JP3591384B2 - 開放型磁気共鳴イメージング装置用マグネットの磁場測定治具 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、磁気共鳴イメージング装置用マグネット(以下、「MRIマグネット」と呼ぶ)の磁場測定に用いる磁場測定治具に関するもので、さらに詳しくは開放型MRIマグネットに好適な磁場測定治具に関する。
【0002】
【従来の技術】
MRIマグネットでは、その中心部(直径30ないし40cmの球形領域内で以下「計測領域」と呼ぶ)で磁場強度0.5〜2テスラ、均一度1〜10ppmを必要とする。この磁場の計測は高精度を要求されるため、核磁気共鳴法による絶対値測定が行われる。核磁気共鳴法は静磁場下の原子核にこの静磁場と直交する方向に高周波磁場をかけると、高周波磁場のある角周波数ωで原子核が共鳴する現象を利用するものである。
磁場の計測は計測用プローブを計測領域境界面に沿う任意の位置に位置決めする必要がある。そのため計測用プローブを所定の姿勢に保持しながら任意の位置に位置決めする磁場測定治具が不可欠である。横置ソレノイド型マグネットに用いる磁場測定治具として、外装式のものが特開昭61−44375号公報に、内装式のものが特開昭63−225179号公報にそれぞれ記載されている。
【0003】
MRIマグネットの患者に対する圧迫感を緩和するために上下にマグネットを配置した図4に示すような開放型のMRIマグネットが開発されている。
2つのコイル100、200の間の500で示す球状の空間がイメージングのための計測領域である。開放型MRIマグネットでは横置ソレノイド型マグネットのようにマグネットをその軸方向に貫く円筒状空間が存在しないため、上述した外装式磁場測定治具もしくはそれに類似した構成のものを用いている。
【0004】
図5は、特開昭61−44375号公報に記載の外装式磁場測定治具に関する正面図および側面図である。この外装式磁場測定治具は、直角座標型ロボットの移動機構と同様の機構400によってアーム先端に搭載した計測用プローブ300を直交座標軸XYZの各方向に独立して移動できるようになっており、所望の位置に計測用プローブを位置決めできるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の磁場測定治具は以上のような構成であるため、磁場測定の位置が直交座標系で指定される場合は位置決めが容易であるが、球面座標で与えられる場合は座標変換が必要になり、操作性に劣るという問題点があった。また、計測用プローブの位置決め精度が、磁場測定治具の基台に対するアーム先端の剛性や、磁場測定治具の据付精度および据付基盤の剛性にも依存するため、位置決め精度を確保するために操作性がさらに劣化するという問題があった。
【0006】
この発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、とくに開放型MRIマグネットに適用して好適であり、磁場測定位置の設定が容易で、設定精度が高く、また磁場測定位置近傍での測定治具による磁場の乱れの影響を受けることのない磁場測定治具の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明による磁場測定治具は、取付基準位置を示すノッチをその周囲に備えた基板と、振れ止め板と、該基板および振れ止め板を連結する支柱と、基板および振れ止めを開放型MRIマグネットの空間部に固定する寸法調整・固定手段とを備えた治具基台と、基板および振れ止め板に設けた回転案内面が回転支持する2つの面板と、2つの面板を連結する案内軸とを備えたプローブ回転台と、案内軸上を移動しかつ任意の位置で固定できるように取付けたプローブ昇降台と、磁場強度計測用プローブを取付けプローブ昇降台に設けた案内溝上を移動しかつ任意の位置に固定できるように取付けたプローブ取付台とにより構成した。
また、磁場計測点における磁場強度計測プローブの感応部と磁場測定治具を構成する各部材と間に30mm以上の間隔を確保するように構成した。
さらにまた、治具基台とプローブ回転台との間の回転角度を示す目盛板と、プローブ回転台とプローブ昇降台との相対位置を示す目盛板と、プローブ昇降台とプローブ取付台との相対位置を示す目盛板とを備えた。
