JP3585832B2 - 保守用車用台車 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄道線路の軌道上で使用される軌道モータカー、マルチプルタイタンパー、バラストレギュレーターや軌陸車等の保守用車の車両を積載して移動させるための保守用車用台車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鉄道線路を保守するための保守用車としては、軌道モータカーや例えば枕木の下に敷設された砕石を突き固めるためのマルチプルタイタンパーなど、鉄道線路の軌道を走行する車輪(軌道輪)を有する鉄道車両そのものに保守用の設備が備えられたものや、一般道路を走行する自動車の車両に鉄道線路の軌道を走行可能な軌道輪が出没可能に設けられた軌陸車と称されるものが知られている。しかるに、この種の保守用車は、一般に通常の旅客車両等の運行が終了した後に目的の保守・点検区間に赴き、運行が再開されるまでに作業を終了して撤収しなければならないが、万一この作業中あるいは保守・点検区間までの往復中に保守用車の走行装置、とりわけ車輪や車軸に故障が生じて機能損失状態となり、この保守用車の車両がその本来の機能によって軌道上を移動することが不可能となった場合には、次の旅客車両等の運行再開に支障を来さないように、これを速やかに撤去して復旧を図らなければならない。そこで、このような特に車輪や車軸に故障が生じた保守用車の車両を積載して移動させるものとして、当該車両を積載する積載部を設けたフレームに鉄道線路の軌道上に載置可能な車輪を備えて、保守用車の車両を積載したまま軌道上を走行して移動させる保守用車用台車が従来より提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような従来の保守用車用台車では、軌陸車のような比較的車重の軽い保守用車の車両から、軌道モータカーのような鉄道車両を用いた車重の重い保守用車の車両までを積載して移動可能なように、上記フレームに十分な強度や剛性を確保しなければならず、このため当該台車の重量が重くなったり大きさが大きくなったりすることが避けられない。しかしながら、こうして台車の重量が重くなると、これを少人数で運搬することは困難となるため、例えば台車を車両基地からトラックに載せて保守用車が故障した現場まで搬送しようとした場合には、車両基地におけるトラックへの台車の積み込みや現場におけるトラックから軌道上への台車の移し替えに多くの人員と時間および労力とを要することとなり、場合によってはクレーン等を用いなければならなくなるおそれもある。その一方で、台車が取り扱いしやすい軽量のものであると、積載可能な保守用車の車両重量に制限を受けるために車両の種類毎に専用の台車を用意しなければならず、非効率的かつ非経済的となる。
【0004】
また、特に保守用車が上述のような鉄道車両を用いたものであって、その大きな重量の車両を積載して移動させるために上述のように台車の重量および大きさも大きくせざるを得ない場合には、この保守用車の車両を積載する台車の積載部の高さもある程度の高さとならざるを得ない。ところが、かかる鉄道車両を用いた保守用車はその車高も軌陸車などと比べると高く、そのような保守用車を積載部の高い台車に積載すると、台車に積載された保守用車の高さが鉄道線路の上に仮設された架線の高さに達して接触してしまうおそれがある。従って、このような事態が想定される場合には、保守用車が故障した現場周辺における架線への送電を停止しなければならないのは勿論、台車に積載した保守用車を移動させるのに合わせて故障現場から車両基地までの送電も停止しなければならず、作業や手続きが極めて煩雑となってしまう。
【0005】
本発明は、このような背景の下になされたもので、鉄道車両を用いたような重量の重い保守用車を積載して移動させる場合であっても、少人数でトラックへの積み込みや軌道上への移し替えが可能な保守用車用台車を提供することを第1の目的とし、さらには、特にこのような鉄道車両を用いた車高の高い保守用車を積載した場合でも、当該保守用車が架線に接触してしまうような事態を防ぐことができる保守用車用台車を提供することを第2の目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述のような課題を解決して、これらの目的を達成するために、本発明は、鉄道線路の軌道上で使用される保守用車の車両を積載して上記軌道上を走行することにより上記保守用車を移動させる保守用車用台車であって、互いに並行して延びる一対の上記軌道にそれぞれ沿うように配設される一対の軸受フレームと、これらの軸受フレームの両端部に間隔を開けて互いに平行に設けられる2本の車軸と、これらの車軸の両端部に回転自在に取り付けられて上記軌道のそれぞれに一対ずつ載置可能とされる4つの車輪と、上記軸受フレームの上記車軸間に設けられて上記保守用車の車両が積載される積載部とを備え、このうち少なくとも、上記車輪を取り付けた上記2本の車軸それぞれと、上記積載部と、上記一対の軸受フレームのそれぞれとを分解可能とするとともに、上記積載部を、上記軌道に載置される回転自在なローラーを備えたローラーベースに設けて、このローラーベースを、上記一対の軸受フレームに上下動自在かつ上記軌道に沿って一体に走行可能にそれぞれ設けたことを特徴とする。従って、このような保守用車用台車にあっては、これら2本の車軸、積載部、および一対の軸受フレームを分解した状態では、個々の部品を少人数で持ち運び可能な重量(例えば2人で100kg)以下に抑えることができるので、これらをトラックに積み込んで故障現場まで搬送した上でこの現場で台車に組み立てたりすることにより、故障した保守用車の移動に供することが容易に可能となる。
【0007】
