JP3595905B2 - 水底の覆砂装置及び覆砂工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、湖や海などの水底に堆積した汚泥を砂等の土砂により被覆するための水底の覆砂装置及び覆砂工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から湖や海などの水質及び水界生態系を良好に保つための方法として、浚渫工法や覆砂工法がある。
浚渫工法は、水底に堆積した表層の汚泥(底泥c)を除去することによって、下層の良質土を表出させる工法である。
表層の汚泥は、溶出量、特に栄養塩溶出量が高く、DO(溶存酸素)消費量が高いため、水質悪化の原因となる。また、生物の棲息環境には好ましくない。
このため浚渫工法は、その原因となる汚泥を取り除くことによって、水質及び水界生態系を良好に保つ方法である。
一方、覆砂工法は、水底に堆積した汚泥を砂等で被覆することにより、浚渫工法と同様の効果を得るものである。
覆砂工法としては、水上又は水面付近の水中から砂質土を散布し、底泥c上面を覆砂bする方法などが従来からおこなわれている。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】
前記した従来の水底の覆砂工法及び浚渫工法にあっては、次のような問題点がある。
<イ>底泥上に覆砂材を散布するときに、覆砂材の密度が底泥より大きいため、覆砂材が底泥層に潜り込んだり、底泥上面が乱流になり、底泥が舞い上がり水域に濁りを生じたり、覆砂層の上に舞い上がった底泥が沈降し覆砂層の上に底泥層が形成される等の問題がある。
<ロ>水上からの施工であるため覆砂厚は不均一になり、不均一な覆砂により底泥がすべり破壊を起こしやすく、施工管理が難しい。また、所定の層厚を確保するためには大量の砂を投入する必要がある。
<ハ>従来の覆砂方法では、覆砂材を散布する場合に水域が乱流になり、濁りの拡散が生じたり、底泥と覆砂材が混合したり、覆砂材が底泥中に潜り込む等により、十分な覆砂層を形成できない場合がある。
<ニ>浚渫工法では、浚渫された土の処理場や捨場の確保が困難な場合が多い。即ち、浚渫された汚泥は、汚泥を改良するにも、処理場及び捨場を確保するにも費用がかかる上に、環境にも負荷がかかる。また、底泥に生息する生物種を根こそぎ除去する懸念もある。
【0004】
【本発明の目的】
本発明は上記したような従来の問題を解決するためになされたもので、底泥を乱すことなく覆砂層を形成できる水底の覆砂装置及び覆砂工法を提供することを目的とする。
また、経済的かつ効果的に実施できる水底の覆砂装置及び覆砂工法を提供することを目的とする。特に、必要最低限の厚さの覆砂を均一に形成できる水底の覆砂装置及び覆砂工法を提供することを目的とする。
さらに、水域の水質及び水界生態系を良好に保つことが可能な水底の覆砂装置及び覆砂工法を提供することを目的とする。
本発明は、これらの目的の少なくとも一つを達成するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記のような目的を達成するために、本発明の水底の覆砂装置は、水底を土砂で覆うための水底の覆砂装置であって、底蓋を有するガイド管と、前記ガイド管の内部に装填する土砂供給管と、からなり、前記土砂供給管の先端から前記底蓋に向けて排出した土砂を前記ガイド管に沿って上昇させて該ガイド管の上部から土砂を排出させることを特徴とするものである。ここで、土砂とは、砂、土又は砂と土が混合したものをいうが、砂又は砂質土を適用するのが好ましい。
【0006】
また、上記した水底の覆砂装置において、前記底蓋が遠隔操作によって開閉できるように構成するのが好ましい。
また、上方に広がる向きの截頭錐体状、かつ前記ガイド管の上端との間に隙間を確保した状態で配置される誘導具を配備することもできる。
【0007】
さらに、上記した水底の覆砂装置を水底付近まで沈降させ、前記土砂供給管の先端から前記底蓋に向けて土砂を排出し、前記ガイド管と前記土砂供給管の隙間を上昇して該ガイド管の上端から噴き上がる土砂によって水底を覆う方法が実施できる。ここで、前記土砂供給管の先端から前記底蓋に向けて土砂を排出するとともに、前記覆砂装置を左右に動かしながら土砂供給装置を積載した作業船を推進させてもよい。
【0008】
すなわち、本発明の水底の覆砂工法は、水底付近において、底泥より密度が小さく、かつ底泥上部の水より密度が大きい土砂を含有する疑似液体を、密度流として底泥表面に沿って層流で配置し、前記疑似液体から土砂を分離して沈降させることを特徴とする方法である。
【0009】
【本発明の実施の形態】
以下図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0010】
