JP3586973B2 - スイッチング回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スイッチング回路、特に低電圧で動作するスイッチング回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
スイッチング回路のオン/オフ速度を向上させるために、回路を構成するトランジスタが導通時に飽和状態になることを回避するいわゆるリミット機能を備えたスイッチング回路が要求されている。
図12〜15は従来一般的に使用されているスイッチング回路の例を示す回路図である。
【0003】
図12に示すスイッチング回路においては、電流源IS によりパルス状の信号電流iS が供給され、それに応じて抵抗素子R01で電圧降下が生じる。このため、信号電流iS が供給されているとき、npnトランジスタQ01が導通状態となり、トランジスタQ01に導通電流が現れ、負荷抵抗素子RL で電圧降下が生じ、出力端子TOUT にローレベル、例えば、接地電位レベルの出力電圧VOUT が現れる。
一方、信号電流iS が供給されていないとき、トランジスタQ01が非導通状態に保持され、出力端子TOUT に電源電圧VCCレベルの電圧VOUT が出力される。上述のように、電流源IS により発生された信号電流iS に応じてトランジスタQ01の導通状態が制御され、スイッチング動作が実現される。
【0004】
図13に示すスイッチング回路においては、トランジスタQ01の負荷として、抵抗素子RL と並列にnpnトランジスタQ02が設けられている。
トランジスタQ02のベースが抵抗素子R02を介して電圧源VE に接続されているので、トランジスタQ02を導通させる電圧、いわゆる導通電圧がVBEをすると、出力端子TOUT の電圧VOUT が(VE −VBE)以下のとき、トランジスタQ02が導通状態となり、トランジスタQ02の導通電流がトランジスタQ01のコレクタに供給される。これにより、トランジスタQ01のスイッチング速度が改善される。
【0005】
図14に示すスイッチング回路においては、ダイオードD02,D03により分圧した電圧がトランジスタQ01のベースに印加され、トランジスタQ01の導通状態が制御される。
さらに、電流源IS とトランジスタQ01のコレクタとの間に、トランジスタQ01のコレクタに向かって順方向となるようにダイオードD01が接続され、トランジスタQ01が導通時に、電流源IS により発生された信号電流iS の一部分i2 がダイオードD01を介してトランジスタQ01のコレクタに供給され、これにより、トランジスタQ01のベースに供給されたベース電流が低減され、トランジスタQ01が飽和状態になることを防止する。
【0006】
図15に示すスイッチング回路においては、図14のスイッチング回路におけるダイオードD03の代わりに抵抗素子R02が使用され、直列に接続されたダイオードD02と抵抗素子R02により分圧して得られた分圧電圧がトランジスタQ01のベースに印加され、トランジスタQ01の導通状態が制御される。そして、図14に示すスイッチング回路と同様に、トランジスタQ01の導通時に、電流源IS からの信号電流iS の一部分i2 がトランジスタQ01のコレクタに供給され、トランジスタQ01のベースに供給されたベース電流が低減され、トランジスタQ01が飽和状態になることを防止する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来のスイッチング回路においては、それぞれ問題点がある。
図12に示すスイッチング回路では、例えば、図16に示す信号電流iS が供給され、トランジスタQ01が導通状態に保持されているとき、トランジスタQ01のコレクタ、即ち出力端子TOUT の電圧VOUT がトランジスタQ01の飽和領域まで下がっているので、トランジスタQ01のベース/エミッタ間に大容量が蓄積される。信号電流iS の供給が停止し、トランジスタQ01が導通状態から非導通状態に切り換わるとき、図16に示すように、出力電圧VOUT の立ち上がりエッジにおいて、大きな遅延が生じて、回路によっては、遅延時間TD が数百ナノ秒(ns)になってしまうという問題がある。