そして、さらに上記第2の目的を達成するために、本発明では、上記積載部を、上記軌道に載置される回転自在なローラーを備えたローラーベースに設けて、このローラーベースを、上記一対の軸受フレームに上下動自在かつ上記軌道に沿って一体に走行可能にそれぞれ設けており、すなわち、このように、保守用車の車両重量が直接的に作用する積載部を、軸受フレームに上下動自在に設けられて自身も軌道上に載置されるローラーを備えたローラーベースに設けることにより、この保守用車の車両重量による垂直荷重が軸受フレームに直接作用するのを避けることができて、軸受フレームにはこの保守用車の車両を積載したローラーベースを一体に走行せしめるだけの強度や大きさを確保するだけでよくなり、従って個々の部品の軽量化を図ることが可能となってその持ち運びを一層容易とすることができるとともに、故障した保守用車を軌道から大きく浮かせることなく、軌道との間にローラーベースを介装した状態で積載して移動させることができるので、軌道からの積載部の高さを最小限に抑えることができ、鉄道車両を用いた保守用車でも積載の際に架線に触れてしまうような事態を防止することが可能となる。
【0008】
また、こうして積載部を上述のようなローラーベースに設ける場合において、このローラーベースは、上記軸受フレームに取り付けられるストラップにより、上記ローラーが上記軌道から浮上した状態で該軸受フレームに支持可能とするのが望ましい。すなわち、かかる保守用車用台車は、上述のように分解された状態でトラックに積まれて保守用車の故障現場で組み立てられる以外に、例えば鉄道車両の車両基地等で予め組み立てられた状態で、軌道を走行する牽引車両によって故障現場まで牽引して保守用車を積載するような場合もあり、この場合において牽引時に上記ローラーベースのローラーが軌道上に載置されたままであると、牽引速度を上げることができなくなるために故障現場に到着するまでに時間を要して復旧が遅れてしまうおそれが生じるが、上記ストラップによってローラーが軌道から浮上した状態でローラーベースを軸受フレームに支持可能とすれば、この状態で当該保守用車用台車を牽引することにより牽引速度を上げて速やかに故障現場に到着することが可能となる。さらに、このように保守用車用台車を保守用車の故障現場まで牽引するに際しては、上記一対の軸受フレームの一端部の間に、上記軌道を走行する牽引車両に連結可能な連結器を着脱可能に設けるのが望ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1ないし図10は、本発明の一実施形態を示すものである。本実施形態の保守用車用台車は、図1ないし図3に示すように、互いに並行して延びる鉄道線路の一対の軌道R,Rにそれぞれ沿うように配設される一対の軸受フレーム1,1と、これらの軸受フレーム1,1の両端部に間隔を開けて互いに平行に設けられる2本の車軸2,2と、これらの車軸2,2の両端部に回転自在に取り付けられて上記軌道R,Rのそれぞれに一対ずつ載置可能とされる4つの車輪3…と、軸受フレーム1,1の上記車軸2,2間に設けられて保守用車の車両が積載される積載部4,4とを備えたものであり、本実施形態ではこれら一対の軸受フレーム1,1と、1本につき一対ずつのいずれも同径の車輪3…が両端部にそれぞれ取り付けられた2本の車軸2,2と、各軸受フレーム1,1ごとに設けられる積載部4,4とが、図4および図5に示すように分解可能とされている。また、上記一対の軸受フレーム1,1の一端側(図1において下側、図3においては左側)の端部同士の間には、上記軌道R,Rを走行する図示されない牽引車両に連結可能な連結器5が、各軸受フレーム1,1に着脱可能に、すなわちやはり分解可能に設けられている。
【0010】
このうち、まず上記一対の軸受けフレーム1,1同士は互いに略同形同大とされていて、それぞれの軸受フレーム1は、互いに平行に配設される同形同大の一対の側板1A,1Aと、これらの側板1A,1A同士の互いに対向する内側面に垂直に接合される一対の枠板1B,1Bとから構成されている。ここで、上記側板1Aは、側面視において図5に示すように、その長手方向(図1においては上下方向、図3および図5においては左右方向)の中央部が真っ直ぐ横向きに延びる長方形状とされるとともに、両端部は上方に凸となるように概略「へ」の字状に湾曲して形成されており、これらの側板1A,1A両端部のそれぞれ外側面には軸受板1C…が接合されていて、これらの軸受板1Cを含めて該側板1A,1A両端部の下縁部には、側面視に下向きに開口するU字溝状の軸受部1Dがそれぞれ形成されている。また、各軸受板1Cの下端縁には、この軸受部1Dの下側開口部を閉塞するストッパー1Eがボルト止めによって着脱可能に取り付けられる。
【0011】
さらに、上記枠板1B,1Bは、その長さが上記車輪3の厚さよりも若干大きく、軌道Rの幅よりは十分大きくされるとともに、幅が上記側板1Aの中央部の幅の半分程度とされた長方形平板状であって、側板1A,1Aがその上記中央部から両端部に向けて湾曲し始める部分の上部側に、互いに平行かつそれぞれ側板1Aの上記長手方向に直交するように向けられて側板1A,1Aの上記内側面に接合されており、これにより、これらの枠板1B,1Bと側板1A,1Aの内側面同士との間には、平面視において上記長手方向に延びる長方形状の間隙部が画成されることとなる。なお、軸受フレーム1の両端部のうち連結器5が着脱可能に取り付けられる上記一端部においては、その下縁部を除いた外周が両側板1A,1A間に渡されたカバー1F…によって覆われるとともに、その上縁部と先端縁部とにはボルト孔を備えて上記連結器5が取り付けられる連結板1G,1Gがやはり側板1A,1A間に渡されて取り付けられている。また、両軸受フレーム1,1の両端部には、当該軸受フレーム1を持ち運びしたりする際に把持する丸棒状のハンドル1Hがそれぞれ設けられており(ただし、一端部側のハンドルは図示が略されている。)、さらに一方の軸受フレーム(図1、図2、および図4において右側の軸受フレーム)1の一端部には、後述するパーキングブレーキ装置6が設けられている。
