JP3586561B2 - 流体加振用アクチュエータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃焼器における燃焼減衰を計測するため、または、圧力センサの較正試験に使う加振流体を得るため等、任意の周波数で大圧力変動の振動を流体に与えることのできる流体加振用アクチュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】
燃焼器内の燃焼振動を防止する事、及び燃焼減衰を測定し燃焼器の燃焼振動に対する耐性を把握することは、燃焼器の信頼性を高める意味で重要である。燃焼器における燃焼中の減衰を測定するには、強制的に加振させる必要があるが、従来のスピーカを利用したアクチュエータでは、加振力不足である。また、高温高圧下でスピーカを利用して加振することは、スピーカの耐圧、耐熱の問題より不可能である。
【0003】
一方、圧力センサの較正は、基準センサと較正すべきセンサに対し同じ加振流体を作用させてそれら基準センサと較正すべきセンサの検出信号を分析、比較して較正を行う。
【0004】
図9に前記したようにして行う従来の圧力センサの較正装置を示している。圧力センサ21の較正を実施するには、コンプレッサ19より供給された空気を発振器16に連動したコントローラ17で制御された比例弁25で加振し、その加振空気の圧力変動を基準センサ20と較正する圧力センサ21で検出して、その信号をFFT23で分析、比較して較正するのである。
【0005】
しかしながら、この技術では、比例弁25による加振可能な周波数範囲は10Hz前後と低く、高い周波数域での較正はできない。更に圧力センサは、受感部に圧電素子あるいは、抵抗歪ゲージを使用しているため高温下での感度は常温下での感度とは異なる。したがって、従来の常温、常圧下での較正では、高温場における信頼性が乏しい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記したように、燃焼器における燃焼減衰を計測するため、または、圧力センサの較正試験に使う加振流体を得るため等、低周波数から高周波数まで任意の周波数の大きな圧力変動を流体に生じさせることのできる流体加振用アクチュエータを提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するため、加振される流体を流す流体通路と、同流体通路を横切って配設された回転体とを有し、同回転体には少くとも1個の貫通孔が設けられていて、同回転体の回転により、その貫通孔による前記流体通路の連通状態を周期的に接断して前記流体通路を流れる流体を加振するように構成した流体加振用アクチュエータであって、同アクチュエータのケーシング部にはシール及び冷却用通路が設置されていて、同冷却用通路に空気を流して冷却及びシール圧をかける構成とした流体加振用アクチュエータを提供する。
【0008】
本発明のこの流体加振用アクチュエータによれば、回転体の回転数を選定することにより、その貫通孔が流体通路を接断する周期を任意に変えることができ、これにより流体通路を流れる流体への加振周波数を容易に選定することができる。
また、本アクチュエータのケーシング部にはシール及び冷却用通路が設置されており、この通路に空気を流すことで、冷却及びシール圧をかけ加振用流体の漏れを最小限にすることができる。
【0009】
本発明の流体加振用アクチュエータを用いると、燃焼器に供給する燃料に所定の振動を与えてその燃焼減衰を容易に計測でき、また、圧力センサの較正試験に必要な所望の大きさ、周波数の加振流体を得ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による流体加振用アクチュエータを図示した実施形態に基づいて具体的に説明する。図1は本発明の実施の一形態による回転軸型流体加振用アクチュエータの縦断面図である。
【0011】
図1に示すように、本アクチュエータ12には、モータ1にカップリング2を介して回転軸3が設置されており、この回転軸3には軸と垂直方向(図では水平方向)に流体を流すための1個の貫通孔があけられている。フランジ5側から空気、蒸気、燃料等の流体が供給されると、その流体は流体通路4内を通り、回転軸3にあけられた孔を通過する。そしてモータ1で回転される回転軸3の孔を回転軸が1回転する間に2回通過するので、回転軸3を通過する際に回転数の2倍の周波数で加振されフランジ6より放出される。
【0012】
本アクチュエータのケーシング部にはシール及び冷却用通路7が設置されており、この通路7に空気を流すことで、冷却及びシール圧をかけ加振用流体の漏れを最小限にする工夫が施されている。また、回転軸3の円周方向に設けられたラビリンスシール8により、更に加振流体の漏れ量の減少を図っている。
【0013】
従来のスピーカを利用したアクチュエータでは、例えば燃焼振動のような大音圧を制御するには、加振力が不足であったが、本アクチュエータのように回転軸3の回転によって燃料、空気等の流体を加振し、直接燃焼域内に噴出することで、流量変動を生じさせ、大音圧の圧力変動を生じさせることが可能となる。また、加振周波数については、モータ1の回転数を制御することで容易にコントロール可能であり、例えば高周波数(500Hz)までの燃焼振動の制御が可能となる。
【0014】
図2は、本発明の他の実施形態による流体加振用アクチュエータを示している。すなわち、図1に示した流体加振用アクチュエータでは、回転軸に孔をあけたタイプのものであったが、図2のように円盤を用いたものであってもよい。この図2に示したものは、数個の孔11をあけた円盤10をモータ1で回転させるようにしたもので、この円盤10を横切って流れる流体に対し孔数×回転数倍の周波数の加振力を流体に与えられ、上記のアクチュエータと同様の効果が期待できる。
【0015】