【0008】
図13に示す回路例においては、信号電流iS が供給されているとき、トランジスタQ02によりトランジスタQ01のコレクタにトランジスタQ02の導通電流が供給されるので、トランジスタQ01における導通/非導通状態切り換え時に生じる遅延が大幅に短縮され、スイッチング回路のスイッチング速度が改善されるが、トランジスタQ02が導通状態に保持されているとき、トランジスタQ02に大電流が流れ、負荷抵抗素子RL の抵抗値によって電流値が1ミリアンペア(mA)に達することがあり、回路の消費電力が増加し、また、トランジスタQ02のベースに接続された抵抗素子R02のインピーダンスによってトランジスタQ02のエミッタ電位が変動し、出力端子TOUT では安定した出力電圧VOUT を得ることが困難である。
【0009】
図14,15に示すスイッチング回路においては、トランジスタQ01のベースに印加された電圧が直列接続となるダイオードまたはダイオードと抵抗素子で得た分圧電圧であり、トランジスタQ01導通時のベース電圧が制限され、トランジスタQ01が飽和状態になることが防止され、スイッチング回路のスイッチング速度の向上が図れる。しかし、これらのスイッチング回路は低電圧動作に不向きであり、ダイオードD02およびトランジスタQ01の導通電圧がともにVBEとすると、電源電圧VCCのレベルが2VBE以下の場合これらのスイッチング回路は動作しないという問題がある。
【0010】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、回路のスイッチング速度の向上を図れ、消費電力を低減でき、低電圧でも動作するスイッチング回路を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、入力ノードと基準電源との間に直列に接続されている第1と第2の抵抗素子と、ベースが上記第1と第2の抵抗素子間の接続点に接続され、エミッタが上記基準電源に接続され、コレクタが上記入力ノードに接続されている第1のトランジスタと、ベースが上記第1のトランジスタのベースに共通に接続され、エミッタが上記基準電源に接続され、コレクタが出力ノードに接続されている第2のトランジスタと、上記入力ノードと上記出力ノードとの間に接続され、上記出力ノード側の拡散層が上記第2のトランジスタのコレクタ拡散層と同型になるように接続されているダイオードとを有する。
【0012】
また、本発明では、好適には上記第2のトランジスタのエミッタサイズが上記第1のトランジスタのエミッタサイズのn(n≧1)倍に形成される。
【0013】
本発明によれば、入力ノードに信号が入力された場合、入力ノードに生じた電圧が第1および第2の抵抗素子により分圧され、これらの抵抗素子間の接続点に生じた分圧電圧が第1および第2のトランジスタのベースに供給され、これにより第1および第2のトランジスタがともに導通状態となる。
このため、第1および第2のトランジスタのベース電圧が入力ノードの電圧より低く制限され、さらに第2のトランジスタのコレクタ電圧が入力ノードの電圧よりダイオードの導通電圧分低く制限されるので、第2のトランジスタが飽和状態になることを回避され、スイッチング回路のスイッチング速度の向上を図れ、低電圧時、例えば、第1または第2のトランジスタの導通電圧より高い電圧では動作できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
第1実施形態
図1は本発明に係るスイッチング回路の第1の実施形態を示す回路図である。図1において、IS は電流源、R1 ,R2 およびRL は抵抗素子、NT1 ,NT2 はnpn型トランジスタ、D1 はダイオード、ノードND1 は入力ノード、ノードND2 は出力ノード、TOUT はノードND2 に接続されている出力端子をそれぞれ示している。
【0015】
図示のように、電流源IS はノードND1 に接続され、ダイオードD1 のアノードがノードND1 に接続され、カソードがノードND2 に接続されている。ノードND1 と接地線2との間に、抵抗素子R1 とR2 が直列に接続され、これらの抵抗素子の接続点により、ノードND3 が形成されている。
