例えば10〜20%程度の低減に抑えることができ、さらにポンプ回転体自身の慣性モーメントを大幅に増加できる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術によるインターナルポンプでは、フライホイールを設けることによりインターナルポンプの高慣性化を図るものであったが、この場合、さらに以下のような改善可能な事項が存在する。
【0010】
)大流量運転時におけるポンプ安定性
前述したように、インターナルポンプは、圧力容器内の外周側底部近傍の周方向複数箇所(例えば10箇所)に設けられ、通常時はこの複数台の全てが運転さされる。
【0011】
ところで、一般に、インターナルポンプには、回転中において、主に羽根車に発生する上向きの流体スラスト力と、ポンプ回転体の自重による下向きスラスト力とが同時に作用している。羽根車の流体スラスト力は回転数の増加と共に大きくなるため、ポンプ停止状態から定格運転回転数に至る昇速過程において、前述の上下方向のスラスト力が釣り合う回転数領域が存在することになる。この上下方向のスラスト力が釣り合う領域では、特にポンプの振動特性が不安定となりやすい。そのため、インターナルポンプの設計では、通常、ポンプの定格運転回転数における上向きの流体スラスト力が自重による下向きのスラスト力よりも大きくなるように設計し、定格運転時にはポンプにある程度の上向きスラスト力が作用した状態とすることで、ポンプ振動特性の安定化を図っている。
【0012】
ここで、インターナルポンプにフライホイールを設けた場合、フライホイールのないインターナルポンプに比べ、フライホイール重量が付加される分、下向きスラスト力が増加する。そのため、定格運転時における前記の上向き流体スラスト力と下向き自重スラスト力の差は相対的に小さくなる。
【0013】
ここで、実際のプラント運転上、複数台のポンプのうち一部を停止させた部分台数運転状態での運転にも対応できるような設計が求められるのが通常であり、この場合、停止せず運転を継続するポンプでは、大流量運転状態となる。この大流量運転状態では、ポンプ全揚程が低下し前記の上向きの流体スラスト力が低下するため、前記の上・下スラスト力の差がさらに小さくなりやすい傾向となる。したがって、大流量運転時でのポンプ安定性の向上という点で、改善の余地がある。
【0014】
本発明の目的は、インターナルポンプへのフライホイール設置に伴う上記課題を解決でき、設備の信頼性向上に寄与できるインターナルポンプを提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
)上記目的を達成するために、本発明は、原子炉圧力容器の底面を貫通するように配設された回転軸と、前記原子炉圧力容器内で前記回転軸に固定された羽根車と、前記原子炉圧力容器外に設けられ前記回転軸を回転駆動するウェットモータ部と、このウェットモータ部の上下にそれぞれ設けられ前記羽根車を径方向に支持する上・下ラジアル軸受と、前記ウェットモータ部と前記上ラジアル軸受との間で前記回転軸に固定されたフライホイールとを備え、前記羽根車で原子炉冷却材を加圧し前記原子炉圧力容器内を循環させるインターナルポンプにおいて、前記フライホイール外周部に形成される隙間流路開放部に軸方向細隙部を設け、この軸方向細隙部に、該フライホイールの上下方向変位に応じて前記隙間流路への絞り度が変化する可変絞り機構を設ける。
【0021】
例えばフライホイールの下端部に、フライホイール外周部に形成される隙間流路の外周側壁面に臨むように略リング状部材を設けることにより、ポンプ回転体に作用する上方向スラスト力が小さくなりフライホイールが下方に変位したときには略リング状部材とフライホイールの下端部との隙間が小さくなり、ポンプ回転体に作用する上方向スラスト力が大きくなりフライホイールが上方に変位したときにはリ略リング状部材とフライホイールの下端部との隙間が大きくなるというように、フライホイールの上下方向変位に応じて隙間流路への絞り度を変化させる可変絞り機構を実現することができる。
【0022】
このような可変絞り機構を設けることにより、フライホイール設置によって上向きの流体スラスト力と下向きの自重によるスラスト力との差が小さくなり、定格運転時における上向きスラストが小さくなる傾向となっても、その変位に応じて上記のように絞りの程度を大きくしてフライホイール前後の差圧を大きくし、これによって上向きのスラスト力を付加させることができる。したがって、上記上向き・下向きスラスト力の差を適切に確保することができるので、ポンプの安定した運転を確保することができる。特に、大流量運転時において、ポンプ全揚程が低下して上向きの流体スラスト力が低下した場合であっても、この上向きスラスト力の低下分を補うことができるので、上向きのスラスト力の減少によるポンプ安定性の低下を防止することができる。
【0023】
