JP3586661B2 - 通信システム及びそれに用いる背景雑音キャンセル方法 - Google Patents

通信システム及びそれに用いる背景雑音キャンセル方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は通信システム及びそれに用いる背景雑音キャンセル方法に関し、特にADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)通信装置におけるデータレートの決定に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ADSL通信システムにおいては、そのデータレートの決定がADSL信号と背景雑音とを含む外来ノイズ源とのS/N(Signal/Noise)比及び伝送距離に依存している。
【0003】
同一距離の比較においては、背景雑音が大きい場合、データレートが低く獲得され、反対に背景雑音が小さい場合、データレートが高く獲得されるのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来のADSL通信システムにおけるデータレートの決定では、背景雑音を含むノイズが影響するため、背景雑音を含む外来ノイズの増大に比例してデータレートが低く抑えられるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は上記の問題点を解消し、背景雑音量に影響されることなく一定のデータレートを獲得することができる通信システム及びそれに用いる背景雑音キャンセル方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明による通信システムは、信号に印加される背景雑音に依存してデータレートが変化する通信装置を用いる通信システムであって、前記背景雑音をモニタするモニタ手段と、前記信号から前記モニタ手段でモニタされた背景雑音成分のみをキャンセルして前記通信装置と他装置との同期を確立させるキャンセル手段とを備えている。
【0007】
本発明による他の通信システムは、CO(Central Office)モデムとCPE(Customer Premise Equipment)モデムとの間でADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)信号の送受信を行う通信システムであって、前記COモデム及び前記CPEモデムのうちの少なくとも一方に対して定常的に印加される背景雑音をモニタするモニタ手段と、前記ADSL信号から前記モニタ手段でモニタされた背景雑音成分のみをキャンセルして前記COモデムと前記CPEモデムとの同期を確立させるキャンセル手段とを備えている。
【0008】
本発明による背景雑音キャンセル方法は、信号に印加される背景雑音に依存してデータレートが変化する通信装置を用いる通信システムの背景雑音キャンセル方法であって、前記背景雑音をモニタするステップと、前記信号からそのモニタされた背景雑音成分のみをキャンセルして前記通信装置と他装置との同期を確立させるステップとを備えている。
【0009】
本発明による他の背景雑音キャンセル方法は、CO(Central Office)モデムとCPE(Customer Premise Equipment)モデムとの間でADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)信号の送受信を行う通信システムの背景雑音キャンセル方法であって、前記COモデム及び前記CPEモデムのうちの少なくとも一方に対して定常的に印加される背景雑音をモニタするステップと、前記ADSL信号からそのモニタされた背景雑音成分のみをキャンセルして前記COモデムと前記CPEモデムとの同期を確立させるステップとを備えている。
【0010】
すなわち、本発明の背景雑音キャンセル方法は、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)通信システムにおけるCO(Central Office:電話交換局)モデム及びCPE(Customer Premise Equipment:加入者宅内機器)モデムの同期確立に関し、COモデムに背景雑音レベル検出器、背景雑音キャンセル回路、制御回路を有し、COモデムまたはCPEモデムに対して定常的に印加される背景雑音をモニタし、ADSL信号から背景雑音成分のみをキャンセルし、同期を確立させることによって、背景雑音の量に依存せずにデータレートを確定させることが可能となる。
【0011】
より具体的に説明すると、ADSL通信システムにおけるCOモデムまたはCPEモデムに、背景雑音レベル検出回路と、背景雑音のキャンセル機能を有する背景雑音キャンセル回路とを設けている。
【0012】
背景雑音レベル検出回路はCOモデムとCPEモデムとの間でトレーニング(データレートの決定処理)が実施される前に、受信フィルタから出力される信号をモニタし、背景雑音を検出する。背景雑音キャンセル回路はトレーニング以降に、背景雑音レベル検出回路から出力される背景雑音レベル信号を基に、定常的に印加される背景雑音をキャンセルする。
【0013】