【0008】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、この発明の実施形態を図を用いて説明する。図1はこの発明による磁場測定治具の正面図、図2は図1のA−A切断面を示す断面図で、磁場測定治具を開放型MRIマグネット(以下、単に「マグネット」と呼ぶ)に固定した状態を示し、100および200は下部および上部のコイル、300は感応部をPで示す測定用プローブである。(以下、マグネットに固定し計測領域の中心を原点とする直交座標軸をXYZで示し、磁場方向をZ軸として説明する。)
【0009】
1は治具基台で、基板10、振れ止め板11および3つの支柱12とを備え、基板10、振れ止め11のそれぞれ3隅に設けたネジ穴と螺合する6つのジャッキネジ2により計測領域がその中央部に形成されるようマグネットの所定位置に固定している。基板10の上面中央部にはZ軸を中心とする円筒案内面10a とXY平面と平行で後述するプローブ回転台の推力受け面となる底面10b を備える凹部を、振れ止め板11の中央にはZ軸を中心とする円筒案内面11a を備えた円孔をそれぞれ設けてある。3は治具基台1の中央に嵌合せたプローブ回転台で、円筒案内面10a および底面10b が回転支持する第1の面板30と、円筒案内面11a が回転支持する第2の面板31と、Z軸と平行でかつZ軸を挟んで対称な位置に面板30および31との間を連結して互いを固着する2本の案内軸32と、この案内軸32上をZ軸方向に移動しかつ任意の位置で固定できるように取付けたプローブ昇降台40と、プローブ昇降台40に設けた案内溝40a 上を摺動しプローブ回転台3の回転中心をとおりZ軸と直交する方向に移動しかつ任意の位置に固定できるように取付けたプローブ取付台41を備えている。
【0010】
治具基台1の基板10外周には、X軸およびY軸と交わる4箇所にノッチ10c を設けている。また円筒案内面10a および底面10b からなる凹部の上方には第1の面板30をZ軸方向に位置決めするとともにプローブ回転台3の回転角を示すθ目盛を刻んだ押え板12を設け基板10に固着している。押え板13はZ軸を中心とする円周上に複数のピン孔13a を等間隔で備えている。第1の面板30にはプローブ回転台3の所定間隔の回転角度ごとにピン孔12a と一致する位置にピン孔30a が穿ってあり、2つのピン孔12a および30a の位置が一致した回転位置で両者に位置決めピン21を挿入しプローブ回転台3の回転を固定できるようになっている。
【0011】
面板30および31の間とプローブ昇降台33上には、感応部PのZ軸方向位置およびZ軸からの距離を示すZスケール33およびRスケール42を備えている。Zスケール33は感応部Pが計測領域の中央に位置する点を0点に、Rスケール42は感応部PがZ軸上に位置する点を0点にしている。なお、後述する理由から磁場計測点における感応部Pと磁場測定治具を構成する各部材と間には常に50mm以上の間隔を確保するように構成している。各部材のうち、支柱12および案内軸32についてはアルミニウム展伸材を用い、他はすべてナイロン系材料で構成した。
以上の説明では、3つの支柱12、6つのジャッキネジ2、2本の案内軸32を備えた磁場測定治具としたが、各個数は例示であって、例えば4つの支柱、8つのジャッキネジ、4本の案内軸で構成することもできる。また、ジャッキネジについては寸法調整と固定を兼ねた他の手段、例えば楔やカム機構を応用したもので代用してもよい。
【0012】
核磁気共鳴法による磁場の絶対値測定において磁場測定用プローブ感応部の近傍に物体が存在する場合の測定誤差を実測し、接近限度を評価した。先に説明したとおり、この測定法は静磁場下の原子核にこの静磁場と直交する方向の高周波磁場をかけると、ある角周波数ωで原子核が共鳴する現象を利用するもので、高周波磁場の角周波数ωと磁場強度の関係は次式のとおりである。
ω=γB
ここに、γは磁気回転比、Bは磁場強度(テスラ)
原子核に陽子を用いた場合、磁場強度が1テスラのとき共鳴周波数は約42MHzである。高周波磁場の角周波数ωは10−8〜10−10 の精度で計測可能であるから、1テスラの磁場強度を1ppm以下の精度で計測するためには感応部Pに物体が接近して生じる共鳴周波数のずれを42Hz以下、望ましくは10Hz程度以下とする必要がある。
【0013】
図3は、磁場強度を1テスラとして磁場測定用プローブの感応部に黄銅、テフロンおよびアルミニウムを接近させた場合の共鳴周波数のずれを計測した結果をまとめた図である。この図から、マグネットの磁場強度測定では計測点での感応部Pと磁場測定治具(非磁性材であれば金属でもよい。例えば、アルミニウムや黄銅などの金属やナイロン系材料などが好適である)の各部材を30mm以上離して配置すれば磁場強度を精度1ppm以下で計測できることがわかる。