【0012】
一方、本実施形態では上記車軸2は、一端にフランジ部を有する概略円柱状の一対の同形同大の車軸部材2A,2Aを、間に樹脂材等の絶縁材2Bを介して上記フランジ部同士を突き合わせて同軸にボルト止めすることにより構成されており、こうして構成された車軸2の両端側部分にそれぞれ上記車輪3がベアリング3Aを介して当該車軸2の中心軸線O回りに回転自在に取り付けられている。これらの車輪3…は、一般の鉄道車両の車輪と同様の形状構成を有するものであって、すなわち1本の車軸2の両端に取り付けられた車輪3,3の内側(車軸部材2Aのフランジ部側)を向く部分には、やはり一段大径のフランジ部3Bが形成されるとともに、これよりも外側の部分は、このフランジ部3Bよりも一段小径とされて外側に向かうに従いその外径が漸次縮径する円錐台状部3Cとされている。そして、図2に示すように両車輪3,3のこれら円錐台状部3C,3Cが上記一対の軌道R,R上にそれぞれ載置可能とされ、かつ、こうして円錐台状部3C,3Cを軌道R,R上に載置した状態で上記フランジ部3B,3Bが軌道R,Rの直ぐ内側に隣接するように、両車輪3,3の上記中心軸線O方向の間隔が設定されている。
【0013】
さらに、各車輪3の両側の車軸2外周面には、軸受フレーム1の上記U字溝状の軸受部1Dが嵌合可能な環状溝2C…がそれぞれ形成されている。そして、両端の車輪3,3を軌道R,R上に載置して2本の車軸2,2を配設した上で、これらの環状溝2C…に上記軸受部1D…を嵌合させて一対の軸受フレーム1,1を該車軸2,2上に被せるように設置することにより、これら一対の軸受フレーム1,1は上記一対の軌道R,Rにそれぞれ沿うように配設されるとともに、車軸2,2はその車輪3…が軸受フレーム1,1の両端部内に略収容された状態で、軸受フレーム1の長手方向に間隔を開けて互いに平行に設けられ、さらに上記ストッパー1E…をボルト止めすることにより、これらの車軸2,2は軸受フレーム1,1からの抜け外れが防止される。なお、上記軸受部1DがなすU字状溝の溝深さは、環状溝2C部分における車軸2の直径よりも若干大きくされている。また、この車軸2の長さは一対の軌道R,R間の間隔よりも十分大きくされていて、これにより、車輪3,3を上述のように軌道R,R上に載置した状態で、車軸2の両端は両軌道R,Rの外側に若干突き出すこととなり、これらの車軸2,2の両端にはそれぞれ図4に示すように、該車軸2の端部に嵌挿可能な有底円筒状のキャップ部7Aと、このキャップ部7Aを車軸2の端部に嵌挿した状態でこの端部に上記中心軸線Oに沿ってねじ込み可能なボルト7Bとを備えた長方形枠型のハンドル7が、これらキャップ部7Aおよびボルト7Bによって着脱自在に取付可能とされている。
【0014】
また、上記連結器5は、断面L字のアングル材状の本体5Aと、この本体5Aの長手方向中央部に接合されて取り付けられた連結部5Bとから構成されており、このうち本体5Aは、そのL字に交差する一対の板面の一方を上向きにするとともに他方を軸受フレーム1,1の長手方向の上記一端部側に向けて、これら両軸受フレーム1,1の一端部の間に架け渡されるように、該軸受フレーム1,1一端部の上記連結板1G,1Gに樹脂材等の絶縁板5Cを介してボルト止めされて着脱可能に取り付けられる。さらに、上記連結部5Bは、この本体5Aの長手方向中央部において上記一端部側を向く他方の板面に取り付けられていて、側面視にはこの一端部側に開口する「コ」字状をなすとともに、平面視にはその上記一端部側に突き出す一対の板面部分がこの一端側に向かうに従い漸次幅狭となる等脚台形状とされ、これらの板面部分の略中央部には連結ピン5Dが垂直に貫通させられている。なお、上記車軸2の両端に取付可能とされた上記ハンドル7は、そのボルト7Bが上記本体5Aの上向きにされる一方の板面にもねじ込み可能とされることにより、図4に示すように2つのハンドル7,7が本体5Aの長手方向に間隔を開けて当該連結器5にも着脱自在に取付可能とされている。
【0015】
一方、本実施形態における上記積載部4は、各軸受フレーム1に1つずつ設けられるローラーベース8に配設されており、このローラーベース8が軸受フレーム1に着脱可能とされることによって、上述のように積載部4も軸受フレーム1から分解可能とされている。ここで、このローラーベース8は、外観が細長い箱形を呈する本体8Aを有していて、この本体8Aの幅は軸受フレーム1に画成された上記間隙部に嵌挿可能な大きさとされるとともに、その長さはこの間隙部の上記枠板1B,1B間の間隔よりも若干小さくされており、またこの本体8A内の長手方向両端側には、それぞれ互いに同径かつ上記車輪3よりは小径のローラー8B,8Bが、その下端を本体8Aの下縁部から突出させて、本体8Aの幅方向に延びる回転軸線C回りに回転自在に取り付けられている。そして、このような本体8Aが、その長手方向を軸受フレーム1の長手方向と一致させるとともに、ローラー8B,8Bの上記回転軸線Cを軸受フレーム1の両端部に取り付けられる上記車軸2,2の中心軸線Oと平行として、この軸受フレーム1の上記間隙部に上方から挿入されて収容されることにより、上記ローラーベース8は、上記車軸2,2に取り付けられた車輪3,3が載置されるのと同じ軌道Rの上面に上記ローラー8B,8Bが接地して載置された状態で、軸受フレーム1内のこれらの車輪3,3の間に取り付けられる。
【0016】