したがって、背景雑音のレベル量に関わらず、COモデムとCPEモデムとの間でトレーニング後に獲得されるデータレートが一定になるという効果が得られる。
【0014】
つまり、COモデムとCPEモデムとがアイドル(IDLE)中に背景雑音を測定して結果を記憶し、トレーニング中及び同期確立中に、記憶してある背景雑音のレベルをキャンセルし、ADSL信号及び背景雑音を除く外来ノイズ成分のみを復調することで、背景雑音の量に影響されることなく一定のデータレートを獲得することが可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の一実施例について図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施例によるADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)通信システムの構成を示すブロック図である。図1において、本発明の一実施例によるADSL通信システムはCO(Central Office:電話交換局)モデム1と、CPE(Customer Premise Equipment:加入者宅内機器)モデム2とから構成されている。
【0016】
COモデム1はADSL送信回路11と、ハイブリッド回路12と、ADSL受信回路13とから構成されている。また、ADSL受信回路13は受信フィルタ14と、背景雑音レベル検出器15と、A/D(アナログ/ディジタル)変換回路16と、制御回路17と、背景雑音キャンセル回路18と、復調回路19と、多重化回路20とから構成されている。
【0017】
COモデム1のADSL送信回路11はIP(InternetProtcol)網(図示せず)から受信した信号をADSL信号に変調しかつADSLのアナログ信号に変換し、ハイブリッド回路12へ出力する。
【0018】
ハイブリッド回路12はCPEモデム2から送受信されるADSL信号100のインタフェースの機能を有し、ADSL信号100を送信信号と受信信号とにそれぞれ分離する。
【0019】
ADSL受信回路13の受信フィルタ14は受信側ADSL信号のフィルタ機能を有する。背景雑音レベル検出器15は受信フィルタ14からの信号を受けると、COモデム1及びCPEモデム2がアイドル(IDLE)状態の時のADSL帯域の背景雑音を測定し、その測定結果を保持する機能を備えている。
【0020】
A/D変換回路16はADSLのアナログ信号をディジタル信号へ変換する。背景雑音キャンセル回路18はCOモデム1とCPEモデム2との間のトレーニング中及び同期確立中に、復調回路19からの信号に対して、背景雑音レベル検出器11の測定結果を基に背景雑音をキャンセルする機能を備えている。
【0021】
復調回路19はA/D変換回路16によってディジタル信号に変換されたADSL信号を論理信号へ復調する。多重化回路20は復調回路8からの信号を多重化した後にIP網へ出力する。
【0022】
図2は図1のADSL受信回路13の動作を示すフローチャートである。これら図1及び図2を参照して本発明の一実施例によるADSL通信システムの背景雑音キャンセル処理について説明する。
【0023】
ADSL受信回路13ではCOモデム1及びCPEモデム2がアイドル状態の時(図2ステップS1)、制御回路17の制御によって背景雑音レベル検出器15で、定常的に印加される背景雑音のレベル測定を行い(図2ステップS2)、その測定結果を保持する(図2ステップS3)。
【0024】
その後、COモデム1とCPEモデム2とは同期確立のために、トレーニング(データレートの決定処理)を行う(図2ステップS4)。この時、A/D変換回路16はCPEモデム2からのADSL信号に背景雑音及び外来ノイズが混合された信号を受信フィルタ14を介して受けると、ADSLのアナログ信号をディジタル信号へ変換する(図2ステップS5)。
【0025】
復調回路19はA/D変換回路16によってディジタル信号に変換されたADSL信号を論理信号へ復調するが、その際、復調された信号から背景雑音レベル検出器15で測定された背景雑音レベル量のみが背景雑音キャンセル回路18によってキャンセルされる(図2ステップS6)。
【0026】
復調回路19は背景雑音キャンセル回路18で背景雑音レベル量のみがキャンセルされた信号を基に、ADSL信号とノイズ量とのS/N(Signal/Noise)比からADSLの使用帯域を決定し、データレートを確定する(図2ステップS7)。その際、背景雑音キャンセル回路18によって背景雑音のレベル量に関わらず,S/N比が等しい結果となり、結果として同じデータレートが獲得される。
【0027】
このように、COモデム1とCPEモデム2との間のトレーニング前に背景雑音レベルの測定及び測定結果の保持を行い、トレーニング中及び同期確立中に、保持された測定結果から背景雑音のレベル値をキャンセルすることによって、背景雑音のレベルに依存せず、定常的な背景雑音の多い悪環境下においても背景雑音のない使用環境と同じデータレートを獲得することができる。
【0028】