【0014】
この発明による磁場測定治具のマグネットへの設置方法と磁場強度測定の手順の概略を説明する。
マグネットの構造から決まる計測領域の中心点を基準としてコイル100の上面に直交する2本の基準線を引き、基板10外周に設けた4箇所のノッチ10c の位置がこの基準線と一致するよう磁場測定治具を設置する。
プローブ昇降台40をZスケール33が0点を指すところまで移動して固定し、Rスケール42が0点にあるとき感応部Pが計測領域の中心になるようにジャッキネジ2を調整して下部コイル100および上部コイル200の中間部に治具基台1を固定する。
【0015】
計測点のZ軸位置にZスケール33を一致させ、その計測点における計測領域境界点の半径をRスケール42に一致させ、プローブ回転台3を所定角度ずつ回転させながら磁場強度を測定する。以下、計測点のZ軸位置を変化させて繰り返す。
【0016】
以上の説明で明らかなようにこの発明による磁場測定治具は一体化しており、マグネットには基準線を設定する以外に磁場強度測定のため特別な加工や付属物の設置を必要としない。また、その取付・取外しがジャッキネジ2の調整とこれをゆるめることによって完了できる。
さらに、磁場測定治具はマグネットの空間内で完結するため磁場測定治具を含めた測定エリアが少なくてすむという従来のものにはない優れた効果がある。
【0017】
【発明の効果】
この発明によれば、磁場測定治具を開放型MRIマグネットの空間部に固定する治具基台と、この治具基台の中で回転するプローブ回転台と、プローブ回転台上を移動しかつ任意の位置で固定できるように取付けたプローブ昇降台と、磁場強度計測用プローブを取付けプローブ昇降台に設けた案内溝上を移動しかつ任意の位置に固定できるように取付けたプローブ取付台とにより構成したので、磁場測定治具は一体化しており、マグネットには基準線を設定する以外に磁場強度測定のため特別な加工や付属物の設置を必要としない。また、その取付・取外しが容易である。
【0018】
また、磁場計測点における磁場強度計測プローブの感応部と磁場測定治具を構成する各部材と間に30mm以上の間隔を確保するように構成したので磁場強度が精度高く計測できる。
【0019】
さらにまた、治具基台とプローブ回転台との間の回転角度を示す目盛板と、プローブ回転台とプローブ昇降台との相対位置を示す目盛板と、プローブ昇降台とプローブ取付台との相対位置を示す目盛板とを備えたので、磁場測定位置の設定が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による磁場測定治具の正面図である。
【図2】図1のこ矢視A−Aを示す断面図である。
【図3】核磁気共鳴法による磁場測定用プローブに物体を接近させたときの共鳴周波数のずれを示すグラフである。
【図4】開放型超電導マグネットの斜視図である。
【図5】従来の磁場測定治具の正面図および側面図である。
【符号の説明】
1‥治具基台 3‥プローブ回転台 40‥プローブ昇降台
41‥プローブ取付台 300‥計測用プローブ
【発明の属する技術分野】
この発明は、磁気共鳴イメージング装置用マグネット(以下、「MRIマグネット」と呼ぶ)の磁場測定に用いる磁場測定治具に関するもので、さらに詳しくは開放型MRIマグネットに好適な磁場測定治具に関する。
【0002】
【従来の技術】
MRIマグネットでは、その中心部(直径30ないし40cmの球形領域内で以下「計測領域」と呼ぶ)で磁場強度0.5〜2テスラ、均一度1〜10ppmを必要とする。この磁場の計測は高精度を要求されるため、核磁気共鳴法による絶対値測定が行われる。核磁気共鳴法は静磁場下の原子核にこの静磁場と直交する方向に高周波磁場をかけると、高周波磁場のある角周波数ωで原子核が共鳴する現象を利用するものである。
磁場の計測は計測用プローブを計測領域境界面に沿う任意の位置に位置決めする必要がある。そのため計測用プローブを所定の姿勢に保持しながら任意の位置に位置決めする磁場測定治具が不可欠である。横置ソレノイド型マグネットに用いる磁場測定治具として、外装式のものが特開昭61−44375号公報に、内装式のものが特開昭63−225179号公報にそれぞれ記載されている。
【0003】
MRIマグネットの患者に対する圧迫感を緩和するために上下にマグネットを配置した図4に示すような開放型のMRIマグネットが開発されている。