従って、こうして取り付けられたローラーベース8は、上下方向については、その本体8Aが上記間隙部内に上方から落とし込まれただけの状態であるため、軸受フレーム1に対してこの間隙部内で上下動自在とされるとともに、上記長手方向については、本体8Aが移動しようとすると枠板1B,1Bのいずれかに当接することになるので、この当接状態で軸受フレーム1と一体に軌道Rに沿って走行可能とされる。さらに本実施形態では、本体8Aの長さが間隙部の長手方向の間隔よりも小さくされるのに伴って枠板1B,1Bとの間にクリアランスが生じるため、ローラーベース8は、軸受フレーム1に対し、上記間隙部内において上記回転軸線Cに平行な任意の軸線に関しての傾動がある程度の範囲で許容された状態とされる。なお、このローラーベース8の本体8Aの上面は、軸受フレーム1の側板1Aの長方形状をなす上記中央部の上縁部よりも若干突出するようにされており、またこの本体8Aの上面の長手方向両端部には、上記枠板1B,1Bの上縁部に係止可能とされてローラーベース8の間隙部からの抜け落ちを防止するストッパー8C,8Cが上記長手方向に突出するように設けられている。さらに、上記ローラー8Bは、車輪3の上記円錐台状部3Cと同様に外側に向かうに従いその外径が漸次縮径する円錐台状に形成されている。
【0017】
このようなローラーベース8に設けられる積載部4は、本実施形態では上述した軌道モータカー等の鉄道車両を用いた保守用車を積載するためのものであって、このローラーベース8の本体8A上面の幅方向中央部に上記長手方向に沿って凹溝が形成されて上記積載部4とされており、この積載部4がなす凹溝の底面4Aは上記長手方向において本体8Aの両端側から中央部に向けて漸次陥没するように傾斜して形成されていて、上記保守用車の車輪Sが図10に示すようにこの底面4Aに接地した状態で収容されることにより、当該積載部4に保守用車の車両が積載されるようになされている。なお、この凹溝の底面4Aの長手方向中央部は本体8Aの下面に解放された断面方形の貫通穴状とされていて、これにより該底面4Aは、上記長手方向両側でそれぞれ中央部に向かうに従い陥没して傾斜するように2つに分断されることとなる。また、こうして2つに分断された底面4Aにはそれぞれネジ孔4Bが形成されていて、これらのネジ孔4B,4Bにボルト止めされることにより、図5に示すように上記2つに分断された底面4Aにはそれぞれ平板状のライナー9,9が着脱自在に敷設可能とされていて、当該積載部4に積載される保守用車の車輪Sの径に合わせてこれらのライナー9,9を厚さの異なるものに適宜交換することで、様々な種類の保守用車の車輪Sを上記凹溝に収容して該保守用車がこの積載部4に積載可能とされている。
【0018】
さらに、これらのネジ孔4B,4Bは、図5ないし図7に示すように、軸受フレーム1に取り付けられて上記ローラー8B,8Bが軌道Rから浮上した状態でローラーベース8の本体8Aを軸受フレーム1に支持可能とするストラップ10の取付孔も兼ねている。このストラップ10は、断面が下向きに開口する「コ」字状をなす細長いフレーム10Aと、このフレーム10Aの長手方向中央部に接合されたナット10Bにねじ込まれて該フレーム10Aを垂直に貫通するように取り付けられ、上端にハンドル10Cが設けられるとともに下端側には上記ネジ孔4Bにねじ込み可能な雄ねじ部10Dが形成されたT字状のストラップ本体10Eとから構成されている。そして、上記フレーム10Aの下端縁には、図7に示すように軸受フレーム1の一対の側板1A,1Aの上記中央部の上端縁間に亙って当該フレーム10Aを橋架した状態で、これら側板1A,1Aの内側面間に画成される上記間隙部の上方に凹む凹所10Fが形成されていて、この凹所10Fの深さは、こうしてフレーム10Aを軸受フレーム1上に橋架するとともに、ストラップ本体10Eの雄ねじ部10Dをネジ孔4Bにねじ込むことによってローラーベース8の本体8Aを引き上げてその本体8Aの上縁部を凹所10F内に収容した状態で、上述のように当該ローラーベース8の上記ローラー8Bが軌道Rから浮上した状態で本体8Aが支持されるように設定されている。
【0019】
さらにまた、一対の軸受フレーム1,1のうち一方の一端部に設けられる上記パーキングブレーキ装置6は、図8および図9に示すように、この一方の軸受フレーム1の上記カバー1F内の先端側上部において、上記車輪3に干渉しないように車軸2の中心軸線Oに平行に両側板1A,1A間に渡される一対の円柱軸6A,6Aと、これらの円柱軸6A,6Aの間にやはり車輪3と干渉しないように上記中心軸線Oと平行に渡されて回転可能に支持されたネジ軸6Bと、このネジ軸6Bがねじ込まれるとともに上記円柱軸6A,6Aが嵌挿されるブレーキシュー6Cとから構成されており、このブレーキシュー6Cの車輪3側を向く側面は、この車輪3の上記円錐台状部3Cに密着可能な凹円錐面状に形成されている。さらに、軌道R,Rの外側に向けられることとなる上記ネジ軸6Bの一端部は、この一端部側の側板1Aから外側に突出させられていて、この一端部には折りたたみ可能なハンドル6Dがリング状のブラケット6Eを介してネジ軸6Bと一体に回転可能に取り付けられている。従って、このようなパーキングブレーキ装置6においては、このハンドル6Dによってネジ軸6Bを回転させることにより、このネジ軸6Bがねじ込まれたブレーキシュー6Cが、円柱軸6A,6Aによって案内されつつ上記中心軸線O方向に往復移動させられ、その上記側面が車輪3の円錐台状部3Cに密着することによって摩擦によりブレーキがかけられるとともに、逆方向に移動させられて該側面が円錐台状部3Cから離れることによりブレーキが解除される。
【0020】