【0016】
トランジスタNT1 のベースがノードND3 に接続され、エミッタが接地され、コレクタがノードND1 に接続されている。トランジスタNT2 のベースがトランジスタNT1 のベースと共通にノードND3 に接続され、エミッタが接地され、コレクタがノードND2 に接続されている。
ノードND2 と電源電圧VCCの供給線1との間に負荷抵抗素子RL が接続されている。また、ノードND2 出力端子TOUT が接続されている。
なお、トランジスタNT2 のエミッタサイズをnとして、nは負荷容量CL の容量値および負荷抵抗素子RL の抵抗値に応じて設定される。
【0017】
以下、図1に示すスイッチング回路の動作について説明する。
電流源IS により、図2に示すパルス状の信号電流is が供給される。
図1に示すように、抵抗素子R1 に流れる電流をi1 、トランジスタNT1 のコレクタに流れる電流をi2 、ダイオードD1 に流れる電流をi3 、負荷抵抗素子RL に流れる電流をi4 、負荷容量CL に流れる電流をi4 ’、ノードND1 の電圧をVA 、トランジスタNT1 およびダイオードD1 の導通電圧をVBEとすると、次に示す関係が成立する。
【0018】
【数1】
is =i1 +i2 +i3 …(1)
【数2】
i1 =VA /r1 +r2 …(2)
【数3】
VBE=i1 r1 …(3)
【数4】
ni2 =i3 +i4 +i4 ’ …(4)
【0019】
トランジスタNT1 ,NT2 のベース電流を無視する場合、これらの式により、次の式が得られる。
【数5】
VA =VBE(r1 +r2 )/r1 …(5)
【数6】
VOUT =VA −VBE=VBE(r2 /r1 ) …(6)
【0020】
式(6)により、例えば、トランジスタNT1 ,NT2 が導通時、スイッチング回路の出力電圧VOUT の電圧値をトランジスタNT1 の導通電圧VBEの半分にする、即ち、VOUT =VBE/2に設定したい場合では、抵抗素子R1 ,R2 の抵抗値r1 ,r2 をr1 :r2 =2:1に設定すればよい。これにより、ノードND1 の電圧VA が1.5VBEとなり、出力電圧VOUT が0.5VBEとなる。
このため、スイッチング回路におけるトランジスタNT1 ,NT2 が導通時の出力電圧VOUT のレベルが低減され、スイッチング回路が低電圧、例えば、2.7Vの電源電圧の場合でも動作可能となる。
【0021】
図1に示すスイッチング回路において、電流源IS により信号電流iS が供給されているとき、電流iS が抵抗素子R1 に流れる電流i1 、トランジスタNT1 に流れる電流i2 およびダイオードD1 に流れる電流i3 とに分けられ、抵抗素子R1 ,R2 により、ノードND1 の電圧VA が分圧され、ノードND3 で得られた分圧電圧がトランジスタNT1 ,NT2 のベースに供給される。
【0022】
抵抗素子R1 ,R2 の抵抗値r1 ,r2 を設定することにより、スイッチング回路が導通時の出力電圧VOUT の電圧レベルが調整され、トランジスタNT2 が飽和状態になることが防止でき、スイッチング回路のスイッチング速度が改善される。
【0023】
以上説明したように、本実施形態によれば、電流源IS により電流iS が供給されたとき、電流iS により入力ノードND1 に生じた電圧を直列接続の抵抗素子R1 ,R2 により分圧してトランジスタNT1 ,NT2 のベースに供給し、トランジスタNT1 ,NT2 のエミッタを接地し、トランジスタNT1 のコレクタを入力ノードND1 に接続し、トランジスタNT2 のコレクタを出力端子TOUT に接続し、さらに負荷抵抗素子RL を介して電源電圧VCCの供給線に接続し、入力ノードND1 のコレクタと出力端子TOUT との間にダイオードD1 を接続するので、トランジスタNT2 が導通時飽和状態になることを防止され、スイッチング速度の向上を図れる。
【0024】
第2実施形態
図3は本発明に係るスイッチング回路の第2の実施形態を示す回路図である。図示のように、本実施形態のスイッチング回路は電流源IS 、抵抗素子R3 ,R4 、ダイオードD2 、pnp型トランジスタPT1 ,PT2 、負荷抵抗素子RL により構成されている。