2つのコイル100、200の間の500で示す球状の空間がイメージングのための計測領域である。開放型MRIマグネットでは横置ソレノイド型マグネットのようにマグネットをその軸方向に貫く円筒状空間が存在しないため、上述した外装式磁場測定治具もしくはそれに類似した構成のものを用いている。
【0004】
図5は、特開昭61−44375号公報に記載の外装式磁場測定治具に関する正面図および側面図である。この外装式磁場測定治具は、直角座標型ロボットの移動機構と同様の機構400によってアーム先端に搭載した計測用プローブ300を直交座標軸XYZの各方向に独立して移動できるようになっており、所望の位置に計測用プローブを位置決めできるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の磁場測定治具は以上のような構成であるため、磁場測定の位置が直交座標系で指定される場合は位置決めが容易であるが、球面座標で与えられる場合は座標変換が必要になり、操作性に劣るという問題点があった。また、計測用プローブの位置決め精度が、磁場測定治具の基台に対するアーム先端の剛性や、磁場測定治具の据付精度および据付基盤の剛性にも依存するため、位置決め精度を確保するために操作性がさらに劣化するという問題があった。
【0006】
この発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、とくに開放型MRIマグネットに適用して好適であり、磁場測定位置の設定が容易で、設定精度が高く、また磁場測定位置近傍での測定治具による磁場の乱れの影響を受けることのない磁場測定治具の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明による磁場測定治具は、取付基準位置を示すノッチをその周囲に備えた基板と、振れ止め板と、該基板および振れ止め板を連結する支柱と、基板および振れ止めを開放型MRIマグネットの空間部に固定する寸法調整・固定手段とを備えた治具基台と、基板および振れ止め板に設けた回転案内面が回転支持する2つの面板と、2つの面板を連結する案内軸とを備えたプローブ回転台と、案内軸上を移動しかつ任意の位置で固定できるように取付けたプローブ昇降台と、磁場強度計測用プローブを取付けプローブ昇降台に設けた案内溝上を移動しかつ任意の位置に固定できるように取付けたプローブ取付台とにより構成した。
また、磁場計測点における磁場強度計測プローブの感応部と磁場測定治具を構成する各部材と間に30mm以上の間隔を確保するように構成した。
さらにまた、治具基台とプローブ回転台との間の回転角度を示す目盛板と、プローブ回転台とプローブ昇降台との相対位置を示す目盛板と、プローブ昇降台とプローブ取付台との相対位置を示す目盛板とを備えた。
【0008】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、この発明の実施形態を図を用いて説明する。図1はこの発明による磁場測定治具の正面図、図2は図1のA−A切断面を示す断面図で、磁場測定治具を開放型MRIマグネット(以下、単に「マグネット」と呼ぶ)に固定した状態を示し、100および200は下部および上部のコイル、300は感応部をPで示す測定用プローブである。(以下、マグネットに固定し計測領域の中心を原点とする直交座標軸をXYZで示し、磁場方向をZ軸として説明する。)
【0009】
1は治具基台で、基板10、振れ止め板11および3つの支柱12とを備え、基板10、振れ止め11のそれぞれ3隅に設けたネジ穴と螺合する6つのジャッキネジ2により計測領域がその中央部に形成されるようマグネットの所定位置に固定している。基板10の上面中央部にはZ軸を中心とする円筒案内面10a とXY平面と平行で後述するプローブ回転台の推力受け面となる底面10b を備える凹部を、振れ止め板11の中央にはZ軸を中心とする円筒案内面11a を備えた円孔をそれぞれ設けてある。3は治具基台1の中央に嵌合せたプローブ回転台で、円筒案内面10a および底面10b が回転支持する第1の面板30と、円筒案内面11a が回転支持する第2の面板31と、Z軸と平行でかつZ軸を挟んで対称な位置に面板30および31との間を連結して互いを固着する2本の案内軸32と、この案内軸32上をZ軸方向に移動しかつ任意の位置で固定できるように取付けたプローブ昇降台40と、プローブ昇降台40に設けた案内溝40a 上を摺動しプローブ回転台3の回転中心をとおりZ軸と直交する方向に移動しかつ任意の位置に固定できるように取付けたプローブ取付台41を備えている。