従って、このように構成された本実施形態の保守用車用台車においては、まず上記一対の軸受フレーム1,1と、車輪3,3が両端部に取り付けられた2本の車軸2,2と、これらの車軸2,2間において軸受フレーム1,1にそれぞれ設けられる上記積載部4が形成されたローラーベース8,8とが、それぞれ互いに分解可能とされており、軌道モータカー等の鉄道車両を用いた保守用車を積載するために台車全体はその重量が数百kgに及ぶ場合でも、個々の部品1つずつは例えば100kg以下と、2人程度の少人数で持ち運び可能な重量に抑えることができる。このため、例えば台車をトラックに載せて保守用車の故障現場に向かうような場合でも、各部品のトラックへの積み込みや現場におけるトラックから軌道Rへの移し替えを、クレーン等の重機を用いたりすることなく上述のような少人数で容易かつ速やかに行うことができ、迅速な復旧を図ることが可能となる。また、その一方で、組み立てられる台車としては、上記軌道モータカーのような重量の大きい保守用車を積載可能なものを1種類だけ用意しておけばよく、保守用車の種類に応じて複数種の台車を用意しておくのに比べ、効率的かつ経済的である。
【0021】
また、本実施形態においては、上記軸受フレーム1の両端部にハンドル1Hが設けられるとともに、車軸2の両端にはハンドル7が着脱自在に取付可能とされており、これらの分解した部品を上述のように2人でトラックに積み込んだり故障現場でトラックから軌道R上に移し替えたりする場合には、1人でそれぞれ一端ずつの上記ハンドル1H,7を持って運べばよく、その取り扱いを一層容易とすることができる。しかも、このうちハンドル7は、一対の軸受フレーム1,1の一端部にやはり分解可能に取り付けられる上記連結器5にも、2つのハンドル7,7がその本体5Aの長手方向に間隔を開けて着脱自在に取付可能とされており、軸受フレーム1,1に組み付けられた後の車軸2,2からこのハンドル7…を取り外した上で、そのうち2つを連結器5に取り付けて該連結器5の持ち運びに流用することができ、この連結器5の取り扱いも容易とすることができるとともに、ハンドル7を車軸2と共用することができるので効率的である。さらに、本実施形態では、上記ローラーベース8についても、その積載部4に形成されたネジ孔4B,4Bに雄ねじ部10Dがねじ込まれることによってストラップ10,10が取付可能とされており、これらのストラップ10,10にも上端にハンドル10Cがそれぞれ設けられているので、これらのハンドル10C,10Cを持ってローラーベース8を容易に取り扱うことができる。
【0022】
一方、本実施形態では、軸受フレーム1の車軸2,2間に設けられて保守用車を積載する積載部4が、鉄道線路の軌道Rに載置される回転自在なローラー8B,8Bを備えたローラーベース8の上部に設けられていて、このローラーベース8が軸受フレーム1に対して、該軸受フレーム1に画成された間隙部に上方から嵌挿されて収容されることにより上下動自在、かつ軸受フレーム1の枠板1B,1Bに当接することにより、その長手方向すなわち軌道Rが延びる方向には一体となって、この軌道Rに沿って走行可能とされており、これにより、上記積載部4に積載した保守用車の車両重量による垂直荷重は、上下動自在なローラーベース8の本体8Aおよびローラー8B,8Bを介して軌道Rにより受け止められることとなる。従って、軸受フレーム1にはこのような垂直荷重が直接的に作用することがなくなるため、たとえ保守用車が軌道モータカーのような重量の大きいものであっても、これに合わせて剛性や強度を確保するために軸受フレーム1を大型化したり重量化したりする必要はなく、すなわちこの軸受フレーム1には保守用車を積載したローラーベース8を上述のように軌道Rに沿って一体に走行させ得るだけの強度や大きさが確保されていればよくなるので、該軸受フレーム1の一層の軽量化や小型化を図って、その積み込みや移し替えの際の取り扱いをより容易にすることができる。
【0023】
また、このように軸受フレーム1が小型化されることにより、本実施形態においては、上記積載部4の軌道Rからの高さも極力低く抑えることが可能となるので、上述の軌道モータカーのような鉄道車両を用いた車高の高い保守用車を積載する場合でも、積載された保守用車が軌道R上方の架線に接触してしまうような事態を防止することができる。従って、このような架線への接触による短絡を防ぐために保守用車の故障現場から修理のための車両基地までの移動区間における架線への送電を停止する必要もなくなり、かかる送電停止のために繁雑な作業や手続きを余儀なくされたりするのを防いで、さらに迅速な復旧を図ることが可能となる。
【0024】
さらに、本実施形態における軸受フレーム1は、側面視においてその側板1Aの長手方向中央部が横向きに延びる長方形状とされるとともに両端部は上方に凸となるように湾曲形成されており、すなわちこの軸受フレーム1の長手方向中央部は両端部に対して一段低くされていて、この中央部に画成される上記間隙部に、積載部4が上部に設けられたローラーベース8が収容されているので、この積載部4の軌道Rからの高さを一層低く抑えることができる。しかも、本実施形態では、この軸受フレーム1の枠板1B,1Bが、軌道Rの幅よりも十分大きな長さを有し、かつ側板1Aの上記長方形状の中央部の上側部分に接合されており、これによって軸受フレーム1の側板1A,1A間には、枠板1B,1Bの下側に、軌道Rの上部を収容可能な空間がその長手方向に亙って形成されるので、故障した保守用車の車輪Sを積載部4に載せるときでも、軌道R上に組み立てられた台車をジャッキアップした故障車両の車輪Sの下に送り込んで積載するのではなく、車軸2,2に軸受フレーム1を組み付ける前に、ローラーベース8を取り付けた軸受フレーム1を、上記空間に軌道Rを収容しながら車輪Sの下側の円周に沿わせるようにして該車輪Sの下に回り込ませ、しかる後に上記軸受部1Dに車軸2を取り付けて当該台車を組み立てることにより、この故障車両のジャッキアップ高さも低く抑えることが可能となり、このようなジャッキアップ時に故障車両が架線に接触してしまうような事態も未然に防止することができる。
【0025】