なお、トランジスタPT2 のエミッタサイズがトランジスタPT1 のエミッタサイズのn倍に設定されている。
【0025】
本実施形態におけるスイッチング回路は図1に示すスイッチング回路に較べ、pnp型トランジスタPT1 ,PT2 を使用することで異なる。
信号電流源IS がノードND4 に接続され、ノードND4 と電源電圧VCCの供給線1との間に、抵抗素子R3 ,R4 が直列に接続され、これらの抵抗素子R3 ,R4 の接続点によりノードND5 が形成されている。
【0026】
トランジスタPT1 ,PT2 のベースがノードND5 に共通に接続され、エミッタが電源電圧VCCの供給線1に共通に接続されている。トランジスタPT1 のコレクタがノードND4 に接続され、トランジスタPT2 のコレクタが出力端子TOUT に接続されている。さらにノードND4 と出力端子TOUT との間に、ノードND4 に向かって順方向となるようにダイオードD2 が接続されている。
【0027】
電流源IS により、図4に示すパルス状の電流iS が供給される。以下、図3に示すスイッチング回路の動作について説明する。
電流源IS から電流が供給されていないとき、トランジスタPT1 ,PT2 がともに非導通状態となり、出力端子TOUT にローレベルの電位、例えば、接地電位が現れる。
【0028】
電流源IS により電流iS が供給されているとき、抵抗素子R3 ,R4 に電流が流れ、抵抗素子R3 により生じた電圧降下がトランジスタPT1 ,PT2 の導通電圧に達したとき、トランジスタPT1 ,PT2 が導通状態に切り換わり、それぞれ導通電流が流れる。
【0029】
図1に示すスイッチング回路と同様に、スイッチング回路が安定状態に達したときそれぞれのノードの電圧が抵抗素子R3 ,R4 の抵抗値r3 ,r4 およびトランジスタPT1 ,PT2 の導通電圧、ダイオードD2 の導通電圧により決まる。ここで、詳細の式を省略するが、トランジスタPT1 ,PT2 が導通時に出力端子TOUT の電圧VOUT のみを次式で示す。
【0030】
【数7】
VOUT =VCC−VBE(r4 /r3 ) …(7)
ここで、VBEはダイオードD2 の導通電圧、r3 ,r4 はそれぞれ抵抗素子R3 ,R4 の抵抗値を示す。
【0031】
式(7)に示すように、抵抗素子R3 ,R4 の抵抗値の比を設定することにより、導通時にトランジスタPT2 のコレクタ電位が制限される。このため、電流源IS により電流iS が供給されるとき、抵抗素子R3 ,R4 およびダイオードD2 により、トランジスタPT2 が飽和状態になることを防止され、スイッチング回路のスイッチング速度が改善される。
【0032】
以上説明したように、本実施形態によれば、電流源IS により電流iS が供給されたとき、電流iS により入力ノードND4 に生じた電圧を直列接続の抵抗素子R3 ,R4 により分圧してトランジスタPT1 ,PT2 のベースに供給し、トランジスタPT1 ,PT2 のエミッタを電源電圧VCCの供給線1に接続し、トランジスタPT1 のコレクタを入力ノードND1 に接続し、トランジスタPT2 のコレクタを出力端子TOUT に接続し、さらに負荷抵抗素子RL を介して接地線に接続し、入力ノードND4 のコレクタと出力端子TOUT との間にダイオードD2 を接続するので、トランジスタPT2 が導通時飽和状態になることを防止され、スイッチング速度の向上を図れる。
【0033】
応用例
図5は本発明に係るスイッチング回路の一応用例を示す回路図である。
図示の回路はnpnトランジスタNT3 ,NT4 により構成されている差動増幅回路、pnpトランジスタPT2 ,PT3 により構成された差動増幅回路、抵抗素子R1 ,R2 、ダイオードD1 、npnトランジスタNT1 ,NT2 および負荷抵抗素子RL により構成されたスイッチング回路から構成されている。
また、npnトランジスタNT5 ,NT6 はpnpトランジスタPT1 をオフさせるために設けられている。
【0034】
図5に示すスイッチング回路は図1に示す本発明の第1の実施形態のスイッチング回路と同様であり、ここで、その詳細の動作について説明を省略する。