)上記()において、好ましくは、前記可変絞り機構は、前記隙間流路の外周側壁面に、前記フライホイールの下端部に臨むように設けられた略リング状部材を備えている。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照し、説明する。まず、本発明の第1の参考例を図1〜図6により説明する。図1は、本参考例によるインターナルポンプの全体構造を表す縦断面図であり、図2(a)及び(b)は図1中のフライホイール(後述)の詳細構造を表す上面図及び縦断面図である。これら図1及び図2において、本参考例によるインターナルポンプは、水力部3と、水力部3を駆動するウェットモータ部4と、ウェットモータ部4を内包るモータケーシング2とからなり、原子炉圧力容器1の外壁側底部に複数台(例えば10台)配置される。
【0025】
水力部3は、ポンプシャフト5に取付けられ、原子炉圧力容器1の内部に配置された羽根車(インペラ)6と、同じく原子炉圧力容器1の内部に設置されるディフューザ7とにより構成されている。
【0026】
ウェットモータ部4は、ポンプシャフト5に嵌め込まれたモータシャフト8に取り付けられた回転子(モータロータ)10aと、モータハウジング9に取り付けられた固定子(モータステータ)10bとから構成されている。
【0027】
モータシャフト8の下端には、スラストディスク11aがボルト19により連結され、さらにスラストディスク11aの下部に逆転防止装置12が設けられている。なおこのスラストディスク11aには補助インペラ部11bが一体に形成されている。
【0028】
インペラ6、ポンプシャフト5、モータシャフト8、モータロータ10a、スラストディスク11a、及び補助インペラ部11bにより構成されるポンプ回転体は、モータ部4直上の上部ラジアル軸受13a、モータ部4直下の下部ラジアル軸受13b、上部スラスト軸受14a、及び下部スラスト軸受14bにより支持されている。このとき、上部・下部スラスト軸受14a,14bは、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を主成分とする樹脂材料で構成されており、スラストディスク11を軸方向に支持している。また上部・下部スラスト軸受14a,14bには、通常のこの種のポンプと同様、軸方向ギャップが設けられており、ポンプ回転体は、このギャップ分、軸方向に上下動可能となっている。
【0029】
また、このポンプ回転体の慣性モーメントを増加させ、モータ駆動電源断時の回転数低下速度を緩やかにすることを目的として、モータロータ10aの上部と上部ラジアル軸受13aとの間のモータシャフト8には、フライホイール20が設けられている。そしてこのフライホイール20には、モータ冷却水の通水孔として、複数個の穴20aがモータシャフト8と略平行に設けられている。
【0030】
フライホイール20は、図2に詳細に図示するように、円形の通水孔20aを円周上に等分配置している。またフライホイール20は、図1におけるモータロータ10aと上部ラジアル軸受13a間にて形成される配置スペースで効率的に慣性モーメントを大きくできるように、外周側上下に段付部20U,20Lが設けられている。そして、通水孔20aは、図2のように、これら段付部20U,20Lを貫通するように通水孔を設けている。これにより、通水孔20aの寸法を比較的大きくでき、また数を増やすことができることから通水面積を大きくできるようになっている。
【0031】
ポンプ運転時、モータ冷却水は、スラストディスク11aが回転することにより補助インペラ部11bから吐出され、モータケーシング2の内部を上昇し、ウエットモータ部4を冷却する。ウエットモータ部4を冷却した後、フライホイール20に設けた通水孔20aとフライホイール20の外周とモータハウジング9の内周により形成される隙間とを通り、モータ上部室15へと到達する。その後、モータ上部室15より配管16を通り、熱交換器17により冷却されたのち、配管18を介して、再び補助インペラ部11bに入る。
【0032】
次に、本参考例の作用を説明する。
【0033】
(1)スラスト軸受にPEEK材使用による耐熱性向上
ポンプシャフト5は、上部・下部スラスト軸受14a,14b及び上部・下部ラジアル軸受13a,13bによって回転自在に支持されており、これらの軸受はポンプ運転中ポンプシャフト5との摺動によって発熱する。またウェットモータ部4のモータロータ10aの巻線(図示せず)及びモータステータ10bの巻線10b1(図1参照)についても、同様に、ポンプシャフト5の駆動中には発熱する。これらの熱は、モータ冷却水によって冷却される。
【0034】