さらにまた、本実施形態では、保守用車を積載する積載部4が設けられたローラーベース8が、上述のように軸受フレーム1に対して上下動自在に設けられており、従って故障した保守用車を積載した台車が起伏のある箇所に敷設された軌道R上を通過するような場合でも、ローラーベース8が軸受フレーム1に対して独立して上下動してこの起伏に追従することができるため、より円滑な保守用車の移動を行うことができる。しかも、このローラーベース8は、本実施形態では上下動に加え、軸受フレーム1に対して車軸2の中心軸線Oに平行な任意の軸線に関しての傾動も許容されており、このため台車が起伏に差し掛かったところや起伏から平坦な箇所に抜け出るところで軸受フレーム1が軌道Rに対して傾いても、ローラーベース8は軌道Rに平行なままの状態を維持させることができるので、このような場合でも軸受フレーム1に保守用車の荷重が直接的に作用するのを一層確実に防ぐことが可能となる。また、本実施形態の保守用車用台車では、車軸2の環状溝2Cに嵌め込まれる軸受フレーム1の軸受部1DがなすU字溝の溝深さが、この環状溝2C部分における車軸2の直径よりも大きくされているため、その差の分だけ軸受フレーム1に対して車軸2も上下動自在に取り付けられることとなり、例えば一対の軌道R,Rの一方に起伏が生じる箇所に当該台車が差し掛かったときに、4つの車輪3…のうち3つだけが軌道R,R上に載置されて台車が支持されてしまうような不安定な3点支持状態となるのを防ぐことができる。しかして、これらは、取り分け鉄道線路上に設けられる分岐器や他の鉄道線路を跨ぐように設けられる横取り装置など、比較的短い区間で軌道Rが起伏する箇所を当該台車が通過する際に特に有効である。
【0026】
さらに、上述の説明では、本実施形態の台車を用いるに際して、この台車を分解した状態でトラック等に積み込んで車両基地から故障現場まで搬送し、この現場で組み立てて故障した保守用車を積載するようにしているが、当該台車は軌道R,R上に載置可能な4つの車輪3…を備えたものであるので、これを車両基地において予め組み立てられた状態として、鉄道線路を走行可能な牽引車両によって牽引することにより、この鉄道線路を通って故障現場まで搬送することも勿論可能である。ところが、そのような場合において、ローラーベース8の小径のローラー8B…が軌道Rに載置されたままの状態であると、故障現場までの牽引時に速度を上げることができず、故障現場への到着に時間を要して速やかな復旧を行うことができなくなってしまうおそれが生じる。
【0027】
しかるに、このような場合において、本実施形態の保守用車用台車では、上記軸受フレーム1にストラップ10が取付可能とされており、このストラップ10のフレーム10Aを軸受フレーム1の側板1A,1A間に橋架した状態で、そのストラップ本体10Eの雄ねじ部10Dをローラーベース8のネジ孔4Bにねじ込むことにより、ローラーベース8の本体8A上部がフレーム10Aの凹所10Fに収容されて、上記ローラー8B,8Bが軌道Rから浮上した状態でローラーベース8が軸受フレーム1に支持されるようになされている。このため、上述のように鉄道線路を通って台車を牽引して搬送する場合でも、この搬送の間はローラー8Bが軌道R上に載置されるのを避けることができ、故障現場に向かう際の速度を上げて到着までの移動時間を短縮し、速やかな復旧を図ることが可能となる。しかも、このストラップ10は上述のようにローラーベース8を取り扱う際のハンドル10Cも備えているので、これとは別にローラーベース8取り扱い用の治具を用意したりするのに比べ、部品数の削減を図ることができて効率的であるという利点も得ることができる。
【0028】
また、本実施形態では、このように鉄道線路を通って保守用車用台車を牽引して故障現場まで搬送する場合に対して、一対の軸受フレーム1,1の一端部の間に、上記鉄道線路の軌道Rを走行する牽引車両に連結可能な連結器5が、これもまた着脱可能に設けられるようにされており、従って保守用車の故障現場に向かう際にはこの連結器5を介して両軸受フレーム1,1を安定的に、かつ均等な牽引力で牽引して当該台車を走行させることができるとともに、現場においては、例えばこの故障した保守用車が上記鉄道車両を用いたものであってそれ自体が連結器を備えている場合には、この連結器5を軸受フレーム1,1から取り外し、保守用車の連結器を用いてこの保守用車を移動させることができる。また、この保守用車が軌陸車のようにそれ自体が連結器を備えていないものである場合には、この連結器5を軸受フレーム1,1の一端部間に取り付けたまま当該保守用車を積載して牽引し、現場から移動させればよい。
【0029】
さらに、本実施形態では、この連結器5を軸受フレーム1,1の一端部間に取り付けるに際して、これら連結器5と軸受フレーム1,1との間に絶縁板5Cが介装されるとともに、上記車軸2は一対の車軸部材2A,2Aから構成されて、互いの突き合わせ部分となるフランジ部同士の間にも絶縁材2Bが介装されており、すなわち鉄道線路の一対の軌道R,Rのそれぞれの側に載置される部分同士が互いに電気的に絶縁された状態とされている。しかるに、一般に鉄道線路においては、例えば通常の旅客車両などに関してはその位置を検知するために車軸を介して両軌道R,R間に電気信号が伝えられるようにされており、この電気信号に基づいて踏切の制御等がなされているが、本実施形態のような保守用車用台車が通過する際にもこのような電気信号が伝えられて踏切が作動したりすると、踏切通過の手続きが煩雑となって保守用車用台車の現場への到着が遅れるのに伴い復旧も遅れたり、信号回路に混乱を来してしまったりするおそれが生じるのに対し、上述のように絶縁板5Cや絶縁材2Bによって台車を軌道R,Rに対して絶縁された状態とすることにより、本実施形態によればこのような電気信号の伝達を防いで、踏切を作動させずに交通整理を行うだけで通過することが可能となるとともに、回路への影響を防ぐことができるのである。