差動増幅回路を構成するトランジスタNT3 ,NT4 のベースがそれぞれ入力端子TIN1 ,TIN2 に接続され、エミッタが電流源I1 に共通に接続されている。コレクタがそれぞれ抵抗素子R3 ,R4 を介して電源電圧VCCの供給線1に接続されている。
【0035】
トランジスタNT5 のベースがトランジスタNT3 のコレクタに接続され、トランジスタNT6 のベースがトランジスタNT4 のコレクタに接続されている。これらのトランジスタのコレクタが電源電圧VCCの供給線1に接続され、エミッタがそれぞれダイオードD2 ,D3 のアノードに接続され、ダイオードD2 ,D3 のカソードがそれぞれ電流源I2 ,I3 に接続されている。
【0036】
差動増幅回路を構成するトランジスタPT2 ,PT3 のベースがそれぞれダイオードD2 ,D3 のカソードに接続され、これらのトランジスタPT2 ,PT3 のエミッタがトランジスタPT1 のコレクタに共通に接続され、トランジスタPT2 のコレクタが接地され、トランジスタPT3 のコレクタがノードND1 に接続されている。ノードND1 が直列に接続された抵抗素子R1 ,R2 を介して、接地されている。
なお、トランジスタPT1 のベースが電圧源VE に接続され、エミッタが抵抗素子R5 を介して電源電圧VCCの供給線1に接続されている。
【0037】
以下、図5に示す回路の動作について説明する。
入力端子TIN1 ,TIN2 の間に、信号電圧ΔVが入力される。なお、信号電圧ΔVは、例えば、図6に示すようにパルス状の電圧信号である。
入力信号ΔVがハイレベルに保持されているとき、差動増幅回路を構成するトランジスタNT3 ,NT4 の内、トランジスタNT3 が導通状態となり、トランジスタNT4 が非導通状態となる。これに応じてトランジスタNT3 ,NT4 のコレクタ間に差電圧が生じ、この差電圧に応じて、トランジスタNT5 ,NT6 およびダイオードD2 ,D3 により、差動増幅回路を構成するトランジスタPT2 ,PT3 のベースに差電圧が入力される。
【0038】
トランジスタPT2 ,PT3 のベース電圧差に応じて、トランジスタPT2 が非導通状態となり、トランジスタPT3 が導通状態となる。
このため、トランジスタPT1 に流れる電流iS が導通状態にあるトランジスタPT3 側に流れて、これが信号電流iS として、ノードND1 に入力される。
【0039】
第1の実施形態に説明したように、信号電流iS がノードND1 に入力されているとき、スイッチング回路の出力端子TOUT に抵抗素子R1 ,R2 の抵抗値r1 ,r2 およびトランジスタNT1 ,NT2 、ダイオードD1 の導通電圧VBEに応じて設定された電圧VOUT が出力される。そして、抵抗素子R1 ,R2 およびダイオードD1 により、トランジスタNT2 が導通したとき、飽和状態になることを防止され、スイッチング速度の向上を図れる。
図6はパルス状の入力電圧ΔVおよびそれに応じた出力電圧VOUT の波形を示す波形図である。図示のように、トランジスタNT2 の飽和状態が回避されたため、出力電圧VOUT におけるレベルの切り換わりが速くなり、スイッチング速度が向上した。
【0040】
次に、図7に示すPLL(Phase Locked Loop )回路における本発明の応用例について説明する。
図7に示すPLL回路はキャパシタC1 、チャージポンプ回路10、位相比較器20、ローパスフィルタ(LPF)30、電圧制御発振器(VCO)40、分周器51、52、発振器(OSC)60により構成されている。
【0041】
チャージポンプ回路10は位相比較器20からの誤差電圧信号ΔVを受けて、それに応じてキャパシタC1 に対してチャージ(ソース)またはディスチャージ(シンク)する。
PLL回路においては、シンクまたはソースするタイミングが重要な要素であり、タイミングのずれが生じると、リファレンスリーク、位相ノイズなどが発生してしまう。即ち、容量負荷、抵抗負荷、電流源などを駆動するトランジスタにおいては、スイッチング速度を保持し、スイッチング動作時の平衡を保つため、トランジスタ導通時飽和状態になることが回避しなければならない。このため、チャージポンプ回路10には本発明のスイッチング回路が適用される。