ここで、フライホイール20のないインターナルポンプにおいては、それら軸受や巻線は、通常、冷却水温度に対して例えば5℃程度の温度上昇になっていたため、それら軸受やモータ巻線の耐熱温度の観点で充分に余裕があった。しかし、フライホイール20を設けた場合、このフライホイール20、インペラ6、ポンプシャフト5、モータシャフト8、モータロータ10a、スラストディスク11a、及び補助インペラ部11bにより構成されるポンプ回転体の重量が増大するため、この重量を支持する下部スラスト軸受14bの発熱量が増大し、特に、地震による軸受荷重の増加や、何らかの異常によりモータ冷却水流量が減少する場合等、ポンプの特殊状態時を想定したときには、この軸受14a,14bの耐熱性の点で、フライホイール20の重量が制約される場合もありうる。
【0035】
参考例においては、上・下スラスト軸受14a,14bをポリエーテルエーテルケトンを含むいわゆるPEEK系の材料で構成することにより、軸受の十分な耐熱的な余裕を確保することができる。その理由は、以下のようである。すなわち、通常の沸騰水型原子炉用のインターナルポンプの吸込圧力の値はほぼ決まっており、例えば約71kg/cm である。この圧力の下では、水の沸点は約287℃となるため、軸受14a,14bまわりの水の温度は、理論上287℃を超えることはない。したがって、上記の多少のばらつきを考慮したとしても、軸受14a,14bの材料の融点が300℃以上あれば実使用上は十分な耐熱性能を確保できる。上記のポリエーテルエーテルケトンの融点は300℃以上であることから、上・下スラスト軸受14a,14bの十分な耐熱性能を確保することができる。特に、地震時やモータ冷却水流量減少時等のポンプ特殊状態時を想定した場合であっても、冷却性能低下につながる樹脂材料の気化を生じることのない設計が可能であり設備の信頼性向上に有効である。またこれによって、フライホイール20の重量の制限を大幅に緩和することが可能となる。なお、この軸受材料は、フライホイールのないインターナルポンプに使用しても信頼性がよりいっそう向上する効果が得られることは言うまでもない。
【0036】
なお、以上の説明でも明らかなように、上記のように上・下スラスト軸受14a,14bの両方をポリエーテルエーテルケトンを含むPEEK系の材料で構成せずに、荷重条件の厳しい軸受のみをその材料で構成しても良い。また、ポリエーテルエーテルケトンを含むPEEK系の材料に限られるものでもなく、従来と同等の摺動性能を有し融点が300℃以上ある樹脂材料であれば足りる。また、この作用を得る限りにおいては、上記のようにフライホイール20に通水孔20aを設ける場合に限られるものではない。
【0037】
(2)通水孔設置によるモータ冷却水流量確保
この作用を説明するための第1の比較例によるインターナルポンプを図3に、第2の比較例によるインターナルポンプを図4に示す。図3に示すインターナルポンプは、図1に示す本参考例のインターナルポンプからフライホイール20を取り去った構造である。また図4に示すインターナルポンプは、図1に示すインターナルポンプにおいて、フライホイール20の通水孔20aをなくした構造であり、ほぼ、特許第2714020号公報に記載のインターナルポンプに相当するものである。各比較例において、図1に示す本参考例と同一の部材には同一の符号を付している。
【0038】
参考例によるモータ冷却水の循環特性をそれら第1及び第2の比較例と比較して示した概念図を図5に示す。図5は、横軸にモータ冷却水の循環流量Q、縦軸に差圧Hをとって表したものであり、補助インペラ特性Sは、補助インペラ11bのポンプ定格運転時における補助インペラ入口(各図中点A)・出口(各図中点B)間における差圧特性を示しており、ケーシング内圧力損失特性R1〜R2は、補助インペラ出口(各図中点B)から出たモータ冷却水がモータケーシング2内を上方へ流れモータ上部室15から配管16へ流出した位置(各図中点C)までの圧力損失特性を示している。
【0039】
また、圧力損失特性R1〜R3のうち、R1は、フライホイール20を有しない第1の比較例(図3)によるインターナルポンプのポンプ定格運転時におけるポンプ定格運転時における圧力損失特性を示しており、R2は、同様に通水孔20aのないフライホイール20を備えた第2の比較例(図4)によるインターナルポンプの圧力損失特性を示しており、R3が本参考例によるインターナルポンプの圧力損失特性を示している。補助インペラ特性Sは、第1の比較例、第2の比較例、及び本参考例ともに同一構造であることから共通となる。
【0040】
図5において、第1の比較例のインターナルポンプにおけるポンプ定格運転時の運転点は、補助インペラ特性Sと圧力損失特性R1との交点P1となる。したがって、ポンプ定格運転時におけるモータ冷却水循環流量は、図5中の流量Q1となる。
【0041】
ここで、モータ駆動電源断時の回転数低下速度を緩やかにすることを目的として、慣性モーメントを増加するために第2の比較例のようにモータロータ10a上部と上部ラジアル軸受13aの間にフライホイール20を単純に追加設置した場合、上記圧力損失特性R1に比べてモータ冷却水循環経路の圧力損失が増加してR2の特性となるため、ポンプ定格運転時における運転点は交点P2となり、モータ冷却水循環流量は流量Q2に減少してしまうことになる。