【0010】
治具基台1の基板10外周には、X軸およびY軸と交わる4箇所にノッチ10c を設けている。また円筒案内面10a および底面10b からなる凹部の上方には第1の面板30をZ軸方向に位置決めするとともにプローブ回転台3の回転角を示すθ目盛を刻んだ押え板12を設け基板10に固着している。押え板13はZ軸を中心とする円周上に複数のピン孔13a を等間隔で備えている。第1の面板30にはプローブ回転台3の所定間隔の回転角度ごとにピン孔12a と一致する位置にピン孔30a が穿ってあり、2つのピン孔12a および30a の位置が一致した回転位置で両者に位置決めピン21を挿入しプローブ回転台3の回転を固定できるようになっている。
【0011】
面板30および31の間とプローブ昇降台33上には、感応部PのZ軸方向位置およびZ軸からの距離を示すZスケール33およびRスケール42を備えている。Zスケール33は感応部Pが計測領域の中央に位置する点を0点に、Rスケール42は感応部PがZ軸上に位置する点を0点にしている。なお、後述する理由から磁場計測点における感応部Pと磁場測定治具を構成する各部材と間には常に50mm以上の間隔を確保するように構成している。各部材のうち、支柱12および案内軸32についてはアルミニウム展伸材を用い、他はすべてナイロン系材料で構成した。
以上の説明では、3つの支柱12、6つのジャッキネジ2、2本の案内軸32を備えた磁場測定治具としたが、各個数は例示であって、例えば4つの支柱、8つのジャッキネジ、4本の案内軸で構成することもできる。また、ジャッキネジについては寸法調整と固定を兼ねた他の手段、例えば楔やカム機構を応用したもので代用してもよい。
【0012】
核磁気共鳴法による磁場の絶対値測定において磁場測定用プローブ感応部の近傍に物体が存在する場合の測定誤差を実測し、接近限度を評価した。先に説明したとおり、この測定法は静磁場下の原子核にこの静磁場と直交する方向の高周波磁場をかけると、ある角周波数ωで原子核が共鳴する現象を利用するもので、高周波磁場の角周波数ωと磁場強度の関係は次式のとおりである。
ω=γB
ここに、γは磁気回転比、Bは磁場強度(テスラ)
原子核に陽子を用いた場合、磁場強度が1テスラのとき共鳴周波数は約42MHzである。高周波磁場の角周波数ωは10−8〜10−10 の精度で計測可能であるから、1テスラの磁場強度を1ppm以下の精度で計測するためには感応部Pに物体が接近して生じる共鳴周波数のずれを42Hz以下、望ましくは10Hz程度以下とする必要がある。
【0013】
図3は、磁場強度を1テスラとして磁場測定用プローブの感応部に黄銅、テフロンおよびアルミニウムを接近させた場合の共鳴周波数のずれを計測した結果をまとめた図である。この図から、マグネットの磁場強度測定では計測点での感応部Pと磁場測定治具(非磁性材であれば金属でもよい。例えば、アルミニウムや黄銅などの金属やナイロン系材料などが好適である)の各部材を30mm以上離して配置すれば磁場強度を精度1ppm以下で計測できることがわかる。
【0014】
この発明による磁場測定治具のマグネットへの設置方法と磁場強度測定の手順の概略を説明する。
マグネットの構造から決まる計測領域の中心点を基準としてコイル100の上面に直交する2本の基準線を引き、基板10外周に設けた4箇所のノッチ10c の位置がこの基準線と一致するよう磁場測定治具を設置する。
プローブ昇降台40をZスケール33が0点を指すところまで移動して固定し、Rスケール42が0点にあるとき感応部Pが計測領域の中心になるようにジャッキネジ2を調整して下部コイル100および上部コイル200の中間部に治具基台1を固定する。
【0015】
計測点のZ軸位置にZスケール33を一致させ、その計測点における計測領域境界点の半径をRスケール42に一致させ、プローブ回転台3を所定角度ずつ回転させながら磁場強度を測定する。以下、計測点のZ軸位置を変化させて繰り返す。
【0016】
以上の説明で明らかなようにこの発明による磁場測定治具は一体化しており、マグネットには基準線を設定する以外に磁場強度測定のため特別な加工や付属物の設置を必要としない。また、その取付・取外しがジャッキネジ2の調整とこれをゆるめることによって完了できる。
さらに、磁場測定治具はマグネットの空間内で完結するため磁場測定治具を含めた測定エリアが少なくてすむという従来のものにはない優れた効果がある。