<イ>覆砂装置
覆砂装置1は、水底を覆砂するための装置であり、底蓋22を有する中空のガイド管2と土砂供給管3からなる。
土砂供給管3はガイド管2の内部の略中央に装填する。
土砂供給管3の先端と底蓋22の間には所定の間隔を設ける。
【0011】
<ロ>土砂供給管
土砂供給管3は、土砂及び水や空気などの流体を先端から排出する管材である。
ここで、土砂とは、砂、土又は砂と土が混合したものをいうが、砂又は砂質土を適用するのが好ましい。
土砂供給管3には、土砂と水や空気などの流体を混合して供給するのが好ましい。
【0012】
また、土砂供給管3を多重構造とし、複数の経路を設けることもできる。例えば、土砂供給管を二重管にした場合は、内管と外管の2つの経路ができる。そこで、管径の小さい内管に水を通して先端の噴射口から水を噴射させ、内管と外管の間を通過して底蓋22付近に排出された土砂等を効果的に噴き上がらせる構造とすることができる。
【0013】
さらに、土砂供給管3を複数の分岐管31に分岐することもできる(図2参照)。分岐した分岐管31の先端には、それぞれ覆砂装置1を設けることができる。
このように複数の覆砂装置1を配置することで、一度に広い範囲の覆砂をおこなうことができる。また、所定の厚さの覆砂層を形成するための施工時間を短縮することもできる。
【0014】
<ハ>ガイド管
ガイド管2は、底蓋22を有する中空の管材である。
底蓋22は、遠隔操作によって開閉できる構造とするのが好ましい。底蓋22を開閉自在にすることで、作業終了時や作業途中に、ガイド管2の底に堆積した土砂を排出することができる。なお、底蓋22が開閉しないように一体に成形することもできる。
ガイド管2の直径や長さは、土砂供給管3の外周面と、ガイド管2の内周面との間を土砂等が上昇するような組み合わせとする。例えば、ガイド管2の直径を20〜25cm、ガイド管内の上昇流の速度を20〜40cm/s程度に設定する。
【0015】
また、ガイド管2は、棒材などを介して土砂供給管3に取り付ける。棒材は、砂の上昇に対して支障とならないように可能な限り断面積が小さいものとし、必要最低限の本数だけ配置するのが好ましい。
ガイド管2を土砂供給管3に取り付けることで、土砂排出時にガイド管2がずれたり外れたりするのを防止できる。
【0016】
<ニ>誘導具
誘導具4は、上方に広がる向きの截頭錐体状に形成する。錐体の形状は円錐が好ましいが、多角錐であってもよい。また、錐体の上端に環状の鍔部41を設けることもできる。
誘導具4は、ガイド管2の上端21との間に隙間を確保した状態で配置する。例えば、土砂供給管3の所定の位置に誘導具4を直接、取り付ける。また、棒材等を介してガイド管2の上端21に取り付けることもできる。
誘導具4を配置することにより、ガイド管2と土砂供給管3の隙間を上昇してガイド管2の上端から噴出した砂等を、効果的にガイド管2の外側に配置させることができる。
即ち、ガイド管2に沿って上昇した砂等は、誘導具4に衝突して向きを変えるため、ガイド管2の外側に覆砂51が溜まるようになる(図1参照)。
【0017】
<ホ>原理
土砂と水や空気などの流体を混合して製造した疑似液体からなる密度流をガイド管2から上向きに噴き出し、重力により流向を下向きにさせる。この場合、必要に応じて誘導具4を使用して流向を下向きにさせる。
そして、底泥6の表面で密度流を同心円的に拡散させ、疑似液体から覆砂材を分離・沈降させ、底泥6の表面を覆砂するものである。
この時、疑似液体の密度を底泥6より小さく、上部の水等より大きくし、底泥6の表面を流れる密度流を整流に保つことが好ましい。
このように層流で覆砂する方法であれば、底泥6を乱すことがない。また、薄く均一に覆砂することもできる。
【0018】
なお、本発明の覆砂工法を実施するには、疑似液体からなる密度流をガイド管から上向きに噴き出し、重力により流向を下向きにさせることができるものであればよく、上記した覆砂装置1に限定されない。例えば、ガイド管を水底の砂質土地盤まで挿入し、ガイド管の内部に装填したジェット管によって砂質土地盤を流動化させ、ガイド管とジェット管の隙間を上昇する流動化した砂質土をガイド管の上端から噴出させる方法も採用できる。
【0019】
以下図面を参照しながら本発明の水底の覆砂工法について説明する。
【0020】
<イ>作業船の配置
土砂供給装置31を積載した作業船7を使用する。
土砂供給装置31は、覆砂に使用する土砂を供給するための装置である。例えば土砂タンクなどがこれに該当する。供給する土砂は、別の場所から運搬してきても、同じ水域の水底から採取してもよい。
土砂供給装置31に土砂供給管3の一端を接続し、他端に覆砂装置1を取り付ける。
【0021】
<ロ>覆砂装置の沈降及び覆砂作業
覆砂装置1を底泥6の堆積する水底付近に到るまで沈降させる。