【0030】
さらにまた、本実施形態の保守用車用台車においては、一方の軸受フレーム1の一端部にパーキングブレーキ装置6が設けられており、そのハンドル6Dを回転操作することによってブレーキシュー6Cがこの一端部に収容された車輪3に密着してその回転を拘束し、台車の移動を阻止することができる。このため、例えば故障車両の積載時にその車輪Sが積載部4の直上になるように位置決めするときなどに、台車が不用意に移動してしまったりするのを防ぐことができ、さらに円滑かつ速やかな復旧作業を促すことが可能となる。
【0031】
ところで、以上の説明では主に故障した保守用車が軌道モータカーのような鉄道車両を用いたものであって、その車輪Sを積載部4に直接載せて該車両を積載する場合について説明したが、同じ鉄道車両を用いた保守用車を積載する場合でも、例えばこの保守用車がマルチプルタイタンパーやバラストレギュレーター等のボギー形式車両である場合には、図11および図12に示すように上記実施形態の保守用車用台車にさらに、このようなボギー形式車両のボギー台車Bを積載部4に積載するためのボギーフレーム受け用のアタッチメント11を分解可能に取り付けて、このような保守用車の車両を積載可能とすればよい。このアタッチメント11は、両ローラーベース8,8の本体8A,8A上面に着座させられて軸受フレーム1,1間に橋架される本体11Aを備えたものであって、この本体11Aは軸受フレーム1,1よりも両側部が外側に突出する長さを有しており、この両側部の上面部分には、断面が上向きに開口する「コ」字状をなして軸受フレーム1の上記長手方向に延びる取付部11Bがそれぞれ設けられて、この取付部11Bには枕木(またはハンスリ等)Mが取り付けられる。そして、このようなアタッチメント11によれば、上述のように本体11Aがローラーベース8,8の本体8A,8A上面に着座させられた上で、上記枕木M上にボギー台車BのフレームFを載置することにより、この枕木Mおよび本体11Aを介してボギー台車Bを保守用車用台車の上記積載部4に積載することができ、ボギー台車Bの旋回機能を利用して車両を確実かつ容易に移動させることが可能となる。
【0032】
また、上記軌道モータカー、あるいはマルチプルタイタンパーやバラストレギュレーター等のボギー形成車両などの鉄道車両を保守用車において、その車輪Sに著しい損傷が生じていて車輪部まで台車を挿入することができない場合などには、図13および図14に示すように、上記実施形態の保守用車用台車の両ローラーベース8,8の本体8A,8A上面間に枕木M等の剛体を直接載置して架け渡し、その上に上記鉄道車両の前方のエプロン部Eを載置するようにして該鉄道車両を積載するようにしてもよい。しかして、上記実施形態の保守用車用台車においては、上述したように軸受フレーム1の車輪3,3間に設けられる積載部4を備えたローラーベース8の本体8Aは、その上面をこの軸受フレーム1の側板1Aの長方形状をなす上記中央部の上縁部よりも若干突出するようにされており、従ってこれら図11ないし図14に示したアタッチメント11や枕木Mを両軸受フレーム1,1の中央部間に橋架した状態で、これらのアタッチメント11や枕木Mはローラーベース8,8の本体8A,8A上面に載置されることとなるので、積載部4に保守用車の車輪Sを直接載置した場合と同様に、このアタッチメント11によって積載された軌陸車や鉄道車両等の保守用車の重量が軸受フレーム1,1に直接的に作用することはなく、このローラーベース8の軸受フレーム1に対する上下動や傾動を許容したまま、上記保守用車の重量による垂直荷重を上記本体8Aを介して軌道Rにより受け止めることができる。
【0033】
さらに、例えば積載すべき保守用車が自動車車両を用いた上述の軌陸車であって、しかもその軌道輪の出没機構の故障が生じた場合には、当該自動車車両のタイヤを積載部4に載せてこれを移動させなければならないが、このような軌陸車ではそのタイヤが鉄道車両の車輪Sよりも幅が大きく、またタイヤ間の間隔も軌道R,R間の間隔よりも大きかったりすることがあるため、上記実施形態の保守用車用台車をそのまま適用することが難しくなることがある。そこで、このような場合には、図15ないし図17に示すように上記実施形態の保守用車用台車に、軌陸車のタイヤTを積載するための軌陸車用アタッチメント12を、やはり分解可能に設ければよい。このアタッチメント12は、上記実施形態の保守用車用台車の両軸受フレーム1,1間に橋架される本体12Aの両側部に、側面視に逆「ハ」字状をなして軸受フレーム1,1よりも外側に延びるタイヤ受け部12B,12Bがそれぞれ設けられるとともに、この本体12Aの下部には、上記ローラベース8を取り除いた後の軸受フレーム1の両側板1A,1Aの中央上縁部に着座可能な着座部12Cと、こうして着座部12Cを着座させた状態で上記間隙部に嵌合可能な嵌合凸部12Dとが設けられた構成とされている。
【0034】