尚、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、信号に印加される背景雑音に依存し、すなわちS/N比に依存してデータレートが変化するすべての装置に適用することができる。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、COモデムとCPEモデムとの間でADSL信号の送受信を行う通信システムにおいて、COモデム及びCPEモデムのうちの少なくとも一方に対して定常的に印加される背景雑音をモニタし、ADSL信号からそのモニタされた背景雑音成分のみをキャンセルしてCOモデムとCPEモデムとの同期を確立させることによって、背景雑音量に影響されることなく一定のデータレートを獲得することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるADSL通信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1のADSL受信回路の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 COモデム
2 CPEモデム
11 ADSL送信回路
12 ハイブリッド回路
13 ADSL受信回路
14 受信フィルタ
15 背景雑音レベル検出器
16 A/D変換回路
17 制御回路
18 背景雑音キャンセル回路
19 復調回路
20 多重化回路

Claims (12)

  1. 信号に印加される背景雑音に依存してデータレートが変化する通信装置を用いる通信システムであって、前記背景雑音をモニタするモニタ手段と、前記信号から前記モニタ手段でモニタされた背景雑音成分のみをキャンセルして前記通信装置と他装置との同期を確立させるキャンセル手段とを有することを特徴とする通信システム。
  2. 前記モニタ手段は、前記通信装置と他装置との間で前記データレートの決定処理が実施される前に前記背景雑音をモニタするよう構成したことを特徴とする請求項1記載の通信システム。
  3. 前記キャンセル手段は、前記通信装置と他装置との同期を確立させる際に前記背景雑音成分のみをキャンセルするよう構成したことを特徴とする請求項1または請求項2記載の通信システム。
  4. CO(Central Office)モデムとCPE(Customer Premise Equipment)モデムとの間でADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)信号の送受信を行う通信システムであって、前記COモデム及び前記CPEモデムのうちの少なくとも一方に対して定常的に印加される背景雑音をモニタするモニタ手段と、前記ADSL信号から前記モニタ手段でモニタされた背景雑音成分のみをキャンセルして前記COモデムと前記CPEモデムとの同期を確立させるキャンセル手段とを有することを特徴とする通信システム。
  5. 前記モニタ手段は、前記COモデムと前記CPEモデムとの間でデータレートの決定処理が実施される前に前記背景雑音をモニタするよう構成したことを特徴とする請求項4記載の通信システム。
  6. 前記キャンセル手段は、前記COモデムと前記CPEモデムとの同期を確立させる際に前記背景雑音成分のみをキャンセルするよう構成したことを特徴とする請求項4または請求項5記載の通信システム。
  7. 信号に印加される背景雑音に依存してデータレートが変化する通信装置を用いる通信システムの背景雑音キャンセル方法であって、前記背景雑音をモニタするステップと、前記信号からそのモニタされた背景雑音成分のみをキャンセルして前記通信装置と他装置との同期を確立させるステップとを有することを特徴とする背景雑音キャンセル方法。
  8. 前記背景雑音をモニタするステップは、前記通信装置と他装置との間で前記データレートの決定処理が実施される前に前記背景雑音をモニタするようにしたことを特徴とする請求項7記載の背景雑音キャンセル方法。
  9. 前記背景雑音成分のみをキャンセルするステップは、前記通信装置と他装置との同期を確立させる際に前記背景雑音成分のみをキャンセルするようにしたことを特徴とする請求項7または請求項8記載の背景雑音キャンセル方法。
  10. CO(Central Office)モデムとCPE(Customer Premise Equipment)モデムとの間でADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)信号の送受信を行う通信システムの背景雑音キャンセル方法であって、前記COモデム及び前記CPEモデムのうちの少なくとも一方に対して定常的に印加される背景雑音をモニタするステップと、前記ADSL信号からそのモニタされた背景雑音成分のみをキャンセルして前記COモデムと前記CPEモデムとの同期を確立させるステップとを有することを特徴とする背景雑音キャンセル方法。
  11. 前記背景雑音をモニタするステップは、前記COモデムと前記CPEモデムとの間でデータレートの決定処理が実施される前に前記背景雑音をモニタするようにしたことを特徴とする請求項10記載の背景雑音キャンセル方法。
  12. 前記背景雑音成分のみをキャンセルするステップは、前記COモデムと前記CPEモデムとの同期を確立させる際に前記背景雑音成分のみをキャンセルするようにしたことを特徴とする請求項10または請求項11記載の背景雑音キャンセル方法。
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