図3は、図1に示した流体加振用アクチュエータ12を用いて燃焼器ノズルに加振流体燃料を供給し燃焼域で燃焼させるように構成した応用例を示している。図3において、燃焼器ノズル14のノズル15へ燃料を導く直管13の途中に、図1に示した構造の流体加振用アクチュエータ12を配置してある。
【0016】
このアクチュエータ12の回転軸3を駆動回転するモータ1は、発振器16及びコントローラ17により所定回転数で回転される。燃焼域での燃焼音圧は圧力センサ18で計測される。アクチュエータ12より出た加振流体は、アクチュエータ12出口と同径の直管13に接続されていて体積拡大部等が無いため、反射による減衰が最小限となり、圧力脈動を発生させる。
【0017】
また、直管13の先端に図4に示すストレートタイプのノズル、図5に示すディフューザタイプのノズル、或いは図6に示すオリフィスタイプのノズル15等を取り付けることで、インピーダンスの違いによりノズル毎の周波数特性の異なるアクチュエータとすることが可能である。
【0018】
図7は、図1に示した流体加振用アクチュエータ12を用いた圧力センサの較正試験装置の構成を示している。すなわち、コンプレッサ19から基準センサ20と較正すべき圧力センサ21へ流体を導く管25の途中に図1で説明した流体加振用アクチュエータ12が配設されている。配管25の先に取付けられた基準センサ20と較正すべき圧力センサ21には、それぞれアンプ22とアンプ24が取付けられ、それぞれFFT23へ接続されている。
【0019】
この図7の圧力センサ較正試験装置において、コンプレッサ19より供給された空気は、アクチュエータ12で加振される。このときの加振周波数は、発振器16、コントローラ17で制御されたモータ1の回転数の2倍となる。加振された空気は、管25内を通り、基準センサ20と較正用センサ21に達する。各々のセンサ20,21で計測された信号は、それぞれアンプ22、アンプ24で増幅されFFT23に入力され、ここで各々の圧力レベルを比較し較正する。
【0020】
従来の比例弁を利用した流体加振用アクチュエータでは約10Hzぐらいまでしか加振できず、その以上の周波数帯における較正は不可能であったが、本実施形態による流体加振用アクチュエータは、モータ1の回転数の2倍の周波数まで加振可能なので、例えばモータ1の回転数を15000rpm とすると500Hzまでの周波数帯における較正が可能となる。
【0021】
図7は常温、常圧下での適用例であるが、図8のように本アクチュエータ12で加振された流体を高温、高圧下の燃焼装置に噴出することで、この燃焼装置に取付けた圧力センサ21の高温、高圧下でのセンサの較正も実施可能である。
【0022】
ここでアクチュエータ12は燃焼器より離れた常温、常圧領域に置かれるので、アクチュエータの信頼性は保証される。高温場にアクチュエータ12を設置するには、モータ部とベアリング部を冷却することで利用可能となる。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、加振される流体を流す流体通路を横切って配設された回転体を設け、同回転体には少くとも1個の貫通孔が設けられていて、同回転体の回転により、その貫通孔による前記流体通路の連通状態を周期的に接断して前記流体通路を流れる流体を加振するように構成した流体加振用アクチュエータであって、同アクチュエータのケーシング部にはシール及び冷却用通路が設置されていて、同冷却用通路に空気を流して冷却及びシール圧をかける構成とした流体加振用アクチュエータを提供する。
【0024】
本発明のこの流体加振用アクチュエータによれば、回転体の回転数を選定することで流体通路を流れる流体に対し所望の周波数の振動を与えることができ、強い加振流体圧を得ることができる。また、本アクチュエータのケーシング部にはシール及び冷却用通路が設置されており、この通路に空気を流すことで、冷却及びシール圧をかけ加振用流体の漏れを最小限にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態による流体加振用アクチュエータの縦断面図。
【図2】本発明の実施の他の形態による流体加振用アクチュエータの縦断面図。
【図3】本発明の実施の一形態による流体加振用アクチュエータを使った加振燃料燃焼装置の例を示す縦断面図。
【図4】図3の装置に用いるストレートタイプのノズルを示す断面図。
【図5】図3の装置に用いるディフューザタイプのノズルを示す断面図。
【図6】図3の装置に用いるオリフィスタイプのノズルを示す断面図。
【図7】本発明の実施の一形態による流体加振用アクチュエータを使った圧力センサ較正装置の例を示す説明図。
【図8】高温、高圧下での圧力センサの較正試験を行いうるように構成した図7と同様の図面。
【図9】従来の流体加振装置を使った圧力センサ較正装置の例を示す説明図。
【符号の説明】
1 モータ
2 カップリング
3 回転軸
4 流体通路
5 フランジ
6 フランジ
7 シール及び冷却用通路
8 ラビリンスシール
10 円盤
11 孔
12 アクチュエータ
13 直管
14 燃焼器ノズル
15 ノズル
16 発振器
17 コントローラ
18 圧力センサ
19 コンプレッサ
20 基準センサ
21 圧力センサ
22 アンプ
23 FFT
24 アンプ
25 パレクト比例弁

Claims (1)

  1. 加振される流体を流す流体通路と、同流体通路を横切って配設された回転体とを有し、同回転体には少くとも1個の貫通孔が設けられていて、同回転体の回転により、その貫通孔による前記流体通路の連通状態を周期的に接断して前記流体通路を流れる流体を加振するように構成した流体加振用アクチュエータであって、同アクチュエータのケーシング部にはシール及び冷却用通路が設置されていて、同冷却用通路に空気を流して冷却及びシール圧をかける構成としたことを特徴とする流体加振用アクチュエータ。
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