【0042】
これに対し、本参考例においては、フライホイール20に通水孔20aを設置してモータ冷却水の循環流路を確保することにより、上記圧力損失特性R2に比べてモータ冷却水循環経路の圧力損失を低減したR3の特性となり、ポンプ定格運転時における運転点は交点P3となり、モータ冷却水循環流量は流量Q2よりは増加させQ3とすることができる。すなわち、モータ冷却水循環流量の減少を抑制して循環流量を確保しつつ、ポンプ回転体の慣性モーメントを増加してモータ駆動電源断時の回転数低下速度を緩やかにすることができる。
【0043】
(3)通水孔の軸並行配置による動力低減作用
上記(2)の作用に関連し、従来、特許第2569137号に開示のように、スラストディスクに補助インペラの機能を持たせるとともにフライホイールに通水孔を設けることにより、モータ冷却水の循環流量を向上させる構造が提唱されている。しかし、この従来構造では、フライホイールの通水孔がテーパ状に形成され、これによって冷却水に対し推力を与えるようになっている。すなわち、フライホイールがモータ冷却水に対しポンプの機能を果たすこととなるため、その動力が新たに必要となり、その分、モータの容量増加による設備大型化を招く。
【0044】
これに対し、本参考例のインターナルポンプでは、フライホイール20の通水孔をモータシャフト8と平行に設けることにより、少なくともフライホイールがモータ冷却水に対し推力を作用させることはない。したがって、モータの容量増加による設備大型化を防止できる。上記従来構造でも本参考例でもモータ冷却水の循環は主として補助インペラによって生起されており、本参考例では、当該通水孔20aの大きさや設置個数を適宜調整することで、必要なモータ冷却水の流量を確保することができる。
【0045】
なお、フライホイール20の通水孔20aは、製作性の観点から図2に示すように同一寸法の円形孔を円周上に等分配置するのが好ましいが、必ずしもそれに限られるものではなく、モータ冷却水の流動状況に対応して数種類の寸法のものを設置したり、不均等に配置したりしてもよい。また、同一寸法の通水孔を等分配置する場合であっても、図2の配置に限られるものではなく、例えば図6(a)及び図6(b)に示すように、フライホイール20の内周側に段付部20U,20Lを避けて通水孔20aを設けてもよい。この場合、通水孔を設けることによる慣性モーメントの低下を抑制できるという効果もある。
【0046】
本発明の第2の参考例を図7〜図10により説明する。本参考例は、フライホイールに設けた通水孔に絞り機構を設けたものである。第1の参考例と同等の部材には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0047】
参考例の要部であるフライホイール20周辺構造の詳細縦断面図を図7に示す。この図7に示すように、本参考例では、フライホイール20の通水孔20aの下端に絞り機構20bを設けたものである。なお、絞り機構20bの位置は、フライホイール20の下端、又は上端が加工性、作業性の点で有利であるが、減圧効果の観点では上記による必然性はなく、フライホイール20の中間部でもよいことは言うまでもない。その他の構造は第1の参考例と同様である。
【0048】
参考例においては、上記第1の参考例と同様の効果に加え、以下のような効果を奏する。
【0049】
図8は、インターナルポンプに生じるスラスト力の定性的挙動を表すものであり、縦軸に発生するスラスト力(上下方向のスラスト力が釣り合う時を基準値0とし、上向きスラスト力をプラス、下向きスラスト力をマイナスとして表示)、横軸にポンプ回転数Nをとって表している。
一般に、インターナルポンプには、回転中においては、主に羽根車(インペラ)に発生する上向きの流体スラスト力と、ポンプ回転体の自重による下向きスラスト力とが同時に作用している。羽根車の流体スラスト力は回転数Nの増加と共に大きくなるため、図8に示すように、ポンプ停止状態から定格運転回転数N0に至る昇速過程において、前述の上下方向のスラスト力が釣り合う回転数Neが存在することになる。この回転数Neでは、特にポンプの振動特性が不安定となりやすい。そのため、インターナルポンプの設計では、通常、回転数Neはそのポンプの定格運転回転数N0から離れるようにする。すなわち、図8中の特性線アは、フライホイールを設けない従来構造のインターナルポンプの特性を示しており、上下スラスト力が釣り合う回転数Ne1が、ポンプの定格回転数N0よりも小さくなるように設計されている。
【0050】