【0042】
図8は本発明の第1実施形態のスイッチング回路を用いたチャージポンプ回路の一例を示す回路図であり、キャパシタC1 をシンクさせるときの動作を示す図である。
図9はチャージポンプ回路10の波形図である。
図10は本発明の第1実施形態のスイッチング回路を用いたチャージポンプ回路の一例を示す回路図であり、キャパシタC1 をソースさせるときの動作を示す図である。
図11は本発明の第2実施形態のスイッチング回路を用いたチャージポンプ回路の一例を示す回路図であり、キャパシタC1 をソースさせるときの動作を示す図である。
【0043】
図8に示すチャージポンプ回路はpnpトランジスタPT1 ,PT2 により構成された差動増幅回路、抵抗素子R1 ,R2 、npnトランジスタNT1 ,NT2 およびダイオードD1 により構成されたスイッチング回路、さらにnpnトランジスタNT3 ,NT4 により構成されたカレントミラー回路により構成されている。
【0044】
図8に示すように、差動増幅回路を構成するトランジスタPT1 ,PT2 のベースの間に、PLL回路の位相比較器20からの誤差電圧信号ΔVが入力され、さらに、pnpトランジスタPT1 のベースに電圧源VE が接続されている。
トランジスタPT1 ,PT2 のエミッタが電流源I1 に共通に接続され、トランジスタPT1 のコレクタが接地され、トランジスタPT2 のコレクタがノードND1 に接続され、ノードND1 が直列に接続された抵抗素子R1 ,R2 を介して接地されている。
【0045】
スイッチング回路の出力ノードND2 が電流源I2 に接続され、さらにカレントミラー回路を構成するトランジスタNT3 ,NT4 のベースとトランジスタNT3 のコレクタとの共通の接続点に接続されている。
トランジスタNT4 のコレクタとpnpトランジスタPT3 のコレクタがともにが出力端子TOUT に接続されている。
トランジスタNT3 ,NT4 のエミッタが接地され、トランジスタPT3 のエミッタが電源電圧VCCの供給線1に接続されている。
【0046】
差動増幅回路を構成するトランジスタPT1 ,PT2 のベース間に、例えば、図9(a)に示す誤差電圧信号ΔVが入力されたとき、トランジスタPT2 が非導通状態になり、トランジスタPT1 が導通状態になる。このため、電流源I1 により差動増幅回路に供給された電流がトランジスタPT1 側に流れ、ノードND1 に電流の供給が停止する。
【0047】
このとき、スイッチング回路におけるトランジスタNT1 ,NT2 がともに非導通状態になり、電流源I2 により供給された電流がカレントミラー回路を構成するトランジスタNT3 のコレクタに供給される。このため、トランジスタNT4 側にはシンク電流ISINKが流れる。
なお、このとき、トランジスタPT3 のベースに入力された制御信号により、トランジスタPT3 が非導通状態に設定され、シンク電流ISINKにより、例えば、出力端子TOUT に接続されたキャパシタC1 がディスチャージされ、キャパシタC1 の端子電圧VC が降下する。
【0048】
誤差電圧信号ΔVの立ち下がりエッジから、差動増幅回路においてトランジスタPT1 ,PT2 のベースに同電位が印加されるが、トランジスタPT1 ,PT2 のエミッタサイズを設定することにより、電流源I1 により供給された電流がトランジスタPT2 側に流れるように設定され、ノードND1 に電流iS が供給される。
【0049】
このため、スイッチング回路において、トランジスタNT1 ,NT2 が導通状態に切り換わり、電流源I2 により供給された電流がスイッチング回路のトランジスタNT2 に流れるため、カレントミラー回路を構成するトランジスタNT3 のコレクタに電流が殆ど流れず、トランジスタNT4 のコレクタにシンク電流ISINKは流れない。
【0050】
そして、差動増幅回路を構成するトランジスタPT1 ,PT2 のベース間に誤差電圧信号ΔVが入力されたとき、スイッチング回路において、ノードND1 への電流iS の供給が停止し、トランジスタNT1 ,NT2 がふたたび非導通状態に切り換わり、カレントミラー回路により、シンク電流ISINKが発生される。