覆砂装置1と水底の距離は、効果的に覆砂が行える範囲で任意に設定することができる。
その後に、土砂供給管3の先端から土砂を排出させる。
排出された土砂は、流動化して土砂供給管3とガイド管2の隙間を通り、ガイド管2の上端21から噴き上がり覆砂51となって底泥6の上部を覆う。
土砂の排出は、所定の厚さの覆砂51が形成されるまでおこなう。
作業船7を停泊させて上記した覆砂作業をおこない、完了後に移動する方法をとると、例えば図3(B)の平面図に示すような覆砂51が形成される。
なお、生態系を考慮しながら平面的に色々な形状に覆砂することもできる。例えば、施工前から水底生物の生息域になっている場所は覆砂を行わない方法や、点々とした島のように所々覆砂を行う方法などがある。
【0022】
<ハ>その他の覆砂工法(図3(A)参照)
作業船7を一定の速度で推進させながら覆砂を行うこともできる。
この場合、土砂供給管3を左右に振ることによって覆砂装置1を左右に移動させる。すなわち、覆砂装置1の軌跡は蛇行することになる。
このように作業船7を推進させながら覆砂をおこなうことで、所定の幅で効率的に覆砂51を行うことができる。
また、帯状に連続した密度流を形成することができる。
【0023】
【本発明の効果】
本発明の水底の覆砂装置及び覆砂工法は以上説明したようになるから次のような効果を得ることができる。
<イ>底泥を乱すことなく覆砂層を形成する。このため、水質が悪化することがほとんどない。また、確実に覆砂層を形成することができる。
<ロ>薄く、均一に覆砂することが可能である。
<ハ>底泥上に確実に覆砂するため、汚泥の溶存酸素消費量や窒素、リンなどの栄養塩の溶出量が抑制され、湖水の富栄養化が弱まる。
<ニ>水底の表層は、砂又は砂質土からなる覆砂の層である。このため、水底の環境が砂質土系の良好な状態となることから、淡水植物や底性生物の生育場として改善される。
<ホ>水底の汚泥を除去する必要がない。このため、浚渫土などの処理土が発生せず、処理場、捨場及び経済的な問題を解決できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の覆砂装置及び覆砂工法の実施例の説明図。
【図2】複数の覆砂装置を備えた実施例の説明図。
【図3】(A)作業船を推進させながら実施する水底の覆砂工法実施例の説明図。(B)作業船を停泊させて実施する水底の覆砂工法実施例の説明図。
【図4】従来の水底の覆砂工法の実施例の説明図。
【符号の説明】
1・・・覆砂装置
2・・・ガイド管
22・・底蓋
3・・・土砂供給管
4・・・誘導具
51・・覆砂
6・・・底泥
Claims (6)
- 水底を土砂で覆うための水底の覆砂装置であって、
底蓋を有するガイド管と、
前記ガイド管の内部に装填する土砂供給管と、からなり、
前記土砂供給管の先端から前記底蓋に向けて排出した土砂を前記ガイド管に沿って上昇させて該ガイド管の上部から土砂を排出させることを特徴とする、
水底の覆砂装置。 - 請求項1記載の水底の覆砂装置において、
前記底蓋が遠隔操作によって開閉できることを特徴とする、
水底の覆砂装置。 - 請求項1又は2記載の水底の覆砂装置において、
上方に広がる向きの截頭錐体状、かつ前記ガイド管の上端との間に隙間を確保した状態で配置される誘導具を備えたことを特徴とする、
水底の覆砂装置。 - 請求項1乃至3のいずれかに記載の水底の覆砂装置を水底付近まで沈降させ、
前記土砂供給管の先端から前記底蓋に向けて土砂を排出し、
前記ガイド管と前記土砂供給管の隙間を上昇して該ガイド管の上端から噴き上がる土砂によって水底を覆うことを特徴とする、
水底の覆砂工法。 - 請求項1乃至3のいずれかに記載の水底の覆砂装置を水底付近まで沈降させ、
前記土砂供給管の先端から前記底蓋に向けて土砂を排出するとともに、
前記覆砂装置を左右に動かしながら土砂供給装置を積載した作業船を推進させる、
水底の覆砂工法。 - 水底付近において、底泥より密度が小さく、かつ底泥上部の水より密度が大きい土砂を含有する疑似液体を、密度流として底泥表面に沿って層流で配置し、
前記疑似液体から土砂を分離して沈降させることを特徴とする、
水底の覆砂工法。
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JP2002057269A JP3595905B2 (ja) | 2002-03-04 | 2002-03-04 | 水底の覆砂装置及び覆砂工法 |
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CN106869129A (zh) * | 2017-04-19 | 2017-06-20 | 郭坤 | 一种泥浆置换沉井的施工方法 |
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