ここで、インターナルポンプにフライホイールを設けた場合を想定すると、フライホイールのないインターナルポンプに比べ、フライホイール設置重量が付加される分、下向きスラスト力が増加することとなる。そのため、図8中の特性線イのような特性となり、上記した上下方向スラスト力の釣り合う回転数がNe2となってポンプ定格回転数N0に近づく傾向となり、定格運転時におけるポンプの安定性が低下することとなる。
【0051】
但し、フライホイールに通水孔を設けない場合は、フライホイール前後の差圧に基づく上向きスラスト力の発生が期待できるため、図8中の特性線イ′に示すように上記の傾向は多少緩和されている。しかしながら、前述した特許第2569137号のインターナルポンプのようにフライホイールに通水孔を設ける場合、フライホイールを通過する際の圧力損失が非常に小さくなってこの上向きのスラストが期待できないため、上記した特性線イに近い特性となり、ポンプの安定性を確保するのが困難となる。そこで、本参考例においては、フライホイール20の通水孔20aに絞り機構20bを設けることにより、通水孔20aの設置効果による冷却水の循環流量の確保と同時に、フライホイール20前後に差圧を生じさせて上向きのスラスト力を得ることができ、図8中の特性線ウに示すように特性を変化させ、上下方向スラスト力の釣り合う回転数を例えばNe1側のN3に戻してポンプ定格回転数N0から確実に遠ざけ、定格運転時におけるポンプの安定性を確保することができる。
【0052】
そしてまた、ポンプの各種寸法や仕様態様等に応じ、フライホイール20に生じる上下スラスト力のバランスを適宜調整することが可能となる。例えば、モータ冷却水の循環流量を必要最小限に抑える絞りに設定することで、フライホイールによる上向きスラスト力の効果を最大限に活かすことができ、逆に、フライホイールによる上向きスラスト力の効果を必要最小限に抑えることにより、冷却水の循環流量を最大限に確保することも可能となる。すなわち、モータ冷却水の循環流量、上下方向のスラスト特性、定格運転時の上向きスラスト力の発生挙動等の観点から、インターナルポンプのスラスト特性を運転状態に応じて最適なバランスに調整することが可能である。さらに、絞り機構20bは、一度通水孔20aに形成した後にも、事後のさらなる設計変更(流路拡大・縮小)を容易に行えるといというメリットもある。
【0053】
以上説明したように、本参考例によれば、第1の参考例と同様の効果に加え、上下方向スラスト力の釣り合う回転数領域とポンプ定格回転数とを確実に遠ざけ、ポンプの安定性を確保できるという効果がある。
【0054】
なお、図8を用いて上述したように上下方向スラスト力の釣り合う回転数Neとポンプ定格回転数N0とを遠ざけるための他の方策として、スラストディスク11aに差圧を発生させるためのシール装置を設け、上下スラスト力の調整を行うことも考えられなくもない。すなわち例えば、スラストディスク11a外周の補助インペラ部11b出口孔より上部の通水路にシールリングを設け、このシールリングを用いて減圧を行えば、スラストディスク11aに上向きスラスト力を発生させることが可能である。しかしながらこの場合、補助インペラ部11bの全吐出量に対してウェットモータ部4側に循環する冷却水流量の比率が低くなり、その結果、モータ冷却水の循環流量の減少を招くという課題を生じる。これに対し、上記第2の参考例の構成によれば、このような課題を生じることもなく、モータ冷却水循環流量を確保しつつ、ポンプの安定性を確保できる。
【0055】
なお、上記第2の参考例においては、通水孔20aに対して絞り機構20bを直接形成したが、これに限られず、例えば図9に示すように、フライホイール20に設けられた通水孔20aにネジ部を設け、絞り機構20bのみを取り外せる構造にしてもよい。この場合、絞り寸法をさらに容易に調整できるという効果がある。
【0056】
本発明の第3の参考例を図10により説明する。本参考例は、絞り機構に加え減圧機構を設けた場合のものである。第1及び第2の参考例と同等の部材には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0057】
参考例の要部であるフライホイール20周辺構造の詳細縦断面図を図10に示す。この図10に示すように、本実施形態では、図7に示す第2の実施形態のインターナルポンプにおいて、フライホイール20の外周側とモータハウジング9の内周側で形成される環状隙間流路22に減圧機構21を設けたものである。減圧機構21は、モータハウジング9内周に取り付けられ、その減圧機構21の内周とフライホイール20の外周との間で形成される隙間23は、フライホイール20の外周とモータハウジング9の内周側で形成される環状隙間流路22よりも狭い構造となっている。なお、この減圧機構21の設置位置は、フライホイール20の上端側、下端側、及び中間部のどこでもよい。但し、上部ラジアル軸受13aに近いフライホイール20の上端側の方が、運転時の回転体のたわみが小さく、モータハウジング9の内周側で形成される隙間を小さく設定でき、高い減圧効果を得ることができる。また、組立作業性も有利となる。