なお、スイッチング回路においては、入力ノードND1 に信号電流iS が供給され、トランジスタNT1 ,NT2 がともに導通状態にあるとき、抵抗素子R1 ,R2 およびダイオードD1 により、トランジスタNT2 が飽和状態になることが回避されるので、信号電流iS の供給が停止したとき、スイッチング回路におけるオフ状態への切り換え速度が速く、PLL回路にタイミングずれを生じることなく、PLL回路の動作精度が改善される。
【0051】
図9はシンク電流ISINKが発生された場合の波形図である。
図9(a)は位相比較器20からの誤差電圧信号ΔVの波形、図9(b)、((c)は従来のスイッチング回路を用いる場合のトランジスタNT2 のコレクタ電圧およびシンク電流ISINKの波形、図9(d)、(e)は本発明のスイッチング回路を用いた場合のトランジスタNT2 のコレクタ電圧およびシンク電流ISINKの波形をそれぞれ示している。
【0052】
図9に示すように、チャージポンプ回路に従来のスイッチング回路を使用すると、トランジスタが導通状態になる場合、飽和領域に入り、導通状態から非導通状態への切り換え時間が長くなり、スイッチング速度が低下する。これにより、誤差電圧信号ΔVが入力されてから、シンク電流ISINKが発生されるまで遅延時間TD が生じて、回路によっては、この遅延時間TD が100ナノ秒(ns)以上になることがあり、PLL回路の精度が低下してしまう。
【0053】
チャージポンプ回路に本発明のスイッチング回路を適用することにより、スイッチング回路を構成するトランジスタNT2 が飽和状態になることが回避され、PLL回路のタイミングずれが防止される。
【0054】
同様に、図10に示すチャージポンプ回路においては、差動増幅回路を構成するトランジスタPT1 ,PT2 のベース間に誤差電圧信号ΔVが入力されたとき、スイッチング回路におけるトランジスタNT1 ,NT2 がともに非導通状態に設定され、電流源I2 により発生された電流がカレントミラー回路を構成するトランジスタNT4 のコレクタに流れ、カレントミラー回路により、ソース電流ISORSが発生され、出力端子TOUT に接続されているキャパシタC1 に対して、チャージを行い、キャパシタC1 の端子電圧VC が上昇する。
【0055】
本例においては、本発明のスイッチング回路を適用することにより、スイッチング速度が向上し、誤差電圧信号ΔVに対して、ソース電流ISORSの遅延時間が小さく、PLL回路にタイミングずれを生じることなく、PLL回路の動作精度が改善される。
【0056】
そして、図11に示すチャージポンプ回路においては、図2に示す第2の実施形態のスイッチング回路が適用され、これにより、差動増幅回路を構成するトランジスタNT1 ,NT2 のベース間に入力された誤差電圧信号ΔVに対して、ソース電流ISORSの遅延時間TD が短く、PLL回路にタイミングのずれを生じることが回避され、PLL回路の動作精度が向上する。
【0057】
上述したように、図7に示すPLL回路においては、本発明のスイッチング回路をチャージポンプ回路10に適用することにより、位相比較器20により発生された誤差電圧信号ΔVに応じて、チャージポンプ回路10によりタイミングずれなくシンク電流ISINKまたはソース電流ISORSが発生され、キャパシタC1 に対してディスチャージまたはチャージが行われ、キャパシタC1 の端子電圧VC が誤差電圧信号ΔVにより制御される。
【0058】
そして、キャパシタC1 の端子電圧VC がローパスフィルタ30により高周波成分が除去され、電圧制御発振器40に供給される。電圧制御発振器40により、ローパスフィルタ30の出力電圧に応じて発振信号SL が発生され、分周器51により分周された後位相比較器20に入力される。
さらに、発振器60により発生された発振信号SO が分周器52により分周された後位相比較器20に入力される。
【0059】
位相比較器20により、分周器51,52からの発振信号SL ,SO の位相が比較され、これらの信号の位相差に応じた誤差電圧信号ΔVが発生され、チャージポンプ回路10に出力される。
【0060】