従って、このようなアタッチメント12を保守用車用台車によれば、図16および図17に示すように軌陸車のタイヤTの幅や間隔が大きくても、このアタッチメント12の上記タイヤ受け部12B,12Bが積載部とされて上記軌陸車の車両を確実に積載することが可能となる。なお、これら図15ないし図17に示したように軌陸車用のアタッチメント12を上記実施形態の保守用車用台車に取り付ける場合において、上述の説明では台車の軸受フレーム1にローラーベース8を取り付けずに、アタッチメント12を直接軸受フレーム1,1上に取り付けているが、これは、自動車車両を用いた軌陸車は、その重量が鉄道車両を用いた保守用車よりも軽く、通常は15t程度までであるので、ローラーベース8を設けずともこの重量を軸受フレーム1,1のみで受けることができるからであり、こうしてローラーベース8を設ける必要がなくなるために、故障した車両を積載して移動させる際の移動速度を速めることが可能となる。ただし、図11ないし図14に示した場合と同様に、このアタッチメント12を上記実施形態の保守用車用台車のローラーベース8の本体8A上に取り付けるようにしても、勿論構わない。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、両端に車輪を取り付けた2本の車軸それぞれと、保守用車の積載部と、一対の軸受フレームのそれぞれとを分解可能とすることにより、軌陸車は勿論のこと軌道モータカーのような鉄道車両を用いた重量の重い保守用車を積載して移動させる場合であっても、少人数で台車のトラックへの積み込みや軌道上への移し替え等を行うことができ、その取り扱いを容易にして速やかな故障車両の移動および現場の復旧を図ることが可能となる。また、特に上記積載部を軸受フレームに上下動自在かつ軌道に沿って一体に走行可能とされたローラーベースに設けることにより、積載した保守用車の重量による垂直荷重を、軸受フレームに直接的に作用させることなく、このローラーベースを介して軌道により受け止めることができるので、軸受フレームや車軸の小型化、軽量化を図ることができ、その取り扱いを一層容易とすることができるとともに、積載部の高さを抑えて保守用車の積載高さを低減することができ、この保守用車の車高が高くても積載の際や移動中に架線に触れたりするような事態を防止することが可能となる。
【0036】
また、こうして積載部をローラーベースに設ける場合には、このローラーベースのローラーを軌道から浮上した状態でローラーベースを軸受フレームに支持可能とするストラップを取り付けることにより、例えば鉄道線路の軌道上を牽引車両によって牽引して台車を保守用車の故障現場に移動させる場合でも、この移動中の速度を上げることができて現場までの到着時間を短くし、一層速やかな復旧を図ることができる。さらに、このように軌道上を走行させて台車を故障現場まで牽引するに際しては、上記軸受フレームの一端部間に、上記軌道を走行する牽引車両に連結可能な連結器を着脱可能に設けることにより、取り扱いの容易性を維持したまま、当該台車を安定して故障現場まで牽引することが可能となり、また故障した保守用車が連結器を備えていない場合でも、これを容易に移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す平面図である。
【図2】図1に示す実施形態を軸受フレーム1の一端側から見た正面図である。
【図3】図1に示す実施形態を一方の軸受フレーム1側から見た側面図である。
【図4】図1に示す実施形態の正面視の分解図である。
【図5】図1に示す実施形態の側面視の分解図である。
【図6】図1に示す実施形態においてストラップ10を取り付けた状態を示す拡大側断面図である。
【図7】図6におけるYY断面図である。
【図8】図1に示す実施形態におけるパーキングブレーキ装置6を示す拡大側面図である。
【図9】図8におけるZZ断面図である。
【図10】図1に示す実施形態に保守用車の車輪Sを積載した状態を示す側面図である。
【図11】図1に示す実施形態にボギーフレーム受け用のアタッチメント11を取り付けてボギー台車Bを積載した状態を示す正面図である。
【図12】図11に示す状態の側面図である。
【図13】図1に示す実施形態に枕木Mを載置して保守用車のエプロン部Eを積載した状態を示す正面図である。
【図14】図13に示す状態の側面図である。
【図15】軌陸車用のアタッチメント12を示す(イ)平面図、(ロ)正面図、(ハ)側面図である。
【図16】図1に示す実施形態に図15に示すアタッチメント12を取り付けて保守用車のタイヤTを積載した状態を示す正面図である。
【図17】図16に示す状態の側面図である。
【符号の説明】
1 軸受フレーム
2 車軸
3 車輪
4 積載部
5 連結器
6 パーキングブレーキ装置
8 ローラーベース
10 ストラップ
11,12 アタッチメント
R 軌道
S 保守用車の車輪
T 保守用車のタイヤ
B 保守用車(ボギー形式車両)のボギー台車
E 保守用車のエプロン部
Claims (3)
- 鉄道線路の軌道上で使用される保守用車の車両を積載して上記軌道上を走行することにより上記保守用車を移動させる保守用車用台車であって、互いに並行して延びる一対の上記軌道にそれぞれ沿うように配設される一対の軸受フレームと、これらの軸受フレームの両端部に間隔を開けて互いに平行に設けられる2本の車軸と、これらの車軸の両端部に回転自在に取り付けられて上記軌道のそれぞれに一対ずつ載置可能とされる4つの車輪と、上記軸受フレームの上記車軸間に設けられて上記保守用車の車両が積載される積載部とを備え、このうち少なくとも、上記車輪を取り付けた上記2本の車軸それぞれと、上記積載部と、上記一対の軸受フレームのそれぞれとが分解可能とされているとともに、上記積載部は、上記軌道に載置される回転自在なローラーを備えたローラーベースに設けられていて、このローラーベースが、上記一対の軸受フレームに上下動自在かつ上記軌道に沿って一体に走行可能にそれぞれ設けられていることを特徴とする保守用車用台車。
- 上記ローラーベースは、上記軸受フレームに取り付けられるストラップにより、上記ローラーが上記軌道から浮上した状態で該軸受フレームに支持可能とされることを特徴とする請求項1に記載の保守用車用台車。
- 上記一対の軸受フレームの一端部の間には、上記軌道を走行する牽引車両に連結可能な連結器が着脱可能に設けられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の保守用車用台車。
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