【0058】
その他の構造は、第2の参考例とほぼ同様である。
【0059】
参考例によれば、第2の参考例と同様の効果に加え、減圧機構21の減圧効果によってフライホイール20の前後差圧を大きくでき、より効果的に上向きスラスト力が得られるという効果がある。
【0060】
なお、上記した出願時請求項に記載の発明には含まれないが、上記第3の参考例による減圧機構21を、例えば特許第2569137号公報に記載の従来構造に組み合わせることも可能であり、この場合も、フライホイールに生じる上向きスラストの拡大効果が得られる。すなわち例えば、図11のように、テーパ状の通水孔20aを設けたフライホイール20に減圧機構21を設けることにより、フライホイール20に生じるスラスト力を調整することも可能である。
【0061】
次に、本発明の第の実施形態を図12〜図15により説明する。本実施形態は、フライホイールの下端部に臨むように可変絞り機構を設けた実施形態である。第1〜第3の参考例と同等の部材には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0062】
図12は、本実施形態によるインターナルポンプの全体構造を表す縦断面図であり、図13は、本実施形態の要部であるフライホイール20周辺構造の詳細縦断面図である。
【0063】
これら図12及び図13において、本実施形態が第1の参考例と異なる点は、フライホイール20の通水孔20aが省略されたことと、フライホイール20外周部に形成される環状隙間流路22の下端部に、フライホイール20の上下方向変位に応じて環状隙間流路22への絞り度が変化する可変絞り機構24を設けたことである。
【0064】
可変絞り機構24は、図13中の拡大部分に示すように、隙間流路22の外周側壁面を構成するモータハウジング9の内壁面9aに、フライホイール20の下端部20cに臨むように設けられた略リング状部材25を備えている。この略リング状部材25は、モータハウジング内壁面9aに設けられた段付き部9a1上に下面が接するように載置された後、前記の段付き部9a1よりさらに上部に形成された凹溝部9a2に、略C形状の公知の止め具26を差し込むことにより固定される。
【0065】
このとき、この止め具26は、自身の弾性力により径方向外側に突っ張る力を付勢可能となっており、あらかじめ径方向内側に外力を加えて径方向寸法を縮ませた後凹溝部9a2に挿入されることで、凹溝部9a2内に強固に固定されるようになっている。なお、略リング状部材25についてはこのような固定方法に限られず、例えば溶接等により直接モータハウジング内壁面9aに固定しても良いことはいうまでもない。また完全なリング状でなくても、周方向少なくとも1箇所が部分的に欠落していても、全体として略リング状であれば後述の作用と同等の作用を得ることはできることはいうまでもない。
【0066】
可変絞り機構24は、上記のような構成により、ポンプ回転体に作用する上方向スラスト力が小さくなってフライホイール20が下方に変位したときには略リング状部材25とフライホイール下端部20cとの隙間t(図13中拡大部参照)が小さくなり(すなわち絞りの程度が大きくなり)、ポンプ回転体に作用する上方向スラスト力が大きくなってフライホイール20が上方に変位したときには略リング状部材25とフライホイール下端部20cとの隙間tが大きくなる(すなわち絞りの程度が小さくなる)ようになっている。なおこのとき、フライホイール下端部20cと略リング状部材25とが接触することのないように、ポンプ回転体がポンプ構造上最も下がった位置になったとしても、隙間tは所定の最小隙間寸法tminが確保されるようになっている。
【0067】
その他の構造は、第1の参考例とほぼ同様である。
【0068】
本実施形態においては、ポンプ運転時、モータ冷却水は、ウエットモータ部4を冷却した後、フライホイール20の外周面とモータハウジング内周面9aとの間に形成された環状隙間流路22を通って、モータ上部室15へと到達する。
【0069】
このような冷却水流れにおいて、本実施形態においては、可変絞り機構24を設けたことにより、フライホイール20設置によって上向きの流体スラスト力と下向きの自重によるスラスト力との差が小さくなりポンプ回転体(すなわちインペラ6、ポンプシャフト5、モータシャフト8、フライホイール20、モータロータ10a、スラストディスク11a、及び補助インペラ部11b)が下方へ変位する傾向となっても、その変位に基づき上記のように絞りの程度を大きくしてフライホイール20前後の差圧を大きくし、これによって上向きのスラスト力を発生させることができる。したがって、上記上向き・下向きスラスト力の差を十分に確保することができるので、ポンプ安定性を十分に確保することができる。
【0070】
特に、上記の安定化効果は、いわゆる大流量運転時において有効に作用する。このことを図14及び図15により説明する。