【0017】
【発明の効果】
この発明によれば、磁場測定治具を開放型MRIマグネットの空間部に固定する治具基台と、この治具基台の中で回転するプローブ回転台と、プローブ回転台上を移動しかつ任意の位置で固定できるように取付けたプローブ昇降台と、磁場強度計測用プローブを取付けプローブ昇降台に設けた案内溝上を移動しかつ任意の位置に固定できるように取付けたプローブ取付台とにより構成したので、磁場測定治具は一体化しており、マグネットには基準線を設定する以外に磁場強度測定のため特別な加工や付属物の設置を必要としない。また、その取付・取外しが容易である。
【0018】
また、磁場計測点における磁場強度計測プローブの感応部と磁場測定治具を構成する各部材と間に30mm以上の間隔を確保するように構成したので磁場強度が精度高く計測できる。
【0019】
さらにまた、治具基台とプローブ回転台との間の回転角度を示す目盛板と、プローブ回転台とプローブ昇降台との相対位置を示す目盛板と、プローブ昇降台とプローブ取付台との相対位置を示す目盛板とを備えたので、磁場測定位置の設定が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による磁場測定治具の正面図である。
【図2】図1のこ矢視A−Aを示す断面図である。
【図3】核磁気共鳴法による磁場測定用プローブに物体を接近させたときの共鳴周波数のずれを示すグラフである。
【図4】開放型超電導マグネットの斜視図である。
【図5】従来の磁場測定治具の正面図および側面図である。
【符号の説明】
1‥治具基台 3‥プローブ回転台 40‥プローブ昇降台
41‥プローブ取付台 300‥計測用プローブ
Claims (3)
- 開放型磁気共鳴イメージング装置用マグネットの中心部に形成される計測領域の磁場強度を計測するための磁場測定治具において、
取付基準位置を示すノッチをその周囲に備えた基板と、振れ止め板と、該基板および振れ止め板を連結する支柱と、該基板および振れ止めを前記開放型磁気共鳴イメージング装置用マグネットの空間部に固定する寸法調整・固定手段とを備えた治具基台と、前記基板および振れ止め板に設けた回転案内面が回転支持する2つの面板と、該2つの面板を連結する案内軸とを備えたプローブ回転台と、前記案内軸上を移動しかつ任意の位置で固定できるように取付けたプローブ昇降台と、磁場強度計測用プローブを取付け前記プローブ昇降台に設けた案内溝上を移動しかつ任意の位置に固定できるように取付けたプローブ取付台とを備えたことを特徴とする開放型磁気共鳴イメージング装置用マグネットの磁場測定治具。 - 磁場計測点における磁場強度計測プローブの感応部と磁場測定治具を構成する各部材と間に30mm以上の間隔を確保するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の開放型磁気共鳴イメージング装置用マグネットの磁場測定治具。
- 前記治具基台と前記プローブ回転台との間の回転角度を示す目盛板と、前記プローブ回転台と前記プローブ昇降台との相対位置を示す目盛板と、前記プローブ昇降台と前記プローブ取付台との相対位置を示す目盛板とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の開放型磁気共鳴イメージング装置用マグネットの磁場測定治具。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP23782999A JP3591384B2 (ja) | 1999-08-25 | 1999-08-25 | 開放型磁気共鳴イメージング装置用マグネットの磁場測定治具 |
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---|---|---|---|
JP23782999A JP3591384B2 (ja) | 1999-08-25 | 1999-08-25 | 開放型磁気共鳴イメージング装置用マグネットの磁場測定治具 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001061808A JP2001061808A (ja) | 2001-03-13 |
JP3591384B2 true JP3591384B2 (ja) | 2004-11-17 |
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