このように構成されたPLL回路により、外部発振器60により発生された発振信号SO と同相の発振信号SL が発生される。さらに、チャージポンプ回路10に本発明のスイッチング回路を適用することにより、PLL回路のタイミングずれが回避され、発振信号SL が外部発振器60により発生された発振信号SO に対して、高い精度で位相が追従し、PLL回路の精度の向上を図れる。さらにチャージポンプ回路10に本発明のスイッチング回路を適用することにより、消費電力を低減でき、低電圧での動作を実現できる。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のスイッチング回路によれば、スイッチング速度の向上を図れ、消費電力を低減でき、低電圧の場合でも動作するスイッチング回路を実現できる利点がある。
さらに、本発明のスイッチング回路を、例えばPLL回路のチャージポンプ回路に適用することにより、低電圧で動作でき、かつリファレンスリース、位相ノイズなどを改善でき、精度の高いPLL回路を実現できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るスイッチング回路の第1実施形態を示す回路図である。
【図2】第1実施形態における波形図である。
【図3】本発明に係るスイッチング回路の第2実施形態を示す回路図である。
【図4】第2実施形態における波形図である。
【図5】本発明の一応用例を示す回路図である。
【図6】図5の回路例における波形図である。
【図7】PLL回路の構成を示す回路図である。
【図8】チャージポンプ回路の一例を示す回路図である。
【図9】図8に示すチャージポンプ回路の波形図である。
【図10】チャージポンプ回路の一例を示す回路図である。
【図11】チャージポンプ回路の一例を示す回路図である。
【図12】従来のスイッチング回路の一例を示す回路図である。
【図13】従来のスイッチング回路の一例を示す回路図である。
【図14】従来のスイッチング回路の一例を示す回路図である。
【図15】従来のスイッチング回路の一例を示す回路図である。
【図16】図12に示すスイッチング回路の波形図である。
【符号の説明】
IS …電流源、R1 ,R2 …抵抗素子、RL …負荷抵抗素子、CL …負荷容量素子、NT1 ,NT2 ,…,NT6 …npn型トランジスタ、PT1 ,PT2 ,…,PT6 …pnp型トランジスタ、D1 ,D2 …ダイオード、TIN1 ,TIN2 …入力端子、TOUT …出力端子、VOUT …出力電圧,C1 …キャパシタ、10…チャージポンプ回路、20…位相比較器、30…ローパスフィルタ、40…電圧制御発振器、51,52…分周器、60…発振器、VCC…電源電圧、GND…接地電位、1…電源電圧VCCの供給線、2…接地線。
Claims (5)
- 入力ノードと基準電源との間に直列に接続されている第1および第2の抵抗素子と、
ベースが上記第1および第2の抵抗素子間の接続点に接続され、エミッタが上記基準電源に接続され、コレクタが上記入力ノードに接続されている第1のトランジスタと、
ベースが上記第1のトランジスタのベースに共通に接続され、エミッタが上記基準電源に接続され、コレクタが出力ノードに接続されている第2のトランジスタと、
上記入力ノードと上記出力ノードとの間に接続されているダイオードとを有する
スイッチング回路。 - 上記第1および第2のトランジスタはnpn型トランジスタにより構成され、上記ダイオードは上記入力ノード側から上記出力ノード側に向かって順方向となるように接続されている
請求項1記載のスイッチング回路。 - 上記第1および第2のトランジスタはpnp型トランジスタにより構成され、上記ダイオードは上記出力ノード側から上記入力ノード側に向かって順方向となるように接続されている
請求項1記載のスイッチング回路。 - 上記出力ノードが負荷抵抗を介して、電源に接続されている
請求項1記載のスイッチング回路。 - 上記第2のトランジスタのエミッタサイズが上記第1のトランジスタのエミッタサイズのn(n≧1)倍に形成されている
請求項1記載のスイッチング回路。
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