【0071】
図14は、本実施形態における原子炉冷却水(炉水)の循環特性を、通常運転時と大流量運転時とで比較して示した概念図であり、横軸に原子炉冷却水の循環流量Qo、縦軸にポンプ全揚程Hoをとって表したものであり、インペラ特性Soは、インペラ6のポンプ定格回転数時におけるインペラ入口〜ディフューザ出口間における全揚程特性を示しており、炉内流路圧力損失特性Ro1〜Ro2は、インペラ6の出口から出た原子炉冷却水が原子炉圧力容器1内を上方へ流れた後に再度インペラ6の入口から流入する位置までの圧力損失特性を示している。
【0072】
また、圧力損失特性Ro1及びRo2のうち、Ro1は、本実施形態のインターナルポンプから可変絞り機構24を削除した比較例(すなわち単にフライホイール20のみを設けた場合)のポンプ定格運転時における圧力損失特性の一例を示しており、Ro2が本実施形態によるインターナルポンプの圧力損失特性の一例を示している。インペラ特性Roは、上記比較例及び本実施形態ともに同一構造であることから共通となる。
【0073】
図14において、比較例のインターナルポンプにおけるポンプ定格運転時の運転点は、インペラ特性Soと圧力損失特性Ro1との交点Po1となる。したがって、ポンプ定格運転時における原子炉冷却水循環流量は図14中の流量Qo1となり、このときのポンプ全揚程Hoは、図14中のHo1となる。
【0074】
ここで、実際のプラント運転上、複数台(この実施形態では10台)のインターナルポンプのうち一部を停止させた状態での運転(部分台数運転)にも対応できるような設計が求められるのが通常であり、この場合、停止せず運転を継続する各インターナルポンプでは、流量Qoが増加しポンプ全揚程Hoが低下する。すなわち、図14において上記圧力損失特性Ro1に比べて炉内流路の圧力損失が減少して例えばRo2の特性となり、これに応じてポンプ運転点は交点Po2となり、原子炉冷却水循環流量は流量Qo2に増大する。そしてこのときの全揚程はHo2に減少する。
【0075】
大流量運転時には、このようなポンプ全揚程の低下によって上向きの流体スラスト力が低下し、定格運転時の上向きスラストが小さくなる。上向きの流体スラスト力が大流量運転により小さくなるとポンプ回転体(すなわちインペラ6、ポンプシャフト5、モータシャフト8、フライホイール20、モータロータ10a、スラストディスク11a、及び補助インペラ部11b)が下方へと変位する。しかしながら、上記した可変絞り機構24がその下方への変位に基づき絞りの程度を大きくしてフライホイール20前後の差圧を大きくし、これによって上向きのスラスト力を発生させ、大流量運転による上向きスラスト力の低下分を補うように作用し、上下方向のスラスト力の適正化が図られる。このことを具体的に図15を用いて説明する。
【0076】
図15は、インターナルポンプに生じるスラスト力の定性的挙動を表すものであり、第2の参考例における図8と同様の特性を表す図である。図8と同様に、縦軸に発生するスラスト力、横軸にポンプ回転数Nをとって表している。前述したように、インターナルポンプでは、羽根車の流体スラスト力は回転数Nの増加と共に大きくなり、図15に示すように、ポンプ停止状態から定格運転回転数N0に至る昇速過程において上下方向のスラスト力が釣り合う回転数Neでは、特にポンプの振動特性が不安定となりやすい。そのため、インターナルポンプの設計では、通常、回転数Neはそのポンプの定格運転回転数N0から大きく離れるようにし、言い換えれば、ポンプ定格運転回転数N0での上方向スラスト力Fがなるべく0よりも大きな値となるようにする。
【0077】
図15において、図8と同様、図中の特性線エは、本実施形態のインターナルポンプから可変絞り機構24を削除した上記比較例(すなわち単にフライホイール20のみを設けた場合)の通常運転状態における特性を示しており、上下方向のスラスト力が釣り合う回転数Ne4は定格運転回転数N0から離れ、定格回転数N0における上方向スラスト力F1は比較的大きな値を維持しており、ポンプの安定性は良好となっている。
【0078】
しかしながら、大流量運転状態においては、前述のように全揚程が低下する分、上向きスラスト力が減少するため、図15中の特性線オのような特性となり、上記した上下方向スラスト力の釣り合う回転数がNe5となってポンプ定格回転数N0に近づく傾向となるとともに、定格回転数N0における上方向スラスト力が0に近づいた比較的小さな値F2となり、ポンプの安定性が低下することとなる。
【0079】
そこで、本実施形態においては、可変絞り機構24を設けることにより、フライホイール20の下方変位に応じて上記のように上向きのスラスト力を得ることができ、例えば図15中の特性線カに一例を示すように特性を変化させ、上下方向のスラスト力が釣り合う回転数Ne6を定格運転回転数N0から離す方向に変え、定格回転数N0における上方向スラスト力を比較的大きな値F3に戻し、ポンプの安定性を向上することができる。
【0080】
そしてまた、このときの可変絞り機構24による絞りの程度は、前述した第2の参考例の絞り機構20bと同様に、ポンプの各種寸法や仕様態様等に応じ、フライホイール20に生じる上下スラスト力のバランスを適宜調整することが可能であり、原子炉冷却水の循環流量、上下方向のスラスト特性、定格運転時の上向きスラスト力の発生挙動等の観点から、インターナルポンプのスラスト特性を運転状態に応じて最適なバランスに調整することが可能であり、これによって特性線カは、特性線エと特性線オとの間で最適化できる。
【0081】
なお、上記実施形態においては、フライホイール20外周部に形成される環状隙間流路22の下端部に可変絞り機構24を設けたが、これに限られず、環状隙間流路22の上端部に設けてもよい。要は、隙間流路開放部に軸方向細隙部を設け、この軸方向細隙部に、フライホイールの上下方向変位に応じて隙間流路への絞り度が変化する可変絞り機構を設ければ足りる。
【0083】
【発明の効果】
発明によれば、フライホイール外周部に形成される隙間流路の下端部に、フライホイールの上下方向変位に応じて隙間流路への絞り度が変化する可変絞り機構を設けるので、ポンプ大流量運転時であっても、ポンプの安定性を十分に確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の参考例によるインターナルポンプの全体構造を表す縦断面図である。
【図2】図1中のフライホイール(後述)の詳細構造を表す上面図及び縦断面図である。
【図3】第1の比較例によるインターナルポンプの全体構造を表す縦断面図である。
【図4】第2の比較例によるインターナルポンプの全体構造を表す縦断面図である。
【図5】図1に示したインターナルポンプにおけるモータ冷却水の循環特性を第1及び第2の比較例と比較して示した概念図である。
【図6】フライホイールに関する変形例を示す図である。
【図7】本発明の第2の参考例によるインターナルポンプの要部であるフライホイール周辺構造の詳細縦断面図である。
【図8】図7に示したインターナルポンプに生じるスラスト力の定性的挙動を表す図である。
【図9】フライホイールに関する変形例を示す図である。
【図10】本発明の第3の参考例によるインターナルポンプの要部であるフライホイール周辺構造の詳細縦断面図である。
【図11】従来構造に図10に示した構造を組み合わせた例を示す図である。
【図12】本発明の第1の実施形態によるインターナルポンプの全体構造を表す縦断面図である。
【図13】図12の要部であるフライホイール周辺構造の詳細縦断面図である。
【図14】
図12に示すインターナルポンプにおける原子炉冷却水(炉水)の循環特性を、通常運転時と大流量運転時とで比較して示した概念図である。
【図15】
図12に示したインターナルポンプに生じるスラスト力の定性的挙動を表す図である。
【符号の説明】
1 原子炉圧力容器
4 ウエットモータ部
5 ポンプシャフト(回転軸)
6 インペラ(羽根車)
8 モ−タシャフト
9 モータハウジング
9a モータハウジング内壁面(隙間流路の外周側壁面)
11a スラストディスク
13a 上部ラジアル軸受
13b 下部ラジアル軸受
14a 上部スラスト軸受(上スラスト軸受)
14b 下部スラスト軸受(下スラスト軸受)
20 フライホイール
20a 通水孔
20c フライホイール下端部
22 隙間流路
24 可変絞り機構
25 略リング状部材

Claims (3)

  1. 原子炉圧力容器の底面を貫通するように配設された回転軸と、前記原子炉圧力容器内で前記回転軸に固定された羽根車と、前記原子炉圧力容器外に設けられ前記回転軸を回転駆動するウェットモータ部と、このウェットモータ部の上下にそれぞれ設けられ前記羽根車を径方向に支持する上・下ラジアル軸受と、前記ウェットモータ部と前記上ラジアル軸受との間で前記回転軸に固定されたフライホイールとを備え、前記羽根車で原子炉冷却材を加圧し前記原子炉圧力容器内を循環させるインターナルポンプにおいて、
    前記フライホイール外周部に形成される隙間流路開放部に軸方向細隙部を設け、この軸方向細隙部に、該フライホイールの上下方向変位に応じて前記隙間流路への絞り度が変化する可変絞り機構を設けたことを特徴とするインターナルポンプ。
  2. 請求項記載のインターナルポンプにおいて、前記可変絞り機構は、前記隙間流路の外周側壁面に、前記フライホイールの端部に臨むように設けられた略リング状部材を備えていることを特徴とするインターナルポンプ。
  3. 請求項記載のインターナルポンプにおいて、ポンプ部分運転状態において下方向のスラストを調整可能な構造としたことを特徴とするインターナルポンプ。
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